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2018年8月

2018年8月31日 (金)

(1745) 007 消されたライセンス

【監督】ジョン・グレン
【出演】ティモシー・ダルトン、ロバート・デビ、キャリー・ローウェル
【制作】1989年、イギリス、アメリカ

007シリーズ第16作。ティモシー・ダルトン主演の2作目。強大な組織力を持つ麻薬王と戦うスパイの活躍を描く。

ジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)は、ライター(デビッド・ヘディソン)と協力して、セスナで逃げる麻薬王のサンチェス(ロバート・デビ)を、ヘリから降ろしたワイヤーでセスナを宙づりにして逮捕。しかし、サンチェスはキリファー捜査官(エベレット・マッギル)を買収して脱走に成功。サンチェスは新婚のライターの妻を殺害したあげく、ワイヤーで宙づりにしたライターを人食い鮫のいる水槽に降ろして足を食いちぎらせる。
復讐心に燃えるボンドは、M(ロバート・ブラウン)の命令に背いてサンチェスを追う。同様にサンチェスを追っていたCIA捜査官のパメラ(キャリー・ローウェル)と仲間となったボンドは、富豪のふりをしてサンチェスに接触。サンチェスの愛人のルペ(タリサ・ソト)はジェームズに協力。サンチェスの工場に乗り込み、彼が麻薬をガソリンに溶かし込んで密輸していることを知る。ところがそこにいたサンチェスの手下のダリオ(ベニチオ・デル・トロ)がボンドが的であることに気づく。ボンドは隙を見てガソリンに火を付ける。ボンドを捕らえたサンチェスは、ガソリンを積んだタンクローリーとともに工場をあとにする。ボンドは、ダリオと格闘の末、麻薬の塊を粉砕する機械にダリオを落下させて倒し、別途潜入していたパメラと工場を脱出。パメラはセスナを運転し、ボンドはタンクローリーに飛び移って次々とタンクローリーを破壊。サンチェスはガソリンまみれになりながらもタンクローリーのバルブを閉め、力尽きたボンドにとどめを刺そうとするが、ボンドは友人ライターの形見となった、彼の結婚祝いのライターを取り出し、サンチェスに火を付ける。サンチェスは炎にまかれてタンクローリーとともに爆死。ボンドはパメラとともにその場を去り、パーティ会場でパメラと熱い口づけをかわすのだった。

二人の魅力的なボンド・ガールが登場。アクションシーンもなかなか派手で迫力があり、面白い作品に仕上がっている。ティモシー・ダルトンは2作しか007シリーズに登場していないが、どちらもなかなかのできばえだった。サンチェス役のロバート・デビは、「ダイ・ハード」で攻撃的なFBI捜査官を演じていたのだが、彼とヘリに同乗して一緒に爆死してしまう黒人捜査官を演じたグランド・L・ブッシュも、同様に本作に出演しており、ダイ・ハードファンはニヤリとするシーンがある。(正確には本作の方が先に公開されているので、007ファンがダイ・ハードを観てにやりとする、というほうが正確かもしれない。)

【5段階評価】4

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2018年8月28日 (火)

(1744) ロード・オブ・クエスト ドラゴンとユニコーンの剣

【監督】デビッド・ゴードン・グリーン
【出演】ダニー・マクブライド、ジェームズ・フランコ、ナタリー・ポートマン、ジャスティン・セロー
【制作】2011年、アメリカ

フィアンセを魔法使いに奪われた王子と弟の戦いをファンタジーコメディ。

とある国の王家の次男であるサディアス(ダニー・マクブライド)は、勇敢な兄のファビアス(ジェームズ・フランコ)とは対照的なひねくれた性格。家来のコートニー(ラスマス・ハーディカー)を連れ、下品な冗談を言う日々。ファビアスが魔法使いのリザー(ジャスティン・セロー)の居城に攻め込み、幽閉された他国の王女ベラドンナ(ズーイー・デシャネル)を救い出して城に連れ帰る。挙式の日、城にリザーが現れ、強い魔力でファビアスの力を封じ、ベラドンナを奪い去ってしまう。タリアス王(チャールズ・ダンス)はファビアスに対し、兄についてベラドンナを連れ戻す旅に出るよう命じる。
ファビアスに付いていた家来たちは、リザーの側に寝返っており、ファビアスとサディアス、そしてコートニーは3人で旅をすることになる。途中、女戦士のイザベル(ナタリー・ポートマン)と合流した3人だったが、ファビアスはリザーの手下にさらわれてしまう。サディアスはイザベルとともに、リザーを倒せるというユニコーンの剣を手に入れ、リザーの城に乗り込む。城に捕らわれていたファビアスを助け出したサディアスは、剣をファビアスに託す。ファビアスはリザーの体を剣で貫き、リザーを倒す。
サディアスはイザベルを城に招こうとするが、イザベルは断る。しかし、ファビアスとともに城に凱旋したサディアスのもとに、イザベルが現れる。二人は、イザベルに貞操帯を付けた魔女を倒しに行くことを誓うのだった。

家族で観るには台詞が下品。大人が観るには剣と魔法のファンタジーに過ぎる。狙った客層のよく分からない作品。しかも、「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞を受賞したナタリー・ポートマンが出演して、このB級感。最初、ナタリー・ポートマンに似た別の女優なのかと思った。なんとも残念な作品だった。日本未公開というのも仕方ないのだった。

【5段階評価】3

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2018年8月22日 (水)

(1743) 007 リビング・デイライツ

【監督】ジョン・グレン
【出演】ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジェローン・クラッベ、ジョン・リス=デイビス
【制作】1987年、イギリス、アメリカ

007シリーズ第15作。ティモシー・ダルトン主演第1作。

ジブラルタルでの演習中に仲間を殺害されたジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)。暗殺者を仕留めたボンドは、ソ連のコスコフ(ジェローン・クラッベ)の救出作戦に加わる。コスコフがコンサートホールを抜け出そうとしたとき、チェロ奏者が建物から彼を狙撃しようとする。それを発見したボンドは、とっさに彼女の腕を負傷させ、彼女の死を防ぐ。コスコフは亡命を果たし、彼はソ連のプーシキン(ジョン・リス=デイビス)がイギリスのスパイ暗殺を企てていると明かすが、そこに牛乳配達員になりすましたスパイ、ネクロス(アンドレアス・ウィズニュースキー)が現れ、コスコフを奪われてしまう。
プーシキン暗殺を命じられたボンドだったが、それを断り、女性チェリストを追う。彼女の名はカーラ。ボンドはカーラに接触し、話を聞く。彼女はコスコフの恋人で、彼を狙ったライフルの弾は空砲だった。コスコフは彼女を使って亡命を真実だと思い込ませようとしているのだと気づいたボンドは、カーラを仲間に付けてコスコフを追うことにする。
ボンドは仲間のソーンダース(トーマス・ウィズリー)にコスコフのことを調べさせる。彼は武器商人のブラッド・ウィティカー(ジョー・ドン・ベイカー)と関係を持っていることが判明。ボンドはプーシキンに会い、プーシキンの狂言暗殺を企てる。作戦を終えてカーラのもとに戻ったボンドだったが、コスコフのことを信じていたカーラは、ボンドに睡眠薬を飲ませてコスコフに引き渡してしまう。ようやくボンドのことを信じたカーラは、ボンドが運ばれた牢屋で彼に協力。カーラが渡した秘密兵器のキーホルダーを使ってボンドは牢屋を脱出。そこで救ったソ連抵抗組織の副司令官カムラン(アート・マリック)の協力で、コスコフのアヘン密売現場に潜入したボンドは、彼がアヘンを詰め込んだ輸送機に乗り込み、時限爆弾をセットする。ボンドを救おうと彼を追ってきたカーラも輸送機に乗り込み、二人は大量のアヘンとともに脱出に成功。ところが輸送機にはネクロスも乗り込んでいた。時限爆弾を解除しようとしたボンドは、ネクロスと命がけで戦い、ネクロスは飛行機から振り落とされる。二人は墜落寸前の輸送機からジープで脱出し、ウィティカーのもとに向かう。ウィティカーはコレクションの武器を使ってボンドを攻撃するが、ボンドは秘密兵器で逆襲し、彼を倒す。そこにプーシキンとコスコフが現れ、コスコフはウィティカーが敵であるかのようにふるまうが、プーシキンはコスコフを犯罪者としてモスクワに送還する。カーラは名チェリストとして演奏会を開く。ボンドはカーラの楽屋でカーラと熱い口づけをかわすのだった。

ロジャー・ムーアが主人公を演じてB級スパイ・コメディのようになっていた007シリーズが、ティモシー・ダルトン主演で魅力的なアクションに生まれ変わった。アクションのキレは、さすがにダニエル・クレイグ版などとは比べものにならないが、それでもシリアスな展開、強力な秘密兵器などは見応えがあり、十分に面白い作品だった。ボンド・ガールも、ただの飾り物ではなく、ストーリーにもしっかりからみ、アクション面でも活躍し、しかもとっかえひっかえボンド・ガールが登場するわけではなく、最初から最後まで同じ人物なので、そこもよかった。ちょっと滝沢カレンに似たおバカっぽい顔で、輸送機の操縦がまるで役立たずでボンドを命の危機にさらしたりもするのだが、ボンドを助けようと必死に追いかける姿は十分に魅力的。もしかすると一番印象に残ったボンド・ガールかもしれない。

【5段階評価】4

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2018年8月21日 (火)

(1742) 日本統一

【監督】山本芳久
【出演】本宮泰風、山口祥行、哀川翔、小沢仁志、白竜、千葉真一
【制作】2013年、日本

愚連隊の二人がヤクザの世界に身を投じるまでを描いた任侠作品。Vシネマの人気シリーズだが、劇場公開もしていた。

横浜でヤクザにも物怖じしない暴れ者の氷室(本宮泰風)と田村(山口祥行)は、地元の安西組を解散に追い込み、横浜から追われる身となり、神戸に乗り込む。二人は龍征会を興すが、地元の侠和会に目を付けられるようになる。侠和会系の三上組と抗争状態となり、氷室は仲間を救うため、詫びを入れようとするが、すでに若手が三上組の組員に発砲騒ぎを起こしてしまったため、三上組から皆殺しにすると宣告されてしまう。そこに、氷室に目をかけていた侠和会の川谷(小沢仁志)が仲裁に入り、氷室は三上組の傘下に収まることになるのだった。

シリーズ1作目ということで、大団円でもなければそして誰もいなくなったでもない、長編漫画の1巻を読み終わったような内容。つまらないわけではないが、面白くもないので、日本統一2を観るのはやめることにした。ちなみに、主役の本宮泰風は、タレント松本明子の旦那である。

【5段階評価】2

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2018年8月20日 (月)

(1741) 猛獣大脱走

【監督】フランコ・E・プロスペリ
【出演】ジョン・アルドリッチ、ロレーヌ・ド・セル、ウーゴ・ボローニャ、ルイーザ・ロイド
【制作】1983年、イタリア

動物園か逃走した猛獣に襲われる人々を描いた動物パニック映画。

大都会。排水は白く泡立ち、何かに汚染されているようだった。その水を動物園の猛獣たちが口にしていた。
夜、車の中でいちゃいちゃしているカップルは、いつの間にか車の周囲に大量のドブネズミがいることに気づく。カップルにネズミが群がり、無残に食い殺されてしまう。動物学者のリップ博士(ジョン・アルドリッチ)は、ウェルナー警部(ウーゴ・ボローニャ)から事件の知らせを受け、現場に向かう。彼は数匹のネズミを採取する。動物園では、コンピュータ管理による猛獣の柵が故障。興奮したゾウやトラ、ライオンなどの猛獣がオリを抜け出し、動物園の監視員を殺害。リップ博士は調査を開始する。町では、興奮したゾウに人々が踏み殺されたり、パニック状態となる。
博士の知り合いのローラ(ロレーヌ・ド・セル)は、娘のスージー(ルイーザ・ロイド)を迎えに行くため、夜の地下鉄に向かうが、ゾウが空港の滑走路に侵入し、着陸の事故によって大停電が起き、地下鉄が止まってしまう。車両の中にドアガラスを破ってトラが侵入。ローラは泣き叫ぶ少女を抱きかかえて虎から逃げる。そこにリップ博士が麻酔銃を持って現れ、トラは捕獲される。スージーのいるバレー教室にもシロクマが乱入。先生の一人が襲われ、子供たちはもう一人の先生と教室の一つに逃げ込む。
リップ博士の調査により、水道水にPCPという麻薬が溶け込んでいることが判明。それによって動物が一時的に興奮状態になっていたのだった。やがて動物の興奮は冷め、電気も復帰して町は平穏を取り戻したかに見えた。しかし、ローラがスージーを迎えに行き、隠れていた部屋に入ると、子供の一人が笑いながらナイフを持って絵に描かれた人の顔を何度も突き刺していた。そして床には、血まみれになった先生の死体が。子供たちも、水道の水を飲んでいたため、動物たちと同じような興奮状態になっていたのだ。たまたまコーラで喉の渇きをうるおしていたスージーは冷静さを保っており、ローラとともに部屋を脱出。リップ博士とローラは、またニューヨークや東京のような大都市で同じことが起きるかも知れないと警鐘を鳴らすのだった。

この作品をB級映画と断じるのはたやすいが、特撮は作り込まれており、殺戮された人々の死体はただ血糊で塗っただけではなく食われた痕跡があったし、く町に放たれた猛獣のシーンも本物。エンディングも、よく分からないおバカな退治をするのではなく、世の中に警鐘を鳴らす実話のような終わり方。B級作品を観た後によく感じる、「面白いっちゃ面白かったけど、くだらないことに時間を使ったな」という感じではなかった。午後のロードショウでよくやるアナコンダや巨大シャークのたぐいとは一線を画していた。
本作がイタリア映画で、登場する町も匿名だがアメリカではなさそうな割に、登場人物の話すのは全て英語。世界に売ろうとするとこうなるということなのかな。

【5段階評価】4

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2018年8月19日 (日)

(1740) フレンチ・コネクション

【監督】ウィリアム・フリードキン
【出演】ジーン・ハックマン、ロイ・シャイダー、フェルナンド・レイ、トニー・ロビアンコ
【制作】1971年、アメリカ

麻薬密輸事件を追う刑事とマフィアの死闘を描いた作品。

ニューヨーク市警のポパイことドイル刑事(ジーン・ハックマン)が、相棒のルソー(ロイ・シャイダー)とともに、マフィアの麻薬密輸事件を追う。証拠が不十分ななか、刑事の勘で捜査を進めようとするドイルに上司は手を焼くものの、盗聴の許可を裁判所から得るなど彼の捜査に協力する。
根気強い尾行調査を続けるも相手に感づかれ、黒幕のアラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)はなかなか尻尾を出さない。シャルニエは腹心ピエール・ニコリ(マルセル・ボズフィ)を使ってドイルを暗殺しようとするが、間一髪で逃れたドイルは、電車に逃げ込んで運転士を脅して逃げるニコリを車で執拗に追いかけ、前の車両に激突して停止した電車から逃げ出すニコリを返り討ちにする。
密輸に使われる車を絞り込んだドイルは、車を押収し、バラバラに解体してついに麻薬を発見。車をそのままシャルニエの協力者である車の所有者、アンリ・デブロー(フレデリック・ド・パスカル)に解体の痕跡を消して返却。ようやく取り引きを実現するシャルニエだったが、それを警察は待ち構えていた。取引現場の廃工場に逃げ込む一味をドイルらは包囲するが、シャルニエにはまんまと逃げられてしまうのだった。

実話に基づく作品。尾行シーンの描き方と、高架鉄道を車で追いかけるシーンが特に秀逸。ラストシーンでよく分からないうちに黒幕のシャルニエが逃走してしまうのが、ややしまりのないようにも思える。最後の銃声は何を暗示していたのだろう。続編があるので楽しみだ。

【5段階評価】4

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2018年8月18日 (土)

(1739) アメリカン・スナイパー

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ジェイク・マクドーマン、サミー・シーク
【制作】2014年、アメリカ

イラク戦争で活躍したスナイパーの戦いぶりを描いた実話に基づく作品。

カウボーイを夢見て大人になったクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、9.11のテロをきっかけに海軍に志願。訓練中に知り合ったタヤ(シエナ・ミラー)と結婚した直後、戦地赴任の指令が下る。狙撃手としての彼の最初の標的は、対戦車手榴弾を米軍戦車に投げ込もうとした幼い少年とその母親とおぼしき女性だった。彼はスナイパーとして、何度も米軍兵への攻撃を未然に防ぎ、「伝説(レジェンド)」と呼ばれるようになる。彼は任務を終えて帰国しても、心は戦場にあり、何度も戦地に向かう。妻のタヤは、家族がいながら戦地に向かう夫に悩む。戦友のビグルスに重傷を負わせた敵側のスナイパー、ムスタファ(サミー・シーク)を倒すため、彼は4度目の戦地派遣でサドルシティに向かう。そこで彼は、ついにムスタファを倒すが、敵陣の中でも狙撃だったため、現地兵の猛攻撃に遭う。何とか脱出に成功したクリスだったが、160人もの敵兵を撃ち殺した彼は、心に深い傷を負っていた。その傷も癒え、ようやく家族との幸せな生活に戻ったクリスだったが、退役軍人の男に、ある日突然、殺されてしまうのだった。

戦闘のシーンのリアリティは素晴らしく、迫真の映像はさすがクリント・イーストウッド。予備知識なしで観たのだが、実話だと最後に分かり、さらに感動した。一方で、弟との関係がよく分からず、必要なくだりなのかな、と思ったが、実話だということで納得だった。
しかし、技術の発達した現代においても、最前線では生身の人間が、それこそ爆弾を一つ仕掛けられていたり、待ち伏せで狙い撃ちされたらそれまでという、まさに死と隣り合わせの状態で戦っているというのも衝撃的だった。こういうことのない世界になることを改めて望む、そんな気にさせる作品だった。

【5段階評価】4

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2018年8月17日 (金)

(1738) 危険な情事

【監督】エイドリアン・ライン
【出演】マイケル・ダグラス、グレン・ローズ、アン・アーチャー、エレン・H・ラッツィン
【制作】1987年、アメリカ

浮気相手の女性に狙われた男性の身に起こる恐怖を描いたサスペンス。

弁護士のダン・ギャラガー(マイケル・ダグラス)は、寿司パーティで見かけた女性、アレックス・フォレスト(グレン・ローズ)と職場で再会。妻のベス(アン・アーチャー)と幼い娘のエレン(エレン・H・ラッツィン)が泊まりで外出していたこともあり、ダンは軽い気持ちでアレックスを飲みに誘う。カフェで話しているうちに、お互いに男女の関係を求める会話の流れになり、ダンはそのままアレックスの家を訪ね、そこで激しい情事にふける。一夜限りのつもりだったダンだったが、自宅にアレックスから電話がかかってくる。仕事と犬の散歩を理由に断るダンだったが、熱心なアレックスの誘いに負け、再び彼女の部屋を訪ねる。情事のあと、ダンは帰宅しようとするが、アレックスはダンを返したくないあまり、リストカットしてしまう。彼女の世話をするため、ダンはまた一晩、彼女と過ごすことになる。翌日、大人しくなったアレックスを置いて帰宅するが、アレックスはその後もダンに接触を継続。仕方なくダンが再会すると、アレックスは妊娠したと彼に告げる。それは事実のようだった。ダンは家の電話番号を変え、引っ越しを決意。ダンと連絡が取れないアレックスは、あろうことか、ダンの今の家の購入希望者となってベスに接触し、連絡先を手に入れる。
引っ越しを終え、娘のほしがっていたウサギを手に家に帰ろうとするダンを、アレックスはひっそりと尾行。アレックスは、ウサギを殺してギャラガー家のコンロの鍋に放り込む。ついにダンは、ベスに本当のことを告げる。ベンは激怒するが、状況を理解し、アレックスに対して電話で「家族に近寄ったら殺す」とすごむ。ところがアレックスは、幼稚園からエレンを連れ去り遊園地に勝手に連れて行く。娘がいなくなって半狂乱になったベスは、車で追突事故を起こしてしまう。怒り狂ったダンはアレックスの部屋に乗り込み、逃げ惑うアレックスの首を絞めるが、ギリギリのところで思いとどまる。今度は包丁を持ったアレックスがダンに襲いかかるが、ダンはそれをはねのけ、包丁を奪い取ると、それを棚の上にゆっくりと置き、部屋を後にする。
病院から自宅に戻ったベスが浴室でバスタブに湯を張っていると、いつの間にか包丁を持ったアレックスが部屋に侵入。ベスの叫び声に気づいたダンは格闘の末、アレックスを湯船に沈める。それでも起き上がってきたアレックスに、最後はベスが拳銃でとどめを刺す。
事件は終わりを迎え、警察の帰った室内で、ダンとベスはほっとして抱き合う。サイドボードの上には、ギャラガー一家の微笑ましい写真がある。このまま一家に幸せが訪れるのかは、誰にも知るよしがないのだった。

浮気は人生を、家族を狂わせる。そう思わせるのに十分な怖さを感じさせてくれる一作。たしかにグレン・ローズ演じる女性、アレックスは怖い。常軌を逸している。しかし、結婚して幸せな家族を持ちながら、別の女性と浮気をする男性に、お前は常軌を逸しているなどと言う資格はあるのか。浮気自体が、常軌を逸した行動ではないのか。浮気をされたときに、大人しく引き下がるのが常識で、必死にすがりつくのが非常識などと、誰が言えるのか。1987年という古い作品だが、今にも通用する普遍的なテーマを扱った古典的な作品だろう。

【5段階評価】4

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2018年8月16日 (木)

(1737) ザ・カンニング[IQ=0]

【監督】クロード・ジディ
【出演】ダニエル・オートゥイユ、マリア・パコム、ミシェル・ガラブリュ
【制作】1980年、フランス

勉強嫌いの予備校生たちカンニング作戦を描いたフランスの青春コメディ。

前半は、予備校の校長(マリア・パコム)のスパルタ教育に、生徒達がいろいろないたずらで抵抗する。校長がアメリカ製のスパルタ教育マシンを導入したことに抵抗する生徒たちは、リーダー格のベベル(ダニエル・オートゥイユ)の作戦で予備校におもちゃの爆薬をしかける。ところが、その作戦を聞いていたテロリストのつくった本物の爆弾と入れ替わってしまい、予備校は大爆発により崩壊。生徒達は裁判で、大学試験に合格したら無罪になるという条件を付けられる。
後半では、あれやこれやのカンニング作戦が始まる。アンチョコ(っていう言葉、いまも使われているのだろうか)の仕込まれた偽の指サックやバンダナ、伸び縮みする服を使ったり、本が靴底に仕込まれた革靴や、遠隔操作で筆記できるマシン、スライドを映写するトランク。いろいろなアイディアが楽しい。エンディングでは、生徒達が10年後に再会。生徒を目の敵にしていた警察署長(ミシェル・ガラブリュ)は交通整理係になってしまい、ベベルにパーティに招かれて誕生ケーキに仕込まれた爆発のいたずらでクリームまみれになってしまうのだった。

いかにもアメリカンコメディという作品で、すっかりアメリカ映画だと思い込んでいたが、フランス映画であるのが意外。大人たちをからかう予備校生たちのやり方が、ともするとやりすぎというか不愉快になりかねないが、生徒たちも先生にしょっちゅうとっちめられているので、あまり不快感はなく、ほほえましい作品だった。

【5段階評価】3

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2018年8月14日 (火)

(1736) 愛人/ラマン

【監督】ジャン=ジャック・アノー
【出演】ジェーン・マーチ、レオン・カーフェイ、フレデリック・マイニンガー、ジャンヌ・モロー(声)
【制作】1992年、フランス、イギリス

戦前のタイに住むフランス人の少女と中国人の青年とのうたかたの恋を描いた作品。

貧困にあえぐ家庭の少女(ジェーン・マーチ)。家からバンコクの寄宿舎に戻る途中、華僑の青年(レオン・カーフェイ)に声をかけられる。彼は少女を運転手付きの自分の車に乗せ、寄宿舎まで送る。車中、青年は少女の手におそるおそる触れ、寄宿舎に着いた頃には彼女の太ももにまで手を伸ばしていた。
多感な時期。少女は青年のことが忘れられず、青年もまた同様だった。彼の乗る黒塗りの車が少女の学校の前に止まり、少女は車に乗り込む。青年は、ショロンの町にある別宅に彼女を呼び込む。一度はためらう青年だったが、少女は自ら抱いてほしいと頼む。ふたりは肉体関係を結び、逢瀬を重ねる。少女の母親(フレデリック・マイニンガー)は、はじめは少女をなじり、二人の兄も中国人であるという理由で青年を軽蔑する。青年は少女に怒りをぶつけながらも、彼女の不幸な境遇に共感し、本心から彼女を愛するようになる。しかし、中国人のしきたりで、青年の結婚相手は父親の権力によって決められていた。青年の願いは父に聞き入れられることはなく、少女もまた、強がるかのように、自分は青年のことは愛していない、と告げる。
青年は結婚の儀を行い、少女はフランスに帰ることになる。母親は、長男(アルノー・ジョバニネッティ)のかかえた借金を返済してくれた中国青年に感謝し、娘に対して青年に対する非礼をわびる。客船に乗り込んだ少女は、かつて青年が自分を見いだしたときのように船のデッキにたたずむ。すると、港に黒塗りの車が止まっていた。青年の姿は見えないが、彼は今も少女を遠くから見つめているのだろう。船の中でショパンの調べが鳴るのを聞き、彼女は初めて青年との別れに涙を流す。
フランスに戻った少女は作家となり、しばらくして青年から電話があった。彼は今も、そしてこれからも彼女を愛していると告げたのだった。

とても子供と一緒には観られない、AVのような濃厚なラブシーンがあるものの、内容自体は文学的。少女が実ることのない愛にのめり込まないよう、自ら強いブレーキをかけ、青年もまた、少女は金のために自分に会っているのだと思い込み、自分も肉体が目当てで彼女に会っていると思い込もうとする。しかし青年の方が純粋だった。彼女に愛を告げ、一緒になりたいと悩む。そんな青年を少女は最後まで受け入れなかった。ある意味では、少女の方が達観しており、青年の方が素直だとも言える。しかしおそらく、二人が一緒になったとしても、幸せに暮らせたかどうかはよく分からない。世の中の恋は、もしかすると大半が未練だけに終わるものなのかもしれない。そう思わせる作品だった。

【5段階評価】4

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2018年8月13日 (月)

(1735) ミッキー、ドナルド、グーフィーの三銃士

【監督】ドノバン・クック
【出演】ウェイン・オルウィン(声)、ルシー・テイラー(声)、ビル・ファーマー(声)
【制作】2004年、アメリカ

中世フランスを舞台に、ミッキー・マウス(ウェイン・オルウィン)がドナルド(トニー・アンセルモ)、グーフィー(ビル・ファーマー)と三銃士となってミニー王女(ルシー・テイラー)を悪者から守るアニメ作品。

ミッキーは三銃士を夢見る掃除屋さん。フランスの近衛兵士の隊長のピート(ジム・カミングス)は、王女をさらって王様になる策略を練っている。王女のミニーから護衛を付けるよう頼まれたピートは、役立たずのミッキー、ドナルド、グーフィーを兵士にして警護につける。三人は張り切るものの、ピートの手下のビーグル・ボーイズにてんで歯が立たない。オペラの日、王女はさらわれて宝箱の中に閉じ込められてしまうが、そこに現れたミッキー、ドナルド、グーフィーが、力を合わせてピートを倒す。

子供向けの短いアニメ作品。トムとジェリー的なドタバタ喜劇。ギロチンが出てきたり、重しを付けて川に沈めるとか、けっこうぶっそうな展開もあったりして、なんとなく観ていて気分がいいものでもなかった。

【5段階評価】2

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2018年8月12日 (日)

(1734) 悪魔が来たりて笛を吹く

【監督】斎藤光正
【出演】西田敏行、斉藤とも子、宮内淳、夏木勲、鰐淵晴子、二木てるみ、池波志乃
【制作】1979年、日本

横溝正史の原作小説の映画化作品。いわゆる金田一シリーズ。

廃墟の中で、一人の女性が手首を切って自殺を図ろうとする。男が必死にとめに入るが、女性は流産してしまったようである。
場面は変わり、昭和23年の富士の樹海。一人の男性の自殺死体が発見される。天銀堂事件の特別捜査本部の小部屋で、金田一耕助(西田敏行)と等々力警部(夏木勲)が話している。樹海で発見されたのは、天銀堂事件の容疑者となり、のちに潔白が証明されたにも関わらず自殺した椿英輔子爵(仲谷昇)の死体だった。天銀堂事件とは、昭和22年10月、宝石店の天銀堂に宮内府の井口次郎と名乗る男が現れ、店長以下従業員4名を青酸カリによって殺害したというもの。ところがその後、椿子爵の未亡人が、自殺したはずの椿子爵を見かけたらしい。等々力警部によると、椿邸で、夫の安否を問うための占いの儀式が行われるとのこと。金田一は椿邸に向かう。彼を出迎えたのは、子爵の美しい娘、美禰子(斉藤とも子)。美禰子は金田一に、本に挟まっていたという子爵の遺書を見せる。遺書には「この家には悪魔がいる」と書かれていた。
金田一はメイドのお種(二木てるみ)から、子爵を見かけたときの話を聞く。最初に見かけたのは、椿邸に住む元貴族院議員、玉虫公丸(小沢栄太郎)の妾の菊江(池波志乃)で、お種のほかに、子爵の妻の秋子(鰐淵晴子)、秋子の乳母の信乃(原知佐子)が一緒にいたという。金田一は砂占いの儀式に臨席。途中で停電が起き、電気が戻ると、砂の上に火焔太鼓の文様が現れており、秋子は激しく取り乱す。同時に「悪魔が来たりて笛を吹く」の曲が流れ出す。誰かが停電中にレコードプレーヤーのコンセントを入れていたようだった。秋子の体調が優れないということで、金田一は椿邸を去る。その夜、秋子は医師、目賀重亮(山本麟一)の居室に向かう。それを物陰から哀しげに見つめる美禰子。椿邸に怪しい仮面をつけ、笛を持った人物が現れる。
家に戻った金田一に、等々力警部から電話が入る。玉虫が殺されたのだ。玉虫は襟巻きで絞殺されていた。彼は何者かと格闘し、雷神の彫像で殴られ鼻血を出した形跡があったが、その顔は白いハンカチで拭かれていた。そして玉虫が倒れていた部屋は、内側からかんぬきがかけられた密室状態になっていた。等々力警部と金田一は住人から事情を聞く。菊江によると、菊江は、玉虫が1時になっても部屋に戻ってこないことに気づき、玉虫のいたアトリエの中を鍵穴から覗き、玉虫が倒れているのに気づいて使用人の三島(宮内淳)とお種の兄妹を呼んだのだった。部屋に内側からかんぬきがかかっていたため、三島が木槌で扉を破ってかんぬきを外して中に入ったのだ。
明くる日、金田一は美禰子から、雷神の彫像のもう一方の風神の方が、いつの間にかなくなっているという話を聞く。また、金田一は菊江からも話を聞く。彼女によると、秋子は目賀と密通しており、そのことは英輔の生前から玉虫公認の関係だと言う。それもあって秋子は玉虫が死んだことにおびえており、子爵を庭で見かけたというお種や信乃の話を聞いて秋子はまた卒倒する。
自室にいる金田一のもとに、美禰子が訪ねて来る。美禰子は、英輔の遺書は天銀堂事件の起きる2日前に美禰子の本に挟まれていたと金田一に告げる。英輔の自殺は、天銀堂事件とは無関係だったのだ。では英輔はなぜ自殺したのか。美禰子の問いに金田一は答えることができなかった。
天銀堂事件の日、英輔は三島を連れて須磨に向かっていた。金田一は、知り合いの風間(梅宮辰夫)が、英輔に似た男を闇屋で見かけたという話を聞き、彼の名前と居場所を調べるよう頼むと、三島、美禰子とともに須磨に向かう。金田一はそこで、英輔の足取りを捜査中の山下刑事(藤巻潤)と合流。美禰子の提案で、一同は玉虫家の別荘跡に向かう。美禰子は焼け落ちた別荘に残った石柱に、英輔の字で「悪魔ここに誕生す」と書かれているのを発見する。三島は山下刑事とともに東京に戻り、金田一は美禰子とともに英輔の足取りを追う。とある民家を訪ねた金田一は、老婆から、辰五郎という職人の娘、妙子が玉虫の別荘で妊娠し、治雄という息子をもうけたという話を聞く。辰五郎は金回りがよくなったそうだが空襲で死んでおり、妙子と治雄の居所は分からないのだと言う。金田一は、辰五郎が神戸で作った女だというお玉(京唄子)のもとを訪ねる。辰五郎とお玉の間に小夜子という娘がいたと聞いた金田一だったが、お玉によると小夜子はお玉の実の娘ではなく、辰五郎が玉虫の家からもらい子してきた娘で、その行方はわからず、妙子は妙海尼という尼僧になっているということだった。宿に戻った金田一は、女将(中村玉緒)から、英輔が人目に付かぬよう淡路島に渡ったという話を聞く。嫌な予感がした金田一は、美禰子を東京に帰らせ、単身、淡路に向かう。英輔を乗せたという船乗り(中村雅俊)によると、英輔は淡路島で亡霊にでも遭ったかのような真っ青な顔で茫然自失としていたと言う。
その頃、東京では風間が、英輔に似た男が闇市にいるのを探し当てていた。風間は、男の名が飯尾だという情報を掴むが、男を見失ってしまう。男は、顔を隠した三島らしき男に導かれ、雑踏の中に消える。
妙海尼がいる寺にたどり着いた金田一は、住職(加藤嘉)から、妙子の生んだ治雄の父が、秋子の兄、新宮利彦(石濱朗)であると知らされる。妙海尼は4-5日前、息子が人殺しをした、本当のことを言わなければよかった、と泣き叫んでいたが、最近大人しくなっていた。金田一は妙海尼の住む東屋に向かうが、彼女は部屋の中で首を吊って死んでいた。彼女の足下の布とふすま紙には、火焔太鼓の文様があった。
東京では、美禰子が帰宅していた。美禰子は、電報の知らせで一旦は外出したのだが、目賀、菊江、信乃にも同時に電報が来てみんな出かけることになったのを不審に思い、家に戻ってきたのだった。彼女は、台所にあったメロンを切って母親の部屋に向かうが、扉の前にいたお種が、中に入らないよう美禰子を押しとどめる。お種の様子がおかしいと感じた美禰子はお種を振り切って部屋に入る。そこでは、母親の秋子が、あろうことか実の兄の利彦と愛し合っていた。美禰子はショックで部屋を飛び出す。利彦の肩には、火焔太鼓のあざがあった。利彦の妻の華子(村松英子)は、自分の部屋からその様子を見ており、怒りで刺繍の丸枠を握りつぶす。
等々力警部は、飯尾の遺体を発見する。彼の隠れ家からは、天銀堂から盗まれた貴金属が見つかった。現場にはかつらがあり、彼が英輔になりすました天銀堂事件の犯人であることは明らかだった。
その夜、秋子は美禰子の前に現れる。美禰子は秋子を好きになろうとしていたが、利彦と密通していた秋子に裏切られたため、秋子への信用を完全に失っていた。秋子は、美禰子が父親の方を好きだったことから、美禰子にうまく接することができずにおり、美禰子に、鎌倉の別荘に行くと告げる。すると、外から笛の音が鳴り出す。美禰子は狼狽し、近くにいた信乃に支えられる。華子と菊江、そして美禰子が音の鳴る温室の方に向かう。中には、風神像で撲殺された利彦の死体が転がっていた。
警察は、電報局員(秋野太作)への聴取から、電報を打ったのが利彦であることを突き止める。現場に着いた金田一は、凶器となった風神像の底が切り取られているのを見て、等々力警部を、砂占いの儀式が行われたアトリエに呼ぶ。
砂占いで現れた火焔太鼓の文様は、犯人が、停電のすきに部屋に置かれていた風神像の底に刻まれた文様を押しつけたものだった。 犯人は、その後、風神像を隠していた雷神像と取り替えるためにアトリエに忍び込むが、アトリエで居眠りをしていた玉虫に見つかってしまい、持っていた雷神像で玉虫を殴ったのだ。殴られた玉虫は、犯人の言葉に衝撃を受け、このことを黙っていると告げ、自らハンカチで鼻血を拭くと、内側からかんぬきをかけて部屋にこもる。犯人はいったん部屋の外に出たものの、かんぬきのかかった扉の上の天窓から身を乗り出して玉虫を呼び寄せ、襟巻きで絞殺して玉虫を突き飛ばす。これが密室殺人の真相だった。
玉虫を殺した犯人は三島だった。三島とお種は、信乃を物置に拘束して秋子とともに鎌倉の別荘に向かっていた。金田一は、鎌倉に向かう車中、事件の真相に気づいたきっかけを等々力警部に説明する。英輔の遺書のはさまれていた書物、ゲーテのウィルヘルム・マイステルの中には、兄と妹が兄妹であると知らずに恋に落ち、子供を産んで不幸に陥るという話が出ていた。それは、三島とお種のことを指しているのだった。
鎌倉の別荘で、お種は、自分が秋子と利彦の間に生まれた娘であることを秋子に告白。三島もまた、利彦と妙子の間に生まれた子供であることを告げる。お種は、自分が近親相姦の子であることにショックを受けるが、三島の愛のおかげで立ち直れたのだった。ところが、三島とお種が愛し合っていることを知った妙子が、三島の父親が利彦であることを伝える。二人は共通の父を持つ兄妹だったのだ。二人は何度も別れようとしたがかなわず、お種は三島の子を身ごもる。お種は手首を切って自殺しようとするが三島に止められるも、ショックで流産してしまっていたのだ。二人の話を聞いた秋子は、自ら別荘の窓から飛び降りて自死する。
別荘にたどり着いた等々力警部は、秋子の遺体を発見。金田一は、笛の音に気づいて海岸に向かう。そこには横笛を奏でる三島がいた。彼のそばにいたお種は、金田一の目の前で息を引き取る。三島も服毒しており、その場に崩れ落ちる。三島から母の安否を聞かれた金田一は、元気だったと嘘をつき、彼が静かに息を引き取るのを見守る。金田一は美禰子とともに三島とお種、そして妙子を弔い、美禰子のもとを去るのだった。

近親相姦がテーマなのだが、中盤の関係者の証言のみによる親子関係の説明が分かりづらく、特に辰五郎という男が映像として登場しないせいもあって、どういう関係者がいるのか、よく分からないまま、どうやら三島とお種が兄妹らしいということだけが理解できた、という状態だった。2度観て、多少理解できたが、それでもどうして三島が飯尾を使って天銀堂事件を起こす必要があったのかは、よく分からなかった。また、利彦が電報で四人を外出させたのは、おそらく秋子との情事のためだったのだろうが、であればどうして妻の華子や使用人は追い出さなかったのか。そのあたりがよく分からなかった。
とはいえ、当時18歳の斉藤とも子の可憐な少女役はよかった。

【5段階評価】3

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2018年8月 3日 (金)

(1733) ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

【監督】クリストファー・マッカリー
【出演】トム・クルーズ、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー、ショーン・ハリス
【制作】2015年、アメリカ、中国

スパイ映画、「ミッション:インポッシブル」シリーズ第5作。「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」の続編。

IMFのスパイ、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、不法密輸寸前だった大量のVXガスの奪取に成功。新たな指令を受けるため、レコード店に向かう。しかし、そこは敵の手に落ちており、イーサンは個室に閉じ込められ、仲介人の女性は謎の男(ショーン・ハリス)に殺される。捕らえられたイーサンは、厳しい拷問を受けそうになるが、そこにいた女性イルサ(レベッカ・ファーガソン)に助けられる。難を逃れたイーサンは新たな情報を得ようと本部に連絡するが、IMFはこれまでの強引な捜査手法を問題視され、CIAの傘下に置かれて実質的に解体されてしまう。
イーサンはエージェントの仲間、ベンジー(サイモン・ペッグ)を偽のオペラチケットで呼び出し、作戦の協力を依頼。オペラ劇場にいるはずの謎の男を捜す。イーサンは、そこで、オーストリアの首相に銃を向けている暗殺者を見つけ、その男を倒す。さらにイーサンはイルサを発見。イルサもまた、首相に銃口を向けていた。イーサンは迷った末、オーストリア首相の腕を撃ち、首相暗殺を防ぐと、イルサを連れて劇場を脱出する。イルサから押収した口紅に仕込まれたUSBメモリをもとに、イーサンはベンジーとともにモロッコに向かい、イルサと再会。イルサは、謎の男は、元イギリスMI6のソロモン・レーンで、彼は死んだことになっているスパイを世界中から集め、ならず者国家、ローグ・ネイションを組織しているとイーサンに教える。イルサはMI6の密命により、レーンの部下として潜入調査中の身だった。イルサは、レーンを裏切った手下によってカサブランカの発電所の地下に隠された極秘データを手にするよう、レーンに指示されていた。イーサンはベンジー、イルサとともに発電所に潜入。水中のメモリを取り出すことに成功する。しかし、イルサが二人を裏切り、メモリを持って逃走。二人を振り切ると自分のボス、MI6のアトリー長官(サイモン・マクバーニー)のもとにデータを持ち込む。しかし、アトリーは、データが本物である保証がないと言って、イルサにレーンのもとに戻るよう指示。イルサは仕方なくUSBを持ってレーンのもとに向かうが、USBは空だった。アトリーがデータを密かに消去していたのだ。イーサンはイルサを追うが、逆にベンジーを人質に取られてしまう。データの暗号解除にはイギリス首相の声が必要であり、イーサンはレーンから暗号解除したデータの提供を指示される。イーサンはベンジーを救うため、アトリーに変装してイギリス首相(トム・ホランダー)に接触。暗号の解除に成功すると、遅れてやってきたアトリーを麻酔銃で昏倒させ、シンジケートがアトレー自身によるもので、レーンがアトレーを裏切ったことを自白させる。イーサンは、その場にいたCIAのアラン(アレック・ボールドウィン)の手柄にして、レーンとの取り引き場所である、夜のレストランの屋外席に向かう。そこには、イルサと人質のベンジーがいた。レーンはベンジーを通じてデータを渡すようイーサンに伝えるが、イーサンはデータは隠し口座の番号であり、それはすべて記憶の中にあるとレーンに告げる。やむなくレーンはベンジーを解放し、手下にイーサンを捕らえさせようとするが、イーサンはイルサとともに逃走。イルサは最強の敵であったヤニク(イェンス・フルテン)を倒す。イーサンはレーンに追われ、工事中のビルの地下に逃げ込む。倒れ込んだイーサンを見てレーンも地下に飛び降りるが、そこはIMFのメンバーたちが仕掛けた強化ガラスの罠だった。レーンはついにガラスの檻の中に捕らえられてしまう。
イルサはイーサンに、会おうと想えばまた会えると告げ、その場から去って行く。
IMFの解体を主張していたアランだったが、IMFの真実を知り、IMFの解体を指示したのはシンジケートを暴く作戦の一環だったと主張。彼自身がIMFの長官となるのだった。

ジャッキー・チェンの映画を観るような生身のアクションが大迫力。バイクのチェイスシーンも迫力があり、イルサ役のレベッカ・ファーガソンがバイクで疾走するシーンは、久々に「どうやって撮影したんだろう」と思わせるできばえ。ストーリーはそこそこ難解だが、映像で解説を見せるなど飽きさせない工夫が満載。オープニングもいきなり離陸する飛行機にしがみついて潜入するイーサンの活躍で、序盤のかったるさも全くない。面白い作品だった。

【5段階評価】5

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2018年8月 1日 (水)

(1732) 四月は君の嘘

【監督】新城毅彦
【出演】広瀬すず、山崎賢人、石井杏奈、中川大志、檀れい
【制作】2016年、日本

新川直司原作漫画の実写映画化作品。ピアニストの男子高校生とバイオリニストの女子高校生の出会いと別れを描く。

母(檀れい)の死をきっかけにピアノが弾けなくなった男子高校生、有馬公生(山崎賢人)は、幼なじみの澤部椿(石井杏奈)と渡亮太(中川大志)と仲良し。ある日、椿が同級生の宮園かをり(広瀬すず)を渡に紹介する。友人Aとして参加した公生は、かをりのバイオリンコンクールを聞きに行き、彼女の自由奔放な演奏を目にする。かをりは、本戦の伴奏に公生を指名。断る公生だったが、かをりの涙ながらの訴えに負け、ステージに立つ。しかし、いつものようにピアノの音が聞こえない症状が現れ、演奏を中断。かをりは公生の方を振り返ると、笑顔で「アゲイン!」と告げる。気持ちが楽になった公生はかをりと見事な演奏をなしとげ、観客の万雷の拍手を浴びる。
少しずつピアノに向き合えるようになった公生は、次第にかをりへの恋心を募らせていく。ところがかをりは、難病を患っており、入院してしまう。かをりに素直になれない公生は、見舞いに行くこともできない。公生がかをりを好きだと見抜いた椿は、かをりは渡が好きなんだから公生は自分のことを好きになるしかない、と不器用な告白をする。驚く公生だったが、椿に勇気をもらい、ついにかをりに「好きです」と告白をする。しかし、かをりの容態はすでに相当悪くなっていた。公生はピアノコンクールへの出場を決意。本戦の日。公生は手術に向かうかをりに届けとばかりにピアノを奏でる。すると公生の目の前に、白いドレスを着たかをりが現れる。二人はステージでともに演奏。そしてかをりの姿はゆっくりと消えていく。
春になり、公生はかをりからの手紙を読む。そこには、実はかをりは渡が好きだと嘘をついて公生に近づいていたことが綴られていた。公生はかをりの手紙を読みながら涙する。いつものように椿と渡が音楽室に現れ、三人は窓を開けていなくなったかをりのことを想うのだった。

広瀬すずのバイオリン演奏のシーンが素晴らしいできばえ。相当練習をしたのだろう。音と動きがほぼぴったりと遭っていて、本当に彼女が弾いているような、引き込まれる映像だった。音楽ものは感動しやすい面はあるが、本作の演奏シーンは素直に感動できるものが多く、何度も目頭が熱くなった。ヒロインが重病で死んでしまうという設定は本当に食傷気味なので、そこまでしなくてもいいのにな、というのはあるが。

【5段階評価】4

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