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2019年4月

2019年4月30日 (火)

(1872) イコライザー

【監督】アントワーン・フークア
【出演】デンザル・ワシントン、クロエ・グレース・モレッツ、マートン・ソーカス、ジョニー・スカーティス
【制作】2014年、アメリカ

悪の組織を相手に闘う寡黙な戦闘のプロフェッショナルを描いた作品。

ボストンのホームセンターで働くロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は、24時間営業のダイナーで読書をするのが日課。若い娼婦のアリーナ(クロエ・グレース・モレッツ)は穏やかなマッコールに話しかけるようになる。彼女はロシア系のマフィアに雇われていたが、暴力的な客に抵抗したため、見せしめにICU送りになるほどの暴行を受ける。マッコールはマフィアの店に出向き、ボスのスラビィ(デビッド・ムニエ)に9,800ドルを差し出して彼女を自由にするようにと申し出るが、マフィアは9,800ドルなら1ヶ月だけだ、彼女は若いからボロボロになるまでこき使うと言い返す。マッコールは店を出るドアの手前で立ち止まって振り返ると、ワインのコルク抜きや店内の若者が持つナイフや銃の位置を目で確認。スラビィの方に歩み始める。取り囲んで襲ってくる連中をあっという間に次々と葬り去り、ボスのスラビィは首を銃で撃ち抜かれ、絶命する。
総元締めのプーシキン(ウラジミール・クリッチ)の命を受け、元KGBのテディ(マートン・ソーカス)がボストンに送り込まれる。彼は強引なやり口で捜査を開始。対抗組織に疑わしい点はなく、やがてテディは、監視カメラに映っていたマッコールにたどり着く。テディは、警官の振りをして自らマッコールの家に向かい、マフィアのいた店に行ったかを尋ねる。マッコールはピロシキを食べに行ったとしらばっくれ、逆にテディに向かって、警官なら名刺をよこせ、なぜ自分の所にたどり着いたのか、と問い返す。テディは、我々のやり方だ、と言って立ち去る。相手がマフィアの関係者だと確信したマッコールは、古い知人に会いに行く。彼は元CIA捜査官だった。彼の上司から情報を得たマッコールは、マフィアの手先となっていた警官のフランクを脅して、マフィアのアジトを突き止めるとそこを壊滅させ、取り引きしていた石油タンカーを爆破する。アメリカ東部での活動をほぼ無力化され、立場を失ったテディは、マッコールのホームセンターの仕事仲間を人質に取り、タンカーを爆破した港に来るよう脅すが、マッコールはホームセンターに向かい、占拠していたマフィアの組員を倒し、警備員になったばかりのマッコールの友人、ラルフィ(ジョニー・スカーティス)に仲間と逃げるように指示する。そこにテディが手下を連れて現れる。マッコールはホームセンターの電気を消し、暗闇の中で有刺鉄線や電気ドリルを使って手下を次々と葬る。一人とは取っ組み合いとなり、何とか相手を倒す。床に倒れていたマッコールの背後に現れたのはラルフィだった。マッコールを助けに来たのだ。テディは手下の一人とともに、マッコールとラルフィを銃で追い詰めるが、ラルフィが配電室に向かって電気を付ける。その瞬間、電子レンジが動き出し、中に入っていた薬品が爆発して一人が死亡。配電室に向かったテディの後ろから、マッコールがネイルガンでテディを亡き者にする。配電室から呆然と見ているラルフィを背に、マッコールはホームセンターを立ち去る。モスクワに渡ったマッコールは、プーシキンの屋敷に乗り込み、プーシキンを感電死させる。立ち去るマッコールの足下には、プーシキンの手下が皆殺しにされていた。
再び目立たない暮らしに戻ったマッコールのもとに、アリーナがやってくる。マッコールは、彼女に10,000ドルを密かに渡しており、彼女はそれを組織からの口止め料だと思っているようだった。アリーナは歌手を夢見て新たな暮らしを始めることを決意。マッコールのほおに口づけをして立ち去っていく。マッコールは満足げにそれを見送る。マッコールはいつものダイナーでネット掲示板を見ている。彼は困っている人の手助けをすることに決めたのだった。

圧倒的に強く、寡黙でかっこいいヒーローをデンゼル・ワシントンが演じており、勧善懲悪の爽快な作品。悪役の悪者っぷりも、まあ、言うことがゲスすぎて分かりやすいっちゃあ分かりやすいのだが、あまり安っぽくなく、よかった。とはいえ、人を殺したわけでも、襲いかかってきたわけでもない相手を容赦なく惨殺する展開には、映画としてなら楽しいが、実際ならやりすぎだし、最後のプーシキンの屋敷も、手下もろとも皆殺しというのは、マッコールの圧倒的強さを示すための演出だとしても、よく考えたらやりすぎ。ホームセンターのシーンでも、一人を電気ドリルで惨殺した割に、次の敵を素手の格闘で倒すというのは、ラルフィとのからみにつなげるための展開として必要だった訳だが、ちょっと芸がなかった。それでも、痛快な作品だったことは素直に評価。続編も見てみたい。

【5段階評価】4

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2019年4月29日 (月)

(1871) 深夜食堂

【監督】松岡錠司
【出演】小林薫、多部未華子、筒井道隆、高岡早紀、余貴美子、オダギリジョー
【制作】2015年、日本

安倍夜郎の漫画が原作の実写映画。夜12時に開店する料理屋に集う人々の人間模様を描いた作品。

新宿の裏通りでひっそりと営業している「めしや」。店主のマスター(小林薫)は曰くありげな傷を右目から頬にかけて持っている。いつものように常連客が飲んでいると、一人(安藤玉恵)が店の中に骨壺が置かれていることに気づく。マスターはしばらくそれを預かることにする。店の常連で妾の川島たまこ(高岡早紀)は、パトロンに死なれ、店で愚痴を言いながらマスターの作ったナポリタンを食べていると、隣にいた若い会社員、西田はじめ(柄本時生)が話しかけてきて意気投合。二人は同棲を始めるが、パトロンがたまこに遺産を残していたことが判明。二人は別の道を歩む。
ホームレス状態の若い女性、栗山みちる(多部未華子)がマスターの店に現れる。横で客の食べていたとろろごはんを注文。待っている間に、とマスターが出した食事を平らげて食い逃げをしてしまう。しかし、彼女は食べた皿を律儀に重ねてカウンターに乗せていた。しばらくして彼女はマスターのもとに謝罪に来ると、手伝いを申し出る。彼女は腕に覚えがあり、マスターの卵焼きを習得する。彼女は新潟の田舎におばあちゃんを残してきていたが、地元の男(渋川清彦)に騙されて一文無しになっていたのだった。マスターはみちるを住み込みで雇う。それを知った、マスターの古くからの知り合いで料亭の女将をしている塙千恵子(余貴美子)は、彼女を料理番に雇い入れる。みちるは、千恵子が自分に嫉妬していることを感じるのだった。
ボランティアに勤しむあけみ(菊池亜希子)と足立サヤ(平田薫)が「めしや」に来る。あけみは、ボランティア先で、妻を亡くした大石謙三(筒井道隆)に求婚され、困ってボランティアに行けなくなっていた。酔って警察の世話になっていた謙三に、マスターはカレーライスを振る舞う。それは、ボランティア先であけみが作っていたカレーライスの味だった。謙三は、彼女のカレーライスは決して自分だけのためのものではなかったことに気づくと、バスで故郷に帰ることを決意。見送りに来たあけみに、みんなが待っているからカレーを作りに来てほしい、と告げる。
店にあった骨壺を寺で供養した直後に、持ち主(田中裕子)が現れる。骨壺の中味は、彼女の元夫のだいじにしていた甲子園の土だった。雪のちらつく夜。店には久しぶりにみちるがお手製の料理を持って現れ、店の客は盛り上がるのだった。

序盤はほんのりといい話だったのだが、田中裕子のくだりはやりすぎで、安っぽい芝居を見せられている気分になってしまった。ボランティアの女性と妻を亡くした男の色恋沙汰も、もう少しすっきりと終わらせた方がいいと感じた。

【5段階評価】3

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2019年4月23日 (火)

(1870) ハッド

【監督】マーティン・リット
【出演】ポール・ニューマン、ブランドン・デ・ワイルド、メルビン・ダグラス、パトリシア・ニール
【制作】1963年、アメリカ

牧場を経営する一家の人間模様を描いた作品。全編モノトーン。

少年ロン(ブランドン・デ・ワイルド)が、叔父のハッド(ポール・ニューマン)を探している。ハッドは他人の家に上がり込み、人妻にちょっかいを出していた。ロンはハッドを家に連れて帰る。ハッドの父親のホーマー(メルビン・ダグラス)は牧場主で、彼の飼育している牛が何頭も死んでいた。役所がやってきて、牛の検査を行う。検査結果の判明には時間がかかり、ホーマーは口蹄疫が蔓延していることを恐れるが、ハッドは原因が判明する前に牛を売ってしまえばいい、と商売人としては失格の提案をする。荒くれ者のハッドだったが、ロンは自由奔放な彼に憧れにも似た感情を抱く。
ハッドとホーマーは折り合いが悪かった。ハッドはかつて、自分の運転で交通事故を起こし、同乗していた兄を亡くしていた。ハッドは、父親のホーマーがそれを恨んで自分につらく当たるのだと考えていたが、ホーマーはハッドとの口論の際、交通事故の前からハッドのことを認めていなかったと発言。ショックを受けたハッドは家を飛び出し、離れにいた使用人のアルマ(パトリシア・ニール)を襲おうとする。物音に気づいたロンが止めに入り、ハッドはロンを組み伏せて殴りかかろうとするが、我に返ってその場を去る。かつてハッドを憎からず思っていたアルマだったが、この件がきっかけとなり、ホーマー家を去ることを決意する。
牛の検査の結果、ホーマーの牛は全頭殺処分が決定する。ハッドたちが、穴の中に追い込まれた牛を銃で次々と撃ち殺す。ホーマーはそれを力なく眺めていたが、大切にしていた、立派な角を持つ2頭は、自らの手で屠る。気力を失ったホーマーは、落馬して瀕死の状態になっているところを、車に乗っていたロンとハッドに発見される。ホーマーは、自分が行き続ければハッドの人生を邪魔すると考えていたかのように、そのまま息を引き取る。それを目の当たりにしたロンは、まるでハッドがホーマーに引導を渡したかのように見えるのだった。ホーマーの葬儀が営まれ、ロンはハッドのもとを去ることを決める。ハッドは負け惜しみを言うように、誰でも汚れてしまうんだ、とロンに叫ぶと、ただ一人、残された家の中に戻るのだった。

シェーン」のように、少年が憧れる大人の男性の活躍を描いた作品のようだが、ハッドは決して正義のヒーローではなく、最終的に身近な全ての人に見放されてしまう。ラストシーンで、ハッドはビールを一人で飲みながら家のドアから外を見て、何かを認めたような顔つきになるが、そのままドアを閉めてしまう。そこで「The End」である。ハッドはそこに、戻ってきたアルマを見たのか、ロンを見たのか、あるいは彼のもとには誰も来ないことを悟りながら、強がりで、誰かがいるのに無視する振りをしてドアを閉めたのか。答えは分からない。人を裏切り続けて快楽のままに生きてきた男に、よりそう者はおそらく誰もいないのだろう。

【5段階評価】2

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2019年4月16日 (火)

(1869) SING/シング

【監督】ガース・ジェニングス
【出演】マシュー・マコノヒー(声)、トリー・ケリー(声)、タロン・エガートン(声)、セス・マクファーレン(声)
【制作】2016年、アメリカ

劇場を建て直そうとする館主と歌唱コンテストの参加者の奮闘を描いた3DCGアニメ作品。

傾きかけている劇場を盛り上げようと、館主のコアラ、バスター・ムーン(マシュー・マコノヒー/内村光良)は、賞金1,000ドルの歌唱コンテストの開催を企画。ところが秘書のイグアナ、ミス・クローリー(ガース・ジェニングス/田中真弓)のミスで賞金額が100,000ドルになってチラシが作られてしまい、応募者が殺到。ムーンはいくつかの歌い手を選ぶが、仲間割れや怪我などが発生し、残ったのはヤマアラシのアッシュ(スカーレット・ヨハンソン/長澤まさみ)、ゴリラのジョニー(タロン・エガートン/大橋卓弥)、ブタのグンター(ニック・クロール/斎藤司)とロジータ(リース・ウィザースプーン/坂本真綾)、ネズミのマイク(セス・マクファーレン/山寺宏一)、そして臆病なため人前で歌えないでいたゾウのミーナ(トリー・ケリー/MISIA)となる。資金難に陥っていたムーンは、大御所の歌手、ナナ・ヌードルマン(ジェニファー・サンダース/大地真央)の協力を得ようと、彼女を呼んで本番同様のリハーサルを演じるが、いかさまポーカーをしたマイクを追ってきた熊の集団がステージにやってきたはずみで、舞台の水槽が大破。劇場は崩れ落ちてしまう。
すっかりやる気を失ったムーンだったが、賞金100,000ドルが嘘であることがわかっても、参加者たちはムーンを勇気づける。ミーナの素晴らしい歌声を偶然耳にしたムーンは、再び突貫工事で劇場を造り上げ、ステージを敢行する。始めは身内だけだった観客席も、素晴らしいステージがテレビで流れたために観客でいっぱいとなり、町中が盛り上がる。歌を歌えずにいたミーナも、ステージを壊さんばかりの熱唱を披露し、見に来ていたナナもムーンに拍手を送る。抵当に入っていた跡地はナナが買い取り、劇場を再建。ムーンは再び館主としての第一歩を仲間とともに踏み出すのだった。

動物たちのコミカルな動きと歌唱力のコラボで、とても楽しい作品。日本語版と英語版と両方楽しめるのも嬉しい。MISIAの声優抜擢もすばらしかった。

【5段階評価】4

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2019年4月15日 (月)

(1868) レッズ

【監督】ウォーレン・ベイティ
【出演】ウォーレン・ベイティ、ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、モーリン・ステイプルトン
【制作】1981年、アメリカ

20世紀初頭のロシア革命からの共産主義活動に身を投じた男性の運命を描いた作品。実在の人物を描いている。

記者を目指す女性、ルイーズ・ブライアント(ダイアン・キートン)は、有名記者のジョン・リード(ウォーレン・ベイティ)に記事の批評を頼む。二人は親しくなるが、衝突もしばしば。取材活動に明け暮れるジョンは、ルイーズを置いて飛び回る。ルイーズはいつも近くにいる芝居の演出家のユージン(ジャック・ニコルソン)とも一時期関係を持つが、ジョンはそれに気づきながらも彼女にプロポーズ。二人は結婚する。ジョンは次第に記者としての活動から共産党員としての活動にシフトしていき、ルイーズがユージンにもらった恋文をジョンが見つけたことがきっかけで二人の関係はまた悪化。ルイーズは同棲をやめて家を出てしまう。ルイーズを愛していたジョンは、ルイーズを捜し当て、政治的な動きが盛り上がっているロシアに同僚として一緒に行くことを提案。始めは拒否したルイーズだったが、ジョンに付いていく。男女の関係からは一線を画す形で共同生活を始めた二人は、ほどよい距離感でうまくやっていく。ルイーズとアメリカに戻ったジョンは、「世界を揺るがした十日間」を執筆し、ついに共産党の議員となる。しかし、ジョンは党内の対立で敗北してしまい、またもルイーズを置いてロシアに密航する。ルイーズは、ジョンを追ってロシアに密航。そうとは知らないジョンは、何度もルイーズに電報を送るが彼女からの返事がなかった。ジョンは帰国しようとするが、ロシアの活動家にそれを許してもらえず、中東の活動に送り込まれる。ジョンの同志のエマ・ゴールドマン(モーリン・ステイプルトン)がロシアにいるルイーズを見かけ、ルイーズはジョンを追って中東に向かう。ジョンの乗っていた列車は戦闘に巻き込まれており、駅に迎えに行ったルイーズは嫌な予感がするが、ジョンは生きていた。抱き合って再会を喜び、二度と離れないことを誓う二人だったが、ジョンはチフスにかかっていた。ルイーズの看病もむなしく、ジョンは異国の地で息を引き取るのだった。

3時間超の長い作品。展開は世界をまたにかけて進み、当時の情景をよく描いていて見応えがある。史実に基づく作品だが、男女の恋愛関係もうまく取り入れ、恋愛作品と言ってもいいような作品だ。ジャック・ニコルソンの不敵な笑顔も、いい味を出していた。

【5段階評価】3

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2019年4月14日 (日)

(1867) チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~

【監督】川井勇人
【出演】広瀬すず、天海祐希、真剣佑、中条あやみ、山崎紘菜、陽月華
【制作】2017年、日本

チアダンスの全米一を目指す女子高生チアダンス部の活躍を描いた作品。実話に基づく。

福井県の女子高生、友永ひかり(広瀬すず)は、ボーイフレンドの孝介(真剣佑)を応援しようとチアダンス部に入部。顧問の早乙女薫子(天海祐希)は全米大会優勝を目標に掲げ、厳しい練習を行う。経験者が限られる中、仲間割れや離脱を経て、チームは福井県大会優勝、そして全国優勝を果たし、全米大会でもチャンピオンになる。

終盤まではあまりダンスシーンを露出させず、大会のシーンで一気にたたみかける演出はうまかった。スポーツものとしての感動は味わえるのだが、欲を言えばやはり、ダンスシーンはもっとうまい人に演じてほしかった。事務所の都合とかいろいろあるのかもしれないが。

【5段階評価】4

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2019年4月11日 (木)

(1866) ターミナル

【監督】スティーブン・スピルバーグ
【出演】トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、スタンリー・トゥッチ、クマール・パラーナ
【制作】2004年、アメリカ

パスポートを失効して空港で足止めを喰らうことになった男の運命を描いた作品。

クラコウジア国民のビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港の入国審査でパスポートが無効と判断される。クーデターで無政府状態になったのだ。彼はアメリカに入国することも母国に戻ることもできなくなり、トランジットエリア内で過ごすことになる。ほとんど英語がしゃべれなかったビクターは、自国語と英語の二カ国語分の旅行ガイドブックを並べて読んで英語を勉強。カートを返却してデポジットの返金を受け取ったりしながら、ターミナルの中で暮らし始める。大工仕事の経験があった彼は、内装工事の現場監督に能力を見いだされ、空港内で仕事まで始める。ある日、彼は美人キャビンアテンダントのアメリア・ウォーレン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と知り合う。彼女は妻帯者と恋愛関係にある恋多き女で、一人でいることのできない性格。彼女はビクターを空港の外の食事に誘うが、外に出られないビクターは断る。
空港の国境警備主任のフランク・ディクソン(スタンリー・トゥッチ)は、昇進を控えており、空港内で問題を起こしそうなビクターが空港から出ていくことを望むが、ビクターは空港内の店舗の職員や清掃員などとも打ち解けていく。ビクターは自分からアメリアをデートに誘い、空港の中で仲間の協力を得てデートをする。
ようやくクラコウジアの無政府状態が収まり、ビクターは仲間と喜び合う。ビクターは、自分の父親が愛していたジャズミュージシャンのサインを手に入れるためにアメリカに来ていた。フランクは意地になってビクターのアメリカ入国を阻止しようとし、フランクを脅して入国を諦めさせようとするが、空港内の仲間達が彼を空港の外に送り出す。ビクターは念願のサインを手に入れると、ようやく家に帰ることを決めるのだった。

スティーブン・スピルバーグ監督作品だけに、相当期待をして観たわけだが、正直に言って期待外れの内容だった。出だしで思ったのは、トム・ハンクスが非英語国民の役をやるのはいいとして、そのうち英語がうまくなったりしないよな、ということだったが、案の定、本を並べ読むという勉強法で英語をマスター。英語民は誰でも英語をしゃべれるようになると思っているらしい。
二番目にがっかりしたのは、ビクターがずっと持っているピーナッツ缶の秘密。父親が集めていたジャズプレイヤーのサインだという。そんなもの、集めようが集めまいが、コレクター以外には全くどうでもいいこだわりである。目的に切迫感がなかった。
そして設定に無理がある。国が無政府状態になることはあるかもしれない。だからといって、その国民がたった一人、アメリカの空港で足止めを喰らう。そのことに政府が何の対処もせず、空港内で好きにさせている。普通は飢えて倒れるだろう。さらに、フランクがビクターを敵視する理由が弱い。なんでこのフォレスト・ガンプを彷彿とさせる人畜無害な男に、敵愾心を燃やすのか理解できず、感情移入できない。実際、大してフランクに権限があるわけでも超悪者なわけでもないので、空港のスタッフたちがビクターを応援する側に回るという展開を生み出す仕掛けとしては、なんとも貧弱。
また、ヒロインのアメリアの人物像に魅力がない。無垢なビクターに惹かれ、現実的で冷淡だった女性が心の氷を溶かして、というならわかるが、不倫もいとわないただの男好き、年齢も39歳で微妙なお年頃。恋のさや当てに興奮しない。どうでもいい。せっかくのキャサリン・ゼタ=ジョーンズの美貌がもったいない。
ほかにも、空港の中で勝手に内装工事をはじめて、捕まるどころか採用されたり、英語ができないのにビザ手続き係の女性とコミュニケーションをとってキューピッド役を果たしたり、と、大味な設定で何でもありなことが多いので、空港の中にずっといるしかない、という本来なら切迫した状況が、どうにでもやっていけるでしょ、何ならずっといたって問題なさそう、と思えてしまうのがなんとも残念だった。

【5段階評価】3

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2019年4月10日 (水)

(1865) バレンタインデー

【監督】ゲイリー・マーシャル
【出演】アシュトン・カッチャー、ジェニファー・ガーナー、トファー・グレイス、アン・ハサウェイ、ジェシカ・ビール
【制作】2010年、アメリカ

ロサンゼルスを舞台に、バレンタインデーに様々な恋を実らせ、また散らせていく男女を描いた群像劇。

花屋のリード(アシュトン・カッチャー)は、バレンタインデーの朝、恋人のモーリー(ジェシカ・アルバ)にプロポーズ。イエスの返事をもらって喜ぶ。女友達のジュリア(ジェニファー・ガーナー)は驚きながらも歓迎。彼女は医者の恋人、ハリソン(パトリック・デンプシー)と一夜をともにしていたが、彼は出張で不在になるということだった。その話を聞いたリードは、出張先に追いかけろ、とそそのかし、ジュリアはその気になる。
職場が同じジェイソン(トファー・グレイス)とリズ(アン・ハサウェイ)も一夜を明かすが、リズは慌ててジェイソンの家を飛び出すと、かかってきた電話の相手に卑猥なセリフを返す。
バレンタインデーを嫌悪するスポーツ記者のケルビン(ジェイミー・フォックス)は、上司のスーザン(キャシー・ベイツ)に、バレンタインデーの町の取材を指示され、花屋を取材。婚約に浮かれるリードは彼の取材にウキウキと答える。彼の店に、小学生のエディソン(ブライス・ロビンソン)が現れ、好きな女性に渡すから、とバラの花束の配達を依頼する。
ロス行きの飛行機上では、女性軍人のケイト(ジュリア・ロバーツ)は、隣に座る男性、ホールデン(ブラッドリー・クーパー)と意気投合。ケイトが11ヶ月の現地勤務の合間に、たった1日のためにロスに戻るという話を聞き、ケイトの相手の男性をうらやむ言葉をかける。
エディソンの子守役をしている女子高生のグレース(エマ・ロバーツ)は、恋人のアレックス(カーター・ジェンキンス)と初体験を迎えるため、親が不在のグレースの家で待ち合わせる。一足先に付いたアレックスは、裸になってムード作りのギターの練習を始めるが、忘れ物をしたグレースの母親が戻ってきてしまう。アレックスはパニック状態になって家を飛び出す。
アメフト選手として年齢的な限界を迎えつつあるショーン・ジャクソン(エリック・デイン)は、引退の危機を迎えていた。考え事をしながら車を運転していた彼は、うっかり花屋のバンに追突してしまう。運転手は彼のファンだったため、大事には至らずに済むが、バンが乗せていたエディソンに届くはずの花は、道路に落ちておじゃんになってしまう。花屋で注文を受けるリードの前に、ハリソンという医者が現れる。彼は二人の女性に花を贈る注文をする。明らかに浮気だ。送り先はジュリアだった。ジュリアの恋人が既婚者の嘘つきだと気づいたリードは、自らジュリアに花を届け、この男に会いに行くのはやめろ、と進言するが、ジュリアはそれを受け入れようとはしない。
リードは、モーリーへのプレゼントを自宅に持ち込もうとするが、そこにはモーリーがいた。モーリーはリードのプロポーズを受け入れられないと言って婚約指輪をリードに返す。リードは振られてしまう。リードは空港までジュリアを止めに行くが、ジュリアはリードを振り切って飛行機に乗る。ハリソンの勤める病院に向かったジュリアは、スタッフにハリソンに家族がいることを確認。事情を察したスタッフは、ハリソンがディナーを予約している時間と場所をジュリアに耳打ちする。ジュリアは給仕のふりをして妻(キャサリン・ラ・ナサ)と食事をとろうとしているハリソンに、豚の睾丸をみじん切りにして尻の穴に詰め込んだ料理や冷たい心臓の料理の説明をしてハリソンを凍り付かせ、テーブルを立ち去る。
自分の注文した花が今日中に届かないことを知ったエディソンは、もう一度店に向かい、リードに花を売ってくれと頼む。リードは自分がモーリーに渡すはずだった花をエディソンに渡す。
ショーン・ジャクソンは緊急の記者会見を開く。その場に向かったケルビンは驚く。ショーンは自分がゲイだと告白したのだ。ショーンのマネージャーのカーラ(ジェシカ・ビール)もまた驚く。
バレンタインデーをともに過ごす相手のいないカーラは、アンチバレンタインのパーティを開いていた。そこにジュリアが合流。ジュリアはバットでハートの飾り物をめちゃくちゃに壊して憂さを晴らす。そこにエディソンがやってくる。エディソンのバレンタインの相手はジュリアだった。ジュリアは自分より大切な人がいるのでは、と小学生のレイニー(ミーガン・スリ)に花を渡すよう助言する。パーティにケルビンもやってくる。カーラをデートに誘うためだった。ケルビンは得意の歌でパーティを盛り上げ、仕事に戻ると、ニュースでショーンの告白に賛同するコメントをする。そこにカーラが現れ、二人はスタジオで熱いキスを交わす。
リズと食事をしていたジェイソンは、中座したまま戻らないリズを探しに店を出る。そこには誰かと卑猥な話をしているリズがいた。リズは、自分はお金を稼ぐためにテレフォンセックスのバイトをしていることを告白。世間知らずを自認するジェイソンは、リズのバイトを受け入れられず、彼女のもとを立ち去る。墓場の野外シアターのチケットを持て余したジェイソンは、老人のエドガー(ヘクター・エリゾンド)が中には入れないのを見て、持っていたチケットを使って二人で中に入る。エドガーはエディソンの祖父で、彼には長年連れ添った妻のエステルがいた。ところがエステルが、かつてエドガーの友人と寝たことがあるという告白をしたため、いつもは二人で来る野外シアターに一人で来ていたのだった。ところが映画が始まると、ドレスで着飾ったエステルが現れ、私の悪いところも含めて私を愛してほしい、とエドガーに抱きつき、エドガーはそれを受け入れる。映画のスクリーンさながらの二人の会話と抱擁に、会場の人々は拍手喝采をする。それを見ていたジェイソンは、リズの家に行き、彼女のバイトに偏見を持ったことを謝罪。二人は仲直りする。
飛行機を降りたホールデンとケイトは、くっつくことなく、別々の目的地に向かう。ケイトは、エディソンの母親だった。エディソンはケイトの帰宅に歓喜する。そして、ホールデンの戻った先は、アメフト選手のショーンだった。
リードは、夫婦円満の移民の仕事仲間から、円満の秘訣は親友の女性と結婚したからだ、と聞かされ、あらためてジュリアの大切さを認識。バレンタインデーも終わりを告げる頃、橋の上から売れ残ったバラを小川に流していたリードのもとにジュリアが現れる。二人はぎこちないキスを交わしながらも、恋人同士となるのだった。

始めはあまり観るつもりがなかったのだが、有名な俳優が大量に出演しているので観てみた。記憶のままに順不同にあらすじを書いたらぐっちゃぐちゃになったが、作品を見ているときも、若干、誰と誰がくっついていたんだっけ、と混乱する作品だった。モーリーがリードを受け入れられなかった理由は、結局分からなかったのが残念だった。

【5段階評価】3

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2019年4月 9日 (火)

(1864) シカゴ

【監督】ロブ・マーシャル
【出演】レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア、クイーン・ラティファ
【制作】2002年、アメリカ

殺人犯からミュージカルスターになる女性の姿を描いたミュージカル。

シカゴのクラブでダンスを披露するベルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)。見事な歌とダンスに魅了されているのは、ダンススターを夢見るロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)。彼女には夫がいたが、劇場に顔が利くという男、フレッド・ケイスリー(ドミニク・ウェスト)の誘惑に負け、自宅でベッドイン。ところが彼はただの家具の集金人で、ロキシーを騙したことを悪びれもせず、部屋を出ようとする。騙されたことにショックを受けたロキシーは、思わずフレッドを撃ち殺してしまう。ロキシーの夫、エイモス(ジョン・C・ライリー)は、はじめは嘘の証言でロキシーを守ろうとするが、それを撤回。ロキシーは刑務所行きとなる。刑務所にはベルマがいた。彼女もまた、浮気をした夫と妹を殺害していた。刑務所内で洗濯係となったロキシーは、ベルマに洗った下着を渡しながら、ファンだと言って彼女に助言を求めるが、ベルマは自分の下着に触るな、と冷たく突き放す。ロキシーは、ママ(クイーン・ラティファ)と呼ばれる刑務所内の顔役から、女性を必ず無罪にするという腕利きの弁護士、ビリー・フリン(リチャード・ギア)に弁護を頼もうとするが、彼は5,000ドルを払え、とにべもない。しかし、夫のエイモスが彼に弁護を頼んでいた。しかし、彼には1,000ドルしかなかった。ビリーは、美人のロキシーを、正当防衛で無実の罪に問われている有名人に仕立て上げ、彼女の事件関連の品を競売にかけ、弁護資金を生み出す。ビリーは見事にロキシーの無罪を勝ち取る。
しかし、ロキシーのダンススターとしての活躍はパッとしなかった。そこにベルマが現れ、二人で組むことを提案。ロキシーは「あんたが嫌い」と断るが、ベルマに「この仕事に関係あるの」と聞かれ、思い直す。二人の共演は評判となり、喝采を浴びる。ロキシーは本格的にダンススターとなるのだった。

豊富なダンスシーンが楽しい。ミュージカル映画によっては、歌のシーンにストーリー性がなく、かったるかったりすることがあるが、本作の歌の内容は登場人物の語りになっているため、感情移入しやすいのだ。官能的かつ肉感的な姿態で歌も踊りも完璧なキャサリン・ゼタ=ジョーンズに、華奢なレニー・ゼルウィガーが負けていなかった。本人の努力・才能と、撮影の妙だろう。

【5段階評価】4

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2019年4月 8日 (月)

(1863) ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

【監督】三池崇史
【出演】山崎賢人、神木隆之介、伊勢谷友介、岡田将生、新田真剣佑、小松菜奈、山田孝之
【制作】2017年、日本

荒木飛呂彦の漫画を実写映画化した作品。スタンドという特殊能力を持つ人たちの戦いを描く。

杜王町の高校生、広瀬康一(神木隆之介)は、東方仗助(山崎賢人)という同級生が、ものを治癒する特殊な能力を持っていることに気づく。彼は、おいいあたる空条承太郎(伊勢谷友介)からスタンド能力のことを知らされる。二人は協力して、アクア・ネックレスという水や水蒸気に入り込めるスタンドを持つ片桐安十郎(山田孝之)を倒すが、仗助の祖父、良平(國村隼)は命を落としてしまう。片桐をスタンド使いにしたのは虹村形兆(岡田将生)だった。彼の持つ弓矢で射貫かれた者は、スタンド使いになるか、素質がなければ命を落とす。仗助は康一とともに形兆の屋敷に乗り込むが、康一が矢で打たれてしまう。仗助は、形兆の弟で空間を切り取る能力を持つ虹村億泰(新田真剣佑)を倒し、屋敷に乗り込む。形兆は小さな軍隊を率いる能力、バッドカンパニーで仗助を追い詰める。そのとき、康一が起き上がり、スタンド能力で卵を生み出す。その卵からスタンドが産まれるがまだ非力だった。しかし、その間に仗助が形兆の軍が放ったミサイルを元に戻して形兆に撃ち込み、バッドカンパニーに勝利。そこに、屋敷の外から別のスタンドが現れ、億泰を襲うが、形兆が億泰をかばって命を落とす。弓矢は消えていた。仗助は承太郎に、自分の住む杜王町を守ると誓うのだった。

山岸由花子(小松菜奈)はスタンド能力を発揮しないものの、原作に比較的忠実な展開。第一章と銘打っているが、続編が作られるのかは未定のようだ。原作を知らないとすんなり理解できるのか、よく分からないが、原作を知っているものからすると、違和感のない映像は素直に楽しめた。

【5段階評価】3

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2019年4月 7日 (日)

(1862) ケープ・フィアー

【監督】マーティン・スコセッシ
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス
【制作】1991年、アメリカ

刑期を終えた漢の、弁護士に対する復讐劇を描いた作品。

全身に入れ墨を施した漢、マックス・ケイディ(ロバート・デ・ニーロ)が刑期を終え、出所する。マックスは、彼の弁護を担当したサム・ボーデン(ニック・ノルティ)に接近し、嫌がらせを始める。マックスの当時の罪は16歳の少女への性的暴行だった。マックスの罪を内心憎んでいたサムは、被害者女性が性的にだらしのない性格であったという情報を握りつぶし、結果としてマックスは14年服役した。サムは、字の読めないマックスにそれがバレることはないと考えていたが、マックスは自ら上告するために猛勉強しており、サムが自分を正当に弁護していなかったことに気づいていた。彼は服役中に多の囚人にカマを掘られていたこともあり、サムを激しく恨んでいた。
サムの妻リー(ジェシカ・ラング)の愛犬が毒殺される。サムはマックスの仕業に違いないと警察に訴え、マックスは逮捕されるが、証拠はなかった。マックスは、サムの浮気相手のローリー(イリーナ・ダグラス)に近づき、彼女とホテルに入ると、後ろ手に彼女に手錠をかけ、ほおの肉を噛みちぎって殴りつけるという暴行を働く。サムはローリーに会い、マックスを訴えるようにと言うが、暴行の被害者がどういう周囲の目にさらされるか分かっているローリーは、それを拒絶する。マックスのやり方は巧妙だった。
マックスは、演劇教師のふりをして、サムの15歳の娘ダニエル(ジュリエット・ルイス)に接近。学校の演劇場で彼に初めて会ったダニエルは、彼が家の周りに現れる男だと気づきながらも、彼の巧みな話術に惹かれ、彼と口づけをかわしてしまう。マックスが娘に接近していることを知ったサムは、マックスの尾行を依頼していた私立探偵のカーセック(ジョー・ドン・ベイカー)からの申し出を受けることにする。申し出とは、マックスに暴行を働き、病院送りにするというものだった。ところが作戦は失敗し、マックスは襲ってきた男3人を返り討ちにし、さらに弁護士(グレゴリー・ペック)を雇ってサムの脅迫と暴行示唆を訴えてくる。カーセックは、マックスがサムの家に侵入するように仕向けて正当防衛として殺害すれば罪にならない、とサムに示唆。サムは出張に出たふりをして自宅待機する。しかし、マックスは家政婦を殺害して家に潜入し、私立探偵を殺害する。銃声に気づいたサム一家は、家政婦と私立探偵の死体を発見し、車で家を去る。しかし、マックスは車の下に張り付いて一家を追跡していた。一家はケープ・フィアーに向かい、ボートに乗って洋上で過ごそうとするが、マックスが現れ、サムを後ろから締め付けて昏倒させると、ダニエルを船室に閉じ込めてリーに暴行。その姿をサムとダニエルに見せつけようとするが、彼が葉巻に火を付けた瞬間、ダニエルが彼の顔にライターオイルを浴びせる。炎に包まれたマックスは水中に落下。それでも執念で船に這い上がる。サムはリーとダニエルを水中に飛び込ませ、マックスに挑み、彼の脚と船の手すりを手錠で繋ぐ。船は岩に乗り上げて大破。サムは岸辺の岩を持ち上げ、倒れているマックスに振り下ろそうとするが、マックスは繋がれた船の残骸ごと流され、やがて沈んでいった。
サムの一家はマックスの話をしないようになる。話をすると彼が現れるような恐怖に今も取り憑かれているのだった。

サムの行動の先回りをするマックスの行動が、ややできすぎな感じがあった。車の腹に張り付いているというのも、もしサム一家に気づかれたら、極めて間抜けな展開になっていたわけだし。また、ショーン・コネリー主演の「理由」でも同じことを感じたが、途中までの展開はハラハラして面白いものの、最後の決着の部分が陳腐なアクション映画になってしまうところも残念だった。そこまでご都合主義と思えるほどに完璧な行動をしていたマックスが、娘にライターオイルをかけられて船から落ちたり、体を鍛えていたのにサムとの格闘で足を船に繋がれてしまったり、主人公の反撃を描くためとはいえ、執念深いはずの犯人が最後に見せるわきの甘さに、今ひとつの物足りなさを感じるのだった。

【5段階評価】3

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2019年4月 6日 (土)

(1861) ラ・ラ・ランド

【監督】デミアン・チャゼル
【出演】ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、J・K・シモンズ
【制作】2016年、アメリカ

女優を目指す女性とジャズピアニストの恋の行方を描いたミュージカル映画。数々のアカデミー賞に輝いた作品。

女優を目指すミア(エマ・ストーン)は、渋滞中の車の中で後続の運転手、セブ(ライアン・ゴズリング)にクラクションを鳴らされ、中指を立てて挑発する。夜、友人とパーティに出かけたミアは、乗ってきた車をレッカーされ、仕方なく歩いている途中で魅力的なピアノの演奏が聞こえてきた店に入る。中にはセブがいた。ミアはセブに声をかけようとするが、店のオーナー(J・K・シモンズ)から首を言い渡されたばかりのセブは、ミアを無視して突き飛ばすように店を去ってしまう。
二人はパーティで偶然に再会し、会話を交わすようになる。偶然の出会いを重ねる二人は親しくなり、「理由なき反抗」を観に行き、舞台となったプラネタリウムで口づけをかわす。幸せなカップルとなった二人だったが、セブは、クラシックなジャズをやる店を持つ夢を描いていたが、ミアが自分が定職に就いていないことを気にしていると考え、音楽の方向性の違うキース(ジョン・レジェンド)のバンドのキーボーディストとなる。ところが、ミアは夢を追おうとしないセブに不満を表明。二人の関係はギクシャクしてしまう。一人芝居の脚本を書き、それを演じたミアだったが、客はまばらで、酷評の声が耳に届く。セブは、落ち込むミアの力になろうとするが、耐えられなくなったミアは実家に戻ってしまう。ところが一人でいるセブに、映画のキャスティング担当者から電話が入り、一人芝居をしたミアを抜擢したいという声がかかる。セブは図書館の向かいに住んでいたというミアの思い出話を頼りにミアの実家の場所の当たりを付け、車のクラクションを鳴らしてミアを呼び出す。ミアは担当者に、役者への思いのたけをぶつける。
時が経ち、ミアは押しも押されもせぬ大女優となる。すでに結婚し、子供もいるミアの夫は、セブではなく別の男だった。ミアはセブとディナーにでかけ、ジャズ・バーに入る。そこはセブが夢を叶えた店だった。ミアはセブに気づき、セブもまたミアに気づく。セブはピアノを弾き、二人は想像の世界で幸せな恋人に戻る。しかし曲は終わり、ミアは店を後にするのだった。

オープニングのハイウェイのワンカットのシーンが圧巻。ミュージカル映画の不自然さが嫌いな人でも、ここまでされたら楽しいんだから仕方がない。ルームメイトとパーティに繰り出すシーンも楽しく、一気にこの映画は楽しいぞ、と思わせてくれる。ライアン・ゴズリングの演じるピアニストの指捌きにも、ごまかし感がなく、しっかりと見せてくれる。なかなかくっつかない主役の二人が恋人同士になり、このままハッピーエンドになってほしいという願いもむなしく、二人は喧嘩をしてしまう。結局二人は結ばれず、少しもの悲しいフィナーレではあるのだが、「巴里のアメリカ人」にも似た、幸せを満喫する二人のミュージカルシーンは、もし二人が生まれ変わったらきっと幸せなカップルになっていただろう、という夢と、すがすがしい余韻をを観る者に与えてくれた。久しぶりに「ああ、いい映画を観た」と思わせてくれる作品だった。

【5段階評価】5

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2019年4月 3日 (水)

(1860) 3月のライオン 後編

【監督】大友啓史
【出演】神木隆之介、有村架純、加瀬亮、清原果耶、倉科カナ、伊藤英明、佐々木蔵之介、豊川悦司
【制作】2017年、日本

羽海野チカの漫画が原作の、中学生でプロ棋士となった少年の成長を描いた作品。「3月のライオン 前編」の続編。

新人王となった桐山零(神木隆之介)は、天才棋士の宗谷名人(加瀬亮)と対局することになる。華々しく前夜祭が行われ、零は宗谷がファンとのふれあいなどに笑顔で対応している姿を見て胸を打たれる。記者会見になったとき、宗谷は記者の質問に的外れな受け答えをしてその場を去ろうとし、給仕係にぶつかって服を汚す。宗谷は心ここにあらずといった体で礼を述べて去って行く。零の育ての親、幸田柾近(豊川悦司)によれば、彼は時折耳が聞こえなくなるのだった。
対局の日。零は周囲の予想を上回る善戦を見せるが、宗谷の棋力は零を上回る。敗戦した零は、世話になっている川本家に向かう。そこに侍女のひなた(清原果耶)が帰ってくる。彼女の服は汚れていた。学校でいじめを受けていたのだ。彼女は、とある女子生徒がいじめられているのを放っておけず、助けたものの、その子は転校してしまい、ひなたが次の標的になってしまっていたのだった。幼い頃にいじめられた経験を持つ零は、ひなたを尊敬し、彼女の勇気ある行動に感謝する。
獅子王戦の予選を勝ち進む零は、川本家で見知らぬ男と出くわす。ひなたたちの実の父親だった。零は、困った表情のひなたらを守ろうと父親に対峙する。零を部外者呼ばわりする父親に、零は、自分はひなたと結婚を考えているから他人事ではない、と見得を切る。ひなたはそれを聞いて卒倒する。ある日、モモ(新津ちせ)が行方不明になる。父親が連れ出していたのだった。零は、正義漢から子供達を捨てた父親を人間のくず呼ばわりして責めるが、その言葉はひなたやあかり(倉科カナ)らをも傷つける。零は将棋で強くなることを改めて決意。宿敵とも言える後藤を倒した零は、川本一家に謝罪に向かい、温かく迎え入れられる。零は、ひなたにもらった人形を手に、宗谷との勝負に臨むのだった。

前編に比べると、いじめやら別居している父親との確執やら、人間ドラマが中心となり、将棋は脇役になっていた。零が、正義漢を振りかざして守るべき相手であるひなたたちを傷つけるという展開は、若者の機微を描いて面白かったが、映画というよりはテレビドラマのような地味な筋書きだった。

【5段階評価】3

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2019年4月 2日 (火)

(1859) 3月のライオン 前編

【監督】大友啓史
【出演】神木隆之介、有村架純、佐々木蔵之介、伊藤英明、染谷将太、倉科カナ、豊川悦司、加瀬亮、高橋一生
【制作】2017年、日本

羽海野チカの漫画が原作の実写映画化作品。若くして将棋のプロ棋士となった少年の成長を描く。

両親と幼い妹を交通事故で同時になくした桐山零(神木隆之介)は、育ての親の幸田柾近(豊川悦司)の家を出て一人暮らしを始める。彼は若くしてプロ棋士となり、彼の師匠である幸田や、先輩の松本(尾上寛之)、将棋に負けると心がすさんで娘に会えなくなってしまうという安井(甲本雅裕)らに勝利しては、周囲の妬みや非難に苦しんでいた。幸田の娘、香子(有村架純)は、零が幸田家に来て以来、彼が将棋に弱いときはいじめ、強くなると八つ当たりしていたが、やがて父から、零に勝てないようでは将来がないから奨励会を辞めるようにと言われる。自暴自棄になり、零に当たり散らして家を出ようとした香子の代わりに、零自身が家を出る。
零は、酒に酔いつぶれているところを近所の川本あかり(倉科カナ)に介抱され、たびたび彼女の家で食事をするようになる。あかりの妹のひなた(清原果耶)やモモ(新津ちせ)も零になつく。香子は未だに父親と疎遠で、妻のいる棋士の後藤正宗(伊藤英明)と付き合っているようだった。零が川本一家と初詣に行くと、香子と後藤が二人でいるところを見かける。零は後藤を香子から引き剥がそうとするが、後藤に殴られて倒れる。零は、獅子王戦で自分が後藤に勝ったら香子と別れろと言い、後藤はそれを一笑に付す。零が獅子王戦で後藤と対局するためには、準決勝でA級棋士の島田(佐々木蔵之介)に勝つ必要があった。後藤のことばかりに頭が行っていた零は、島田対策をおろそかにし、その結果、島田に主導権を握られて対局に敗れる。しかし、後藤も獅子王戦決勝で島田に敗れる。零は島田の勉強会に参加することを決める。
零には学校にろくに友人がいなかったが、同じ若手棋士の二階堂晴信(染谷将太)は彼に親しく接していた。二階堂は新人王戦の決勝で零と対戦することを楽しみにしていたが、準決勝で山崎順慶(奥野瑛太)に敗れる。二階堂は持病が悪化し、山崎に長期戦に持ち込まれて対局中に倒れてしまったのだ。零は弔い合戦とばかりに山崎と対局する。しかし、山崎もまた、必死でここまで闘ってきたのだった。零は強引に攻めようとした手を下ろし、じっくりと守り切って逆転勝利する。
新人王戦で優勝した零は、獅子王の宗谷冬司(加瀬亮)と島田との対局の大盤解説をすることになる。島田は宗谷に攻められ、もはやこれまでというとき、零は逆転の一手を見いだす。零は解説会場から対局場に走るが、彼が到着したのは島田が投了した後だった。宗谷もまた、零と同じ逆転の筋を見いだしていた。宗谷は零に一瞥をくれると、対局場を立ち去るのだった。

将棋の世界を舞台に家族愛や恋愛を描いた作品かと思ったら、割としっかりと棋士の世界を捉え、将棋を中心にすえた作品だった。ただ、将棋の内容にまでは踏み込んでいないので、ピアニストが主人公なのに演奏中の手元が映っていないとか、バンドがテーマなのにボーカルの声が無音という「BECK」のような歯がゆさもあった。オリジナルの棋譜ではなくても、何かを持ってくれば十分に面白い気もする。

【5段階評価】3

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