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2014年7月

2014年7月25日 (金)

(1183) ノッティングヒルの恋人

【監督】ロジャー・ミッチェル
【出演】ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント、リス・エバンス
【制作】1999年、アメリカ・イギリス

ハリウッド女優としがない書店店主との恋を描いた作品。

バツイチのウィリアム(ヒュー・グラント)の経営する旅行専門の書店に、お忍びで大女優のアナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)が訪ねる。彼女が店を去ったあと、オレンジジュースを買いに出たウィリアムは、そのオレンジジュースを彼女にひっかけてしまう。
彼女を着替えさせるために、自宅に彼女を招くと、なぜか彼女は、去り際にウィリアムに熱い口づけをする。
アナと再会したウィリアムは、彼女を妹の誕生パーティに招き、楽しいひとときを過ごす。大女優である一方、普通の恋ができない苦しみを彼女は抱いていた。ウィリアムは、そんな彼女を優しく包み込む存在だったのだ。
アナは、若い日のヌード写真がマスコミに暴かれ、ウィリアムのもとに逃げ込んでくる。ウィリアムはアナと一夜をともにする。ところが、同居人のスパイク(リス・エバンス)が、アナが来ていることを外でしゃべってしまったため、翌日、大勢のマスコミがウィリアムの家の前に押し寄せる。アナは激怒してウィリアムのもとを去る。
彼女のことを忘れられないウィリアムは、彼女がイギリスに撮影に来ていることを知り、現場に赴く。彼女はウィリアムに話があるから待っていてと頼むが、彼女が他の俳優に、ウィリアムのことを「過去の人がなにをしに来たのか分からない」と告げているのを聞き、立ち去ってしまう。
次の日、ウィリアムの店にアナが現れ、ウィリアムと暮らしたいと愛を告白する。ところが、ウィリアムは裏切られることを恐れてノーと返事をしてしまう。彼女は寂しげに立ち去る。
仲間と話しているうち、自分のしたことが間違いだったと気付いたウィリアムは、仲間とともに車を走らせ、アナのインタビュー会場に向かう。会場に入り込んだウィリアムは、彼女が「イギリスにはいつまで」という質問に、明日立つと答えるのを聞く。ウィリアムは、インタビュアーのふりをして、もしイギリスで一緒だった男性が、ひざまづいて返事が誤りだったとわびたらやり直すか、と問い、アナはそれに笑顔でそうする、と答える。アナはイギリスにいつまで、という質問を再度させ、それに「永遠に」と答える。こうしてアナとウィリアムは結ばれるのだった。

大女優が自分を好きになるという、若干エロゲー的な展開ではあるのだが、クライマックスのインタビューのシーンは感動的。最後まで声を荒げることのないウィリアムの優しさが、映画のさわやかさにつながっている。

【5段階評価】3

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2014年7月24日 (木)

(1182) 藁の楯

【監督】三池崇史
【出演】大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也、岸谷五朗、山崎努
【制作】2013年、日本

木内一裕原作小説の映画化作品。

孫娘を暴行死させられた富豪の蜷川(山崎努)は、犯人の清丸(藤原竜也)を殺した者に10億円を支払う、という広告を全国紙に打つ。
仲間に裏切られ、福岡で自首した清丸を警視庁に護送するため、SPの銘苅(大沢たかお)は、相棒の白岩(松嶋菜々子)とともに九州に向かう。
極秘裏に護送するはずが、なぜか清丸の居場所はウェブサイト上で明らかにされ、清丸の命に賭けられた10億の懸賞金は、無謀な市民というよりも、警察官や看護師といった者の心を狂わせ、清丸の命は何度も脅かされる。
仲間であるはずの奥村(岸谷五朗)も、体にチップを埋め込み、清丸の居場所をサイトに流していた。銘苅は白岩と二人で清丸を護送するが、清丸は隙を突いて白岩を殴り、中を奪って白岩を撃ち殺す。怒りに我を忘れる銘苅だったが、それでも彼は警視庁に清丸を生きたまま連れてくる。
そこに蜷川が現れ、杖の仕込み刀で清丸に襲いかかるが、銘苅はそれを阻止。清丸は、仕込み刀を拾うと、へたりこむ蜷川に斬りかかるが、銘苅は楯となって刃を受ける。
銘苅は病院に運ばれ、清丸には死刑が宣告されるのだった。

「ビーバップ・ハイスクール」の作者、きうちかずひろの原作も、読んでみるとどことなく文体がつたなく、重みがない。映画も、序盤は面白いのだが、後半に行くに従って荒唐無稽さが目立っていく。ラストの警視庁前で、蜷川が清丸に斬りかかるのは、まあご愛敬としても、落とした刀を清丸が奪って逆に襲いかかる辺りになると、刀をほっておかないで何とかしろよと思っていたら、やっぱりそう来ましたか、ってな感じで展開も読めてしまって、警備体制の無能ぶりに、むしろ唖然としてしまった。残念ながら、大人が見る作品ではなかった。まあ、三池崇史監督らしい作品ではある。

【5段階評価】3

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2014年7月23日 (水)

(1181) 雨あがる

【監督】小泉堯史
【出演】寺尾聰、宮崎美子、三船史郎、原田美枝子
【制作】2000年、日本

武芸に秀でた浪人の生き様を描いた作品。

雨による増水で川を渡れず、宿に泊まっていた浪人の三沢伊兵衛(寺尾聰)は、散歩の最中、武士同士の小競り合いをいさめる。その腕を見た城主の永井和泉守重明(三船史郎)は、剣術の指南番に伊兵衛を推す。
御前試合でその実力を見せるはずが、伊兵衛は相手役となった重明を、勢い余って池に突き落としてしまう。
重明の家臣は、伊兵衛の宿を訪ね、かつて賭け試合をしたことを理由に、指南番の話を取り消す。それを聞いていた伊兵衛の妻、たよ(宮崎美子)は、これまで賭け試合を禁じていたが、大切なのは、何をしたかではなく、何のためにしたかだ、あなたたちでくの坊には分からないだろうが、と話す。
重明の家臣達は立ち去り、伊兵衛とたよは、宿を立つ。重明は家臣の報告を聞くと、伊兵衛を指南番にすると翻意し、馬を駆る。そうとは知らぬ伊兵衛は、たよと二人、静かに旅路を行くのだった。

黒澤明監督が脚本執筆中に亡くなったことで有名な作品。冒頭では、本作を黒澤監督へ捧げると示される。
寺尾聰の誠実で無欲な武士の演技がさまになっており、宮崎美子の糟糠の妻ぶりも品がよい。
伊兵衛が、逆恨みした武士に囲まれるシーンでは、相手の一人が味方の刃を受けて首から血を吹き出す演出がある。おそらくこれは、黒澤明監督の「椿三十郎」のオマージュなのだろう。

【5段階評価】3

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2014年7月22日 (火)

(1180) 天井桟敷の人々

【監督】マルセル・カルネ
【出演】アルレッティ、ジャン・ルイ・バロー
【制作】1945年、フランス

パントマイム役者の恋の行く末を描いたモノクロ作品。

パントマイム役者のバチスト(ジャン・ルイ・バロー)は、美しいガランス(アルレッティ)を見初め、両思いとなる。しかし、ガランスは俳優のフレデリック(ピエール・ブラッスール)と同棲しており、バチストは、役者のナタリー(マリア・カザレス)と結婚し、子供をもうける。
パントマイム役者として大成したバチストは、ガランスと再会。二人は再び愛し合うが、二人が抱き合うところにナタリーが出くわす。ガランスは立ち去り、バチストは引き留めるナタリーを振り払ってガランスを追う。

二部構成の大作。台詞のスピード感は今見てもなかなかのものだが、どうしても展開はだらだらしていて、ちょっと見ていてだるかった。美女役のアルレッティが、登場時点でおばさんなのもつらいところ。

【5段階評価】2

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2014年7月21日 (月)

(1179) カティンの森

【監督】アンジェイ・ワイダ
【出演】マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ
【制作】2007年、ポーランド

第二次世界大戦中、ポーランドで起きた悲劇を描いた作品。

夫のアンジェイ大尉を愛する妻のアンナ(マヤ・オスタシェフスカ)は、娘のニカ(ビクトリア・ゴンシェフスカ)とともに、夫の帰りを待つ。
夫の親友のイェジ(アンジェイ・ヒラ)は、生き残るために仲間を売った自分の行いを悔いて自殺。アンジェイの残していた手帳を入手したアンナは、カティンの森で起きた虐殺で夫が殺されたことを知ることになる。

やや地味な映画だが、史実を描いた作品として、本作の持つ意味は重い。アンナが手記を手にしてから描かれる、カティンの森でのポーランド将校の大虐殺の克明な描写は、二度と繰り返されてはならない人類の狂気として、記憶にとどめなければならないだろう。

【5段階評価】3

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2014年7月20日 (日)

(1178) X-MEN: ファースト・ジェネレーション

【監督】マシュー・ボーン
【出演】マイケル・ファスベンダー、ジェームズ・マカボイ、ケビン・ベーコン
【制作】2011年、アメリカ

アメコミ・ヒーロー、X-MENの活躍を描いた作品。X-MENの統率者であるエグゼビア、マグニートーの誕生が明らかになっている。

第二次世界大戦下、シュミット博士(ケビン・ベーコン)は、金属を操る能力を持つ少年、エリックを発見。シュミット博士は、エリックの母親を目の前で殺し、その悲しみと怒りにより、エリックは能力を覚醒していく。成人したエリック(マイケル・ファスベンダー)は、シュミット博士を追い、元ナチス軍人への復讐を続ける。シュミット博士は、ショウと名を変え、ヘルファイア・クラブというミュータント組織を作り上げる。
一方、人の心を読む能力を持つチャールズ(ジェームズ・マカボイ)は、変身能力を持つレイブン(ジェニファー・ローレンス)とともに、ヘルファイア・クラブを捜査しているCIAに協力することになる。チャールズはミュータント達を仲間にしていくが、シュミットはエネルギーを自分の力に変換する圧倒的な能力を見せ、チャールズの仲間の一人、エンジェル・サルバドーレ(ゾーイ・クラビッツ)はシュミット側に寝返る。
ショウは、キューバ危機に乗じて第三次世界大戦を起こそうと画策するが、チャールズとエリックは協力してそれを阻止。復讐の怒りが収まらないエリックは、チャールズの制止を聞かずにショウを殺害。人間との共生の道を探るチャールズはプロフェッサーXとなり、ミュータントの時代を作り上げようとするエリックはマグニートーとなる。

ミュータントの能力を映像化するところがウリ。羽が生えたり、口から出す超音波で空を飛んだり、すごいような、使えないような、アイディアのつきそうでつきない微妙な面白さがある。

【5段階評価】3

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2014年7月19日 (土)

(1177) 少林寺三十六房

【監督】ラウ・カーリョン
【出演】リュー・チャーフィー、ロー・リエ、ウィルソン・タン、リー・ホイサン
【制作】1978年、香港

少林寺拳法を身につけ、悪政に立ち向かう青年を描いた作品。

圧政を敷く清の役人に親を殺されたユウテイ(リュー・チャーフィー)は、少林寺に入山。三十五房で厳しい修行を積み、立派な武人となる。三節棍を創出し、実力者の戒律院総長(リー・ホイサン)を打ち負かしたサンテイは、三十六房の創設を任される。彼は下山し、正義に燃える若者集め、民を虐げていたサン・タンヨ(ウィルソン・タン)やティエン将軍(ロー・リエ)を倒す。
彼はそのまま、少林寺の外で拳法を学べる道場を興し、若者の鍛錬に勤しむのだった。

少林寺でのユニークな修行の数々が楽しく、主人公が成長していくところは、ゲームのステージクリアのようで面白い。戦闘場面は、ジャッキー・チェンのスピーディな格闘シーンに比べると、どうしても見劣りするのはしかたのないところ。

【5段階評価】3

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2014年7月16日 (水)

(1176) フィールド・オブ・ドリームス

【監督】フィル・アルデン・ロビンソン
【出演】ケビン・コスナー、エイミー・マディガン、レイ・リオッタ、ジェームズ・アール・ジョーンズ
【制作】1989年、アメリカ

今はなき野球選手との再会を果たす人々を描いた作品。

トウモロコシ農家のレイ・キンセラ(ケビン・コスナー)は、あるときから「作れば彼がやってくる」というささやきを何度も耳にするようになる。それが、とうもろこし畑に野球場を作れという意味だと悟ったレイは、妻のアニー(エイミー・マディガン)の理解を得て、無謀にも野球場を造り上げる。
すると、そこに、今は亡き往年の名選手、ジョー・ジャクソン(レイ・リオッタ)が現れる。彼はやがて仲間を連れてくるが、それはレイとアニー、そして娘のカリン(ギャビー・ホフマン)にしか見ることができないのだった。
レイは、次に耳にした「彼の痛みを癒やせ」という言葉の意味を調べるうち、彼というのが、テレンス・マン(ジェームズ・アール・ジョーンズ)という作家であると考え、彼に会いに行く。レイを不審がるテレンスだったが、球場で同じような不思議な体験をしたテレンスは、レイを信用し、彼の造った野球場に向かう。二人は途中で、ヒッチハイクをしている青年(フランク・ホエーリー)を拾う。彼はアーチー・グラハムと名乗る。その名は、かつて大リーグで1イニングだけ出場し、打席に立つことのできなかった選手の名だった。
テレンスもアーチーも、球場にいる選手達を見ることができ、アーチーはいきいきとチームに仲間入りして試合にいそしむ。そこに、レイの生活を心配した親戚が現れ、畑を売却するようレイに勧める。興奮した彼は、抱き上げたカリンをベンチから落としてしまう。カリンが意識を失ったことを知ったアーチーは、もう球場に戻れないことを知りながら、グラウンドから外に足を踏み出す。青年だったアーチーは、あっという間に老人の姿になり、医者としてカリンを助ける。
選手達は、いつものようにトウモロコシ畑の中に消えていくが、そこに一人の男が残っていた。その男は、かつてレイと仲違いしたままとなってしまった、彼の父親、ジョン・キンセラ(ドワイヤー・ブラウン)だった。ぎこちない会話をかわすレイだったが、気持ちを抑えきれずに「父さん、キャッチボールしよう」と声をかけ、二人はいつまでもキャッチボールに興じる。やがて球場には、子供の頃の思い出に浸ろうとする人たちの車が、アメリカ中から列をなしてやってくるのだった。

古き良きアメリカを描いたファンタジー。レイの家族の強い絆が見ていて心地よく、さわやかな感動を与えてくれる。

【5段階評価】3

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2014年7月15日 (火)

(1175) 闇金ウシジマくん

【監督】山口雅俊
【出演】山田孝之、大島優子、林遣都
【制作】2012年、日本

真鍋昌平の漫画が原作のテレビドラマの劇場版。

イベント屋としてのし上がろうとしていた小川純(林遣都)は、資金不足となり、情け容赦ない取り立てをする闇金家業の丑嶋(山田孝之)に借金をする。幼なじみの鈴木未來(みこ)(大島優子)は、借金まみれの母親の代わりに利息分を返済するため、出会いカフェで風俗ぎりぎりの生活を始めるようになるが、純は未來に目を付け、金を返して欲しいと迫る。
イベントは何とか成功するが、借金を返しきれない純は、丑嶋に車で山奥に連れて行かれ、裸で木に縛り付けられる。命乞いをする純に、丑嶋は、借金返済に協力してくれそうな人を3人選べ、と告げる。純は親を含めて3人に連絡を入れるが、誰も反応してくれなかった。そこに未來から電話がかかる。純は最初、未來に助けを乞おうとするが、未來が前向きに生きていく決意を電話口で話すのを聞き、何も言わずに未來を応援する。丑嶋は、電話機を投げ捨てると、純に頭から赤ワインをかけ、車で走り去る。取り残された彼には、無数の虫がたかるのだった。
丑嶋は、最後の未來への取り立てを済ませると、未來のもとを去る。未來は田舎のレストランでまじめに働き始めるのだった。

漫画のいかついイメージとは少し違うような気もするが、山田孝之の演技力は見せてくれる。大島優子の化粧っ気のなさと、崩れた体形の下着姿でうろうろする母親役の黒沢あすかの、蒸し暑そうなアパートの様子が、本作の現実感を引き立てていた。純の体に虫がはりついているシーンは、なかなかおぞましく絶望的。虫がだんだん寄ってくるような演出があったほうが、より絶望感が増したかもしれないが、さすがにそこまでは描かなかったのだろう。

【5段階評価】3

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2014年7月14日 (月)

(1174) キャスト・アウェイ

【監督】ロバート・ゼメキス
【出演】トム・ハンクス、ヘレン・ハント
【制作】2000年、アメリカ

無人島に漂流した男性の生き様を描いた作品。

フェデックス社で仕事にのめり込むチャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、恋人のケリー(ヘレン・ハント)からもらったプレゼントの懐中時計を携え、貨物を積んだ飛行機に乗り込む。
ところが、飛行機は嵐に巻き込まれて海中に墜落し、チャックは見知らぬ海岸に流れ着く。
人のいる気配はなく、チャックは椰子の実を割ったり、火をおこしてカニを焼いたりしながら生き続ける。チャックは漂着した荷物には手を出さずにいたが、とうとうその中身を確認する。たいして役に立つ物は入っていなかったが、バレーボールを神のように扱い、4年以上、生き続ける。
ある日、チャックは、簡易トイレの割れた壁面が漂着しているのを見つけ、それをマスト代わりにして筏で島を脱出することにする。島に打ち付ける波を乗り越えることには成功した彼は、とうとうタンカーに発見され、救助される。
しかし恋人のケリーは、別の男性と結婚し、子供をもうけていた。チャックはケリーと再会し、抱き合う。車で去るチャックに、ケリーはついて行こうというそぶりを見せるが、チャックは家に帰るように諭す。チャックは友人に、自分は2度、ケリーを失ったのだと述懐するのだった。

飛行機の墜落するシーンは大迫力。クルーの溺死体も妙にリアルでおぞましいが、これを登場させることで、チャックが奇跡的に生き延びたことをよく伝えている。無人島での暮らしでも、猛獣が登場したり、猛烈な台風に見舞われたり、といった派手なイベントを用意しないことで、ただただ食料を確保して生き続けることの絶望的な虚無感を伝えている。
無事に帰国してから、ケリーが独り身で待ち続けていたら、結局はハリウッド的なハッピーエンドということになるが、ここも、ケリーが他の男と結婚して家庭を築いており、もはや元の関係には戻れないという設定にすることで、何のために人は生き続けようとするのか、という問いを観る者に投げかけている。

【5段階評価】4

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2014年7月12日 (土)

(1173) ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島

【監督】マイケル・アップテッド
【出演】スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー、ウィル・ポールター
【制作】2010年、アメリカ

「ナルニア国物語」シリーズ第3弾。「ナルニア国物語/第2章: カスピアン王子の角笛」の続編。

イギリスでの生活に退屈さを感じていたルーシー(ジョージー・ヘンリー)とエドマンド(スキャンダー・ケインズ)は、意地悪な性格のユースチス(ウィル・ポールター)とともに、ナルニアの世界に投げ出される。
カスピアン王(ベン・バーンズ)に合流した3人は、7人の貴族が残した剣を集める旅をともにする。旅の途中で、禁断の宝を手にしたユースチスは、火を吐くドラゴンの姿になってしまうが、彼はさまざまな活躍をする。ルーシーとエドマンドは、カスピアン王とともに、悪の誘惑に打ち勝ち、最後はユースチスが手にした7本目の剣の力により、魔を打ち払う。
そこに、ライオンの姿をしたアスラン王(リーアム・ニーソン)が現れる。ネズミの騎士、リーピチープ(サイモン・ペグ)は、二度と戻ることのかなわないアスラン王の領土へと向かい、3人はリーピチープとアスラン王に別れを告げ、イギリスの世界に戻るのだった。

いかにも冒険小説を映画化したという、わくわくするような映像が楽しい作品。特撮は「ハリー・ポッター」シリーズとも雰囲気が似ている。ハリー・ポッター・シリーズは、後半に向かって、どんどんシリアスになり、重苦しい展開になっていくが、本作も、主題は登場人物達の心の葛藤であり、若い兄弟の活躍が主題だった第1作に比べて暗いテーマ設定になっている。

【5段階評価】3

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2014年7月11日 (金)

(1172) 北北西に進路を取れ

【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【出演】ケーリー・グラント、エバ・マリー・セイント、ジェームズ・メイソン
【制作】1959年、アメリカ

スパイの疑いをかけられた男の逃走劇を描いたサスペンス。

会社員のソーンヒル(ケーリー・グラント)は、ある日突然拉致され、タウンゼントと名乗る男(ジェームズ・メイソン)からキャプランというスパイだと疑われ、殺されそうになる。難を逃れたソーンヒルは、自らの手で謎を解明しようとする。鉄道に乗ったソーンヒルは、そこでイブ(エバ・マリー・セイント)という美女に出会う。彼女はなぜかソーンヒルをかくまうが、彼女はタウンゼントのふりをした黒幕、ビンセントの手下だった。イブはソーンヒルを人気のない平原に向かわせるが、そこにセスナ機が現れ、ソーンヒルは銃撃を受ける。何とか逃げおおせたソーンヒルは、戻ったホテルでイブを見かけ、彼女の部屋に向かう。彼女は、オークションハウスにいるビンセントのもとに向かうが、ソーンヒルも彼女を追う。ビンセントは、機密情報の入った人形を落札し、会場を立ち去る。ビンセントの手下に囲まれたソーンヒルは、わざと騒ぎを起こして警備員とともに会場を抜け出す。そこに教授(レオ・G・キャロル)と名乗る老人が現れ、ソーンヒルに事情を説明する。彼の話では、イブはビンセントの組織に送り込んだスパイであり、キャプランは教授らが作り出した架空のスパイであるということだった。
ソーンヒルは、イブを救う作戦を遂行し、人形を奪って彼女とともに、歴代大統領の顔の彫刻で有名なラシュモア山に逃げ込む。ビンセントの一味に追われたソーンヒルとイブは、断崖から落下しそうになるが、そこに助けが現れて救出され、二人は寝台車で愛し合うのだった。

タイトルはとても有名なので、名作サスペンスなのかと思いきや、ストーリーは分かりづらく、かといってどんでん返しのカタルシスもない、退屈な作品だった。おそらく、イブがソーンヒルを撃ち殺すという狂言が山場なのだろうが、さすがに、この展開は、いろいろな作品で見飽きていたのだった。

【5段階評価】2

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2014年7月 9日 (水)

(1171) 舟を編む

【監督】石井裕也
【出演】松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー
【制作】2013年、日本

三浦しをん原作小説の映画化作品。辞書編纂に取り組む人々を描いた作品。

玄武書房に勤める馬締(まじめ)(松田龍平)は、言葉に対するセンスを買われ、辞書編集部の荒木(小林薫)にスカウトされ、国語辞典「大渡海」の編纂に取り組むことになる。
やがて馬締は、大家の孫娘、香具矢(宮崎あおい)に恋をし、思いを遂げる。先輩社員の西岡(オダギリジョー)らの支援のもと、13年の時を経て大渡海は完成。監修者の松本(加藤剛)は故人となり、完成式には未亡人の千恵(八千草薫)が出席し、馬締をねぎらう。
馬締は香具矢と人生をともにすることを改めて誓うのだった。

パソコンなどが登場しつつも、紙と鉛筆で編集を進める古き良き時代のにおいがただよう作品。馬締の住むアパートも、昭和の香り漂う意匠で、この辺りの作り込みには好感が持てた。
原作もたまたま読んでいたのだが、言葉へのこだわりを感じつつも、少々軽薄な恋愛小説のような印象も持ったので、それに比べれば、映画のほうが重厚感があり、胸を打った。

【5段階評価】3

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2014年7月 8日 (火)

(1170) フレフレ少女

【監督】渡辺謙作
【出演】新垣結衣、永山絢斗、内藤剛志
【制作】2008年、日本

応援団に入った女子高生の活躍を描いた作品。

文学少女の百山桃子(新垣結衣)は、高校球児の大嶋(本多拓人)の応援のため、応援団に入団。たった一人の部員、山本(永山絢斗)とともに部員を勧誘し、最小限の5人を揃える。しかし、応援はさんざんで野球部は敗退。大嶋は夢を追って転校してしまう。
団長となった桃子だったが、夢を失い、退部を考えていたところ、OBの柳原(内藤剛志)の強引な計らいで合宿を行うことになる。合宿を通じて、努力した者にこそ、他人を応援する資格があるということを学ぶ。一皮むけた桃子は、地区大会決勝まで進んだ野球部を応援。野球部は見事に勝利する。
学内でも常に学ランを来ていた桃子は卒業を迎え、セーラー服に着替えると、山本の胸に飛び込み、第二ボタンをゲットするのだった。

アイドル映画と言えばそれまでであり、残念ながら最後まで新垣結衣の声はか細く、聞いていてツライものがあったが、応援シーンはけっこう感動的で目頭が熱くなった。泣ける映画はよい映画なので、評価は4。

【5段階評価】4

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2014年7月 7日 (月)

(1169) ハンガー・ゲーム

【監督】ゲイリー・ロス
【出演】ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン
【制作】2012年、アメリカ

24人の若者が殺し合うゲームを描いた作品。

戦争に懲りた近未来の世界で、過去の痛みを忘れないよう、若い男女24人が、一人の勝者が出るまで殺し合いを行う。
妹の代わりに出場を志願したカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、抽選で選ばれた少年、ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)とともに試合に臨む。
カットニスは、持ち前の慎重さと弓の腕で生き残り、最後まで地区の仲間、ピータを守り、勝者となる。

智に長けた策略があるわけでも、どんでん返しや裏切りがあるわけでもなく、ヒロインと相手役だけが生き残るというすがすがしい展開。後先をどう考えているのかを全く示さずに対戦相手が結託してみたり、地雷を誘爆させたら敵側の確保した物資が木っ端微塵になったり(それは確保していた側がアホすぎだろう)、様々な凶器があったにもかかわらず、最後の生き残りはカットニスとピータに素手で挑みかかったり、展開はお粗末で、「カイジ 人生逆転ゲーム」や「ライアーゲーム」のような作品を期待するわけにはいかなかった。
ただ、試合に挑むまでの準備の場面の描き方や、未来都市と炭鉱部落を対比させたような近未来の世界観を丁寧に作り上げている辺りはよかった。
ヒロイン役のジェニファー・ローレンスが、絶世の美女というわけではなくて、ちょっと泥臭さを感じさせるところが、逆に大衆にこびずに強く生きる女性を好演していた。

【5段階評価】4

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2014年7月 4日 (金)

(1167) スターシップ・トゥルーパーズ2

【監督】フィル・ティペット
【出演】リチャード・パージ、コリーン・ポーチ
【制作】2004年、アメリカ

エイリアンと戦う人類を描いたSF作品。「スターシップ・トゥルーパーズ」の続編。

昆虫型の宇宙生物と死闘を繰り広げる人間側の軍は、何とか塔内に逃げ込むが、仲間の中に昆虫に寄生された者がおり、次々と兵士が宇宙生物の仲間になっていく。
女性兵士のサハラ(コリーン・ポーチ)と、塔内に閉じ込められていたダックス(リチャード・パージ)は、寄生された人間達を振り払い、塔の屋上に向かう。そこに救助艇が到着し、サハラは救助艇に乗り込むが、ダックスは自分は上官を殺害した人間だと告げ、と星に残る。
ダックスは英雄として歴史に名を刻まれるのだった。

宇宙空間や地球外の惑星を舞台に、圧倒的な数の昆虫型生物と人類との死闘を描いた第1作に比べると、施設内という閉鎖環境で、寄生された人間同士の戦いが中心の本作は、ゾンビ・ホラーに近い作風となっている。前作のスケール感を期待した人には相当ものたりない作品。低予算だけにしかたないと言える。

【5段階評価】3

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(1168) スターシップ・トゥルーパーズ3

【監督】エド・ニューマイヤー
【出演】キャスパー・バン・ディーン、ローラ・ベック、スティーブン・ホーガン
【制作】2008年、アメリカ

SF映画、「スターシップ・トゥルーパーズ」の第3作。

昆虫型宇宙生物との死闘が続く人類。捕獲したブレイン・バグに洗脳されたアノーキ総司令官(スティーブン・ホーガン)が、人類の前線基地をわざと壊滅させ、大型の宇宙生物による支配を受け入れようとする。
歩兵隊の英雄、リコ(キャスパー・バン・ディーン)は、かつての恋人、ローラ(ジョリーン・ブラロック)ら、仲間を救出するため、ローラの不時着した惑星に向かう。そこではアノーキが宇宙生物に取り込まれていたが、間一髪でローラを救出する。大型のバグは、人類の開発した惑星爆弾により壊滅。ローラは恋人のディックス(ボリス・コドジョー)と結ばれる。

本作も、第2作と同様、予算は抑え気味で、やはり第1作に比べるとやや見劣りのするできばえ。残念ながら、1作目が一番面白い、というジンクスの典型となるシリーズだった。

【5段階評価】3

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2014年7月 3日 (木)

(1166) ストロベリーナイト

【監督】佐藤祐市
【出演】竹内結子、西島秀俊、大沢たかお、金子賢、三浦友和
【制作】2013年、日本

誉田哲也の小説が原作のテレビドラマ、「ストロベリーナイト」の劇場版。

暴力団組員の連続殺人事件が発生。捜査に当たっていた刑事の姫川玲子(竹内結子)は、「犯人は柳川健斗」というたれ込み電話を受ける。しかし、上司の橋爪(渡辺いっけい)や信頼している今泉(高嶋政宏)までもが、柳川には触れるな、と姫川に指示する。
柳川の父は、娘殺しの疑いをかけられて警察に誤認逮捕され、それがもとで、息子の健斗の前で死を選んでいた。警察は、事件に柳川健斗が関わっていることが分かると、過去の不祥事が明るみに出るため、それをひた隠しにしようとしており、連続殺人事件を暴力団の内部抗争によるものと結論づけようとしていた。橋爪や今泉も、尊敬する和田(三浦友和)に迷惑が及ばないよう、姫川に捜査から手を引くよう進言していたのだった。
姫川は、菊田(西島秀俊)をはじめとする姫川班の仲間が心配する中、仲間を巻き込まないよう、単独で捜査を行い、牧田(大沢たかお)という不動産業者に出会う。牧田は少年の頃、父親を死に追い込んだ暴力団を復讐のために刺殺し、服役するという過去を持っていた。高校生時代にレイプされたという暗い経験を持つ姫川は、捜査を続けるうちに、暗い過去を持つ牧田と深い関係に陥っていく。菊田は複雑な感情でそれを見届ける。
柳川の姉の千恵(横山美雪)は、妻を亡くした父親にレイプされており、逃げ込んだ恋人のチンピラ、小林(金子ノブアキ)に殺害されていた。牧田は、柳川を情報屋として雇ううち、柳川に感情移入して彼の復讐の手助けをするようになり、小林に手を下せない柳川に代わって小林を殺害していた。柳川を追い続けていた姫川は、牧田の殺害の場面を録音していたファイルを入手。牧田の自供を促すため、牧田に接近する。そこに、腹心の川上(金子賢)が忍び寄り、姫川を刺し殺そうとする。とっさに姫川をかばった牧田は、川上の手により命を落とす。連続殺人は、牧田を慕う川上が、事件を闇に葬るために行っていた偽装工作だった。
警察幹部は、最後まで事件の真相を隠そうとするが、和田はマスコミ発表の席で、事件は過去の警察の誤認逮捕と隠蔽工作が原因で起きたという真相を語る。姫川はそれを複雑な表情で見守るのだった。

近親相姦や強姦という、タブーに近い題材を用いている辺りは、ちょっと犯則技だが、テレビでは扱いづらいテーマであり、映画としてはなかなか面白い作品だった。とは言え、川上が牧田を刺し殺してしまうという展開は、ちょっとやりすぎで、こちらは逆に映画ゆえの空々しさも感じた。

【5段階評価】3

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