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2019年7月

2019年7月29日 (月)

(1926) 真実の行方

【監督】グレゴリー・ホブリット
【出演】リチャード・ギア、エドワード・ノートン、ローラ・リニー、フランシス・マクドーマンド、ジョン・マホーニー
【制作】1996年、アメリカ

大司教殺人事件の容疑者となった青年を巡る法廷サスペンス。血まみれで逮捕された青年は事件当時の記憶が失われていた。彼が多重人格者であることが判明。果たして裁判の行方は。

地域の有力者ラシュマン大司教を殺害した容疑者、アーロン・スタンプラー(エドワード・ノートン)が逮捕され、辣腕弁護士のマーティン・ベイル(リチャード・ギア)は、プロボノでアーロンの弁護を買って出る。検事はかつてマーティンと夜をともにしたことのあるジャネット・ベナブル(ローラ・リニー)。彼女は上司の指示でアーロンに死刑を求刑する。
アーロンは大人しい性格の青年だった。彼は、ホームレスだった若い頃にラシュマンに拾われ、大司教の世話になっており、彼を殺すはずがないこと、事件の日は借りていた本を返そうと大司教のもとに向かったところ、自分以外の何者かがおり、その後記憶を失って、気がつくと血まみれで現場にいたと話す。マーティンはアーロンの無実を信じるようになり、精神科医のアーリントン(フランシス・マクドーマンド)にアーロンの診断を依頼する。アーリントンは、アーロンに女友達のリンダの話をする。アーロンは大人しい性格から豹変し、攻撃的な性格をあらわにする。捜査を進めるうちに、実は大司教には変態的な性的嗜好があり、自分の前で若者に性的行為をさせているビデオが発見される。マーティン自身もアーロンにロイという攻撃的な別人格があることを知り、ロイが大司教を殺害したのだと考える。ジャネットはマーティンの作戦に乗せられ、法廷でアーロンを執拗に責めた質問をした結果、アーロンの中のロイが目覚めてしまう。ロイはジャネットに襲いかかり、首を締め付けるが、何とか周囲の人々がロイを引き剥がす。審理は中止となり、アーロンは病院に行くことが決まる。マーティンは、アーロンの独房に行く。アーロンは法廷で記憶がなくなり、何も覚えていないと話す。マーティンは、アーロンは無罪となったこと、病院に送られるがすぐに出られるだろうと告げる。アーロンはマーティンに感謝し、立ち去るマーティンに、ベナブルに首は大丈夫かとお見舞いしてほしいと告げる。マーティンは、その言葉を聞き、アーロンが記憶を失っていないことに気づく。そう、アーロンの多重人格は彼の演技だった。アーロンの中にロイがいたのではない。ロイがアーロンを演じていたのだ。自分のしたことに気づき、マーティンは法廷を力なくあとにするのだった。

エドワード・ノートンの演じるアーロンの、当初のおどおどした姿と、真相を語るときの邪悪な勝ち誇った顔のギャップが印象的。彼の演技なくして、この作品のどんでん返しは成立しない。多重人格って嘘なんじゃないの、という観客のありがちな疑いを十分以上に拭い去るからこそ、ラストシーンの戦慄が際立つ。本作がデビュー作だというから、驚きだ。

【5段階評価】4

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2019年7月27日 (土)

(1925) トータル・リコール

【監督】レン・ワイズマン
【出演】コリン・ファレル、ジェシカ・ビール、ケイト・ベッキンセール、ブライアン・クランストン
【制作】2012年、アメリカ、カナダ

脳に直接働きかけて人工的な夢を見せるというサービスを受けようとした男が、大きな陰謀の渦に巻き込まれる。1990年「トータル・リコール」のリブート作品。

地球が汚染され、富裕層が暮らすUFBと貧困層が暮らすコロニーが別れた未来の世界。労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は、見知らぬ女性(ジェシカ・ビール)とどこかの施設から逃走しようとしている夢に悩まされていた。彼はリコールという、極上の夢を人工的に体験させるサービスがあると聞き、仕事仲間ハリー(ボキーム・ウッドバイン)の反対を無視してそこに行く。二重スパイとして活躍するという夢を選んだダグラスだったが、リコールの担当者は突然、サービスの実施を停止。そこに警察が乗り込んでくる。大勢に囲まれたダグラスは、自分でも信じられないような身のこなしで全員を倒し、その場を脱出する。家に戻ったダグラスは、愛する妻であったローリー(ケイト・ベッキンセール)にも襲われる。彼とローリーは偽装結婚で、ローリーは彼の監視役だったというのだ。ダグラスは辛くもローリーから脱出。彼が逃走を続けていたところに、夢で会っていた女性メリーナが現れ、彼を助ける。
ダグラスはメリーナを連れて自分がかつて住んでいた部屋に向かう。彼はそこで、自分の正体がカール・ハウザーというレジスタンスの重要人物であったことを知る。彼はもともとUFB側のリーダー、コーヘイゲン(ブライアン・クランストン)の側におり、レジスタンスのリーダー、マサイアス(ビル・ナイ)の暗殺の命を受けてレジスタンス側に潜入。ところがレジスタンス側のメリーナと出会い、コーヘイゲンに敵対することを決めていたのだ。追っ手に気づいたダグラスとメリーナは逃げようとするが、そこにハリーが現れる。ハリーは、ダグラスがリコール社の椅子の上で悪夢から抜けられなくなっていると告げ、メリーナを撃ち殺して悪夢から覚めろとダグラスを説得。しかしダグラスはメリーナの涙を見てこの世界が現実だと確信し、ハリーを撃ち殺し、建物を脱出する。
ダグラスはメリーナの導きでマサイアスに会うが、これはコーヘイゲンの罠だった。マサイアスのアジトにコーヘイゲンの部隊が突入。コーヘイゲンはマサイアスを撃ち殺し、ダグラスをかつてのハウザーに戻すよう部下に指示し、ローリーとともにコーヘイゲンは立ち去る。ダグラスは椅子に縛り付けられるが、コーヘイゲンの兵士の中にいたレジスタンスの貴重な犠牲を得てダグラスは脱出に成功。フォールに捕らわれていたメリーナを助け出したダグラスは、死闘の末、コーヘイゲンを倒し、UFBとコロニーを繋ぐ移動機関「フォール」を破壊。ローリーはメリーナになりすましてダグラスに襲いかかるが、彼は手の傷をもとに彼女が偽物だと気づき、ローリーを倒す。コロニーは独立を勝ち取るのだった。

特撮技術や世界観は素晴らしい。しかし、この作品が致命的なのは、序盤で主人公がリコール社で夢の世界に入る直前に、なだれ込んできた敵を鮮やかな身のこなしで殲滅するという場面。観ている側は、このシーンを観て、主人公がすでに二重スパイの夢に突入している可能性に思い至る。そのため、その後のチェイスシーンや、ローリーとの死闘のシーンでも、これは夢かもしれない、という冷めた目で見ざるを得なくなってしまう。その結果、主人公のピンチに全く没入できない。そのうち、その状況があまりにも長いので、「どうやらこれが実際に起こっているということで作品を楽しんだほうがいいらしい」となるのだが、結局観る側は、映画を観ている自分を客体視したような見方になってしまっている。これは映画としてはダメである。最後になって「まあ一応、夢落ちではなかったのか」となるのだが、なんだかずっと、いつ裏切られるのかと待っていた結果、結局裏切られなかったという、とてももったいない時間を過ごした気になってしまうのだ。
まあもっとも、1990年の「トータル・リコール」も、夢落ちを暗示していたわけなので、そこが制作者側の狙いだったのかもしれないが、予想されたどんでん返しは、もはや予定調和にすぎない。映像の独創性や迫力は素晴らしいだけに、もったいない作品だと感じた。
それともう一つ。メリーナの涙を見て、これが現実だと主人公が気づくシーン。ここはやはり、ハリーの冷や汗で気づく方がしゃれていた。そういうシーン、過去にも観たな。何だっただろうか。

【5段階評価】3

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2019年7月24日 (水)

(1924) 未来のミライ

【監督】細田守
【出演】上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、畠中祐、福山雅治、役所広司、宮崎美子
【制作】2018年、日本

新しい妹ができた少年の成長を幻想的に描いたアニメ作品。セル画とCGが融合した映像が特徴的。

4歳の男の子、くんちゃん(上白石萌歌)が家で留守番していると、父親(星野源)と母親(麻生久美子)が産まれたばかりの女の子の赤ちゃんを連れて帰ってくる。妹は未来(ミライ)と名付けられる。はじめは妹に喜ぶくんちゃんだったが、長女にかかりっきりの両親を見て不愉快になり、妹のことが嫌いになってしまう。くんちゃんが部屋を飛び出して中庭に出ると、見慣れぬ景色が広がり、一人の男(吉原光夫)が現れる。彼の正体は、飼い犬のゆっこだった。そして桃の節句の日、未来からやってきたミライ(黒木華)が現れ、ゆっこ、くんちゃんと一緒にひな人形を片付ける。その後も、少女時代のお母さん(雑賀サクラ)や若い頃のひいじいちゃん(福山雅治)と出会い、くんちゃんはいろいろな経験をする。
ある日、履くズボンの色が気に入らず、だだをこねるくんちゃんは、中庭から巨大な東京駅にひとりぼっちで放り込まれる。ひとりぼっちの国に行く列車に乗り込まされそうになる。そこに未来のミライが現れ、くんちゃんを助け出す。妹の未来と気持ちが通じたくんちゃんはわがままをやめ、母親の呼ぶ声に元気な声で返事をするのだった。

出だしのくんちゃんの声が、どう聞いても男の子の声ではなく、普通の女性の声なのが、大きな違和感だった。上白石萌歌にしたのは、「君の名は。」の上白石萌音にためを張ったのだろうか。中庭が異世界への扉となって、様々な世界や映像が展開するのだが、それぞれのエピソードの不思議さや感動がやや薄く、映像は丁寧に作られていると思ったが、「これはアカデミー賞を取るほどの作品ではないな」と正直感じた。

【5段階評価】3

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2019年7月23日 (火)

(1923) ナミヤ雑貨店の奇蹟

【監督】廣木隆一
【出演】山田涼介、西田敏行、尾野真千子、成海璃子、林遣都、村上虹郎、寛一郎
【制作】2017年、日本

東野圭吾の小説が原作のSF作品。時代を超えた手紙のやりとりが織りなすドラマを群像劇のように描いている。

1970年代後半。時越市で雑貨店を営む浪矢雄治(西田敏行)は、人々からの悩み相談の手紙に返事を書くことを続けていた。2012年。丸光園という児童養護施設出身の三人、敦也(山田涼介)、翔太(村上虹郎)、幸平(寛一郎)の少年が、こそ泥を働いて逃げ場を失い、空家となったナミヤ雑貨店に忍び込む。すると、シャッターの向こう側から郵便受けに手紙が放り込まれる。手紙は1980年の人が書いているらしく、翔太や幸平が悩み相談に答え、手紙を雑貨店の牛乳瓶受けに入れると、時間を超えて相手に手紙が届いているのだった。手紙の書き手は、ミュージシャンを志望して大学を辞めて3年になる松岡克郎(林遣都)だった。彼は魚屋の父親の手厳しい激励を受け、音楽の道を志すもなかなか花が咲かず、丸光園のクリスマス会で歌を披露。オリジナル曲の「REBORN」を歌った日の夜、園の火事で男の子を助け、自らは犠牲となる。
夜にクラブのホステスをしており、店を持たせるから愛人になれと言われて悩んでいるという手紙が届き、敦也は自ら返事を書くことにする。バブル景気の到来と破綻を踏まえた敦也のアドバイスにより、手紙の書き手である田村晴美(尾野真千子)は一介の事務員から女性社長にまで上り詰める。実は敦也らがこそ泥を働いた相手が晴美だった。敦也らは、晴美が丸光園をラブホテルに変えようとしているという噂を聞きつけ、嫌がらせでの犯行だったが、晴美のバッグに浪矢雑貨店宛ての手紙が入っているのを見て、敦也たちは自分がアドバイスをした相手が晴美だったことを知る。翔太と幸平は晴美の家に戻ることにし、敦也も時間を超えた浪矢雄治の手紙を受け取り、警察の捜査が入っている晴美のもとに向かうのだった。

時間が行き来し、いくつものドラマが折り重なっているが、観ていて訳が分からなくなることもなく、複数のエピソードが絡まり合いながら進んでいく展開は見事だった。山田涼介演じる敦也の性格が、ねじ曲がっているのがちょっとくどかったけれども、当たり外れの大きい東野圭吾映画化作品の中では、まあまあ面白い方だった。

【5段階評価】3

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2019年7月22日 (月)

(1922) カプリコン・1

【監督】ピーター・ハイアムズ
【出演】ジェームズ・ブローリン、エリオット・グールド、ブレンダ・バッカロ、ハル・ホルブルック
【制作】1977年、アメリカ、イギリス

有人火星探査に向かうロケットの乗組員が巻き込まれる巨大な陰謀を巡る作品。発射直前のロケットから突然降ろされた乗組員たち。彼らを待ち受ける運命とは。

有人火星着陸を目指すロケット、カプリコン1号の打ち上げの日。乗組員のブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、ウォーカー(O・J・シンプソン)の3人は、ロケット発射の直前、スタッフにロケットを降りるよう指示され、宇宙服のまま、飛行機で別の場所に連れ去られる。彼らは、NASAのケラウェイ博士(ハル・ホルブルック)から、ロケットの装置に不備が発見されたものの、宇宙予算の確保のためには計画を失敗として終わらせることはできないことから、虚偽のロケット打ち上げをすることにしたと説明を受ける。彼らが連れてこられたのは火星の表面を模した撮影のセットだった。ブルーベーカーらは、そのような茶番はごめんだと言うが、家族に危険が及ぶと脅され、その企てに協力せざるを得なくなる。スロー画像を用いての火星に降り立つシーンの中継や、帰路での家族との通信などを負え、あとは地球再突入のねつ造を残すところとなる。ところが、システムがカプリコン1号の耐熱シールドの異常を感知し、管制室は乗組員に応答を乞うが、当然反応はなく、ケラウェイ博士は、宇宙船は帰りに燃え尽き、乗組員は帰らぬ人となったという記者会見をせざるを得なくなる。身の危険を感じたブルーベーカーたちは、幽閉されていた部屋を抜け出し、ジェット機を奪って脱出。燃料が切れて荒野に不時着したジェット機から降りた三人は、別々の方向に歩き出す。ケラウェイはヘリでの捜索を命じ、ウォーカーとウィリスは発見されてしまう。
一方、新聞記者のロバート・コールフィールド(エリオット・グールド)は、ブルーベーカーと夫人(ブレンダ・バッカロ)との会話に不自然な点があったことに気づき、夫人を訪ねる。ブルーベーカーが「帰ったらヨセミテに行こう。去年みたいに」と話しかけたとき、夫人の反応に間があったのだ。夫人は、去年家族で行ったのはヨセミテではなくフラット・ロックだったと話す。そこは、西部劇のセットで撮影の体験ができる場所だった。コールフィールドは、有人火星探査がねつ造によるものだと確信し、彼らを探すため、農薬散布用のセスナをチャーター。ヘリから逃れようとしていたブルーベーカーを発見し、セスナの主翼に捕まらせて逃げる。ヘリは機銃で攻撃してきたが、セスナの操縦士アルバイン(テリー・サラバス)は絶壁の手前で農薬を撒いてヘリの視界をふさぎ、ヘリを大破させる。
ブルーベーカー夫人は、乗組員の葬儀に参列していた。大統領(ノーマン・バートルド)が弔辞を述べていたところに車が止まり、中からブルーベーカーとコールフィールドが駆け出してくる。夫人は目を疑い、報道カメラは一斉にブルーベーカーらを捕らえる。ブルーベーカーは生き残ることに成功したのだった。

セスナとヘリのチェイスや、コールフィールドのブレーキの壊れた車が跳ね橋から水中に落ちるシーンは、ちょっとやりすぎの感があったものの、サスペンスとしてはよくできていて、オリジナリティの高い面白い作品だった。

【5段階評価】4

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2019年7月19日 (金)

(1921) ザ・ファーム 法律事務所

【監督】シドニー・ポラック
【出演】トム・クルーズ、ジーン・トリプルホーン、ジーン・ハックマン、エド・ハリス
【制作】1993年、アメリカ

法律事務所に就職した青年が組織的な犯罪と対抗するようすを描いたサスペンス作品。破格の条件で就職した法律事務所はマフィアの隠れ蓑だという噂を耳にする。それは本当なのか。彼の進むべき道は。

ハーバード大学の優秀な学生、ミッチ・マクディーア(トム・クルーズ)は、メンフィスの小規模な法律事務所に破格の条件で就職。ミッチは事務所のパーティに招かれ、フィアンセのアビー(ジーン・トリプルホーン)とともに参加するが、アビーは、子供作りを奨励するとか、未婚者や離婚者が一人もいないという事務所の説明に薄気味悪さを感じる。就職を決め、司法試験に挑戦することになったミッチに、指導係としてエイバリー・トラー(ジーン・ハックマン)が付く。ミッチは多忙となり、アビーとのすれ違いが増えていく。
事務所の弁護士、コジンスキーとホッジズが、旅行先の船の爆発で死亡するという事件が起きる。ダイナーで食事をしていたミッチの近くに怪しげな二人の男が現れ、ミッチの事務所の弁護士の死亡率が異常だという話をする。不安を抱えるミッチは、トラーとの出張先で、砂浜で男と口論していた女性と出会い、関係を持ってしまう。
ミッチは、服役中の兄、レイ(デビッド・ストラザーン)に面会に行く。ミッチは、勤めている事務所に、兄のことを秘密にしていることをレイに詫びる。レイは気にするなと言い、私立探偵のエディ・ロマックス(ゲイリー・ビジー)を紹介する。ミッチはエディに会い、事務所の弁護士の不審死のことを相談。エディは調べてみることを約束する。ところが、エディが秘書のタミー(ホリー・ハンター)と事務所でいちゃついているところに二人の男が現れ、エディを銃で脅して事務所の捜査の依頼主を聞き出そうとする。エディが銃で応戦するが、撃ち殺されてしまう。とっさに机の下に隠れたタミーは難を逃れる。
セミナーに出席していたミッチは、セミナーのテキストにエディが死んだことを知らせるメモが付いているのを発見。周囲を見渡すと、ダイナーでミッチに話しかけた男(エド・ハリス)がいた。彼はFBIのタランスと名乗り、彼らは、ミッチの勤めている事務所は、麻薬密売等に手を染めるモロルト・ファミリーというマフィアのものだと告げ、証拠を得るため協力するようミッチに告げる。ミッチは迷いながらも、弁護士事務所に従順なふりをしながらFBIに協力することにする。ところが、事務所のデバシャー(ウィルフォード・ブリムリー)がミッチの浮気現場の写真を見せ、FBIの接触を受けたらすぐに知らせろ、と言われる。ショックの覚めやらぬまま、事務所に戻ったミックは、事務所の面々に司法試験の合格を祝福される。祝福の輪の中にはアビーもいた。トラーが密かに呼んでいたのだった。その夜、ミッチはアビーと二人でレストランに行き、出張先で浮気をしたことを正直に告白する。アビーはショックを受け、店を飛び出してしまう。
ミッチはタミーの協力を得て、事務所の不正を暴く証拠書類を集める。アビーもミッチに協力。必要な書類は、ミッチが浮気をしたケイマン諸島の宿泊先の部屋の中にあった。アビーは、トラーに会いに行き、トラーの酒に睡眠薬を入れて彼を眠らせると、部屋の書類をタミーとともにコピーする。ミッチは、マフィアのボス、モロルト兄弟に会い、弁護士費用の水増し請求の証拠を掴んだ、と告げる。モロルト兄弟は、FBIの捜査がマフィアとしての活動ではなく水増し請求に関するものなのであれば、と考え、その証拠を表沙汰にすることを認める。それを知ったタランスはミッチを責めるが、水増し請求は250件にのぼり、罰金は250万ドル、懲役は1250年になる、と告げ、タランスを納得させる。ミッチはアビーと仲直りし、新しい生活へと進んでいくのだった。

本作は弁護士事務所が舞台だが、法廷シーンはない。法廷サスペンスものが好きな自分としてはちょっと残念。マフィアの手先となっている殺し屋の追跡を、一介の若手弁護士が逃れ、逆襲してしまうというのもちょっとご都合主義に感じた。また、話が少し難解で、1、2回観たぐらいではなかなか話が理解できなかった。75万ドルを合法的に手に入れられたというのも、今ひとつFBIの捜査の仕組みを知らない自分にとっては不思議だった。

【5段階評価】2

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2019年7月18日 (木)

(1920) 甲鉄城のカバネリ 総集編 後編 燃える命

【監督】荒木哲郎
【出演】畠中祐(声)、千本木彩花(声)、内田真礼(声)、梶裕貴(声)
【制作】2017年、日本

テレビアニメ「甲鉄城のカバネリ」の総集編映画の後編。「甲鉄城のカバネリ 総集編 前編 集う光」の続編。

人を襲う伝染性の生物カバネがはびこる世の中で、人間はカバネとの戦いを余儀なくされている。カバネと人間との中間的な存在、カバネリである生駒(畠中祐)と無名(千本木彩花)たちは、旅の途中で、無名が兄と慕う天鳥美馬(宮野真守)と出会う。彼は表向きはカバネ退治のプロ集団、狩方衆の総長だったが、権力の座に就いている父親をカバネ化させ、幕府を転覆させる。生駒は無名の本名が穂積だと聞き、彼女が米のご飯を好きなだけ食べられるよう、カバネのいない世界を実現することを決意。敵対する美馬に戦いを挑み、最後は美馬が暴走する美馬にとどめを刺す。無名は生駒を連れて仲間の乗る蒸気機関車、甲鉄城に戻る。生駒は無名を人間に戻す約束を誓うのだった。

カバネリとなった無名を人間に戻すという希望を持った終わり方は、個人的には好き。カバネリに注射をすると巨大な生物に変化したり、どうにかすると元に戻ったり、といった辺りは「進撃の巨人」にも似ていた。

【5段階評価】2

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2019年7月17日 (水)

(1919) 甲鉄城のカバネリ 総集編 前編 集う光

【監督】荒木哲郎
【出演】畠中祐(声)、千本木彩花(声)、内田真礼(声)、梶裕貴(声)
【制作】2016年、日本

人の血を欲する伝染性の生物カバネと、人間、そしてその中間的な存在、カバネリの運命を描いたテレビアニメの映画化作品。

人を襲うカバネがはびこる世界で、妹をカバネによって失った少年、生駒(畠中祐)は、カバネを仕留める武器を開発するが、自分自身がカバネに襲われてしまう。しかし彼はカバネにならず、体はカバネのまま、精神は人間というカバネリとなる。生駒と同様にカバネリの少女、無名(千本木彩花)や四方川菖蒲(内田真礼)らは、装甲列車で旅を進め、道中に現れた巨大なカバネの集合体、黒煙りを倒し、先へと進むのだった。

いわゆるゾンビものだが、主人公とヒロインが半ばゾンビと化しているという設定で、さらにスチームパンクの世界観とチャンバラを持ち込んでいる。テレビアニメの総集編の前編ということで、ダイジェスト版として楽しむにはちょうどいい作品。

【5段階評価】3

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2019年7月16日 (火)

(1918) アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

【監督】アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
【出演】ロバート・ダウニー・Jr、ジョシュ・ブローリン、クリス・ヘムズワース、ゾーイ・サルダナ、ポール・ベタニー
【制作】2018年、アメリカ

アベンジャーズ」シリーズ第3作。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の続編。宇宙の人口を半減させるという野望を阻止するため、アベンジャーズやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーたちが活躍する。彼らは悪の暴走を止められるのか。

6つのインフィニティ・ストーンを手に入れるため、タイタン人のサノス(ジョシュ・ブローリン)はソー(クリス・ヘムズワース)を痛めつけてソーの弟、ロキ(トム・ヒドルストン)を脅し、スペース・ストーンを入手。ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)はハルクとしてサノスと戦ったブルース・バナー(マーク・ラファロ)からサノスのことを聞き、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)に助力を求めに行く。そこにサノスの手下が現れ、タイム・ストーンを持つストレンジを連れ去る。アイアンマンとスパイダーマン(トム・ホランド)はストレンジが連れ込まれた宇宙船に侵入し、ストレンジを救い出す。ソーはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの宇宙船に助けられる。ソーは状況を説明し、失った武器を手に入れるため、ニダベリアに向かう。ピーター・クイル(クリス・プラット)はサノスを追って惑星ノーウェアに向かうが、サノスに育てられたガモーラ(ゾーイ・サルダナ)が連れ去られてしまう。一方、マインド・ストーンを額にはめ込んだ人造人間、ビジョン(ポール・ベタニー)は、強化人間のワンダ(エリザベス・オルセン)とスコットランドで密かに暮らしていたが、サノスの部下に襲われる。そこにアベンジャーズのスティーブ・ロジャース(クリス・エバンス)、ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)、サム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)が現れ、手下を追い払う。彼らはビジョンのマインド・ストーンを摘出するため、ワカンダ王国に向かう。
ノーウェアでリアリティ・ストーンを手に入れたサノスは、ガモーラの妹のネビュラ(カレン・ギラン)を拷問にかけ、ガモーラにソウル・ストーンの隠し場所、惑星ボーミアまで案内させる。石の守り手は、ソウル・ストーンを手に入れるためには愛する物を犠牲にする必要があると告げる。ガモーラは、サノスは誰も愛していないと勝ち誇ったように言うが、サノスは本当にガモーラを娘として愛していた。サノスは涙を流しながらガモーラを谷底に投げ落とし、ソウル・ストーンを手に入れる。
トニー・スタークらはピーター・クイルたちとタイタンでサノスを待ち伏せし、猛攻を仕掛けるが、ギリギリで失敗。1,400万605通りの未来を見てサノスに勝つ道筋が1つだけあることを予見していたストレンジは、サノスにタイム・ストーンを渡す。サノスは最後の石を目指し、ワカンダ王国に現れる。そこではサノスの手下の軍勢とアベンジャーズ達が死闘を繰り広げていた。ビジョンからマインド・ストーンを摘出することに失敗したことから、ビジョンはワンダに石の破壊を指示。ワンダは泣きながらビジョンごとマインド・ストーンを粉砕する。しかしサノスは、魔法の力で時間を巻き戻し、マインド・ストーンを手に入れてしまう。新しい武器、ストーム・ブレイカーを手に入れたソーが、サノスの胸に斧を打ち込むが、サノスは消えてしまう。すると、仲間達が次々と土埃のように姿が崩れ、消えてしまう。ホワイトウルフ(セバスチャン・スタン)やブラック・パンサー(チャドウィック・ボーズマン)、ワンダ、そしてタイタンにいたストレンジやスパイダーマンも例外ではなかった。サノスは草原に建つ廃屋で思いにふけるのだった。

これまでのマーベル・シネマティック・ユニバース・シリーズを知っていないと、キャラクターの関係や特徴が分からず、面白さは半減するだろう。できれば公開された順番に観たい。逆に言うと、前作との関係をしっかりと受け継いで作品が作られているので、しっかりハマればけっこう面白い。これまでアメコミ・ヒーローものは、特撮は派手なだけであまり好きではなかったのだが、複数の作品群で世界観を作り上げているというのは、乱鑑(乱読の映画鑑賞版。今つくった俗語)映画ファンとしては面白い。エンド・ゲームもぜひ観たい(テレビで)。

【5段階評価】4

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2019年7月15日 (月)

(1917) スパイダーマン: ホームカミング

【監督】ジョン・ワッツ
【出演】トム・ホランド、ロバート・ダウニー・Jr、マイケル・キートン、ジェイコブ・バタロン、ローラ・ハリアー
【制作】2017年、アメリカ

アベンジャーズに憧れる高校生がスパイダーマンとして活躍する様子を描いた作品。

アベンジャーズの戦闘の残骸処理を請け負ったエイドリアン(マイケル・キートン)は、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)の強力な支配力により仕事を奪われる。家族を養う必要のあるエイドリアンは、残骸の中にある宇宙物質を使ってハイテク兵器の密売に手を染めるようになる。スパイダーマンの能力を持つ高校生、ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、密売現場を発見し、彼らを取り押さえようとするが、大きな翼の飛行装置を付け、バルチャーとなったエイドリアンに水中に叩き付けられ、敗北。帰り道で拾った宇宙物質を持ち帰る。ピーターがスパイダーマンであることを知っている親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)とともに、物質の秘密を探り、彼らの野望を阻止しようとするが、取引現場の船の中でハイテク兵器が暴走して船が真っ二つになり、乗客を危険な目に遭わせてしまったことで、トニー・スタークはピーターのスパイダーマン・スーツを没収してしまう。
普通の高校生として暮らすことになったピーターは、好きな女の子、リズ(ローラ・ハリアー)をホームカミングのパーティのパートナーに誘い、OKをもらう。ピーターがリズの家に彼女を迎えに行くと、出迎えた父親は、なんとエイドリアンだった。会場に向かう車の運転を務めたエイドリアンは、リズを先に車から降ろすと、ピーターに、自分の仕事の邪魔をするな、と脅す。いったんは承諾するピーターだったが、彼がトニー・スタークの拠点移動の輸送機を狙っていることを知り、それを阻止するため、エイドリアンを追う。輸送機に侵入したエイドリアンにピーターは立ち向かい、死闘の末、彼の確保に成功。トニー・スタークは彼の活躍を認め、アベンジャーズに招待するが、ピーターは辞退し、町の人を守る活動を続けることに決めるのだった。

何度もリメイクされていることもあってか、本作ではピーター・パーカーがスパイダーマンになる経緯や、叔父を殺されて街の治安を守ることを指名とする過程は省略され、明るい作品になっていた。アベンジャー・シリーズにスパイダーマンを取り入れるため、アイアンマンやキャプテン・アメリカのエピソードにも関連付けられている。輸送機上でのスパイダーマンとバルチャーの戦いは、動きが早すぎて何をしているのかよくわからないという「トランスフォーマー」状態になっていたのがちょっと残念。

【5段階評価】4

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2019年7月14日 (日)

(1916) ドクター・ストレンジ

【監督】スコット・デリクソン
【出演】ベネディクト・カンバーバッチ、ベネディクト・ウォン、マッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントン
【制作】2016年、アメリカ

アメコミ・ヒーロー、ドクター・ストレンジの実写化作品。交通事故で両手を激しく損傷した天才外科医が魔術に目覚める。

天才外科医のスティーブン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、交通事故により両手を激しく損傷。リハビリに取り組むものの、もとの繊細な手の動きを取り戻すことができずにいた。彼は、下半身不随から奇蹟の回復を遂げた男(ベンジャミン・ブラット)を訪ね、「カマー・タージ」というヒントを得る。ネパールに向かったストレンジは、カマー・タージの修行僧、モルド(キウェテル・イジョフォー)と出会い、師匠のエンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)にまみえる。彼女の話を信じないストレンジだったが、彼女による圧倒的な魔術を体験させられ、修行に励むことになる。やがてストレンジは、時間を巻き戻す禁忌の能力を手に入れるが、そこにエンシェント・ワンに敵対する悪者、カエシリウス(マッツ・ミケルセン)が現れる。浮遊する意志を持った赤いマントが彼を支援するが、魔術の初心者のストレンジは苦戦。胸を刺されてしまう。魔術で自分の病院にワープしたストレンジは、元恋人の医師、クリスティーン・パーマー(レイチェル・マクアダムス)の手術を受け、回復する。
ストレンジは、再びカエシリウスの襲撃を受ける。エンシェント・ワンがやられ、ストレンジは彼女をパーマーのもとに連れて行くが、エンシェント・ワンは自ら闇の魔法を使ってきたことを受け入れ、死を選ぶ。ストレンジは、彼女に変わり、闇の勢力から世界を守る道を選ぶことを決意する。カエシリウスは、香港の街を壊滅させるが、ストレンジは時間を巻き戻して街を元に戻しながら、カエシリウスと戦い、巨大な闇の力、ドルマムゥのもとに向かう。ドルマムゥの強大な力の前に、ストレンジはひとたまりもなく敗れるが、彼は何度も何度もドルマムゥの前に現れる。ついに根負けしたドルマムゥは、ストレンジの願いを聞き入れ、カエシリウスとその仲間を暗黒の世界に引きずり込む。香港の街を守ったストレンジだったが、自然の摂理に反した技を使ったことを認めないモルドは、ストレンジのもとを去る。ストレンジは、修行者のウォン(ベネディクト・ウォン)とともに、次の戦いに備えるのだった。

時間が逆行する中で敵と戦うシーンの映像が独創的。とても一度では理解できない複雑な映像。こういうのを納得いくまで繰り返し観られるのは、映画館ではなく自宅で録画を観る大きなメリット。崩壊した状態から元に戻っていくビル修復用の足場の中で戦うシーンなんかは、よくこういうのを思いつくなぁ、と惚れ惚れとしてしまった。

【5段階評価】4

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2019年7月13日 (土)

(1915) アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン

【監督】ジョス・ウェドン
【出演】ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、クリス・エバンス、ジェレミー・レナー、スカーレット・ヨハンソン
【制作】2015年、アメリカ

アメコミ・ヒーローが終結した活躍するアベンジャーズ・シリーズ第2弾。暴走したAIによって誕生したウルトロンの野望に立ち向かうアベンジャーズたち。彼らは地球を救うことができるのか。

悪の組織ヒドラの残党、バロン・ストラッカー(トーマス・クレッチマン)を捕らえたアベンジャーズたち。ロキの杖を手に入れたトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、世界平和を維持するための人工知能ウルトロンを作成しようとするが、ウルトロン(ジェームズ・スペイダー)は自我を持ち、平和のためにアベンジャーズを絶滅させる必要があると考え、行方をくらます。ウルトロンはストラッカーの施設のある東欧の国ソコビアに向かって機会の体を手に入れ、ストラッカーが産んだ強化人間の双子、ピエトロ(アーロン・テイラー=ジョンソン)とワンダ(エリザベス・オルセン)を仲間に付ける。ウルトロンは韓国の技術者ヘレン・チョ(キム・スヒョン)を洗脳してさらに強靱な肉体を得ようとする。ワンダはウルトロンが人類の絶滅した世界を臨んでいることを知り、ピエトロとともにウルトロンの計画から離脱する。アベンジャーズは、ウルトロンが作ろうとしていた最強の身体を奪取。トニーは仲間の反対を押して、そこに究極の人工知能を埋め込もうとする。キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース(クリス・エバンス)は反対するが、最後はマイティ・ソー(クリス・ヘムズワース)が雷撃を送り込み、人造人間ビジョン(ポール・ベタニー)が誕生する。
アベンジャーズたちは、ウルトロンと対決。ソコビアの街全体を持ち上げ、地球を攻撃しようというウルトロンの計画を全員の力で阻止。ピエトロはホークアイ(ジェレミー・レナー)の命を助けようとして命を落とす。アベンジャーズは新たな基地を準備。次の戦いに備えるのだった。

スピード感のある戦闘が観ていて楽しい。人工知能を相手に戦うという、使い古された設定ではあるが、逆に善悪がはっきりしていて分かりやすかった。

【5段階評価】4

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2019年7月 9日 (火)

(1914) 聖の青春

【監督】森義隆
【出演】松山ケンイチ、東出昌大、リリー・フランキー、竹下景子、染谷将太
【制作】2016年、日本

大崎善生の小説を映画化した作品。実在の棋士、村山聖の生涯を描いている。

少女漫画「いたずらなKiss」が好き。麻雀が好き。酒が好き。7段になった村山聖(松山ケンイチ)は、祝賀会に遅れ、スピーチでは「森師匠(リリー・フランキー)からは酒と麻雀を教わったぐらい」と笑いを取る。聖のライバルの羽生善治(東出昌大)は7冠を達成。聖は羽生を倒して名人となることを期して、大阪から東京に活動拠点を移す。聖には、尿からタンパク質が出てしまうという持病、ネフローゼがあり、ついに膀胱癌を発症してしまうが、酒に浸る生活は改まらない。タイトル戦で羽生を倒した聖は、その夜、羽生と二人で杯を傾け、将棋への熱い思いを語り合う。
人工膀胱の手術を受けた聖は、看護師が待機する中で羽生との対局に臨む。周囲が聖の勝利を確信した瞬間、聖は悪手を指し、敗戦を喫する。その後、聖は陥落したB級から這い上がる大活躍を見せるが、1998年8月8日、29歳の若さで帰らぬ人となる。将棋記者の橋口(筒井道隆)は聖の記事を書き上げ、奨励会を脱会した聖の弟弟子、江川(染谷将太)に原稿を託す。将棋会館を出た江川は、そこに聖の面影を見るのだった。

松山ケンイチが自らの体重を激増させて撮影に臨んだ一作。羽生役の東出昌大も棋士の振るまいが板に付いており、見応えのある一作。もっと自分の体を大事にしていれば、と悔やまれるが、太く短く生きた村山聖に共感するところが大きかった。

【5段階評価】4

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2019年7月 8日 (月)

(1913) エンジェル ウォーズ

【監督】ザック・スナイダー
【出演】エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、カーラ・グギノ、オスカー・アイザック、スコット・グレン
【制作】2011年、アメリカ

精神病院に送り込まれた少女が、自分を取り戻すために仲間とともに戦うファンタジー作品。ロボトミー(前頭葉に手を加える前近代的な手術)を施されそうになる少女は、果たして自由を手に入れられるのか。

母親を亡くしたベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、遺産目当ての父親(ジェラルド・プランケット)に精神病院に送り込まれてしまう。病院の管理人ブルー(オスカー・アイザック)は父親から金を受け取り、ベイビードールにロボトミーの手術を行うことを約束する。ベイビードールは椅子に拘束され、手術用の針が彼女を貫こうとした瞬間、場面は売春宿に変わる。そこではベイビードールは宿の踊り子の一人となっている。ベイビードールは宿のマダム(カーラ・グギノ)から踊りを見せるよう言われる。彼女が踊り出そうとしたとたん、場面はまたも変わる。ベイビードールは東洋の寺の境内にいた。彼女が寺の中に入ると、そこには僧侶(スコット・グレン)がおり、自由を手に入れるために5つのものを集めるよう告げる。それは、地図、炎、ナイフ、鍵、そしてもう一つは自分で見つけるように、とのことだった。ベイビードールが襲いかかる巨大ロボット武士を倒すと、場面は売春宿に戻り、周囲が彼女のダンスを褒め称える。ベイビードールは仲間のスイートピー(アビー・コーニッシュ)、ロケット(ジェナ・マローン)、ブロンディ(バネッサ・ハジェンズ)、アンバー(ジェイミー・チャン)を説得し、5つのアイテムを集めて自由を勝ち取ることにする。5人はベイビードールのダンスをきっかけに仮想世界に入り込み、機械化したドイツ軍と戦い、地図と炎を手に入れる。次のナイフを手に入れる際、ロケットが犠牲となる。計画はブルーの知るところとなり、アンバーとブロンディが殺される。ベイビードールは襲ってくるブルーを返り討ちにして鍵を手に入れ、スイートピーとともに脱出を試みる。ベイビードールは、5つめのアイテムは自分自身だと悟り、自分を囮にしてスイートピーを逃がす。
ロボトミー手術が終わる。施術されたのはスイートピーだった。彼女は逃亡生活を続けるのだった。

特撮はかなり本格的。だがB級感が拭えない。幻想の世界が重なった世界観は面白く、バトルシーンも丁寧に作られているのだが、かわいい女の子達が無敵すぎて、バトルに没入することができない。序盤にやられて窮地に陥るような演出もあるのだが、ゲームのような設定が強すぎて、切迫感が伝わってこない。展開のスピード感が犠牲になるため、バランスが難しいものの、もう少しストーリーに重点を置いた方がよかったような気がした。

【5段階評価】3

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2019年7月 6日 (土)

(1912) ザ・ウォーク

【監督】ロバート・ゼメキス
【出演】ジョセフ・ゴードン=レビット、ベン・キングズリー、シャルロット・ルボン
【制作】2015年、アメリカ

ワールド・トレード・センターのツイン・タワーの間を綱渡りしようとする男の挑戦を描いた作品。

パパ・ルディ(ベン・キングズリー)のサーカスでの綱渡りに感動したフィリップ(ジョセフ・ゴードン=レビット)は、綱渡り師になる。アメリカにワールド・トレード・センターが建設されることを知ったフィリップは、情報収集し、恋人のアニー(シャルロット・ルボン)や電器屋のジャン・ピエール(ジェームズ・バッジ・デール)、ワールド・トレード・センターの82階に勤めるバリー(スティーブ・バレンタイン)らを仲間にし、計画を練る。決行の日は8月6日。何とかビルの屋上に潜入し、高所恐怖症の数学教師ジェフ(セザール・ドンボワ)らの協力でビルの間にロープを渡す。夜明けとともに綱渡りを始めたフィリップは見事に成功させる。彼は渡った後、さらに引き返すが、ついに警察官に発見されてしまう。フィリップは何度もロープの間を往復し、最後は警察に確保される。しかし、見物人や建設作業員、さらには警察官にまで、彼は祝福されるのだった。

やはり綱渡りのシーンが圧巻。特撮くささがほとんどなく、脚がすくみ上がりそうな興奮が味わえる。よせばいいのに何度も途中で引き返すので、何度も「これは死亡フラグか」と思えてしまい、自由の女神のトーチの上で語り部となっているフィリップは、実は幽霊なのか、なんて勘ぐったりもした。大丈夫。誰も落ちません。

【5段階評価】4

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2019年7月 3日 (水)

(1911) パシフィック・ウォー

【監督】マリオ・バン・ピーブルズ
【出演】ニコラス・ケイジ、トム・サイズモア、マット・ランター、アダム・スコット・ミラー、エミリー・テナント
【制作】2016年、アメリカ

広島に投下する原爆を運ぶ密命を負った巡洋艦の乗組員と船長の運命を描いた作品。

ときは第二次世界大戦。アメリカ巡洋艦インディアナポリスの艦長、チャールズ・B・マクベイ(ニコラス・ケイジ)は、戦争終結のため、広島と長崎に落下させる原子爆弾の運搬という極秘任務を託され、護衛艦なしでマリアナ諸島のテニアン島を目指す。任務を終えたインディアナポリスはフィリピンに向かうが、そこで日本軍の橋本艦長(竹内豊)率いる潜水艦がインディアナポリスを撃沈。マクベイは乗組員らと海に投げ出される。乗組員の大半は死に、救命いかだにたどり着いた者も次々とホオジロザメに襲われ、命を落としていく。恋人のクララ(エミリー・テナント)にプロポーズしていた乗組員のダントニオ(アダム・スコット・ミラー)は、親友のブライアン(マット・ランター)と二人で救命いかだに乗っていたが、脚をサメに襲われ、命を落とす。ようやくアメリカのPV1爆撃機が漂流する彼らを発見。PBY飛行艇が着水し、彼らをすくい上げる。317名が救出され、879名が死亡した。
マクベイは部下の救出を優先して行動してきたにもかかわらず、ジグザグ運行するという指令を無視して直進した結果、部下を死なせたという疑いで軍事裁判にかけられてしまう。しかし、法廷に登場した日本軍潜水艦の橋本艦長が証言台に立ち、あの状況で魚雷を避けることはできないと証言する。しかし、マクベイは退去命令のだし損じに関しては無罪となるが、ジグザグ運行を怠ったことについては無罪とはされず、彼は結局、拳銃自殺という最期を遂げる。橋本はマクベイの名誉回復のために活動するが、それが実現したのは橋本の死から5日後だった。

歴史的に重要なテーマを扱った大作となってもおかしくないのだが、どうにもB級感のただよう作品だった。
まず、「タイタニック」の制作から20年近く経っているのに、特撮がその劣化版。沈みゆく船の中で閉じ込められたり、艦が真っ二つになったり、傾いた甲板を滑ったり、直立した船の手すりから落下したり、落下した人が物に当たって跳ね返ったり、全て「タイタニック」にもあるシーンだが、CG丸出しだったり、スケール感が感じられなかったり、全て見た目がしょぼい。
次に、サメのシーン。史実なのかもしれないが、戦争映画から動物パニック映画に転換というのは、たとえ史実がそうだとしても、あまりにも観客の志向をないがしろにしすぎ。戦争映画を見に来た人が、サメに食われるシーンを見せられても、ついて行けない。サメなんか出なくたって5日も漂流すれば、いろいろな悲劇が起きるのだから、そちらにもっと制作のエネルギーを注ぐべきだ。
そして駄作にもかまわず出る大物俳優、ニコラス・ケイジが、B級感に華を添える。切断された自分の脚をかかえて亡くなったマクウォーター(トム・サイズモア)も、こうなるとB級の波に巻き込まれ、なんだかこっけいな役に見えてしまう。かくして本作は、B級界一の名作とも言うべき作品となったと言えるだろう。

【5段階評価】3

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2019年7月 2日 (火)

(1910) ヒトラー暗殺、13分の誤算

【監督】オリバー・ヒルシュビーゲル
【出演】クリスティアン・ブリーデル、カタリーナ・シュトラー、ヨハン・フォン・ビューロー、ルーディガー・クリンク
【制作】2015年、ドイツ

ヒトラーの暗殺を企てた男の半生を描いた、実話に基づく作品。ヒトラーの暗殺に失敗した男。彼はなぜ無謀な挑戦に至ったのか。その真実が明らかになる。

アドルフ・ヒトラー(ウド・シェンク)の演説会場に、爆薬をしかける一人の男(クリスティアン・フリーデル)がいた。彼は不審者として当局に捕まり、爆破事件の実行犯として捜査を取り調べを受けることになる。彼の仕掛けた爆弾は、ヒトラーが会場を後にして13分後に爆発したため、ヒトラーは無事だった。男の名はゲオルク・エルザー。彼は秘密国家警察ゲシュタポのミュラー局長(ヨハン・フォン・ビューロー)の拷問を受けても口を割らなかったが、刑事警察局長のアルトゥール・ネーベ(ブルクハルト・クラウスナー)は、彼の愛した女性、エルザ(カタリーナ・シュトラー)を取調室に呼び、エルザーの口を割らせる。
エルザーは、ナチ党が台頭する中で、共産党員と抵抗活動を行っていた。そんな中、人妻のエルザと愛し合うようになる。エルザの夫、エーリヒ(ルーディガー・クリンク)は粗暴な男で、エルザーはエルザを自由にしようと考え、彼女を養えるよう兵器工場で働き始める。その中でヒトラーが戦争を始めようとしていることを知り、暗殺を決意したのだった。
ヒトラー総統は、彼が単独犯であるという結論が気に入らず、さらなる調査を求めたため、エルザーは自白剤による取り調べなど、過酷な尋問を受けるが、それでも彼は単独犯との主張を曲げなかった。1945年。ミュラーはネーベをヒトラー暗殺に加担した罪で絞首刑を宣告。エルザーはテロ攻撃に巻き込まれて死んだことにしろと秘密裏に手配。すでに刑死を覚悟していたエルザーは、とうとう銃殺されるのだった。

ドイツ映画らしい、重々しく寂れたような作風。写実的だが説明調ではなく、作品に引き込まれた。ネーベの絞首刑のシーンがリアル。ヒトラーの指示により、苦痛を増すというピアノ線による絞首刑だったのだが、首を吊られてから1分近く、けいれんのように手足をびくつかせるのがあまりにも痛々しい。「チェンジリング」でもリアルな絞首刑のシーンがあるが、図らずも連続して同じようなシーンを観てしまった。

【5段階評価】4

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2019年7月 1日 (月)

(1909) チェンジリング

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】アンジェリーナ・ジョリー、ジェフリー・ドノバン、ジョン・マルコビッチ、ジェイソン・バトラー・ハーナー
【制作】2009年、アメリカ

失踪した息子を必死で探す母親の果敢な行動を描いた作品。行方不明の息子が見つかったと警察から連絡が入った母親の前に現れた子供は、息子とは別人。再捜査を訴える母親を、警察は精神病院に送り込む。母親の運命は。そして息子は見つかるのか。実話に基づく作品。

1928年。シングル・ワーキング・マザーのクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、息子のウォルター(ガトリン・グリフィス)と外出の約束をしていた日、急な仕事が入ったため、約束は明日守るとお詫びをして職場に向かう。仕事から帰ると、家に息子の姿がない。警察に電話をしても、子供の失踪は24時間以内に捜査はしない、と取り合ってくれない。24時間経ってもウォルターは帰ってこなかった。教会は、腐敗した警察を批判。当時のロス市警は、汚職と不当な捜査にまみれていた。5ヶ月が経ったある日、ロス市警のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノバン)がクリスティンの職場に現れ、ウォルターが見つかったという報せを届ける。クリスティンは喜んで迎えに行くが、列車から降りた子供(デボン・コンティ)はウォルターではなかった。うろたえるクリスティンに、ジョーンズ警部は、月日が経っているせいだと言って無理矢理クリスティンと少年の写真をマスコミに撮らせる。デービス市警本部長(コルム・フィオール)は市警の功績だ、とマスコミの前で強調する。
クリスティンは、柱に付けていたウォルターの背丈の印より、その子の身長が7cmも背が低いこと、割礼をしていることから、この少年が別人と確信。ジョーンズ警部に息子を探してほしいと再度訴えるが、ジェームズは取り合わず、警察お抱えの医師をクリスティンの家に送り込む。医師は背が縮んだのも医学的に説明できる、とクリスティンの訴えをはねつける。教会のグスタブ・ブリーグレブ牧師(ジョン・マルコビッチ)はクリスティンに警察の実情を話し、ともに警察と戦おうと呼びかけるが、クリスティンは自分は息子を探したいだけだ、と言って牧師のもとを去る。歯医者や学校の教師から、少年とウォルターは別人だという証言も得て、クリスティンは再びジョーンズ警部に息子の再捜査を訴えるが、ジョーンズはクリスティンを精神障害だと決めつけ、精神病院送りにしてしまう。病院の中には、警察に不都合だと見なされた女性がことごとく送り込まれており、二度と出ることがかなわない状態になっていた。クリスティンは、警察に再捜査を訴えないという書面にサインを求められるが拒絶し、病院を出られない状態になってしまう。
その頃、サンフォード(エディ・アルダーソン)というカナダ人の少年が不法滞在で逮捕される。彼は、ゴードン・ノースコット(ジェイソン・バトラー・ハーナー)という異常者に脅され、彼の子供連続殺人に加担していたという恐ろしい告白をする。彼が見たという子供の写真の中には、ウォルター・コリンズのものもあった。ジョーンズ警部はそのことをもみ消そうとするが、サンフォードを担当していたレスター・ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)は現場で子供の白骨死体を発見。ロスは大騒ぎとなる。このことから、警察がウォルターだと主張した子供は偽物であることが明らかとなり、ブリーグレブ牧師はクリスティンを救い出す。牧師はさらに、警察の腐敗と戦う敏腕弁護士サミー・ハーン(ジェフ・ピアソン)を雇い、彼はプロボノ活動としてこの件を引き受ける。腐敗したロス市警は糾弾され、ジョーンズ警部は無期限の停職処分となり、デービス本部長も更迭される。しかし、ハーン弁護士がウォルターは殺されたと主張したのに対し、クリスティンは息子の生存を信じていた。死刑を宣告されたノースコットは処刑の前日、クリスティンに面会を申し出る。裁判の席でノースコットが「自分がウォルターを殺すはずがない。あの子は天使だ」と言っていたことを、クリスティンは信じようとしていた。クリスティンはノースコットに息子を殺したのか、と何度も詰め寄るが、とうとうノースコットはその答えを言わず、絞首刑となる。
事件から7年が経ったとき、ノースコットの事件の遺族からクリスティンに連絡が入る。息子が見つかったのだという。急いで警察に向かったクリスティンは、見つかった少年が、事件のことを黙っていたことを咎められると思い、声を上げられずにいたが、母親と父親に会いたくなって正体を明かした、と取調室で話しているのを聞く。彼はウォルターのおかげでノースコットの家から逃げることができたが、ウォルターの生死は分からないと言った。少年と両親が抱き合っているのを見て、クリスティンは自分の息子の生存を確信する。彼女は生涯、息子を捜索し続けたのだった。

絶望的な状況でも決して自暴自棄にならず、強い意志で息子の生存を信じ続ける母親をアンジェリーナ・ジョリーが好演。いい顔をしておきながら卑劣極まりないジョーンズ警部の演技も秀逸。この男が終盤の法廷で完全に言い負かされ、打ちのめされるシーンで胸のすく思いになる。
クリント・イーストウッド監督作品と知らずに観たが、ぐっと引き込まれ、静かな感動に揺さぶられる佳品で、あらためてクリント・イーストウッド監督が好きになった。実話に基づく作品であり、ウォルターとの再会がないのは残念ではあるが、ほかの子供の再会のシーンを入れているのも心憎い。

【5段階評価】5

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