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2016年8月

2016年8月28日 (日)

(1397) デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~

【監督】トニー・ギルロイ
【出演】クライブ・オーウェン、ジュリア・ロバーツ、トム・ウィルキンソン、ポール・ジアマッティ
【制作】2009年、アメリカ

恋の駆け引きをしながら一攫千金を企む二人の産業スパイを描いた作品。

元MI6のスパイ、レイ(クライブ・オーウェン)は美人のクレア(ジュリア・ロバーツ)に声をかけ、ホテルの部屋に入るが重要な情報を盗み取られ、MI6を首になり、産業スパイとなる。二人は産業スパイとして再会。彼らの任務は、重要な研究開発をしているB&R社に潜入し、エクイクロム社に研究秘密をもたらすこと。彼らはスパイチームとともに化学式を盗み出すが、レイとクレアは共謀してその化学式を一足先に入手。特許申請をしようとするが、それはただのローションの化学式だった。
実は彼らが協働していたスパイチームはB&R社側の人間だった。彼らはエクイクロム社のガーシック(ポール・ジアマッティ)の信用を失墜させることに成功。B&R社のタリーはチームとともに、レイの家に仕掛けられた盗聴マイクの音声を聞きながらほくそ笑むのだった。

こったシナリオもいいのだが、わかりづらすぎた。現在と過去のいったりきたりに加え、二人の虚々実々のやりとりのどこを信じていいのか分からない。この手の作品は、てっきりこうだと信じていたものを裏切られるところにカタルシスがあるのだが、ややこしすぎて、てっきりこうだと信じるものが何もないままクライマックスに突入する。だから化学式が偽物でも「ふーん」だし、スパイチームが相手企業の人間でも「そうかもね」だし、興奮しないのだ。
さじ加減を失敗した作品だった。

【5段階評価】2

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2016年8月26日 (金)

(1396) 切腹

【監督】小林正樹
【出演】仲代達矢、三國連太郎、石濱朗、岩下志麻、丹波哲郎
【制作】1962年、日本

切腹を覚悟する貧しい浪人の復讐劇を描いた作品。

一人の浪人、津雲半四郎(仲代達矢)が井伊家の屋敷を訪ね、苦しい生活を続けるより潔く切腹したいので庭先を貸してほしいと屋敷の家臣(小林昭二)に告げる。家臣は屋敷の家老、斎藤勘解由(かげゆ)(三國連太郎)に報告。ちまたでは、貧しい浪人が切腹すると称して武家屋敷に無心をする行為が横行しており、斎藤は半四郎にある話を聞かせる。
それは、千々岩求女(ちぢいわもとめ)(石濱朗)という浪人が以前、同じようなことを言って屋敷に来たときの話だった。屋敷では家臣の沢潟彦九郎(丹波哲郎)たちが本当に切腹させてやろうと話し合い、求女に湯浴みをさせた上で白装束に着替えさせ、切腹を求めたのだ。求女は狼狽し、一両日中に戻るから一度帰らせてほしいと懇願。沢潟はそれを聞かず、強引に屋敷の庭に切腹の準備をする。しかし、求女が持っていたのは刀ではなく竹光だった。屋敷の武士たちは求女に竹光を渡し、切腹を命じる。
求女は再度、いったん帰らせてほしいと頼むが、勘解由は聞かない。求女はついに竹光を手に取り、何度も腹に突き立てる。ついに竹光が腹を貫き、激しく血が流れ出るが、当然、腹をさばくことはできない。求女は沢潟に介錯を乞うが、沢潟はまだまだ、といって介錯をしない。とうとう求女は自らの舌をかみ切って自害する。
その話を聞かされた半四郎は、全くひるむことなく、自分の刀は竹光ではない、見事に腹をさばいてみせると勘解由に告げる。勘解由はそれならば、と再び、庭に切腹の準備をする。
半四郎は介錯人として沢潟彦九郎の名を上げる。しかし、沢潟は病気で欠勤していた。それを勘解由に聞かされた半四郎は、次いで別の二名の名を挙げるが、その二名もまた病欠なのだった。沢潟は納得せず、勘解由は家来に沢潟らを呼びに行かせる。
待っている間、半四郎は井伊家の面々に身の上話を語り始める。
実は千々岩求女は、半四郎の見込んだ男であり、半四郎の娘、美穂(岩下志麻)の夫であった。二人は仲むつまじく暮らし、息子をもうけたが、美穂が病に伏し、次いで息子も高熱を出すようになったのだという。暮らしに困窮した求女は、半四郎に妻と子の面倒を頼み、金を借りに行くと嘘をつき、恥を忍んで井伊家に無心に来ていたのだった。求女の帰りを待っていた半四郎と美穂のもとに来たのは、無残な求女の遺体を運んできた沢潟たちだった。彼らは求女をあざ笑うようにして求女の家をあとにする。やがて息子も美穂も亡くなってしまい、半四郎には井伊家に対する激しい憎悪がたぎったのだった。
半四郎は求女を運んできた沢潟らに果たし合いを挑み、しかし彼らの命ではなく髷を奪い取っていた。3名の家臣は、病気ではなく、髷を結えなくなったことをごまかすために仮病を使っていたのだった。
半四郎は求女の行為をさんざん責めた勘解由の家臣をあざ笑う。勘解由は井伊家の尊厳を守るため、半四郎を討てと家臣に命じるが、半四郎は剣術の使い手であり、次々と井伊家の家臣を倒していく。しかしついに鉄砲隊が現れるに至り、半四郎は屋敷の中で自らの腹を切る。
勘解由は沢潟らに切腹を命じ、この騒動を闇に葬るしかないのだった。

白黒の退屈な映画だと思ってみていると、不敵な表情で切腹を望む浪人という魅力的な謎が冒頭に示され、その浪人の行動の理由が徐々に明かされていくという、ミステリー仕立ての展開が待っていた。求女が竹光で切腹をするシーンも痛々しく衝撃的だし、半四郎が大勢に囲まれ、斬られてもなかなか倒れず執念深く戦い続けるシーンも、よくあるチャンバラ映画とは全く異なる生々しいできばえ。思わぬ秀作に出会った。

【5段階評価】4

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2016年8月24日 (水)

(1395) ニューヨーク1997

【監督】ジョン・カーペンター
【出演】カート・ラッセル、リー・バン・クリーフ、ドナルド・プレザンス、アイザック・ヘイズ
【制作】1981年、アメリカ

マンハッタン島全体が看守不在の刑務所となった近未来で起きた大統領救出劇を描いた作品。

犯罪が横行するアメリカでは、凶悪犯を収監するため、マンハッタン島を高さ15メートルのコンクリート壁で囲み、終身の刑務所としていた。看守はおらず、島内では凶悪犯罪者が独自の生活を営んでいた。
そこにハイジャックにあった大統領機、エアフォースワンが墜落。大統領(ドナルド・プレザンス)は脱出ポッドで島内に落下。救出隊が大統領の確保に向かうが、大統領はすでに凶悪犯に捕らえられており、救出隊のリーダー、ボブ・ホーク(リー・バン・クリーフ)は隊を引き上げさせざるを得なかった。
ホークは収監の直前だった元兵士のスネーク・プリスキン(カート・ラッセル)に、24時間以内に大統領を救出し、持っている磁気テープを確保せよと命じる。スネークは首に24時間後に爆発する小型爆弾を埋め込まれてしまう。
スネークは島内に潜入。元相棒のブレイン(ハリー・ディーン・スタントン)らを味方につけ、大統領を救出するが、あえなく刑務所のボス、デューク(アイザック・ヘイズ)の一味に捕らえられてしまう。
それでもブレインが相手の隙を突いて大統領を助け出し、合流したデュークとともに島の脱出を狙う。それに気づいたブレインは彼らを追いかける。政府の仕掛けた地雷により、ブレインは死亡。スネークはなんとか大統領を壁の外に逃がし、自分も脱出に成功。ホークはスネークに仲間になれと言葉をかけるが、スネークは立ち去るのだった。

近未来的な設定のマンハッタン島で、絶望的な戦いを強いられる主人公。魅力的な設定なのだが、終身刑の凶悪犯ばかりがいるはず島内では意外なほどの秩序があり、観る者の期待をそぐ。逆に、囚人にもてあそばれた大統領が、脱出したあとに豹変し、囚人のボス、デュークをののしりながら機関銃の弾を浴びせて復讐を果たすシーンを見ると、大統領の小人物ぶりが際立つのだった。

【5段階評価】3

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2016年8月22日 (月)

(1394) ホットロード

【監督】三木孝浩
【出演】能年玲奈、登坂広臣、木村佳乃
【制作】2014年、日本

 

紡木たく原作漫画の映画化作品。暴走族リーダーと女子中学生との恋物語。

 

女子中学生の宮市和希(能年玲奈)は友人のえり(竹富聖花)の紹介で、ガソリンスタンドで働く春山洋志(登坂広臣)と知り合う。二人は付き合うことになる。
和希は父親がおらず、母親(木村佳乃)は高校時代の恋人、鈴木(小澤征悦)と会ってばかり。和希は孤独を感じていた。
春山は暴走族、KNIGHTSのリーダーをトオル(鈴木亮平)から受け継ぐが、敵対する暴走族から挑発され、単身で敵の中に殴り込みをかけ、けがをする。春山は和希に心配をかけまいと、抗争を止めるために高熱をおして現地に向かうが、検問を発見。引き返そうとしたところをトラックにはねられてしまう。
春山が意識不明の重体となったショックで和希も拒食症となって倒れるが、春山は和希に会いたい一心で意識を取り戻す。二人は手を携えて生きていくことを決めるのだった。

 

家庭に事情を抱えた少女が、根は優しいが悪ぶる青年に恋をするという、いかにも少女漫画的な展開。けんかで半殺しになるのかと思いきや、検問から逃げようとして轢かれるという情けない設定をなぜ用いたのかよく分からなかった。

 

【5段階評価】2

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2016年8月21日 (日)

(1393) がんばれ! ベアーズ

【監督】マイケル・リッチー
【出演】ウォルター・マッソー、テイタム・オニール、ビック・モロー
【制作】1976年、アメリカ

弱小少年野球団の活躍を描いた作品。

弱小の少年野球チーム、ベアーズの監督となったバターメーカー(ウォルター・マッソー)は、酒を飲みながら指導をする飲んべえで、子供たちも言うことを聞かなかった。
ベアーズは開幕戦でロイ・ターナー(ビック・モロー)率いるヤンキースに26対0の放棄試合で大敗。バターメーカーは、ピッチャーの得意な少女、アマンダ(テイタム・オニール)や、不良だがめっぽう肩の強いケリー・リーク(ジャッキー・アール・ヘイリー)をスカウト。チームは見違えるように強くなり、常勝チームとなっていく。
バターメーカーは勝ちにこだわりすぎ、捕れる飛球をすべてケリーに取るよう指示したため、チームの雰囲気は悪化。
最終決戦のヤンキース戦でも、真剣勝負を望むバッターにわざとボールに当たるよう指示するなど、まずい采配をする。一方のヤンキースの監督、ターナーも、勝負所でピッチャーに無理矢理敬遠させる指示を出し、ピッチャーがやる気をなくしてしまう。それを見たバターメーカーは、自分の采配を反省し、これまで出番のなかったメンバーを出場させたため、そのイニングで4点を取られてしまう。最終回もあっさりとツーアウト。しかし、最後のバッターが四球となり、そこから3点を取り返すものの、最後はホームへの果敢な走塁がタッチアウト。惜しくも勝利を逃すが、ベアーズのメンバーには勝利への貪欲さが確実にみなぎるのだった。

だめチームを再生する古典的な作品という印象だったが、監督はギリギリまでだめ監督だし、いい選手を2名入れただけでチームが見違えるように強くなったりと、カタルシスを得るほどの内容ではないのが意外だった。

【5段階評価】3

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2016年8月20日 (土)

(1392) 名探偵再登場

【監督】ロバート・ムーア
【出演】ピーター・フォーク、ルイーズ・フレッチャー、アイリーン・ブレナン
【制作】1978年、アメリカ

名作映画のパロディを織り交ぜたコメディ・サスペンス。

探偵のマークルが殺害され、その妻ジョージア(マーシャ・メイソン)と浮気していた相棒のルー・ペキンポー(ピーター・フォーク)に疑いがかかる。ペキンポーは酒場でかつての恋人、マルレーヌ(ルイーズ・フレッチャー)と出会い、彼女の夫のためにドイツ軍に奪われた書類を取り戻すことになる。
ペキンポーはさまざまな女性とすったもんだしながらも書類を取り戻し、マルレーヌは夫と別れ、ペキンポーと暮らすことになる。

「マルタの鷹」や「カサブランカ」などの古典映画のパロディが随所に登場するが、ストーリーは全く面白くない。これまた1に近い2の評価。パロディの元になっている映画を全て見終わってからもう一度観ると、もう少し味が出るのかもしれないが、基本的に、分かる人にしか分からない内輪受けのような作品は嫌いだ。

【5段階評価】2

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2016年8月19日 (金)

(1391) 名探偵登場

【監督】ロバート・ムーア
【出演】ピーター・フォーク、アレック・ギネス、トルーマン・カポーティ、マギー・スミス
【制作】1976年、アメリカ

5人の名探偵が招待された屋敷で起こる殺人事件を描いたコメディ・サスペンス。

大富豪のライオネル・トウェイン(トルーマン・カポーティ)が、5人の名探偵と助手を屋敷に招待。12時に部屋の中にいる誰かが殺され、犯人は部屋の中にいるとトウェインは宣言。
名探偵と助手たちは手をつないで時間が過ぎるのを待つが、志望したのは大富豪自身だった。執事のベンソンマム(アレック・ギネス)が殺害されて服だけが残ったり服がなくなって裸になったり、部屋に入ると部屋が空っぽになったり人がいたり、と謎の現象が起きる。
5人の探偵は次々に名推理を繰り出すが、最後に笑ったのは年老いた女性コック(ナンシー・ウォーカー)だった。

謎解きを期待して観ると、完全に裏切られる。部屋が入れ替わる謎も、名探偵と執事の服が入れ替わる謎も、メイドがロボットだったりゴム人形だったりしている謎も、何ら回収されない。できの悪い香港映画のようなドタバタに終始して終わる。評価1としなかったのは、かろうじて有名な俳優が数多く出演しているからというだけだった。

【5段階評価】2

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2016年8月18日 (木)

(1390) コンドル

【監督】シドニー・ポラック
【出演】ロバート・レッドフォード、フェイ・ダナウェイ、マックス・フォン・シドー
【制作】1975年、アメリカ

CIAを渦巻く陰謀に巻き込まれた職員の逃走劇を描いた作品。

CIAの情報収集活動を行う秘密組織に所属するターナー(ロバート・レッドフォード)は、推理小説などのあらゆる書物を読んでコンピューターに入力する書籍分析官。彼の職場の外にいる謎の男(マックス・フォン・シドー)が事務所にいる人間の出入りをチェックしている。ハイデッガーが出勤してこないことを確認した男は、何者かに電話で指示をする。
ターナーは、雨の日にはいつもそうするように、裏口から建物を出て昼食を買いに出る。それに気づかない謎の男は、仲間の二人と事務所に入り込み、中にいる職員をマシンガンで皆殺しにする。
そうとは知らずに戻ってきたターナーは、中の惨状を知ると、受付にあった護身用の拳銃を手に建物を抜け出し、公衆電話でCIAに自分の保護を求める。CIAの担当者は、ターナーが無事で45口径の銃を持っていることを聞き出すと、自宅には戻るな、顔の割れていないところに行き、2時間後に再度電話しろと命じる。
CIAのヒギンズ(クリフ・ロバートソン)は、ターナーの通報を受け、スタッフに事務所を調べさせる。事務所で殺害されているのが6名だと聞いたヒギンズはもう一人いるはずだ、探せとスタッフに命じる。
美術館に逃げ込んだターナーは、ハイデッガーが無事か確認しに彼の自宅に行くが、ハイデッガーも殺されていた。そこにCIAのスタッフが現れたため、ターナーは慌てて建物から逃げ出す。ヒギンズの報告を受けたCIAのウィクス(マイケル・ケーン)は、ターナーが生きていることを知り、ヘリを調達して現地に向かう。
ターナーは自宅に戻るが、近所の人に、友人だと名乗る二人組が部屋にいると告げられ、その場を立ち去る。
公園の公衆電話から、ターナーは2度目の電話をする。電話を受けたヒギンズは、ホテル近くの路地裏で課長と落ち合うよう告げる。課長の顔を知らないターナーは疑心暗鬼になり、ホテルになんか行くものかと叫ぶ。横で聞いていたウィクスは、ターナーの知り合いのサム(ウォルター・マッギン)を向かわせるようヒギンズに指示する。
事情を知らないサムは、なぜ友人に会うのに防弾チョッキを着させられるのか訝しむ。ウィクスは通常の手続きだ、と彼に告げながら、武器庫の係員に、ターナーが持つのと同じ45口径の拳銃を要求する。
サムは現地でターナーを待つ。サムの横にはウィクスも潜んでいた。おそるおそる待ち合わせ場所に向かったターナーはサムを見つける。サムもターナーに気づき、彼に歩み寄るが、ターナーが、ほかに誰かいるのか、と尋ねると、さっと斜め後ろを振り向く。その瞬間、物陰からウィクスが現れ、ターナーめがけて発砲。驚いたサムは、あれはターナー本人だ、とウィクスに告げるが、ウィクスは聞く耳を持たない。ターナーは持っていた銃で反撃し、その場を走り去る。ターナーの銃弾で負傷したウィクスは、混乱しているサムの喉元を撃ち抜き、サムを殺害してしまう。
パトカーのサイレンが鳴る中、ターナーは近くの衣料品店に逃げ込む。CIAに戻ることもできなくなったターナーは、そこに偶然居合わせた買い物客の女性、キャシー(フェイ・ダナウェイ)に目をつけ、彼女が車に乗り込むところに友人のふりをして近づき、拳銃で彼女を脅して彼女の家に向かう。
落ち着いて考える場所のほしかったターナーは、おびえる彼女に事情を説明し、ニュース番組を見る。ニュースでは、路地裏で負傷したのは保険会社の社員だと報道されており、CIAの名前は出なかった。
その間、謎の男は、とある男と夜道を歩いていた。謎の男は、ターナーの殺害をしくじった代わりに、ウィクスの殺害を無料で請け負うと約束する。
手がかりのほしいターナーは、サムの家に無言電話をし、彼の妻(カーリン・グリン)が無事であることを確認すると、いやがるキャシーをストッキングで縛り上げ、サムの家に向かう。サムの妻は、ターナーを見て「早かったのね」と意外なことを言う。彼女はサムが死んだことを知らないばかりか、ターナーが同僚と家に来るという連絡を受け、4人分の食事を用意していた。それを聞いたターナーは、サムの妻に危険が及ぶと直感し、彼女を無理矢理家から追い出し、エレベーターに押し込む。上階行きのエレベーターから降りたのが、謎の男だった。彼は降りたエレベーターからどこにも向かわず、そのままターナーとともにエレベーターを待ち、下向きのエレベーターにターナーとともに乗り込む。明らかに怪しい。
ターナーは警戒しながら彼を見つめる。謎の男は不敵な笑みを浮かべながら、エレベーターを降りる。ターナーは、1階にたむろしていた若者の集団に、5ドルやるから車のロックを外してくれ、と嘘のお願いをし、マンションからともに外に出る。謎の男は外からターナーを狙撃しようと狙っていたが、若者の集団が邪魔で撃つことができない。ターナーはキャシーの車で現場から走り去るが、謎の男は車のナンバープレートを見逃さなかった。
キャシーの家に戻ったターナーは、キャシーが先の長くない男の方が好きだと見抜き、キャシーもまた、ターナーをもっと知りたいと告げる。二人は一晩をともにする。
翌朝、キャシーのシャワー中、郵便局員(ハンク・ギャレット)が荷物を届けに来る。それは謎の男とともにマシンガンで職員を殺害した殺し屋だった。ターナーは彼の靴を見て男が怪しいと気づき、死闘の末、男を倒す。おびえるキャシーをなだめ、ターナーはキャシーとCIAに向かう。
キャシーは求職者を装って建物に入り、ヒギンズの顔を確認。二人は昼食に出たヒギンズを拉致して車に押し込み、事情を聞き、謎の男がジョベアと名乗っていることを知る。しかしヒギンズは、一連の事件の首謀者ではないようだった。
ターナーは電話会社の技師の持ち物を盗み出し、郵便局員が持っていた鍵からホテルを割り出すと、電話交換装置に細工をしてジョベアの部屋に電話をかけ、「コンドルは絶滅すると思うか」と挑発的な問いかけをする。ジョベアは依頼主に電話をかけてそのことを報告するが、その電話のプッシュ音をターナーは録音。電話番号を割り出して、その相手の住所と、名前がアトウッドであることを突き止める。
ヒギンズもまた、CIAのデータベースを用いて、殺し屋ジョベアとウィクスにつながりがあることを発見する。ヒギンズと話すCIAの大物関係者のもとに、殺し屋が到着したとの報が入る。
ターナーはアトウッドの家に忍び込み、アトウッドに銃を突きつけ、事件の真相を聞き出そうとする。しかし、そこに殺し屋ジョベアが現れる。ターナーは銃を奪われ、絶体絶命。しかしジョベアは、アトウッドを殺害。自殺に見せかける工作を済ませると、ターナーとともにアトウッド邸を後にする。彼はCIAからアトウッド殺害を依頼されたようだった。
ジョベアはターナーにヨーロッパに来てともに仕事をしないか、と持ちかけるが、ターナーは自分はアメリカ生まれだから、と断る。ジョベアはその日のために、と彼に銃を手渡す。
ターナーはヒギンズに再会。ヒギンズは一連の事件はゲームに過ぎないと告げる。アトウッドがその中で暴走したのだ、と。ターナーは真実を新聞社にリークした、とヒギンズに言うが、ヒギンズは、それは発行されるのか、と冷たく言い放つ。ターナーは強い意志を持ったまなざしを向けたまま、ヒギンズのもとを立ち去るのだった。

てきぱきとした電話交換人の指示。ターナーの注意をそらすためゴミ収集用の大きな缶を積み上げるウィクス。通行人とすれ違うときに会話を英語からほかの言語に変えるジョベアとアトウッド。こうしたスパイのテクニックを織り交ぜて話を進めるのが、観客の興味を引き立てる。一方で、ロマンスの下りは必要なのかというのが若干怪しかった。
何より、事務所の職員を皆殺しにしてまで隠蔽しようとしている情報の重さがどうにも理解できず、フラストレーションがたまった。一説ではこれをマクガフィン(映画の進行に必要な設定・道具だが意味的な重要性のないもの)ととらえたほうが気が楽だ、という話もあるようで、確かにそうかもと思えた。
キャシー役のフェイ・ダナウェイは、「俺たちに明日はない」のヒロインを演じた女優。

【5段階評価】3

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2016年8月17日 (水)

(1389) マレフィセント

【監督】ロバート・ストロンバーグ
【出演】アンジェリーナ・ジョリー、エル・ファニング、シャールト・コプリー
【制作】2014年、アメリカ

「眠れぬ森の美女」の悪役の魔女を主人公にしたディズニー作品。

妖精の国の女王、マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は、人間の国のステファン(シャールト・コプリー)とかつて恋人同士だったが、人間たちは妖精の国の侵略を開始し、二人は会わなくなる。人間の国の王、ヘンリー(ケネス・クラナム)は、マレフィセントを倒した者に王女と王の座を譲ると宣言。ステファンは王の地位を狙うため、マレフィセントに再び近づき、マレフィセントを殺そうとするが、彼女への愛を捨て去ることができず、彼女の翼だけを奪って王のもとに届ける。ステファンは王となり、王女との間に子をもうける。王女はオーロラと名付けられる。マレフィセントはオーロラ生誕の祝いの席に現れ、オーロラは16歳で糸車の針で永遠の眠りに落ち、真実の愛のキスだけがその眠りを解く」という呪いをかける。
ステファンは国中の糸車を白の奥深くで燃やし、3人の妖精(イメルダ・スタウントン、ジュノー・テンプル、レスリー・マンビル)を乳母として王女を森の奥で育てさせる。
しかし、妖精たちの奔放な性格は子育てには不向きで、マレフィセントは遠くで子育てを助けながら、オーロラの成長を見守る。
やがて成長したオーロラ(エル・ファニング)はマレフィセントに出会い、彼女が昔から自分を見守ってくれていたことを感じ、彼女とともに暮らすようになる。しかし、自分に呪いをかけたのがマレフィセントだと知り、人間の国に戻る。ステファンは呪いを恐れ、部屋に閉じ込めておくよう家来に命じるが、彼女は呪いに導かれるように燃やされた大量の糸車が隠された部屋を発見。自ら指を針で突き刺し、眠りに落ちてしまう。
マレフィセントは、オーロラと知り合ったフィリップ王子(ブレントン・スウェイツ)のキスでも呪いが解けないことを知り、自分が一生オーロラを守ると誓う。彼女がオーロラの額にキスをすると、眠りに落ちていたオーロラが目を覚ます。真実の愛のキスは、マレフィセントによりもたらされたのだった。
ところが、マレフィセントは城の兵士に捕らえられてしまう。オーロラは封印されていたマレフィセントの翼を解放し、暴君と化したステファン王にとどめを刺されそうになっていたマレフィセントは元の姿に戻る。ステファン王はマレフィセントに鎖を投げつけ、自由を奪おうとするが、マレフィセントはステファン王ごと城の窓を破って外に飛び出し、見張り台に降りる。マレフィセントはステファン王を殴りつけるが、とどめは刺さずに飛び去ろうとする。ところがステファン王は背後からマレフィセントに襲いかかる。二人はもみ合うように見張り台から落下。マレフィセントは空中に逃れるが、ステファン王は地面にたたきつけられ、命を落とす。
マレフィセントは妖精の国に戻る。オーロラは妖精の国の王女となり、平和に暮らすのだった。

特撮はよくできていて楽しい作品。フィリップ王がキスだけして役に立たないという、ある意味ではキスのやり得のおいしい役どころだった。エル・ファニングは「SUPER8」のヒロインも演じている。

【5段階評価】3

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2016年8月16日 (火)

(1388) フィッシュストーリー

【監督】中村義洋
【出演】伊藤淳史、大森南朋、濱田岳、高良健吾、多部未華子、森山未來
【制作】2009年、日本

伊坂幸太郎原作小説の映画化作品。1970年代のパンクバンドの曲が織りなすドラマを描いた作品。

地球に彗星が衝突することが確実となった2012年。衝突の5時間前に一人の男(石丸謙二郎)がレコードショップにやってくる。地球の滅亡が確実な時期に店を開いている店長(大森南朋)に、男はかみつく。店長は意に介さず、若い店の客に「逆鱗」というパンクバンドの曲を薦める。曲の名は「フィッシュストーリー」だった。
バンドのベーシスト、繁樹(伊藤淳史)は自分たちを買ってくれたプロデューサー、岡崎(大森南朋)の持っていた本、「フィッシュストーリー」をもとに、曲を書き上げる。売れそうにない曲だがよい曲だと確信したボーカルの五郎(高良健吾)は、間奏で思わず岡崎に、この曲売れるのかな、とつぶやく。岡崎はこれを録り直さず、無音にしてレコーディングを終える。この曲はいつしか、無音のところで女性の悲鳴が聞こえるという都市伝説を生み出す。
オカルト好きの有人を持つ気弱な大学生、雅史(濱田岳)は、合コン相手の女性(高橋真唯)に、そんなひ弱では運命の女性を逃すとあおられる。雅史は帰りの道で、フィッシュストーリーの無音の間奏中、女性の悲鳴を聞いてしまう。おそるおそる車を降りた雅史は、強姦魔(滝藤賢一)に襲われている女性(大谷英子)を発見。勇気を振り絞って女性を救う。
修学旅行中の女子高生、麻美(多部未華子)は、フェリーでシージャックに遭う。そこに乗り合わせていたのが、父親に正義の味方として育てられていたコック(森山未來)。コックは超人的な活躍でシージャック犯を次々になぎ倒し、犯人に殺されそうになっていた麻美を救う。
地球に衝突直前の彗星を爆破するため、インドの宇宙船が彗星にミサイルを撃ち込む。ミサイルが彗星を爆破する確率はきわめて低かったが、その弾道の計算をしたのが、シージャックでコックに助けられ、そのたぐいまれな計算能力を買われて宇宙船に乗り込んだ麻美だった。そのコックを正義の味方に育て上げた父親こそが、気弱な大学生だった雅史だったのだ。フィッシュストーリーが生み出した数奇な運命が、地球を滅亡から救ったのだった。

時代を超えた群像劇として描かれたいくつものストーリーが一つにまとまっていくところが見所で、終盤の収束はそれなりによかったが、やや凝り過ぎの感があった。

【5段階評価】3

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2016年8月15日 (月)

(1387) ボディ・スナッチャー/恐怖の街

【監督】ドン・シーゲル
【出演】ケビン・マッカーシー、ダナ・ウィンター、キング・ドノバン
【制作】1956年、アメリカ

謎の生命体に人体を乗っ取られる恐怖を描いた作品。

ある病院に、興奮状態になった男、マイルズ(ケビン・マッカーシー)が運び込まれる。男は医者に対して、自分も医者だと名乗り、自分の身に起こった出来事を話し始める。
彼は学会から自分の街に戻り、恋人のベッキー(ダナ・ウィンター)を乗せて車を走らせていると、目の前に興奮状態の子供が飛び出す。その子は、母親が自分の母親ではなくなったと言い張る。別の女性もまた、叔父が自分の叔父ではない、と主張する。恋人との食事を楽しもうとバーに入ったマイルズは、知人のジャック(キング・ドノバン)からの電話を受け、ベッキーとともにジャックの家に向かう。ジャックはマイルズを家の中に案内する。そこには謎の人体が横たわっていた。それは死体のようだが指紋はなく、ジャックに風貌が似ていた。マイルズはジャックに観察するよう告げ、ベッキーを家に送る。室内は真っ暗で誰もいないようだったが、地下室から父親が現れ、マイルズは辞去する。
ジャックとともに人体を見守っていたジャックの妻、テディ(キャロリン・ジョーンズ)は、それが目を開け、ジャックと同じ手の傷を負っていることに気づき、恐怖する。ジャックとテディはマイルズの家に駆け込む。マイルズはベッキーが心配になり、地下室からベッキーの家に侵入。そこにはベッキーに似た人体が横たわっており、マイルズは熟睡しているベッキーを家に連れ帰る。
4人は庭先の温室の中で、謎の生命体が誕生しようとしていることに気づく。それは豆のさやのような形をしており、中から人体のさなぎのようなものが現れる。マイルズは自分にそっくりの人体をピッチフォークで滅多刺しにして、その場を立ち去る。
マイルズとベッキーは、植物のように発生しているその生命体に、街の人々が乗っ取られ、感情を失った存在に変わっていっていることに気づく。二人は街から逃げ出すが、ついにベッキーも生命体に乗っ取られてしまう。マイルズはベッキーからも逃げだし、隣の町に駆け込んだのだった。
隣町の医師はマイルズの言うことを全く信じなかったが、交通事故に遭った患者を運び込んだスタッフから、車に大量のさやが積まれていたという話を聞き、事態の収拾に向けて動き始める。マイルズはようやく安堵の笑みを浮かべるのだった。

モノクロのSF作品。body snatcherとは死体泥棒のことだが、文字通り人体を奪う生命体を指しているのだろう。周囲の人々が、見た目は何も変わらないまま全く別の存在になっているという恐怖をうまく描いていた。最後はハッピーエンドだが、とってつけたようなエンディング。駆け込んだ街の人々もすでに乗っ取られていたり、ついに主人公も眠りに落ちてしまったりするほうが、カタルシスがあったように思った。

【5段階評価】3

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2016年8月13日 (土)

(1386) またまたあぶない刑事

【監督】一倉治雄
【出演】舘ひろし、柴田恭兵、宮崎美子、伊武雅刀、浅野温子、木の実ナナ
【制作】1988年、日本

テレビドラマ、「あぶない刑事」の劇場版第2作。

国家機密法案の廃止をもくろむ裏の実業家、長峰(伊武雅刀)を、鷹山(舘ひろし)と大下(柴田恭兵)の二人が追う。

前作の駄作ぶりがさらに加速。警官相手に平気で発砲。何もない線路に置かれた時限爆弾。それを巡る命がけの攻防。必然性のない車の転倒。社長室でマシンガンをぶっ放し、最後は二人の銃弾で窓ガラスを割って高層ビルから落ちる犯人。かっこつけてるのがもはやださく見えてしまうのだった。

【5段階評価】2

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2016年8月12日 (金)

(1385) あぶない刑事

【監督】長谷部安春
【出演】舘ひろし、柴田恭兵、仲村トオル、浅野温子、小野みゆき
【制作】1987年、日本

テレビドラマ、「あぶない刑事」の劇場版第1作。

画商の鳴海総太郎(室田日出男)は、傭兵の豹藤(菅田俊)を雇い、製薬会社の制癌剤開発を妨害して株による利益を得る。鷹山(舘ひろし)と大山勇次(柴田恭兵)は、鳴海の秘書、緑(小野みゆき)から情報を得ようとするが、豹藤に仕事仲間の薫(浅野温子)を誘拐され、交換に緑を渡すことになる。
勇次は単身で豹藤の潜伏先に向かい、用済みの緑を殺そうとする豹藤と銃撃戦となる。勇次が心配でかけつけた鷹山は豹藤と一騎打ちとなり、瀕死の重傷を負う。
勇次は傷の癒えきっていない鷹山とともに緑に会い、鳴海の別荘に向かう。そこには豹藤に襲われて虫の息の鳴海がいた。勇次と鷹山は豹藤を追うため、別荘を出るが、鳴海は緑を道連れに手榴弾で自殺する。
勇次と鷹山は豹藤の乗るボートを発見。銃撃戦の末、豹藤を倒す。

それなりには楽しい。退屈ではない。でも、大味な展開で、涙も、たいした笑いも、感動もない。かっこつけてるばかりの作品。

【5段階評価】2

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