(1358) リアル~完全なる首長竜の日~
【監督】黒沢清
【出演】佐藤健、綾瀬はるか、中谷美紀、染谷将太、オダギリジョー、堀部圭亮
【制作】2013年、日本
乾緑郎のミステリー小説が原作の作品。佐藤健と綾瀬はるかが主演ということで、ストレートな恋愛ものかと思いきや、けっこう硬派なSFミステリーである。
恋人同士の藤田浩市(佐藤健)と和淳美(かずあつみ)(綾瀬はるか)は、二人で暮らし続けることを誓い合う仲だった。ところが淳美が謎の自殺未遂を図り、昏睡状態になる。浩市は淳美の回復の手がかりを得るため、医師の相原栄子(中谷美紀)の助力により、センシングを試みることにする。センシングとは、相手の脳に自分の脳波を送り込むことで、相手の意識の中で現実のようにやりとりをする医療技術であった。
浩市は淳美の意識の中で淳美に会い、淳美から、漫画家としてのスランプから抜け出すため、昔描いた首長竜の絵を探してほしいと頼まれる。浩市は現実世界で絵を探し、二人が小学生時代を過ごした飛古根島(ひこねじま)を訪ねる。そこでようやく、彼女の首長竜の絵が描かれたスケッチブックを見つけ出し、浩市は淳美の意識の中で、ともにその絵のもとを訪ねる。しかしスケッチブックは白紙。淳美は抱きしめる浩市の腕の中から姿を消してしまう。
茫然自失として淳美と暮らす部屋に戻った浩市。そこに淳美が現れ、やっと会えたね、と告げる。昏睡状態になっているのは浩市の方だったのだ。淳美は浩市を取り戻すため、彼の意識の中に何度もセンシングを試みていたのだ。
浩市を苦しめていたのは、小学校時代のクラスメート、もりおだった。東京からやってきた浩市に敵愾心を燃やすもりおは、海での浩市とのとっくみあいの結果、波にさらわれて命を落としていた。もりおは浩市を死の世界へ連れ去ろうとするが、淳美が最後の望みを託してセンシングし、浩市を連れ戻そうとする。もりおは首長竜となって二人に襲いかかるが、淳美はタツノオトシゴの入ったペンダントを首長竜に渡し、首長竜は海へと帰っていく。昏睡状態だった浩市は、うっすらと目を開けるのだった。
現実と非現実を描く映像の描写が素晴らしい。ホラー映画のような趣もあり、重厚感のある作品だった。
登場しないのかな、と思わせる首長竜も、最後にしっかりと登場。ここで映像がしょぼいと一気にがっかりするのだが、不自然さを感じさせない、それでいて「ジュラシック・パーク」ほどドヤ顔で登場するわけでもなく、邦画とは思えないほどのできばえだった。ただのアイドル映画ではなく、期待よりかなり見応えのある作品だった。
【5段階評価】3
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