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2017年8月23日 (水)

(1570) プリデスティネーション

【監督】マイケル・スピエリッグ
【出演】イーサン・ホーク、サラ・スヌーク、ノア・テイラー
【制作】2014年、オーストラリア

時空を超えて自らの運命を切り開く男女を描いた作品。

とある建物の機械室の中。仕掛けられた爆弾を処理しようとした男が、何者かに撃たれて処理に失敗し、顔面に大やけどを負う。苦しみながらも必死でバイオリンケースに手を伸ばしたところ、近づいた何者かがケースを握らせる。
気がつくと男は治療室にいた。顔はやけどのせいですっかり変わったようだった。
時が変わり、あるバーテンダー(イーサン・ホーク)のもとに、見慣れない客(サラ・スヌーク)が現れる。バーテンはその客と話をし始める。客は男のような出で立ちだったが、「私がまだ少女だったころ」と身の上話を始める。彼女は1945年に孤児院の前に捨てられ、ジェーンと名付けられて育てられる。優れた身体能力と知力を身につけた彼女は、宇宙で活躍できるスペースコープへの選抜試験に挑むが、訓練中にライバルとけんかをして失格となる。ジェーンはテーブルマナーなどを学べる学校に通い、そこである男性と恋に落ちる。しかし、その男はいなくなり、その男との間にできた女の子を産む。ところが、彼女の子供は何者かに奪われてしまう。そして出産に立ち会った医師から、ジェーンは両性具有だったが、出産に伴って女性としての器官が傷ついたために除去したので、これから男性として生きることになる、と一方的に告げられる。ショックを受けながらも男性として生きることにし、今に至るのだと言う。男となり、名前をジョンに変えたジェーンは、自分を妊娠させていなくなった男を殺してやりたいほど恨んでいるとバーテンダーに告げる。
バーテンダーは話を聞くと、その男に会わせてやると言って、ジェーン改めジョンを地下室に連れて行くと、バイオリンケース型の時標変界キットで過去に飛ぶ。バーテンダーは、時空局のエージェントだった。バーテンダーはジョンに銃を渡し、行動は自分で選択しろと告げる。ジョンはまだ若いジェーンを待ち伏せするが、なんとジェーンの相手の男はジョン自身だった。ジョンは過去の女性だった頃のジェーンと結ばれていたのだった。
バーテンダーはその間、時空を飛び、爆弾魔を捕らえようとする。しかし、逆に爆弾魔に倒されてしまい、気がつくと、処理に失敗した男が焼けただれた顔で倒れていた。バーテンダーは男に時標変界キットを持たせると、時空局のボス、ロバートソン(ノア・テイラー)と会う。ロバートソンは彼のことを過去とのつながりを持たないタイムトラベルの矛盾の産物だと言い、未来への種を蒔き損ねるな、そうすれば平穏な人生を送れると忠告する。バーテンダーはジェーンの産んだ赤ん坊を奪うと、1945年に飛び、孤児院に置いてくる。そしてジョンの待つ時代に戻り、ジョンを招き寄せる。ジョンはバーテンダーに怒りをぶつけるが、彼はジョンとともにもとの時代に戻り、ジョンを時空局のエージェントにするよう手はずを整えると、平穏な暮らしに戻る。しかし、時空を飛びすぎると精神的な疾患を来すという警告は本当だった。爆弾魔は老いたバーテンダー自身だったのだ。彼は意を決して爆弾魔のいる場所に向かう。爆弾魔はコインランドリーの中にいた。彼は自分が危険な事件を未然に防いでいたんだと自分を正当化するが、バーテンダーは爆弾魔を銃殺する。それは自らの人生の将来に自ら終焉を与える行為だった。
バーテンダーはジョンが怒りをぶつけたとき、こう言っていた。「俺のことも分かる頃だろ」と。そう、バーテンダーは、ジョンの未来の姿だったのだ。ジョンは時空局の治療室でそのことを悟る。バーテンダーもまた、ジョンに会うため、爆弾魔としての人生を選択することを決意するのだった。

タイムパラドックスを小気味よく回収していて、よくできた作品だった。女性としてのジェーンが男性になった自分と結ばれ、産まれた子供を中年の自分が過去に送り込み、ジェーンとして育つ。鶏が先か卵が先かを自ら行っているというのが独創的で、この話を成立させるがための両性具有というわけだが、それすらも、自分と自分の間に産まれれば、予想も付かない変異が起こるのもうなずけるわけだ。
彼(彼女)の人生を産まれた順にたどるとこうなる。1964年に女の子として産まれたジェーンは、エージェントとなった将来の自分の手で1945年の過去に運ばれる。孤児院で成長したジェーンは、1963年に、男になった将来の自分と出会い、妊娠。産んだ女の子はなんと自分自身。そうとは知らない彼女は、女の子を奪われたことにショックを受ける。同時に、これから男性として生きていくという運命を受け入れ、一人で生きてきた。そして1970年11月、時空局の職員でありながら身分を隠しているバーテンダーと出会う。このバーテンダーもまた将来の自分自身である。バーテンダーに過去に連れて行かれた彼女は、男性として過去の自分と出会い、結ばれる。そしてバーテンダーとともに時空局に戻り、エージェントとして生きることを選択。そして1970年3月に戻って爆弾の処理を行うために現場に向かうが、顔に大やけどを負い、バーテンダーの顔に変わる。傷の癒えたジョンはバーテンダーとして、過去の自分と出会い、彼を1963年に連れて行くと、爆弾処理現場で顔の焼けただれた自分を助け、ジョンを時空局に連れて行き、エージェントとして生きるよう手はずを整えると、1975年に飛ぶ。平穏な暮らしをしようと望む彼だったが、爆弾魔の正体に気づいて爆弾魔を射殺。しかしそれは将来の自分だった。部屋に戻った彼は、爆弾魔として生きることを決意。爆破事件を次々と起こし、最後はコインランドリーで昔の自分に打ち殺される。
この入り組んだ作品をわかりやすく映像化した手腕はすばらしい。
唯一、ジョンが自分を妊娠させた男を殺してやりたいほど憎むという感情が理解できなかった。そこは殺したいから、ではなくてもよかった。

【5段階評価】3

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