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2017年10月

2017年10月31日 (火)

(1635) 哀しい気分でジョーク

【監督】瀬川昌治
【出演】ビートたけし、中井貴惠、柳沢慎吾、川辺太一朗、石倉三郎、大谷直子
【制作】1985年、日本

不治の病に冒された息子を持つ父親の奮闘ぶりを描いた作品。ビートたけしが主演。

売れっ子お笑いタレントの五十嵐洋(ビートたけし)は、10歳の息子、健(川辺太一朗)と二人暮らし。しかし、夜遊びをしてはしょっちゅう女性タレントの香宮悠子(中井貴惠)の家に泊まり込んで朝帰りしていた。しっかり者の健は自分で朝ご飯を用意して登校していたが、めまいに悩まされるようになる。洋が健を病院に連れて行き、検査をすると、健には脳腫瘍があり、手術困難で治る見込みがないと言われる。洋は仕事を減らし、健とともに過ごすよう努めるが、健にはかえって息苦しいと言われてしまう。それでも洋は、健をいろいろな医者に診せるが、手術で治す見通しは立たないままだった。
別れた母親がいるというシドニーに健が行きたがっていることを知った洋は、思い切って海外旅行に向かう。しかし、母親(大谷直子)は別の男と結婚することになっていた。洋は父親として振る舞うのをやめて、男友達のように健と二人でシドニー旅行を満喫。健は自分の病気のことを母親に伝えることはせず、帰国の途に就く。ところが、機内で健の容態が急に悪化。洋にしがみついたまま、健は息を引き取る。洋は健の死を乗り越え、タレントとして精一杯ステージに立つのだった。

不器用な父親をビートたけしが好演。ヤクザなど強面の役柄を演じることが多く、芸人という等身大の役どころは割と珍しい。飛行機で動かなくなった息子を揺さぶって泣くシーンは胸が熱くなった。

【5段階評価】3

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2017年10月30日 (月)

(1634) ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

【監督】ビム・ベンダース
【出演】ライ・クーダー、イブライム・フェレール、ルベン・ゴンサレス、コンパイ・セグンド
【制作】1999年、ドイツ、アメリカ、フランス、キューバ

老人ミュージシャンで構成されたキューバのバンドのアメリカ公演を追ったドキュメンタリー。

ライ・クーダーがプロデューサーとなり、キューバの伝説的なミュージシャンを集結させたバンド、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ。作品では一人一人の生い立ちの独白と、バンドでの演奏や歌の映像を織り交ぜながら、メンバーを紹介していき、最後はカーネギーホールでのライブの様子を伝える。

途中までは、なんとなく見ていたのだが、後半のライブシーンの盛り上がりは感動的だった。音楽の力は単純に素晴らしい。

【5段階評価】4

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2017年10月29日 (日)

(1633) ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝

【監督】J・リー・トンプソン
【出演】リチャード・チェンバレン、シャロン・ストーン、ジョン・リス=デイビス
【制作】1985年、アメリカ

ソロモンの秘宝を追う探検家と、行方不明の父を探す美女の冒険を描いたアクション映画。

考古学者を父に持つ美女、ジェシー(シャロン・ストーン)は、探検家のアラン・クォーターメイン(リチャード・チェンバレン)を助手につれて、ドイツ軍に捕らえられた父親の救出に向かう。
アランとジェシーは、相棒のウンボポ(ケン・ガンブ)とともに、父親の乗せられた列車に潜入。しかし、逆にジェシーが敵に捕らえられてしまい、ジェシーの父はソロモンの秘宝のありかを吐いてしまう。アランとウンボポの活躍で、敵の商人ドガティー(ジョン・リス=デイビス)とドイツ軍のボックナー大佐(ハーバート・ロム)を退けた一行は、父親をウンボポに預け、アランとジェシーが父親の代わりにソロモンの洞窟を探しに行く。
ドイツ軍の基地で飛行機を奪い、未開の種族に捕らえられて釜ゆでにされそうになり、冒険を続けるうち、二人は互いを愛するようになる。木から逆さづりになって暮らす一族に助けてもらいながら、二人は大きな部族の集落に到着。二人は捕らえられ、アランはワニの池に落とされそうになる。そこにウンボポが現れる。彼は一族の長だった。そこにドガティーとボックナー大佐の一団も現れ、大乱闘になる。アランとウンボポはソロモンの洞窟を発見。女酋長に捕らえられたジェシーを救出する。三人は洞窟の奥にたどり着く。そこに女酋長が現れ、ウンボポはそれを追う。アランとジェシーは宝の眠る部屋を発見するが、女酋長が罠を発動。部屋の天井が下がり、部屋が水で満たされ始める。もはやここまでか、というとき、大爆発が起きる。ボックナー大佐が中に入ろうとダイナマイトを爆発させたのだ。間一髪でアランとジェシーは部屋から脱出。ボックナー大佐は大量のお宝にほくそ笑むが、そこにドガティーが現れ、大佐を脅して宝石を飲み込ませ、宝を持ち去ろうとする。女酋長が洞窟の中の溶岩に身投げをしたことで洞窟が崩壊し始める。ボックナーやドガティーの妨害に遭いながらも、三人はなんとか洞窟を脱出。ボックナーとドガティーは洞窟の中で命を落とす。ウンボポに見送られ、アランとジェシーは一族の集落を後にする。こっそり持ち出した大きなダイヤを手にし、二人は熱いキスを交わすのだった。

本作の1年前に公開された「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を丸パクリしたような作品。こちらもハラハラドキドキのシーンが連続するノンストップ・コメディ・アドベンチャーという作りだが、全体的にB級感の漂う作品だった。

【5段階評価】3

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2017年10月27日 (金)

(1632) 龍三と七人の子分たち

【監督】北野武
【出演】藤竜也、近藤正臣、中尾彬、ビートたけし、安田顕
【制作】2015年、日本

元ヤクザの老人達が、暴走族上がりの悪徳業者相手に奮闘するさまを描いたコメディ。

サラリーマンの息子(勝村政信)の一家と同居している元ヤクザの龍三(藤竜也)。ある日、オレオレ詐欺に引っかかりかけるが、仲間のマサ(近藤正臣)が居合わせ、事なきを得る。二人は寸借詐欺を続けているモキチ(中尾彬)に会いに行くが、そこで若造に暴力を振るわれているのを発見。元の仲間を集めて一龍会という組を立ち上げる。町では暴走族上がりの京浜連合があらゆる詐欺で老人たちを食い物にしていた。龍三らは、景品連合のしのぎをことごとくはねつける。業を煮やした景品連合のボス、西(安田顕)は、モキチの孫娘、百合子(清水富美加)をさらえ、と子分を脅すが、びびった子分は百合子とともにモキチに相談。モキチは中華料理の出前に扮装して景品連合の事務所に潜入するが、見つかってしまい、西に殴り殺される。
龍三らは西のビルに殴り込みをかける。龍三らはモキチの死体を盾にしてむちゃくちゃなことをしはじめたため、西は車で逃走。龍三らはバスジャックをして西を追いかけるが、最後は刑事の村上に追いつかれ、全員御用となるのだった。

アウトレイジ ビヨンド」と「アウトレイジ 最終章」の間に北野武監督が手がけた作品は、パロディのような仕上がり。「アウトレイジ ビヨンド」で無残に殺される中尾彬が、本作では鼻の穴に綿を詰めた死体の役でお笑い番組のコントのようにおもちゃにされる。面白いのだが、やや北野武監督の悪乗りが一般的な感覚を超越してしまって、微妙な感じもあった。どうせなら、「アウトレイジ ビヨンド」に出た西田敏行や塩見三省、神山繁といった俳優も起用すれば面白かったかも。

【5段階評価】3

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2017年10月26日 (木)

(1631) ダンテズ・ピーク

【監督】ロジャー・ドナルドソン
【出演】ピアース・ブロスナン、リンダ・ハミルトン、チャールズ・ハラハン、エリザベス・ホフマン
【制作】1997年、アメリカ

火山の大噴火に襲われた町で奮闘する人々を描いた災害パニック映画。

地質学者のハリー・ダルトン(ピアース・ブロスナン)は、かつて最愛の恋人を火山災害で亡くしていた。彼は人口2万人以下で最も住みやすい町第2位のダンテズ・ピークを訪れ、町長のシングルマザー、レイチェル(リンダ・ハミルトン)と出会う。彼女の家族と温泉に向かったハリーは、突然の温泉の急騰により、中で死亡しているカップルを発見。火山の噴火を予想したハリーだったが、町では工場建設による雇用増をもくろんでおり、ハリーの上司、ポール(チャールズ・ハラハン)は拙速な避難勧告を控える。
しばらくは大きな変動もなく、ついにハリーたち観測班は町を離れることになる。ところが最後の晩、レイチェルがハリーを家に招き、水道の蛇口をひねると、黄色い水が出てくる。大噴火の予兆だった。翌朝、レイチェルは町民を集めて避難の指示を出すが、町は大地震に襲われ、火山が大噴火。人々は逃げ惑う。レイチェルは息子のグレアム(ジェレミー・フォリー)と娘のローレン(ジェイミー・レネー・スミス)を迎えに行くが、二人は火山の麓の湖畔に一人で住む祖母のルース(エリザベス・ホフマン)を助けるため、自ら車に乗り込んでルースのもとに向かっていた。レイチェルとハリーは車でそれを追いかけ、ルースの家で再会。逃げる準備をしていると、家に溶岩が流れ込む。逃げ場を失った5人は、ボートに乗って湖を渡ろうとする。しかし、火山活動のために湖の水は強酸性になっており、ボートのスクリューが溶けて岸の手前で停止してしまう。ハリーは手に服を巻き付け、必死でこぐが、船は沈み始める。すると、ルースが湖に飛び込み、自らボートを押して岸に寄せる。4人はなんとか助かるが、ルースは足が溶けてしまい、途中で命を落とす。
4人は車で逃走を続け、グレアムの遊び場所になっていた洞窟に車ごと突っ込む。車は落石により完全に埋まってしまうが、ハリーの起動させたNASAの発信器により居場所が特定され、4人は救出されるのだった。

火山の噴火や町が崩壊する映像はかなりの迫力で見応えがあった。残念なのは、個人的かもしれないが、ハリーを演じたピアース・ブロスナンがあまりにもスマートなヒーローすぎて、その時点でリアルさがなかった。絶対に死なない感がありすぎる俳優も困りものだ。
リンダ・ハミルトンは、「ターミネーター2」でジョン・コナーの母親サラを好演した女優。

【5段階評価】4

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2017年10月25日 (水)

(1630) 許されざる者

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマン、
【制作】1992年、アメリカ

ならず者の賞金首を狙う男達の戦いを描いた作品。第65回アカデミー賞作品賞受賞作品。

美しい妻をなくした凶悪な男、ウィル・マニー(クリント・イーストウッド)は、酒を断ち、改心して二人の子供と農家として暮らしていた。ある日、ビッグ・ウィスキーという町の娼婦宿でカウボーイのマイク(デビッド・マッチ)が娼婦にあそこの大きさを笑われたことに腹を立て、娼婦のデライラ(アンナ・トムソン)の顔をナイフで切りつける。マイクと仲間のデービー(ロブ・キャンベル)が捕らえられ、保安官のリトル・ビル(ジーン・ハックマン)はデービーから5頭、マイクから2頭の馬を取り上げて店主のスキニー(アンソニー・ジェームズ)に渡すことで収める。しかし、娼婦達は納得がいかず、仲間のお金を集めてマイクとデービーに1,000ドルの賞金をかける。
ウィルの甥、キッド(ジェームズ・ウールベット)は、賞金の話を聞きつけ、ウィルを誘いに来る。始めは取り合わなかったウィルだったが、慣れない農家で貧しい暮らしを続けていたウィルは、その話に乗ることにし、旧知のネッド(モーガン・フリーマン)とともにキッドと合流する。
イギリスの早撃ちガンマン、イングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)がビッグ・ウィスキーに現れるが、リトル・ビルは彼から拳銃を取り上げ、殴る蹴るの暴行を加えて町から追い出してしまう。賞金稼ぎを町に入れない、と彼は豪語する。
3人は町に到着し、キッドとネッドは2階の娼婦部屋に、ウィルだけは1階の酒場で飲んでいたが、そこにリトル・ビルが現れ、ウィルの拳銃を取り上げると、やはり暴行を働いて店から追い出す。ウィルは大けがを負い、町外れの納屋でけがを回復させる。
ようやくウィルのけがが治ると、3人は仲間といたデービーを追う。ライフルの名手ネッドがデービーに狙いを定めるが、彼の腕は落ちていた。恐怖で引き金を引けないネッドの代わりに、ウィルがデービーに致命傷を与える。ネッドは作戦から降りることにし、町を去る。ところがネッドはデービーの仲間に捕まってしまい、保安官の前に差し出される。保安官はネッドに執拗な拷問をし、仲間の居場所と名前を聞き出そうとする。
そうとは知らないウィルとキッドは、マイクの居場所を突き止め、ついにトイレに出てきたマイクを仕留める。マイクを撃ったのはキッドだった。これまで5人殺したと豪語していたキッドだったが、実はこれが初めての殺人だった。なんとか逃げおおせたキッドとウィルだったが、キッドはもう殺しはしない、とウィルに告げる。キッドとウィルの待っている場所に、娼婦が賞金を持ってくる。ウィルがネッドの名前を口にすると、娼婦は、ネッドはリトル・ビルに殺されて酒場の前でさらし者になっていると告げる。ウィルはキッドに賞金を持って帰らせると、単身でリトル・ビルとその仲間のいる酒場に入り込む。2発撃てるスペンサー銃をリトル・ビルに向け、ウィルは店主が誰かを訪ねる。スキニーが店主だと分かったウィルは、まずスキニーに一発を浴びせる。ネッドをさらし者にした罰だ。半ば観念したリトル・ビルだったが、「弾はあと一つだ。それを撃ったら全員で鉛の弾を浴びせろ」と仲間に告げる。ウィルはおもむろに引き金を引くが、弾は出ない。リトル・ビルは勝ち誇った顔を見せるが、ウィルは続けざまに拳銃を抜き取り、立て続けにリトル・ビルと仲間を撃つ。そのまま、中に残った連中を店の外に追い出すと、ゆっくりとグラスにウィスキーを注ぎ、いっぱいあおる。ウィルは、逃げ遅れたリトル・ビルお付きの作家に、スペンサー銃を持ってこさせ、自分で弾を込める。感激したようにあれこれ聞いてくる作家を店から追い出したウィルは、リトル・ビルにまだ息があることに気づき、彼の銃を持った手を蹴り飛ばして彼にまたがり、とどめを刺す。ウィルは自分の馬に乗ると、ネッドを埋葬しろ、娼婦に暴力を振るうな、と叫んで、堂々と町から去る。ウィルは子供のもとに戻ると住む場所を変え、ひとかどの人物となるのだった。

西部劇はかったるくてあまり観ないが、本作は出だしから展開がスピーディだった。派手ではないが、弱い者に優しいウィルのぶれない戦いぶりに、静かな感動を覚える作品。酒場に単身で乗り込み、無傷で相手を殲滅するシーンは、ちょっとできすぎな気がするが。

【5段階評価】4

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2017年10月24日 (火)

(1629) ロスト・イン・トランスレーション

【監督】ソフィア・コッポラ
【出演】ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョバンニ・リビシ
【制作】2003年、アメリカ

東京に一時的に滞在しているアメリカ人の俳優と若い女性との心の交流を描いた作品。東京が舞台になっている。

サントリーのウィスキーのCM作成のため、最近は映画出演がご無沙汰している俳優、ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)が来日。東京のホテルで関係者に手厚く迎えられるが、ホテルの部屋で孤独を持て余す。妻とのやりとりもギクシャクしていた。
同じホテルに滞在中のシャーロットは、結婚2年目(ジョバンニ・リビシ)。写真家の夫とともに来日したが、夫は仕事で飛び回っており、行く当てもなく町をさまよい歩いては、家族と電話で話して思わず涙を流してしまうのだった。
ホテルのエレベータで偶然乗り合わせた二人は、やがてホテルのバーで会話をするようになる。シャーロットの夫は泊まりの出張に出てしまい、シャーロットは友人との会う約束に、ハリスを連れて行く。眠らない街、東京で、ハリスはシャーロットとともに、クラブのダンスパーティやカラオケ屋などを転々とする。ハリスは寝てしまったシャーロットを抱えて彼女の部屋まで運ぶと、布団を掛けてそのまま部屋を後にする。
眠れないハリスは、シャーロットの部屋のドアの隙間から、誘いのレターを入れる。やはり眠れない状態だったシャーロットはそれに応じ、二人で古い映画を部屋で観る。その後、二人はともにベッドに横たわり、不安定な夫婦生活について話し合う。
ついにハリスの帰国の日が訪れる。帰りのハイヤーの中から、東京の繁華街を眺めるハリスの目に、シャーロットの後ろ姿が映る。車を止めさせ、それを追いかけるハリス。ハリスはシャーロットに何かをささやくと、二人は繁華街の路上で抱き合い、口づけをする。ハリスは吹っ切れたような笑顔でそのまま立ち去り、シャーロットも人混みの中に消えていくのだった。

慣れない大都会に放り込まれ、孤独を禁じ得ない二人の心が通じていくさまを描いている。孤独の描き方がうまい。会話が通じなくて途方に暮れるとか、誰ともふれあいがない、という描き方はしない。ハリスは、日本語でまくし立てるCMディレクター(ダイヤモンド☆ユカイ)や、全く英語を知らない患者に話しかけられる。シャーロットもゲームセンターで独特の熱中ぶりを見せるゲーマーを面白そうに見たり、生け花教室に入り込んで相手をしてもらう。そのような東京での暮らしを面白いと思いつつ、違う、と感じ、孤独に身をやつす。こんな二人ならずとも、異郷の旅先で同郷の者が出会えば仲良くなるのは必然。運命の出会いだなんだ、と言って、あっという間に男女の仲に発展するのもよくある話。ただ、ハリスはベッドの上に横たわるシャーロット(公開当時19歳のスカーレット・ヨハンソンですよ)に、極めて自制的に接する。抱きかかえたシャーロットをベッドに乗せ、ふとんをかけて、方に手を当ててそのまま立ち去るし、二人でベッドに横たわったときも、甘えたように横を向いてくの字になるシャーロットに指一本触れず、ようやく最後に足の甲に少し触れるだけ。この抑制的な描き方が、この作品を上品なものにしている。
日本人の人混みに紛れたスカーレット・ヨハンソンは、ハリウッド女優とは思えないほど目立たなくなる。身長が160cmほどなのだ。コミカルな顔つきの割に190cm近い高身長のビル・マーレイと対照的だ。
なお、ジョバンニ・リビシは、「プライベート・ライアン」で、中盤で戦死する衛生兵を好演した俳優。

【5段階評価】4

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2017年10月23日 (月)

(1628) パトリオット・ゲーム

【監督】パトリオット・ゲーム
【出演】ハリソン・フォード、アン・アーチャー、ショーン・ビーン、ソーラ・バーチ
【制作】1992年、アメリカ

テロリストの復讐の標的とされた男の奮闘ぶりを描いた作品。「今そこにある危機」は本作の続編。

家族でロンドンに来ていた元CIAのジャック・ライアン(ハリソン・フォード)は、テロリスト組織IRAがホームズ卿を襲撃する現場にたまたま出くわす。ジャックはとっさにテロリストの一人、ショーン(ショーン・ビーン)に飛びかかり、彼の落とした拳銃を奪い取ると、攻撃してきたテロリストを射殺。ホームズ卿の誘拐は未然に防がれ、テロリストは退散。撃ち殺されたIRAのメンバーはショーンの弟だった。ショーンは逮捕されるが、激しい憎悪の目をその場に座り込むジャックに向ける。
ジャックは公判でショーンと相まみえる。ショーンはジャックを罵り、ジャックの顔に不安が広がる。
アメリカに戻ったジャックは、妻の懐妊を喜ぶ。しかし、ショーンの護送車が襲撃され、ショーンが脱走したとの連絡が入る。ジャック自身にも刺客が送り込まれたが、それに気づいたジャックは反撃し、刺客は守衛に射殺される。ジャックはショーンに電話をかけ、警察に逃げるよう伝えるが、ジャックに恨みを持つショーンは、ジャックの妻キャサリン(アン・アーチャー)と幼い一人娘のサリー(ソーラ・バーチ)の乗った車を襲撃。キャシーの車はフェンスに激突して大破。キャサリンは軽傷だったがサリーが脾臓を除去するほどの重傷を負う。
ジャックはCIAに復帰し、テロリストの情報を収集。女性テロリストのアネット(ポーリー・ウォーカー)とはげ頭の書店員の映像からキャンプ地を特定し、テロリストを壊滅させる。アメリカではジャックの叙勲を兼ねたホームパーティが開かれていた。そこにはホームズ卿のほか、IRAのスパイと化していたホームズ卿の秘書、ジェフリー・ワトキンス(ヒュー・フレイザー)も招かれていた。ワトキンスは屋敷の中の護衛を射殺。テロリストのリーダー、ケビン(パトリック・バーギン)、アネット、そして復讐に燃えるショーンが屋敷に突入する。目的は身代金目的のホームズ卿の誘拐。ジャックはワトキンスが敵側の人間であることを見抜き、縛り上げて地下室に送り込み、2階にいた家族を連れ戻してホームズ卿とともに地下室に身を潜めるが、テロリストたちは地下室に突入。ジャックらはワトキンスから脱出用ボートの存在を聞き出し、地下室を脱出してボートの方に向かう。ワトキンスはテロリストの銃撃に巻き込まれて死亡する。
ケビンらがそれを追い、先行するボートをもう1台で追いかける。しかし、ボートに乗っているのはジャックだけだった。ケビンとアネットはホームズを追うため引き返そうとするが、ジャックへの恨みが極限まで募ったショーンはそれを拒否。制止するケビンとアネットを撃ち殺してしまう。ショーンはマシンガンでジャックの乗るボートを滅多撃ちし、弾が切れると炎上したジャックのボートに飛び移る。波立つ水面を疾走するボートの上で、二人のつかみ合いが始まり、最後はジャックがショーンを押し倒し、ショーンはボートの床にあったブレードが体に突き刺さり、絶命する。ジャックは家族との平和な生活に戻り、生まれ来る子供の性別をサリーとともに楽しみにするのだった。

ストーリーは比較的わかりやすい。テロリストのショーンは、政治的使命感や活動維持のための資金確保といった目的に沿った行動ができず、弟を殺されたことへの恨みを晴らすという直情的で独善的な行動原理を持っている。その狂気の示し方が割と上品なので、善意の第三者であるジャックが事件に巻き込まれる理不尽さや恐怖が、今ひとつ引き立っていないように感じた。CIAを退役した中年男が、訓練を積んだ現役テロリストの青年とつかみ合いで勝つという主人公アビ発動は「ファイアーウォール」のラストと同じ展開。

【5段階評価】4

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2017年10月22日 (日)

(1627) ロックアウト

【監督】スティーブン・セイント・レジャー、ジェームズ・マザー
【出演】ガイ・ピアース、マギー・グレイス、ビンセント・リーガン、レニー・ジェームズ
【制作】2012年、フランス

宇宙空間の刑務所で決死の人質救出に挑む男の活躍を描いた作品。

宇宙空間の刑務所、「MS-1」で、視察に訪れた大統領の娘、エミリー(マギー・グレイス)が脱走犯に拉致。CIA局長殺害の濡れ衣で収監されていたスノー(ガイ・ピアース)が救出役に抜擢される。自分を犯罪者と弾していているCIAのラングラル(ピーター・ストーメア)からの命令を拒絶するスノーだったが、彼を理解するハリー・ショー(レニー・ジェームズ)から、スノーの無実を証明する鍵を握るメース(ティム・プレスター)がMS-1にいるという情報を知らされ、スノーは依頼を承諾する。
MS-1では、囚人のボス格、アレックス(ビンセント・リーガン)は、エミリーを暴行しようと興奮する弟のハイデル(ジョセフ・ギルガン)をたしなめながら、脱出を模索する。刑務所のスタッフが次々と殺されたため、刑務所はコントロールを失い、宇宙ステーションに激突。地球に落下する危機が訪れる。
スノーは酸素欠乏で死にかけていたエミリーを救出すると、相棒のメースを探し出すが、メースはコールドスリープの影響で痴呆状態になっており、「I see you, I foresee you. lullaby」と繰り返すばかりだった。結局メースは凍死してしまい、スノーの目的は果たせずじまい。スノーは、一人乗りの脱出ポッドにエミリーを乗せて刑務所に残るが、エミリーは脱出ポッドに乗らず、スノーとともに刑務所に残る。エミリーほしさに半狂乱になったハイデルは人質を殺害し始め、エミリーは自分の居場所をハイデルに伝えるが、ハイデルは人質を皆殺しにしてしまう。スノーとエミリーはアレックスに捕まってしまう。エミリーを人質に取ったアレックスに対し、ラングラルはMS-1への総攻撃を決断。それを拒否する大統領(ピーター・ハドソン)から大統領の権利を剥奪し、総攻撃を指示する。ハイデルはついにアレックスを刺し殺してしまう。スノーとエミリーはハイデルを振り切って逃げ出し、大気圏突入用のスーツを着て二人で刑務所を飛び出す。刑務所はラングラルの指令に基づき、爆破される。
スノーとエミリーはなんとか地上に着陸。そのままスノーは逮捕される。エミリーは、メースの残した言葉をもとに、地下鉄のコインロッカーにたどり着く。メースの言葉は「ICUI4CU」というロッカーのパスワードだった。ロッカーの中にはスノーがメースに投げ渡したトランクが入っていた。
スノーはトランクをハリーに渡す。ハリーは慌ててトランクを開けるが、中はからだった。スノーは、ハリーがトランクのロック解除コードを知っていることを責める。その様子を背後からラングラルが見ていた。長官暗殺の真犯人はハリーだったのだ。
スノーは釈放され、外で待っていたエミリーと並んで去って行くのだった。

SF感は凝りすぎず、ちゃちすぎず。展開はめまぐるしく飽きさせない。超優良映画というほどではないが、十分に面白かった。ただ、本作中の最大のヒール、ハイデルがその他大勢のように死んでしまうのは、もったいない気がした。エミリーへの度を超した執着が原因でありえない死に方をするような演出があるとよかった。

【5段階評価】4

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2017年10月21日 (土)

(1626) サクラサク

【監督】田中光敏
【出演】緒形直人、藤竜也、南果歩、矢野聖人、美山加恋、津田寛治
【制作】2014年、日本

さだまさし原作小説の映画化作品。認知症を患った男と、その息子の家族との心の絆を描いている。

とある会社の部長をしている大崎俊介(緒形直人)は、上司(大杉漣)から取締役への昇格を内示される。しかし、父親の俊太郎(藤竜也)の痴呆が進行しており、俊介の妻の昭子(南果歩)は俊太郎の世話を拒否。娘の咲子(美山加恋)も祖父に感心を示さず、息子の大介(矢野聖人)も同じだった。部屋で失禁した父親の世話をする俊介は、無関心を装う大介の頬を殴る。何も言わない大介だったが、実は俊太郎のために、家族に内緒で大人用のおむつを買い、それを家の外に捨てに行っているのが大介だった。大介は俊太郎の尊厳を守ろうとしていたのだ。
俊介は家族を連れて、強引にドライブ旅行に出る。俊太郎が幼い頃に家族で過ごした寺を探すためだ。俊太郎の記憶は曖昧となり、その捜索は俊介の昇格が決まる取締役会の日にまで及んだ。しかし、俊太郎をきっかけとして家族の絆を取り戻した俊介は、昇格よりも家族旅行を選ぶ。ついに5人は寺を発見。そこには、俊太郎の記憶にある桜の木はなく、切り株があるだけだった。5人は切り株の前に並んで座る。5人の心の中には満開の桜があるのだった。

恍惚の人」同様、認知症の老人を題材にしている。妻は家庭を顧みずに仕事に没頭してきた夫に不満があり、義理の父の世話を拒否。授業参観に父親に来てもらったことのない娘も家族に無関心。そんな中、大学にも行かずにバイト暮らしをしている息子だけが、祖父の理解者だった。話としてはけっこうステレオタイプなのだが、それがむしろいい。人が記憶をなくし、尊厳を失っていくというのは、それだけ人の心を打つテーマなのだろう。認知症を患いながらも、旅先の祭りにさまよい込んだ俊太郎が奏でる横笛の音色は感動的だった。
ちなみに、息子の嫁の名前が「昭子」なのは、「恍惚の人」と同じだ。

【5段階評価】5

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2017年10月19日 (木)

(1625) ボーン・レガシー

【監督】トニー・ギルロイ
【出演】ジェレミー・レナー、レイチェル・ワイズ、エドワード・ノートン
【制作】2012年、アメリカ

ジェイソン・ボーン」シリーズ第4弾。主役はジェイソン・ボーン(マット・デイモン)ではなく、同じく暗殺者としての訓練を受ける別のエージェントが活躍する。「ボーン・アルティメイタム」の続編。

CIAの計画により、アラスカで訓練中のアーロン・クロス(ジェレミー・レナー)。ジェイソン・ボーンの告発などで極秘計画の発覚を恐れたリック・バイヤー(エドワード・ノートン)は、訓練中のメンバーを抹殺にかかる。アーロンは体内に埋め込まれたセンサーを、皮膚を自ら切って取り出し、雪山に現れたオオカミに自分を襲わせてオオカミにセンサーを付着させ、センサーめがけて飛んできたミサイルを欺いて自らの死を偽装する。
訓練者の分析をしている科学者のマルタ・シェアリング(レイチェル・ワイズ)の研究室で、一人の科学者が突如、研究室内の研究者に銃を乱射し、最後は自殺するという事件が起きる。研究で扱われているのは、人体を操作する技術だった。
山奥に逃げ込んだマルタのもとに、彼女を自殺に見せかけて葬ろうとする一団が現れるが、そこにアーロンが現れ、一団を殲滅。アーロンは自分が服用し続けている薬を求めてマルタのもとを訪れていた。二人は薬の製造現場であるマニラに向かう。リックは刺客(ルイ・オザワ)を送り込むが、アーロンはマルタを連れて必死の逃走。渋滞の激しいマニラ市街で、バイクの熾烈な追走劇が繰り広げられるが、最後はマルタの渾身の攻撃で刺客は派手に横転。アーロンとマルタは、地元の漁師に助けられ、身を隠すことに成功するのだった。

主人公がジェレミー・レナーに替わり、新展開を迎えたジェイソン・ボーン・シリーズ。マット・デイモンはIDカードの映像でのみ登場するが、「ボーン・アルティメイタム」での記者の暗殺シーンなどは本作に登場しており、明らかに続編である。過去のシリーズ同様、迫力のあるアクションがとてもよかった。

【5段階評価】4

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2017年10月18日 (水)

(1624) あん

【監督】河瀨直美
【出演】永瀬正敏、樹木希林、内田伽羅、浅田美代子、市原悦子
【制作】2015年、日本

ドリアン助川の小説の映画化作品。ハンセン病患者として暮らしてきた老女とどら焼き屋の店長との交流を描いている。

女子中学生のたまり場になっている小さなどら焼き屋の店長、千太郎(永瀬正敏)。ある日、千太郎に75歳の徳江(樹木希林)がアルバイトをしたいと話しかけてくる。75歳という年齢を聞いて、千太郎はその申し出を断るが、次の日、徳江はお手製の粒あんを置いていく。千太郎は、一度はそれをゴミ箱に放り投げるが、思い直してタッパーの中のあんをなめてみる。それは想像以上のおいしさだった。店によく来る女子中学生、ワカナ(内田伽羅)の後押しもあり、千太郎は徳江にあん作りを手伝ってもらうことにする。徳江は千太郎にあんの作り方を教える。それは小豆にありったけの愛情をそそぐ、丁寧な作り方だった。おいしくなったどら焼きはあっという間に行列ができるほどの評判となる。しかしある日、オーナー(浅田美代子)が店にやってきて、徳江はハンセン病患者で隔離されたところに住んでいるから、雇うのを辞めた方がいいと告げる。千太郎はかつて、酒屋の乱闘で相手に重い障害を負わせて刑に服していた時期があり、オーナーに借金があるのだった。それでも千太郎は、徳江とお店を続ける。
しかし、ある日を境に、ぱったりとどら焼きが売れなくなる。ワカナが母親(水野美紀)に、徳江の指に障害があることを話したのだという。千太郎は、世間は恐ろしいが、それよりひどいのは徳江を守れなかった自分だ、とワカナに話す。
ワカナは千太郎とともに徳江の家を訪ねる。バス停から雑木林を抜けた先にある一帯は、ハンセン病患者が隔離されて住む地域だった。徳江はワカナと千太郎の来訪を喜び、指に障害のある佳子(市原悦子)を紹介する。千太郎は、徳江の作ったおしること塩昆布を食べながら涙を流す。
ワカナと一緒に塩どら焼きの開発をする千太郎のもとに、甥っ子(兼松若人)を連れたオーナーが現れ、コック志望の甥のために、どら焼き屋をお好み焼きも出せる店に改装すると言い出す。甥っ子はガムをくちゃくちゃ噛みながらチャラい挨拶を千太郎にする。千太郎はとまどい、ワカナは嫌悪感をあらわにする。
店は改装に入り、千太郎は酒に浸るようになる。千太郎を見つけたワカナは、二人で徳江を訪ねる。出迎えた佳子は、徳江が3日前に亡くなったと告げる。佳子は徳江の暮らしていた家に二人を案内し、徳江が残した音声テープの入ったカセットプレーヤーを手渡す。そこには、徳江がワカナと千太郎に残したメッセージが込められていた。
千太郎は満開の桜の下で、どら焼きの露天売りを始め、威勢よく客寄せの大声を出すのだった。

シリアスなテーマを、最小限の登場人物で重厚に描いている。樹木希林という個性的な女優をうまく使って泣かせる作品に仕上がっていた。後半の徳江の独白が、若干説教くさかったのが残念。

【5段階評価】4

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2017年10月17日 (火)

(1623) エターナル・サンシャイン

【監督】ミシェル・ゴンドリー
【出演】ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルスティン・ダンスト、イライジャ・ウッド
【制作】2004年、アメリカ

偶然出会った男女の運命を描いたラブ・ストーリー。独創的な展開に思わず引き込まれる作品。

しがない暮らしを送る青年、ジョエル(ジム・キャリー)は、ある日、衝動的に仕事をさぼり、砂浜に向かう。2月の寒い砂浜で、ジョエルはクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)と出会う。女性に話しかけることが苦手なジョエルだったが、クレメンタインは親しげにジョエルに接近。自分が働いている本屋で彼を見かけたことを思い出す。二人はあっという間に親しくなる。
ジョエルはクレメンタインにバレンタインのプレゼントを渡そうと彼女の職場に行くが、なぜかクレメンタインは彼を知らないかのように振る舞い、別の恋人と親しげにしていた。ジョエルはショックを受ける。彼は友人のロブ(デビッド・クロス)からラクーナ社からの手紙を見せられる。そこには「クレメンタイン・Kは記憶からジョエル・Bを消去。彼との過去を話さぬように」と書かれていた。
ジョエルはラクーナ社に向かう。そこは、人の記憶を消し去る施術をする会社だった。ジョエルは、クレメンタインが自分の記憶を消したことを悲しみ、自分もまたクレメンタインの記憶を消すことにする。
ジョエルは自分の部屋で薬を飲み、昏睡状態に陥る。そこにラクーナ社の社員、スタン(マーク・ラファロ)とパトリック(イライジャ・ウッド)が現れ、記憶消去の施術を開始する。昏睡状態のジョエルの頭の中には、二人の会話が入り乱れて聞こえてきた。パトリックはクレメンタインの施術を行ったとき、彼女のパンツを盗んだばかりか、ジョエルの思い出を利用してクレメンタインの新しい恋人の座に納まっていた。クレメンタインは施術を受けながら、クレメンタインとの記憶を消したくないという思いに囚われ始め、クレメンタインのいない記憶の中にクレメンタインを連れていき、彼女の記憶をとどめようとする。スタンは、ジョエルが昏睡中であるのをいいことに、様子を見に来たメアリー(キルスティン・ダンスト)とジョエルの部屋の中で乱痴気騒ぎ。しばらくして施術装置の操作に戻ったスタンは、ジョエルの意識を見失ってしまっていることに気づく。スタンは博士のハワード(トム・ウィルキンソン)を呼び、なんとか事態を収拾する。その様子に見とれていたメアリーは、突然ハワードにキスをする。憧れが恋に変わってしまっていたのだ。ハワードは自分には妻も子供もいると言ってメアリーを慰めるが、涙を流すメアリーに、今度は自分から優しくキスをする。ところがその様子を、現場にかけつけたハワードの妻が見ていた。部屋の外にいたスタンはクラクションでそれを二人に知らせるが、ハワードの妻は怒って車に乗り込む。ハワードとメアリーは家を飛び出し、ほんの弾みだ、と言い訳するが、妻は「彼はあなたのものだった」と言って走り去る。実は二人は以前に不倫関係にあり、メアリーはそのことを記憶から消していたのだった。次の日、ラクーナ社を辞めて出て行くメアリーに、スタンは愛を告白。メアリーは何かを決心したように自分の車に乗り込む。
目が覚めたジョエルは、電車で職場に向かうが、衝動的に仕事をさぼる。映画の序盤のジョエルは、クレメンタインの記憶を消した直後のジョエルだった。しかし結局、ジョエルはクレメンタインと再会。また恋人同士になっていた。仲良くなった二人は、ジョエルの車でジョエルの家に向かう。家の郵便物を車に持ち込んでいたクレメンタインは、その中にラクーナ社から送られてきたカセットテープに気づく。何か分からずに車のカセットデッキにテープを入れると、クレメンタインがジョエルを罵る言葉が流れ出した。メアリーが記憶を消した人々に記憶を取り戻させようと、施術を受けた人が施術中に話した内容を録音したテープを送りつけていたのだ。最初は悪い冗談かと思ったジョエルだったが、思わずクレメンタインを車から追い出してしまう。クレメンタインは思い直してジョエルの家に向かう。そこではジョエルがクレメンタインの記憶を消したときの自分の発言を聞いていた。それはクレメンタインに対する不満のオンパレードだった。一緒に聞いていたクレメンタインだったが、耐えきれずに部屋から立ち去る。ジョエルは後を追い、「とにかく待ってくれ。少しでいいから」とクレメンタインを呼び止める。クレメンタインは、「今にイヤになるわ。そして私は息が詰まるの。」と言うが、ジョエルは諦めたような声で「いいさ」と答える。それを聞いたクレメンタインは、半ばあきれたように「いいわ」と返すのだった。

記憶が薄れ、錯綜する様子を独創的な特撮で映像化しており、とても印象に残る作品だった。俳優の渡辺謙は、この作品と「きみに読む物語」が「明日の記憶」の映画化のきっかけになったと語っている。
コメディ作品の多いジム・キャリーが、本作ではシリアスな役どころを演じているが、時折、百面相のように目を白黒させたり表情をめまぐるしく変えたりするシーンでは、どうしても「マスク」がちらついた。ここのところ、評価2の作品が続いていたが、やっと映画らしい映画が観られた。

【5段階評価】4

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2017年10月16日 (月)

(1622) 沈黙の追撃

【監督】アンソニー・ヒコックス
【出演】スティーブン・セガール、ニック・ブリンブル、クリスティーン・アダムズ
【制作】2005年、アメリカ

マインドコントロール技術を悪用する組織と戦う元兵士の活躍を描いた作品。スティーブン・セガール主演のサスペンスアクション。

ウルグアイで、アメリカ大使(リー・ジンマーマン)がシークレットサービスに殺され、シークレットサービスも同士討ちで全滅するという怪事件が起きる。大使はとあるダムの地下にある研究室の情報を得ようとしていた。チャペル博士(クリスティーン・アダムズ)は、マインドコントロールによる犯行だと分析する。軍は攻撃隊を送り込むが、彼らは待ち伏せされていた。攻撃隊のプラウデン(ロス・マッコール)らはとらえられ、ダムの奥の研究室で洗脳されてしまう。
軍のバージェス(サム・ダグラス)は服役中の元兵士のコーディー(スティーブン・セガール)に、部下を含め1人当たり10万ドルの報酬と全員の恩赦を条件として、首謀者のレイダー(ニック・ブリンブル)の殺害を依頼。CIAのフレッチャー(ウィリアム・ホープ)が同行することになる。コーディーは狙撃手のヘンリー(ビニー・ジョーンズ)、潜水艦の操縦士チーフ(P・H・モリアーティ)、ナビゲーターのルイス(スティーブン・ダコスタ)、爆破のプロのオハーン(アダム・フォガティ)、情報収集の専門家ドク(ピーター・ヤングブラッド・ヒルズ)、爆薬の専門家エンダー(レイコ・バシレフ)、偵察が得意なロリンズ(ジュリアン・バーガバ)を仲間にし、チャペル、フレッチャーとともにヘリに乗り込む。フレッチャーが作戦を指揮し、上陸地点に向かうが、コーディーは先に降りたフレッチャーを置き去りにしてヘリで飛び去る。彼が二重スパイであることを懸念したのだ。果たして彼はレイダーの手先だった。かつて、爆弾を積んだ客船に体当たりしようとしたタンカーを未然に魚雷で攻撃したコーディー。コーディーの部隊はそれが理由で投獄されたのだが、今回も彼の危険察知能力が生きたのだ。コーディーたちは別の上陸地点で情報員のダミータ(アリソン・キング)と合流する。
レイダーはマインドコントロールに必要な情報をディスクに収め、地下の研究室を破壊すると、プラウデンらとともに脱出。コーディーらは研究室に侵入し、とらえられていた捕虜を連れ出す。地下通路の入り口には戦車を伴う部隊が現れるが、コーディーらは負傷者を出しながらもそれを殲滅し、乗っ取った潜水艦で脱出する。チャペルは、殺された研究室の指揮官ヒラン(ニコライ・ソティロフ)の持っていたデータディスクをコーディーに託し、回収した捕虜は軍の送った攻撃隊のメンバーで、すでに洗脳されていることをコーディーに告げる。コーディーは、自分たちは消耗品として軍に使われていると察知し、潜水艦から脱出しようとする。捕虜たちは行動を開始し、コーディーの仲間を殺して潜水艦の設備を破壊し始める。チャペルは自ら空母に救助要請の連絡を入れるが、それによって潜水艦の位置が特定されていまう。バージェスは空母からミサイルを発射。コーディーは生き残った仲間と救命ボートで脱出。潜水艦はミサイルが命中して大破する。
データディスクに記録されていたキリンダイル社にフレッチャーとレイダーが到着。キリンダイル社の新社長、サンドロウ(ルイス・ソト)は、大企業に批判的な大統領の暗殺をもくろみ、大統領の婚約者の洗脳をレイダーに依頼。一方でフレッチャーは、レイダーを信用しておらず、レイダーの後釜にチャペルを抜擢するようサンドロウに進言する。フレッチャーは広場でデモを起こさせ、混乱に乗じて警官を使ってチャペルを拉致。ヘンリーは広場でコーディーを狙撃しようとしていたプラウデンを倒す。訳も分からず収監されていたチャペルのもとに新大使のヒギンズ(ウィリアム・タプリー)が現れ、チャペルの身柄を引き取る。チャペルはフレッチャーは裏切り者だとヒギンズに告げるが、乗ろうとした車の中にいたのはフレッチャーだった。フレッチャーはチャペルに銃を突きつけ、レイダーの後釜になれと脅す。フレッチャーはレイダーのもとにチャペルを連れて行くが、フレッチャーは洗脳したキリンダイルの社員を使って二人を拉致し、研究室の小部屋に閉じ込める。
コーディーはヒギンズに接触。フレッチャーが悪人であることを伝え、ヒギンズになりすまして大統領が観劇するオペラハウスに潜入。ヘンリー、ルイス、ダミータの3人はタクシーでオペラハウスに向かうが、タクシーの運転手(アンドレイ・スラバコフ)はフレッチャーの手下だった。危険を察知した3人は運転手を撃ち殺して追走してくる車を振り切ろうとするが、スイカを積んだトラックと正面衝突。何とか車から抜け出し、オペラハウスに向かう。
レイダーはオペラハウスにスナイパーを送り込み、観劇中のサンドロウを電話で脅してキリンダイル社の口座へのアクセスコードを聞き出そうとする。横にいたコーディーは電話を奪い取り、レイダーのもくろみを阻止。チャペルは大統領暗殺をやめるようレイダーを説得するが、レイダーはマインドコントロールの実績作りだと言って計画を実行に移す。レイダーは、洗脳用の装置でフレッチャーを殺すよう手下に指示をし、チャペルを連れて研究室を出る。フレッチャーは手下の隙を突いて拳銃を奪い、難を逃れる。
ヘンリー、ダミータ、ルイスの3人はそれぞれオペラハウスに潜入。洗脳されたオペラハウスの給仕や指揮者、そして大統領の婚約者が暗殺行動を開始するが、ヘンリーはスナイパー、ルイスは指揮者、コーディーは給仕をそれぞれ倒す。ルイスは横断幕を使ってオペラハウスの上部観覧席から飛び降り、大統領に銃を向ける婚約者を蹴り飛ばして暗殺を防ぐ。この騒動でヘンリーは命を落とす。コーディーはサンドロウの車でキリンダイル社に向かい、レイダーの乗ろうとしていたヘリに車をぶつけてヘリを大破させ、そのまま社屋ビルに突っ込む。車から降りたサンドロウは中にいた敵に撃ち殺されてしまう。研究室に逃げ戻ったレイダーは、中にいたフレッチャーに殺される。フレッチャーはエレベーターで脱出しようとするが、到着したエレベーターに乗っていたのはコーディーだった。コーディーに蹴り飛ばされたフレッチャーはレイダーと折り重なるようにして事切れる。
一件落着し、コーディーは豪華なホテルのプールサイドでルイスやダミータと談笑。その輪に加わっていたチャペルだったが、突如、彼女の顔から笑みが消え、洗脳の怪しい光が脳裏で明滅するのだった。

B級感の強いスティーブン・セガールだが、本作の作りはなかなか本格的。娯楽作品としては十分に及第点。銃撃戦で主人公や女性には弾が当たらないお約束や、ダムの地下に戦車とか過剰な演出はあったが、無駄なシーンはなく、濃密なできばえだった。妙なお色気シーンもなく、硬派な仕上がり。
今回の放映はBS日テレ。字幕付きオリジナル音声で、エンドクレジットまで放送。スティーブン・セガールの意外にか細い声も堪能できた。他局もぜひ見習ってほしい。

【5段階評価】4

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2017年10月15日 (日)

(1621) ピクセル

【監督】クリス・コロンバス
【出演】アダム・サンドラー、ジョシュ・ギャッド、ケビン・ジェームズ、ミシェル・モナハン
【制作】2015年、アメリカ

昔懐かしいアーケードゲームのキャラクターが敵となって襲ってくる。それに立ち向かう元ゲーマーの戦いを描いたSFコメディ。

さえない工事業者のサム(アダム・サンドラー)は少年時代、ゲームが得意で、地元の大会で決勝戦に残り、ドンキーコングでチャンピオンのエディ(アンドリュー・バンブリッジ)に敗退。
ある日、米軍基地をシューティングゲームのギャラガのキャラが襲う。それは、アメリカが宇宙に飛ばしたカプセルを受け取った宇宙人が、その中に入っていたゲームの映像を宣戦布告と勘違いして送り込んできたものだった。サムの幼なじみで大統領になったウィル(ケビン・ジェームズ)はホワイトハウスにサムを呼び、対策を相談。サムはかつてのゲーム仲間、ラドロー(ジョシュ・ギャッド)とともに宇宙人の挑戦に挑む。宇宙人から、3敗すれば地球は滅びると宣告されるが、地球側はあっという間に2敗。しかし、サムとウィルの活躍でセンチピード戦に勝利。地球側は、戦力増強のため、かつてのチャンピオン、エディ(ピーター・ディンクレイジ)を仲間に加える。3人の活躍で、続くパックマンでも勝利。しかし、エディはチート行為をしており、それが宇宙人にバレてしまう。地球には大量のキャラクターが送り込まれるが、サム、ラドロー、ウィルは、米軍の美人士官、バイオレット(ミシェル・モナハン)とともに戦い、最後はサムがボスキャラのドンキーコングにハンマーを投げつけ、勝利する。エイリアン軍は飛び去り、ご褒美キャラとして、ラドローが憧れていた美人戦士キャラのレディ・リサが残され、ラドローはレディ・リサと結婚し、元気なQバートを4人授かるのだった。

アイディア倒れの予感がしながら観てみたら、意外と面白かった。センチピードは日本ではややマイナーなゲームだったのがちょっと残念。ギャラクシアンやギャラガがもっと出てきてほしかった。

【5段階評価】4

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2017年10月14日 (土)

(1620) トランスポーター イグニション

【監督】カミーユ・ドゥラマーレ
【出演】エド・スクライン、レイ・スティーブンソン、ローン・シャバノル、ラシャ・ブコビッチ
【制作】2015年、フランス、中国

華麗なドライブテクニックの運び屋の活躍を描いた作品。ジェイソン・ステイサムの「トランスポーター」シリーズのリブート作品。

運び屋をしているフランク(エド・スクライン)は、引退した父親シニア(レイ・スティーブンソン)と再会。そこに謎の女性アンナ(ローン・シャバノル)から仕事の依頼が入る。彼女はカラゾフ(ラシャ・ブコビッチ)という非情な男に売春婦をさせられており、仲間3人と共謀してカラゾフの組織から大金を奪おうとしていた。アンナの仲間のマリア(タティアナ・パイコビッチ)はシニアを誘拐。彼を人質に取って強引にフランクに仕事の協力をさせる。
なんとか仕事を終えたフランクだったが、今度はシニアがカラゾフに拉致されてしまう。フランクはアンナたちを連れてカラゾフの船に向かう。カラゾフの船にはカラゾフの仲間も集まってくる。彼らはカラゾフが金を独り占めしていると勘違い。カラゾフは自らの口座を仲間に見せて潔白を証明しようとするが、それこそがアンナ達の狙いだった。船の回線に侵入したアンナの仲間、ジーナ(ガブリエラ・ライト)がカラゾフの口座に侵入。いったんカラゾフの口座に大金を入金して仲間の同士討ちを導いた後、カラゾフの口座から全額を自分たちの口座に振り込み直す。カラゾフはアンナを人質にとって船から脱出するが、フランクは水上バイクで追い、崖の上で一騎打ちとなる。不利になるフランクだったが、駆けつけたアンナがカラゾフを撃ち、カラゾフは崖下に転落する。
アンナはフランクにも銃を向ける。もともとは証拠隠滅のため、フランクも亡き者にするつもりだったのだ。しかし、アンナはフランクを愛してしまっていた。フランクはアンナに口づけをすると、ここから逃げるように告げる。
警察で取り調べを受けていたシニアも介抱され、フランクは父親と二人、車で走り去るのだった。

ジェイソン・ステイサムのシリーズがなかなかの名作だったので、あまり期待していなかったのだが、普通に面白かった。とはいえ、少女の頃から売春婦をしていた女性が4人集まって大犯罪を自ら成功させるということに無理がありすぎ。2回も拉致され、嘘だったとはいえあっさり猛毒入りのビールを飲む父親も、やたらキザなくせにアホすぎ。あまり感情移入できる設定ではなかった。ヒロインの描き方も今ひとつ深くなくて、仲間が何人も死んでいる割に感動が薄かった。

【5段階評価】3

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2017年10月13日 (金)

(1619) ときめきサイエンス

【監督】ジョン・ヒューズ
【出演】イラン・ミッチェル=スミス、アンソニー・マイケル・ホール、ケリー・ルブロック
【制作】1985年、アメリカ

コンピュータを使って美女を生み出した、もてない少年二人の成長を描いた作品。

女子生徒を遠くから見て妄想をふくらませるだけのもてない高校生、ワイアット(イラン・ミッチェル=スミス)とゲイリー(アンソニー・マイケル・ホール)は、ワイアットの家のコンピュータで女性を作り出そうとする。家に不思議な力が働き、本物の美女(ケリー・ルブロック)が現れる。ゲイリーは女性にリサと名付ける。リサは作り出されたことに感謝し、二人が勇気ある青年になれるよう尽力する。
リサは二人のためにパーティを主催させることにする。パーティ会場には同級生のデブ(スザンヌ・シュナイダー)とヒリー(ジュディ・アロンソン)が参加。ゲイリーとワイアットは初めて二人と会話する。臆病な二人を活躍させようと、リサは不思議な力を使って会場に暴走族を呼ぶ。だれもが怖じ気づく中、不良達がデブとヒリーに手を出そうとしたため、ゲイリーとワイアットは勇気を出して暴走族を撃退。二人はデブとヒリーそれぞれと一夜を過ごす。
翌朝、二人はガールフレンドができたことをリサに報告。リサはそれを喜び、消えていく。
しかしリサは、高校の先生として復活するのだった。

軽いノリの青春コメディ。メッセージ性は薄く、典型的なおバカ映画だった。なぜこれがNHK BSのプレミアムシネマで放映されたのか不思議。
ちなみに、いじめっ子の男子高生の一人、イアンを演じたのは、「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jr.である。また、ワイアットの兄、チェットは、「タイタニック」でトレジャー・ハンターのリーダー役など、多くの大作に出演しているビル・パクストンが演じている。

【5段階評価】2

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2017年10月12日 (木)

(1618) 極道大戦争

【監督】三池崇史
【出演】市原隼人、成海璃子、リリー・フランキー、高島礼子、でんでん
【制作】2015年、日本

極道の世界に身を置く青年の命がけの戦いを描いた作品。正統派ヤクザ映画と思いきや、トンデモ展開が待ち構えている。

町の守り手となっている神浦(リリー・フランキー)に憧れてヤクザになった影山亜喜良(市原隼人)。他の組でレイプされていた杏子(成海璃子)を助け、看病する。
ある日、神浦のもとに2人の刺客が現れ、神浦はなすすべなく倒される。影山も助けに入るが歯が立たず、神浦は首をもぎ取られてしまう。2人組の背後には神浦組の若頭(高島礼子)の姿があった。影山は神浦の首を手にする。すると首が動き出し、影山の首にかじりつく。神浦はヤクザバンパイアだった。
影山は不死身の体を手に入れるが、カタギの人間の血を吸うと、ヤクザバンパイアが感染し、ヤクザ化してしまう。やがて、町中がヤクザだらけになっていく。
影山は神浦を殺された恨みを晴らすため、若頭と2人組の刺客を追う。刺客達は最強の格闘家、KAERUくん(三元雅芸)を呼ぶ。
膳場は耳から白い液を吹き出す謎の生物だったが、ヒットマンに父親を殺された少年が斧で膳場の頭をたたき割り、復讐を果たす。影山はKAERUくんと刺客の一人、狂犬(ヤヤン・ルヒアン)をタイマンで倒す。しかし、富士山の麓から巨大化したKAERUくんが出現。影山はバンパイアとして覚醒し、空に飛び立つのだった。

予備知識なく観たので、予想外の展開に唖然。リリー・フランキー、高島礼子、成海璃子、市原隼人と、本格的な俳優がずらりと並んでおり、絶対にシリアスな作品だと思ってみていたら、とんでもない作品だった。とんでもないならとんでもないなりに面白ければ問題ないのだが、高島礼子の謎っぷりは最後まで意味が分からず、なるとを手に持ったまま、何の反撃もせずに倒されるし、棺を担いだヒットマンも、得意技があるわけでもなく倒される。トンデモ映画だからと言って、無意味なドタバタでは面白さも半減。クライマックスのはずの狂犬とのタイマンの殴り合いも、何のひねりもなく、「そろそろ終わんないかな」という感じだった。
でも、市原隼人の演技が無駄にしっかりしているのには感心した。

【5段階評価】2

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2017年10月11日 (水)

(1617) オール・ザ・キングスメン

【監督】スティーブン・ザイリアン
【出演】ジュード・ロウ、ショーン・ペン、アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレット
【制作】2006年、アメリカ

公務員から州知事になった男とその関係者たちの運命を描いた作品。第22回アカデミー賞作品賞受賞作品。

ルイジアナ州メーソン市の役人だったウィリー・スターク(ショーン・ペン)は、誠実な男で、学校建設の不正を暴こうとするも失職。ウィリーにタイニー・ダフィ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)が近づき、州知事への立候補を勧める。新聞記者のジャック・バーデンもウィリーを応援するようになる。ダフィは実は対立候補のスタッフで、ライバル票を割れさせるための当て馬としてウィリーに立候補を勧めていた。それを知ったウィリーはむしろ奮起し、ダフィをやり玉にして貧しい者のために州知事になると熱い演説を開始。見事、州知事となる。
ウィリーは貧しい者の味方となるが、大企業には重税を課そうとするなど、上流階級にとっては目の上のたんこぶだった。ウィリーは弾劾されることになる。焦ったウィリーは判事のアーウィン(アンソニー・ホプキンス)に自分の味方になるよう持ちかけるが拒絶される。ウィリーはジャックに、アーウィンの汚点を探すよう指示。ジャックにとって、アーウィンは育ての親だった。ジャックは苦悩するが、やがてアーウィンに職を追いやられて自殺した判事がいたという事実を掴む。ジャックはアーウィンに、自殺した判事が妹宛てに出した手紙を突きつけるが、アーウィンはこんなものは何の証拠にもならないと取り合わない。
ウィリーは病院を建設して元知事の息子、アダム・スタントン(マーク・ラファロ)を院長に担ぎ上げる。アダムはジャックの古くからの友人。アダムの妹のアン(ケイト・ウィンスレット)とジャックはかつて恋人同士だったが、二人は一線を越えずに別れていた。広報官のセイディ・バーク(パトリシア・クラークソン)から、アンがウィリーと肉体関係を持ったと知らされる。その見返りに、アンの兄アダムが病院の院長になったのだ、と。ジャックはアンを責めるが、アンもまた、自分を救わなかったジャックをなじる。
そして弾劾評決の日。からくもウィリーは罷免を逃れる。反対派に向かって自信満々に皮肉を言うウィリーのもとに、銃を持ったアダムが忍び寄る。自分が利用されていたことを恨んだ彼は、ウィリーに至近距離から銃弾を浴びせて殺害。アダムはボディガードのシュガーボーイ(ジャッキー・アール・ヘイリー)に射殺される。後任にはダフィが付くのだった。

ストーリーがやや難解だった。ウィリーが州知事に就くまでは分かるのだが、その後に何が起きているのかがよく分からない。ウィリーが汚職に手を染めるようになるという解説もあるのだが、あまりあからさまではない。ジャックと関係のあるアーウィンやアン、アダムとの間の感情も今ひとつ伝わってこなかった。配役は豪華なので、がっかりした。

【5段階評価】2

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2017年10月10日 (火)

(1616) アイデンティティー

【監督】ジェームズ・マンゴールド
【出演】ジョン・キューザック、レイ・リオッタ、アマンダ・ピート、ブレット・ローア
【制作】2003年、アメリカ

モーテルで起きる連続殺人の謎を追うサスペンス映画。

大嵐の夜、モーテルにけがした女性が運び込まれる。ヨーク一家は3人でドライブ中、タイヤがパンク。父親のジョージ(ジョン・C・マッギンリー)がタイヤ交換をし、母親のアリス(レイラ・ケンズル)が傘を持ってそれを見守っていると、息子のティミー(ブレット・ローア)の目の前で、アリスが車に跳ね飛ばされる。アリスをはねた車を運転していたのはエド(ジョン・キューザック)。落ち目の女優、カロライン(レベッカ・デモーネイ)に雇われていた。エドは車をおり、アリスの容態を確認。二台の車でモーテルに向かう。モーテルの主人、ラリー(ジョン・ホークス)が対応するが、電話はつながらず、救急道具もろくになかった。エドはいやがるカロラインをモーテルに残し、50km先にあるという病院を目指す。エドは途中で、故障した車で立ち往生していた娼婦のパリス(アマンダ・ピート)を拾う。ところが道路は嵐で崩れており、先に進めなかった。エドの車は崩壊した道路に突っ込んでしまう。そこに車に乗った男女、ジニー(クレア・デュバル)とルー(ウィリアム・リー・スロット)が現れる。エドとパリスはジニーの車でモーテルに戻る。さらに、モーテルに警察車両が乗り付けられ、凶悪犯のロバート・メイン(ジェイク・ビジー)を護送中のロード(レイ・リオッタ)が宿を求める。ロードはロバートをトイレの給水管に手錠でつなげる。こうして、モーテルに11人が集う。
女優のカロラインは、携帯に一瞬つながった電波を頼りに雨の中、外に出る。物音がして振り返った直後、何者かに襲われる。エドはモーテルにあった針と糸でなんとかアリスの裂傷を縫い付ける。不審な物音に気づいて外に出たエドは、洗濯機のドラムの中にカロラインの首が転がっているのを発見。そこには「10」の番号の付いた鍵があった。給水管につながれていたロバートはパイプを取り外して姿を消していた。ジニーはおびえて部屋に戻り、モーテルを出ようとする。それを止めるルーと口論となり、ジニーはトイレに逃げ込み、鍵をかける。ルーは扉を開けろと叫ぶが、それが急にやむ。恐る恐る外に出たジニーは、ナイフを持った何者かに気づき、慌ててトイレに逃げ込んで鍵をかけると、窓から外に逃げ出す。それに気づいたエドとロードが部屋に入ると、そこには血まみれになったルーの死体があり、手には「9」の鍵が握られていた。
エドとロードはロバートを探すが見つからない。ロバートは雨の中、モーテルから逃げ出していた。その先の明かりを目指したロバートだったが、たどり着いたのはもとのモーテルだった。ロバートに気づいたロードとエドがロバートを取り押さえ、柱にくくりつける。ラリーが監視役をさせられる。ところが、ロバートは口の中にラリーの持っていたバットが突っ込まれ、絶命していた。足下には「8」の鍵。ロードはラリーを犯人だと決めつけるが、ラリーはパリスを人質にとって逃げようとする。パリスはラリーを冷凍庫に激突させる。すると、中から凍り付けになった死体が転がり出てくる。ラリーは車でモーテルから逃げようとする。ラリーはティミーを跳ね飛ばしそうになり、助けようとしたジョージが車に轢かれて即死する。ラリーは持ち金がなく、たどり着いたモーテルの主人が死んでいたので代わりにモーテルの主人をすることになったと説明するが、ロードは殺人犯はラリーだと主張する。エドはアリスを確認する。いつの間にかアリスは絶命していた。そして遺体の下から「6」の鍵が出てくる。エドとロード、パリスは協力してジョージの遺体を確認。遺体のポケットから「7」の鍵が出てくる。エドは、ジニーとパリスに、ティミーを連れてモーテルから離れるよう指示。ところが、彼らの乗ろうとした車は大爆発を起こす。ラリーが消火器で火を消すが、中には誰もいなかった。エドとロード、パリスは、ジョージの遺体もなくなっていることに気づく。アリスの遺体も、ルーの遺体や壁の血痕、そしてランドリーの首も消失していた。パリスは「降参よ」と叫ぶ。
一方、雨の中で死刑囚の最後の審議が行われようとしていた。殺人犯のマルコム・リバース(プルイット・テイラー・ビンス)は肉体的には殺人者であったが、幼い頃の事件がもとで多重人格者となっており、エドはそのうちの一人だったのだ。医師により、多くの人格が一堂に会し、殺人者の人格を消滅させようという試みだった。モーテルはマルコムが生み出した心理的な空間だったのだ。
パリスはロードの乗っていた車の中を調べると、犯罪者の調書が出てきた。調書は二つあり、一つはロバートのもの。そしてもう一つは、ロードのものだった。ロードは護送中に運転手を殺害。運転手の服に着替えてモーテルに着ていたのだ。パリスはエドを探すが、ロードに見つかってしまう。そこにラリーが現れ、消火器でロードに殴りかかり、パリスを助けようとするが、ロードに撃ち殺されてしまう。逃げ惑うパリスを見つけたエドが彼女をなだめ、拳銃を持ってロードの対峙。エドはロードに撃たれながらもロードにとどめを刺し、彼自身も息を引き取る。
マルコムの中にはパリスの人格が残った。医師のマリック(アルフレッド・モリーナ)は、マルコムは肉体的には殺人者だが、人格としての殺人者はいなくなったと宣言。マルコムの死刑は正式に取り消される。
パリスは夢だったオレンジ園の経営を始めていた。彼女がオレンジの木の根元を掘ると、そこから「1」の鍵が出てくる。驚愕する彼女の目の前に現れたのは、ティミーだった。そう、彼こそがマルコムの中に眠る殺人者の人格だったのだ。
マルコムの中のパリスの人格は消され、ティミーの人格が残った。マルコムを乗せた車の助手席にいたマリックは、後部席のマルコムの異変に気づいて振り返るが、マルコムはマリックと運転手に襲いかかる。マルコムの乗った車は荒野の中、路肩で停止するのだった。

普通の連続殺人事件かと思いきや、一気に超常現象的ホラーの可能性を見せつつ、最後は見事なサイコサスペンスとして結末を迎える。爆発を起こす車から不気味に立ち去るティミーの映像は若干コミカルだったが、ハラハラドキドキ感があり、見応えのある作品だった。ただ、想像の世界ということであれば、子供が大人を殺そうが何をしようが、何でもありなので、なぞ解きという意味では、ややルール違反と感じた。
今回はWOWOWの無料放送で、吹き替えのみだったのだが、できればオリジナル音声で観たかった。

【5段階評価】4

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2017年10月 9日 (月)

(1615) こっくりさん 劇場版 新都市伝説

【監督】仁同正明
【出演】鈴木まりや、替地桃子、鳥飼ゆかり、MASA、神定まお、小西成弥
【制作】2014年、日本

降霊術、こっくりさんをテーマにしたホラー作品。

恋人のいない咲(替地桃子)に彼氏をつくってやろうと、同級生のギャル、恵子(鳥飼ゆかり)と栄子(MASA)が、エンジェル様という遊びで片思いの吉川(小西成弥)に告白させようとする。咲の友人のマリ(鈴木まりや)も加わり、4人でエンジェル様をするが、本当になにかが降臨してしまう。栄子は部屋で出火、恵子は自転車で柱に激突。咲も車に轢かれてしまう。
家で一人おびえるマリ。ドアを開けようと執拗にガチャガチャと鳴らし続けられ、携帯には「オマエノバンダ」というメールが。マリはクラスメートのユナ(神定まお)の家に逃げ込み、助けを求める。オカルト好きでこれまで馬鹿にされてきたユナはマリに土下座をさせながらも、こっくりさんを降霊し、自分に憑依させてエンジェル様を倒すという。しかし、試みは失敗し、マリに持たせた包丁でユナは刺し殺されてしまう。
放心したように外に出たマリは、血まみれで倒れている吉川を発見。自分もその場に崩れ落ちてしまうのだった。

作品を観るときに気をつけているのは、「これって映画? Vシネ? TV特番? 」ということ。本作は「劇場版」と付いているので映画だと信じて見始めたが、開始1分で「これ本当に映画なんだよね」とググり直した。
最後まで観たが、終始一貫して低質だった。時々何かが乗り移ったようなくぐもった声になるのだが、何を言っているのかほとんど分からない。脚本も練られていない。落ちも意味が分からない。ミニスカ女子高生が多く出るということで評価1にはしなかったが、病院のシーンはとくにひどかった。どう見ても雑居ビルの廊下。病室は会議スペース。こんなところで本気の芝居をさせられるタレント達に頭が下がる。

【5段階評価】2

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2017年10月 8日 (日)

(1614) ドラゴン・コップス -微笑み(ほほえみ)捜査線-

【監督】ワン・ジーミン
【出演】ウェン・ジャン、ミシェル・チェン、ジェット・リー、リウ・シーシー、リウ・イエン
【制作】2014年、中国

連続不審死事件の謎を追う刑事の活躍を描いた作品。

若い男性が笑顔を浮かべたまま死ぬという連続不審死事件が発生。刑事のワン・プーアル(ウェン・ジャン)と若い女性だが上司のアンジェラ(ミシェル・チェン)が事件を追う。ベテラン刑事のフェイホン(ジェット・リー)は職場で株取引にうつつを抜かすようなキャラだが、ここぞというときには見事なカンフーを披露する。
死んだ男性は、共通して女優のチンシュイ(リウ・シーシー)と付き合い、やがてその姉のタイ・イーイー(リウ・イエン)に鞍替えしていた。保険外交員だったタイは死んだ男性に保険をかけており、彼女が犯人かと思われた。プーアルはチンシュイと見せかけの婚約をし、犯人をおびき出す。そこに現れたのはチンシュイのいとこ、リウ・チュン(スティーブン・フォン)だった。彼は吹き矢でプーアルに挑みかかるが、プーアルが取り押さえる。事件は落着したかに思われたが、真相は違った。真犯人は全身麻痺で寝たきりになっているおじのリウ・シン(ブルース・リャン)だった。寝たきりというのは嘘だった。彼はかつて、チンシュイの父と二人で窃盗団をしており、チンシュイが30歳まで結婚をしなければ盗んだ宝石が手に入るため、チンシュイの婚約相手を暗殺していたのだった。フェイホンが拳法の使い手リウ・シンを倒し、プーアルがとどめを刺す。事件が落着し、チンシュイはプーアルに彼氏になってほしいと告白するが、チンシュイはタイ・イーイーに夢中なのだった。

ジェット・リーのアクションもそこそこはあるのだが、ワイヤーアクション中心で、生身の格闘の面白さはあまりない。全体的にはコメディ作品。後半、一応、どんでん返しの推理モノのような展開もあり、工夫はしているが、馬鹿馬鹿しい映画を面白いと思うか退屈と思うかで、本作の評価は分かれるだろう。プーアルの上司役で実はプーアルの告白を待っているアンジェラを演じたミシェル・チェンの健康的なかわいさが作品に花を添えていた。

【5段階評価】2

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2017年10月 7日 (土)

(1613) 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

【監督】スタンリー・キューブリック
【出演】ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン
【制作】1963年、イギリス、アメリカ

核爆弾の投下を巡る軍の混乱を描いた作品。

米軍のリッパー将軍(スターリング・ヘイドン)が、ソ連に核爆弾を投下するR作戦の実施を指示。英軍のマンドレイク大佐(ピーター・セラーズ)は作戦を停止しようとするが、リッパー将軍の部屋に閉じ込められてしまう。
マフリー大統領(ピーター・セラーズ)は作戦室でタージドソン将軍(ジョージ・C・スコット)と激論を交わす。大統領はソ連に電話をして爆撃機を打ち落とすよう依頼するが、横にいたソ連大使が、爆撃を受けると人類が絶滅する「絶滅装置」が起動すると告げる。爆撃機を戻すには3文字の暗号が必要だが、それを知るリッパー将軍は自殺。ソ連は爆撃機を撃墜するが1機だけ残ってしまい、その機が爆弾を投下。兵器開発局長のストレンジラブ博士(ピーター・セラーズ)は、地下で暮らせば反映できると主張するが、地上では破滅的な爆発が起きているのだった。

ブラックコメディの名作とされる本作だったが、ほとんど意味が分からなかった。一度観て、あらすじをネットで読んで、もう一度観て、話の意味は分かった。しかし、面白さは分からなかった。残念。

【5段階評価】2

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2017年10月 6日 (金)

(1612) ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊

【監督】ジョージ・ミラー
【出演】イライジャ・ウッド(声)、ロビン・ウィリアムズ(声)、ハンク・アザリア(声)
【制作】2011年、オーストラリア、アメリカ

音楽好きのペンギンたちを描いた3DCGアニメ。「ハッピーフィート」の続編。

南極の氷が割れ、ペンギンの国が氷山に囲まれてしまう。コウテイペンギンのマンブル(イライジャ・ウッド)は息子のエリック(エイバ・エイカーズ)と冒険に出て、仲間になったゾウアザラシのブライアン(リチャード・カーター)とともにダンスの力で氷山を割り、ペンギンの帝国に平和が訪れる。

ペンギンたちに迫る危機の意味がよく分からない。また、オキアミのウィル(ブラッド・ピット)とビル(マット・デイモン)の役割もよく分からない。リアルな動物のCGと懐かしい音楽はいいのだが、肝心のストーリーがよく分からないので、退屈この上なかった。

【5段階評価】2

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2017年10月 5日 (木)

(1611) ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密

【監督】ショーン・レビィ
【出演】ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、スカイラー・ギソンド、レベル・ウィルソン
【制作】2014年、アメリカ

展示物が動き出す博物館の夜間警備員の活躍を描いた作品。「ナイトミュージアム」シリーズ第3弾。

黄金の石版の力で展示物が動き出す自然史博物館。その警備員のラリー(ベン・スティラー)は、大学受験をやめて1年間ゆっくりしたいと言う息子のニッキーに悩んでいた。そんな中、魔法の石版が緑に変色し、展示物がおかしな行動を取るようになってしまう。ラリーは石版の謎を追うため、息子とともに大英博物館に向かう。女性警備員のティリー(レベル・ウィルソン)に中に入れてもらった二人は、自然史博物館の展示物であるアクメンラー(ラミ・マレック)の両親を探す。両親はエジプトコーナーにおり、オクタビウスは喜ぶ。ラリーはアクメンラーの父、マレンカレ(ベン・キングズレー)に石版の秘密を尋ね、月の光に当てれば魔力が回復することを知る。ところが、彼らを助けてくれた大英博物館の甲冑の騎士、ランスロット(ダン・スティーブンス)は、それを自分の探し求めていた聖杯だと勘違いし、奪い取って博物館を飛び出してしまう。ラリーはそれを追いかけ、誤解を解くと、石版に月光を浴びせる。魔力が溶けかけていた仲間達は復活する。
3年後、ラリーは大学の教員となり、秘密の石版は元館長のマクフィー博士(リッキー・ジャーベイス)に受け継がれる。博物館に賑やかな夜が訪れるのだった。

3作目は、ストーリー上のハラハラドキドキはあまりなく、動く展示物の映像の面白さを楽しむ作品だった。小さいジェデダイア・スミス(オーウェン・ウィルソン)とオクタビウス(スティーブ・クーガン)は逃げ回っているだけで役に立っていないし、ゲスト出演のヒュー・ジャックマンとアリス・イブもやはり役に立っていない。ラリーの息子もやはり、大して役に立っていない。一番の目玉はエッシャーのだまし絵に紛れ込んだシーンだったかもしれない。

 

【5段階評価】3

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2017年10月 4日 (水)

(1610) チャイナタウン

【監督】ロマン・ポランスキー
【出演】ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ノア・クロス
【制作】1974年、アメリカ

カリフォルニアのダム建設を巡って起きた事件を追う私立探偵の活躍を描いた作品。

ギテス(ジャック・ニコルソン)はロサンゼルスのベテラン私立探偵。なじみのカーリー(バート・ヤング)の妻の浮気調査を片付けた彼のもとに、水道局長のホリス・モウレー(ダレル・ツワーリング)の妻を名乗る女性(ダイアン・ラッド)が現れ、ホリスの浮気捜査を依頼する。ホリスは農民の求めるダム建設に反対している人物。ギテスはモウレーを尾行。モウレーはひからびた川で、白馬に乗った地元の少年と話し、地図上で何かを確認すると、海辺に向かう。夜になり、ギテスは崖の上からモウレーの様子を監視。すると突然、崖の上にあるパイプから大量の水が流れ出し、海に流れ込む。海辺にいるモウレーは、それを確認しているようだった。
車に戻ったギテスは、車のダッシュボードの中にしまった大量の懐中時計の一つを取り出し、止まっている車のタイヤの下に置く。時計が踏まれて動かなくなった時刻が、車の動き出した時間というわけだ。ホリスは夜中の2時頃まで動き回っていたようだ。同僚のウォルシュ(ジョー・マンテル)は、ホリスが杖を持った老人と口論している様子を写真に収めていた。二人は口論中に「アップル・コア(リンゴの芯)」と言っていたという。そこに、外で張り込み中のダフィー(ブスース・グローバー)から連絡が入る。合流したギテスは、ホリスが若い女性(ベリンダ・パルマー)と親しそうに公園の池のボートに乗っている場面を写真に収める。二人はマコンド・アパートでも親しそうに抱き合う。ギテスはそれも写真に撮る。
翌日、その写真は新聞に載る。ギテスは散髪屋でそれを知る。隣の客が記事を罵倒。ギテスはその客に激高する。ギテスは写真が新聞に載ることを知らなかったのだ。事務所に戻ったギテスのもとに、ホリスの妻、イブリン・モウレー(フェイ・ダナウェイ)が弁護士とともに現れる。最初の女性依頼者は偽物だったのだ。弁護士はギテスに告訴状を渡す。
ギテスはホリスのオフィスを訪ねるが、ホリスは不在。受付嬢の言葉を無視してホリスの執務室に入ったギテスは、机の引き出しを捜索。特にめぼしいものはなかったが、大きな図面に「オーク・パス貯水池 火曜夜 7水路使用」という走り書きがあるのを発見する。そこに副局長のイェルバートン(ジョン・ヒラーマン)が現れ、ギテスは副局長室に通される。副局長によれば、ホリスは火遊びをするような男ではないとのこと。ギテスは副局長の名刺を何枚かくすねて部屋を出る。エレベータホールに向かうと、ギテスの知り合い、クロード・マルビヒル(ロイ・ジェンソン)がいた。ギテスは彼が気にくわないようで、保安官時代に密造酒の輸入にからんでいたと彼の過去をからかって副局長に紹介し、立ち去る。
ギテスはホリスに会いにモウレー宅に向かう。執事のカーン(ジェームズ・ホン)に待たされている間、庭に出たギテスは、池の中に何か光るものがあるのを見つける。それをとろうとしたところにイブリンが現れ、夫は不在だと言う。ギテスは自分ははめられたと告げると、イブリンは深追いしてほしくないのか、あっさりと告訴を取り下げる。ギテスは二人が行方不明と、誰がホリス夫人を騙ったのかの謎を追うと宣言。夫人は朝から乗馬をしており、この日は夫に会っていなかった。
ギテスは副局長の名刺を使ってオーク・パス貯水池に入り込む。そこには警察のローチ(リチャード・バカリアン)とルー・エスコバル(ペリー・ロペス)がいた。ギテスが、ホリスに話を聞きに来たと目的を言うと、ルーはホリスはあそこにいると告げる。ホリスは遺体となって水中から引き上げられているところだった。警察署に戻ったルーはイブリンに事情を尋ねる。イブリンは、ルーに、ギテスに調査をさせていたのだろうと聞かれると、なぜかそれを否定しない。ギテスはうまくイブリンに話を合わせ、その場を去る。イブリンは感謝し、小切手を送ると言って車で走り去る。まるで口止め料のようで、ギテスは不可解さを感じる。遺体安置所に戻ったギテスは、ホリスの遺体が傷だらけであることを確認。さらに、排水管で暮らしていたリロイ・シュハートという男がロサンゼルス川のホーレンベック橋の下で溺死体で発見されたという情報を得る。そこは、ホリスが白馬の少年と話していた場所だった。ギテスは少年に話しかけ、ホリスが少年に水がいつ来るかを尋ね、少年は毎晩違う場所に流れ込むと答えたことを知る。
ギテスは深夜のオーク・パス貯水池を再度捜索。突然の放水で水浸しになり、這々の体で立ち去ろうとすると、クロードとナイフを持った小柄な男(ロマン・ポランスキー)に呼び止められる。マルビヒルがギテスの腹を殴って体を押さえつけ、小男はギテスの鼻の穴にナイフを突っ込み、それを跳ね上げて片方の鼻を切る。これ以上嗅ぎ回るな、という脅しに、ギテスは分かったと答えるしかなかった。
しかし事務所に戻った彼は、黒幕を明かそうと意気込む。その彼のもとに、モウレー夫人を騙ったアイダ・セッションズ(ダイアン・ラッド)から電話が入る。彼女はホリスの死亡に驚いており、依頼主や住所は教えなかったが、新聞の死亡記事に一人載っていると告げる。ギテスは記事を切り取り、保管。彼はイブリンに会い、情報を引き出そうとするが、彼女は何も語ろうとしない。ギテスは封筒にあったイニシャルのCは何かと尋ねる。イブリンは旧姓がクロスだったと答えるが、それ以上は何も話さないのだった。ギテスはイブリンに、ホリスは貯水池の水が抜かれていることを知ったために殺されたのだ、とイブリンに告げてその場を後にする。イブリンは思わずギテスを呼び止めるが、ギテスはそれに気づかず車で走り去る。
再度、水道局に向かったギテスは、受付の壁にノア・クロス(ジョン・ヒューストン)という杖をついた男の写真が数多く飾られているのを見つける。受付嬢によれば、かつて、ノア・クロスとホリス・モウレーは、市の給水権を握る水道の共同所有者で、ホリスが水道を公共所有にしたのだという。モウレーは局長となったイェルバートンに会い、彼がアイダを使ってホリスをはめたのだろうという推理を展開する。イェルバートンはそれを否定し、オレンジ畑の灌漑のために多少の漏出はあると説明する。
ギテスが事務所に戻ると、イブリンが待っていた。イブリンは主人の死と関係者の調査をギテスに依頼する。ギテスが、イブリンの父はノア・クロスだと告げるとイブリンは動揺し、吸いさしのたばこがあるのに新しいたばこに火をつけてしまう。イブリンは父とホリスが仲違いしていたと説明する。
ギテスはノア・クロスに面会。ギテスはホリスが殺されたのではという仮説を披露するが、ノアは否定。ノアはギテスから事件の捜査主任がルーであることやルーの性格を聞いたあと、夫を失った娘につけ込まないでほしいと言って、イブリンの依頼を中止してほしいと告げる。ノアは、倍の報酬と1万ドルのボーナスでホリスの愛人を探すよう依頼。ギテスはそれには答えず、ホリスに最後に会ったのはいつかノアに尋ねる。覚えていないと答えるノアに、5日前にパブで口論していただろう、写真があるとギテスは告げる。ギテスに背を向けたノアの顔から笑みが消える。ギテスは口論の原因を聞き出し、ノアがしぶしぶ娘の夫の浮気の件だと告げるのを聞くと、ノアの依頼に応じることを決める。
ギテスは登記所を訪ねる。オレンジ畑のある谷の土地は、大半が売買されていた。ギテスは係員から定規を借りると、咳払いで大声を出しながら、所有者の名前のリストをこっそり破りとる。ギテスはオレンジ園を見に行くが、突然、農民に襲撃される。農民たちはギテスが水道局の手先か不動産業者ではないかと疑っていた。農民によれば、オレンジ園は灌漑どころか、貯水槽を爆破され、井戸には毒を入れられたというのだ。ギテスは農民に殴られ、気絶する。目が覚めると、目の前にイブリンがいた。農民が呼んだのだった。ギテスはイブリンの車の中で推理を展開。ホリスが建設に反対していたダムは、オレンジ畑のある谷に水を供給するためのもので、谷の土地が大量に買い占められていること、ホリスはそれを知って殺されたのだということ。土地所有者の名前を改めて確認したギテスは、それが死亡記事に載っている死亡者の名前であることに気づく。ギテスとイブリンは記事を頼りにマル・ビスタ介護施設に向かう。そこには、記事に名前の載っている老人が入居していた。ホームはノア・クロスの息のかかったアルバコア・クラブの関連施設だった。そこにクロードが現れる。ギテスはクロードに不意打ちを食らわせ、施設から逃走する。ギテスとイブリンはモウレー邸に戻る。警察時代、ギテスはチャイナタウンを担当していたことをイブリンに話す。二人はその夜、結ばれる。
ベッドで二人が語らっていると、電話が鳴る。電話に出たイブリンは、理由を告げずに家を出る。不審に思ったギテスは車で尾行。イブリンの向かった家にいたのは、モウレー家の執事カーンと、ホリスの愛人とされていた女性だった。ギテスはイブリンの車で待ち伏せ、イブリンから話を聞き出す。イブリンは女は自分の妹だと説明する。
一人で自宅に戻り、ベッドで横になったギテスのもとに、電話が入る。声の主は男で、アイダが会いたがっていると告げる。ギテスが事務所で会うと言って電話を切るとまた電話が鳴り、彼女の住所をギテスに教え、会いに行けと告げる。翌朝、ギテスがその住所に向かう。ギテスが家の中を調べると、殺されたアイダを発見。そこには先客がいた。ルーとローチだった。ルーは、アイダの依頼を受けてホリスを尾行していたギテスが、ホリス殺害の犯行現場を撮影しており、犯人はイブリンではないかと邪推。ホリスの肺から海水が検出されたのだ。ギテスはそれを否定し、二人を夜中に海に排水が流されていた現場に連れて行くが、ルーは納得せず、2時間以内にイブリンを署に連れてこなければ証拠隠蔽でギテスを逮捕すると脅す。
ギテスはモウレー家に向かうが、イブリンはいなかった。ギテスが庭に出ると、庭師が海水は芝に悪いとギテスに話しかける。ギテスは改めて池に沈んでいた光るものを拾い上げる。それは割れためがねだった。ギテスはめがねを携えて、イブリンが女を軟禁してた家に向かう。ギテスはイブリンの目の前でルーに電話をし、イブリンの居場所を伝えると、イブリンにめがねを見せて推理を披露する。イブリンは、夫の浮気への嫉妬心からホリスを問い詰め、ホリスは庭で事故死。それを愛人に見られたため、金の力で口を封じていたのだろうと。イブリンは否定し、本当のことを言うとギテスに告げる。ギテスが女の名を尋ねると、イブリンは、女の名はキャサリンで、自分の娘だと答える。ギテスはイブリンを平手打ちし、真実を話せ、と詰め寄る。イブリンは今度は自分の妹だと答える。ギテスはまたも平手打ち。イブリンは錯乱したように「私の娘、私の妹・・・」と繰り返す。ギテスはイブリンを突き飛ばす。しかし、イブリンの言葉は真実だった。キャサリンは、イブリンと、彼女の父親ノアとの間に生まれた子だったのだ。ギテスがレイプだったのかと尋ねると、イブリンはわずかに首を横に振る。それはレイプよりも残酷な状況を物語っていた。15歳だったイブリンは父の元から逃げ、メキシコに向かう。彼女の世話をしたのがホリスで、彼がキャサリンを育てていたのだ。ギブスはイブリンに、キャサリンを連れてカーンの家に行くよう指示。イブリンは、割れためがねは遠近両用だからホリスのものではない、とギテスに教える。逮捕されることを覚悟したギテスは、事務所のウォルシュに電話を入れ、何かあったらカーンの家に向かえ、と住所を告げる。カーンの家があるのはチャイナタウンだった。
ほどなく現れたルーとローチは、ギテスを車に乗せてカーンの家に向かうよう指示するが、ギテスは二人を騙してカーリーの家に向かうと、一人でカーリーの家に入って裏口からカーリーとともに車で脱出し、モウレー邸に向かう。カーリーはギテスに依頼され、イブリンの荷物を車で運び出す。モウレー邸に残ったギテスは、愛人が見つかったとノアに電話を入れる。しばらくしてノアがモウレー邸に現れ、ギテスに女の居場所を尋ねる。ギテスは母親のもとにいると答え、ノアの回答を待たずに見せたいものがあると言って死亡記事の切り抜きをノアに手渡すと、ホリスを殺しましたね、と言って割れためがねを見せる。それはノアのめがねだった。ノアは、未来のために金を増やそうと谷に水を引こうとしていた、と動機を語ると、護衛のクロードに証拠のめがねを受け取らせ、ギテスを車に乗せてキャサリンの居場所に向かう。そこにはギテスの同僚二人だけでなく、ルーとローチも現れる。ルーはギテスを逮捕。ノアに殺されると予感していたギテスは逮捕を喜び、ルーに真相を説明しようとするが、ルーは聞く耳を持たない。そこにキャサリンを連れたイブリンが現れる。ノアはキャサリンに近寄るが、イブリンはノアを追い払おうと拳銃をノアに突きつけ、ノアに発砲。ノアは腕を負傷する。ルーの威嚇射撃を伴う制止の声も聞かず、イブリンはキャサリンを乗せて車を走らせるが、ローチが車に発砲。突如、クラクションが鳴り響き、車は停止。次いで女性の悲鳴。駆けつけたギテスが運転席のドアを開けると、血まみれになったイブリンが仰向けに転がり出る。彼女は後頭部から左目を撃ち抜かれていた。半狂乱になって泣き叫ぶキャサリンを、ノアが後ろから抱きかかえて連れ去る。ルーはギテスを追い返す。納得のいかないギテスだったが、ウォルシュは「チャイナタウンだ」とギテスを諭し、彼を連れて現場から立ち去る。そう、かつての警官時代と同様、チャイナタウンで起きたことに対して、彼らは傍観することしかできないのだった。

脚本に定評のある本作。チャイナタウンのあらすじを読みたい人のためにも、詳しく書いてみた。ただ、個人的にはあまり面白い作品だと思うことができなかった。
キャサリンの正体が明かされる瞬間が最も興奮する瞬間のはずなのだが、シナリオが練られすぎていて、逆に感動できなかったのかもしれない。あらすじを追うために二度観たので、ようやく少し面白さを感じ始めた。
イブリンがギテスのオフィスで父親のノアのことを話すとき、「my...my father(私の・・・私の父)」と少し言いよどむシーンがある。これは、ノアが父でもありながら、自分の子をはらませた男でもあることを一瞬考えたからであるようで、二度観ないと気づかない細かい演技だった。

【5段階評価】3

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2017年10月 3日 (火)

(1609) グエムル 漢江の怪物

【監督】ポン・ジュノ
【出演】ソン・ガンホ、コ・アソン、ペ・ドゥナ、パク・ヘイル、ピョン・ヒボン
【制作】2006年、韓国

汚染物質が原因で生まれた怪物にさらわれた少女を救おうとする家族の戦いぶりを描いた作品。

大量の有毒な薬品が漢江に流され、巨大な両生類のような怪物が発生。河川敷で売店をしているパク一家の中学生の少女、ヒョンソ(コ・アソン)が怪物にさらわれ、飲み込まれてしまう。
ヒョンソは死んだと思われたが、ヒョンソの父親、カンドゥ(ソン・ガンホ)にヒョンソからの電話が入る。ヒョンソは死んでおらず、怪物によって下水溝の中に放り込まれていた。
カンドゥは娘を探そうとするが、怪物と戦ったことで保菌者扱いされ、病院に隔離されていた。カンドゥは父親のヒボン(ピョン・ヒボン)、弟のナミル(パク・ヘイル)、妹のナムジュ(ペ・ドゥナ)とともに病院を脱走。ヒョンソを探し出そうとするが、ヒボンは怪物によって地面にたたきつけられて死亡。カンドゥは関係者に見つかり、また病院に戻される。ナミルは学生運動の経験から火炎瓶を作り、ナムジュはアーチェリー選手であることを生かして、それぞれ別々に怪物を追う。
カンドゥは娘が生きていると訴え続けるが、ウィルスが原因で妄想に取り憑かれていると診断され、話を信じてもらえない。カンドゥは隙を見て医療スタッフ一人を人質に取り、脱走。ついにカンドゥはグエムルの巣にたどり着くが、ヒョンソは脱出を失敗して怪物に飲み込まれていた。カンドゥは必死でそれを追いかけ、米軍の放った薬品によって弱った怪物の口の中からヒョンソと幼い少年を救い出す。ナミルが火炎瓶で怪物を追い、ナミルと行動を共にしていた浮浪者が怪物にガソリンを浴びせる。ナミルは最後の火炎瓶を投げつけようとするが、手が滑ってしまう。そこにナムジュが現れ、矢に火を付けて火箭にして怪物に放ち、怪物は炎上。川の中に逃げ込もうとする怪物の正面から、カンドゥが標識の鉄パイプを突き刺し、ついに怪物は絶命する。ヒョンソはナムジュに抱かれ、介抱されるが、息を吹き返す気配はない。怪物を倒したカンドゥは、倒れて動かない少年を介抱。身寄りのない少年と二人で暮らすのだった。

序盤、米科学者が韓国人の助手に、ほこりをかぶった毒薬の瓶の中身を川に流せと命令する。理由は「俺はホコリが嫌いだ」。この科学者がクレイジーなのか、何らかの策略があってなのかよく分からず、なんとも薬品を水道に流す理由がしょぼすぎるのだが、怪物が現れるまでのタイミングを早める意味ではよかった。「レリック」のように、怪物がなかなか全容を表さないのが、こうした怪物映画の定番だが、本作は序盤から全身をさらし、人々を襲う。実写とCGがよく融合していて、若干、怪物のテクスチャがテカテカしすぎなのを除けば違和感がない。米軍が登場して消毒薬を散布しまくったり、学生が消毒反対のデモを行ったり、危険地帯に浮浪者が住み続けていたり、と、現代社会を切り取るような描写があるのも、ただただ怪物との戦いだけを追うアクション映画ではない魅力がある。日本ではこけてしまった作品だが、十分面白かった。
疑問だったのが2点ほど。カンドゥは序盤、居眠りばかりしているのだが、中盤以降には、睡眠剤を打たれても効かずに医師が驚くというシーンがある。これを観るとやはりカンドゥの中でウィルスによって何かが覚醒したのかと思わせるのだが、結局ウィルス騒ぎはデマだったという。じゃあなんでカンドゥは寝なくなったのか。娘を救いたい執念だ、というだけでは説明が困難だ。
そしてラストシーン。ヒョンソは死んだのか、息を吹き返したのか。同時に、怪物を倒したカンドゥは、なぜ娘のもとに駆け寄らず、倒れた少年の方に歩いて行ったのか。ヒョンソは死んでしまったと観念したのか。そうは思えない。エンディングでカンドゥは、少年と二人で売店の中で暮らしている。売店に住めたらいいなと語っていた少年の夢が叶ったようで微笑ましいシーンだが、ヒョンソは壁に貼られた写真の中にいて、これが遺影なのか、別のところで暮らしているだけで存命なのかは、はっきりと描かれていない。ただ、ヒョンソが生きていてみんなで幸せに暮らしましたいうハッピーエンドより、こちらの方が、現実を超越して悪夢のように現れ、そして消えた怪物が、現実の世界に暗い影を落とし、爪痕を残したのだという余韻を感じさせているように思う。隠れた監督のファインプレーだろう。

【5段階評価】5

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2017年10月 2日 (月)

(1608) 怪談

【監督】小林正樹
【出演】三國連太郎、新玉三千代、仲代達矢、岸惠子、中村嘉津雄、志村喬
【制作】1964年、日本

小泉八雲の小説が原作の作品。4話のオムニバス形式。

「黒髪」 妻(新玉三千代)を捨てて裕福な女と結婚した男(三國連太郎)。妻を忘れられず家に戻るが、家はあばら屋となっていた。しかし、部屋に明かりが付いており、中には妻が。男は詫び、二人は一夜をともにする。目が覚めると、男の横には女の死体が。黒髪が男を追い回し、男は気が触れるのだった。
「雪女」 吹雪の中で、男(仲代達矢)は雪女に出会う。雪女は一人の男の命を奪うと、このことを誰にも言うな、言うと殺すと脅して立ち去る。やがて男は美しい女(岸惠子)と結婚し、3人の子供をもうける。男はつい雪女の思い出話を妻にするが、妻の正体は雪女だった。雪女は子供がいるからと男を赦す。男は自分の愚かな行いを悔いるのだった。
「耳無芳一の話」 盲目の琵琶奏者、芳一(中村嘉津雄)が、平家の落ち武者の霊に取り憑かれ、墓場で琵琶を演奏。芳一の住む寺の住職(志村喬)が、芳一の体に般若心経をくまなく書き、霊から芳一を守ろうとするが、耳に経文を書き忘れたため、武者は芳一の耳を引きちぎってしまうのだった。
「茶碗の中」 とある途中で終わっている小説の話。侍の関内(中村翫右衛門)が、茶碗の中に別の人間が映っていることに気づくが、それを飲み干してしまう。関内の屋敷に、茶碗に映っていた男(仲谷昇)が現れる。関内は男を切るが、男はそのまま壁の中に消えてしまう。その夜、男の家来3人が現れ、いずれ関内の恨みを果たすと宣言。関内は3人に斬ってかかるが、3人は一向に倒される気配がない。次第に関内は正気を失っていく。小説はここで終わっていた。これを書いた小説家の家に版元(中村鴈治郎)が尋ねると、おかみさんが水瓶の中を見て悲鳴を上げる。かめの中には、真っ白な顔をした作家が版元に手招きをしているようすが映っていた。

古い作品で時代設定も昔だが、メイクも含めて色彩が効果的に使われている。呪われると顔は青白くなり、空は怪しげな色に染まる。昭和から平成にかけての名優がずらりと顔をそろえているのも豪華な作品。怪談というおどろおどろしいタイトルだが、グロ映像や突然大音響で脅かすようなテイストはない。たとえば最初の「黒髪」。妻の元に戻った男が妻を抱きしめ、妻が男に顔をうずめる。それを観たらこちらは「あああ、女が顔を上げたら怖いことになってる怖いことになってるからぁああっ」っていうフラグが立ちまくるわけだが、そういう脅かし方はしていないのだ。恐怖映画はトラウマになるから観ない、という人でも観られるかなという作品。ただし、最後の「茶碗の中」のラストはちょっとトラウマになるかも。

【5段階評価】2

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2017年10月 1日 (日)

(1607) HiGH&LOW THE RED RAIN

【監督】山口雄大
【出演】斎藤工、登坂広臣、TAKAHIRO、吉本実憂、岩田剛典
【制作】2016年、日本

固い絆で結ばれた三兄弟の運命を描いた作品。

両親を殺された恨みを晴らすため、長男の雨宮尊龍(たける)(斎藤工)は、極悪非道の地上げ屋のボス、上園龍臣(石黒賢)に接近。次男の雅貴(TAKAHIRO)と三男の広斗(登坂広臣)は、尊龍と暮らしていた少女、成瀬愛華(吉本実憂)とともに尊龍を追う。
尊龍は廃工場に龍臣を呼び出し、復讐を果たそうとするが、銃撃戦の末、尊龍は死亡。雅貴と広斗は龍臣を追うのだった。

EXILE TRIBEのイケメンたちと実力派の俳優のコラボレーションということで、企画自体は豪華なんだが、内容はひどかった。敵の組織に潜入して、機会をうかがっていたはずなのに、大勢の護衛を付けた状態のボスに単身で挑みかかり、しかもそれが拳銃。傷一つ与えることもできず、滅多撃ちされて死亡。ビジュアル重視だとしても、あまりの無能さにあきれ果てる。かけつけた弟二人も、けんかにめちゃ強いという設定なのに、なすすべなし。雅貴に至っては肝心なときにおらず、何をしていたのかもよく分からない。SWORDを「スウォード」と発音するのも謎だった。ほぼ全く面白くなかったのだが、キャストは豪華なので評価1にはしなかった。

【5段階評価】2

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