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2019年3月

2019年3月31日 (日)

(1858) グランド・イリュージョン

【監督】ルイ・ルテリエ
【出演】ジェシー・アイゼンバーグ、ウディ・ハレルソン、デーブ・フランコ、アイラ・フィッシャー、マーク・ラファロ
【制作】2013年、アメリカ、フランス

銀行のお金を盗んでみせた4人のマジシャンの謎を巡るサスペンス作品。

カードマジックのJ・ダニエル・アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)、メンタリストのメリット・マッキニー(ウディ・ハレルソン)、スリに長けたジャック・ワイルダー(デーブ・フランコ)、脱出マジックの女性マジシャン、ヘンリー・リーブス(アイラ・フィッシャー)の4人は、タロットカードにより招集をかけられ、フォー・ホースメンという4人組となり、フランスの銀行の金庫に保管された大量の紙幣を盗み取り、マジックショーの会場に札の雨を降らせる。彼らは銀行強盗の容疑者としてFBIに逮捕される。FBIのディラン・ローズ(マーク・ラファロ)は、インターポールの女性捜査官、アルマ・ドレイ(メラニー・ロラン)とともに彼らを尋問するが、証拠不十分で4人は釈放される。ディランとアルマはマジックの種明かしを生業にしており、かつてライオネス・シュライクというマジシャンを死に追い込んだこともある老マジシャン、サディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン)に相談する。サディアスは種明かしをする。4人はあらかじめ現金輸送車から紙幣を盗み、燃やすと消えるフラッシュペーパーと入れ替えていた。彼らはステージの下に偽の金庫室を用意し、そこに盗んだ紙幣を置き、本物の銀行の金庫室にはフラッシュペーパー製の偽の紙幣を置いていた。そして本物の紙幣をステージで撒き、フラッシュペーパーを燃やして消すことで、銀行の金庫室の紙幣がステージに瞬間移動したように見せていたのだ。
4人は再びマジックショーを行う。はじめに、彼らのスポンサーで保険業界の大物、アーサー・トレスラー(マイケル・ケーン)を紹介する。彼は1億ドル以上の個人資産を持っていた。ところが4人が行ったマジックショーは、観客の口座の金を増やしてアーサーの個人資産をその分減らす、というものだった。観客は大災害の被害者で、アーサーに保険金を支払ってもらえなかった人達だったのだ。アーサーはサディアスに、四人のトリックを暴いて破滅させることを依頼する。ディラン率いるFBIはフォー・ホースメンの一人、ジャックを見つけるが、ジャックは車で逃走。しかし、その車が横転し、運転手ともども炎上してしまう。FBIはフォー・ホースメンがエルコーン社の巨大金庫を狙うことを知り、エルコーン社に向かうが、すでに金庫は消失していた。FBIは金庫を乗せた車を追跡。しかし、金庫の中味は風船だった。そこにジャックを除く3人が現れ、観客の前で姿を消す。大量の金はサディアスの車の中から現れ、サディアスは黒幕として逮捕される。
牢獄に入れられたサディアスの前に、ディランが現れる。サディアスは身の潔白を証明するため、フォー・ホースメンのトリックを暴く。FBIが金庫室に駆け込んだとき、実は金庫はまだ盗まれておらず、鏡を用いて金庫が消えたように見せるトリックが使われていた。ジャックも焼死してはおらず、ジャックの乗った車と死体を積んだ車を入れ替えてジャックが死んだと思わせており、ジャックが金庫の中の金を盗んでいたのだった。それを聞かされたディランは、彼らはなぜそんな仕掛けができたのかを問う。サディアスは、それは仲間がいたからだ、といい、ふとある可能性に思い当たって言葉を失う。そう、真の黒幕はFBIのディランだった。ディランに恨まれる覚えのないサディアスが、なぜだと叫ぶ声を背に、ディランは牢獄を立ち去る。フォー・ホースメンもディランがタロットカードで自分たちを招いたとは知らず、驚く。ディランは4人を、真のマジシャンの組織、「アイ」に彼らを誘う。
フランスに戻ったアルマが、恋人達が南京錠をかけて愛を誓うことで知られる橋でディランに思いをはせていると、そこにディランが現れる。ディランは、サディアスに追い詰められたシュライクが金庫脱出のマジックに失敗して死んだのは、彼の使ったエルコーン社の粗悪な金庫がマジック中にゆがんだためだったこと、アーサーの会社が保険金を支払わなかったことをアルマに話す。アルマは、ディランがシュライクの息子だと気づく。アルマはディランを逮捕せず、真相を秘密にし、ディランと南京錠を橋の柵にかけ、鍵を川に投げ込むのだった。

マジックを映画で扱うというのは、映画はいくらでも特撮ができるだけに難しいはずだが、本作は、いくつか種のよく分からない派手な演出はあるものの、メインのトリックにはしっかりと納得のいく種明かしがなされており、そこそこフェアな作品だった。作品では、マジックの重要な要素、ミス・ディレクションが何度も登場するが、モーガン・フリーマンを悪人役というのも、本作のミス・ディレクションになっていた。

【5段階評価】4

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2019年3月30日 (土)

(1857) サバイバー

【監督】ジェームズ・マクティーグ
【出演】ミラ・ジョボビッチ、ピアース・ブロスナン、ディラン・マクダーモット、ロジャー・リース
【制作】2015年、アメリカ、イギリス

爆破テロを企む殺し屋と女性外交官との死闘を描いたアクションサスペンス作品。

序盤、イスラムのテロ組織に若いアメリカ兵が拉致されるシーンが描かれる。
所変わってイギリスの入国管理ゲート。アメリカの外交官、ケイト・アボット(ミラ・ジョボビッチ)は、テロリストの活動を阻止するため、化学の専門家などの入国を自分に知らせるよう周知。そこに、ルーマニアの医師、エミール・バラン(ロジャー・リース)の入国を怪しんだケイトは、彼を詰問するが、そこにビル・タボット(ロバート・フォスター)が割って入り、バランを入国させる。果たして彼はテロリストと通じていた。彼の忠告をもとに、ケイトに「時計屋」(ピアース・ブロスナン) の異名を持つ殺し屋が送り込まれる。彼はケイトたちが行くレストランの料理の器具の中に爆弾を仕込む。ケイトはたまたま招待者へのプレゼントを買いに店の外に出ており、そのときに時計屋が爆破スイッチを入れたため、ケイトの友人は全員死亡し、ケイトは何とか助かる。焼失したレストランを道路で見ていたケイトのもとに時計屋が近づく。ケイトが助けを求めると、時計屋はケイトに銃を向け、撃とうとする。ところがたまたま近くにあったガスボンベが小暴発を起こしたため、そのすきに何とかケイトは逃げる。ケイトは同じく難を逃れたタボットと公園で再会。ところがタボットはケイトに公園内の東屋に彼女を引き込むと彼女に銃を向け、殺そうとする。ケイトが抵抗すると、銃が暴発してタボットが撃たれてしまう。ケイトは銃を手に持ったまま東屋を出たため、公園内の人々がいっせいにスマホを向けて彼女を撮影。そこにGPSチップを追って時計屋が現れ、ケイトは慌てて逃走する。ケイトの上司のサム・パーカー(ディラン・マクダーモット)は彼女を信じており、彼女の行方を追う。
時計屋はバランの作ったガス爆弾とライフルを使って遠隔からアメリカ大使館のレーダーを爆破。二人はアメリカに復讐するため、大晦日のニューヨークで爆破テロを実行することにする。
ケイトはタボットの家に侵入。そこにいたのはサムだった。二人は、タボットの息子がテロ組織に人質にされていたことをつきとめる。タボットは息子を救うために、テロリストの片棒担ぎをさせられていたのだった。そこに時計屋が現れ、タボットの家のドアを爆破。サムは爆破に巻き込まれてしまい、ケイトは何とか脱出すると、同僚のサリー(フランシス・デ・ラ・トゥーア)の協力を得てパスポートを偽造し、アメリカに飛ぶ。白タクでタイムズスクエアに向かったケイトは、時計屋とバランを発見。単身で二人が入ったビルに侵入し、屋上に向かう。屋上ではバランの仕込んだガス爆弾を爆破させる準備が進められていた。時計屋は用済みになったバランを殺害。そこにケイトが現れる。バランはガス爆弾を狙撃しようとするが、ケイトに妨害され、とうとうビルから落下してしまう。ケイトは爆破テロを防ぎ、一命を取り留めたサムから、電話で祝福を受けるのだった。

手に汗握る感はあるのだが、一方が伝説の殺し屋、もう一方は戦闘経験のない女性外交官。女性外交官が知恵や仲間の協力を生かして殺し屋を撃退するのならまだしも、伝説の殺し屋から銃で撃たれても走って追いかけられても後ろから首を絞められても死なないどころか、最後はビルから殺し屋を落として殺してしまう、というのは、いくらなんでもご都合主義がすぎた。別の意味で伝説の殺し屋だった。

【5段階評価】3

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2019年3月29日 (金)

(1856) キャリー

【監督】キンバリー・ピアース
【出演】クロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア、ガブリエラ・ワイルド、ポーシャ・ダブルデイ
【制作】2013年、アメリカ

超能力を持った少女の絶望と怒りが頂点に達したことで起きる惨劇を描いた作品。

神を過剰に崇拝する女性、マーガレット・ホワイト(ジュリアン・ムーア)は、自室で一人、子を産む。彼女は子を殺そうとするができず、育てることにする。高校生に成長した少女、キャリー(クロエ・グレース・モレッツ)は母親の偏った教育方針のため、生理を知らず、プール後のシャワーで自分が流血していることを知ってパニックになる。彼女は友人に助けを求めに行くが、いじめられっ子だったキャリーは、同級生にタンポンを投げつけてからかわれ、そのうちの一人、クリス(ポーシャ・ダブルデイ)は彼女の動画を撮ってネット上に流す。キャリーは怒りを原動力にして、念力で物を動かす能力に目覚める。
先生のリタ(ジュディ・グリア)はキャリーの味方となり、クリスのプロム出席を禁じる。クリスは腹いせに男友達と豚の生き血をバケツに入れ、プロム会場の舞台の天井に仕込む。
キャリーをいじめていたことを反省した同級生のスー(ガブリエラ・ワイルド)はボーイフレンドのトミー(アンセル・エルゴート)に、プロムでキャリーを誘ってほしいとお願いする。トミーはキャリーをプロムに誘い、始めは警戒しておびえていたキャリーも、プロムに行くことを決める。母親のマーガレットは笑いものになる、穢れる、とプロム参加を反対するが、普通の女の子としての生き方をしたいキャリーは、能力をつかって母親を礼拝用の小部屋に閉じ込め、プロムに向かう。
トミーは心を込めてキャリーをもてなし、キャリーは幸せな時間を過ごす。出席者の人気投票が行われ、クリスのたくらみにより、投票用紙がすり替えられ、トミーとキャリーがベストカップルに選ばれる。壇上に上がって参加者に祝福される二人だったが、そこに天井から豚の血が落下し、キャリーは血まみれになる。そして会場にはキャリーがタンポンを投げつけられている動画が流れる。値の入っていたバケツが落下し、頭にそれが命中したトミーは死んでしまう。キャリーの怒りは頂点に達し、キャリーをあざけった人たちを襲い始める。クリスは男友達と車で逃げようとするが、キャリーは道路に亀裂を生じさせ、逃走を阻止。クリスは運転している男友達にキャリーを轢けと命じるが、キャリーの念力によって、車は壁に衝突したように途中で停止し、男友達は死亡。ハンドルを握ったクリスは自分でキャリーを轢こうとするが、キャリーは念力で車を空中に持ち上げる。キャリーが車を地面に落下させた瞬間、車はガソリンスタンドの給油機に激突。そこに電柱が倒れて車は爆発を起こす。
キャリーは自宅に戻り、風呂で血を洗い流す。家の中にはマーガレットがいた。キャリーは、やっぱり笑いものにされたと言って母親に抱きつく。マーガレットはキャリーを慰めるふりをしてキャリーの背にナイフを突き立て、呪われた存在のキャリーを殺そうとする。キャリーは母親から逃げるが、ついに彼女の能力により、マーガレットに家中の刃物が突き刺さり、まるでキリスト像のようにマーガレットは壁に貼り付けにされる。我に返ったキャリーは母親を助けようとする。そこにスーが現れる。神の怒りか、キャリーの家は崩れ始めていた。キャリーはスーに、スーのお腹に赤ん坊がいると告げ、最後の力でスーを家から脱出させる。家はキャリーとマーガレットの上に崩れ落ちる。
事件は事故として処理され、スーはキャリーの能力のせいだと主張するが受け入れられなかった。スーはキャリーのお墓を尋ねる。墓石には地獄で焼かれろ、と落書きされていた。そのとき、墓石に亀裂が入るのだった。

出だしは不気味な印象だが、心理的なホラーではなくアクション要素の強いホラーなので、さほど恐怖感はない。ジュリアン・ムーアが狂信的な母親を熱演していた。クロエ・グレース・モレッツは好きな女優だったので、彼女が主演とは知らずに観たので嬉しかった。薄幸そうで精神的に危なげな少女をうまく演じていた。ただ、いじめはそれほど陰湿ではないし、バケツが頭に落ちたぐらいで死ぬか、という気がしたり、恐怖映画としてはちょっと物足りなかった。

【5段階評価】3

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2019年3月28日 (木)

(1855) シャイニング

【監督】スタンリー・キューブリック
【出演】ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース
【制作】1980年、イギリス、アメリカ


ホテルの管理を任された男と家族が巻き込まれる恐怖を描いた作品。


作家志望のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は、冬季に閉鎖されるホテルの管理を引き受け、家族とホテルにやってくる。そのホテルは、かつてグレイディという男が娘二人と妻とともに管理をしていたが、男は孤独に耐えられず、娘と妻を斧で切り刻み、猟銃を口にくわえて自殺したという事件があった。ジャックはそれを気にせず、妻のウェンディ(シェリー・デュバル)も豪華なホテルでの暮らしを喜んでいた。一方、息子のダニーは、「シャイニング」という特殊な能力を持っており、同じ能力を持っているホテルのコック、ハロラン(スキャットマン・クローザース)はそれを見抜き、237号室には近寄るな、とダニーに念を押す。
ジャックはタイプライターで小説を執筆していたが、次第にウェンディの行動にかんしゃくを起こすようになる。ダニーがホテルの廊下で遊んでいると、なぜか施錠されていた237号室のドアが開けられており、中に入ったダニーは、首に絞められたようなあざができていた。ウェンディはジャックがダニーの首を絞めたと思い込むが、ダニーの話を聞くと、部屋の中に女がいたということだった。ジャックが部屋の中に入ると、バスタブに美しい全裸の女性がいた。ジャックはその女性と抱き合い、キスをする。しかし、鏡越しに見た女性は、腐乱した太った老女だった。ジャックは部屋から逃げ去る。ジャックは無人のバーに向かうが、彼の中では、そこには大勢の客とバーテンダー(ジョー・ターケル)がいた。ウェイター(フィリップ・ストーン)にぶつかられて服を汚されたジャックは、ウェイターに促されて真っ赤な壁のトイレに入る。ウェイターの名がグレイディだと知り、ジャックはウェイターに、このホテルの管理人だっただろう、と尋ねるが、グレイディは、管理人はずっとあなただ、と答える。グレイディは、言うことを聞かない妻や娘をこらしめた、という話をジャックにする。そして、ダニーが外部者をここに連れてこようとしているとジャックに伝える。
ウェンディはジャックの打っていた原稿を目にする。そこにはただ、「All work and no play makes Jack a dull boy.」(勉強ばかりで遊ばないとジャックはバカになる)と大量に書かれているだけだった。そこにジャックが現れる。ジャックの狂気に気づいたウェンディは、持っていたバットを振り回し、ウェンディに近づいてくるジャックを殴って昏倒させると、食料庫に閉じ込めて鍵をかける。しかたなく寝ていたジャックに、外からグレイディが話しかけ、鍵を外す。ウェンディは、ダニーと自室の中にいたが、ダニーは何かに取り憑かれたように「REDRUM]とつぶやきながら、口紅で壁に鏡文字になった「REDRUM」を書く。それに気づいたウェンディは鏡越しにそれを見る。そこには「MURDER」の文字が写っていた。いつの間にかジャックは部屋を出ており、ウェンディは何とか洗面所の窓からダニーを逃がす。ジャックは斧で扉を破り、その隙間からものすごい形相で顔を覗かせる(この顔はシャイニングの中で最も有名なカットだろう)。ドアを開けようと差し入れられたジャックの手をウェンディは切りつける。そこに、虫の知らせで家族の危険を察知したハロランが雪上車でやってくる。ハロランは人気のないホテルで「誰かいるか」と声をあげながらジャック一家を探すが、彼の腹をめがけてジャックが斧を振り、ハロランは絶命する。ジャックは外に逃げたダニーを追いかけ、生け垣でできた巨大迷路に入り込む。ダニーはうまくジャックをまき、ウェンディと再会。ウェンディは雪上車でホテルから去る。ジャックはそのまま凍死する。
静寂が戻ったホテル。そこに飾られた一枚の写真。それはバーの客の集合写真だった。中央の正面には、ジャックが移っているのだった。


ジャックの形相が有名な作品。ホラーは今までけっこう観ていたが、本作は初めて観た。それなりの期待をしていたが、悪い意味で裏切られた感があった。一人で自分の指と会話するダニーが不気味。目が異様に大きくやせたウェンディも不気味。そして当然、ジャックも不気味。結局、まともなのはウェンディだったのだが、この辺のどこに恐怖が潜んでいるのかよく分からない出だしはよかった。しかし、シャイニングという能力の全貌がよく分からず、しかも後半はその能力がほとんど物語にかかわってこないので、タイトルを含めてシャイニングってなんだったんだ、というモヤモヤ感が残った。ジャックの精神がむしばまれていった理由もよく分からないし、どうやらジャック自身がかつての惨劇を起こしたグレイディだった、ということは分かるものの、それってどういうことなの、という全体像が分かるような描写がなかった。そして最後の集合写真の意味も分からない。意味が分かりづらい作品はあまり好きではないので、残念ながら、ホラー映画の有名作品であるはずの本作は、自分にとっては不発だった。


【5段階評価】3

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2019年3月27日 (水)

(1854) KANO 1931海の向こうの甲子園

【監督】マー・ジーシアン
【出演】永瀬正敏、ツァオ・ヨウニン、チャン・ホンイー、坂井真紀
【制作】2014年、台湾

戦前に甲子園出場を果たした、実在の台湾野球部の活躍を描いた作品。

一勝もしたことのない嘉義農林学校野球部の試合を偶然見かけた近藤兵太郎(永瀬正敏)は、監督になることを決意。甲子園を目指し、厳しい練習を部員に課す。呉明捷(ツァオ・ヨウニン)はピッチャーとなり、近藤の指導のもと、力を付けていく。恋心を抱いていた幼なじみの少女、静(葉星辰)は別の男性に嫁ぐが、呉は野球に打ち込む。一度も勝ったことのない嘉農は力を付け、見事に台湾大会で優勝。甲子園でも神奈川代表、北海道代表を退け、決勝に進む。しかし、変化球を多投した呉は指を痛めてしまう。
決勝のマウンドにあがった呉は、相手投手と投げ合い、0対0のまま緊迫した試合展開を続けるが、ついに指から出血してしまう。近藤は控え投手にウォーミングアップを命じるが、呉はそれを押しとどめ、自分が完投すると告げる。近藤は呉に続投させる。
次の回、呉はコントロールが定まらず、四死球の連続で2点を献上。試合は0対4のまま、最終回を迎える。嘉農は粘って二死満塁に持ち込み、バッターは呉。チームメイトの応援を背に、渾身の力でバットを振るが、打ったボールは柵越えには及ばず、外野フライとなって試合は終了する。嘉農の選手は号泣するが、近藤は彼らにねぎらいの言葉をかける。嘉農の選手達は誇りを胸に、台湾に戻るのだった。

制作国が台湾という珍しい作品。弱小チームがのし上がっていく様子と、台湾に大規模灌漑施設が整備されて発展していく様子が同時に描かれ、スケール感を大きく見せている。多くのシーンが日本語になっており、若干、台湾人の日本語が聞き取りづらいものの、妙なリアリティも感じた。選手役に実際に台湾で野球をやっている若者が抜擢されており、台湾で人気のアイドルを集めましたというちぐはぐ感がなく、顔はけっこう男前で、いかにも野球青年というガタイのよさ。野球ものの映画によくある、野球経験の乏しい俳優の女投げ感があまりないのがよかった。スポーツものだけあって、まぶたが熱くなる感動を味わうことができた。最後に負けてしまうのは、まあ史実なら仕方ないが、勝手ほしかった気もした。
一方、近藤監督のような、ほとんど選手を褒めず、ニコリともしない指導者は、個人的には好きではないので、普通こんな監督だったらモチベーションなくすだろうなあ、と思いながら観ていた。

【5段階評価】3

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2019年3月26日 (火)

(1853) ドリームハウス

【監督】ジム・シェリダン
【出演】ダニエル・クレイグ、レイチェル・ワイズ、ナオミ・ワッツ、マートン・チョーカシュ
【制作】2011年、アメリカ、カナダ

一家惨殺事件の真相を追う男の運命を描いた作品。

編集者を辞め、小説家の道を選んだウィル・エイテンテン(ダニエル・クレイグ)は、同僚に歓迎されて会社を退職。愛する妻のリビー(レイチェル・ワイズ)と二人の娘の待つ自宅へ戻る。リビーは忙しかった夫の退職を歓迎する。ウィルの向かいの家には険悪な夫婦関係になっているアン・パターソン(ナオミ・ワッツ)とジャック(マートン・チョーカシュ)、一人娘のクロエ(レイチェル・フォックス)が住んでいた。
ある夜、次女のディディ(クレア・アスティン・ギア)が、外に怖い顔が見えた、とウィルに言ってくる。部屋を見に行ったウィルは、窓ガラスに映ったディディ自身の顔だと気づき、一笑に付すが、翌朝、外を見ると、雪の上に、部屋の中を覗いているような足跡があった。その夜、ウィルは地下室の不審な物音に気づく。中には数名の若者がいた。逃げる若者を捕まえて話を聞くと、昔この家で殺人があったと言われる。
ウィルは地元の警官に事件について尋ねるが、警官は、生き残りの父親が犯人と疑われたが行方は知らない、と興味なさそうに言うばかりだった。ウィルは、生き残った父親の名がピーター・ウォードだと知り、彼が入所している施設に向かう。ピーターの部屋にはウィルの家族の写真があったが、ピーターは出所していた。
ウィルはピーターが事件当時にいたという精神施設に向かう。そこで彼が見たのは、半狂乱になっている自分自身の姿だった。ピーターは、自分の存在を否定するようになり、「W1-1L 8-10-10」というコードをもとに「ウィル・エイテンテン」という名前を自らに付けていたのだった。施設の中には大勢の精神障害者がいた。彼らは退職日に自分を送り出した同僚達だった。ウィルが存在を信じていた彼の妻と娘は、すでにこの世のものではなく、彼が夢の家と信じていたものは廃墟だった。彼は家を追い出される。翌朝、ウィルすなわちピーターはアンの家に向かう。アンはピーターが殺人犯ではないと確信しているようで、娘のクロエも彼を信用し、娘が見えるのだったら会えなくて寂しいと伝えてほしいとピーターに告げる。ピーターは自分の担当医だったグリーリー(ジェーン・アレクサンダー)に会う。グリーリーは再治療を勧めるが、ピーターは廃墟となった家に戻る。すると、リビーと娘が現れ、廃屋はもとの夢の家に戻る。しかしピーターは、リビーに事件の日に何があったかを強引に尋ねる。リビーは、ピーターが帰ってきたと思ったら違う男で、娘が動かなくなっていたので後を追った、自分は犯人を撃ったと告げる。しかし、撃たれた銃創が頭部に残っているピーターは、自分が犯人で妻が自分を撃ったのだと思い込む。そのとき、外からアンの呼ぶ声が聞こえる。ピーターはアンを家に招き入れ、彼女に真相を問う。その日、父親を出迎えたつもりの娘達の前に現れたのは、銃を構えた知らない男(イライアス・コティーズ)だった。リビーはピーターと電話中で、リビーが男に「銃を下ろして」と言っているのを聞き、ピーターは慌てて家に飛び込む。男はリビーに発砲。ピーターは男に飛びつき、もみ合いになっているときに、リビーが落ちていた銃を拾って男を撃とうとしたが、それがピーターに命中してしまったのだった。ピーターは、自分が犯人でなかったことを知り、ほっとする。ところがそこに、アンの夫、ジャックが現れる。ジャックは、事件を起こした男を連れていた。二人は共犯だった。ジャックは妻のアンを憎み、男に妻の殺害を依頼したものの、男は誤ってピーター・ウォードの家にいたリビーをアンと思い込み、家族を殺してしまったのだった。ピーターとアンはクロロホルムを嗅がされて意識を失う。ジャックは昏睡状態のピーターを地下室に蹴落とすと、持っていた銃で共犯の男を撃つ。男は5年にわたってジャックを脅迫していたのだった。ジャックはアンを地下室に連れ込み、火を放つ。それを見ていたリビーは、何度も叫んでピーターを起こすと、わざと音を立てて地下室を歩き回り、ジャックの気を引く。ピーターは気を取られたジャックを背後から殴り、彼が倒れた隙にアンを抱きかかえて家を脱出する。ジャックに撃たれた男は地下室の入り口から灯油をまき、ジャックの脱出を妨害。ジャックは炎に包まれる。アンを助け出したピーターは、再び燃えさかる家の中に入る。そこには優しく微笑むリビーがいた。リビーは、いつも一緒よ、とピーターに告げ、家を脱出するよう促す。ピーターは二人の娘とリビーに別れを告げ、自分の手記を手に家を出る。消防士に「中に誰かいるか」と聞かれたピーターは、いない、と答える。こうして事件は終わりを告げ、ピーターの著作「DREAM HOUSE」は本当にベストセラーになるのだった。

後半の展開がめまぐるしく、一度観ただけではよく真相が分からなかった。なぜアンとの会話の中でピーターが真相を知るのか、など、よく分からないところもあった。また、リビーがエリザベスで、ディディがキャサリンで、みたいな名前の読み替えの説明は、どうしても日本人には理解が難しかった。

【5段階評価】3

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2019年3月25日 (月)

(1852) Sakamoto Ryuichi: CODA

【監督】スティーブン・ノムラ・シブル
【出演】坂本龍一
【制作】2017、アメリカ、日本

日本が誇るミュージシャン、坂本龍一の音楽に向き合う姿を描いたドキュメンタリー映画。

坂本龍一は、東日本大震災で津波の被害を受けたピアノを愛でるように扱う。序盤は反原発色が全面に出た作品なのか、と思ったが、イエロー・マジック・オーケストラでの活躍はもとより、「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」なども示され、映画作品にも影響を与えた坂本龍一の比類なき才能がしっかりと描写されていた。

【5段階評価】3

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2019年3月19日 (火)

(1851) アルティメット

【監督】ピエール・モレル
【出演】ダビッド・ベル、シリル・ラファエリ、ラルビ・ナセリ、ダニー・ベリッシモ
【制作】2004年、フランス

架空の制度が敷かれたフランスを舞台にしたパラレルワールドもののアクション作品。パルクールの使い手が活躍する。

壁で閉鎖されたフランスの郊外部、バンリュー13地区に暮らすレイト(ダビッド・ベル)は、麻薬組織の麻薬を奪い、廃棄する。そこに麻薬組織のK2(トニー・ダマリオ)が手下を連れて現れるが、レイトはパルクールで見事に脱走する。
ボスのタハ(ラルビ・ナセリ)の怒りを買い、殺されそうになったK2は、レイトの妹ローラ(ダニー・ベリッシモ)を拉致する作戦を思いつくが、それを読んでいたレイトは同時にタハのアジトに突入。タハを人質にしてローラを連れて脱出し、警察にかけこむ。ところが警察はレイトとローラの拳銃を確保するとレイトを牢に閉じ込め、タハを解放してしまう。
警察官のダミアン(シリル・ラファエリ)は、上層部から、タハの組織に奪われた、パリ全市を壊滅するほどの威力を持つ中性子爆弾の時限装置の解除の指令を受け、囚人のふりをして収監中のレイトとともに脱走。レイトはダミアンの戦い方がクリーンであることから警察官であることを見抜いてしまうが、作戦に協力。レイトはタハに電話をかけてわざと捕まり、爆弾を解除できるのはダミアンだけだとタハに告げる。タハは爆弾の買い取りをダミアンに要求し、ダミアンは2,000万ユーロの支払いを約束するが、ダミアンが携帯で警察に連絡を入れると警察は支払いを拒否。ダミアンは入金できたと嘘をつく。入金の確認に30分の時間がかかるため、ダミアンとレイトは別室で待つことになるが、爆発まで残り40分を切った頃に二人は脱走。その間に警察は、タハの口座から金を抜き取ってしまう。金の威力を失ったタハは、手下に撃ち殺されてしまい、実質的なリーダーはK2となる。K2はダミアンとレイトを信じ、爆弾の解除に二人を向かわせる。途中の巨漢を退け、二人は爆弾のところに向かう。ダミアンは解除コードを入力しようとするが、その番号がタハのいる地区を示すものだったため、レイトはそれが解除コードではなく起爆コードであると見抜き、任務を遂行しようとするダミアンを止めようとする。二人は取っ組み合いを始めるが、最後はローラがダミアンを押さえ込み、入力を阻止。果たして、レイトの判断は正しく、コード入力がなされないまま、爆弾のタイマーはゼロになる。
二人は上層部に爆弾を持ち込み、その場で爆弾を起動させようとする。上官は治安の悪化した地区を消し去るためにしたことだ、と告げ、地区を爆破するつもりであったことを白状するが、その様子は全市にテレビ放送されてしまう。レイトとローラは地区を救った善良な市民と認められる。二人はダミアンと別れ、元いた地区に帰っていくのだった。

アクションシーンはCG、スタントなしで、迫力があった。よく、主人公だけが超絶に強くて雑魚が情けないほど弱い場合があるが、本作では雑魚もそれなりにパルクールの使い手になっており、見応えがあった。もっとも、格闘シーンや銃撃戦では主人公達が圧勝するわけだが。
主役のシリル・ラファエリは、スタントマンでもあり、「ダイ・ハード4.0」でもパルクールを駆使して主人公を苦しめる悪役を演じている。

【5段階評価】4

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2019年3月18日 (月)

(1850) 巴里のアメリカ人

【監督】ビンセント・ミネリ
【出演】ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レバント、ジョルジュ・ゲタリ、ニーナ・フォッシュ
【制作】1951年、アメリカ

パリに住むアメリカ人の画家と少女との恋の行方を描いたミュージカル。

パリで暮らす売れない画家のジェリー(ジーン・ケリー)が、友人のピアニスト、アダム(オスカー・レバント)を介して歌手のアンリ(ジョルジュ・ゲタリ)と知り合う。アンリは19歳の恋人リズ(レスリー・キャロン)にぞっこんだった。ある日、ジェリーに興味を持った金持ちの女性、ミロ(ニーナ・フォッシュ)が彼の絵を買い、パトロンになることを申し出る。ミロはジェリーを連れてレストランに行き、知人にジェリーを紹介。ジェリーは店にいた若い女性に一目惚れして強引にダンスに誘う。その女性はアンリの恋人のリズだった。そうとは知らないジェリーは、翌日、強引にリズをデートに誘う。リズは、21時なら会えるとジェリーに告げる。リズはその日、アンリと夕食をともにしていたが、その場でアンリに自分の出演するショーに招待される。ジェリーとの約束があったリズはジェリーに会いに行き、ジェリーと楽しく過ごすうち、アンリの出演する劇場に向かったときにはショーは終わっていた。アンリはアメリカの興業主にアメリカでの公演を持ちかけられたことを喜んでおり、やってきたリズに、結婚してアメリカに行こう、と告げる。リズは戸惑いながらも承諾する。リズは一方でジェリーとのデートを重ね、恋を育んでいく。リズはアンリの存在をジェリーに告げられずにいた。リズの様子がおかしいことに気づいたジェリーは、カフェにいたアダムに悩みを相談する。アダムはジェリーに相手の女性の名前を聞く。その名がアンリの恋人の名前だと知ってアダムは驚く。そこにアンリがやってきて、ジェリーの悩みを聞き、相手がリズだと知らずに、愛していると言えばいい、とアドバイス。ジェリーは勇んでリズのもとに向かい、愛を告白するが、リズの口から、アンリと結婚すると聞かされる。ジェリーはそれを聞いてリズを諦め、潔く立ち去ると、ミロのもとに向かい、二人でパーティに参加する。そこにはアンリとリズもいた。ジェリーは初対面であるかのようにリズに挨拶をするが、耐えきれず、ミロにリズを愛していたことを打ち明ける。ジェリーは一人、パーティの喧噪から抜け出し、そこにあった髪に簡単な風景画を描く。そこにリズが現れ、最後の抱擁をするとジェリーの元を立ち去る。アンリはその様子を見て、リズの本心がジェリーにあることを悟るが、アンリとリズはそのまま車に乗り込む。ジェリーはそれを見送る。ジェリーは自分の描いた風景画の中に迷い込み、そこに現れた町の人々やリズと楽しく踊る幻想を見る。やがて人々は消え去り、ジェリーは一人だけになる。そこに、車のクラクションが鳴り響く。ジェリーが慌てて道路の方に目をやると、車からリズが降り、アンリに別れの口づけをしていた。アンリは優しくリズを見送る。ジェリーはリズに駆け寄り、二人は抱き合って口づけをかわすと、並んでパーティの会場を立ち去るのだった。

序盤はところどころに歌や曲が挿入される展開だが、クライマックスのミュージカルシーンは20分近くに及ぶ。個人的にはちょっと長すぎた。まあ、ハッピーエンドではあるのだが、リズのしていることは単なる浮気なのでは、という思いが拭えないのだった。

【5段階評価】3

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2019年3月17日 (日)

(1849) 西部戦線異状なし

【監督】ルイス・マイルストン
【出演】リュー・エアーズ、ルイス・ウォルハイム、ジョン・レイ
【制作】1930年、アメリカ

エーリヒ・マリア・レマルクの小説を映画化した作品。第一次世界大戦に巻き込まれるドイツの若者の運命を描いている。

第一次世界大戦が開戦したドイツ。学校では老いた教師が戦争の美徳を説き、若者は狂喜乱舞して兵士に志願する。若者達が送り込まれた訓練所には、郵便配達人のヒンメルストス(ジョン・レイ)がいた。普段通り気さくに話しかける若者達だったが、ヒンメルストスは上官として彼らにえばりちらし、訓練で彼らをしごく。いよいよ戦場に送られるという前夜、若者達は酔ったヒンメルストスを袋だたきにして腹いせをする。
戦場での最初の仕事は、前線での鉄条網張りだった。ベテラン兵のカチンスキー(ルイス・ウォルハイム)が爆弾への対処の仕方などを若者達に教える。前線では敵の砲弾が絶え間なく放たれ、若者達は恐怖する。逃げ惑う中で目を負傷したベーム(ウォルター・ブラウン・ロジャース)が命を落としてしまう。
そしてついにフランス軍との戦闘が始まる。大量の敵を撃ち殺し、それでもやってくる敵と塹壕で死闘を繰り返し、反撃に出る。若者達は半数に数を減らしてしまう。生き残ったポール(リュー・エアーズ)たちは、病院に送られたケメリック(ベン・アレクサンダー)の見舞いに行く。立派なブーツを父親に与えられたケメリックだったが、彼は足を負傷し、切断されていた。ケメリックはポールの見守る中、息を引き取る。
前線に戻ったポールは、敵との死闘の中、砲弾の穴に逃げ込み、敵兵が頭の上を飛び去るのをおびえながら眺めていた。そこに一人のフランス兵が降りてくる。彼は持っていた短剣でフランス兵を刺す。フランス兵はすぐには死なず、瀕死の状態で生き続けていた。二人きりの状況が続く中で、ポールは刺したことを後悔し始め、彼を介抱しようとするが、フランス兵はやがて動かなくなる。彼の胸元には妻と娘の写真があった。ポールは泣きながら遺骸に詫びる。
生き残ったポールは、フランスの娘とたわむれ、つかの間の休息を楽しむが、次の戦闘で負傷し、入院することになる。奇跡的に回復したポールは、故郷に戻る。母校では相変わらず老教師が若者を扇動していた。老教師に若者に何か言ってやってくれと頼まれるポール。生徒達は英雄を見るようなまなざしを彼に向ける。しかしポールは、戦場がいかにむなしいものかを語ることしかできなかった。戦争を知らない生徒達はポールを臆病者と罵る。ポールは戦地に戻る。
そこにはかつてのポールのような新米兵がいた。彼はすっかりベテラン兵になっていた。ポールは戦地でカチンスキーと再会する。二人は再会を喜ぶが、敵の戦闘機の爆撃により、カチンスキーは足を負傷し、命を落としてしまう。気力なく塹壕に待機していたポールは、目の前に蝶がとまっているのを見て、蝶に手を伸ばす。その彼を、遠くからフランス軍の狙撃兵が狙っていた。銃声が聞こえ、ポールの手は動かなくなるのだった。

ドイツ兵を主人公にしたアメリカ映画という珍しい形態。アメリカ映画らしく、ドイツ人たちはみな、英語を話す。第二次世界大戦前の古い作品だが、兵士達が次々と撃ち殺され、爆撃で吹き飛ばされた兵士が、もげた手だけになるといった描写は、それなりに迫力がある。両軍がただただ殺し合う殺伐としたシーンと、コメディのような休暇のシーンとの緩急があり、細かい挿話をつなぎ合わせたような作風になっている。のちの戦争映画にも影響を与えたであろう、近代戦争映画の古典のような作品だった。

【5段階評価】3

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2019年3月16日 (土)

(1848) 必死剣 鳥刺し

【監督】平山秀幸
【出演】豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、岸部一徳、村上淳、関めぐみ、戸田菜穂
【制作】2010年、日本

藤沢周平の時代小説の映画化作品。藩主の悪政に翻弄される剣の達人の運命を描く。

能舞台を楽しむ海坂藩の一同。能が終わり、藩主の右京太夫(村上淳)に続き、側室の連子(関めぐみ)が退くところを、兼見三左エ門(豊川悦司)が追いつき、振り向きざまに連子を刺し殺す。斬首は免れないと思われたが、中老の津田(岸部一徳)が読み上げた沙汰は、1年の閉門と石高の削減だった。屋敷に戻った兼見は納屋にこもり、めいの里尾(池脇千鶴)が世話をする。
兼見が連子を視察したのには訳があった。右京太夫が連子に入れあげ、連子は緊縮財政を敷くべき藩政に口出しをしていた。さらには右京太夫に諫言をした家来に切腹をさせたり、圧政に耐えかねた農民の主導者を打ち首にさせたり、非道を尽くす。唯一、右京太夫に意見を言うことのできる御別家の帯屋隼人正(吉川晃司)の忠告にも右京太夫は耳を貸さない始末だった。愛する妻を病で亡くした兼見は、斬首を覚悟して連子を殺し、藩主を諫めようとしたのだった。
やがて兼見は閉門を解かれ、やがて藩主のお付きとなる。驚く兼見だったが、津田によれば、右京太夫は連子のいいなりになっていたことを後悔しており、兼見に感謝しているのだと言う。その割には、藩主は兼見に対して顔も見たくないと言うのだった。ある日、津田は兼見を呼び、御別家の帯屋が藩主の命を狙っているから守ってもらうためにお付きにしたのだ、という事情を告げる。兼見は必死剣鳥刺しという、誰も見たことのない剣術を自ら編み出していた。自分の死を予感した兼見は、めいの里尾にほかの男と結婚するよう勧めるが、里尾は兼見とともにいたいと胸の内を告げる。その夜、二人は結ばれる。兼見は里尾を知り合いのいる里に送り出し、必ず迎えに行くと約束する。
そしてついに、帯屋が右京太夫の屋敷にやってくる。兼見はその相手をする。戦いは互角だったが、斬りかかった帯屋の刀の柄の溝に自分の刀を差し込んで振り上げる。すると帯屋の刀は欄間に刺さって一瞬刀を振り下ろせなくなる。その瞬間、兼見は帯屋に刀を突き立て、彼を討ち取る。それを見守った津田は鳥刺しをしかと見た、と喜ぶが、なんと彼は、家臣に対して、乱心で帯屋を斬り殺した兼見を討ち取れ、と命じる。全ては津田の策略だった。兼見が連子を斬ったとき、右京太夫は彼を斬首にせよと命じた。津田は、いずれ帯屋が右京太夫に刃を向けたとき、相手ができるのは兼見だけだから彼を切り捨てず、活用してから斬ればいい、と右京太夫に持ちかけていたのだ。兼見は真相を悟り、群がる家臣を振り払うが、何度も斬られ、ついに動かなくなる。家臣が兼見が事切れたことを確認すると、津田は動かない兼見に勝ち誇ったように語りかける。刹那、津田の体を兼見の刀が貫く。これこそが必死剣鳥刺しだった。津田は事切れ、右京太夫は狂ったように家臣に兼見を斬れと命じ、ついに兼見は息絶える。
里では兼見の子を産んだ里尾が、来るはずのない兼見の迎えを待つのだった。

始めは剣術のシーンは全くなく、静かに過ぎていくが、後半に戦いのシーンが展開する。兼見と帯屋のシーンは、本当に真剣な斬り合いか、と思うような芝居がかった「ため」が目に付くものの、まだ見ることができたのだが、後半は、手負いで瀕死の兼見に腰の引けた家臣達が全く歯が立たず、うろうろするだけ。そして、家臣が事切れました、と確認しておきながら、なぜか復活して津田を刺し殺す。しかも観ている側は「これは最後に来るな」と完全に読めてしまっているので、意外さもない。ラストシーンも、藩主は死なないし、里尾が何も知らされずに兼見の迎えを待つだけという、なんとも救いのない後味の悪さが残り、気持ちのいい作品ではなかった。
里尾(りお)なんていうかわいい名前の女性が本当にこの時代にいたのだろうか、というのもちょっと気になった。

【5段階評価】3

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2019年3月15日 (金)

(1847) ハドソン川の奇跡

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー、マイク・オマリー
【制作】2016年、アメリカ

ハドソン川に事故機を不時着させたパイロットの運命を描いた作品。

USエアウェイズ1549便が離陸直後、バードストライクによって両エンジンが停止。機長のチェスリー・サレンバーガー(トム・ハンクス)は管制塔の指示により、ラガーディア空港への帰還を試みるが間に合わないと判断、真冬の1月のハドソン川への不時着を試み、成功させる。乗客乗員155名は、全員救出された。
チェスリーは一躍英雄ともてはやされるが、国家運輸安全委員会(NTSB)は、実は左エンジンは動いていたといった調査結果や、ラガーディア空港やテターボロ空港に戻れたはずだというシミュレーション結果をもとに、チェスリーの判断に疑義を示す。チェスリーは憔悴し、妻のローリー(ローラ・リニー)や娘達とも会えない日々を過ごす。
公聴会の日。航空シミュレーターによって、ラガーディア空港やテターボロ空港に戻ることができたという結果が再度映像で示される。公聴会の進行役のチャールズ・ポーター(マイク・オマリー)は何の意味があるのか、といらだつが、チェスリーは、このシミュレーションには人的要素がない、と告げる。チェスリーは過去にないほどの低空でエンジンが停止し、何の指示もない中で取った行動であることを強調。シミュレーターの操縦士は、バードストライク直後に管制塔の指示により直ちに空港に向かっており、しかも、一人の操縦士はシミュレーターに乗り込む前に17回も事前練習をしていたというのだ。チャールズは、バードストライク後に35秒の空白期間を入れてシミュレーションをする必要があることを認め、シミュレーションをやり直す。すると今度は、どちらの空港にもたどり着けず、途中で墜落してしまうという結果が示された。公聴会では、続いてボイスレコーダーの録音の確認が行われた。そこからは、チェスリーと副機長のジェフ・スカイルズ(アーロン・エッカート)が取り得るあらゆる手段を試みた結果、ハドソン川に着水するという懸命な判断をしたことが明らかになる。委員会の調査員エリザベス・デービス(アンナ・ガン)は、発見された左エンジンを調べた結果、完全に破損しており、動いていたはずという調査は誤りであったことを認めると、チェスリーの存在がなければ墜落は防げなかった、とチェスリーを賞賛する。チェスリーは、全員の行動の結果であったとそれを否定する。エリザベスは、ジェフに「何か付け加えることは。違う方法をとりますか、もしまた同じ状況になったら」と尋ねる。ジェフは意外にも「はい」と答え、続けて「やるなら7月に」と言って会場を笑わせるのだった。

奇跡の生還劇を、NTSBの公聴会でつまびらかにしていく話の流れはうまく、ハリウッド映画のような抱き合って喜ぶという感動の爆発ではなく、むしろ淡々と静かな感動を描いているところが秀逸。さすがはクリント・イーストウッド監督。ただ、客室乗務員に川に飛び込ませられる乗客が一人いたのは、何だったんだろうか。早く、とせかされて飛び込んだあげく、そんな人は他に誰もいないという理不尽さ。かわいそうだった。

【5段階評価】4

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2019年3月14日 (木)

(1846) エントラップメント

【監督】ジョン・アミエル
【出演】ショーン・コネリー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ビング・レイムス、ウィル・パットン
【制作】1999年、アメリカ、イギリス、ドイツ

美術品を狙う泥棒と保険会社の女性調査員の駆け引きを描いたロマンティックなサスペンス作品。

高層ビルの一室に飾られたレンブラントの絵が、黒ずくめの何者かに盗まれる。保険会社の美人調査員、ジン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、オークション会場にいた伝説の怪盗、マック(ショーン・コネリー)を発見。彼に囮捜査をしかけることにする。
マックはジンとともに、赤外線センサーで厳重に防護された黄金のマスクを盗む計画を立て、実行する。しかし、マックは、ジンが保険会社のクルーズ(ウィル・パットン)と連絡を取っていることを知っており、彼女を厳しく問いただす。ジンはマレーシアのペトロナスツインタワーに侵入し、2000年の年明けの瞬間にコンピューターが一時的にシャットダウンされるときに口座の大金を奪う計画をもちかける。二人は再び相棒となる。計画を進めるうち、二人の間に恋が芽生える。計画はなんとか成功し、二人は大金を手に入れる。ところが実は、ジンこそが本物の泥棒で、マックはFBIであるティボドー(ビング・レイムス)に協力してジンを捉えようとしていたのだった。しかし、ジンに魅せられていたマックはジンにこっそりと拳銃を手渡してジンの逃走を手助け。一度逃げたジンは再びマックのもとに戻る。二人は抱き合い、次の盗みの計画を話し合うのだった。

途中までは面白いサスペンスのように思えるのだが、段々とおじさんが美女に愛されるという男性の欲望をそのまま映像化したようなご都合主義の展開が鼻につき、最終的には「はいはいよかったですね」という冷めた感想を持つに至る作品だった。キャサリン・ゼタ=ジョーンズの美貌をただただ楽しむ作品と割り切った方がよさそうだった。

【5段階評価】3

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2019年3月12日 (火)

(1845) 横道世之介

【監督】沖田修一
【出演】高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、余貴美子、きたろう、國村隼
【制作】2013年、日本

吉田修一の同名小説の映画化作品。長崎から上京した青年の生き様を描いている。

法政大学に入学した横道世之介(高良健吾)は、入学式で倉持一平(池松壮亮)と知り合い、友人となる。世之介はガイダンスで知り合った阿久津唯(朝倉あき)とクラブ紹介を見て回っていると一平に再会。一廃と唯は付き合い始め、やがて唯は妊娠し、二人は結婚する。
世之介はお嬢様の与謝野祥子(吉高由里子)と親しくなり、二人は付き合い始める。やがて世之介は、ホームに転落した人を助けようとして命を落としてしまい、祥子は、世之介の母親(余貴美子)から荷物を受け取る。それは、世之介と祥子が初めてキスをしたクリスマスの日に祥子が描いた絵を包み紙にして、彼の撮影した写真が収められていた。

長い。そして意味がよく分からない。観ながら「この映画は一体何を言いたいんだ」と3回は独り言を言った。1.5時間の作品ならまだ許せるが、この内容を2.5時間以上の作品にして伝える意味が、私には分からなかった。大きな感動があるわけでもなく、感情が揺さぶられるわけでもなく、希有な人生を描いているわけでもない。最も、ホームに転落した人を助けようとして命を落とすのは相当に希有だが、そのシーンは映像としては描かれていないので、あまり悲しみや無常観も伝わってこない。何を見せられたんだろう、というモヤモヤの残る作品だった。

【5段階評価】2

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2019年3月11日 (月)

(1844) カメラを止めるな!

【監督】上田慎一郎
【出演】濱津隆之、しゅはまはるみ、秋山ゆずき、長屋和彰、竹原芳子、真魚
【制作】2017年、日本

ゾンビ番組撮影の顛末を明かすコメディ。サスペンスものと言ってもいいようななぞ解き風の展開が魅力。

序盤は30分超のワンカット撮影によるゾンビもの。ゾンビ役の神谷和明(長屋和彰)が若い女優、松本逢花(秋山ゆずき)を襲うシーンの撮影。ダメ出しをした監督役の日暮隆之(濱津隆之)は、スタッフに廃墟の施設の屋上に血糊をまくよう命じる。スタッフ役の中年女性、晴美(しゅはまはるみ)は、施設は肢体を蘇らせる実験場だったという都市伝説の話をする。すると、外で悲鳴が聞こえ、助監督役の男(市原洋)が本物のゾンビ(細井学)に襲われ、ゾンビ化して俳優に襲いかかる。監督はそれをそのまま撮影し始める。監督はゾンビを復活させ、それを撮影に取り入れるという暴挙に出ていた。神谷は助監督ゾンビを建物の外に誘導し、ドアを閉める。録音係の山越俊助(山崎俊太郎)はずっとドアの近くに力なく座り込んでいたが、突如、「ちょっと」といって屋外に出てゾンビに襲われてしまう。監督は建物の中に録音係ゾンビを放り込み、3人が慌てるシーンを撮影。晴美がゾンビの首をはね、外に出て車で逃げようとするが、今度は助監督ゾンビが襲いかかる。逢花は逃げ惑い、再び建物に逃げ込む。ところが、逢花の足に噛まれたような傷があるのを見た晴美は、興奮して逢花に襲いかかる。逢花はまたも屋外に逃げ、建物の屋上に上る。それを追った晴美の脳天に、逢花を助けようとした神谷が斧をたたきつけて殺害。ところが神谷は晴美ゾンビに襲われてしまう。それを見て逢花は絶叫し続ける。しばらくして、序盤の撮影シーンと同様、ゾンビと化した神谷が逢花に襲いかかる。神谷は何度か動きを止めるが、ついに逢花は神谷ゾンビの首をはねる。監督はそれを見て、筋書き通りにしろ、と逢花に激怒するが、逢花は監督に襲いかかり、監督を斧で滅多打ちにすると、血まみれになった顔で力なく屋上を歩く。血糊で描かれた魔方陣の中心まで進んだ逢花をカメラが情報から捉え、エンドロールが流れる。
そして話は一ヶ月前に遡る。ゾンビ専門チャンネルの開局にともない、そこそこの仕事をする撮影監督の日暮のもとに、30分ノーカット生中継のゾンビ番組の依頼が入る。主演の神谷はいろいろと内容に口出しをし、逢花もまた設定にNGを連発。気の弱い日暮は言われるがままに妥協する。日暮の妻は晴美だった。元女優の晴美は、日暮の番組の脚本を何度も読み込み、内容をすっかり把握しており、一人娘の真央(真魚)もまた、神谷ファンだったため、脚本を読んでいた。撮影当日。カメラマン役の細田は酒がやめられず、差し入れの酒を飲んで泥酔。さらにスタッフ役の女性が現場に到着できない事態に。困った日暮は、自ら監督役を行うことにし、スタッフ役は妻の晴美がやることになる。ドタバタ状態の中、番組はスタート。
ここから、序盤のワンカットシーンの伏線が見事に回収されていく。主演の二人に切れまくる監督の言葉は、アドリブ混じりの本気の罵倒で、目薬で涙を見せるはずだった逢花は、ショックで本当の涙を流す。どこか演技の古くさい晴美は、元女優だから演技が下手だったのだ。ゾンビ役の細田が助監督役の山越に吹きかけた吐瀉物は本物のゲロだし、録音係が外に出たのは撮影前に飲んだ水のせいで腹を下し、トイレを我慢できずに外に出ていたのだった。途中でカメラが倒れたままになったのは、腰痛持ちのカメラマン(山口友和)が腰を痛めて動けなくなったためで、撮影を希望していた助手の松浦(浅森咲希奈)が交代していたのだった。晴美が逢花に襲いかかったのは、晴美が撮影に没頭しすぎて我を忘れてしまったためで、廃屋に身を潜めた逢花のもとに突如現れたゾンビ姿は、逢花に廃屋を出たところで斧を拾え、というカンペを出しているスタッフだった。逢花が斧を拾って棒読みのようなセリフをつぶやいたのもそのせいだった。屋上まで逢花を追いかけた晴美を日暮は羽交い締めにして昏倒させ、斧を頭にはめ込んでいた。そのため、逢花の絶叫シーンは無駄に長かったのだった。そして最後の情報からの撮影シーン。カメラ用のクレーンが騒動によって使えなくなったため、現場にいた撮影陣が人間ピラミッドで台を作ることになり、その段取りに手間取ったために日暮が何度も神谷にストップをかけていたのだった。最後のシーンは人間ピラミッドの上に立った日暮が真魚を肩車し、真魚が撮影していた。それはまるで、幼い真央が父親に肩車されて嬉しそうにしている姿のようだった。
こうしてぐだぐだなシーンはありながらも何とか番組は形になり、プロデューサーの笹原芳子(竹原芳子)はご満悦の表情で打ち上げに向かう。現場は撮り終えた安堵と心地よい疲労感と一体感が漂うのだった。

序盤の素人臭い演技や奇妙な間、無駄なやりとりに全て意味があり、それが後半で回収されていく様子が快感。2回観たくなる作品。エンドロールでは、実際の撮影シーンをさらに撮影しているドキュメンタリー風の映像が流れており、徹底したサービス精神を感じた。こういうのはジャッキー・チェンのエンドロールにも通じるところがあった。
今回のテレビ放送では副音声で監督と出演者が裏話を披露しており、それも面白かった。
唯一、細田が逢花にゲロをぶちまけるシーンがちょっと中途半端でよく分からなかったのは残念だったが、30分ワンカットという条件では、それもまた仕方のないところだろう。

【5段階評価】4

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2019年3月10日 (日)

(1843) デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー

【監督】チャールズ・デ・ラウジリカ
【出演】リドリー・スコット、ハリソン・フォード、ダリル・ハンナ、ルトガー・ハウアー
【制作】2007年、アメリカ

伝説的なSF映画、「ブレードランナー」の制作の裏側を追ったドキュメンタリー。

リドリー・スコット監督のこだわりから制作が難航した本作。主役のハリソン・フォードは「スター・ウォーズ」や「レイダース 失われた聖櫃」などの出演で飛ぶ鳥を落とす勢いの俳優。彼のスマートさが強調される。アンドロイドを演じたダリル・ハンナやルトガー・ハウアーの苦労や、スタントマンの準備が十分にできなかったといった裏話も明かされる。

ブレードランナー・ファンは必見の作品だが、そうでもなければちょっと退屈。映画作りの大変さを知ることはできた。

【5段階評価】2

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2019年3月 8日 (金)

(1842) アゲイン 28年目の甲子園

【監督】大森寿美男
【出演】中井貴一、波瑠、柳葉敏郎、和久井映見、西岡德馬、門脇麦
【制作】2015年、日本

重松清の小説の映画化作品。甲子園の夢を絶たれて大人になった元高校球児たちがマスターズ甲子園を目指す姿を描く。

川越学院野球部のキャプテンだった坂町晴彦(中井貴一)は、女子大生の戸沢美枝(波瑠)の訪問を受ける。彼女はマスターズ甲子園のボランティアをしており、坂町をマスターズ甲子園に誘いに来たのだった。彼女の父親は、坂町の野球部時代のチームメイト、松川だった。松川は高校時代、暴力沙汰を起こし、チームは地方予選決勝を辞退することになっていた。松川は震災で亡くなっていた。坂町はマスターズ甲子園の出場を決意。チームメイトでピッチャーだった高橋直之(柳葉敏郎)を誘う。坂町は離婚しており、一人娘の沙奈美(門脇麦)は仕事一筋で母親を顧みなかった父親を恨んでいた。
川越学院は緒戦を勝利し、祝賀会を開く。ところがその場で、美枝が松川の娘だと言うことを知った柳田(西岡德馬)は、松川がマネージャーをはらませた上に暴力事件を起こしたことをなじる。美枝はそのことを知ってショックを受け、打ち上げの店を飛び出す。坂町は美枝をなだめ、家に泊める。美枝は、かつて父親が年賀状に「一球入魂」と書いているのを見て、「一球人魂(ひとだま)ってなに? 」と勘違いした質問をして父親に笑われた思い出話をする。坂町もまた、仕事に打ち込むあまり、父親の介護に疲れた妻を思いやってやれず、娘にも嫌われていることを打ち明ける。
美枝のもとに、川越学院のマネージャーだった立原裕子(和久井映見)からの連絡が入る。裕子は試合を終えた川越学院のメンバーの前に美枝とともに現れ、松川との間に起きた事件の顛末を語る。彼女が妊娠して中絶したことは事実だった。しかし、相手は松川ではなく、松川が殴った男だった。その男は美枝を妊娠させた責任を取ろうとせず、川越学院を侮辱していたのだった。松川は、相手が他校の男子であることが知れたら余計におおごとになるからと言って、自分と裕子が付き合っていたことにし、野球部員の恨みを一人で買って出ていたのだった。坂町は真実を話してくれた裕子に感謝の言葉を述べる。
川越学院は決勝に進み、見事に勝利する。坂町と美枝は松川の墓参りをする。すると松川の知り合いが二人に声をかけ、松川が大事にしていたというグローブを手渡す。グローブには「一球入魂」ではなく「一球人魂」と書かれていた。娘との思い出を大事にしていた松川の思いを知り、美枝は涙する。
坂町は沙奈美に会いに行き、甲子園に出ることになったから見に来てほしいと言って新幹線のチケットを渡すが、沙奈美は、自分は父親を思い出すからソフトボールをやめたのに、今さら何を言っているんだ、と言ってチケットを地面にたたきつけ、立ち去る。
甲子園での初戦。川越学院は惨敗。最後に自分の大事な人を招いてのキャッチボールイベントが行われる。坂町は美枝とキャッチボールをする予定だったが、遅れて現れたのは沙奈美だった。甲子園に来ていたのだ。二人はぎこちなくキャッチボールを始め、やがて沙奈美の顔に笑みが浮かぶ。
坂町は再び美枝に会い、約束だったキャッチボールをするのだった。

ストーリーはなかなか感動的。どうしても俳優のぎこちない野球の動作が気になってしまった。野球経験のない中井貴一は仕方ないとしても、柳葉敏郎は草野球をやっているのに、どうして今ひとつ女投げみたいなナヨナヨしたフォームになるのか、不思議だ。

【5段階評価】3

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2019年3月 6日 (水)

(1841) はなちゃんのみそ汁

【監督】阿久根知昭
【出演】広末涼子、滝藤賢一、赤松えみな、一青窈、平泉成、原田貴和子
【制作】2015年、日本

乳がんを患った女性の運命と家族との絆を描いた作品。

西日本新聞の貴社、安武信吾(滝藤賢一)のもとに、大学院生の松永千恵(広末涼子)が取材にやってくる。信吾は一目惚れし、交際が始まる。ところが千恵に悪性の腫瘍が見つかり、千恵は右の乳房を全摘。抗がん剤治療のため、出産は諦めてほしいと医者に告げられる。信吾は悲しみながらも千恵に求婚。信吾の母親(高畑淳子)は反対するが、二人は結婚する。当人の予想に反し、千恵は妊娠。出産は癌再発のリスクが高まるため、千恵は産めないと考えるが、夫の期待、そして父親(平泉成)の死んでも産めという言葉に押され、出産する。案の定、癌は再発するが、懸命の努力により、千恵は癌を克服する。産まれた娘は、はな(赤松えみな)と名付けられ、すくすくと育つ。千恵ははなに料理を教え、はなは幼い頃からみそ汁を作る担当となる。主治医の片桐(原田貴和子)は千恵を支援し、定期的な検査を勧めるが、再発を知るのが怖い千恵は、片桐医師からの連絡を握りつぶす。園結果、千恵の癌は全身に転移し、もはや延命は絶望的だった。
音楽を志していた千恵は、知人に招かれ、コンサートに出演し、はなに歌を送る。千恵は33歳の若さで旅立ち、はなと信吾は二人で生きていくのだった。

ラストのコンサートのシーンが感動的。信吾がキザすぎず、それでいて純粋に千恵の癌に向き合い、素直に感動できる作品だった。歌手の一青窈が千恵の姉役で出演しており、主題歌も担当している。

【5段階評価】3

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2019年3月 5日 (火)

(1840) シャイアン

【監督】ジョン・フォード
【出演】リチャード・ウィドマーク、キャロル・ベイカー、ギルバート・ローランド、パトリック・ウェイン
【制作】1964年、アメリカ

アメリカの原住民シャイアン族とアメリカ軍との闘争を描いた作品。

アメリカ軍と戦ったシャイアン族は数を減らし、政府の援助もない。彼らは自分たちのふるさとに移動を始める。アメリカ軍のトーマス・アーチャー大尉(リチャード・ウィドマーク)は、シャイアン族に英語を教えているデボラ(キャロル・ベイカー)にプロポーズするが、彼女はシャイアン族とともに去ってしまう。アーチャー大尉はシャイアン族を追うが、シャイアン族の血の気の多い青年、レッド・シャツ(サル・ミネオ)は彼らに攻撃をしかける。アーチャーは応戦せざるを得なくなる。ダッジシティのワイアット・アープ(ジェームズ・スチュワート)らもシャイアン族を追い立てる。
シャイアン族は飢えと寒さに苦しめられ、ダル・ナイフ(ギルバート・ローランド)率いるシャイアン族は、ロビンソン砦に投降する。しかし、政府はシャイアン族を倉庫に閉じ込め、砦から出ていくように指示。シャイアン族は倉庫を打ち破ってアメリカ軍兵士との戦闘。生き残った者は洞窟に閉じこもる。アーチャーは内務長官カール・シュルツ(エドワード・G・ロビンソン)を連れて彼らに丸腰で説得に入り、ついに軍とシャイアン族は融和する。シャイアン族のリトル・ウルフ(リカルド・モンタルバン)はレッド・シャツを射殺すると、ダル・ナイフに一族の証を譲るのだった。

インディアンを単なる悪者としてではなく、弾圧に苦しめられる存在として描いている。史実に基づいているせいか、今ひとつ抑揚に欠けたが、歴史を知ることができるという点では意味のある作品。

【5段階評価】3

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2019年3月 2日 (土)

(1839) ワイアット・アープ

【監督】ローレンス・カスダン
【出演】ケビン・コスナー、ジョアンナ・ゴーイング、デニス・クエイド、ジーン・ハックマン
【制作】1994年、アメリカ

実在の保安官、ワイアット・アープの波乱に富んだ人生を描いた作品。

父親(ジーン・ハックマン)から、法を無視する者には先に攻撃しろ、という教えを受けて育ったワイアット・アープ(ケビン・コスナー)は、法律家を目指し、美しい娘、ユリラ(アナベス・ギッシュ)と結婚。ところが彼女は腸チフスにかかってしまい、妊娠直後に亡くなってしまう。自暴自棄になったワイアットは、思い出の残る自宅に火を付け、酒浸りの宿無しとなり、収監されてしまう。弁護士の父親はワイアットを牢屋から出し、脱走させる。
ワイアットは酒を断ち、マスターソン兄弟を仲間にし、野牛の皮はぎで生計を立てる。ある日、酒場で銃を持って暴れた暴漢をワイアットが手際よく倒したことから、ワイアットはダッジシティの保安官助手に任命される。血の気の多いワイアットは法を犯す者にあまりにも容赦がなく、市長に解雇されてしまう。マスターソン兄弟の兄、エド(ビル・プルマン)が保安官を務めるが、張り切りすぎた彼はならず者に逆恨みされ、撃ち殺されてしまう。ワイアットは新田に仲間にしたドク・ホリディ(デニス・クエイド)らとともにトゥームストーンに移り、銀鉱山での一攫千金を狙いつつ、副業で保安官を始める。その町にはクラントン兄弟という悪党がおり、ワイアットを倒すと挑発。ワイアットは仲間とともに彼らの銃を奪いに向かうが、抵抗されたために撃ち合いとなる。相手の何人かは死亡するが、ワイアットは裁判で無罪となる。
ところがワイアットらが酒場にいると、クラントン一味が報復攻撃をし、ワイアットの弟のモーガン(リンデン・アシュビー)が死亡、兄のバージル(マイケル・マドセン)も片腕を切断するほどの大けがをする。ワイアットはカリフォルニアへの移住を決意。途中の駅でクラントン一味が待ち伏せしているという情報を得たワイアットは、そのうちの一人を撃ち殺し、その後も敵討ちを続け、一味を全滅させる。
ワイアットは妻となったジョージー(ジョアンナ・ゴーイング)とアラスカに渡る。その船の上で、かつて叔父の命をワイアットに助けてもらったという青年がワイアットに声をかけてくる。彼は、収監した男を殺そうと保安官の詰め所に大量に現れた男達を見事なタンカで追い返していたのだった。ワイアットは妻と幸せに暮らし、生涯を閉じるのだった。

実在の人物を描いた作品で、映像としては本格的な作品なのだが、なんだか展開に今ひとつ抑揚がなく、人物同士の愛憎関係もなんだかよくわからなかった。史実を詰め込んでいるから仕方ないとも言えるが、もう少しメリハリをつけてほしかった。

【5段階評価】3

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2019年3月 1日 (金)

(1838) マッチスティック・メン

【監督】リドリー・スコット
【出演】ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル、アリソン・ローマン、ブルース・マッギル
【制作】2003年、アメリカ

詐欺を生業とする男の運命を描いたコミカルサスペンス。

極度の潔癖症の詐欺師、ロイ(ニコラス・ケイジ)は、若いフランク(サム・ロックウェル)を相棒にし、詐欺を働いていた。ある日、常飲している薬が切れ、職場に行けなくなってしまい、心配になったフランクはロイに知り合いの医者クレイン(ブルース・アルトマン)を紹介する。ロイはクレインに、別れた妻がいること、妻が妊娠していたことを話す。クレインは妻に連絡を取ってみることを勧めるが、ロイは電話を試みるも話すことができず、クレインに話を聞き出してもらうよう頼む。クレインによれば、妻は相変わらずロイに会う気はないが、14歳になった娘が父親に会いたがっているということだった。ロイは不安になりながらも待ち合わせ場所に向かい、アンジェラ(アリソン・ローマン)を発見する。アンジェラはロイが気に入り、家出をしてロイの家に転がり込む。ロイは、始めはアンジェラに自分の仕事を古物商と言っていたが、ロイの家にある犬の置物の中に大金と拳銃が隠されていることを見つけたアンジェラはロイを追及。ロイは詐欺師をしていることを告白する。アンジェラは興味を持ち、ロイに詐欺の仕方を教えてもらう。アンジェラには詐欺の才能があった。
その頃、ロイとフランクは、フランクの知り合いのチャック(ブルース・マッギル)から金をだまし取る作戦を計画していた。ロイがアンジェラとボウリングを楽しんでいたとき、フランクからロイに連絡があり、急遽、チャックの金の奪取を実行に移すことになる。ロイはアンジェラを置き去りにできず、仕方なく車に同乗させて現場に向かうと、アンジェラに計画の手伝いをさせる。計画は成功し、アンジェラが大声で店員に叫んでいる隙にロイがチャックのバッグをすり替え、金の奪取に成功する。ロイはアンジェラと駐車場から車を出そうとするが、そのまま飛行機に搭乗するはずだったチャックがロイとアンジェラの車に突進してくる。ロイは慌てて車を走らせ、何とかチャックをまく。集合場所でフランクと落ち合ったロイは、チャックを飛行機に乗ることを確認しなかったフランクを責める。フランクは警察に追われる心配をするが、ロイは自分たちは警察のやっかいになったことがないから安全だ、と彼をなだめる。しかし、フランクはアンジェラを疑う。ロイは念のため、アンジェラに警察の世話になったことがないか確認する。なんとアンジェラは逮捕歴があり、1年前に写真や指紋を警察に採られたことがあると告白。ロイは足を洗うことを決意し、分け前も拒絶する。しかし、ロイがアンジェラと家に戻ると、そこには血を流したフランクと銃を持ったチャックがいた。チャックはアンジェラが映った監視映像と彼女の逮捕歴をもとにアンジェラの身元を割り出し、母親からロイの家の住所を聞き出していたのだった。チャックはロイに金を要求。ロイは犬の置物のほうに向かうが、チャックはアンジェラに金を出させるよう指示する。アンジェラは金ではなく拳銃を構えてチャックの前に現れると、おびえながら発砲。チャックは血を流して倒れてしまう。フランクはチャックの容態を確認し、もう助からないと告げる。ロイはフランクにアンジェラを母親のもとに送り届けるよう告げると、チャックを片付けようとする。ところがチャックの遺体はなく、突如、後ろからチャックに殴られ、昏倒する。
目が覚めると、ロイはベッドの上に横たわっており、部屋の中には二人の刑事がいてロイにフランクやアンジェラのことを尋ねてくる。チャックはロイの家の前で倒れていたとのことだった。ロイはクレイン医師を呼ぶことを要求。現れたクレイン医師に貸金庫の暗証番号を告げ、アンジェラに伝えてほしいと頼む。クレインはその頼みを聞き入れ、部屋を立ち去る。
眠っていたロイが目を覚ますと部屋の中は蒸し暑くなっていた。ロイは部屋を出る。そこは警察でも病院でもなく、ビルの屋上の一室だった。彼は騙されていた。ロイは別れた妻の元に向かい、アンジェラは無事かを尋ねるが、妻は自分は流産したと告げる。ロイはショックで崩れ落ちる。そう、フランク、クレイン、チャック。そしてアンジェラ。全員がぐるだったのだ。
ロイは更正し、カーペット店で真面目に働くようになっていた。そこに客として、偶然アンジェラが現れる。二人は互いに驚くが、ロイはアンジェラを責め立てることはしなかった。二人は少し話をする。アンジェラはもう詐欺はしていないと言った。ロイはそのままアンジェラが彼氏と買物をして店を出て行くところを見送る。帰宅したロイの家には、ロイの行きつけのスーパーのレジ打ちのキャシー(シーラ・ケリー)と暮らしており、彼女のお腹には新しい命が宿っているのだった。

コミカルな犯罪ものかと思ってみていると、14歳の少女が誤って男を撃ち殺すという超シリアスな事態に急展開。そこからさらに、全てはロイを騙す大がかりな詐欺だったことが判明。思い返せば、あれもこれも若干不自然だ、と納得がいく。フランクが仕掛けた大がかりな詐欺計画。ロイにすぐになつき、家に転がり込むアンジェラ。彼女の詐欺のセンス。ロイはアンジェラを家の近くまで送るが、母親といるところは一度も見ていない。自分は見事に騙された。結局誰も死んでおらず、フランクは一文無しにはなるものの、新しい幸せを掴むことに成功しており、後味は悪くない。最後のどんでん返しにスカッとする、なかなかいい脚本だった。

【5段階評価】4

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