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2017年2月26日 (日)

(1457) 予告犯

【監督】中村義洋
【出演】生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々、福山康平
【制作】2015年、日本

筒井哲也原作漫画の映画化作品。ネットカフェから犯行予告動画を流して事件を重ねる男の命をかけた戦いと、その謎を追う女性刑事を描く。

ネットカフェ、ピットボーイの一室から、新聞紙で覆面をした男が犯行を予告。その予告通り、食品事故を起こして操業停止中の工場が火事になる。予告犯は、暴行された女性に対して自業自得とツイートした大学生や、バイト先の飲食店でゴキブリを揚げた動画をアップした男、休職中の32歳男性を馬鹿にした面接担当社員などに制裁を加えていく。警視庁サイバー犯罪対策課の吉野絵里香(戸田恵梨香)は男を追うが、一枚上手の犯人に翻弄される。
男の名は奥田宏明(生田斗真)。かつてIT企業の派遣社員として働き、正社員になることを目指していたが、指揮者の社員らに罵倒されたあげく、首になる。職に困った宏明は、不法廃棄物処理の仕事に就き、そこで若い労働者たちと仲間になる。関西弁で元ミュージシャンのカンサイ(鈴木亮平)、内気なノビタ(濱田岳)、腹の出たメタボ(荒川良々)、フィリピン人のヒョロ(福山康平)。父親を探すため、腎臓を売って日本に来る金を作ったヒョロだったが、過酷な労働に耐えられず、死んでしまう。たこ部屋の管理人は死んだヒョロにスコップを投げつけ、宏明たちに埋めとけと冷たく言い放つが、メタボがブチ切れてスコップで管理人に殴りかかり、全員で管理人を殴り殺してしまう。たこ部屋に火をつけて逃げた4人は途方に暮れるが、宏明は仲間に一連の計画を呼びかけたのだった。
ネット住民は予告犯を「シンブンシ」と呼び、その配信を心待ちにし始める。警察は彼らの身元を割り出すために捜査を続け、犯人がピットボーイで書く名前、「ネルソン・カトー・リカルテ」の父親の身元を割り出す。
シンブンシは最後の犯行予告として、自分たち4人が自殺することを宣言。動画の中で4人は青酸カリの入ったカプセルを飲む。絵里香は、彼らの働いていた産廃場跡地に駆けつける。すでに4人は地面に倒れており、宏明は死亡していたが、残りの3人は生きていた。全ては宏明の計画だった。
宏明は、ヒョロが自分の夢は父親に会ってとうちゃんと呼ぶことだ、と無邪気に語っていたことを覚えており、仲間とともに彼の遺骨を父親のもとに届けることを決意。自分たちの力で父親を捜し当てることは難しいと考えた宏明は、ヒョロの本名でネットカフェを利用すれば、警察がヒョロ、ひいてはその父親の身元を捜し当てるだろうと考え、一連の犯行を手がけていた。しかし、彼は仲間の命は奪わず、自分が仲間を脅して犯行を企てたことにして、自らの命を絶っていた。
死んだ彼の手にはスマホが握られており、そこには絵里香に宛てた動画が残されていた。動画の中で宏明は、ヒョロの遺骨を父親のもとに届けてほしいという願いを口にする。絵里香は、彼がそれだけのためにこれだけの事件を起こしていたことを知り驚愕するが、彼の願いを叶えることを決めるのだった。

猟奇的な連続犯罪の裏に、仲間を思う純粋な動機が潜んでおり、謎解き要素も、仲間との絆の描き方も、社会の中で虐げられる弱者への目線も十分に練り込まれていて、非常に見応えのある作品だった。おそらく原作のストーリーがいいんだろうなと思った。
・・・と思って、買ってみた。読んでみた。3巻完結なので、1日でも読み切れる。読む前は「ミュージアム」と似たようなテイストなのかと思っていたが、猟奇性は強調されておらず、仲間への愛をテーマに、ミステリーとして十分成立する伏線回収。とてもよかった。
改めて映画を振り返ると、終盤のヒョロの遺体を探させるくだりが若干違っていたり、原作にはなかった絵里香と宏明のチェイスシーンなどが映画には入っていたりしたが、全体を通して極めて忠実に原作を映像化していた。台詞もそうだし、主人公たちの来ているTシャツも、全く同じと言っていいデザイン。あまりにも同じすぎるので、逆に原作ファンは新鮮味を感じないのでは、とすら思えた。
ただ唯一、残念なのは、自殺する必要があったのか、ということだ。ここの心理だけは、うまく共感できなかった。しかしこれも、主人公に死んでほしくなかったという、自分の感情移入の結果なのかもしれない。とするとやっぱりすごい作品。
いずれにせよ、日本の漫画のすごさを感じた映画作品だった。今までこの漫画を自分に紹介しなかったBookLiveには反省を促したい(笑)。

【5段階評価】4

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