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2019年7月 1日 (月)

(1909) チェンジリング

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】アンジェリーナ・ジョリー、ジェフリー・ドノバン、ジョン・マルコビッチ、ジェイソン・バトラー・ハーナー
【制作】2009年、アメリカ

失踪した息子を必死で探す母親の果敢な行動を描いた作品。行方不明の息子が見つかったと警察から連絡が入った母親の前に現れた子供は、息子とは別人。再捜査を訴える母親を、警察は精神病院に送り込む。母親の運命は。そして息子は見つかるのか。実話に基づく作品。

1928年。シングル・ワーキング・マザーのクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、息子のウォルター(ガトリン・グリフィス)と外出の約束をしていた日、急な仕事が入ったため、約束は明日守るとお詫びをして職場に向かう。仕事から帰ると、家に息子の姿がない。警察に電話をしても、子供の失踪は24時間以内に捜査はしない、と取り合ってくれない。24時間経ってもウォルターは帰ってこなかった。教会は、腐敗した警察を批判。当時のロス市警は、汚職と不当な捜査にまみれていた。5ヶ月が経ったある日、ロス市警のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノバン)がクリスティンの職場に現れ、ウォルターが見つかったという報せを届ける。クリスティンは喜んで迎えに行くが、列車から降りた子供(デボン・コンティ)はウォルターではなかった。うろたえるクリスティンに、ジョーンズ警部は、月日が経っているせいだと言って無理矢理クリスティンと少年の写真をマスコミに撮らせる。デービス市警本部長(コルム・フィオール)は市警の功績だ、とマスコミの前で強調する。
クリスティンは、柱に付けていたウォルターの背丈の印より、その子の身長が7cmも背が低いこと、割礼をしていることから、この少年が別人と確信。ジョーンズ警部に息子を探してほしいと再度訴えるが、ジェームズは取り合わず、警察お抱えの医師をクリスティンの家に送り込む。医師は背が縮んだのも医学的に説明できる、とクリスティンの訴えをはねつける。教会のグスタブ・ブリーグレブ牧師(ジョン・マルコビッチ)はクリスティンに警察の実情を話し、ともに警察と戦おうと呼びかけるが、クリスティンは自分は息子を探したいだけだ、と言って牧師のもとを去る。歯医者や学校の教師から、少年とウォルターは別人だという証言も得て、クリスティンは再びジョーンズ警部に息子の再捜査を訴えるが、ジョーンズはクリスティンを精神障害だと決めつけ、精神病院送りにしてしまう。病院の中には、警察に不都合だと見なされた女性がことごとく送り込まれており、二度と出ることがかなわない状態になっていた。クリスティンは、警察に再捜査を訴えないという書面にサインを求められるが拒絶し、病院を出られない状態になってしまう。
その頃、サンフォード(エディ・アルダーソン)というカナダ人の少年が不法滞在で逮捕される。彼は、ゴードン・ノースコット(ジェイソン・バトラー・ハーナー)という異常者に脅され、彼の子供連続殺人に加担していたという恐ろしい告白をする。彼が見たという子供の写真の中には、ウォルター・コリンズのものもあった。ジョーンズ警部はそのことをもみ消そうとするが、サンフォードを担当していたレスター・ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)は現場で子供の白骨死体を発見。ロスは大騒ぎとなる。このことから、警察がウォルターだと主張した子供は偽物であることが明らかとなり、ブリーグレブ牧師はクリスティンを救い出す。牧師はさらに、警察の腐敗と戦う敏腕弁護士サミー・ハーン(ジェフ・ピアソン)を雇い、彼はプロボノ活動としてこの件を引き受ける。腐敗したロス市警は糾弾され、ジョーンズ警部は無期限の停職処分となり、デービス本部長も更迭される。しかし、ハーン弁護士がウォルターは殺されたと主張したのに対し、クリスティンは息子の生存を信じていた。死刑を宣告されたノースコットは処刑の前日、クリスティンに面会を申し出る。裁判の席でノースコットが「自分がウォルターを殺すはずがない。あの子は天使だ」と言っていたことを、クリスティンは信じようとしていた。クリスティンはノースコットに息子を殺したのか、と何度も詰め寄るが、とうとうノースコットはその答えを言わず、絞首刑となる。
事件から7年が経ったとき、ノースコットの事件の遺族からクリスティンに連絡が入る。息子が見つかったのだという。急いで警察に向かったクリスティンは、見つかった少年が、事件のことを黙っていたことを咎められると思い、声を上げられずにいたが、母親と父親に会いたくなって正体を明かした、と取調室で話しているのを聞く。彼はウォルターのおかげでノースコットの家から逃げることができたが、ウォルターの生死は分からないと言った。少年と両親が抱き合っているのを見て、クリスティンは自分の息子の生存を確信する。彼女は生涯、息子を捜索し続けたのだった。

絶望的な状況でも決して自暴自棄にならず、強い意志で息子の生存を信じ続ける母親をアンジェリーナ・ジョリーが好演。いい顔をしておきながら卑劣極まりないジョーンズ警部の演技も秀逸。この男が終盤の法廷で完全に言い負かされ、打ちのめされるシーンで胸のすく思いになる。
クリント・イーストウッド監督作品と知らずに観たが、ぐっと引き込まれ、静かな感動に揺さぶられる佳品で、あらためてクリント・イーストウッド監督が好きになった。実話に基づく作品であり、ウォルターとの再会がないのは残念ではあるが、ほかの子供の再会のシーンを入れているのも心憎い。

【5段階評価】5

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