(1908) しゃべれども しゃべれども
【監督】平山秀幸
【出演】国分太一、香里奈、伊東四朗、森永悠希、松重豊、八千草薫
【制作】2007年、日本
佐藤多佳子の小説の実写映画化作品。二ツ目(真打ちの手前の階級)の落語家が、個性的な三人の生徒を相手に落語を教えることになる。生徒達はどんな成長を見せるだろうか。
古典落語に傾倒する落語家、今昔亭三つ葉(国分太一)は、二ツ目から伸び悩んでいた。師匠の今昔亭小三文(伊東四朗)が話し方教室の講師となり、鞄持ちとして付いていった三つ葉は、講座の途中で席を立った美女、十河五月(香里奈)と知り合いになり、彼女から話し方を教えてほしいと頼まれる。同時に、実家のお茶の教室の生徒、実川郁子(占部房子)から、関西弁でいじめられているおいに落語を教えてほしいと頼まれる。郁子に好意を寄せていた三つ葉は引き受けるのだが、彼女は結婚が決まっていた。やがて元野球選手で口下手な解説者、湯河原太一(松重豊)も生徒となり、三つ葉は二ツ目の落語家の分際で、三人の生徒の先生となる。三つ葉は、古典落語の「まんじゅうこわい」を題材に落語を教え始める。
三つ葉は、ほおずき市に行きたいという五月に付き合うが、三つ葉がほおずきを買ってやろうとするといらないと言い、入った蕎麦屋で、去年も彼氏とほおずき市に来たが振られたという話をして涙する。三つ葉は、五月に内緒でほおずきを買い、五月の働くクリーニング屋に黙ってほおずきを置いていく。五月はほおずきを大事に育て始める。
五月は記憶力はあるものの、放す感情が伴わない。口達者で生意気な小学生、村林優(森永悠希)は、桂枝雀の関西落語に挑戦する。湯河原太一は、努力はするものの、結局居酒屋のバイトに落ち着き、たまに行う解説者では相変わらず口下手のままだったが、うまく話そうという姿勢は見られるようになる。三つ葉は、師匠の十八番の「火焔太鼓」を一門会で披露することにし、特訓を重ねる。師匠からはダメ出しをくらうが、発表会の日、見事に自分の持ち味を出した芸を披露し、喝采を浴びる。師匠も三つ葉の実力を認める。
優はスポーツ万能の同級生、宮田(堀越光貴)との野球勝負に負けるが、落語で笑わせてやろうと考え、発表会を企画する。優は宮田を笑わせることに成功し、五月は、まんじゅうこわいではなく、三つ葉が一生懸命練習していた火焔太鼓を披露する。湯河原はコーチになることが決まる。かくして三つ葉の落語教室は解散となる。
隅田川の船に乗り、感慨にふける三つ葉。そこに五月が現れる。ほおずきをもらった礼を言っていないと言い、そのまま三つ葉に駆け寄る。二人は抱き合う。笑顔を見せるようになった五月に、三つ葉は、うちに来るか、と問いかける。五月はうんと頷くのだった。
ごまかしの効かない落語のシーンを国分太一が熱演しているのがみどころ。下手な状態と客を湧かせる状態の両方を演じているのが面白い。伊東四朗は落語家ではないのに、ふつうに上手なのはさすが。香里奈も森永悠希も、立派に役どころを演じている。こういうのはふつうにプロ根性を感じた。
ちなみに森永悠希は、「ちはやふる」のつくえ君こと駒野勉を演じている。
もう一つ気になったのは、左利きのはずの国分太一が、そばを食べるシーンで箸を右手に持っていた。これもプロ根性だろうか。違うか。
【5段階評価】3
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