(1551) ナイト・アンド・ザ・シティ
【監督】アーウィン・ウィンクラー
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ジェシカ・ラング、クリフ・ゴーマン、アラン・キング、ジャック・ウォーデン
【制作】1992年、アメリカ
金儲けを企む男の運命を描いた作品。ジェラルド・カーシュの小説が原作。1950年の「街の野獣」のリメイク。
金の匂いに敏感な二流の弁護士、ハリー(ロバート・デ・ニーロ)は、ある青年ゴルゴンがボクサーのサンチェス(ペドロ・サンチェス)に殴られた記事を見つけ、ボクサーを訴えるようそそのかす。サンチェスは、ギャングのブンブン(アラン・キング)がオーナーを務めるボクシングジムのボクサー。和解金狙いのハリーだったが、相手は法廷で争うと宣言する。ハリーは、ゴルゴンが大けがをしたように見せかけて法廷に臨むが、ゴルゴンとボクサーの体格はあまりにも違っていた。ハリーはあっさりと訴訟に負けてしまう。
訴訟の準備を進める中で、ハリーは、古き良き時代に街のあちこちで行われていたボクシング・マッチがすっかりなくなってきていることを知り、自ら興行主となることを決意。ブンブンに対抗するため、ブンブンの兄で元ボクサーのアル(ジャック・ウォーデン)を口説いて試合に出場させる。
ハリーは、知り合いのバーのマスター、フィル(クリフ・ゴーマン)に借金を頼み、会場の準備に入る。ハリーはフィルの妻、ヘレン(ジェシカ・ラング)と愛し合っており、ヘレンが金の工面に協力。ハリーはヘレンのために営業免許を偽造する。ヘレンはフィルと別れる。兄に心臓疾患があることを知っているブンブンはハリーを呼び出し、もしアルが心臓発作や頭痛でも起こしたらお前を殺すとハリーに念を押す。さらにフィルに、ハリーとヘレンが一緒になっていることを告げ口する。
会場のオーナーは、ハリーの足下を見て会場費をつり上げる。困ったハリーはフィルに会う。フィルは試合の前日に金を貸してやると約束する。しかし、当日になってもフィルは金を貸さず、それどころかハリーに殴りかかって妻を奪ったことをなじる。途方に暮れたハリーは、一度借金を断られたペック(イーライ・ウォラック)から金を借りる。ところが、出場予定の選手が計量でコカインを検出されたり、挙げ句の果てに、アルが若い黒人選手とけんかになり、押し倒されたときに心臓発作が起きて死んでしまう。
試合は夢と消え、ハリーはヘレンの店に行く。しかし、フィルのたれ込みによってヘレンの営業許可証は偽造であることがばれ、ヘレンの夢もまた潰えていた。二人が互いを慰め合っているところに、ブンブンの手下が二人やってくる。アルが死んだことのけじめをつけに来たのだ。ハリーとヘレンは逃げるが、ついに追いつかれる。ハリーは、自分がいかにアルが死なないようにしたかを力説し、二人のもとを立ち去ろうとするが、ブンブンの手下はハリーに銃弾を浴びせる。ハリーは救急車に運び込まれるあいだもヘレンにしゃべり続ける。虚勢を張ったハリーの声が救急車の中でむなしく響くのだった。
ロバート・デ・ニーロの演技力と話術がみどころ。はじめは「リベンジ・マッチ」のように、ロバート・デ・ニーロ自身がボクサーとなるのかと思っていたら違った。彼が演じるのは、口先ばかりで夢を追う男。結局、夢が実現することもなく、ペックが最初に忠告したとおり、ペックは金を失い、ハリーは殺されるという展開になる。ほろ苦いエンディングだが、救いはヘレンがハリーに付き添っていること。金でハリーの企みを思いとどまらせようとするブンブンに、金ではなく夢を追うんだと啖呵を切るところは感動的。捨てる神あれば拾う神ありという余韻が心地いい作品だった。
【5段階評価】3
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