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2017年10月 3日 (火)

(1609) グエムル 漢江の怪物

【監督】ポン・ジュノ
【出演】ソン・ガンホ、コ・アソン、ペ・ドゥナ、パク・ヘイル、ピョン・ヒボン
【制作】2006年、韓国

汚染物質が原因で生まれた怪物にさらわれた少女を救おうとする家族の戦いぶりを描いた作品。

大量の有毒な薬品が漢江に流され、巨大な両生類のような怪物が発生。河川敷で売店をしているパク一家の中学生の少女、ヒョンソ(コ・アソン)が怪物にさらわれ、飲み込まれてしまう。
ヒョンソは死んだと思われたが、ヒョンソの父親、カンドゥ(ソン・ガンホ)にヒョンソからの電話が入る。ヒョンソは死んでおらず、怪物によって下水溝の中に放り込まれていた。
カンドゥは娘を探そうとするが、怪物と戦ったことで保菌者扱いされ、病院に隔離されていた。カンドゥは父親のヒボン(ピョン・ヒボン)、弟のナミル(パク・ヘイル)、妹のナムジュ(ペ・ドゥナ)とともに病院を脱走。ヒョンソを探し出そうとするが、ヒボンは怪物によって地面にたたきつけられて死亡。カンドゥは関係者に見つかり、また病院に戻される。ナミルは学生運動の経験から火炎瓶を作り、ナムジュはアーチェリー選手であることを生かして、それぞれ別々に怪物を追う。
カンドゥは娘が生きていると訴え続けるが、ウィルスが原因で妄想に取り憑かれていると診断され、話を信じてもらえない。カンドゥは隙を見て医療スタッフ一人を人質に取り、脱走。ついにカンドゥはグエムルの巣にたどり着くが、ヒョンソは脱出を失敗して怪物に飲み込まれていた。カンドゥは必死でそれを追いかけ、米軍の放った薬品によって弱った怪物の口の中からヒョンソと幼い少年を救い出す。ナミルが火炎瓶で怪物を追い、ナミルと行動を共にしていた浮浪者が怪物にガソリンを浴びせる。ナミルは最後の火炎瓶を投げつけようとするが、手が滑ってしまう。そこにナムジュが現れ、矢に火を付けて火箭にして怪物に放ち、怪物は炎上。川の中に逃げ込もうとする怪物の正面から、カンドゥが標識の鉄パイプを突き刺し、ついに怪物は絶命する。ヒョンソはナムジュに抱かれ、介抱されるが、息を吹き返す気配はない。怪物を倒したカンドゥは、倒れて動かない少年を介抱。身寄りのない少年と二人で暮らすのだった。

序盤、米科学者が韓国人の助手に、ほこりをかぶった毒薬の瓶の中身を川に流せと命令する。理由は「俺はホコリが嫌いだ」。この科学者がクレイジーなのか、何らかの策略があってなのかよく分からず、なんとも薬品を水道に流す理由がしょぼすぎるのだが、怪物が現れるまでのタイミングを早める意味ではよかった。「レリック」のように、怪物がなかなか全容を表さないのが、こうした怪物映画の定番だが、本作は序盤から全身をさらし、人々を襲う。実写とCGがよく融合していて、若干、怪物のテクスチャがテカテカしすぎなのを除けば違和感がない。米軍が登場して消毒薬を散布しまくったり、学生が消毒反対のデモを行ったり、危険地帯に浮浪者が住み続けていたり、と、現代社会を切り取るような描写があるのも、ただただ怪物との戦いだけを追うアクション映画ではない魅力がある。日本ではこけてしまった作品だが、十分面白かった。
疑問だったのが2点ほど。カンドゥは序盤、居眠りばかりしているのだが、中盤以降には、睡眠剤を打たれても効かずに医師が驚くというシーンがある。これを観るとやはりカンドゥの中でウィルスによって何かが覚醒したのかと思わせるのだが、結局ウィルス騒ぎはデマだったという。じゃあなんでカンドゥは寝なくなったのか。娘を救いたい執念だ、というだけでは説明が困難だ。
そしてラストシーン。ヒョンソは死んだのか、息を吹き返したのか。同時に、怪物を倒したカンドゥは、なぜ娘のもとに駆け寄らず、倒れた少年の方に歩いて行ったのか。ヒョンソは死んでしまったと観念したのか。そうは思えない。エンディングでカンドゥは、少年と二人で売店の中で暮らしている。売店に住めたらいいなと語っていた少年の夢が叶ったようで微笑ましいシーンだが、ヒョンソは壁に貼られた写真の中にいて、これが遺影なのか、別のところで暮らしているだけで存命なのかは、はっきりと描かれていない。ただ、ヒョンソが生きていてみんなで幸せに暮らしましたいうハッピーエンドより、こちらの方が、現実を超越して悪夢のように現れ、そして消えた怪物が、現実の世界に暗い影を落とし、爪痕を残したのだという余韻を感じさせているように思う。隠れた監督のファインプレーだろう。

【5段階評価】5

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