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2018年7月19日 (木)

(1726) 64 -ロクヨン- 前編

【監督】瀬々敬久
【出演】佐藤浩市、夏川結衣、綾野剛、榮倉奈々、永瀬正敏、瑛太、吉岡秀隆
【制作】2016年、日本

横山秀夫原作小説の映画化作品。昭和の終わりに起きた誘拐殺人事件を追う警察広報官の激闘を描いた作品。

昭和64年1月。漬物店の娘、雨宮翔子(平田風果)が誘拐され、警察の捜査もむなしく身代金は奪われ、娘は遺体で発見される。14年が経ち、捜査に加わっていた三上義信(佐藤浩市)は広報官として、マスコミの対応に追われていた。

警察庁長官が時効間近の事件の捜査の激励に訪れることになり、三上は遺族の雨宮芳男(永瀬正敏)の家を訪ねる。芳男の妻、敏子(小橋めぐみ)はすでに亡くなっており、雨宮は憔悴しきっていたが、毅然とした声で、長官の慰問を拒絶する。

三上は、ひき逃げ事件の犯人の実名報道を巡って記者クラブと対立しており、リーダー格の秋川(瑛太)は長官のぶら下がり取材をボイコットすると宣言する。
三上にはもう一つの悩みがあった。長女のあゆみ(芳根京子)が家出をして行方が分からなくなっていた。妻の美那子(夏川結衣)は、一度、家にかかってきた無言電話をあゆみからのものだと信じ、今も連絡を待っていた。三上の上司、赤間(滝藤賢一)はあゆみ捜索の力になると言いながらも、三上には極めて高圧的な態度を取っていた。
三上は捜査を続ける中で、元同僚の望月(赤井英和)から「幸田メモ」の話を聞く。それは、脅迫電話の録音を失敗したことを警察が組織ぐるみで隠蔽していることを告発したメモで、捜査班の一人だった幸田一樹(吉岡秀隆)は警察を辞めた今も監視が付いており、録音係だった日吉浩一郎(窪田正孝)は自宅で引き籠もりの状態になっているのだった。
雨宮の無念を知った三上は、再び雨宮の家で仏壇に手を合わせ、不覚にも涙を流す。それを見た雨宮は長官訪問を承諾する。三上は記者クラブに対してひき逃げ犯と被害者の実名を公表。態度を硬化させていた記者クラブは長官取材を承諾する。
長官取材の準備をしている三上のもとに、刑事部の職員がもぬけの殻だという知らせが入る。彼らは誘拐事件の捜査本部を設置していた。それは、雨宮翔子ちゃん誘拐殺人事件を模倣したものだった。

警察内の官僚主義、縦割り主義を描きながら、誘拐事件の真実を追うという重層的なストーリー。役者の演技も重厚感があり、天皇崩御という重苦しい時代背景ともあいまって、派手なアクションや残酷なシーンはないものの、見応えのある内容だった。原作はたまたま読んでいたが、原作に負けない魅力ある作品にしあがっていた。

【5段階評価】4

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