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2019年1月13日 (日)

(1810) 哀しき獣

【監督】ナ・ホンジン
【出演】ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、チョ・ソンハ
【制作】2010年、韓国

韓国に渡った朝鮮系中国人が犯罪に手を染め、追われるさまを描いたバイオレンス作品。

韓国に出稼ぎに行った妻が行方不明となり、多額の借金を抱えていた朝鮮系中国人キム・グナム(ハ・ジョンウ)は、借金取りから闇社会のボス、ミョン(キム・ユンソク)を紹介される。ミョンは、ソウルにいるキム・スンヒョン(カク・ピョンギュ)を殺害して親指を持ち帰れば、借金をチャラにすると言われる。妻を探そうと考えていたグナムは、韓国に密航する。10日後の船が出るまでに仕事を終える必要があった。
グナムは住所を頼りにスンヒョンを探し、とあるビルの6階に住んでいることをつきとめる。ところがエレベータは6階には行かず、5階から階段で行く必要があった。階段の入り口には鉄格子があり、6階には上がれなかった。寒い夜、外で張り込みをしていたグナムは、スンヒョンとおぼしき恰幅のよい人物と対面する。彼は運転手を連れており、ビルのシャッターを下ろすと一人で6階に上がっていく。その様子は外からも人感センサー付きの踊り場の照明で判別できた。明くる日、グナムは人感センサーの点灯・消灯のタイミングを計りながら、階段の踊り場で殺害のシミュレーションを行う。グナムは殺害計画を進める一方で、妻の写真を手に、妻の行方を追う。妻が寝泊まりしていた部屋を突き止め、隣の住民に話を聞くと、男と喧嘩をして出て行ったということだった。グナムはその住民に金を渡し、戻ってきたら引き留めてほしいと頼む。
スンヒョンのビルに戻ると、周りを周到に見渡してビルの中に入り込む怪しい二人組の男を発見。グナムは思わず身を潜める。そこにスンヒョンが帰ってくる。グナムは嫌な予感がするが、ビルに近寄れない。果たしてスンヒョンは二人組の男に襲われていた。スンヒョンは反撃し、ビルの窓を破って一人の男が自動車の上に転落する。それを見上げていた運転手は、ビルの入り口のガラスドアを打ち破って中に入っていく。グナムは包丁を手に後を追う。恐る恐る階段を上っていくグナムが目にしたのは、力なく横たわる血まみれのスンヒョンの喉をかききる運転手の姿だった。運転手はグナムを見つけるとグナムに襲いかかる。グナムは必死に抵抗し、運転手は階段を転げ落ちて流血し、動かなくなる。グナムはスンヒョンに近づき、苦労して親指をもぎとる。踊り場には恐怖の張り付いた表情をしたスンヒョンの妻がいた。ビルに警察車両が何台も到着する。階下に逃げそびれたグナムはスンヒョンの家に上がり込み、窓から下に降りようとする。上からも警官がやってくるが、グナムはパトカーの屋根に飛び降り、群がる警官を払いのけて逃走。パトカーの追撃も振り切って町に消える。スンヒョンに殺し屋を送り込んだ会社社長のキム・テウォン(チョ・ソンハ)は、目撃者として逃走した男、グナムを警察より先に捜して殺害せよ、と部下のソンナム(イ・チョルミン)に命じる。
グナムは帰りの便に乗るため指定した場所に行くが誰もおらず、ミョンに電話をしても連絡が付かない。単身で逃避行を続けざるを得なくなったグナムは、長距離バスの中で検問にあい、警官に身分証の提示を求められる。グナムは警官に殴りかかると、バスの窓ガラスを破って脱出。警官が銃を向けるが、全員腰が引けている。グナムは若い警官ともみ合いとなり、別の年配警官が発砲するが、それは若い警官に当たってしまう。グナムは腕を撃たれてしまうが、走って山中に逃れる。その様子を遠巻きにテウォン社長の部下達が見ていた。ソンナムは朝鮮系の人間を手当たり次第に拷問し、グナムが中国から密航した人間であり、密航を手引きしたのはミョンという男だと社長に報告する。テウォンはソンナムにミョンを探して片付けるよう命じる。
ソンナムは手下を率いてミョンの止まるホテルの部屋に侵入するが、タフなミョンに返り討ちにあい、ソンナム以外の男達は殺されてミョンの手下によってバラバラに切断処理されてしまう。ミョンはソンナムを人質にしてテウォンを呼び出す。おびえきっているテウォンはミョンに言われるがまま、大金を払ってグナムを始末してもらうことする。
一方グナムは、地図を頼りに密航初日に宿泊したウルサンにたどり着いていた。無人の建物の中で、グナムは残っていた漬物やジャガイモを食べながら夜を明かす。テレビでは30代の朝鮮族の女性のバラバラ死体が発見されたというニュースが流れていた。グナムは、部屋に転がっていたライターに書かれていた「ミソル宮」という店を張り、密航業者の一人を発見。彼を襲ってミョンがグナムを騙していたことを吐かせる。グナムは男を監禁し、金を払って再び中国に帰る便への密航を手配させる。ニュースでは、女性バラバラ事件の犯人が捕まっていた。犯人の男は、世話していた女が夫に会うため中国に帰りたいと言ったので殺したと証言していた。グナムは警察に電話をして事件の被害者が自分の妻か確かめようとするが、電話口の女性は個人情報は伝えられないとの一点張りだった。時間の残されていないグナムは密航船の出る埠頭に向かう。ところが、グナムが入れられたコンテナの積み荷は東京行きだった。騙されたと知ったグナムはぎりぎりのところでコンテナを抜け出し、脱走する。ところが、逃げた先にはグナムを追ってきたミョンの一味がいた。グナムは貨物船の中に逃げ込み、斧や包丁で切りつけられながらも応戦。そこにミョンが現れる。グナムはミョンに罵声を浴びせ、斧を投げつけると、甲板から海に飛び込む。驚くミョンは、手下に追え、と命じる。手下達は慌ててグナムが飛び降りた海とは反対方向に駆け出すが、ミョンはそれを見てそっちじゃないだろ、と言うと、自ら海に飛び込み、グナムを追う。港に上がったグナムは手下を振り切ってトレーラートラックに乗り込み、埠頭を脱出。トラックは横転するが、グナムは乗用車に乗り換えて逃走。ミョンも車で追いかけるが、グナムはそれを振り切る。
グナムは人を使ってバラバラ事件の被害者女性の身元を確認する。確認係の男は、グナムの妻の写真と遺体の顔を比べ、全く分からないにもかかわらずグナムには写真の女性だったといいかげんな返事をする。グナムは彼女の遺骨を受け取ることにする。
仲間とともに隠れ家に潜んでいたミョンのもとに、テウォンの一味が再び夜襲をかける。ミョンは超人的なタフさで何度も刺されながらも応戦し、ただ一人生き残ると、死体に火を付けて現場を去る。
スンヒョン教授の妻が帰宅すると、グナムが現れる。驚く妻を前に、グナムは旦那を殺したのは自分ではない、誰の指示があったのか知りたいと言って、妻に運転手の手がかりを尋ねる。グナムは運転手の家に侵入し、米袋の中に札束と携帯電話が隠されているのを発見。次に彼が尋ねたのはソンナムの家だった。ソンナムを襲い、黒幕はテウォン社長であることを知る。その頃テウォンは、手下がスンヒョン教授殺害の依頼を請け負った男を発見したと知らされ、男の話を聞いていた。男はHK貯蓄銀行のキム・ジョンファンという銀行員に教授殺害を依頼され、ミョンに殺害を頼んだと白状する。テウォンはソンナムを呼び出すが、グナムに襲われていたソンナムは電話に出られない。グナムは車で外に出ようとするが、そこにテウォンの手下の二人組が現れ、グナムを拉致して車のトランクに乗せる。グナムがトランクの中で目を覚ますと、手下の二人がグナムの殺し方をビクビクしながら相談していた。グナムは包丁を手に車を降り、二人と戦う。一人は倒され、もう一人はシャベルを振り回しながら、殺された奴のお金を山分けして別れよう、お前を殺そうとした奴の名刺は車の中にある、と言って戦いを逃れようとするが、結局工事中の穴に落下して絶命。グナムは銀行員キム・ジョンファンの名刺を確認する。
ミョンは単身でテウォンの会社に入り込み、テウォンがいる地下室にたどり着くと、テウォンの部下を皆殺しにする。ミョンはテウォンに金を払え、と指示。銀行が開くまでお前の家で待つ、と言ってテウォンを車に乗せて走り出す。テウォンはとっさにドアを開けて車から飛び出すが、足を車に轢かれてしまい、足を引きずりながら逃げようとする。ミョンはそれを追うが、物陰からテウォンがミョンに襲いかかり、奪った手斧をミョンに打ちつける。それでも死なないミョンは、手斧を奪い返すと、テウォンの四肢に手斧を打ち付け、テウォンを倒す。ミョンは再び運転席に座って車を走らせるが、車はゲートの柱にぶつかってしまう。ついにミョンは車の中で動かなくなっていた。そこにグナムが現れる。グナムは車の中で動かなくなっているミョンを確認すると、血まみれで倒れているテウォンのもとに向かう。テウォンは虫の息で「あの教授野郎が俺の愛人と寝やがった」と殺害動機をつぶやいていた。グナムは、バラバラ死体の身元確認を依頼していた男から遺骨を受け取ると、翌日、HK貯蓄銀行に向かい、キム・ジョンファンを確認する。彼は窓口で働いていた。ふと、その前に一人の女性が座る。それは教授の妻だった。教授殺しの依頼は、浮気関係にあるジョンファンと妻の共謀だったのだと思われた。キム・ジョンファンは自分を見つめるグナムを見て驚く。妻もジョンファンの顔を見て振り返る。しかしグナムはすでに店を出ており、妻に一瞥をくれると姿を消す。グナムは港で年老いた船乗りを脅して船を出させる。しかし、黄海のただ中でグナムはとうとう息絶える。老いた船乗りは、グナムを海中に突き落とし、船を出す。中国の駅には、グナムの妻が降り立つのだった。

前半は分かりやすいのだが、後半は展開を詰め込みすぎで、説明が不足しているので、一度見ただけでは意味が分かりづらい作品になっている。自分も二回観て、おそらくこうなのか、というのがやっと分かった。
ストーリーの分かりづらいサスペンスは好きではないのだが、本作はバイオレンス作品としてのできはよかったので評価は高めになった。カーチェイスシーンはカット割りが多くて映像もブレブレなので、追う側と追われる側の位置関係などがよくわからず、フラストレーションがたまるつくりになっているのだが、拳銃のほとんど登場しない乱闘シーンは迫力があった。包丁や手斧、さらには骨の棍棒。RPGの序盤の武器のような無骨な武器だが、それだけに痛々しさ、生々しさがストレートに伝わってくる。韓国作品らしい、血や傷の映像のリアリティも特徴的だった。始めはおどおどしていたグナムが、段々と暴力性を増し、容赦なく相手に暴行して自分の要求を通していく姿に素直に引き込まれたし、超人的なタフさを見せ、海に飛び込むなど自ら行動するミョンと、手下に指示して偉そうにするだけのテウォンという、対照的な組織のボスの対比も見応えがあった。ただ、銃で撃たれようが斧を打ち付けられようが病院にも行かず、一晩寝ればほぼ回復しているあたりは、「RPG? 」と突っ込みの一つもいれたくなったし、グナムが腕を撃たれて泣きそうな顔をしている割に次の日はピンピンしているので、もしかして話が時系列じゃなく進んでいるのか、と勘違いするほどだった。

【5段階評価】4

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