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2019年1月

2019年1月31日 (木)

(1820) 撃鉄 GEKITEZ ワルシャワの標的

【監督】マイケル・オブロウィッツ
【出演】スティーブン・セガール、マックス・ライアン、アンナ=ルイーズ・プロウマン
【制作】2003年、アメリカ

重要な小包を巡って起きる、男達の命がけの戦いを描いた作品。

危険な仕事を請け負う男、ジョナサン・コールド(スティーブン・セガール)は、ある小包をバン・エイカムに届けて欲しいという依頼をマルケ(フィリップ・ダンパー)から受ける。ジョナサンには危険な男デュノワ(マックス・ライアン)が同行。彼のおばの家で小包を受け取るが、そこで複数の男が現れ、機関銃による襲撃を受ける。デュノワとともに何とか返り討ちにしたジョナサンは、バン・エイカムを探す。デュノワはマルケを殺害し、ジョナサンを追う。ジョナサンは様々な暗殺者を退けながら小包の中味を確認。中には飛行機事故の新聞記事とフライトレコーダーがあった。それはバン・エイカンの悪事の証拠だった。バンはデュノワに殺される。ジョナサンはデュノワの追撃を退け、バンの妻、メレディス(アンナ=ルイーズ・プロウマン)を守り切るのだった。

ストーリーはもっと複雑なのだが、よく分からないまま話は進んでいくが、話の展開がいい加減すぎて理解しようとする気が起きない。例えば、デュノワがマルケの屋敷に現れるシーン。何の罪もない屋敷のメイドを容赦なく殺して主人に近寄る。人が殺されているのに、二名のボディガードはそれに全く気づくことなく、デュノワの持つ銃を預かり、主人のもとにデュノワを置いて部屋から立ち去る。デュノワはマルケと会話を交わすと、足首に忍ばせた拳銃でマルケを銃殺。ボディガードもアホならデュノワを全く警戒せずに殺されるマルケもアホ。メイドを殺す必要性も全く分からない。ただ派手な演出にしたいだけ。そしてこの情け容赦ないデュノワや殺し屋達は、無関係な人々を簡単に殺す割に、ジョナサンには傷一つつけずにただ銃を突きつけて脅し、そして毎回返り討ちにあうという無能ぶり。出てくる人物出てくる人物、無警戒と無計画のオンパレードで、緊張感も何もない。「駄目な映画を盛り上げるために 簡単に命が捨てられていく」というMr.Childrenの「HERO」の歌詞に登場する駄目映画の代表のような作品だった。

【5段階評価】2

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2019年1月29日 (火)

(1819) 遙かなる山の呼び声

【監督】山田洋次
【出演】倍賞千恵子、高倉健、吉岡秀隆、ハナ肇、武田鉄矢、木ノ葉のこ、畑正憲
【制作】1980年、日本

母子で暮らす家族と、そこで働くようになった男性との交流を描いた作品。山田洋次監督の「民子三部作」の3作目。

冬の北海道中標津。母子で夕ご飯を食べている風見民子(倍賞千恵子)と武志(吉岡秀隆)の家に、見知らぬ男(高倉健)が泊めてほしいと言ってやってくる。民子は警戒しながらも物置を貸す。その夜、牛のお産があったため、民子は男は手伝ってもらう。翌日、男は礼を言って立ち去る。しばらくして、男が再び民子を訪ねてきて、給料はいくらでもいいので働かせてほしいと言ってくる。民子は迷いながらも承諾し、三人で牛飼いの仕事に精を出すようになる。男の名は田島耕作と言った。田島は物置で暮らしながら誠実に仕事に精を出す。ある日、民子をものにしようと狙っている地元の顔役、虻田太郎(ハナ肇)が現れ、民子に強引に言い寄ったため、田島は虻田を追い出す。虻田は弟二人を連れて仕返しにやってくるが、田島はそれを返り討ちにする。虻田はすっかり田島に惚れ込み、兄貴と慕うようになる。民子はいちど、作業中にぎっくり腰になり、入院することになるが、武志は田島にすっかり懐き、民子のいない母屋ではなく物置で田島と一緒に寝る。田島は枕元で、自分の父親が借金苦で自殺したという過去を語り、男は簡単に泣いてはいけない、と武志に語りかける。退院した民子は、武志とともに馬への馬の乗り方を田島に教えてもらったり、田島と一層親しくなる。
ある日、中標津の上武佐駅に一人の男が尋ねてくる。田島の兄(鈴木瑞穂)だった。実は田島は犯罪者で、逃亡中の身だったのだ。田島の兄はお土産に、とコーヒー豆とコーヒーメーカーを田島に手渡す。その夜、田島がコーヒーを入れているところに民子が現れ、田島にいつまでいてくれるのか、と尋ねる。田島は奥さんの気持ち次第だ、と答える。民子は照れくさそうに武志が喜ぶ、と言って立ち去る。田島は地元の草競馬に出場し、見事に優勝。ところがそこに警察が現れる。刑事に田島か、と尋ねられ、田島はしらばっくれるが、警察に目を付けられたことは確実だった。その夜、民子は田島に、今日から母屋で寝てほしい、寒くなるし他人とは思っていないから、と恥ずかしそうに告げる。ところが母屋で田島は、今日で辞めさせて欲しいと話し、自分が殺人犯であることを打ち明ける。民子は母屋から立ち去る田島を見送るしかなかった。ところがその夜、牛の一頭が苦しんで倒れていると田島が告げに来る。二人は獣医(畑正憲)を呼び出し、手術が始まる。民子は獣医を手伝う田島に「行かないで、渡し寂しいわ」と言って田島に抱きつく。しかし、獣医に呼ばれた田島は何も答えず、獣医の方に走っていく。翌日、田島は民子と武志に別れを告げ、パトカーに乗せられて去って行く。彼は実刑判決を受け、刑事二人に鉄道で護送される。停車中、田島を見つけた虻田が窓の外から窓ガラスを叩く。客車に乗り込んだようだった。鉄道が発車すると、彼らの席の横に、民子が現れる。田島は驚くが、二人は会話をすることができない。そこに虻田が現れ、奥さんは牛飼いを辞めて中標津の町で亭主の帰りを待っているんだって、とわざとらしく大声で話し出す。民子は一生懸命それにうなずき、虻田は思わずもらい泣きしてしまう。民子は立ち上がると、刑事に「ハンカチを渡していいですか」と尋ねる。ハンカチを受け取った田島は、窓の方を向いて必死に涙をこらえる。彼らを乗せた列車は雪原を進み続けるのだった。

高倉健と倍賞千恵子の抑制された演技が感動的。余計なエピソードがだらだらと続くわけではないが、一本調子でもない。いとこ(武田鉄矢)が新妻(木ノ葉のこ)を連れてくるエピソードも、民子の人柄を際立たせることに一役買っているし、最初は嫌な奴だった虻田が最後に自分を道化にして民子の思いを田島に伝える辺りは、心憎い筋書きだった。

【5段階評価】4

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2019年1月28日 (月)

(1818) 故郷

【監督】山田洋次
【出演】井川比佐志、倍賞千恵子、渥美清、笠智衆、前田吟
【制作】1972年、日本

広島で石の運搬をなりわいとしている夫婦を描いた作品。

瀬戸内海の島に住み、木造の砂利運搬船を運転している石崎精一(井川比佐志)と民子(倍賞千恵子)の夫婦。彼らは二人の娘を持ち、家には父の仙造(笠智衆)がいた。船は建造から18年が経っており、エンジンも不調だった。最近では鋼船の台頭もあり、金を稼ぐことが難しくなっており、精一は悩みながらも尾道の造船点検の工場で働くことを決める。
最後の日、いつものように石を運ぶ二人。仕事を終え、島の人々に見送られて尾道に向かうのだった。

特に大事件が起きるわけではなく、島の仕事で食っていけなくなった一家が本州に移り住むことになるまでが淡々と描かれている。魚屋を営む松下(渥美清)が石崎家に入り込み、多少、話に厚みを持たせているが、シンプルな展開だった。

【5段階評価】3

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2019年1月26日 (土)

(1817) レポゼッション・メン

【監督】ミゲル・サポチニク
【出演】ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、アリシー・ブラガ、カリス・ファン・ハウテン
【制作】2010年、アメリカ、カナダ

人工臓器の回収人の運命を描いたSFアクション・サスペンス。

人工臓器メーカーに勤めるレミー(ジュード・ロウ)は、冷徹な回収人。高額な人工臓器のローン返済が滞った人間から臓器を回収する。それは滞納者の死を意味していた。彼同様、凄腕のジェイク(フォレスト・ウィテカー)は、レミーのよきライバル。しかし、レミーの妻キャロル(カリス・ファン・ハウテン)は、回収人の仕事を嫌っており、販売人になることを望んでいた。
レミーは回収人として最後の仕事として、ミュージシャンのTボーンの臓器回収に向かう。Tボーンはおとなしく回収を受け入れるが、彼の胸板にAEDを近づけたとき、彼は激しい感電によって体が吹っ飛ばされ、意識を失う。
目を覚ますと、ジェイクと上司のフランク(リーブ・シュレイバー)がいた。レミーにはいつのまにか人工心臓が埋め込まれていた。レミーが回収人であることを知ったキャロルはレミーを家から追い出す。レミーは借金返済のため回収の仕事を再開するが、滞納者にメスを入れることができない。販売人もしてみるがうまくいかず、とうとう滞納の最終通告が来てしまう。ジェイクはレミーを連れて滞納者が大勢潜む「巣(ネスト)」にレミーを連れていき、回収人の仕事をさせようとするが、レミーは仕事ができず、逆に滞納者に殴られて気を失う。意識を取り戻したレミーは、ネストの中で歌手のベス(アリシー・ブラガ)に会う。彼女もまた、大量の人工臓器を移植しており、回収人に追われる立場だった。レミーはベストともに逃亡生活に入る。二人は愛し合うようになり、ベスはレミーに捨てられていたタイプライターをプレゼントする。レミーは自分のことを書き始める。やがて回収人がやってくるが、レミーは返り討ちにする。ベスも膝を負傷してしまうが、何とか自力で直す。レミーは会社に忍び込み、上司のフランクを脅して返済情報を抹消してローンを踏み倒そうとするが、フランクはデータは本社のピンクドアの奥にあると言う。レミーは海外に逃亡しようとするが、ギリギリのところでベスの膝からの出血がもとで滞納者であることがバレてしまい、失敗。ベスはネストの闇医者の治療を受けて膝を治す。二人は密航業者を訪ねるが、業者は死んでおり、そこにジェイクが現れる。ジェイクは再度、レミーに回収屋に戻ることを勧める。実はレミーの事故は、ジェイクの細工によるものだった。ジェイクはレミーが販売人になることを嫌い、わざと人工心臓をつけさせ、高額のローンによって回収人を続けざるをえなくなるようにしたのだった。レミーはジェイクと死闘を演じ、ジェイクがレミーの脳天を打ち砕こうとしたとき、ベスが背後からジェイクに麻酔銃を放つ。レミーとベスはジェイクから逃れ、ユニオン社のデータ抹消を狙い、本社に乗り込む。大勢の回収人の攻撃をかいくぐり、回収ルームに入り込んだレミーとベスは、臓器を回収済み登録する。そこにジェレミーとフランクが現れる。回収ルームの中では、レミーが最後の臓器回収登録を行っていた。フランクはレミーを殺せとジェイクに命じるが、ジェイクはフランクを抹殺。回収装置を爆破し、三人は回収ルームから脱出する。
南国の砂浜のビーチチェアでくつろぐレミー。ベスと口づけをかわす。横にジェイクがやってきてレミーに話しかける。レミーが一度伸びをして、再度ジェイクの方に顔を向けると、ジェイクは消え去っていた。レミーの記憶は人工脳によるものだった。レミーはジェイクに倒されており、レミーにはユニオン社のM5神経装置が装着されていた。ユニオン社ではフランクが、人工脳のセールストークをしている。レミーは再び、夢の世界でジェイク、ベスと楽しくくつろぐのだった。

シュレディンガーの猫の話から始まるが、その解釈は皮相的で、含意を作品に取り込んでいるとは思えなかった。ただ、最後のどんでん返しはまあまあよかった。M5神経装置がCMや登場人物同士の会話に出てきているのが伏線になっていたので、きちんと観ていたら「なるほど! 」となったかもしれない。
そこそこ難解なストーリーなので、一度観ただけでは十分に理解できなかった。アクションや映像には迫力があった。

【5段階評価】3

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2019年1月22日 (火)

(1816) 死の標的

【監督】ドワイト・H・リトル
【出演】スティーブン・セガール、キース・デビッド、ベイジル・ウォレス、トム・ライト、エリザベス・グレイセン
【制作】1990年、アメリカ

麻薬捜査官を引退した男が家族を守るため悪と戦う様子を描いたアクション作品。

麻薬捜査官のジョン・ハッチャー(スティーブン・セガール)は、捜査中に相棒チコ(リチャード・デルモント)を死なせ、女性を撃ち殺してしまったことから引退を決意。妹のメリッサ(エリザベス・グレイセン)ら家族と暮らすことにする。町にはジャマイカ系の麻薬密売組織がはびこっており、ジョンの親友のマックス(キース・デビッド)はそれを嘆くが、ジョンはもはや麻薬組織に関心を示さなかった。ところがジョンとマックスが酒場で飲んでいると、麻薬組織どうしの銃撃戦が始まる。ジョンはジャマイカ組織の一人、モンキー(マイケル・ラルフ)の逮捕に協力する。保釈金により解放されたモンキーは、二人組で車に乗ってメリッサの家を機関銃で銃撃。メリッサの娘、トレイシー(ダニエル・ハリス)が撃たれて重傷を負う。怒りに燃えるジョンは、モンキーを保釈したジミー・フィンガーズ(トニー・ジベネデット)を尋ね当て、黒幕の情報を得ようとするが銃を向けられたため反撃。彼の脳天を撃ち抜くと、その場にいたネスタ(ビクター・ロメロ・エバンズ)に黒幕の居場所を聞く。ネスタはボスを恐れ、部屋の窓を破って飛び降り自殺してしまう。組織のボス、スクリュー・フェイス(ベイジル・ウォレス)は二人の死を知って激怒し、ジョンと家族の抹殺を部下に命じる。彼らはメリッサを襲い、黒魔術の儀式を行う。電話で彼女の危機を悟ったジョンが家に到着したときには一味は退散していた。ジョンとマックスはジャマイカの組織のアジトに向かい、車で逃走する彼らを追って激しいカーチェイスを繰り広げる。彼らの車は宝石店につっこみ、ジョンは車を降りてきた連中を武術で痛めつける。一方のスクリュー・フェイスはジョンの車を大型トラックとトラクターショベルで挟み撃ちにすると、車の中に火炎瓶を投げ込む。間一髪でジョンは車から脱出する。
ジョンはジャマイカの黒魔術に詳しい女性、レスリー(ジョアンナ・パクラ)から、ボスを倒せば組織はあなたに従うはずだと助言され、スクリュー・フェイスを倒すことを決意。スクリュー・フェイスを追い続けていたジャマイカの警官チャールズ(トム・ライト)を仲間に入れ、サイレンサー付きの銃の改造などを一緒に行う。彼らはスクリュー・フェイスの邸宅のあるジャマイカに向かい、彼の殺害に成功する。
アメリカに戻った三人は組織のアジトにスクリュー・フェイスの首を持ち込み、町から立ち退くよう迫るが、突然チャールズの背後にスクリュー・フェイスが現れ、チャールズは後ろから腹を剣で貫かれ、殺されてしまう。黒魔術でスクリュー・フェイスが復活したかのように見えたが、実は彼は双子だった。ジョンは再びスクリュー・フェイスと戦い、彼を倒す。

アクションはそれなりに面白かった。しかし、ご都合主義の展開が鼻につき、話に乗りきれなかった。最たるシーンは、ジョンの車がトラックとトラクターショベルで挟まれ、スクリュー・フェイスが車内に火炎瓶を投げ込む際、直接本人のいる前方座席ではなく後部座席に瓶を投げ込んで立ち去るという場面。しかもトラックとトラクターショベルの運転手もいなくなっており、ジョンを殺すつもりなのか脅すだけのつもりなのか、意味が分からない。脅しにしては死んでもおかしくないやり方なので、明確な殺意があると言えるが、ではなんでジョンが逃げないよう最後まで見届けないのかというのが、まるで腑に落ちない。この時点で「ああ、この主人公が死なないパターンか」とけっこう冷めてしまった。まあ、007シリーズなどでもよくあることなので、こうした娯楽アクションで目くじらを立てても仕方ないのかもしれない。メリッサが殺されないのも不自然だし、ラストの方でジョンがいったん攻撃されて拘束されそうになるシーンも、まずは銃で撃つでもなく手足を切りつけて自由を奪うでもなく、ただぶん殴るだけという敵の無策ぶり。手に汗握る、というわけにはいかなかった。

【5段階評価】3

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2019年1月21日 (月)

(1815) キネマの天地

【監督】山田洋次
【出演】有森也実、中井貴一、渥美清、倍賞千恵子、すまけい、松本幸四郎
【制作】1986年、日本

松竹映画蒲田撮影所で女優に抜擢された少女の活躍と苦悩を描いた作品。

映画館の売り子をしている田中小春(有森也実)は、松竹の小倉金之助(すまけい)監督に女優になることを勧められる。ためらいながらも撮影所に向かった小春は、急に看護師役で出演することになるが結果は散々。家に帰った小春は、ともに暮らす父親の喜八(渥美清)に顛末を話す。喜八は元旅役者で、病気を患っており、医者に酒をやめるよう言われていた。隣に住む人妻のゆき(倍賞千恵子)は、小春をなぐさめる。小春はいったん女優の道を諦めるが、助監督の島田健二郎(中井貴一)が再度、小春の家を訪問して撮影所に呼び戻す。小春は再び女優の道を歩み始める。
松竹は大作「浮草」の制作を決定し、看板女優の川島澄江(松坂慶子)を主役に抜擢するが、彼女は駆け落ちで失踪。困った城田所長(松本幸四郎)は周囲の声をもとに小雪を代役に抜擢する。ところが小春は、相手役の男からプロポーズされて泣く泣く断るという重要なシーンの演技ができず、監督はいったん撮影を中止する。家に帰った小春は、女優をやめたいと嘆くが、父親は自分も母親に求婚して同じことがあったと話す。母親は喜八の求婚に首を横に振り、実は前の男の子を身ごもっていると告げ、喜八はそれを聞いて彼女を一勝大事にしようと決めたのだと言う。つまり、小春は喜八の実の子ではないのだった。しかし何かが吹っ切れたのか、次の日の撮影で、小春は見事な演技を見せ、撮影は成功する。
公開初日、映画館には続々と人が訪れる。喜八もゆきとともに映画を観る。しかし喜八の病状は悪化しており、クライマックスの小春のシーンが終わった頃には、喜八は息を引き取っていた。その顔には涙のあとがあった。
蒲田撮影所で祭りがあり、小春はステージで蒲田行進曲を歌っていた。そこに喜八の悲報が届く。島田から報せを聞いた小倉は、旅役者の父親が娘の主演映画を観ながら映画小屋で死んだのか、と感慨深そうにつぶやく。映画館の前の通りは大勢の人で賑わうのだった。

映画の中で映画撮影が扱われており、映画ファンには面白い内容だった。登場する俳優陣も豪華。やっぱり渥美清の演技は気っぷがよく見応えがあった。出川哲朗のクレジットがあったのだが、発見できなかった。

【5段階評価】3

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2019年1月20日 (日)

(1814) 愛と喝采の日々

【監督】ハーバート・ロス
【出演】シャーリー・マクレーン、アン・バンクロフト、レスリー・ブラウン
【制作】1977年、アメリカ

元バレリーナの女性の家族とかつてのライバルとの確執と融和を描いた作品。

元バレリーナのディーディー(シャーリー・マクレーン)はバレーを引退し、夫との間に子供を三人儲けていた。かつてのライバルでいまだに現役ダンサーのエマ(アン・バンクロフト)と再会。エマはディーディーの娘、エミリア(レスリー・ブラウン)にバレエに本格的に打ち込むことを勧める。ディーディーとエマの二人は、現役当時の確執や今の生き方の違いから仲違いするようになる。
エミリアはロシア人の男性ダンサー、ユーリ(ミハイル・バリシニコフ)と愛し合うようになるが、一方で希望の役を得られず、酒に溺れ、舞台にも酔ったまま出演。エマは何とかそれをフォローする。
ディーディーはやがてエマと和解し、不仲になっていたエミリアとの関係も改善。エミリアは主役を射止め、舞台で成功を収める。ディーディーとエマは自分たちの進んできた道が正しかったと確認しあうのだった。

バレエシーンの迫力が圧巻。ストーリーは間延びしていたが、レッスンや舞台のシーンでの鍛え抜かれた本格的なダンスに引き込まれた。

【5段階評価】2

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2019年1月15日 (火)

(1812) ディセンバー・ボーイズ

【監督】ロッド・ハーディ
【出演】リー・コーミー、ダニエル・ラドクリフ、サリバン・ステイプルトン、ビクトリア・ヒル
【制作】2007年、オーストラリア

オーストラリアの孤児院にいる四人の少年が過ごす夏休みの経験を描いている。ハリー・ポッター・シリーズの公開期間中にダニエル・ラドクリフが出演した珍しい作品。

オーストラリアの孤児院で、12月生まれであることから「ディセンバー・ボーイズ」と呼ばれる四人、マップス(ダニエル・ラドクリフ)をはじめ、スパーク(クリスチャン・ベイヤース)、ミスティ(リー・コーミー)、スピット(ジェームズ・フレイザー)が、海辺の家で夏休みを過ごすことになる。四人は海辺で遊び、草原の奇岩に目を見張る。真っ黒な野生馬、漁師のシェルバック(ラルフ・コトリール)が崇拝する巨大魚なども、少年達の関心の的となる。
彼らが泊まるマクアンシュ家の横には、サーカスの曲芸バイク乗りのフィアレス(サリバン・ステイプルトン)と妻のテレサ(ビクトリア・ヒル)が住んでいた。ミスティは、二人が養子を求めていることを知り、朝食でお茶をふるまうなどよい行いを心がけるが、スパークやスピットはそれが面白くない。最年長のマップスは、近くに住む若いルーシー(テリーサ・パーマー)に惹かれ、二人は奇岩の中の洞窟で逢い引きするようになる。ミスティは、滞在中にやってきた牧師に、自分だけが養子の話を知っていてそれを黙っていることを告白し、牧師からみんなに話した方がいいと言われ、それを仲間に打ち明ける。スパーク、スピットはその話にわくわくするが、マップスだけは養子になることに興味がないようだった。
彼らのホストであるバンディ(ジャック・トンプソン)の妻、マクアンシュ夫人(クリス・マッケイド)は癌に冒されていた。マップスとミスティは夫人が死んでいると思い込み、部屋に忍び込んで手に触ろうとするが、夫人が生きていて驚く。夫人は二人が様子を見に来たことを喜び、四人に癌であることを打ち明ける。
ルーシーと初めてのキスをしたマップスだったが、ある日突然、ルーシーはいなくなってしまう。マップスはショックを受ける。そんなとき、ミスティが海で溺れてしまう。マップスは泳げないにもかかわらず海に飛び込み、ミスティを助けようとする。そこにフィアレスとシェルバックが現れ、二人は無事、救出される。よい行いをしたマップスが用紙に選ばれるとスパークたちは考えるが、マップスは養子にはならないと宣言する。
フィアレス夫婦から何の申し出もないことに業を煮やしたミスティらは、自ら夫婦の元に出向き、養子にしてくれるかを尋ねる。夫婦は書類の手続きをしているところだ、と説明した上で、ミスティを養子に選んだことを告げる。何度かいがみあった四人だったが、スパークもスピットもミスティと抱き合い、彼を祝福する。ミスティを除く三人は、フィアレスの家を出て浜辺で遊び始める。三人は孤児院に戻り、自分はフィアレスの家に住むことになる。しかし、三人を見ていたミスティは、自分も戻る、と二人に告げる。二人は優しくミスティを抱きしめ、ミスティを送り出す。
時が経ち、老人となったミスティは、今は誰も住んでいない海辺の集落に向かう。そこにはスパーク、スピットがいた。三人は丘に登ると、司祭となって亡くなったマップスの遺灰を撒くのだった。

少年たちの夏の思い出を描いた小作品。ストーリー・テラーはダニエル・ラドクリフ演じるマップスではなくミスティであり、主役はこちらだろう。無邪気に遊ぶ四人の少年達の中で不釣り合いに大きいマップス。養子にもらわれることが人生の幸せと信じて疑わない少年達の育てられ方。こうした違和感に、思春期の少年達の不安定さがうまく表れていたように思う。「スタンド・バイ・ミー」と似ているという評価も聞くが、あまりそうは感じなかった。

【5段階評価】3

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(1813) クレオパトラ

【監督】ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
【出演】エリザベス・テイラー、レックス・ハリソン、リチャード・バートン、ロディ・マクドウォール
【制作】1963年、アメリカ

エジプトの女王、クレオパトラの生涯を描いた作品。4時間を超える歴史大作。

ローマの武人カエサル(レックス・ハリソン)は、ポンペイウス討伐のため、エジプトに入り、プトレマイオス王に面会。王の命を狙ったために国を追われて死んだと説明されたクレオパトラが、カエサルの泊まった居室に絨毯にくるまれて運ばれてくる。クレオパトラは自分を王にせよとカエサルに交渉。カエサルはクレオパトラが気に入り、クレオパトラの暗殺を企んだ家臣を死刑に処し、クレオパトラと関係を持つ。妻はいたが息子のいなかったカエサルは、クレオパトラが我が子を産んだことを喜ぶ。
カエサルはローマに凱旋し、独裁者の称号を得る。クレオパトラは息子のカエサリオンとともにローマを訪れ、市民の歓迎を受ける。カエサルは独裁者の称号を得たが、実際には議会の承認を得ないといけないという名誉職の称号だった。カエサルは自らを皇帝にするよう議会を動かそうとするが、議会上で議員達に殺されてしまう。有名な「ブルータス、お前もか」のセリフは作品では聞くことができなかったのがちょっと残念。クレオパトラはカエサルの死を悲しむ。カエサルの部下のアントニオン(リチャード・バートン)は彼女を引き留めるが、クレオパトラはエジプトに帰る。
アントニオンはカエサルを殺した者達を討伐し、オクタビアヌス(ロディ・マクドウォール)に、レピドゥスとともにローマを統治しようと持ちかける。資金不足に悩むアントニオンは、クレオパトラと交渉しようとするが、クレオパトラはエジプトを出ないと言って交渉をいったん拒否。しかし、豪華な船でローマに現れ、船の中で話を聞くとアントニオンに告げる。アントニオンが船に乗り込むと、豪華な宴が始まる。アントニオンは酒に酔い、いつの間にか船の奥の寝室に消えたクレオパトラを探すと、以前から好きだったことを打ち明ける。クレオパトラもまた、12歳の頃からアントニオンが好きだったことを告白。二人は愛を誓う。
ところがエジプトに帰ったクレオパトラのもとに、アントニオンが別の女性と政略結婚したという知らせが届き、クレオパトラは悲嘆する。やがてアントニオンがクレオパトラのもとに政治交渉に訪れるが、クレオパトラはローマの領土の3分の1を要求。アントニオンはいったんはその要求を退けるものの、クレオパトラとともに暮らすことを望み、その要求を受け入れる。
オクタビアヌスはアントニオンがローマではなくアレクサンドリアに骨を埋めるつもりであるという書簡を入手。議会はエジプトに宣戦布告することを決定する。アントニオンはクレオパトラとともに海戦に臨む。アントニオンは自分の船が燃えながらも善戦するが、クレオパトラは、アントニオンが戦死したと聞かされ、クレオパトラは自分の船を引き上げさせてしまう。クレオパトラの船が遠ざかるのを見たアントニオンは、指揮官である自分の立場を忘れてクレオパトラの船を追いかける。クレオパトラはアントニオンに、死んだと聞かされたので船を退けたのだ、と泣いて詫びるが、アントニオンは自分は死んだ、と失意に沈む。
ローマ軍と戦うために前線に出たアントニオンは、部下のルフィオ(マーティン・ランドー)に朝の4時に起こすよう指示をするが、時間になっても誰も起こしに来ない。テントを出ると、いるはずの部隊は全くおらず、ルフィオが殺されていた。そこにローマ軍がやってくる。アントニオンは一人でローマ軍に突撃するが、ローマ軍は盾でアントニオンの剣をかわすだけで戦おうとしない。死に場所を失ったアントニオンは城に戻る。そこにいたクレオパトラの忠臣アポロドルス(チェザーレ・ダノーバ)に、クレオパトラは最期を迎える場所にいると聞かされ、彼女が死んだと考えたアントニオンは切腹自殺を図る。それを見たアポロドルスは嘘をついたと詫び、瀕死のアントニオンをクレオパトラの潜んでいた塔に運ぶ。アントニオンはクレオパトラに抱かれて息を引き取る。やがてローマ軍が城に入ってくる。オクタビアヌスは夜が明けたらローマに連れて行く、とクレオパトラに告げるが、彼女は蛇の毒で自害するのだった。

とにかく長い作品なのだが、映像は豪華絢爛。当然、CGなどない時代の作品なわけで、立派な神殿やら町の様子やら海戦やら、金に糸目を付けずに作った贅沢な作品。破格の制作費で二十世紀フォックスの経営が傾きかけたらしいというのもうなずける。
もう一つの見どころはエリザベス・テイラーの美貌。髪型や衣服がバリエーションに富んでいて、しかも胸の谷間を強調した衣装が多い。「クレオパトラの鼻が低かったら」なんていう話があるが「クレオパトラの胸が小さかったら」と言った方がよかったのでは、と思うほどで、男達がクレオパトラに会釈しているのか胸の谷間に会釈しているのかよく分からないシーンもあった。歴史をそれなりに学べるのもよかった。

【5段階評価】3

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2019年1月14日 (月)

(1811) 王様と私

【監督】ウォルター・ラング
【出演】デボラ・カー、ユル・ブリンナー、リタ・モレノ、レックス・トンプソン
【制作】1956年、アメリカ

シャム国王の宮殿に家庭教師として雇われた女性と国王との交流を描いたミュージカル。

未亡人教師のアンナ(デボラ・カー)は、息子のルイス(レックス・トンプソン)を連れてシャムにやってくる。シャムの国王(ユル・ブリンナー)の宮殿で子供達の家庭教師をするのが役目。一夫多妻制のため、国王には多くの王妃と子供がおり、アンナが到着した日も、タプティム(リタ・モレノ)という若い娘が王のもとに差し出されていた。アンナは王宮の外に住む家を確保してもらえるという約束であったが、宮殿に住むように言われ、クララホム首相(マーティン・ベンソン)が止めるのも聞かず、国王に直接抗議。国王は子供達を紹介し、その歓迎ぶりを見てアンナは王宮住まいを受け入れる。
タプティムは王宮の外にルンタ(カルロス・リバス)という恋人を残しており、アンナは二人の逢い引きを手助けする。
国王とアンナはたびたび意見をぶつけ合いながらも信頼関係を築く。イギリスの来賓の一人がアンナにかつて求婚した男で、男はアンナにダンスの相手を求めるが、国王はあからさまにそれを邪魔する。食事の場で、国王はタプティムが脚本を書いた演劇を披露する。その劇では、王の奴隷が恋人に会うため王宮を逃げ、それを追った王が仏陀の力で川で溺れ死ぬという内容。演劇の素晴らしさに来賓達は拍手喝采を浴びせ、タプティムをたたえようとするが、タプティムはルンタと王宮を抜け出し、駆け落ちしていた。
国王は王が死ぬという展開に不愉快になり、アンナに一夫多妻制の正当性を主張するが、アンナは女性が初めて男性にダンスに誘われるときのときめきを語り、国王とアンナはともにダンスをする。そこに家来が現れ、逃げていたタプティムを連れてくる。国王は、不貞を働いたタプティムに鞭を打とうとするが、アンナはそれを激しく非難。国王は鞭を投げ捨て、その場から走り去る。アンナはシャムを離れることを決意する。出発の日、アンナのもとに王妃(テリー・サウンダース)と第一王子のチュラロンコン(パトリック・アディアート)が現れ、王が今際の際にあると告げる。アンナとの一軒があって以来、睡眠も食事もとらず、衰弱しているというのだ。王妃の持ってきた国王のアンナ宛ての手紙には、アンナへの感謝の言葉が綴られており、アンナはそれを読んで涙する。アンナは床に伏せる国王に面会する。国王はチュラロンコン王子に、王になったら何をするかと尋ねる。王子は国王にひれ伏す風習をやめると宣言。その宣言を聞きながら、国王は息を引き取る。アンナは国王の手に頬を寄せるのだった。

「Shall We Dance? 」の曲が有名な作品。豪華なセットと衣装は見応えがある。劇中劇も伝統的なエスニックな踊りの要素を取り入れながら、スピーディな展開で飽きさせず、楽しかった。「アンナと王様」とは異なり、死別するというエンディング。個人的には「アンナと王様」の余韻のある終わり方のほうが印象に残った。

【5段階評価】3

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2019年1月13日 (日)

(1810) 哀しき獣

【監督】ナ・ホンジン
【出演】ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、チョ・ソンハ
【制作】2010年、韓国

韓国に渡った朝鮮系中国人が犯罪に手を染め、追われるさまを描いたバイオレンス作品。

韓国に出稼ぎに行った妻が行方不明となり、多額の借金を抱えていた朝鮮系中国人キム・グナム(ハ・ジョンウ)は、借金取りから闇社会のボス、ミョン(キム・ユンソク)を紹介される。ミョンは、ソウルにいるキム・スンヒョン(カク・ピョンギュ)を殺害して親指を持ち帰れば、借金をチャラにすると言われる。妻を探そうと考えていたグナムは、韓国に密航する。10日後の船が出るまでに仕事を終える必要があった。
グナムは住所を頼りにスンヒョンを探し、とあるビルの6階に住んでいることをつきとめる。ところがエレベータは6階には行かず、5階から階段で行く必要があった。階段の入り口には鉄格子があり、6階には上がれなかった。寒い夜、外で張り込みをしていたグナムは、スンヒョンとおぼしき恰幅のよい人物と対面する。彼は運転手を連れており、ビルのシャッターを下ろすと一人で6階に上がっていく。その様子は外からも人感センサー付きの踊り場の照明で判別できた。明くる日、グナムは人感センサーの点灯・消灯のタイミングを計りながら、階段の踊り場で殺害のシミュレーションを行う。グナムは殺害計画を進める一方で、妻の写真を手に、妻の行方を追う。妻が寝泊まりしていた部屋を突き止め、隣の住民に話を聞くと、男と喧嘩をして出て行ったということだった。グナムはその住民に金を渡し、戻ってきたら引き留めてほしいと頼む。
スンヒョンのビルに戻ると、周りを周到に見渡してビルの中に入り込む怪しい二人組の男を発見。グナムは思わず身を潜める。そこにスンヒョンが帰ってくる。グナムは嫌な予感がするが、ビルに近寄れない。果たしてスンヒョンは二人組の男に襲われていた。スンヒョンは反撃し、ビルの窓を破って一人の男が自動車の上に転落する。それを見上げていた運転手は、ビルの入り口のガラスドアを打ち破って中に入っていく。グナムは包丁を手に後を追う。恐る恐る階段を上っていくグナムが目にしたのは、力なく横たわる血まみれのスンヒョンの喉をかききる運転手の姿だった。運転手はグナムを見つけるとグナムに襲いかかる。グナムは必死に抵抗し、運転手は階段を転げ落ちて流血し、動かなくなる。グナムはスンヒョンに近づき、苦労して親指をもぎとる。踊り場には恐怖の張り付いた表情をしたスンヒョンの妻がいた。ビルに警察車両が何台も到着する。階下に逃げそびれたグナムはスンヒョンの家に上がり込み、窓から下に降りようとする。上からも警官がやってくるが、グナムはパトカーの屋根に飛び降り、群がる警官を払いのけて逃走。パトカーの追撃も振り切って町に消える。スンヒョンに殺し屋を送り込んだ会社社長のキム・テウォン(チョ・ソンハ)は、目撃者として逃走した男、グナムを警察より先に捜して殺害せよ、と部下のソンナム(イ・チョルミン)に命じる。
グナムは帰りの便に乗るため指定した場所に行くが誰もおらず、ミョンに電話をしても連絡が付かない。単身で逃避行を続けざるを得なくなったグナムは、長距離バスの中で検問にあい、警官に身分証の提示を求められる。グナムは警官に殴りかかると、バスの窓ガラスを破って脱出。警官が銃を向けるが、全員腰が引けている。グナムは若い警官ともみ合いとなり、別の年配警官が発砲するが、それは若い警官に当たってしまう。グナムは腕を撃たれてしまうが、走って山中に逃れる。その様子を遠巻きにテウォン社長の部下達が見ていた。ソンナムは朝鮮系の人間を手当たり次第に拷問し、グナムが中国から密航した人間であり、密航を手引きしたのはミョンという男だと社長に報告する。テウォンはソンナムにミョンを探して片付けるよう命じる。
ソンナムは手下を率いてミョンの止まるホテルの部屋に侵入するが、タフなミョンに返り討ちにあい、ソンナム以外の男達は殺されてミョンの手下によってバラバラに切断処理されてしまう。ミョンはソンナムを人質にしてテウォンを呼び出す。おびえきっているテウォンはミョンに言われるがまま、大金を払ってグナムを始末してもらうことする。
一方グナムは、地図を頼りに密航初日に宿泊したウルサンにたどり着いていた。無人の建物の中で、グナムは残っていた漬物やジャガイモを食べながら夜を明かす。テレビでは30代の朝鮮族の女性のバラバラ死体が発見されたというニュースが流れていた。グナムは、部屋に転がっていたライターに書かれていた「ミソル宮」という店を張り、密航業者の一人を発見。彼を襲ってミョンがグナムを騙していたことを吐かせる。グナムは男を監禁し、金を払って再び中国に帰る便への密航を手配させる。ニュースでは、女性バラバラ事件の犯人が捕まっていた。犯人の男は、世話していた女が夫に会うため中国に帰りたいと言ったので殺したと証言していた。グナムは警察に電話をして事件の被害者が自分の妻か確かめようとするが、電話口の女性は個人情報は伝えられないとの一点張りだった。時間の残されていないグナムは密航船の出る埠頭に向かう。ところが、グナムが入れられたコンテナの積み荷は東京行きだった。騙されたと知ったグナムはぎりぎりのところでコンテナを抜け出し、脱走する。ところが、逃げた先にはグナムを追ってきたミョンの一味がいた。グナムは貨物船の中に逃げ込み、斧や包丁で切りつけられながらも応戦。そこにミョンが現れる。グナムはミョンに罵声を浴びせ、斧を投げつけると、甲板から海に飛び込む。驚くミョンは、手下に追え、と命じる。手下達は慌ててグナムが飛び降りた海とは反対方向に駆け出すが、ミョンはそれを見てそっちじゃないだろ、と言うと、自ら海に飛び込み、グナムを追う。港に上がったグナムは手下を振り切ってトレーラートラックに乗り込み、埠頭を脱出。トラックは横転するが、グナムは乗用車に乗り換えて逃走。ミョンも車で追いかけるが、グナムはそれを振り切る。
グナムは人を使ってバラバラ事件の被害者女性の身元を確認する。確認係の男は、グナムの妻の写真と遺体の顔を比べ、全く分からないにもかかわらずグナムには写真の女性だったといいかげんな返事をする。グナムは彼女の遺骨を受け取ることにする。
仲間とともに隠れ家に潜んでいたミョンのもとに、テウォンの一味が再び夜襲をかける。ミョンは超人的なタフさで何度も刺されながらも応戦し、ただ一人生き残ると、死体に火を付けて現場を去る。
スンヒョン教授の妻が帰宅すると、グナムが現れる。驚く妻を前に、グナムは旦那を殺したのは自分ではない、誰の指示があったのか知りたいと言って、妻に運転手の手がかりを尋ねる。グナムは運転手の家に侵入し、米袋の中に札束と携帯電話が隠されているのを発見。次に彼が尋ねたのはソンナムの家だった。ソンナムを襲い、黒幕はテウォン社長であることを知る。その頃テウォンは、手下がスンヒョン教授殺害の依頼を請け負った男を発見したと知らされ、男の話を聞いていた。男はHK貯蓄銀行のキム・ジョンファンという銀行員に教授殺害を依頼され、ミョンに殺害を頼んだと白状する。テウォンはソンナムを呼び出すが、グナムに襲われていたソンナムは電話に出られない。グナムは車で外に出ようとするが、そこにテウォンの手下の二人組が現れ、グナムを拉致して車のトランクに乗せる。グナムがトランクの中で目を覚ますと、手下の二人がグナムの殺し方をビクビクしながら相談していた。グナムは包丁を手に車を降り、二人と戦う。一人は倒され、もう一人はシャベルを振り回しながら、殺された奴のお金を山分けして別れよう、お前を殺そうとした奴の名刺は車の中にある、と言って戦いを逃れようとするが、結局工事中の穴に落下して絶命。グナムは銀行員キム・ジョンファンの名刺を確認する。
ミョンは単身でテウォンの会社に入り込み、テウォンがいる地下室にたどり着くと、テウォンの部下を皆殺しにする。ミョンはテウォンに金を払え、と指示。銀行が開くまでお前の家で待つ、と言ってテウォンを車に乗せて走り出す。テウォンはとっさにドアを開けて車から飛び出すが、足を車に轢かれてしまい、足を引きずりながら逃げようとする。ミョンはそれを追うが、物陰からテウォンがミョンに襲いかかり、奪った手斧をミョンに打ちつける。それでも死なないミョンは、手斧を奪い返すと、テウォンの四肢に手斧を打ち付け、テウォンを倒す。ミョンは再び運転席に座って車を走らせるが、車はゲートの柱にぶつかってしまう。ついにミョンは車の中で動かなくなっていた。そこにグナムが現れる。グナムは車の中で動かなくなっているミョンを確認すると、血まみれで倒れているテウォンのもとに向かう。テウォンは虫の息で「あの教授野郎が俺の愛人と寝やがった」と殺害動機をつぶやいていた。グナムは、バラバラ死体の身元確認を依頼していた男から遺骨を受け取ると、翌日、HK貯蓄銀行に向かい、キム・ジョンファンを確認する。彼は窓口で働いていた。ふと、その前に一人の女性が座る。それは教授の妻だった。教授殺しの依頼は、浮気関係にあるジョンファンと妻の共謀だったのだと思われた。キム・ジョンファンは自分を見つめるグナムを見て驚く。妻もジョンファンの顔を見て振り返る。しかしグナムはすでに店を出ており、妻に一瞥をくれると姿を消す。グナムは港で年老いた船乗りを脅して船を出させる。しかし、黄海のただ中でグナムはとうとう息絶える。老いた船乗りは、グナムを海中に突き落とし、船を出す。中国の駅には、グナムの妻が降り立つのだった。

前半は分かりやすいのだが、後半は展開を詰め込みすぎで、説明が不足しているので、一度見ただけでは意味が分かりづらい作品になっている。自分も二回観て、おそらくこうなのか、というのがやっと分かった。
ストーリーの分かりづらいサスペンスは好きではないのだが、本作はバイオレンス作品としてのできはよかったので評価は高めになった。カーチェイスシーンはカット割りが多くて映像もブレブレなので、追う側と追われる側の位置関係などがよくわからず、フラストレーションがたまるつくりになっているのだが、拳銃のほとんど登場しない乱闘シーンは迫力があった。包丁や手斧、さらには骨の棍棒。RPGの序盤の武器のような無骨な武器だが、それだけに痛々しさ、生々しさがストレートに伝わってくる。韓国作品らしい、血や傷の映像のリアリティも特徴的だった。始めはおどおどしていたグナムが、段々と暴力性を増し、容赦なく相手に暴行して自分の要求を通していく姿に素直に引き込まれたし、超人的なタフさを見せ、海に飛び込むなど自ら行動するミョンと、手下に指示して偉そうにするだけのテウォンという、対照的な組織のボスの対比も見応えがあった。ただ、銃で撃たれようが斧を打ち付けられようが病院にも行かず、一晩寝ればほぼ回復しているあたりは、「RPG? 」と突っ込みの一つもいれたくなったし、グナムが腕を撃たれて泣きそうな顔をしている割に次の日はピンピンしているので、もしかして話が時系列じゃなく進んでいるのか、と勘違いするほどだった。

【5段階評価】4

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2019年1月11日 (金)

(1809) スプラッシュ

【監督】ロン・ハワード
【出演】トム・ハンクス、ダリル・ハンナ、ジョン・キャンディ、ユージン・レビィ
【制作】1984年、アメリカ

人魚と恋に落ちた若者の運命を描いた作品。

幼い頃に人魚と遭遇したかすかな記憶を持つ青年、アラン(トム・ハンクス)。彼は青果市場で働いていたが、思い立って海に出た結果、溺れてしまう。ところが海の中で裸の美女(ダリル・ハンナ)に助けられ、島に流れ着く。彼女はアランの落とした財布を手がかりにニューヨークに向かい、全裸の状態で自由の女神のある島にあがる。
アランは警察に呼ばれ、彼女と再会。彼女はアランに心酔しきっているようで、会うなりアランに口づけをする。アランは泊まっているホテルに彼女を連れて行き、夜をともにする。彼女は人間の姿になることができるが、水につかると脚が魚のひれのようになるマーメイドだった。
アランは名前のない彼女にマジソンと名付ける。マジソンはあっという間に言葉を覚える。アランはマジソンにプロポーズするが、マジソンは拒否する。
マジソンを人魚ではないかと疑っていた科学者のコンブルース(ユージン・レビィ)は、無理矢理マジソンに水を浴びせ、マジソンは下半身が魚のようになってしまう。科学者たちはマジソンを捕らえ、実験室の水槽にマジソンを放り込んで様々な試験を行う。マジソンは衰弱してしまう。
アランは、人ではないマジソンを受け入れることに躊躇するが、兄のフレディ(ジョン・キャンディ)は、100%の恋などない、お前はマジソンといるとき本当に幸せそうだった、とアレンに告げる。アレンはマジソンを救うため、コンブルースとフレディとともに研究所に侵入し、マジソンを救い出し、一緒に海の中に逃げ込む。マジソンはアレンを連れて海の中の彼女のふるさとに向かうのだった。

実写版人魚姫というような映画だが、ヒーローは別に王子様ではなく、しがない市場の労働者である。その彼に、運命的な出会いを経てアプローチした絶世の美女の人魚がアプローチし、様々な障害を乗り越えてヒーローと一緒になる。分かりやすく感動的な作品だった。評価5にしてもいいぐらい感動的だった。

【5段階評価】4

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2019年1月10日 (木)

(1808) キル・ユア・ダーリン

【監督】ジョン・クロキダス
【出演】ダニエル・ラドクリフ、ディン・デハーン、マイケル・C・ホール、ジャック・ヒューストン
【制作】2013年、アメリカ

同性愛者の詩人の青春時代を描いた、実話に基づく作品。

第二次世界大戦中、精神を病んでいる母親ナオミ(ジェニファー・ジェイソン・リー)を置いて、アレン・ギンズバーグ(ダニエル・ラドクリフ)はコロンビア大学に入学。図書館見学の際、自由奔放な学生、ルシアン・カー(ディン・デハーン)に出会う。アレンはルシアンの性格に惹かれ、ルシアンもまた勉強家のアレンに興味を持つ。ルシアンは、若者のたまり場となっている、知り合いのデビッド・カマラー(マイケル・C・ホール)の家にアレンを連れて行く。アレンはルシアンたちと文学談義に花を咲かせるようになる。アレンは、ルシアンがラグビー青年ジャック・ケルアック(ジャック・ヒューストン)と二人でいることを知らされて自分が嫉妬に燃えていることに気づく。アレンはルシアンにキスをし、ルシアンもそれに答える。
ルシアンは閲覧規制の多い図書館にアレンら仲間と忍び込み、貴重な本をガラスケースから取り出したり、閲覧規制本を抜き出したりする。デビッドはそれを警備にチクる。デビッドはルシアンを愛しており、ルシアンに自分のところに戻ってくるよう頼むが、ルシアンはそれを拒否する。ルシアンは、ジャックとともにデビッドから逃れる旅に出ることを決意する。アレンはなぜ自分に言わないのかとルシアンを責めるが、ルシアンはアレンが相手ではないと告げる。失意のルシアンはほかの男との情事に墜ちる。
ルシアンがジャックと渡航手続きをしていると、そこにデビッドが現れる。彼はルシアンとよりを戻そうとしていた。ルシアンはデビッドを連れて外に出るが口論となり、ルシアンはデビッドを刺し殺してしまう。収監されたルシアンは、同性愛者のデビッドに関係を迫られたため殺した、と主張しようとする。デビッドやアレンに代書を頼んでばかりで自分で文章を書いたことがろくにないルシアンは、アレンに供述書の作成を頼むが、アレンはありのままを記載。アレンはルシアンはそれを講義の宿題として学校に持って行く。教師は書き直すか退学の二者択一を迫り、アレンは退学を選択する。実家に戻ったアレンのもとに、大学から封書が届く。中には彼の書いた禁断のレポートがあったが、そこには教師の字で、今の調子で続けろ、と書かれていた。彼はやがて、著名な詩人となるのだった。

文学に身を投じる若者が主役で、台詞回しも文学的。
それにしても、ハリー・ポッター役で世界的に有名となったダニエル・ラドクリフが、本作では胸毛やへそ毛もあらわに、男とのキスシーン、ベッドシーンを演じており、ハリポタから入ったダニエルファンは悲鳴を上げたに違いない。彼のプロ根性は素晴らしいが、個人的には好みの作品ではなかった。好みではなくても観てしまうのが、自動録画鑑賞の罪なところ。

【5段階評価】2

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2019年1月 9日 (水)

(1807) アナと雪の女王/家族の思い出

【監督】スティービー・ワーマーズ
【出演】ジョシュ・ギャッド(声)、クリスティン・ベル(声)、イディナ・メンゼル(声)
【制作】2017年、アメリカ

「アナと雪の女王」のスピンオフ短編。

アナ(クリスティン・ベル)とエルサ(イディナ・メンゼル)はお城でクリスマスの準備をする。オラフ(ジョシュ・ギャッド)は楽しみで仕方がない。しかし、早くに両親を亡くしたこともあり、アナとエルサには家族の伝統行事がなかった。オラフは伝統を探すため、クリストフ(ジョナサン・グロフ)のトナカイとともに街に出て、いろいろな人達からクリスマスに家族で行う行事の話を聞き、ケーキやサウナルームをソリに積んで城に戻ろうとするが、サウナの炭が荷物に引火し、ソリは谷底に落ちて爆発してしまう。
アナとエルサ、街の人々は総出でオラフを探す。アナとエルサはオラフを見つけるが、オラフは落ち込んでいた。しかし、アナとエルサは、オラフの絵や人形をやりとりすることが伝統だった、という話をオラフにする。オラフは元気になり、みんなでクリスマスを祝うのだった。

22分の短編作品なのであっという間に終わるほほえましい作品。

【5段階評価】3

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2019年1月 8日 (火)

(1806) 先生を流産させる会

【監督】内藤瑛亮
【出演】宮田亜紀、小林香織、高良弥夢、大沼百合子、竹森菜々瀬、相場涼乃、室賀砂和希
【制作】2011年、日本

先生を流産させようとする女子中学生に立ち向かう女性教師を描いた作品。

女子中学生のミヅキ(小林香織)は、連れのフミホ(高良弥夢)、アキナ(竹森菜々瀬)、シオン(相場涼乃)、マオ(室賀砂和希)とウサギ小屋をのぞき込み、ウサギを引っ張り出して公園の遊具の上から放り投げる。友人達がそれを見て笑う中、ミヅキは何が面白いの、と冷めた表情で問う。
彼女らの担任のサワコ(宮田亜紀)は妊娠四ヶ月に入っていたが、日々、モンスターペアレントの対応に明け暮れる日々だった。
ミヅキら五人は、たまり場にしている廃ホテルの一室で、サワコ先生が妊娠しているのが気持ち悪いと言い出し、廃ホテルの部屋で、万引きした指輪を指にはめて誓いの儀式を行う。壁には「先生を流産させる会」と書かれていた。
サワコはミヅキに連絡を取ろうとするが、本人の携帯番号にかけると他人が出て、自宅の電話も現在使われていない状態だった。
彼女らは理科の実験で使われていた薬物を盗み取ると、他のクラスメートも見ている中、ミヅキがサワコの給食のスープに薬物を混ぜ、フミホが先生に差し出す。それを飲んだサワコは嘔吐する。サワコはホームルームで堂々と、自分はつわりで吐いたのではない、スープに何かが入れられていた、と言って生徒に紙を配り、心当たりがある人は先生に手紙を書いてください、と告げる。
明くる日、サワコはミヅキら五人を呼び出し、五人が関係しているという手紙があったと告げる。しらばっくれる五人に、サワコは質問を投げかける。「あなたたちに赤ちゃんができたとします。ところがある人にいたずらで、大事な赤ちゃんが死んでしまいました。あなたたちならどうする。」と。始めに問われたアキナはとまどいながら「訴える? 」と言い、シオンとマオは同調。フミホは分かりません、と言う。しかし、ミヅキは「いなかったことにする。生まれるに前に死んだんでしょう、いなかったのと同じじゃん」と答える。先生ならどうするの、とミヅキに逆に問われたサワコは、「殺すよ」と答える。そこにフミホの母親が入ってきて、つわりで吐いたのに生徒を犯人扱いするとは教師失格だ、と叫ぶ。サワコは廊下に出て、五人の名の書かれた手紙をもらった、この字はフミホでは、と尋ねる。母親は手紙をひったくると握り潰してサワコの顔に投げつけ、心の優しいフミホを、担任のあんたが分かってないのが問題だ、と言い返す。
ミヅキら五人は、報復のため、サワコの椅子の背もたれのストッパーを緩める。ミヅキはフミホの母親もキモかったと言いだし、四人で笑う。「犯人ですか」「犯人でーす」とからかう中、フミホが悲しそうにストッパーのネジを回す。
次の日、サワコはミヅキらのもくろみ通り、椅子ごとひっくり返ってしまう。教室中が爆笑する中、サワコは立ち上がるとミヅキら五人にビンタを食らわせる。
学校は保護者を学校に呼び、教頭らしき年配の男性教師が謝罪する。しかしフミホの母親は、椅子が壊れたのを生徒のせいにして暴力をふるって、病気よ、教師やめなさいよ、と叫ぶ。サワコは始末書を書かされることになる。サワコをなぐさめる同僚の教師に対し、サワコは馬鹿が馬鹿を生む、教師は馬鹿を野放しにしておだていれいばいいんです、と答える。
プールの日。体操をしている生徒達の中で、ミヅキは元気がなく、体操をやめてしまう。シオンたちが見守る中、ミヅキは股から出血していた。ミヅキは一人で保健室に向かう。放課後、サワコはアキナに言い寄り、たまり場の場所を聞き出すと、彼女らをたまり場で待ち、大人をなめちゃだめだよ、とすごむと、この遊びを終わりにしなさい、と言って彼女らの指輪を預かる。フミホはその場に来ておらず、三人は大人しく指輪を渡すが、ミヅキだけは渡そうとしなかった。
ミヅキはフミホ以外の三人を連れて理科室に忍び込み、有毒ガスを作るための薬品を盗み出す。しかし三人はミヅキの企みに同調しなくなっていた。ミヅキはフミホの家を訪ねるが、母親に追い返される。しかし、外からフミホを手招きして廃ホテルに行き、ガスマスクをつけて有毒ガスを作り始める。
その晩、フミホの母親が、フミホがいなくなったと言ってサワコに助けを求めに学校に来る。サワコは心当たりのある廃ホテルに向かう。フミホを呼ぶ声が聞こえたとき、ミヅキはフミホのガスマスクを奪い取ると、有毒ガスを発生させてフミホを部屋に閉じ込める。フミホの居場所を探し当てた母親とサワコが、フミホを助け出す。サワコはミヅキを探す。ミヅキは長い電気スタンドでサワコを攻撃し始める。サワコがどうして流産させたいの、と聞くと、ミヅキは気持ち悪いから、と答える。どうして気持ち悪いのよ、とサワコが叫ぶと、ミヅキは知らん、と答え、スタンドの台の部分でサワコの腹を殴りつける。サワコは股間から流血し、本当に流産してしまう。サワコはミヅキの手を掴むと、指輪を抜き取り、怖い表情で「満足した? 」と尋ねる。そこのフミホの母親が現れ、ミヅキに襲いかかる。サワコはうずくまるミヅキに覆い被さってミヅキを守る。
ミヅキは児童相談所に送られる。担当官は、ミヅキに、胎児は殺人の対象となる人には含まれず、不同意堕胎罪プラス傷害罪ではないか、と告げる。ミヅキは聞いているのか、部屋のカーテンをもてあそぶばかりだった。ミヅキが児童相談所を出ると、喪服を着たサワコがいた。サワコはミヅキを草原に連れてくる。そこにはかざぐるまの飾られた墓のようなものがいくつかあり、サワコはミヅキに穴を掘らせて、胎児のなきがらを一緒に埋める。二人はしゃがんで墓に手を合わせる。サワコはミヅキに「いなかったことになんて、できないの」と話す。ミヅキは何も答えず、ふと空を見上げるのだった。

実話をもとに作られた作品。低予算らしく、映像や音楽が貧弱なのは仕方なく、売りは脚本の力。生徒達のいたずら、いやいたずらというよりは犯罪行為がどのようにエスカレートし、被害に遭った先生がどう立ち向かうか。ストレートなセリフは分かりやすく、力があった。特にモンスターペアレントの母親のセリフは、いかにも過保護な親が先生に言いそうな内容で、妙な芝居じみた台詞回しがなく、観ている者に、その口撃のひどさが突き刺さる。主人公のサワコも、生徒を思う正義の人かというと、子供に向かって殺すとか、有無を言わさず平手打ちとか、褒められないところもあるのが逆に真実味と共感を呼ぶ。
生徒と戦う女性教師の作品としては、「告白」が有名だが、本作も、もし同じぐらい予算をかければ同等以上の作品になったのではないかと感じた。

【5段階評価】3

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2019年1月 7日 (月)

(1805) ザ・ウォッチャー

【監督】ジョー・チャーバニック
【出演】ジェームズ・スペイダー、キアヌ・リーブス、マリサ・トメイ
【制作】2000年、アメリカ

連続殺人犯とFBI捜査官との攻防を描いたサスペンス。

FBI捜査官のジョエル・キャンベルは、精神的に不安定な状態にあり、カウンセラーのポリー(マリサ・トメイ)のカウンセリングを受けており、仕事は休職状態。彼はいつもはろくに見もしないFedExを何の気なしに開く。するとその中から、最近殺害された女性の顔写真が出てきた。慌てて他の郵便物を確認すると、底からも同じように、連続殺人の被害者女性の顔写真が出てくる。それらは犯行予告だった。ジョエルはそのことを同僚に伝える。犯人はグリフィン(キアヌ・リーブス)と言い、ロサンゼルスで連続殺人を犯していたが、完璧に証拠隠滅しており、ジョエルは顔を知らなかった。ある晩、ジョエルの家に電話がかかる。グリフィンからだった。彼はジョエルがロスから逃げてシカゴに移り住んだことを責め、次のターゲットの写真を送るので翌日の夜9時までに探せと電話口で告げる。そして花束とともに写真が届く。ジョエルは捜査に復帰し、マスコミも使って必死に探すが間に合わず、女性は自宅で殺されてしまう。
グリフィンは不敵にもカウンセリングに通うジョエルの乗ったエレベータに同乗し、彼の通っている場所を特定し、自ら偽名でカウンセリングを受けると、ポリーが患者との会話を録音していること、それが部屋の中のロッカーにあるらしいことを確認する。
グリフィンはさらに次の女性の写真を送ってくる。今度はギリギリの所まで追い詰めるが、グリフィンは車を盗んで逃走。多くのパトカーが追いかけてくるが、ガソリンスタンドの給油機を破壊し、そこに火を放って大爆発を起こして逃走する。またも被害者女性は殺されてしまった。
追跡の途中で負傷したジョエルは、病室で次のターゲットの写真を目にする。それは、彼がかつて付き合っていた女性の写真だった。彼女はグリフィンに襲われ、かけつけたジョエルは縛られた彼女を置き去りにして犯人を追った結果、彼女は炎上した屋内に取り残され、焼死してしまっていた。病室を抜け出したジョエルは、たびたび訪れていた彼女の墓に向かう。そこにはビールを買って微笑むグリフィンがいた。ジョエルは彼に銃を向けるが、グリフィンは、自分を撃ったらポリーが焼死することになる、と告げる。ジョエルは持っていた銃をグリフィンに渡し、彼女の居場所に連れて行くよう指示する。ジョエルはグリフィンを乗せて車を走らせながら、密かに携帯を同僚にかけ、会話を聞かせる。すぐさま捜査陣が動き出し、電話の場所を感知して捜査陣が現場を取り囲み始める。ポリーはビルの一室に拉致されていた。誰かが踏み込めば固定された銃から銃弾が発射され、中が大炎上するように仕掛けが施されていた。グリフィンは慎重に仕掛けを外して部屋の中に入ると、ジョエルの後頭部を強打する。グリフィンはうめき声をあげるジョエルを椅子に座らせ、ポリーに近寄って体を触り始める。離せというジョエルの脚をグリフィンは銃で撃ち、再び椅子に座らせ、惨めな状態の自分を助けてくれてありがとうと言えとジョエルに迫る。グリフィンがポリーの首を絞め始めたため、ジョエルはありがとう、と小声で言う。近寄ってきたグリフィンの隙を突いて首に刃物を突き刺し、壁にあった銃でグリフィンを撃つ。彼が倒れた拍子にろうそくが倒れ、周囲のガソリンに引火する。グリフィンは炎に飲み込まれる。ジョエルはポリーを連れて窓ガラスを破って外の川に落下。炎に包まれたジョエルも川に落下するが、すでに死体となっていた。ジョエルとポリーは捜査陣に救助されるのだった。

グリフィンがジョエルに執着する理由が最後までよくわからなかった。ここをすっきりさせてくれなかったのが、本作の魅力に欠ける最大の理由。ジョエルに屈辱を味わわされたとか、実はジョエルにも同じような罪の経験があったとか、驚愕の展開があとに待っていればよかったのだが、犯人がクレイジーだったから、というのはオチとしては禁じ手である。
連続殺人も必然性がなく、ロスでは証拠を一切残さなかったということだったのに、最初のカメラ店では、おきっぱなしのハンディカムで映像が映っていたり、途中の逃走シーンではもう少しでつかまりそうになっていたり、観ている側としては、「こんなのいずれ捕まるじゃん」と思っていたら、まさかの自分から墓地で待っていました、という展開。なんじゃそりゃ、という感じなのである。いわゆるトンデモ作品に近いできばえだった。

【5段階評価】2

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2019年1月 6日 (日)

(1804) デイズ・オブ・サンダー

【監督】トニー・スコット
【出演】トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、ロバート・デュバル、マイケル・ルーカー
【制作】1990年、アメリカ

カーレーサーの苦悩と活躍を描いた作品。

カーレースチームのオーナー、ティム・ダランド(ランディ・クエイド)は、かつての名スタッフ、ハリー・ホッジ(ロバード・デュバル)をチームに引き入れる。チームにはエースドライバーのラウディ(マイケル・ルーカー)がいたが、ダランドは若手のドライバー、コール・トリクル(トム・クルーズ)をメンバー入りさせる。ラウディはコールをライバル視し、レース中に車で体当たりするなどのラフプレイをお見舞いする。あるレースで二人は大クラッシュを起こし、同じ病院に担ぎ込まれる。NASCARオーナーのビッグ・ジョン(フレッド・トンプソン)はいがみ合う二人を食事に招待する。二人はレンタカーで車を借りてレストランまでレースをし、それをきっかけに友情が芽生える。検査を担当したクレア・ルイッキー(ニコール・キッドマン)に一目惚れしたコールは、彼女をデートに誘い、恋人となる。一方のラウディは脳に異常があり、レースに出られないままの状態になっていた。代役としてチームに加わったラス(ケイリー・エルウィス)は、はじめはコールに殊勝な態度をとっていたが、レースで結果を出すうちに不敵さを表すようにようになる。コールは冷静さを失い、ビクトリーラン中のラスに体当たりするという暴挙に出、ハリーともどもチームをクビになる。
いったんはレースを諦めるコールだったが、レーサー生命を絶たれたラウディからデイトナ500に出てくれと夢を託され、ハリーを説得してレースに出場。ラスト一週で見事にラスを追い抜き、優勝。感染していたクレアと抱き合い、ハリーと喜びを分かち合うのだった。

ストックカー・レースの迫力を伝える映像はよくできている。ただ、ヘルメットとゴーグルで覆われた顔は、誰が誰だか分かりづらく、もう少し工夫があるといい気はした。ちなみにトム・クルーズとニコール・キッドマンは本作の共演後、結婚している。

【5段階評価】3

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2019年1月 5日 (土)

(1803) JSA

【監督】パク・チャヌク
【出演】イ・ビョンホン、イ・ヨンエ、ソン・ガンホ、キム・テウ、シン・ハギュン
【制作】2000年、韓国

北朝鮮と南朝鮮の国境の歩哨所で起きた銃撃事件の真相を巡るサスペンス。

北朝鮮の国境歩哨所で、北朝鮮側の兵士2名がやってきた韓国兵士に銃殺されるという事件が起きる。韓国系のスイス軍少佐ソフィー・チャン(イ・ヨンエ)が捜査に当たる。現場から足を負傷した状態で逃げてきた韓国側の兵士イ・スヒョク(イ・ビョンホン)は放心状態にあった。調書によれば、彼は北朝鮮兵士に拉致されたが脱出し、その際に銃撃戦になったということだった。殺害された兵士の一人、チョン・ウジン(シン・ハギュン)はスケッチブックを残しており、そこには美しい女性のスケッチがあった。ソフィーは続けて、現場で負傷した北朝鮮側の兵士、オ・ギョンピル(ソン・ガンホ)と面会。ギョンピルは肩を負傷しており、ソフィーは彼を気遣うが、ギョンピルは彼女に質問をされても面倒くさそうにして答えようとしなかった。彼の供述によれば、事件当日、突如、韓国兵士が歩哨所に現れ、銃撃してきたという。南北で証言が全く食い違っているのだった。
死体の確認をしたソフィーは、死体の銃創から、一体は正面から額を撃ち抜かれており加害者の恨みがこもっていると考えられること、もう一体は滅多打ちにされており躊躇が見られることを読み取る。さらに、北朝鮮兵士が受けた銃弾は16発分あるにもかかわらず、弾は15発しか見つかっていないことも判明。銃撃に使われた銃は弾倉に15発入るが、さらに銃身に弾を込めれば16発撃てるものだった。ソフィーはスヒョクに弾を込めさせるが、彼は15発しか込めない。ソフィーは、現場にもう一人いたはずだ、と推理する。さらに、スヒョクとともに歩哨所を担当していたナム・ソンシク(キム・テウ)の銃から、現場の血が検出される。尋問を受けるソンシクは混乱し、取調室から飛び降りてしまう。
場面は事件以前に戻る。国境近くの草むらを巡回していたスヒョクは、立ち小便から戻ろうとした際、地雷の信管につながる針金に足をひっかけてしまい、身動きがとれなくなる。そこに通りかかったギョンピルとウジンが彼を発見。ギョンピルが信管を抜きとり、スヒョクを助ける。国境兵士は互いに、緊張状態にありながらも会えばたばこのやりとりをするなど、互いを尊重し合う関係にあり、スヒョクはやがて命の恩人であるギョンピルを兄貴と呼び、韓国の音楽テープを北朝鮮領土内に投げ込むなどして交流を始め、ついには北の歩哨所に遊びに行くようになる。スヒョクはやがてソンシクも仲間に引き入れ、4人は夜な夜な集まっては他愛のない話や遊びをして交流を深めていた。しかし、南北が緊張状態に入り、スヒョクはもう北の歩哨所に行くのはやめようとソンシクに提案。ソンシクは、ウジンの誕生日があるのでお別れに行こう、と言い、二人は歩哨所に行く。ところがそこに、上官のチェ・マンスが戻ってきてしまったのだ。開いたドアでマンスと鉢合わせになり、表情を失うソンシク。その表情が、飛び降りたソンシクにオーバーラップする。彼は意識不明の重体となる。現場にいたスヒョクは、恨みの表情でソフィーの首を絞め、周囲の兵士に取り押さえられる。
ソフィーのもとに、スヒョクとギョンピルが呼ばれる。スヒョクは二人に、尋問中に混乱状態となり発作的に飛び降り自殺を図ったソンシクの映像を見せる。ギョンピルは感情を表に出さずにそれを見るが、スヒョクは涙を流し、真相を語りそうになる。すると突然、ギョンピルが机ごとスヒョクを押し倒すと、首相万歳と叫び、部屋を後にする。
ソフィーは父親が北朝鮮の関係者であることが判明したことから、任務を解かれる。ソフィーは部屋にスヒョクを呼ぶと、ウジンのスケッチした女性の絵はスヒョクの恋人の顔だったことから、四人は知り合いだったのだと説明し、ギョンピルを守るために真相を明かしてほしいと告げる。
マンスが四人のいる歩哨所に入ってきたとき、マンスはスヒョクに銃を向け、スヒョクもまたマンスに銃を向けた。マンスは韓国兵士2名の武装を解除せよと命じ、ギョンピルを殴りつける。ウジンはスヒョクに銃を向ける。ギョンピルはマンスに、彼らが亡命を求めてきたから相談に乗っていた、と言い、スヒョクに銃を下ろすよう命じるが、スヒョクはこの上官は出世欲の塊で兄貴も嫌っていたじゃないか、と言って銃を下ろそうとしない。それでもギョンピルはスヒョクとマンスの銃を押さえ、ゆっくりと銃を下ろさせる。ようやく二人は銃をホルスターにしまう。ところがそのとき、ラジカセのテープが反転し、突如大音量が鳴り響く。そこにマンスの無線が着信。手を伸ばす仕草が銃を取るように見えた瞬間、ソンシクはマンスを撃ってしまう。慌てて銃に手をやるウジン。しかし、ソンシクとスヒョクがウジンに銃を向け、二人はウジンの脳天と手を撃つ。スヒョクはすぐさまギョンピルに銃を向けて引き金を引くが、弾が詰まって撃てなくなってしまう。そのとき、絶命したはずのウジンの銃から弾が放たれ、スヒョクの脚を撃ち抜く。ソンシクはもはや絶命しているウジンに何発も銃弾を浴びせる。ギョンピルは放心状態となったソンシクから銃を奪い取ると、まだ息のあったマンスの脳天に恨みを込めて銃を放ち、息の根を止めると、その銃の指紋を拭き取ってスヒョクに渡す。そして落ちていたスヒョクの銃を拾ってソンシクに渡すと、スヒョクは拉致されて逃げたと言え、ソンシクはこの場にいなかったと言え、と言って歩哨所から追い出す。歩哨所を出たスヒョクにギョンピルが目配せする。一人だけ無傷である自分を撃て、という意味だった。スヒョクはギョンピルの肩を撃ち、逃走する。ギョンピルは証拠になりそうなものを川に投げ捨てる。失われた弾丸はこのとき川に消えたのだった。
ソフィーはギョンピルと面会していた。ギョンピルは一度は自分に銃を向けたスヒョクを許していた。彼は、スヒョクにもらったライターをソフィーに託す。ソフィーは病室から護送されるスヒョクにライターを託すと、スヒョクとギョンピルの証言で違っていたところとして、最初にウジンを撃ったのが、スヒョクはソンシクだと言ったが、ギョンピルはスヒョクだと言っていた、銃撃戦ではどうでもいいことだが、と告げる。スヒョクはそれを聞いて、親友の頭を撃ち抜いたのをソンシクだと思い込んでいたが、実は自分であったことを悟る。
護送車に乗り込んだスヒョクは、同乗する兵士の銃を奪い取ると、脳天を撃たれて死んだウジンに詫びるように、自らの脳天を撃ち抜き、命を絶つ。ソフィーはそれを目にして涙する。
彼らがまだ生きていたとある日。観光客が撮った写真には、観光客の飛ばされた帽子を拾ってあげた優しいギョンピル、その後方でおどけるように行進をしているウジン、韓国側の警備をしているソンシク、そして撮影を押しとどめているスヒョクの姿が写っているのだった。

派手な銃撃戦が売りのアクション作品かと思って見始めたが、しっかりとしたサスペンスで見応えがあった。始めはただ韓国兵士が北朝鮮兵士を殺害しただけの事件。様々な証言と証拠で次々に真相が塗り代わり、様々な伏線を回収して最後に一つの結果にたどり着く。サスペンス作品として素晴らしいできばえだった。
細かいところでは、遺体の死後硬直感が生々しく、リアルにゲロを作る韓国ならではのリアリティを感じた。ちょっと違うか。
もう一点。準主役のソフィーは、普通に考えれば善人なのだが、ソンシクを自殺に追い込むような取り調べをしたり、最後の一言がスヒョク自殺の引き金になったりと、実は天然で罪なことをしている。制作側の意図なのか、結果的にそうなったが特に配慮がされていないのか、よくわからなかった。まあ、彼女の美貌が本作に花を添えていることは間違いないのだった。

【5段階評価】4

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2019年1月 4日 (金)

(1802) 追跡者

【監督】スチュアート・ベアード
【出演】トミー・リー・ジョーンズ、ウェズリー・スナイプス、ロバート・ダウニー・Jr.
【制作】1998年、アメリカ

収監者の護送機から脱走した人物を追う捜査官の活躍を描いた作品。映画「逃亡者」でリチャード・キンブルを追っていた捜査側の担当者が主人公。

レッカー車の運転中、よそ見運転による暴走に巻き込まれたマーク・ウォーレン(ウェズリー・スナイプス)は、銃の不法所持を理由に逮捕される。マークは恋人のマリー(イレーヌ・ジャコブ)に何かの間違いだと言い残し、航空機で護送される。護送機の中で、マークは取調中に手に入れためがねの蔓で手錠を外し、脱出の機会をうかがう。航空機には中国系のヒットマンが乗っており、マークはペンシル型の銃で殺されかかるが、弾は逸れ、機体に穴が空いてヒットマンは外に吸い出されてしまう。飛行機は不時着。マークは脱走する。護送機に乗り合わせていた保安官のサミュエル・ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)は、マーク追跡の指揮を執る。そこに外交保安局のバートラム・ラム局長(パトリック・マラハイド)とフランク・バロウズ捜査官(リック・スナイダー)が現れ、マークが元外交保安局の捜査官で同僚2名を殺害した強制的にジョン・ロイス(ロバート・ダウニー・Jr.)を捜査に加えさせる。
マークはトラックの運転手を脅すなどして逃走を続けるが、誰も殺害していなかった。ジェラードは、マークがただの凶悪犯ではないと考え始める。マークはマリーに連絡を取りながら、身の潔白を証明するため逃走を続ける。
ジェラードは国連ビルでの捜査官殺害現場の映像を入手し、手袋をしているマークの指紋が現場から出たということを不審に思い、外交保安局を訪ねる。実は外交保安局内部に中国に情報を売っているスパイがおり、その容疑者がマークとされていたのだった。ジェラードは引き続きマークを捜索する。
ジェラードは、捜査官殺害現場にいた中国の情報部員のシアン・チェン(マイケル・ポール・チャン)を追い、彼と交差点で鞄のやりとりをした男を尾行。男はとある教会の一室に入っていく。そこになぜかバロウズ捜査官が現れ、同じように建物の中に消える。バロウズが部屋の隠し戸棚から書類を取り出していると、後ろからマークが現れ、銃を突きつける。情報を漏らしていたのはバロウズだった。おびえるバロウズに銃を突きつけて建物を出るマークだったが、建物の屋上からシアン・チェンがマークを狙撃。ところが弾はバロウズに当たり、バロウズは死亡する。ジェラード、ノア・ニューマン(トム・ウッド)、ロイスの3人がマークを追う。マークは高齢者住宅の建物の中に逃げ込む。ジェラードとロイスが部屋をしらみつぶしにしていくと、ロイスがマークを発見。二人の乱闘が始まる。そこにニューマンが現れるが、ロイスはマークに向けていた銃を突然ニューマンに向けて発砲。マークは逃走し、ニューマンは救急車で搬送されるが心肺停止となってしまう。
ジェラードは、マークが酔い止め薬を飲んでいることから船に乗ろうとしていると予想。ニューマンをマークに撃ち殺されたと考えていたジェラードは、仲間のコズモ(ジョー・パントリアーノ)から恨みを晴らしに行くのはやめろと諭されるが聞かず、すでにヘリに乗り込んでいたロイスとともに出航予定の船に向かう。二人はマークを発見。ジェラードが彼を追い、乗組員が見守る中、天井の空いた小麦の倉庫に落下し、そこで殴り合いをする。落下の際に拳銃が小麦の中に埋もれてしまったが、ジェラードがマークの息の根を止めたかに見えた。しかし、マークは拳銃を手にしており、起き上がってジェラードに銃を向ける。しかし、マークは銃を撃たず、その手を下ろす。その瞬間、上からロイスがマークに容赦なく銃弾を浴びせ、マークは倒れる。
マークは病院に収容され、ロイスとジェラードが付き添いをしていた。ロイスは病室の外の廊下で証拠品の整理をしていた。ニューマンを撃った銃は、ロイスが持っていたのと同じ形式の銃だったが、製造番号が削り取られていた。ジェラードはロイスの銃をさりげなく確認すると、コーヒーを買いにその場を去る。ロイスは病室の警護をしていた警官に証拠品を届けに行くよう命じると、病室に入り、マークに付けられていた治療用の管を剥がし始める。ロイスもまた中国のスパイ側であり、抵抗していたマークを殺害しようとしていた。そこにジェラードが現れる。ロイスはジェラードに銃を向け、引き金を引くが、弾は出ない。ジェラードがロイスの銃を確認する際に弾を抜いていたのだ。ロイスは持っていたもう一つの銃をジェラードに向けようとするが、今度はジェラードがロイスに銃弾を浴びせ、ロイスは倒れる。
マークは無実となり、恋人のマリーと抱き合う。ジェラードは仲間と祝杯を挙げに行くのだった。

情報収集や尾行を駆使して逃走車を追跡する様子が見どころ。ロイスが突如ニューマンを撃ち殺すシーンが、観客側からすると度肝を抜く展開なのだが、ちょっと唐突すぎるのと、すでに脳天に銃を突きつけていたマークを撃たずにニューマンの胸を撃つので、すでにマークがジェラードの脳天ではなく防弾チョッキを着ている胸を撃つことでジェラードを殺さないようにしている、という流れがある中、もしかしてマークとロイスはグルで、わざとマークを逃がしてあげたのか、なんていうようにも思えてしまい、ちょっとストーリーが分かりづらかったのが残念。

【5段階評価】3

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2019年1月 3日 (木)

(1801) ミックス。

【監督】石川淳一
【出演】新垣結衣、瑛太、瀬戸康史、永野芽郁、広末涼子、遠藤憲一、田中美佐子
【制作】2017年、日本

卓球のミックスダブルスに打ち込む元卓球少女の活躍を描いたラブ・コメディ。

スパルタママ(真木よう子)に卓球を仕込まれ、実力はあるもののすっかり卓球嫌いになった富田多満子(新垣結衣)は、普通の幸せを求めるOLとなっていた。そこに、卓球界のアイドル、江島晃彦(瀬戸康史)が入社する。江島は多満子を見初め、付き合いが始まるが、江島に憧れていた小笠原愛莉(ながのめい)が入社すると、江島はあっさりと彼女と浮気。傷心の多満子は実家に戻る。昔の卓球仲間の吉岡弥生(広末涼子)に誘われてフラワー卓球部に復帰した多満子は、部の活性化のため、ミックスダブルスに絞って全日本選手権に出場することを決める。多満子のペアは元プロボクサーの萩原久(瑛太)。落合元信(遠藤憲一)、落合美佳(田中美佐子)夫婦がペアを組み、不登校高校生の佐々木優馬(佐野勇斗)と弥生がペアを組むが、選手権では惨敗。
多満子は萩原にそそのかされ、復縁を願って江島のもとに向かうが、必死に卓球の練習をしている江島を見て、自分のふがいなさを痛感。仲間とともに練習に打ち込む。しかし、離婚していた聖子(山口紗弥加)と娘のしおり(久間田琳加)が萩原のもとに現れ、萩原に立派な仕事の斡旋に来たことを機に、二人のペアは解消。次の選手権への参加はおじゃんになる。しかし、優馬の声がけで皆が発憤。工場で慣れない清掃係をしていた多満子のもとに萩原が現れ、迎えに来たと言って多満子に口づけをする。萩原は家族と復縁したのではなかった。多満子と萩原は大会会場に急行。勝利を重ね、神奈川県予選の決勝で江島・小笠原ペアと対決。善戦して破れはするものの、チームメンバーは自分らしさを取り戻し、フラワー卓球部には活気が訪れ、多満子と萩原は楽しそうに卓球を続けるのだった。

スポーツものと音楽ものに外れは少ないという持論があるが、本作も素直に感動できる作品。暗くはせずコミカルに、スポーツに打ち込む情熱を描いている。ヒーローが最後に逆転勝利する、といったかつての「ロッキー」的なわかりやすさが、最近では逆に惜敗するのが定番になりつつあり、本作も結果はそうだった。ただ、負けてもみんなが自分たちの努力と結果に納得し、向上心をもって新しい人生に踏み出す、というエンディングを迎えるためには、本作については最後で負けるのは必要な展開だったと言える。医者の妻として抑圧されていた弥生が自分らしさを全開にしてホームパーティをしきるシーンも、とてもよかった。

【5段階評価】4

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2019年1月 2日 (水)

(1800) 謝罪の王様

【監督】水田伸生
【出演】阿部サダヲ、井上真央、高橋克典、竹野内豊、松雪泰子、荒川良々、濱田岳
【制作】2013年、日本

謝罪の仕方の指導をなりわいとする男が国家の騒動に巻き込まれ、解決する様子を描いた作品。宮藤官九郎の脚本が冴える作品。

case1では、帰国子女の倉持典子(井上真央)が、ヤクザの車に車をぶつけ、それを東京謝罪センターの黒島譲(阿部サダヲ)が兄のふりをして謝罪する。倉持は黒島の助手となる。
case2では、下着メーカーの社員、沼田卓也(岡田将生)が同僚(尾野真千子)に酔ってセクハラを働き、黒島は沼田に謝罪させるが、相手は弁護士の箕輪正臣(竹野内豊)を使って徹底抗戦の構えとなる。
case3では、離婚した元夫婦の俳優、南部哲郎(高橋克典)と女優の檀乃はる香(松雪泰子)が、息子(鈴木伸之)の起こした暴行事件の謝罪会見の指南を黒島に仰ぐ。謝罪会見は全くうまくいかず、二人は被害者(小松和重)に謝罪に行く。しかし実は息子は、酔った被害者に親を馬鹿にされたことで激昂していたのだった。相手のサラリーマンは逆に息子をほめ、土下座。両者は完全に和解する。
case4では、弁護士の箕輪正臣が、仕事中に「脇毛ボーボー自由の女神! 」と叫んで仕事の邪魔をしていた当時3歳半だった娘に謝罪したいという話を黒島に相談。娘とは実は、黒島の元で助手をしている倉持典子だった。
case5では、映画プロデューサーの和田耕作(荒川良々)の制作した映画で、映画監督(岩松了)が偶然その場にお忍びで来日していたマンタン国の皇太子(野間口徹)を、エキストラと勘違いして肖像権侵害などをしたことから、謝罪を求められる。問題はエスカレートし、黒島は総理大臣(嶋田久作)を担ぎ出すことにする。マンタン国では土下座は相手を侮辱する行為であり、「脇毛ボーボー自由の女神! 」というのが、マンタン国では国王の名にかけて心から謝罪するという意味であった。総理と黒島は、マンタン国でこの言葉を叫び、マンタン国の許しを得る。

阿部サダヲがあちこちで謝罪しまくる話なのかと思ったら、そうではなく、けっこうまともな指導を周囲にしていく。いくつかの話が別々のオムニバスではなく、登場人物がからみながら、しかも同時進行しているという趣向が面白かった。評価は3点にしたが4に近い3点。まあ、「脇毛ボーボー自由の女神」という言葉自体があまり面白くないし、俳優夫婦の息子の名前が「英里人(エリート)」とか、つまらないだじゃれの上に話も分かりづらくなっている(人名ぽくないので一瞬、自分の息子をエリートと呼んでいるのかと混乱した)ところは今ひとつと感じた。

【5段階評価】3

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2019年1月 1日 (火)

(1799) 三度目の殺人

【監督】是枝裕和
【出演】福山雅治、役所広司、広瀬すず、吉田鋼太郎、満島真之介、斉藤由貴
【制作】2017年、日本

殺人容疑で逮捕された男の弁護士となった男が真実を追う様子を描いたサスペンス。

多摩川の河川敷で会社社長を殴り殺した上にガソリンで焼いた罪で、会社の元従業員の三隅高司(役所広司)が裁判にかけられることになり、重盛朋章(福山雅治)が弁護人となる。三隅は30年前にも殺人の罪で裁かれており、このままでは死刑は免れないと考えた重盛は、同僚の摂津(吉田鋼太郎)と相談しながら、強盗殺人ではなく、怨恨による殺人の後、財布を盗んだという死刑逃れの作戦を立てる。真実が何かを気にする若手弁護士の川島に、三隅はどうせ真実など分からないのだから裁判に有利な筋道を採用するのが当然だ、と考えを述べる。しかし週刊誌が、三隅の告白記事を掲載。それによると、三隅は、被害者の妻の美津江(斉藤由貴)から、保険金目的で夫殺しを依頼されたというのだ。三隅は美津江から、例の件をよろしくというメールをもらっており、50万円のお金を給料とは別に受け取っていた。重盛らは裁判官、検事との打ち合わせで、犯人性は争わず、その線で弁護を進めることを説明する。
重盛は、被害者の娘の山中咲江(広瀬すず)がたびたび三隅の家を訪ねていたという証言を得る。同じ年頃の娘(蒔田彩珠)を持つ重盛は、次第に事件の真実を知りたいと思うようになる。
美津江と咲江の家での会話からは、美津江は三隅に殺人を依頼したり不倫関係にあったわけではなく、会社の食品偽装の口止め料として50万円が支払われているようだった。美津江は週刊誌記者に追われて困りながらも、会社の不祥事が明るみに出るのを恐れており、そのことも父親のことも言うなと咲江に告げる。咲江が父親のことって何、と聞き返すが、美津江は答えない。
重盛は法廷で、美津江が主犯格の共謀殺人という見立てで弁護をはじめる。しかしその日、咲江から、実は自分は父親からレイプをされており、河川敷でたき火をしているのを見かけたことがきっかけで親しくなった三隅が、そのことを知って殺害に及んだのだ、という証言をするつもりであると伝えられる。重盛は三隅に面会する。すると三隅は、そんなことは覚えていない、とうそぶき、実は自分は河川敷には行っていない、と証言を飜す。重盛は今さらそれを信じろと言うのか、と驚くが、三隅は犯行を認めれば死刑にはしないと検事にも弁護士にも言われたからだ、と必死の形相で重盛に訴えかける。それを目の当たりにした重盛は、裁判に不利になるとは承知しながらも、犯行を否認する方向に弁護を切り替えることにする。しかし、裁判官も検事側も、急な変更に戸惑いを隠せない。女性検事の篠原(市川実日子)は、一から裁判をやりなおすべきでは、と言いかけるが、先輩に耳打ちされ、あっさりとそれを撤回する。結局、裁判は続行され、三隅には死刑判決が言い渡される。三隅は、重盛の手をとって「ありがとうございました。」と穏やかな声で感謝の言葉を伝えると、傍聴席に一人残っている咲江には目を向けず、静かに法廷を後にする。
重盛は三隅と接見する。重盛は、咲江につらい証言をさせないよう、三隅が、自分が死刑になることを受け入れたのだろう、という自分の考えを告げる。三隅ははっきりとそれには答えない。重盛は三隅は空の器のような存在だったのだろうと考えるのだった。

映画賞を多く受賞している作品だったので、期待して観たのだが、肩すかしだった。サスペンス作品なのに、真実が語られない。これははっきり言ってルール違反だ。
なぜ三隅は重盛に娘がいることを知っていたのか。なぜ咲江は屋根から飛び降りたと嘘をついてきたのか。こうした伏線が後半で説明されない。そして、本当に殺したのは誰なのか。なぜ死体は焼かれなければならなかったのか。これも分からないまま。「三度目の殺人」というのも、どうやら、裁判制度が三隅を殺した、ということのようではあるが、それもわかりにくい。ほかにも、三隅、咲江、重盛の三人が雪遊びをしているのは何を暗示しているのかもよく分からない。もしかして重盛にも、人には言えない秘めた暗い過去があるのか、といらない予想をしてしまっていた。そんなこんなで「え。これで終わり? 」というのが第一声だった。
ほかにも、なぜ咲江の靴は焦げていたり、三隅が手をやけどしていたりしていたのか。河川敷で死体を焼いた現場にいたとして、手をやけどしたり靴が焦げたりするだろうか。頬についた血を、布などで拭き取るでもなくただ手の甲で頬にこすりつけるように拭くというのも、シーンとしての象徴性を優先しすぎで真実味がなく、サスペンスファンとしては「なんだかなあ」なのだ。しかも頬だけに血がついていて、服にも付いていれば証拠になるだろうし。とにかく法廷もの、推理ものとしては破綻していた。焦げた靴を置きっぱなしにするなよ、とか。
どうやら監督は、本作で、裁判制度の理不尽さを訴えたかったようなのだが、じゃあなんでこんな、東野圭吾原作作品みたいな本格サスペンス風にしたのか。「それでもボクはやってない」の方がよっぽどマシであった。
また、役所広司演じる三隅自体は役者ではないはずなのに、重盛相手に真実を告げているとしか思えない表情で嘘をついていた、なんていうのも興ざめである。それは人物を見せたいのではなく、俳優を見せたいということである。監督が脚本を書いてしまったことが原因かもしれない。かといって、もともと真実より裁判技術を優先するという役どころの重盛の描き方も浅くて、序盤に本人が口で言っているだけで、後半は普通に真実を知りたがっているし、経済優先で裁判を早く終わらせようとする実態への理不尽さもあっさりと受け入れてしまい、ぱっとしない。
是枝裕和監督作品としては、「誰も知らない」は数少ない5点評価作品で感動しており、決して嫌いな監督ではないのだが、本作は3点評価にしてしまった。飜ってみると、「海街diary」や「そして父になる」も3点評価なのだった。じゃあ妥当な結果なのか。

【5段階評価】3

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