(1727) 64 -ロクヨン- 後編
【監督】瀬々敬久
【出演】佐藤浩市、夏川結衣、吉岡秀隆、永瀬正敏、緒形直人、三浦友和、綾野剛
【制作】2016年、日本
横山秀夫原作小説の映画化作品。昭和の終わりに起きた誘拐殺人事件を追う警察広報官の激闘を描いた作品。「64 -ロクヨン- 前編」の続編。
昭和64年に起きた雨宮翔子ちゃん誘拐殺人事件。その模倣と思われる誘拐事件が発生する。しかし、三上に被害者の名は知らされない。報道協定を結ぶよう指示された三上は、仕方なくありのままを記者陣に伝える。実名を伝えると言った矢先の出来事に、記者陣は激怒。三上は会場の騒動を部下に任せ、捜査一課長の松岡(三浦友和)に直談判。実名の情報を得る。被害者はスポーツ用品店の目崎正人(緒形直人)の長女、女子高生の歌澄(萩原みのり)。三上は、松岡に頼んで捜査指揮車に同乗。身代金を持った目崎は、ヘリウムガスで変声した犯人の要求に沿って車を走らせる。それは翔子ちゃん事件で犯人が指示したルートをなぞるものだった。突如、ヘリウムガスが切れ、犯人の声が地声になる。三上は、その声が、翔子ちゃん事件を担当した幸田一樹(吉岡秀隆)のものだと気づく。やがて、捜査指揮車に、歌澄が補導されたと連絡が入る。誘拐は狂言だった。三上は目崎にそのことを知らせようとするが、松岡はそれを妨害。松岡の狙いは、目崎歌澄誘拐事件の犯人ではなかった。彼らは翔子ちゃん事件を追っていたのだ。
目崎は、犯人の指示を無視して、ルートをショートカットして次の地点に向かった。犯人の幸田は、電話で、身代金の2,000万円を燃やすように指示。言われるがまま金を燃やす目崎を、遠巻きから雨宮翔子の父親、芳男(永瀬正敏)が見ていた。目崎は電話の主に娘はどこだと叫ぶ。幸田は「缶の下だ」と答える。そこにあった紙には「犯人へ 全て14年前のままだ。娘は小さな棺に入っている」と書かれていた。
事件当時、録音されなかった犯人の声を聞いていた芳男は、自分の記憶を手がかりに、電話帳に記載された電話番号に一つ一つ電話をかけ、電話の主の声を確認していた。三上家にかかってきた無言電話も、実は芳男からのものだったのだ。そしてついに、芳男は14年かけて、犯人の声にたどり着く。それが目崎正人だった。芳男の家に何度も訪れていた幸田は、芳男と一計を案じ、目崎に対する狂言誘拐を仕込んだのだ。目崎は、妻からの電話で娘の無事を知るが、そのとき、目崎はこの狂言誘拐の全てを悟る。目崎は、缶の下にあった紙の半分をちぎって食べてしまうが、そこを警察に確保される。目崎はかつてあった1,600万円の借金を不自然な形で完済しており、2,000万円の身代金を手に入れていることは確実と思われたが、警察は証拠不十分で目崎を釈放してしまう。
目崎のもう一人の娘、小学生の早紀(渡邉空美)は、父親の行動を不審に思い、かつて車に乗せられた雨宮の家を訪ねる。三上は早紀を見つけ、車に乗せると、目崎に電話で「小さな棺。来い」と告げる。娘がまた誘拐されたと思い込んだ目崎は、車で翔子ちゃんの遺体が発見された自動車廃棄場に姿を現す。そこに三上が現れる。目崎は娘を返せ、と三上につかみかかるが、そこに警察が現れ、目崎は逮捕される。早紀は逮捕された目崎を見つけ、泣き叫ぶのだった。
三上は妻の美那子(夏川結衣)と、翔子ちゃんの好きだったどんど焼きに向かう。そこには芳男がおり、彼は三上に自首することを告げる。留守になっている三上の家に、どこからか電話がかかっていた。
原作と異なる展開だが、見応えのある内容だった。自分の娘を取り戻そうと必死になるほど子供を大事に思う目崎が、なぜ翔子ちゃんを殺してしまったのか。そこがちょっとすっきりしなかったのは残念。一方で、目崎をどうしようもないクズ、悪役と描かないことで、本作がご都合主義の勧善懲悪ものにならないようにもしており、本作の上質さに貢献しているとも言える。
【5段階評価】4
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