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2017年9月12日 (火)

(1590) 死海殺人事件

【監督】マイケル・ウィナー
【出演】ピーター・ユスティノフ、パイパー・ローリー、キャリー・フィッシャー、ローレン・バコール
【制作】1988年、アメリカ

死海近くの発掘現場で起きた殺人事件の謎を名探偵ポアロが解く。

夫を失った未亡人、エミリー・ボイントン(パイパー・ローリー)は、弁護士のジェファーソン・コープ(デビッド・ソウル)から、夫の遺書の話を聞かされる。夫は妻に全額を譲るという遺書を書いた後、子供を含む全員に均等に遺産を譲るという遺書を書き直していた。エミリー夫人は、弁護士の過去の不正をネタに彼を脅し、新しい遺書を焼却させる。
長男のレノックス(ニコラス・ゲスト)と妻のナディーン(キャリー・フィッシャー)、次男のレイモンド(ジョン・ターレスキー)、長女のキャロル(バレリー・リチャーズ)、次女のジネブラ(アンバー・ベゼル)の前で、エミリーはコープに遺書を読ませる。内容を聞いた子供達は憤慨し、母親に恨みを抱く。それを知ってか知らずか、エミリーは家族総出の海外旅行を強引に企画し、実行する。
レイモンドは、偶然母親の世話をした新米医者のサラ・キング(ジェニー・シーグローブ)に一目惚れする。旅行先に弁護士のコープがやってくると、義理の母の世話係をしているナディーンはコープにかけより、二人は熱いキスを交わす。アメリカ生まれのイギリス下院議員のウエストホルム卿夫人は、考古学好きのクイントン(ヘイリー・ミルズ)も旅程をともにすることになる。エルキュール・ポアロ(ピーター・ユスティノフ)は彼らとともに旅をすることになる。
エミリーは心臓に持病があり、少量の劇薬を服用していた。旅先に向かう途中、ホテルのロビーにいたエミリーに対し、キング医師が彼女をののしる。レイモンドを束縛する様子が許せなかったのだ。エミリーは不敵な笑みを浮かべ、「私は決して忘れないのよ。人の行いも、名前も顔も忘れない。」と脅すような言葉を口にする。
エルサレムに着いた一行は、発掘作業の続くクムラン遺跡を訪ねる。エミリーは子供達を散歩に行かせ、一人で休んでいた。ナディーンとコープ、レイモンドとキング、そしてレノックスも一緒に散歩に出かけるが、レノックスは途中で引き返し、レイモンドはキングと口づけをかわした後、戻っていく。キング医師が休憩場所に戻ると、アラブ人が椅子に座ってうなだれているエミリーを呼び起こそうとしている様子を目にする。キング医師がエミリーの元に向かうと、彼女は死んでいた。ポアロもそれを確認。手首に注射針の後があった。ポアロはキング医師に荷物を確認させる。荷物の中から劇薬が失われていた。ポアロは現地のカーベリー大佐(ジョン・ギールグッド)に2日以内に謎を解いてみせると宣言し、関係者から話を聞き出し始める。
エミリーに脅されたキング医師、遺産のことや過干渉のことで恨みを持っている子供たち。それぞれに動機も殺害の機会もあった。ポアロはその晩、何者かに名前を呼ばれる。内緒で話をしたいようで、明日の10時に話を聞いてほしいと言ってその場を立ち去る。
翌日、ポアロとキング医師が並んで歩いていると、アラブ人の少年が近寄ってくる。ところが少年は突然きびすを返して逃走。キング医師が必死で追いかけるが、少年は人気のない路地で突然、拳銃で撃ち殺される。キング医師が疑われたが、容疑は晴れ、介抱される。
ポアロは、子供たちもキング医師も手は下していないと判断する。彼女を殺害するのであれば、服用している薬を多く飲ませればいいだけで、注射で毒物を混入させる必要がないからだ。犯人はウエストホルム卿夫人だった。彼女はアメリカにいたとき、服役囚だったことがあり、それを秘密にして議員になっていた。かつて刑務所の看守として働いていたエミリーは、ウェストホルム卿夫人を旅先で見かけて彼女のことを思い出した。エミリーがキング医師に言っていたと思われた言葉は、キング医師の後ろにいたウエストホルム卿夫人に向けた言葉だったのだ。
ポアロはウエストホルム卿夫人がいないところで家族達に真相を聞かせるが、ポアロが真相を知ったことを悟ったウエストホルム卿夫人は、花火大会で盛り上がるホテルの一室で拳銃自殺する。ポアロは、ウエストホルム卿夫人は暴発事故で死んだことにするよう大佐に告げるのだった。

不可能犯罪の謎を解いたり、トリックを見破るのが名探偵ものの醍醐味だが、本作は逆に、全員に犯行が可能で動機もあることから、不可能犯罪の謎を解くという部分がない。また、名探偵が関係者全員を集めてなぞ解きを披露するという定番の場面も、本作では真犯人がいないところで行われる。独特の試みだがやはり今ひとつ盛り上がりに欠けていた。本作がヒットしなかったのも、むべなるかなというところだ。

【5段階評価】2

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