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2016年8月26日 (金)

(1396) 切腹

【監督】小林正樹
【出演】仲代達矢、三國連太郎、石濱朗、岩下志麻、丹波哲郎
【制作】1962年、日本

切腹を覚悟する貧しい浪人の復讐劇を描いた作品。

一人の浪人、津雲半四郎(仲代達矢)が井伊家の屋敷を訪ね、苦しい生活を続けるより潔く切腹したいので庭先を貸してほしいと屋敷の家臣(小林昭二)に告げる。家臣は屋敷の家老、斎藤勘解由(かげゆ)(三國連太郎)に報告。ちまたでは、貧しい浪人が切腹すると称して武家屋敷に無心をする行為が横行しており、斎藤は半四郎にある話を聞かせる。
それは、千々岩求女(ちぢいわもとめ)(石濱朗)という浪人が以前、同じようなことを言って屋敷に来たときの話だった。屋敷では家臣の沢潟彦九郎(丹波哲郎)たちが本当に切腹させてやろうと話し合い、求女に湯浴みをさせた上で白装束に着替えさせ、切腹を求めたのだ。求女は狼狽し、一両日中に戻るから一度帰らせてほしいと懇願。沢潟はそれを聞かず、強引に屋敷の庭に切腹の準備をする。しかし、求女が持っていたのは刀ではなく竹光だった。屋敷の武士たちは求女に竹光を渡し、切腹を命じる。
求女は再度、いったん帰らせてほしいと頼むが、勘解由は聞かない。求女はついに竹光を手に取り、何度も腹に突き立てる。ついに竹光が腹を貫き、激しく血が流れ出るが、当然、腹をさばくことはできない。求女は沢潟に介錯を乞うが、沢潟はまだまだ、といって介錯をしない。とうとう求女は自らの舌をかみ切って自害する。
その話を聞かされた半四郎は、全くひるむことなく、自分の刀は竹光ではない、見事に腹をさばいてみせると勘解由に告げる。勘解由はそれならば、と再び、庭に切腹の準備をする。
半四郎は介錯人として沢潟彦九郎の名を上げる。しかし、沢潟は病気で欠勤していた。それを勘解由に聞かされた半四郎は、次いで別の二名の名を挙げるが、その二名もまた病欠なのだった。沢潟は納得せず、勘解由は家来に沢潟らを呼びに行かせる。
待っている間、半四郎は井伊家の面々に身の上話を語り始める。
実は千々岩求女は、半四郎の見込んだ男であり、半四郎の娘、美穂(岩下志麻)の夫であった。二人は仲むつまじく暮らし、息子をもうけたが、美穂が病に伏し、次いで息子も高熱を出すようになったのだという。暮らしに困窮した求女は、半四郎に妻と子の面倒を頼み、金を借りに行くと嘘をつき、恥を忍んで井伊家に無心に来ていたのだった。求女の帰りを待っていた半四郎と美穂のもとに来たのは、無残な求女の遺体を運んできた沢潟たちだった。彼らは求女をあざ笑うようにして求女の家をあとにする。やがて息子も美穂も亡くなってしまい、半四郎には井伊家に対する激しい憎悪がたぎったのだった。
半四郎は求女を運んできた沢潟らに果たし合いを挑み、しかし彼らの命ではなく髷を奪い取っていた。3名の家臣は、病気ではなく、髷を結えなくなったことをごまかすために仮病を使っていたのだった。
半四郎は求女の行為をさんざん責めた勘解由の家臣をあざ笑う。勘解由は井伊家の尊厳を守るため、半四郎を討てと家臣に命じるが、半四郎は剣術の使い手であり、次々と井伊家の家臣を倒していく。しかしついに鉄砲隊が現れるに至り、半四郎は屋敷の中で自らの腹を切る。
勘解由は沢潟らに切腹を命じ、この騒動を闇に葬るしかないのだった。

白黒の退屈な映画だと思ってみていると、不敵な表情で切腹を望む浪人という魅力的な謎が冒頭に示され、その浪人の行動の理由が徐々に明かされていくという、ミステリー仕立ての展開が待っていた。求女が竹光で切腹をするシーンも痛々しく衝撃的だし、半四郎が大勢に囲まれ、斬られてもなかなか倒れず執念深く戦い続けるシーンも、よくあるチャンバラ映画とは全く異なる生々しいできばえ。思わぬ秀作に出会った。

【5段階評価】4

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