« (1420) ぼくらの七日間戦争 | トップページ | (1422) ポリス・ストーリー/レジェンド »

2016年12月26日 (月)

(1421) 変身

【監督】佐野智樹
【出演】玉木宏、蒼井優、佐田真由美
【制作】2005年、日本

東野圭吾原作小説の映画化作品。脳手術をした青年の身に降りかかる悲劇を描いている。

成瀬純一(玉木宏)は、とある病室で目を覚ます。彼は画材店に勤める葉村恵(蒼井優)を恋人に持つ心優しい青年だったが、とある事件に巻き込まれて脳を撃たれ、手術をしていた。入院中の彼はある日、病院内に自分のものと思われる脳のホルマリン漬けを発見。主治医の堂元(北村和夫)を問い詰め、自分が脳移植をされたことを知る。
退院した純一は、次第に、自分が恵に愛情を感じられなくなり、他人に激しい憎悪を抱くようになる。バーで大げんかをした純一は、娘の命を純一に助けられたという弁護士、嵯峨(春田純一)に会う。純一は嵯峨から、純一のいた不動産屋に強盗が入り、その強盗が嵯峨の幼い娘に銃を向け、純一がそれをかばって被弾したのだという話を聞く。犯人の京極瞬介(松田悟志)は、病気の母親を見殺しにした不動産会社の社長(石田太郎)を恨んで金を奪ったが、その後、自殺していた。純一に移植されたのは、京極瞬介の脳だったのだ。
純一は、医師の橘直子(佐田真由美)を信用して自分の日記を託すが、彼女は純一との約束を破り、それを堂元に見せていた。それを知った純一は怒りのあまり、直子を殺害する。
次第に自分の脳が別人に乗っ取られていくことを感じた純一は、初めて恵とデートをした湖畔に向かうことを決意。恵も純一を追う。
恵の献身的な支えもあって、一時はかつての純一の人格を取り戻すが、そこに直子殺害の恨みを抱いた助手の若生(山下徹大)が銃を持って現れる。若生に、恵が裏切っていると聞かされた純一は逆上して若生の銃を奪って若生を殺害。自分のままで生きようと考えた純一は、すがりつく恵を置いて堂元のいる病院に駆け込む。
純一は、恵が部屋の外からガラス窓越しに叫ぶなか、自らを銃で撃つ。恵は泣き崩れる。
時が経ち、恵は、純一の描いた恵の絵を持って、思い出の湖畔を訪れ、「ジュン、いつかまた会えるよね」とつぶやくのだった。

東野圭吾原作の映画化作品は、当たり外れが激しいのだが、本作は相当のハズレ作品だった。今まででいちばんひどかったかもしれない。
まず、オープニングの病室が病室ぽくない。一大脳外科手術をしたのに、機材も少なく無駄なスペースが多くて現実感がない。この時点で、「ん、この映画、ハズレか? 」という予感が頭をよぎる。
続いて、主人公が病室をうろついていると脳のホルマリン漬けを発見。職員用の部屋に鍵がかかっていないのもさることながら、机の上に脳を置いとくなよ。どっかにしまえよ。しかもご丁寧に「Host J.N.」とイニシャルまでラベルに書かれている。純一に問い詰められた教授が思わず「だからホストで十分だと言ったのに」。いやいや、気をつけるとこ、そこじゃないから。そんであっさりばらすし。
突然、難しい数式を扱って職場に業務改善を迫ったり、絶対音感を持ってたり、衝動的な殺意を抱いたり、という性格の変容が、的外れなのと過剰なのとで、京極の伏線にほとんどなっていないのも不思議。
京極は強盗事件を起こしたとはいえ、母親思いの優しい青年という設定。なぜ衝動的な性格になっているのかの説明がない。
一方で、ピアノの調律のずれに気づくという絶対音感の下りは必要だったのだろうか。ピアノの曲を覚えているところで十分だ。情報を与えすぎて、観る側が想像をふくらませる余地がなく、しかも予想通りに話が展開するので、面白みがない。
大して信頼の置ける関係にもなっていない橘直子に、中身を見るなと言って純一が自分の日記を託すのも、あまりにも唐突で必然性がない。なんで日記渡すんだろう、としか思えないのだが、結局、あとで純一が直子を殺す動機とするためだけに入れられた設定である。
橘直子が殺されたことを恨んだ助手が、拳銃を持ってることにも何の説明もない。しかも、いとも簡単にやってきてあっさり純一に逆襲されてしまう。これも、ラストシーン用に純一に拳銃を渡すだけの設定になってしまっている。
また、ときどき頭がピキーンと痛くなって元の自分に戻るという展開も脈絡がない。
そして結局、何のどんでん返しもなく、純一が命を絶ってしまう。暗闇になった部屋の中で、堂元教授はいったい何をしていたのか。脇役にもほどがある。
という、なんだかなぁ、というところが満載の作品だった。
最後まで飽きずに観ることはできたが、原作の魅力を伝えることはほとんどできていない作品だった。

【5段階評価】2

|

« (1420) ぼくらの七日間戦争 | トップページ | (1422) ポリス・ストーリー/レジェンド »

映画・テレビ」カテゴリの記事

評価2の映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: (1421) 変身:

« (1420) ぼくらの七日間戦争 | トップページ | (1422) ポリス・ストーリー/レジェンド »