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2019年5月

2019年5月31日 (金)

(1894) 女子ーズ

【監督】福田雄一
【出演】桐谷美玲、高畑充希、有村架純、山本美月、藤井美菜、佐藤二朗
【制作】2014年、日本

怪人と闘う女子戦隊の活躍を描いたコメディ。

名字に色の名前が付いているという理由から、赤木直子(桐谷美玲)、青田美佳(藤井美菜)、黄川田ゆり(高畑充希)、緑山かのこ(有村架純)、紺野すみれ(山本美月)の五人が女子戦隊、女子ーズに選ばれる。彼女たちは、ボスのチャールズ(佐藤二朗)の指令で、地球に現れる怪獣と力を合わせて闘う。ところが彼女たちにはモチベーションがなく、次第に、呼び出されても闘いの場に現れない者が出始める。レッドも、本業の大事なプレゼンを優先し、闘いをサボったことで、仲間の信頼を失う。チャールズに呼び出されたレッドは、彼女がいない間、ほかの四人が一生懸命闘っていたことを知らされ、心を入れ替える。チャールズから次の指令が来たとき、彼女は2回目の仕事のプレゼンの直前だったが、怪人との闘いの場に向かう。やってきたのはレッドだけだった。レッドは、怪獣に待ってもらって仲間を説得して回り、ようやく5人そろって怪獣を倒す。
レッドは戦隊の仕事に邁進することにするが、それでもやはり、現場には自分しか来ず、嘆く日々は続くのだった。

乾いたツッコミを入れあう女子ーズのシュールなギャグ漫画のようなセリフ回しと、佐藤二朗らしい独特のアドリブ一人ボケトークが特徴。同じ福田雄一監督の「斉木楠雄のΨ難」でも佐藤二朗のこの芸風が見られるが、個人的にはあまり面白いと思わない。そんなわけで、終始ゆるすぎて、かなりつまらない作品だった。出演者の女性が全員主役級という豪華さに感激し、作品の内容には目をつぶるべき作品。

【5段階評価】1

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2019年5月29日 (水)

(1893) 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

【監督】武内宣之
【出演】菅田将暉(声)、広瀬すず(声)、宮野真守(声)、松たか子(声)
【制作】2017年、日本

もしもの世界を作り上げる力を得た少年が少女と過ごす一夏の経験を描いたファンタジー。

中学生の典道(菅田将暉)は、仲間と登校中、海辺に立つなずな(広瀬すず)を見かける。教室でなずなが気になる典道に、友人の祐介(宮野真守)はなずなはかわいい、告白したいと典道に告げる。その日、二人がプール掃除に向かうと、プールには水着姿のなずながいた。二人が50m競走をしようとしたとき、なずなが「私が勝ったら何でも言うことをきいて」と言って競争に加わる。なずなが一位になり、ターンのときに足をぶつけた典道は祐介に負ける。なずなは典道がまだ泳いでいるすきに、祐介に、今日の花火大会に二人で行こう、と話しかける。祐介は有頂天になる。
祐介と典道が教室に戻ると、仲間達が、打ち上げ花火は横から見たら平べったいか丸いか、の言い争いをしていた。祐介はなずなと二人で花火大会に行くのをやめて仲間と花火が横から見たらどう見えるか、確かめに行く約束をし、帰宅後、典道の家に遊びに来る。足を怪我していた典道を医者の父親のいる医院に向かわせ、祐介は仲間との待ち合わせ場所に向かう。なずなは祐介を迎えに来ていたが、典道から祐介は来ない、と聞かされ、医院を出て行く。典道はなずなを追いかける。なずなの母親(松たか子)は再婚しようとしており、なずなは転校することになっていた。なずなは家出をしようとしていたのだった。なずなは典道に、もし典道がプールでの競争に勝ったら、典道を花火大会に誘っていた、と告げる。そこになずなの母親がやってきて、なずなを家まで引きずり戻してしまう。典道が追いかけようか迷っているところに祐介達がやってくる。典道は、なずなを救ってやらなかった祐介に殴りかかると、拾った不思議なガラス玉を、道の掲示板に投げつける。すると、時間が巻き戻り、プールでの競争の場面に戻る。今度は典道が競争に勝ち、なずなは典道を花火大会に誘う。典道が家に帰ると、やはり祐介がやってくる。典道はジュースを買ってくると言って部屋を出ると、迎えに来たなずなを自転車の後ろに乗せて走り去る。なずなは典道と駆け落ちをすると言い、駅のホームに向かう。ところがそこに、なずなの母親が婚約者(三木眞一郎)と現れ、なずなをまたも家に連れ帰そうとする。典道は婚約者につかみかかるが敢えなく殴り飛ばされてしまう。
典道は、再びガラス玉を投げて、二人が電車に乗り込む将来を思い描く。すると、再び場面は駅のホームになる。今度は典道は婚約者のパンチの腕をかわし、なずなの手を引っ張って電車に乗り込む。なずなは、このまま二人で東京に移り住み、アイドルでもしようかなと言って、二人しかいない電車の中で松田聖子の歌を歌い始める。その様子を、踏切待ちをしていた祐介達に見られてしまい、さらに車でなずなを探していたなずなの母親にも見つかってしまう。二人は次の駅で降りるが、なずなの母親と祐介達に追いかけられる。灯台の上に逃げ込む二人だったが、祐介が典道を捕まえようと飛びかかり、二人は灯台から落下。典道は再び、なずなと二人だけになることを強く望む。二人は再び電車の中におり、今度は母親にも祐介達にも見つからず、次の駅に到着する。そこは、景色がガラスで覆われたような不思議な世界。打ち上がる花火は、丸でも平べったくもなく、不思議な形をしている。典道は、なずなとずっと二人でいられるこの世界にいたいと望む。なずなは典道に泳ごうと誘い、海に行く。海に落ちたなずなを見て、典道も海に飛び込む。二人の頭上には大きな花火が打ち上がる。典道となずなは口づけを交わす。なずなは、次に会うのはどんな世界かな、と言いながら、姿を消す。
学校では、担任教師の春子先生(花澤香菜)が点呼を取っていた。春子先生は典道の名を呼ぶが、典道の姿は教室にはないのだった。

中学生どうしの淡い恋を描いたファンタジー。CGと実写とアニメを融合したような映像で、現実と非現実の交わった世界をうまく表現していた。お話としても、結局別れてしまうとか、死んでしまうとかいった話ではなく、もしかすると二人はいつまでも一緒にいられる夢のような世界を作り出せたのかも、と思わせ、甘酸っぱい感情が胸に広がる作品になっていた。声優が、旬の広瀬すずと菅田将暉というのがよかったのかどうかはよくわからないが、知らずに観た自分としては、とても自然で入り込めたので、適役だったのだろう。

【5段階評価】4

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2019年5月28日 (火)

(1892) 怪盗ルビイ

【監督】和田誠
【出演】小泉今日子、真田広之、水野久美
【制作】1988年、日本

怪盗を目指す若い女性と、相棒に選ばれた男性の悪戦苦闘ぶりを描いたコメディ。

母親(水野久美)と二人暮らしのサラリーマン、林徹(真田広之)はアパート暮らし。彼らの住む上の階に、若い女性、加藤留美(小泉今日子)が引っ越してくる。引っ越し荷物にあった水着姿の写真をちょろまかした徹は、留美宛ての新聞をいそいそと彼女の部屋に持って行く。留美は徹を部屋に招く。留美はスタイリストをしているが、サムシングを探すために怪盗になることを徹に打ち明け、強引に彼を相棒に指名する。
しかし、雑貨屋の主人の鞄をすり替える作戦では、たかだか13,000円程度の収穫しかなく、鞄は返しに行く。留美は銀行強盗や宝石屋への詐欺、高級マンションに忍び込んでの空き巣を計画するが、どれも失敗。二人で家に帰ったところに、留美の恋人(陣内孝則)がやってきたため、徹は慌てて部屋を出るが、留美は恋人と喧嘩になってしまう。留美は恋人宛に手紙を出したものの、ひどいことを書いたので取り返してほしいと徹に依頼。徹は相手の郵便受けから手紙を盗み出すが、警察(秋野太作)に見つかってしまう。徹は、手紙には致死性のウィルスが付いているから焼いた方がいい、と、留美に言われた大嘘をつくが、警察の鑑定医(名古屋章)は調べてみようと言って手紙を預かると、手紙には確かにカンゲワーチというウィルスが付いていたから焼却しておいた、と徹に告げ、君はいい人というか馬鹿というか、と言って徹を帰す。徹は留美の家に帰って顛末を報告。留美は、警察の法医学者が機転を利かせて手紙を処分したことに気づく。カンゲワーチは、痴話げんかの逆さ言葉だった。法医学者が徹をいい人で馬鹿で、と言っていたという話を聞いて、留美は徹を新しい恋人にすることを決意。二人は熱い口づけをかわし、新しい犯罪計画を楽しそうに話し合うのだった。

公開当時22歳の小泉今日子を主役にしたアイドル映画。ストーリーに現実味はなく、キョンキョンのバラエティに富んだヘアスタイルや衣装を楽しむ作品。留美をもっとミステリアスに描いてもよかったように思うが、彼氏がいるそぶりを見せていたら本当にいて、それもごく普通の男だったりして、意外と普通だった。真田広之が三枚目でコミカルな役を演じて演技の幅を広げた作品とも言える。

【5段階評価】3

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2019年5月27日 (月)

(1891) 小さな恋のメロディ

【監督】ワリス・フセイン
【出演】マーク・レスター、トレイシー・ハイド、ジャック・ワイルド、シェイラ・スティーフェル
【制作】1971年、イギリス

子供たちの大人への反乱と純粋な恋を描いた作品。

規律の厳しい小学校に通うダニエル(マーク・レスター)は、いたずら好きの少年達の仲間に入り、ガキ大将のトム(ジャック・ワイルド)と親しくなる。ある日、ダニエルはバレエの練習をしているメロディ(トレイシー・ハイド)の姿に心を奪われる。ダニエルはメロディから目が離せなくなる。ダンスパーティの日、女の子と向かい合って踊っているメロディを見つけたダニエルは、トムを誘って一緒に踊ろうと話しかける。メロディは応じてくれるが、もう一人の女の子がトムに悪態をついたため、トムはその子を蹴飛ばしてしまい、メロディとのダンスはあっという間の出来事になってしまう。
授業で宿題をしてこなかったダニエルとトムは、放課後、教師に呼び出されて尻叩きのお仕置きを受ける。二人が教師の部屋を出ると、メロディがいた。トムはダニエルと帰ろうとするが、ダニエルはメロディと一緒に駆け出す。トムは鞄を壁にたたきつけて悔しがる。
メロディはダニエルに惹かれ、二人は学校をサボって海に遊びに行く。海岸で砂遊びをしながら、ダニエルはメロディに結婚しようと告げる。
先生に呼び出された二人は、先生に向かって結婚したいと告げ、先生を怒らせる。家に帰ったメロディに、父親(ロイ・キニア)も彼女の早すぎる恋愛にとまどい、20歳まで待った方がいいと諭すが、メロディはどうしてみんな邪魔をするの、と泣き出す。
はじめはダニエルとメロディをからかった同級生達だったが、みんなで学校の授業をサボって高架下の廃墟で二人の結婚式を行う。神父役のトムが式を執り行っているところに、話を聞きつけた先生達やダニエルの母親(シェイラ・スティーフェル)がやってくる。始めは先生から逃げ回っていた生徒達は先生の服をひっぱるなどして反撃。生徒の一人の作った爆弾が、母親の車を大破させると、先生達は尻尾を巻いて逃げ出す。トムは、ダニエルとメロディをトロッコに乗せ、二人を見送る。ダニエルとメロディは二人でトロッコをこぎ、草原に伸びる線路をどこまでも進んでいくのだった。

幼い少年と少女の恋物語。キスシーンも抱き合うシーンもなく、手が触れあうだけでドキドキするような純愛が描かれている。子供の幸せを願っているという父親に向かって、だったらどうして協力してくれないの、と言い返すメロディの言葉には説得力があった。「メロディ・フェア」を始めとするビー・ジーズの曲も日本では有名。
食事の場で大声で話す大人達の顔を、細かいカット割りのアップでつなげ、子供にとってはどうでもいい退屈な話が続く様子を描く方法が巧みだった。

【5段階評価】3

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2019年5月26日 (日)

(1890) リップヴァンウィンクルの花嫁

【監督】岩井俊二
【出演】黒木華、Cocco、綾野剛、原日出子、地曵豪
【制作】2016年、日本

幸せを手に入れようともがく女性の数奇な運命を描いた作品。

聖林中学の臨時教師をしている皆川七海(黒木華)は、お見合いサイトで彼氏(地曵豪)を見つける。彼の名は鶴岡鉄也。彼も教師をしていた。七海は「クラムボン」というハンドルネームで、彼氏がネットショップの買物のように簡単に見つかったとネットでつぶやく。二人は結納を済ませるが、実は七海の両親は離婚しており、それを伏せて臨んだ結納だった。結納を済ませ、披露宴の相談をしていた二人だったが、七海は結婚披露宴の招待客が少ないと鉄也に言われてしまう。また、彼女は声の小ささを生徒にからかわれ、生徒の用意したマイクを使って授業をしたことが原因で学校を首になっていた。そのことや、結納の日の会話で、鉄也の母親(原日出子)が七海が主婦に専念しないことを快く思わない態度だったことから、教師の正式採用の夢を諦めるが、鉄也は自分に相談がなかったと七海を責める。
七海は、ランバラルというネット住民に、披露宴に偽物の親族や友人を招待するサービスがあることを教えてもらい、何でも屋の安室行舛(綾野剛)という男に会って披露宴代理出席サービスを依頼する。そのおかげで、披露宴はつつがなく終了するが、鉄也は、クラムボンという名義で、彼氏が簡単に手に入ったなどと書き込んでいる人物がいることを七海に話す。七海を少し疑っているようだった。
新婚生活に入った二人。七海が朝、鉄也を送り出して部屋を掃除していると、床に女性もののピアスが落ちているのを発見。七海は安室に相談する。安室は浮気調査を30万円で引き受ける。
ある日、夫の不在中に、七海の家に一人の男(和田聰宏)が尋ねてきて、鉄也が自分の恋人と浮気をしていると言って部屋に上がり込む。男は鉄也の卒業アルバムを持ってこさせ、そこに写っている女子生徒と浮気をしていると説明。七海はショックでへたり込んでしまい、男はいったん退散する。男は七海をホテルに呼び出し、彼女に肉体関係を迫る。七海はトイレにいったん入り、慌てて安室を呼び出す。安室は現場に向かうが、実はホテルにいる男と安室はグルだった。安室は手際よく部屋の中の隠しカメラをしまい込み、さも男を追い出したかのような顔で七海を安心させる。
鉄也の父親の通夜に出席した七海は、鉄也の母親のカヤ子(原日出子)に呼び出され、両親が離婚していたことを黙っていたことや、親戚を代理出席させていたことを責めると、七海がホテルで男と会っていた映像を突きつけ、七海を追い出す。七海は泣きながら家に帰り、一夜を明かす。翌朝、鉄也が電話で七海を責めたため、七海も言い返し、アルバムの写真を確認するが、部屋にやってきた男が示したはずの女子生徒の写真はなくなっていた。鉄也に三行半をたたきつけられた七海は、行く当てもなく部屋を出るしかなく、混乱した七海は安室に電話で助けを求め、何とか狭いホテルにたどり着く。仕事のない七海は、住み込みでホテル清掃のアルバイトを始める。安室は、七海に会いに来る。安室の調査によると、鉄也はマザコンで、カヤ子と週に2回は会っていたこと、カヤ子は七海の留守中に二人の家にも来ていたことを報告。七海はカヤ子の依頼した別れさせ屋にはめられたのだ、と説明する。実はその別れさせ屋の仕事自体を安室が引き受けているわけだが、七海はそれを疑いもしない。
安室は七海に披露宴代理出席のアルバイトの話を持ってくる。断るすべもなくそれに参加した七海は、自分の姉役を演じた里中真白(Cocco)と知り合い、意気投合する。彼女は女優をしているということだった。安室はさらに、月100万円稼げる住み込みのメイドの仕事を七海に紹介。そこは大豪邸で、宴会で大騒ぎをしたあとのように屋敷の中は散らかっていた。もう一人、住み込みがいると聞かされていた七海だったが、それは真白だった。七海は真白との再会を喜ぶ。真白は朝早くから女優の仕事に出る日々だったが、ある日、真白が眠り込んでいるところに、呼び出しの電話がかかる。真白は熱を出しており、仕事の関係者の恒吉冴子(夏目ナナ)が屋敷にやってくる。真白の仕事は女優と言ってもAV女優で、大豪邸は真白が気に入り借りているものだった。七海は安室に電話をして自分の雇い主は真白なのかと問いただす。安室は誰が雇い主かは言えないと言いながら、クライアントの依頼は友達がほしい、だったと明かす。七海は真白に、こんな生活はやめて二人で別の所に住もうと涙を流して話す。真白は、この涙のためなら何だって捨てられる、命だって、と言って七海の提案を受け入れる。
家探しをした二人は、ウェディングドレスのお店を見つけ、ドレスを着たまま屋敷で一夜を明かす。二人はベッドの上で横になり、真白は、世の中は幸せと優しさに満ちていて、それがあまり簡単に手に入ると自分が壊れてしまうから、自分はお金を払うんだ、と話す。七海の優しさは真白には辛いほど嬉しいのだった。真白は七海に、一緒に死んでくれと言ったら死んでくれるか、と問いかけ、七海は優しく頷く。
翌朝、真白は冷たくなっていた。屋敷に葬儀屋と安室が現れる。真白は、今夜死ぬ、と安室に連絡を入れていた。自殺だった。葬儀が営まれ、七海は真白の仕事仲間から、彼女が乳がんだったこと、治療をすれば死なずに死んだのに、彼女は体にメスが入ったら里中真白として仕事ができなくなるからそれを拒んでいたと聞かされる。
安室と七海は真白の母親(りりィ)の家に向かう。母親は、縁を切った真白がポルノ女優をしていたことを知り、一度だけ居場所をつきとめて、顔を殴るだけ殴って帰ってきたという話をすると、やおら服を脱ぎ始め、「人前で裸なんて、やっぱり恥ずかしいだけだ」と言って涙を流す。安室もたまらずに号泣。全裸になって恥ずかしさをともにする。七海は母親の出してきた焼酎をあおり、泣きながらおいしいです、と言って母親におかわりをもとめる。三人は泣き、そして笑いながら真白を偲ぶ。
七海はこじんまりとしたアパートに転居。安室は引越祝いとして大量の粗大ゴミの家具を持ち込み、七海に好きな家具を選ばせると、去って行く。七海はベランダに出て、これまでのことに思いをはせるのだった。

岩井俊二監督が、黒木華を主演にすることを想定して作った小説がもとになっている。決して悪事を働こうとしたわけでも、身分不相応な幸せを得ようとしたわけでもなかった七海が、不幸に陥り、そこから這い上がる中で一人の女性と知り合い、そして彼女を失う。
なんと言っても、真白の母親の部屋での号泣シーンが感動的。こういう訳の分からない感情に涙を流すということが、自分にとって初めてで得がたい経験だった。黒木華の存在感を存分に堪能でき、文学性も感じられるいい作品。

【5段階評価】5

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2019年5月25日 (土)

(1889) あなたへ

【監督】降旗康男
【出演】高倉健、田中裕子、佐藤浩市、草彅剛、ビートたけし、綾瀬はるか、大滝秀治、長塚京三
【制作】2012年、日本

妻を亡くした男が、妻の遺骨を散骨するために富山から長崎に向かう過程を追ったロードムービー。

富山の刑務所で木工の指導をしている倉島英二(高倉健)は、病気で妻の洋子(田中裕子)を亡くしていた。洋子の知人(原田美枝子)の手配で、英二のもとに、洋子の手紙が届く。そこには故郷の海に散骨してほしいと書かれており、もう1通の手紙は長崎の郵便局に局留めで届けられることになった。英二は指導教官の仕事を休んで、妻と乗るはずだったワンボックスカーで長崎を目指す。中学教師を名乗る誠実そうな車上荒らし(ビートたけし)や、妻の不倫を知りながら切り出せずにいる弁当現地販売屋(草彅剛)などと出会いながら旅を続ける。弁当屋の部下の南原(佐藤浩市)は、長崎で散骨の船に困ったら尋ねろ、と言って、大浦吾郎という漁師の連絡先を手渡す。
長崎の平戸に着いた英二だったが、あいにくの台風接近で散骨の船を出す者は誰もない。地元の食堂に入った英二は、店員の濱崎奈緒子(綾瀬はるか)に大浦吾郎の名を尋ねる。たまたま店に来ていた奈緒子の婚約者の大浦卓也(三浦貴大)がそれは自分の祖父だと告げる。卓也は大浦吾郎(大滝秀治)のところに英二を連れて行くが、吾郎はすげなく英二の頼みを断る。奈緒子と奈緒子の母の多恵子(余貴美子)は、車中で夜を明かそうとしていた英二を家に招く。多恵子の夫は、平戸の海で遭難し、死体が上がらないままなのだと言う。父を亡くした奈緒子は、それでも平戸の海を好きだと言い、漁師の卓也との結婚を決めていたのだった。台風が去り、英二は改めて吾郎に散骨の協力を頼みに行く。吾郎は了承。多恵子は、海に花嫁姿の奈緒子と卓也の写真を流してほしいと頼み、英二はそれを受け取る。平戸の海は穏やかで、吾郎も海が洋子さんを受け入れたのだろうとしみじみと語る。
平戸を後にした英二は、電話で南原を呼び出す。現れた南原に、英二は奈緒子と卓也の写真を渡す。そう、彼は奈緒子の父、多恵子の夫だった。事業に失敗した南原は船が遭難したことにして、保険金が家族に入るようにして、家族にも黙って名前を変えて姿を消したのだった。英二は、受刑者が他の人を使ってメッセージを届けることを鳩と言う、という話をし、「自分は今日、鳩になりました」と南原に告げると、その場を立ち去るのだった。

妻との思い出をたどりながら、富山から高山、京都、大阪、兵庫、下関などを巡るロードムービー。最後にちょっとしたミステリー風の展開が用意されている。さすが高倉健という、しみじみとする作品。田中裕子も物静かで深い悲しみを秘めた女性を好演している。「深夜食堂」の役よりこちらのほうが断然よかった。

【5段階評価】4

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2019年5月21日 (火)

(1888) 夜明け告げるルーのうた

【監督】湯浅政明
【出演】下田翔大(声)、寿美奈子(声)、斉藤壮馬(声)、谷花音(声)
【制作】2017年、日本

人魚の言い伝えのある港町で起きたできごとを描いたアニメ作品。

東京から地方の港町に引っ越してきた中学3年生の足元海(カイ)(下田翔大)は、同級生の海老名遊歩(寿美奈子)と国夫(斉藤壮馬)とバンド仲間となる。カイは、音楽に乗って海からやってくる人魚ルー(谷花音)の存在に気づく。ルーはバンドに合わせて歌を歌って踊り出し、カイや遊歩、国夫と仲よくなる。3人は地元の祭りでライブを披露することになり、ルーをクーラーボックスに忍ばせて歌を歌わせようとするが、ルーはクーラーボックスを飛び出して踊り出し、その様子が動画に撮られてしまう。町内会長でもある遊歩の祖父(菅生隆之)は人魚人気にあやかって、かつて失敗した人魚ランドを復活させるが、人魚は人を襲うという言い伝えがあり、カイの祖父(柄本明)やかつて恋人を亡くしたタコ婆(青山穣)をはじめ、それに反対する者も現れる。ルーのことが大騒ぎになったため、カイはバンドをやる気がなくなり、遊歩と国夫は二人で人魚ランドで演奏をするが、観客は人魚のルーに夢中。しかも演奏にはサポートがいて、遊歩が転んでも演奏が途切れず曲は流れたため、遊歩はふてくされる。街では、遊歩がいなくなったことが騒ぎになり、人魚の仕業ではないかと考えた遊歩の父親(チョー)は、ルーを捉えて檻に閉じ込め、娘の居場所を聞くが、ルーはみんなのことが好きだというばかり。業を煮やした父親は、人魚の弱点である日光をルーに浴びせようとする。ルーは悲鳴を上げ、それを聞きつけたルーのパパ(篠原信一)が大暴れして助けに現れる。実は遊歩は知り合いの伊佐木(伊藤静)のもとに駆け込んでいただけだった。遊歩はルーが捉えられている場所に向かう。遊歩の父は娘の無事を知るが、遊歩をその場から立ち退かせる。
その頃、お陰様のたたりが起き、街の水位が上がり始める。遊歩や国夫は町内放送で避難を呼びかけ、カイたちはルーのパパとルーを助け出す。人魚たちは次々と街の人達の避難を手助けする。タコ婆の恋人は、人魚に姿を変えていた。タコ婆も人魚に姿を変え、海に消えていく。母親を人魚に殺されたと思っていたカイの祖父だったが、母親もまた、人魚に命を助けられ、人魚になっていたのだった。カイの祖父も海に消える。
街の人達と人魚達の協力により、お陰様のたたりは押し返され、お陰岩は姿を消す。カイたちは新しい目標を見つけて次の一歩を踏み出すのだった。

ポニョとトトロを混ぜたような作品。新海誠作品のような写実的な映像ではなく、遠近感や人の動きをデフォルメしたような映像が特徴的。音楽が好きな人魚という設定は単純で分かりやすく、人魚に対する人の不信感も、あまりドロドロと描写せず、すぐに人魚達が人々を救うために活躍し、タコ婆やカイの祖父の誤解も最後に解けるので、清々しい終わり方になっていた。

【5段階評価】3

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2019年5月20日 (月)

(1887) ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

【監督】キム・ソンス
【出演】西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、中村ゆり、伊武雅刀
【制作】2014年、日本

司城志朗の小説を映画化した作品。記憶を入れ替えられた科学者が妻の死を巡る謎に立ち向かうSFミステリー。

ある日、デザイナーの石神武人(西島秀俊)が帰宅すると、電気の消えた部屋の中にろうそくがともっており、部屋の中には妻(中村ゆり)の死体があった。そこに電話がかかる。相手は妻の美由紀だった。訳の分からない石神。そこに警察を名乗る二人の男が尋ねてくる。二人は家に上がり込むが、なぜか死体は消えていた。二人は石神を車で連れ出し、「オ・ジヌ」という人物のことを尋ねる。石神は二人が警察ではないと気づき、隙を突いて脱走。通りかかった韓国人女性記者のカン・ジウォン(キム・ヒョジン)に助けを請い、石神の妻の実家に向かう。しかし、そこには別人が住んでいた。ジウォンはファミレスで石神の話を聞く。そこにも追っ手が来たため、逃げた二人は、ラブホテルに宿泊する。翌朝、石神は妻の電話番号や自分の勤務先の社名を思い出せなくなっていた。ジウォンは石神の調査を行うために外出し、石神は知人の伊吹(浜田学)に会いに行く。石神は伊吹に家を調べに行ってもらう。そこにまたも謎の男達が迫ってくる。石神は科学の知識を使って電子レンジを時限爆破し、その隙に逃走する。デザイン会社に赴いたジウォンは、デザイン会社で働いていた石神が、彼女の知る石神とは別人であることを知る。夜、二人は再び石神の家に行く。石神はルミノール反応で血痕が確かにあることを確認。ベランダに出たジウォンは、そこに携帯電話が落ちているのを見つける。そこにまたも謎の男達が現れ、石神は連れ去られてしまうが、ジウォンの機転によって二人は逃走。ジウォンの拾った携帯は、彼女が日本で会おうとしていた状況提供者の女性のものだった。ジウォンは、石神が二人の女性と結婚していたのではないか、と疑う。
次の日、石神は、アルツハイマーの研究をしている研究所に向かう。そこで石神は、「ジヌ」と呼びかけられる。彼は実は韓国人の研究者で、人の記憶を吸収して吐き出すことのできるウィルスを研究していたことが判明。ジヌの妻はユリと言い、彼が尋ねた実家は美由紀の実家ではなくユリの実家だったため、石神武人は部外者と受け止められてしまっていたのだった。ユリは、ジヌがユリの記憶を失って美由紀と暮らしていることを知り、ジヌと美由紀の暮らす家に忍び込んで、ジヌとの思い出だったろうそくによる遺伝子構造式を部屋に作っていたのだ。石神が帰ってきたときにあったユリの死体がなくなっていたのは、まだ部屋に犯人が潜んでいたせいだった。美由紀が拉致されていることを知った石神は、謎の集団のもとに向かい、飛行機で韓国に飛ぶ。待っていたのは、製薬会社のボス(イ・ギョンヨン)だった。彼はジヌのいた研究室に監視カメラを仕掛けていた。そこに映っていたのは、杉沢製薬の佐藤博士(伊武雅刀)が大けがをした石神を連れ込み、それに気づいて通報しようとしたジヌがウィルスに感染してしまうという一部始終だった。ジヌの記憶が石神の記憶によって上書きされようとしており、ジヌはいわば人体実験の被験者となっていた。研究の情報を提供するよう迫るボスに、ジヌは情報は東京にあると告げる。記憶を操作することで永遠の命を得られるようになると喜ぶボスに対し、ジヌは実験は失敗であることを告げる。石神の記憶は1年しかもっていないのだった。ジヌはボスの車から脱走。東京の佐藤博士のもとに戻る。銃を手に、ジヌは佐藤博士に真相を尋ねる。佐藤博士はよそ見運転で石神を轢いてしまい、彼を使ってウィルスの人体実験をすることを思いつく。はずみでウィルスはジヌに感染するが、ジヌは石神の自宅に出入りするようになり、佐藤は経過を見守っていたのだった。ジウォンは隠しマイクで研究室でのやりとりを記録していた。研究室を後にしたジヌは、ジウォンに別れを告げると、再び伊吹の元に向かう。伊吹は石神の家に、夜いたことに気づいたからだ。石神の家には、昼と夜で絵が変わる趣向の絵画があり、伊吹が話したのが夜に見られる絵であったからだ。伊吹は真相を話す。ユリが石神の家に忍び込んでいるのに気づいたのは美由紀だった。美由紀はユリともみ合いになり、倒れた拍子にユリが頭を打ち、命を落としてしまう。美由紀は伊吹に相談し、伊吹がユリの死体をベランダから墜として死体を隠蔽。そのため、いつの間にか死体は消え、ユリの携帯がベランダに落ちていたのだった。伊吹と美由紀は養護施設育ちで、佐藤博士が後見人だった。そのため、二人は博士に協力し、石神を観察していたが、美由紀は本当に石神を愛するようになってしまったのだった。
石神の記憶が途絶え途絶えになったジヌは、公園で美由紀に再会。美由紀はことの真相を告げる。ジヌは薄れゆく記憶の中で美由紀にありがとうを述べ、意識を失う。
一年後、職場に向かったジウォンのもとに、ジヌの手紙が届く。二人は再会。ジヌはジウォンと会った記憶はなくしているようだった。ジウォンはジヌを食事に誘うのだった。

記憶を上書きするという、東野圭吾作品にも見られるようなSFもの。話が複雑なので、一度観ただけでは分かりづらいが、よく練られた作品だった。監督が外国人であるせいか、日本のはずの街の景色に、「僕の彼女はサイボーグ」の時にも感じた、パラレルワールドのような虚構感があった。また、これも外国人監督であるせいなのか、セリフを棒読みしているような芝居臭い不自然さが随所に感じられた。

【5段階評価】3

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2019年5月19日 (日)

(1886) 傷だらけの栄光

【監督】ロバート・ワイズ
【出演】ポール・ニューマン、ピア・アンジェリ、エベレット・スローン、アイリーン・ヘッカート、ハロルド・J・ストーン
【制作】1956年、アメリカ

実在のボクサー、ロッキー・グラジアーノの活躍を描いた作品。

札付きのワルのロッキー(ポール・ニューマン)は、元ボクサーの父、ニック(ハロルド・J・ストーン)と不仲で、大物になってやると家を飛び出す。しかし、盗みを働いて捕まり、軍に入れられては上官を殴って脱走し、刑務所送りになる。出所して金に困ったロッキーは、知人のペッポ(ロバート・アジア)の勧めでボクシングを始める。めきめきと頭角を現したロッキーは、ノーマ(ピア・アンジェリ)と知り合う。二人は結婚し、子供もできる。順調に勝利を重ねていたロッキーだったが、ついにチャンピオン戦でトニー・ゼールで敗北。ノーマはロッキーを勇気づける。雪辱を誓うロッキーのもとに、ペッポが現れ、次の試合での八百長を持ちかける。話に乗らなければ、過去の犯罪歴を新聞社に暴露すると脅されたロッキーは、次の試合を怪我と偽り欠場。しかし、八百長の事実を報告しなかったことを咎められ、ロッキーはライセンスを剥奪され、ゼールとの再戦も中止になってしまう。ロッキーは落ち込み、ノーマも悲しむ。そこにマネージャーのコーウェン(エベレット・スローン)が現れ、州によって法が違うことを利用し、シカゴでぜールとの再戦が実現するという話を持ってくる。ノーマは喜ぶが、ロッキーは、ゼールの地元のシカゴでは誰も自分を応援しない、と怖じ気づく。それでもシカゴで練習を行うロッキーだったが、耐えきれずに地元に戻り、行きつけのソーダ屋に入る。ソーダ屋のおやじは、ロッキーに、「客がソーダを頼む。俺が伝票を渡す。客が金を払う。それが日常だ。伝票を渡されて、なんで金を払わなければならないんだ、と言ってもしかたない。金を払う気が無いならソーダを頼むな。」という話をする。それは、過去に悪事を働いてきたロッキーへの痛烈な忠告だった。ロッキーは実家に戻ると、父親のニックがいた。ロッキーがいつものように父親に悪態をつくと、父親は力なく涙を流す。言い過ぎたと気づいたロッキーは謝り、父親のために何ができるかを尋ねる。ニックは自分の夢だったチャンピオンになってくれ、と告げる。ロッキーは勇気を取り戻し、ノーマの待つホテルに戻る。そして再戦の日。5ラウンド目まで押されっぱなしのロッキーは目の上を切り、試合放棄を打診されるが、力強くそれを拒否。ついに6ラウンド目にチャンピオンのゼールを追い込み、KO勝ちする。地元に戻って凱旋するロッキーは、隣にいるノーマに、自分はついている、上にいる誰か(神様)に愛されているんだ、と告げる。ノーマは下にいる人にも愛されているわ、と言って二人は口づけをする。パレードカーには両親や、かつてともに悪事を働いていた友人も乗っており、街は祝福に包まれるのだった。

序盤のロッキーの非行ぶり、特に軍で上官を殴って脱走するあたりは、感情移入がはばかられるほど悪質。そこからボクシング選手として人気を得ていく彼が、過去の非行が明るみに出ることを恐れるようになる。真面目にボクシングに打ち込み、人気が出て、過去の悪事が帳消しになりました、とはならず、本作では、過去の悪事は消せないのだ、ということをしっかりと捉えている。結局、彼の非行は明るみに出るし、そのことをソーダ屋のおやじにたしなめられる。その上で彼はチャンピオンになる。ロッキーは、自分はいずれ力が衰えて負けるが、チャンピオンになった歴史は消えない、と言う。悪事も消せないが、努力が実を結んだことも消されることはない。悪事を消そうとするのではなく、よい行いを積み重ねることだけが、人が努力できることなのだ、という教訓を与えてくれる作品だった。

【5段階評価】4

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2019年5月15日 (水)

(1885) ミルドレッド・ピアース

【監督】マイケル・カーティス
【出演】ジョーン・クロフォード、ザカリー・スコット、アン・ブライス、ブルース・ベネット、ジャック・カーソン
【制作】1945年、アメリカ

夫と別居し、娘を育てるためにレストランの経営者となった女性の数奇な運命を描いた作品。主演のジョーン・クロフォードがアカデミー主演女優賞に輝いている。

豪奢な身なりをした男性(ザカリー・スコット)が何者かに撃ち殺される。波止場では、裕福そうな女性、ミルドレッド・ピアース(ジョーン・クロフォード)が思い詰めた表情で海を眺め、海に身を乗り出そうとしたところを巡回中の警官に制止される。ミルドレッドはそのまま歩き出し、知り合いのウォーリー・フェイ(ジャック・カーソン)に呼び止められる。二人は彼女の家に向かう。ところが、ミルドレッドはウォーリーを家の中に閉じ込めていなくなる。部屋の中には先ほどの男性の死体があった。ウォーリーはガラスを破って部屋を抜け出し、警察に発見される。
死んだ男性はモンティ・ベラゴン。ミルドレッドの夫だった。警察で事情を聞かれていたミルドレッドの前に現れたのは、彼女の元夫のバート・ピアース(ブルース・ベネット)。警察はバートが犯人だと言うが、ミルドレッドはそれを否定し、元夫と別れた経緯を話し始める。
ミルドレッドとバートの間には、ビーダ(アン・ブライス)とケイ(ジョー・アン・マーロウ)という二人の娘がいたが、バートは別の女性と浮気をしており、ミルドレッドはバートを家から追い出す。ミルドレッドは娘を不自由なく育てるため、ウェイトレスからのし上がり、自らレストランの経営に乗り出す。場所として選んだのが、落ち目の富豪、モンティ・ベラゴンの持つ不動産だった。ミルドレッドは不動産屋のウォーリーを介してモンティと会う。モンティはミルドレッドを気に入り、不動産の契約をしただけではなく、二人は恋仲となっていく。ミルドレッドが家に帰ると、家にはバートがおり、ケイが肺炎にかかったと知らせる。医者による治療もむなしく、ケイは命を落としてしまう。ミルドレッドは、レストラン経営に邁進し、それを成功させる。落ちぶれたモンティは、ミルドレッドにお金をせびるようになっていく。ミルドレッドの愛情はビーダに注がれるが、ビーダは次第に金のためなら何でもするような女性になってしまう。ミルドレッドはモンティだけではなく、ビーダをも家から追い出す。ビーダが酒場の歌手に成り果てているのを知ったミルドレッドは、彼女を取り戻そうとし、モンティとの結婚を決意。果たしてビーダは家に戻ってくる。ところが、ミルドレッドがレストラン経営に奔走している間、モンティはビーダに手を出していた。ビーダは本気でモンティに惹かれていたが、モンティは遊びだとうそぶく。それを聞いたビーダが、発作的にモンティを撃ち殺してしまっており、ミルドレッドは、その身代わりとなろうとしたのだった。
ところが警察は、ミルドレッドの嘘を見抜いていた。警察はビーダを呼び、彼女に向かって母親が全て話した、と鎌をかける。ビーダはまんまと騙され、真犯人がビーダであることが明るみに出る。ビーダは逮捕され、ミルドレッドは解放される。彼女が警察署を出ると、外にはバートが待っていた。二人は力なく警察署を後にするのだった。

古いモノクロ作品だが、ストーリーは分かりやすく、間延びせずキビキビと話が進む。娘のために懸命に生きているはずが常に空回りし、ままならないミルドレッド・ピアースの人生が印象的で、もの悲しいエンディングを迎える。登場人物は多くはないが、男勝りの協力者、アイダ(イブ・アーデン)や、甲高い声の黒人のメイドなども特徴的。ツボを押さえた佳作だった。

【5段階評価】3

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2019年5月14日 (火)

(1884) ブリッジ・オブ・スパイ

【監督】スティーブン・スピルバーグ
【出演】トム・ハンクス、マーク・ライアンス、スコット・シェパード、オースティン・ストウェル
【制作】2015年、アメリカ

アメリカで捉えられたソ連のスパイと、ソ連と東ドイツに拘束されたアメリカ人との交換に挑む民間弁護士の奮闘を描いた作品。

画家を装ってブルックリンでスパイ活動をしていたルドルフ・アベル(マーク・ライアンス)がFBIに逮捕される。裁判の公平性をアピールするため、保険担当弁護士のジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)がアベルの弁護を依頼される。アメリカ中から非難されているアベルを弁護することには、身の危険さえ伴うが、ドノバンはそれに挑み、死刑も予想されたアベルを懲役刑に持ち込む。
その頃、CIAの情報収集担当となった若者、フランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)が偵察機を撃墜され、ソ連で身柄を拘束される。また、東ドイツでは、アメリカ人留学生のフレデリック・プライヤー(ウィル・ロジャース)がスパイ容疑で拘束されてしまう。パワーズとアベルのスパイ交換のために、民間人として東ドイツに渡ったドノバンは、パワーズのみならずプライヤーの身柄も確保しようと奮闘。パワーズさえ取り戻せばいいと考えていたCIAのホフマン(スコット・シェパード)の反対を押し切って、見事にアベル1人に対して2人の身柄を確保する交渉を取り付ける。身柄の引き渡し場所となったグリーニッケ橋で、ドノバンはアベルと再会。ドノバンは、アベルがソ連に引き渡されると同時に殺されるのではないかと心配する。アベルは、ソ連側が自分を抱擁するか、ただ自動車の後部座席に座らせるかで態度が分かる、と達観したように告げる。そして身柄の引き渡し。パワーズは同僚に抱擁され、復帰を歓迎されたのに対し、アベルを抱く者はなく、彼は車の後部座席に座らされる。
大きな仕事を成し遂げたドノバンは、その後もキューバの人質解放などで活躍するのだった。

逆境の中で戦争の被害者に対し正義を貫くという点は、「シンドラーのリスト」にも似ており、スティーブン・スピルバーグ監督らしい人間ドラマになっている。特撮を多用するような展開ではないが、偵察機の墜落シーンは相当の迫力があり、東ドイツの町並みにもリアリティがあり、見応えがあった。

【5段階評価】3

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2019年5月13日 (月)

(1883) アンドロメダ…

【監督】ロバート・ワイズ
【出演】アーサー・ヒル、デビッド・ウェイン、ジェームズ・オルソン、ケイト・レイド
【制作】1971年、アメリカ

マイケル・クライトンの小説を映画化した作品。村を全滅させた宇宙からの物質の謎を解く科学者の奮闘を描く。

ニューメキシコ州のピードモントという人口68人の村に軍関係者が入り込む。目的は軍事用衛星の回収だったが、音声通信していた基地側は、隊員が村人が死体となっているのを発見し、彼ら自身も倒れてしまったことを知る。軍は四人の科学者を招集。防護服を着て現地入りしたジェレミー・ストーン(アーサー・ヒル)とマーク・ホール(ジェームズ・オルソン)は、死んだ村人の血液が凝固していることを確認。村人は全滅していると思われたが、泣き叫ぶ赤ん坊と混乱状態に陥った老人(ジョージ・ミッチェル)を発見。彼らは地下深くに建造された研究施設に運び込まれる。そこは地球外生命体の拡散を防ぐための研究を行う施設で、ジェレミーとマークのほかに、高齢の科学者チャールズ・ダットン(デビッド・ウェイン)と女性科学者のルース・レビット(ケイト・レイド)も調査に加わる。
宇宙からの物質は空気感染し、マウスや猿を死に至らしめた。ジェレミーとルースは顕微鏡を使った調査を続け、2ミクロンの微少な地球外生物が繁殖しようとしていることを知る。マークはカレン・アンソン(ポーラ・ケリー)とともに、赤ん坊と老人が生きている理由を探り、二人の血のpHが中性から酸性側とアルカリ性側に偏っていることで、微生物の繁殖が抑えられていることを突き止める。そのとき、施設内で生命体の拡散が判明し、施設の時限自爆装置が起動する。解除装置の鍵を託されていたマークは、施設の通路が封鎖されてしまったため、施設の裏側に侵入。実験用動物の脱走を食い止めるためのレーザー光線を頬や手の甲に受けながらも、何とか自爆解除に成功する。合流した四人の科学者たちは、宇宙生命体が突然変異により無力化したことを確認。海に飛ばされることで繁殖を抑えられることが分かり、事件は収束するのだった。

村の死体を調べたり、地下の実験階層に入るために入念な消毒がなされたり、当時は珍しいコンピュータによる解析画像が現れたり、といった描写が克明になされ、低俗なSFパニック映画とは一線を画している。原作者のマイケル・クライトンは「ジュラシック・パーク」の原作者としての方が有名かもしれない。

【5段階評価】3

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2019年5月11日 (土)

(1882) レッド・オクトーバーを追え

【監督】ジョン・マクティアナン
【出演】ショーン・コネリー、アレック・ボールドウィン、サム・ニール
【制作】1990年、アメリカ

アメリカに亡命しようとするソ連原潜の運命を描いた作品。

ソ連の原子力潜水艦、レッド・オクトーバーの艦長、マルコ・ラミウス(ショーン・コネリー)は、仲間を率いて原潜ごとアメリカに亡命する作戦を遂行。レッド・オクトーバーは、キャタピラーを使って無音で動く機能を持っていたが、内部の反乱者がキャタピラーを故障させたため、ラミウスはスクリュー航行を余儀なくされ、それを関知したソ連原潜から魚雷攻撃を受ける。艦はそれを回避する。アメリカCIAのジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)は、ラミウスが亡命をもくろんでいることを察知し、小型潜水艇で彼らに接触。内部にいた反乱者はコックだった。彼の妨害を食い止めたライアンはラミウスとともに米国内に入ることに成功するのだった。

潜水艦の性能や戦闘技術をしっかりと描きながら、亡命の成否を巡る人間同士のやりとりにも焦点を当てた意欲的な作品。今観ると、特撮がややしょぼいのが残念。相変わらずアメリカ映画は、ロシア人にも英語を話させるのだった。

【5段階評価】2

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2019年5月10日 (金)

(1881) 遠すぎた橋

【監督】リチャード・アッテンボロー
【出演】ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンス、ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン
【制作】1977年、イギリス、アメリカ

第二次世界大戦中の連合軍の侵攻作戦の経緯を描いた作品。

ノルマンディ上陸作戦を成功させた連合軍は、パラシュート部隊を先行させて5カ所の橋を確保し、陸軍を侵攻させる作戦を実行する。しかし、ドイツ軍の抵抗はしぶとく、作戦は難航し、結局、2日の予定が10日も先行していた部隊を撤退させるという失態を招く。10,000人の先行部隊のうち、戻ることができたのは2,000人に満たなかった。

パラシュート部隊や戦車の侵攻など、CGのない時代に生々しいほどにリアルな映像。有名な俳優も数多く登場し、連合軍の無謀な作戦を仔細に描いている。日本軍すら英語でしゃべるようなアメリカ映画(例えば「ミッドウェイ」)と違い、ドイツ軍はドイツ語でやりとりしているのもよかった。まあもっとも、何を言っているのかはよく分からないのだが。

【5段階評価】3

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2019年5月 9日 (木)

(1880) お米とおっぱい。

【監督】上田慎一郎
【出演】高木公佑、鐘築健二、大塩武、山口友和、中村だいぞう、近藤・F・リーマン、おくゆみ
【制作】2011年、日本

会議室の中で5人の男達が議論をするというワンシチュエーションコメディ。「カメラを止めるな!」の上田慎一郎が監督を務めた自主制作映画。

「お米とおっぱい この世からどちらかが無くなるとしたらどちらを残すべきか」。この議論をするために集められた5人が、とある地区の集会所に集まる。議長を務める男(大塩武)。高圧的な中年(鐘築健二)。七三分けの神経質な男(山口友和)。お調子者の男(中村だいぞう)。中年に食ってかかる能弁な若者(高木公佑)。部屋の外には執事のような男(近藤・F・リーマン)がいる。
はじめは、絵描きである能弁な若者一人がおっぱいを支持。残りはお米を支持するが、お調子者がおっぱいに寝返る。農家出身の絵描きは、自分の進路を父親に認めてもらえなかったことから10年間お米を食べておらず、そのことが悩みだった。経営者を自称する中年は、会社を若者に乗っ取られ、実は失業中で妻からも冷たくされていた。おっぱいはどちらかというと嫌いだと終始主張していた神経質な男は、巨乳の女性と別れた過去があり、自らブラジャーをする性癖の持ち主だった。絵描きに悩みがなくてうらやましいと言われたお調子者は、実は若ハゲで髪の毛はカツラだった。それぞれが暗部を抱えつつ議論は進み、最終的には「どちらも大好き」という結論に達する。議論の仕掛け人は議長だった。執事のような男はかつて喫茶店を経営しており、議長は若い頃、そこで無駄な議論を延々としていたことを懐かしがっていたのだった。会議は終わり、議長は、なぜ夕焼けは赤いのかに思いをはせるのだった。

展開自体は飽きずに付いていくことはできたのだが、録音の品質なのか、俳優の滑舌なのか、音声が非常に聞き取りづらい。ワンシチュエーションもの、しかも会話がメインの作品で、何を言っているのか聞き取れないというのは、致命的。感情的に怒鳴り合っているだけにしか見えないので、ストレスがたまった。字幕があればよかったが、それもなかった。

【5段階評価】3

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2019年5月 8日 (水)

(1879) 咲-Saki-

【監督】小沼雄一
【出演】浜辺美波、浅川梨奈、廣田あいか、古畑星夏、山田杏奈、菊池麻衣、夏菜
【制作】2017年、日本

美少女麻雀漫画、「咲」の実写映画化作品。女子高生による麻雀大会の様子を描いている。

清澄高校麻雀部の宮永咲(浜辺美波)は槓をすることで点数を高める打ち筋。東場に強い片岡優希(廣田あいか)、家が雀荘だた染谷まこ(山田杏奈)、親友の原村和(浅川梨奈)とともに長野県大会の優勝を目指す。
咲は、龍門渕高校の天江衣(菊池麻衣)の海底撈月に苦戦するが、最後は大明槓からの清一三暗刻三槓子対々嶺上開花赤1による数え役満の責任払いを天江に直撃し、逆転優勝を勝ち取る。

序盤はコスプレ美少女の学芸会のお芝居の様相で、これ映画か、と目を疑ったが、対局になるとそこそこ楽しめた。まあ、多少麻雀を知っている者からすれば、いかにも漫画な和了り方が多いが、登場人物の特徴がきちんと描き分けられていて、真面目に作品にしていると感じた。そういえば、咲のPSPソフト、買ったのにほとんどやってない。

【5段階評価】3

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2019年5月 7日 (火)

(1878) 南極料理人

【監督】沖田修一
【出演】堺雅人、生瀬勝久、豊原功補、きたろう、高良健吾、西田尚美、小野花梨
【制作】2009年、日本

南極のドームふじ基地で暮らす隊員たちの非日常的な日常を描いた作品。原作者は、実際に南極の料理担当だった西村淳である。

南極のドームふじ基地では、8人の隊員が活動していた。料理担当の西村淳(堺雅人)は、妻(西田尚美)や娘(小野花梨)を置いて南極に来ていたが、家族は淳がいなくなることをさして気にも留めていないようだった。妻に冷たくされていることに悩む雪氷学者の本山ヒデユキ(生瀬勝久)、恋人に振られ、KDDの電話交換担当(小出早織)にいきなりプロポーズする川村ヤスシ(高良健吾)、基地のラーメンが底を突いて絶望に沈む気象学者の金田ヒロシ(きたろう)など、個性的なメンバーに囲まれ、1年を超える長い越冬生活を追えた隊員は、無事に帰国。西村はただのおじさんとなり、平和な暮らしに心を和ませるのだった。

遊星からの物体X」も「エイリアンVSプレデター」も、舞台は南極だが、当然、本作ではそんなできごとは起きない。誰かが行方不明になったり、設備の故障によって誰かの命が危険にさらされることもない。南極という陣地を越えた空間を映画にするのに、そんな大きな事件はいらないのだ。そんな事件なんかなくても、誕生会、家族との電話。ラーメン作り。どれもが普通の人々には面白く、ドラマになる。もっとコメディタッチの作品かと思っていたが、割と淡々と描いていて、堺雅人のいつも困ったような笑顔がなんともハマリ役。料理もなんだかおいしそうで、こんな料理人がいたら南極も悪くないかも・・・。いや、1ヶ月が限界かもしれない。

【5段階評価】3

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2019年5月 6日 (月)

(1877) 名探偵コナン ゼロの執行人

【監督】立川譲
【出演】高山みなみ(声)、古谷徹(声)、山崎和佳奈(声)、小山力也(声)、川島得愛(声)、上戸彩(声)
【制作】2018年、日本

名探偵コナンシリーズ第22作。サミット開催会場で起きた爆発事件を発端にした謎にコナンが挑む。

サミット会場となった東京湾の統合型リゾート施設で爆破事故が起きる。現場から毛利小五郎(小山力也)の指紋が検出され、彼は逮捕されてしまう。江戸川コナン(高山みなみ)は公安の関係者である安室透(古谷徹)らが仕組んだのでは、と疑い、二人は対立する。小五郎の取り調べを行った東京地検公安部の日下部誠(川島得愛)は、上司の岩井(冨永みーな)にさらなる調査の必要を説くが、岩井は警視庁公安部のいいなりのまま、強引に小五郎の起訴を決める。橘境子(上戸彩)という女性弁護士が小五郎の弁護を担当することになったが、コナンは彼女が公安側と通じていることを疑う。
爆破事故はIoT電子ジャーの遠隔操作によるもので、小五郎の不起訴が決まる。都内で次々とネット接続している電子機器の爆発事故が起きる。コナンと安室は、日下部が、警察に恨みを持ち、地球に帰還中の宇宙探査機「はくちょう」を不正操作により警視庁に落下させようとしていることに気づく。日下部は、自分の協力者だった羽場二三一(博多大吉)が公安の取り調べによって自殺に追い込まれたことを恨み、犯行に及んでいた。しかし、羽場は死んでおらず、安室が、羽場が公安と縁が切れるよう、死んだことにしていたのだった。阿笠博士(緒方賢一)と少年探偵団の協力により、警視庁に向かって落下してくる探査機に、爆弾を積んだドローンを接近させ、爆破により進路を変えることに成功するが、今度はそれが、毛利蘭(山崎和佳奈)らが待避しているカジノタワーに落下しそうになる。安室はコナンを乗せて車を近くのビルからダイブさせ、コナンがサッカーボールを使ってさらに進路を変え、カジノタワーへの激突を防ぐ。一連の騒動は終わりを告げるのだった。

アニメだから何でもありとはいえ、およそ現実的とは思えないアクション。謎解きにもさしたる魅力はない。子供向けにしてはストーリーが難解だし、大人向けにしては現実味がない。それでも大ヒットするコナンシリーズ。声優の話題性などもあるのかもしれないが、昔の方が面白かったと思うのは自分だけだろうか。

【5段階評価】2

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2019年5月 5日 (日)

(1876) インフェルノ

【監督】ロン・ハワード
【出演】トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ、オマール・シー、シセ・バベット・クヌッセン
【制作】2016年、アメリカ

人類を半減させる病原菌をまき散らそうとする革命家に立ち向かう宗教学者の活躍を描いた作品。「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの第3弾。「天使と悪魔」の続編。

宗教学者のロバート・ラングドン(トム・ハンクス)は、病院の一室で目を覚ます。治療を担当しているシエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)は、彼が頭を銃で撃たれており、一時的な記憶障害になっていると説明する。彼の元に、警察を名乗る女性(アナ・ウラル)が面会に現れるが、彼女は看護師を銃撃してロバートに向かってくる。シエナとロバートは何とか別の扉から脱出し、タクシーで逃走する。
ラングドンが持っていた葉巻型のプロジェクターには、ボッティチェリの「地獄の見取り図」が収められていた。絵の中にメッセージが書き込まれており、それは大富豪のバートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)によるものだった。彼は増えすぎる人口が人類の破滅を招くと考え、人類を半減させるウィルスを撒こうとしていた。絵はウィルスのありかを示す鍵だった。ラングドンは領事館に連絡を入れ、保護を求めるが、やってきたのは女殺し屋バエンサだった。二人はさらに逃走。女殺し屋は、雇い主のハリー・シムズ(イルファーン・カーン)に連絡。シムズはゾブリストから仕事を請け負っていたが、彼が自殺したことから、彼に託されていた映像を確認することにする。
ラングドンとシエナはフィレンツェの五百人広間に向かう。そこにはダンテのデスマスクが展示されているはずだったが盗まれており、監視映像を確認すると、盗んだのはラングドン自身だった。ラングドンとシエナは隙を突いて監視室から脱出。そこに女殺し屋バエンサが現れる。屋上伝いに逃げようとしていた二人はバエンサに追われるが、バエンサに気づかれなかったシエナが彼女の足下を攻撃。バエンサは床に落下して絶命する。
ダンテのデスマスクを発見したラングドンとシエナは、裏面に書かれていたメッセージから次の手がかりを得る。そこに、WHO(世界保健機関)のクリストフ・ブシャール(オマール・シー)が現れる。彼は、ラングドンが記憶を失った日に会おうとしたのは自分で、WHOの上官のエリザベス・シンスキー(シセ・バベット・クヌッセン)が私欲のためにウィルスを手に入れようとしているのだと説明。三人は列車でベネツィアに向かう。しかし道中、ラングドンは、ブシャールが嘘をついていることを見抜き、彼に不意打ちを食らわせて逃走する。その頃、ゾブリストの映像を確認したシムズは、自分が人類半減の計画の片棒を担がされていたことを知り、エリザベスに接近。ウィルス拡散を防ぐために協力することを申し出る。
シエナとベネツィアに向かったラングドンは、真の目的地はインスタンブールであることに気づく。追ってきたブシャールに気づいた二人は、建物の地下から逃げようとし、地上に出る重い柵を通りの売り子に持ち上げてもらって、まずシエナが脱出する。ところがシエナは、ラングドンを助けず、柵を閉めてしまう。彼女はゾブリストのかつての恋人で、彼の計画を実行に移すためにこれまでラングドンと行動をともにし、ゾブリストの残した謎をラングドンに解かせていたのだった。取り残されたラングドンは、追ってきたブシャールに捕まってしまう。ブシャールは拳銃を突きつけてラングドンからウィルスの場所を聞き出そうとするが、そこにシムズが現れ、ブシャールを瞬殺。シムズは、ラングドンが撃たれて記憶を失ったのは、シムズの組織がシエナとともに仕組んだ狂言であったと説明。二人はエリザベスと合流し、イスタンブールの地下貯水池に向かい、ウィルスを探す。シエナもまた、仲間とともに起爆装置を手に現場に入る。シムズはシエナの仲間と相打ちとなり、シエナは携帯での起爆ができないと知ると、自ら起爆装置を操って自爆する。爆発により、ウィルスの収められた袋はやぶれるが、ぎりぎりでエリザベスが密閉装置にウィルスを格納していた。ウィルスの拡散は未然に防がれる。ラングドンはダンテのデスマスクをもとに戻し、ベッキオ宮殿を去るのだった。

有名な観光拠点を舞台に繰り広げられるサスペンスは、多少なりとも知識を持つ者にとってはいろいろと創造を刺激される。序盤の投身自殺や、女殺し屋が天井を突き抜けて落下するシーンはリアル。ストーリーは多少複雑なので、2回ぐらい観た方が理解できる。
マクガフィンとなるウィルスについては、本気で拡散する気なら、起爆しないと撒かれないなんていうまどろっこしいことをする必要はないとしか思えず、ウィルスを格納する密閉装置も、何だか赤から緑に変わるライトが付いていたりするのが、まあ分かりやすくするためんだんろうけどもちょっとチープだった。
あらためて自分のブログを見直してみると、第1作のブログを書いていなかった。観たはずなので、多分ブログを書き始める前だったんだろう。

【5段階評価】4

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2019年5月 3日 (金)

(1875) あの日のように抱きしめて

【監督】クリスティアン・ペツォールト
【出演】ニーナ・ホス、ロナルト・ツェアフェルト、ニーナ・クンツェンドルフ
【制作】2014年、ドイツ

戦争で傷ついた顔を手術で治した女性が、それを妻と気づかぬ元夫に再会してからのできごとを描いた作品。

戦争で損傷した顔を手術で復元した女性歌手ネリー(ニーナ・ホス)は、ピアニストの夫、ジョニー(ロナルト・ツェアフェルト)を探す。ジョニーは音楽酒場で働いていたが、妻が死んだと信じ込んでいるジョニーは、ネリーのことを妻だと気づかない。仕事に困っているように見えたネリーにジョニーは話しかけ、ネリーが妻になりすませば遺族の遺産を手に入れられるという話を持ちかける。ネリーは自分が本当の妻だということを隠したまま、彼との奇妙な共同生活を始める。ジョニーは、ネリーの書いた買い物のメモをネリーに渡して筆跡を覚えさせようとしたり、買ってあげたパリ製の靴や赤いドレスを渡して歩く練習をさせる。ネリーに付き添っていた弁護士のレネ(ニーナ・クンツェンドルフ)は、レネを捨てたジョニーを憎んでいたが、ネリーはジョニーが自分を助けようとしていたと信じようとしていた。古い友人の待つ街に戻る前の日、ネリーがレネの家に戻ると、レネは自殺してしまっていた。彼女の残した手紙には、ジョニーはネリーとの離婚を成立させていたことが明かされていた。
列車に乗って街に戻ったネリーは、友人と先に街に入っていたジョニーと再会。二人は偽りの再会を果たすと食事をともにする。ネリーは突然、「来て」とみんなをピアノのある部屋に呼び、ジョニーに「スピーク・ロウ(優しくささやいて)」を弾いてくれと頼む。伴奏に合わせ、最初は全く音程をとれずにつぶやくだけだったが、やがて見事な歌声を披露する。驚くジョニー。ネリーの腕には囚人番号の入れ墨が刻まれていた。ようやく彼女が本当の妻であることを知ったジョニーは、驚きのあまりピアノを弾くこともできず、呆然とネリーを見つめる。伴奏が途切れ、一人で歌を歌い終えたネリーは、声を失ったジョニーと友人達を背に、部屋を後にするのだった。

やや設定に無理があるような気もして、序盤は若干、退屈だったが、中盤以降はこの二人にはどのような運命が待っているのか、と引き込まれた。そしてそれは、決してハッピーエンドではなかった。多くは語られないが、おそらくジョニーは、ネリーをナチに売って自分のみの保全を図ったのだろう。そうではないと信じようとしていたネリーは、最後まで夫に裏切られ、それでも自分に言い聞かせるように、レネに向かって夫は妻を愛していると言い続ける。真実から目を背けようとしていた。かし離婚届の存在が、現実を明らかにする。真実から目を背けようとしていたネリーが、気持ちの整理を付けるかのように、思い出の曲を歌い上げるラストシーンが印象的だった。
サインをほぼ同じように書けても、口づけをかわしても、ジョニーは「まるで妻のようだ」のような陳腐なセリフは吐かず、ただ驚いたり思わず二度見したり、という程度。この辺りの演出は抑制が効いていてよかった。

【5段階評価】3

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2019年5月 2日 (木)

(1874) バーニング・クロス

【監督】ロブ・コーエン
【出演】タイラー・ペリー、エドワード・バーンズ、マシュー・フォックス、カルメン・イジョゴ、ジャン・レノ
【制作】2012年、アメリカ

凶悪非道な殺し屋に妻を殺された刑事の復讐劇を描いた作品。

犯罪心理の博士号を持つ刑事、アレックス・クロス(タイラー・ペリー)は、愛する妻マリア(カルメン・イジョゴ)から妊娠の報せを受け、喜ぶ。相棒のトミー(エドワード・バーンズ)は同僚の女性刑事、モニカ(レイチェル・ニコルズ)と恋人同士で、クロスから半分からかわれていた。二人は、富豪の家で起きた殺人事件の現場に向かう。そこには、指を切り落とされたファン・ヤオ(ステファニー・ジェイコブセン)の死体と、ボディガードの死体が転がっていた。単独犯だと見抜いたアレックスは、犯人が書いたと思われる、現場に残された絵から次のターゲットを見抜き、ドイツ人の実業家、ヌネマッカー(ベルナー・ダーエン)のビルに向かう。そこに現れた殺し屋(マシュー・フォックス)を追い詰めるが、間一髪で取り逃がす。二人は、ヌネマッカーのボスであるフランスの大企業主、ジル・メルシエ(ジャン・レノ)に会いに行く。アレックスはメルシエに、殺し屋に狙われていると告げ、恨みを持つ者に心当たりがあるかを尋ねる。レノはいくらでもあるとうそぶきながら、死にたくないとアレックスに告げる。
アレックスとトミーに計画を妨害された殺し屋は、二人に恨みを募らせ、トミーの恋人のモニカを惨殺。殺し屋は、妻と食事中のアレックスに電話をかけ、モニカの写真をアレックスの携帯に送ると、テラス席に着いたマリアを彼の見ている前で狙撃して撃ち殺す。アレックスとトミーは、メルシエとヌネマッカーが出席する会合の会場に向かう。殺し屋は、高架を走る無人運転のトラムからロケットランチャーを会場に打ち込み、会場の建物を爆破する。殺し屋の車をGPSで追っていたアレックスとトミーは、爆撃を終えて逃走しようとする殺し屋の車に体当たり。殺し屋は廃屋となった劇場に逃げ込む。それを追ったアレックスは格闘の末、殺し屋を倒す。
事件の黒幕はメルシエだった。彼は会社の鐘を横領したことの証拠隠滅のため、ファン・ヤオとヌネマッカーの殺害を殺し屋に依頼。自分には身代わりを立てて死んだように見せかけ、身柄取り引きのない国に逃亡していたのだった。アレックスは、彼がしているはずの指輪が現場になかったことから、メルシエが身代わりを立てて生きていることを推理。アレックスは、メルシエの部下を買収して彼の根城に麻薬を置き、現地当局に捜索させる。彼の逃げ込んだ国では、麻薬の所持は銃殺刑だった。アレックスはようやく妻を殺された恨みを晴らし、祖母と子供の待つ家に帰るのだった。

タイトルからしてちょっと痛いというか、安っぽい印象の本作。オープニングは廃ビルで逃げる犯人を、刑事3人が追うアクションシーン。銃を撃ち合いながら廃墟を走り、つかみ合いをして犯人を捕まえる。この段階ですでに発想がチープというか、アクションシーンのためのアクションシーンという感じがありありで、これはもしかしてテレビドラマか、と思わずビデオを止めて確認してしまったのだった。
アレックスは、最初の犯行現場で犯行は単独犯によるものだと決めつけるが、その根拠の説明は特になく、観ている側には勘で言っているようにしか見えない。アレックスの妻のマリアと、トミーの恋人のモニカが殺されるのも、二人の刑事が犯人を殺す正当性を確保するための記号のようなイベントになっているのが見え見え。本当の話なら悲劇だが、フィクションだとするとあまりにもお粗末で、事件に必然性も緊迫感もない。乗客が何人乗っていてもおかしくないトラムに乗り込み、そこからロケットランチャーで会場を狙うという作戦自体、不確実性満載だが、警備もずさん。爆発のCG感も残念。そして、たぐいまれな狙撃スキルを持ちながら、なぜか殺し屋は格闘に持ち込み、挙げ句やられてしまう。なんとも大味な作品だった。今回は、MONDO TVの無料放送だったが、このチャンネルは映画と銘打ちながら劇場非公開作品の放送が多く、けっこう外れ作品が多め。麻雀とか別のコンテンツの方が売りだから仕方ないのかもしれないが、隠れた名作に出会うのは難しそうだ。

【5段階評価】2

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2019年5月 1日 (水)

(1873) ターザン REBORN

【監督】デビッド・イェーツ
【出演】アレクサンダー・スカルスガルド、マーゴット・ロビー、サミュエル・L・ジャクソン、クリストフ・バルツ
【制作】2016年、アメリカ

コンゴを圧政から守るため、ターザンとして育った勇者が悪と闘うアクション作品。

ゴリラに育てられ、ターザンとして生きていた青年、ジョン・クレイトン(アレクサンダー・スカルスガルド)は、アメリカ人のウィリアムズ(サミュエル・L・ジャクソン)から、ベルギーがコンゴで奴隷制を敷こうとしているという話を聞き、妻のジェーン(マーゴット・ロビー)とともにコンゴに渡る。そこは、ゴリラに育てられたジョンが、学者の父とともにコンゴに来たジェーンと出会った地だった。彼らは集落に住む旧友と再会。そこにベルギー国王の密命を受けたレオン・ロム(クリストフ・バルツ)が軍を率いて現れ、酋長を撃ち殺し、ジョンとジェーンを連れ去ろうとする。ウィリアムズの奮闘により、ジョンは助け出されるが、ジェーンは連れ去られてしまう。ロムは、ジョンに恨みを持つ部族の長、ムボンガ(ジャイモン・フンスー)と、大量のダイヤモンドと引き換えに、ジョンを彼の元に連れてくるよう約束を交わしていたのだ。
ジョンはジェーンを救うため、仲間とともに旅に出る。途中、敵対していたゴリラのボスと一対一で戦い、敗北するものの、ジャングルを去ったことに対するけじめを付ける。ジェーンはロムの船から脱走し、ゴリラの集落に出くわす。ジェーンがゴリラに恭順の意を示しているところに、手下を率いたロムが現れる。ジェーンはゴリラに危害を加えないようにと頼んで大人しくロムに従うが、ロムの手下がゴリラに発砲。ジェーンの悲鳴を聞きつけたジョンは、その場に駆けつけ、ロムを追う。ロムはムボンガからダイヤモンドを受け取り、船に乗り込む。そこにジョンが現れる。ムボンガは、息子をジョンに殺された過去を持っていた。ムボンガの息子は、ジョンの育ての親である置いた雌ゴリラを弓矢で撃ち殺しており、それに怒って我を忘れたジョンがムボンガの息子を殺していたのだった。ジョンは、襲いかかるムボンガに、二人の共通の敵はロムだと説得。二人の戦いは収まる。ロムは、ジェーンとダイヤモンドを手に、ボマ港に向かう。ジョンは、動物たちを仲間にしてボマ港になだれ込む。ロムは船に逃げ込むが、ウィリアムズが機関銃を船に乱射。船は沈み始める。ロムは、追ってきたジョンを、装飾具で首を締め付ける技で船に縛り付けるが、ジョンはうなり声を出して仲間のワニを呼び寄せ、首の力で装飾具を切る。ロムは支えを失い、ワニの待つ水の中に引きずり込まれていく。ウィリアムはベルギー国王の横暴を暴き、コンゴの部族の平和は守られる。ジョンはジェーンとコンゴに住み続ける。やがてジェーンはジョンの子を産むのだった。

ゴリラに育てられた少年時代に焦点を当てるのではなく、街で暮らすようになったターザンが、再びジャングルに戻るという設定。過去と現在を行き来するというよくある話の展開で、設定がよく分からない序盤は若干とまどった。動物の動きなどはCG全開で、こうなるともう、アレクサンダー・スカルスガルドのシックスパックの肉体すら、もはやCGではないかと思えてしまう。ターザンを、アベンジャーズヒーロー並みの何でもありのキャラにせず、時には敵に捕まり、ゴリラとのタイマンには敗れる設定にしていたのはよかったものの、まあわりと普通の娯楽作品だった。

【5段階評価】3

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