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2019年5月25日 (土)

(1889) あなたへ

【監督】降旗康男
【出演】高倉健、田中裕子、佐藤浩市、草彅剛、ビートたけし、綾瀬はるか、大滝秀治、長塚京三
【制作】2012年、日本

妻を亡くした男が、妻の遺骨を散骨するために富山から長崎に向かう過程を追ったロードムービー。

富山の刑務所で木工の指導をしている倉島英二(高倉健)は、病気で妻の洋子(田中裕子)を亡くしていた。洋子の知人(原田美枝子)の手配で、英二のもとに、洋子の手紙が届く。そこには故郷の海に散骨してほしいと書かれており、もう1通の手紙は長崎の郵便局に局留めで届けられることになった。英二は指導教官の仕事を休んで、妻と乗るはずだったワンボックスカーで長崎を目指す。中学教師を名乗る誠実そうな車上荒らし(ビートたけし)や、妻の不倫を知りながら切り出せずにいる弁当現地販売屋(草彅剛)などと出会いながら旅を続ける。弁当屋の部下の南原(佐藤浩市)は、長崎で散骨の船に困ったら尋ねろ、と言って、大浦吾郎という漁師の連絡先を手渡す。
長崎の平戸に着いた英二だったが、あいにくの台風接近で散骨の船を出す者は誰もない。地元の食堂に入った英二は、店員の濱崎奈緒子(綾瀬はるか)に大浦吾郎の名を尋ねる。たまたま店に来ていた奈緒子の婚約者の大浦卓也(三浦貴大)がそれは自分の祖父だと告げる。卓也は大浦吾郎(大滝秀治)のところに英二を連れて行くが、吾郎はすげなく英二の頼みを断る。奈緒子と奈緒子の母の多恵子(余貴美子)は、車中で夜を明かそうとしていた英二を家に招く。多恵子の夫は、平戸の海で遭難し、死体が上がらないままなのだと言う。父を亡くした奈緒子は、それでも平戸の海を好きだと言い、漁師の卓也との結婚を決めていたのだった。台風が去り、英二は改めて吾郎に散骨の協力を頼みに行く。吾郎は了承。多恵子は、海に花嫁姿の奈緒子と卓也の写真を流してほしいと頼み、英二はそれを受け取る。平戸の海は穏やかで、吾郎も海が洋子さんを受け入れたのだろうとしみじみと語る。
平戸を後にした英二は、電話で南原を呼び出す。現れた南原に、英二は奈緒子と卓也の写真を渡す。そう、彼は奈緒子の父、多恵子の夫だった。事業に失敗した南原は船が遭難したことにして、保険金が家族に入るようにして、家族にも黙って名前を変えて姿を消したのだった。英二は、受刑者が他の人を使ってメッセージを届けることを鳩と言う、という話をし、「自分は今日、鳩になりました」と南原に告げると、その場を立ち去るのだった。

妻との思い出をたどりながら、富山から高山、京都、大阪、兵庫、下関などを巡るロードムービー。最後にちょっとしたミステリー風の展開が用意されている。さすが高倉健という、しみじみとする作品。田中裕子も物静かで深い悲しみを秘めた女性を好演している。「深夜食堂」の役よりこちらのほうが断然よかった。

【5段階評価】4

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