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2019年4月23日 (火)

(1870) ハッド

【監督】マーティン・リット
【出演】ポール・ニューマン、ブランドン・デ・ワイルド、メルビン・ダグラス、パトリシア・ニール
【制作】1963年、アメリカ

牧場を経営する一家の人間模様を描いた作品。全編モノトーン。

少年ロン(ブランドン・デ・ワイルド)が、叔父のハッド(ポール・ニューマン)を探している。ハッドは他人の家に上がり込み、人妻にちょっかいを出していた。ロンはハッドを家に連れて帰る。ハッドの父親のホーマー(メルビン・ダグラス)は牧場主で、彼の飼育している牛が何頭も死んでいた。役所がやってきて、牛の検査を行う。検査結果の判明には時間がかかり、ホーマーは口蹄疫が蔓延していることを恐れるが、ハッドは原因が判明する前に牛を売ってしまえばいい、と商売人としては失格の提案をする。荒くれ者のハッドだったが、ロンは自由奔放な彼に憧れにも似た感情を抱く。
ハッドとホーマーは折り合いが悪かった。ハッドはかつて、自分の運転で交通事故を起こし、同乗していた兄を亡くしていた。ハッドは、父親のホーマーがそれを恨んで自分につらく当たるのだと考えていたが、ホーマーはハッドとの口論の際、交通事故の前からハッドのことを認めていなかったと発言。ショックを受けたハッドは家を飛び出し、離れにいた使用人のアルマ(パトリシア・ニール)を襲おうとする。物音に気づいたロンが止めに入り、ハッドはロンを組み伏せて殴りかかろうとするが、我に返ってその場を去る。かつてハッドを憎からず思っていたアルマだったが、この件がきっかけとなり、ホーマー家を去ることを決意する。
牛の検査の結果、ホーマーの牛は全頭殺処分が決定する。ハッドたちが、穴の中に追い込まれた牛を銃で次々と撃ち殺す。ホーマーはそれを力なく眺めていたが、大切にしていた、立派な角を持つ2頭は、自らの手で屠る。気力を失ったホーマーは、落馬して瀕死の状態になっているところを、車に乗っていたロンとハッドに発見される。ホーマーは、自分が行き続ければハッドの人生を邪魔すると考えていたかのように、そのまま息を引き取る。それを目の当たりにしたロンは、まるでハッドがホーマーに引導を渡したかのように見えるのだった。ホーマーの葬儀が営まれ、ロンはハッドのもとを去ることを決める。ハッドは負け惜しみを言うように、誰でも汚れてしまうんだ、とロンに叫ぶと、ただ一人、残された家の中に戻るのだった。

シェーン」のように、少年が憧れる大人の男性の活躍を描いた作品のようだが、ハッドは決して正義のヒーローではなく、最終的に身近な全ての人に見放されてしまう。ラストシーンで、ハッドはビールを一人で飲みながら家のドアから外を見て、何かを認めたような顔つきになるが、そのままドアを閉めてしまう。そこで「The End」である。ハッドはそこに、戻ってきたアルマを見たのか、ロンを見たのか、あるいは彼のもとには誰も来ないことを悟りながら、強がりで、誰かがいるのに無視する振りをしてドアを閉めたのか。答えは分からない。人を裏切り続けて快楽のままに生きてきた男に、よりそう者はおそらく誰もいないのだろう。

【5段階評価】2

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