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2019年3月16日 (土)

(1848) 必死剣 鳥刺し

【監督】平山秀幸
【出演】豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、岸部一徳、村上淳、関めぐみ、戸田菜穂
【制作】2010年、日本

藤沢周平の時代小説の映画化作品。藩主の悪政に翻弄される剣の達人の運命を描く。

能舞台を楽しむ海坂藩の一同。能が終わり、藩主の右京太夫(村上淳)に続き、側室の連子(関めぐみ)が退くところを、兼見三左エ門(豊川悦司)が追いつき、振り向きざまに連子を刺し殺す。斬首は免れないと思われたが、中老の津田(岸部一徳)が読み上げた沙汰は、1年の閉門と石高の削減だった。屋敷に戻った兼見は納屋にこもり、めいの里尾(池脇千鶴)が世話をする。
兼見が連子を視察したのには訳があった。右京太夫が連子に入れあげ、連子は緊縮財政を敷くべき藩政に口出しをしていた。さらには右京太夫に諫言をした家来に切腹をさせたり、圧政に耐えかねた農民の主導者を打ち首にさせたり、非道を尽くす。唯一、右京太夫に意見を言うことのできる御別家の帯屋隼人正(吉川晃司)の忠告にも右京太夫は耳を貸さない始末だった。愛する妻を病で亡くした兼見は、斬首を覚悟して連子を殺し、藩主を諫めようとしたのだった。
やがて兼見は閉門を解かれ、やがて藩主のお付きとなる。驚く兼見だったが、津田によれば、右京太夫は連子のいいなりになっていたことを後悔しており、兼見に感謝しているのだと言う。その割には、藩主は兼見に対して顔も見たくないと言うのだった。ある日、津田は兼見を呼び、御別家の帯屋が藩主の命を狙っているから守ってもらうためにお付きにしたのだ、という事情を告げる。兼見は必死剣鳥刺しという、誰も見たことのない剣術を自ら編み出していた。自分の死を予感した兼見は、めいの里尾にほかの男と結婚するよう勧めるが、里尾は兼見とともにいたいと胸の内を告げる。その夜、二人は結ばれる。兼見は里尾を知り合いのいる里に送り出し、必ず迎えに行くと約束する。
そしてついに、帯屋が右京太夫の屋敷にやってくる。兼見はその相手をする。戦いは互角だったが、斬りかかった帯屋の刀の柄の溝に自分の刀を差し込んで振り上げる。すると帯屋の刀は欄間に刺さって一瞬刀を振り下ろせなくなる。その瞬間、兼見は帯屋に刀を突き立て、彼を討ち取る。それを見守った津田は鳥刺しをしかと見た、と喜ぶが、なんと彼は、家臣に対して、乱心で帯屋を斬り殺した兼見を討ち取れ、と命じる。全ては津田の策略だった。兼見が連子を斬ったとき、右京太夫は彼を斬首にせよと命じた。津田は、いずれ帯屋が右京太夫に刃を向けたとき、相手ができるのは兼見だけだから彼を切り捨てず、活用してから斬ればいい、と右京太夫に持ちかけていたのだ。兼見は真相を悟り、群がる家臣を振り払うが、何度も斬られ、ついに動かなくなる。家臣が兼見が事切れたことを確認すると、津田は動かない兼見に勝ち誇ったように語りかける。刹那、津田の体を兼見の刀が貫く。これこそが必死剣鳥刺しだった。津田は事切れ、右京太夫は狂ったように家臣に兼見を斬れと命じ、ついに兼見は息絶える。
里では兼見の子を産んだ里尾が、来るはずのない兼見の迎えを待つのだった。

始めは剣術のシーンは全くなく、静かに過ぎていくが、後半に戦いのシーンが展開する。兼見と帯屋のシーンは、本当に真剣な斬り合いか、と思うような芝居がかった「ため」が目に付くものの、まだ見ることができたのだが、後半は、手負いで瀕死の兼見に腰の引けた家臣達が全く歯が立たず、うろうろするだけ。そして、家臣が事切れました、と確認しておきながら、なぜか復活して津田を刺し殺す。しかも観ている側は「これは最後に来るな」と完全に読めてしまっているので、意外さもない。ラストシーンも、藩主は死なないし、里尾が何も知らされずに兼見の迎えを待つだけという、なんとも救いのない後味の悪さが残り、気持ちのいい作品ではなかった。
里尾(りお)なんていうかわいい名前の女性が本当にこの時代にいたのだろうか、というのもちょっと気になった。

【5段階評価】3

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