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2017年1月29日 (日)

(1438) HERO

【監督】鈴木雅之
【出演】木村拓哉、松たか子、北川景子、佐藤浩市、松重豊
【制作】2015年、日本

女性が亡くなった交通事故の真相を追究する検事の活躍を描いた作品。「HERO」の続編。

パーティドレスを着た女性がどこかの屋敷を逃げ出し、走り出したところを車にはねられて死亡。検事の久利生公平(木村拓哉)は女性をはねたドライバー(新井浩文)の捜査を担当する。はねられた女性はコンパニオンの三城紗江子(森カンナ)。彼女は暴力団二崎(おとざき)会の恐喝事件の証人予定者だった。大阪地検で検事をしている雨宮舞子(松たか子)は、彼女の事件を追って8年ぶりに久利生と行動をともにする。久利生と雨宮は、それぞれの事務官、麻木千佳(北川景子)、一ノ瀬(大倉孝二)とともに交通事故現場を訪れ、現場がネウストリア公国大使館の裏手であることを知る。被害者の紗江子は、大使館から飛び出して車にはねられたようだった。
大使館に日本の捜査は及ばない。久利生は大胆にも大使館のインターホンを押すが相手にされず、さっそく外務省経由でクレームが飛んでくる。久利生は麻木とネウストリア料理店に行き、ネウストリア人がペタンク好きだと一人の客に教えてもらう。久利生は店に通い、客として店に来た3人組の大使館員にペタンクの試合を申し込んで仲良くなる。その夜の飲み会で、麻木は紗江子と写っているネウストリア人の写真を大使館員に見せ、その男がコールマンという名の大使館員であることをつきとめるが、彼らは久利生が検察官であることを知ると、怒って店を出て行ってしまう。久利生は外務省の欧州局長、松葉(佐藤浩市)に呼び出され、たかが交通事故一つで重要な国交交渉を妨害するなとなじられる。
久利生がおでん屋で麻木と食事をしていると、そこにダンプカーが突っ込んでくる。おでん屋の店主をかばった久利生はダンプと接触し、病院に運び込まれる。麻木から連絡を受けた雨宮は大阪から駆けつけ、病室で一夜を明かす。目を覚ました久利生は、雨宮に向かって、亡くなった紗江子、交通事故の加害者として罪を問われているドライバーのためにも、検察官が捜査をあきらめるわけにはいかないと話す。彼の言葉を、病室の外に来ていた東京地検城西支部の仲間たちが聞いていた。彼らはこの事件の真相を探ることを決意。次々と病院をあとにする。彼らの集めた情報から、二崎会とネウストリア大使館は違法薬物の闇取引でつながっており、二崎会は不利な証言者の紗江子の殺害を大使館に依頼し、一方の大使館は執拗な捜査をする久利生への攻撃を二崎会に頼んでいることが明らかになってくる。
雨宮は親が貿易会社に勤めている見合い相手の弁護士、矢口(児嶋一哉)から、ネウストリア大使館のパーティの招待券を入手し、久利生とともに大使館に入り込む。久利生は大使館の裏庭に忍び込み、紗江子のものと思われる靴のスパンコールを見つけるが、大使館員に見つかる。捕まった久利生は大使(ジェームズ・C・バーンズ)と対面。その男は、ネウストリア料理店に一人で来ていた気さくな男だった。大使に解放された久利生と雨宮は、ホールで松葉と対面。松葉は久利生に激怒するが、そこに大使館の時計のオルゴールが鳴り響く。それは、紗江子が友人に送った留守電メッセージのバックで流れている曲だった。紗江子はやはり大使館にいたのだ。
久利生は仲間とともに改めて松葉のもとに行き、数々の証拠を示して大使に話をさせてほしいと頼み込む。松葉も久利生の熱意に折れ、大使に久利生と会ってくれるよう依頼する。ついに久利生は堂々と大使と対面。大使はかつて法律を学んでおり、誠実に久利生に接する。暴力団との闇取り引きに手を染めていた大使館のナンバー2、ベルネ(グレッグ・デール)は外交特権があるため、本国に送還され、本国で裁かれることに。コールマンは日本の法律で裁かれることになった。久利生、雨宮、麻木の3人は大使館をあとにする。
麻木は雨宮の帰阪を残念がる。あらためて久利生の熱意を目の当たりにした雨宮は、見合い相手の矢口に別れの電話をする。雨宮は並木道で久利生に再会。しかし好きだという気持ちは告げぬまま、雨宮は静かに立ち去るのだった。

サブタイトルがやたら長い作品も目立つ中、すっきりとしたタイトルには好感が持てる。ただ、一作目と全く同じタイトルというのも珍しい。「HERO 2」ぐらいにはしてもよかったと思った。
俳優の生き生きとした演技が気持ちいい。仲間が力を合わせて難事件に取り組むところが本シリーズで胸が熱くなるところ。今回も病室の前から次々と捜査に向かっていく検事と事務官の姿に胸を打たれる。始めは反対していた部長の川尻(松重豊)も、お偉方を相手に熱弁をふるうのだが、ここはもっと激しい言葉で話してもよかったのにな、という気はした。
また、今回の悪役であるコールマンやベルネが、どれだけ悪いやつかという描写がほとんどないため、絶対にこいつら許せない、という観客の感情移入を引き出すことが十分にできていなかった。久利生に追われたコールマンが大使館に逃げ込んで事なきを得るとか、ベルネが高圧的な態度で久利生の追究をはねのけるとか、そういうシーンがあるとよかった。
もう一つ残念なのは、結局、紗江子は何におびえて逃げたのか、事件当時の再現シーンがなく、すっきりしなかった点。冒頭のシーンはなにやらメルヘンチックな映像で、現実感が乏しい。あれが実は、コールマンに殺されそうになって必死に逃げているところで、きわめて現実的な危機的状況だったという説明が、コールマンの非道ぶり、車に轢かれる可能性にすら考えが至らないほど追い詰められた紗江子の恐怖を描くために必要だと思った。
ちなみに、前作は久利生と雨宮のキスシーンで締められていたが、本作にはそういうシーンがなかった。まあ、松たか子も公開当時37歳。ほほのたるみも気になる年齢だし、仕方ないのかな。

【5段階評価】3

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