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2017年10月24日 (火)

(1629) ロスト・イン・トランスレーション

【監督】ソフィア・コッポラ
【出演】ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョバンニ・リビシ
【制作】2003年、アメリカ

東京に一時的に滞在しているアメリカ人の俳優と若い女性との心の交流を描いた作品。東京が舞台になっている。

サントリーのウィスキーのCM作成のため、最近は映画出演がご無沙汰している俳優、ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)が来日。東京のホテルで関係者に手厚く迎えられるが、ホテルの部屋で孤独を持て余す。妻とのやりとりもギクシャクしていた。
同じホテルに滞在中のシャーロットは、結婚2年目(ジョバンニ・リビシ)。写真家の夫とともに来日したが、夫は仕事で飛び回っており、行く当てもなく町をさまよい歩いては、家族と電話で話して思わず涙を流してしまうのだった。
ホテルのエレベータで偶然乗り合わせた二人は、やがてホテルのバーで会話をするようになる。シャーロットの夫は泊まりの出張に出てしまい、シャーロットは友人との会う約束に、ハリスを連れて行く。眠らない街、東京で、ハリスはシャーロットとともに、クラブのダンスパーティやカラオケ屋などを転々とする。ハリスは寝てしまったシャーロットを抱えて彼女の部屋まで運ぶと、布団を掛けてそのまま部屋を後にする。
眠れないハリスは、シャーロットの部屋のドアの隙間から、誘いのレターを入れる。やはり眠れない状態だったシャーロットはそれに応じ、二人で古い映画を部屋で観る。その後、二人はともにベッドに横たわり、不安定な夫婦生活について話し合う。
ついにハリスの帰国の日が訪れる。帰りのハイヤーの中から、東京の繁華街を眺めるハリスの目に、シャーロットの後ろ姿が映る。車を止めさせ、それを追いかけるハリス。ハリスはシャーロットに何かをささやくと、二人は繁華街の路上で抱き合い、口づけをする。ハリスは吹っ切れたような笑顔でそのまま立ち去り、シャーロットも人混みの中に消えていくのだった。

慣れない大都会に放り込まれ、孤独を禁じ得ない二人の心が通じていくさまを描いている。孤独の描き方がうまい。会話が通じなくて途方に暮れるとか、誰ともふれあいがない、という描き方はしない。ハリスは、日本語でまくし立てるCMディレクター(ダイヤモンド☆ユカイ)や、全く英語を知らない患者に話しかけられる。シャーロットもゲームセンターで独特の熱中ぶりを見せるゲーマーを面白そうに見たり、生け花教室に入り込んで相手をしてもらう。そのような東京での暮らしを面白いと思いつつ、違う、と感じ、孤独に身をやつす。こんな二人ならずとも、異郷の旅先で同郷の者が出会えば仲良くなるのは必然。運命の出会いだなんだ、と言って、あっという間に男女の仲に発展するのもよくある話。ただ、ハリスはベッドの上に横たわるシャーロット(公開当時19歳のスカーレット・ヨハンソンですよ)に、極めて自制的に接する。抱きかかえたシャーロットをベッドに乗せ、ふとんをかけて、方に手を当ててそのまま立ち去るし、二人でベッドに横たわったときも、甘えたように横を向いてくの字になるシャーロットに指一本触れず、ようやく最後に足の甲に少し触れるだけ。この抑制的な描き方が、この作品を上品なものにしている。
日本人の人混みに紛れたスカーレット・ヨハンソンは、ハリウッド女優とは思えないほど目立たなくなる。身長が160cmほどなのだ。コミカルな顔つきの割に190cm近い高身長のビル・マーレイと対照的だ。
なお、ジョバンニ・リビシは、「プライベート・ライアン」で、中盤で戦死する衛生兵を好演した俳優。

【5段階評価】4

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