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2019年5月19日 (日)

(1886) 傷だらけの栄光

【監督】ロバート・ワイズ
【出演】ポール・ニューマン、ピア・アンジェリ、エベレット・スローン、アイリーン・ヘッカート、ハロルド・J・ストーン
【制作】1956年、アメリカ

実在のボクサー、ロッキー・グラジアーノの活躍を描いた作品。

札付きのワルのロッキー(ポール・ニューマン)は、元ボクサーの父、ニック(ハロルド・J・ストーン)と不仲で、大物になってやると家を飛び出す。しかし、盗みを働いて捕まり、軍に入れられては上官を殴って脱走し、刑務所送りになる。出所して金に困ったロッキーは、知人のペッポ(ロバート・アジア)の勧めでボクシングを始める。めきめきと頭角を現したロッキーは、ノーマ(ピア・アンジェリ)と知り合う。二人は結婚し、子供もできる。順調に勝利を重ねていたロッキーだったが、ついにチャンピオン戦でトニー・ゼールで敗北。ノーマはロッキーを勇気づける。雪辱を誓うロッキーのもとに、ペッポが現れ、次の試合での八百長を持ちかける。話に乗らなければ、過去の犯罪歴を新聞社に暴露すると脅されたロッキーは、次の試合を怪我と偽り欠場。しかし、八百長の事実を報告しなかったことを咎められ、ロッキーはライセンスを剥奪され、ゼールとの再戦も中止になってしまう。ロッキーは落ち込み、ノーマも悲しむ。そこにマネージャーのコーウェン(エベレット・スローン)が現れ、州によって法が違うことを利用し、シカゴでぜールとの再戦が実現するという話を持ってくる。ノーマは喜ぶが、ロッキーは、ゼールの地元のシカゴでは誰も自分を応援しない、と怖じ気づく。それでもシカゴで練習を行うロッキーだったが、耐えきれずに地元に戻り、行きつけのソーダ屋に入る。ソーダ屋のおやじは、ロッキーに、「客がソーダを頼む。俺が伝票を渡す。客が金を払う。それが日常だ。伝票を渡されて、なんで金を払わなければならないんだ、と言ってもしかたない。金を払う気が無いならソーダを頼むな。」という話をする。それは、過去に悪事を働いてきたロッキーへの痛烈な忠告だった。ロッキーは実家に戻ると、父親のニックがいた。ロッキーがいつものように父親に悪態をつくと、父親は力なく涙を流す。言い過ぎたと気づいたロッキーは謝り、父親のために何ができるかを尋ねる。ニックは自分の夢だったチャンピオンになってくれ、と告げる。ロッキーは勇気を取り戻し、ノーマの待つホテルに戻る。そして再戦の日。5ラウンド目まで押されっぱなしのロッキーは目の上を切り、試合放棄を打診されるが、力強くそれを拒否。ついに6ラウンド目にチャンピオンのゼールを追い込み、KO勝ちする。地元に戻って凱旋するロッキーは、隣にいるノーマに、自分はついている、上にいる誰か(神様)に愛されているんだ、と告げる。ノーマは下にいる人にも愛されているわ、と言って二人は口づけをする。パレードカーには両親や、かつてともに悪事を働いていた友人も乗っており、街は祝福に包まれるのだった。

序盤のロッキーの非行ぶり、特に軍で上官を殴って脱走するあたりは、感情移入がはばかられるほど悪質。そこからボクシング選手として人気を得ていく彼が、過去の非行が明るみに出ることを恐れるようになる。真面目にボクシングに打ち込み、人気が出て、過去の悪事が帳消しになりました、とはならず、本作では、過去の悪事は消せないのだ、ということをしっかりと捉えている。結局、彼の非行は明るみに出るし、そのことをソーダ屋のおやじにたしなめられる。その上で彼はチャンピオンになる。ロッキーは、自分はいずれ力が衰えて負けるが、チャンピオンになった歴史は消えない、と言う。悪事も消せないが、努力が実を結んだことも消されることはない。悪事を消そうとするのではなく、よい行いを積み重ねることだけが、人が努力できることなのだ、という教訓を与えてくれる作品だった。

【5段階評価】4

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