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2014年1月

2014年1月29日 (水)

(1098) おもひでぽろぽろ

【監督】高畑勲
【出演】今井美樹(声)、柳葉敏郎(声)、本名陽子(声)
【制作】1991年、日本

小学校5年生の時代の淡い思い出を胸に、山奥の農村で休暇を過ごす女性を描いた作品。

東京勤めのOL、タエ子(今井美樹)は27歳。10日間の休暇をとり、山形の農村でベニバナの収穫を手伝いに行くことにする。彼女は列車の中で、なぜか小学校5年生の頃の思い出に浸っていた。おいしくなかった高級パイナップル、野球が得意な隣のクラスの男の子、生理と思われたくなくて体育を休みたくないと思ったこと、エナメルのバッグがほしくてだだをこねたこと。全てがささいでかけがえのない思い出だった。
目的の駅に着いた彼女を出迎えたのは、最近、脱サラをして農業にいそしむようになった青年、トシオ(柳葉敏郎)だった。二人は自然と、気さくな会話をする間柄となる。
タエ子は、父親にたった一度ひっぱたかれた思い出を、居候している家に住む少女、ナオ子(渡辺昌子)に話したりしながら、田舎での日々を過ごす。
そして帰る直前、タエ子は、その家のおばあさん(伊藤シン)から、トシオの嫁に来てくれないか、と突然頼まれる。とまどいのあまり、家を飛び出してしまい、雨の中、橋の上でたたずんでいたタエ子を偶然見つけたトシオは、彼女を車に乗せる。タエ子は本家に帰りたくないから、とトシオにドライブを頼む。彼女は、小学校5年生のとき、不潔で嫌われていた男の子が転校することとなり、先生の発案でみんなと握手をすることになったのだが、彼が自分にだけは、おまえとは握手してやらない、と言った、という思い出話をトシオにする。トシオは、それはその男の子が妙子を好きだったのだ、と見抜く。タエ子は、そんな話をするうち、トシオを一人の男性として意識し始めていることに気付くのだった。

田舎のゆったりとした時間の流れの中で、タエ子の恋心もまた、ゆっくりと育まれていくようすが、かざらずにほほえましく描かれている。涙ものの感動や、抱腹絶倒のエピソードや、見たことないような映像美はなく、そうそうこんな子供時代だったよな、と思い出すような思い出さないような、なんとも微妙な作品だった。

【5段階評価】3

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2014年1月28日 (火)

(1097) 火垂るの墓

【監督】高畑勲
【出演】辰巳努(声)、白石綾乃(声)、山口朱美(声)、志乃原良子(声)
【制作】1988年、日本

野坂昭如の小説、「火垂るの墓」が原作のスタジオジブリアニメ。

第二次世界大戦中の神戸。中学生の清太(辰巳努)と4歳の節子(白石綾乃)は、大空襲で家を焼かれ、母親(志乃原良子)も大やけどを負って死亡してしまう。清太は、母親が亡くなったことは節子には隠し、親戚の叔母(山口朱美)の家の世話になる。ところが、叔母は、戦争のために何も働いていない二人をしだいに疎ましく思うようになり、耐えきれなくなった清太は節子とともに叔母のもとを出ると、誰も使っていない防空壕で暮らすようになる。
近くの池には蛍が飛んでおり、清太はそれを捕まえて蚊帳の中に放つ。美しい輝きを放つ蛍だったが、すぐに死んでしまい、節子は蛍のために墓を作る。
清太は母親の残していた預金で食糧を調達していたが、やがてそれも尽き、節子は衰弱していく。清太は近くの畑を荒らしたり、空襲時の火事場泥棒などで食料を確保していたが、とうとう節子は衰弱死してしまう。
清太は自らの手で節子を荼毘に付し、その骨を、節子が好きだったサクマ式ドロップスの缶の中に入れ、自らも、節子との思い出とともに駅舎で餓死するのだった。

こんな時代にさえ生まれていなければ。そう思わずにはいられない、戦争孤児の悲惨な結末。衰弱して目の焦点が定まらない節子の表情が胸を締め付ける。ようやく戦争が終わったのに、買ったスイカを口に含ませても、食べる元気もなくなってしまう節子に、中学生の清太にはなすすべもなく、そのまま衰弱死させてしまう。飽食の時代に生き、金さえあれば何でもできると錯覚している我々だが、画面の向こうにいる、このいたいけな二人に、手をさしのべることすらできないという現実に、茫然自失とするしかないのだった。

【5段階評価】3

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2014年1月27日 (月)

(1096) 攻殻機動隊 ARISE border:1

【監督】むらた雅彦
【出演】坂本真綾(声)、塾一久(声)、松田健一郎(声)
【制作】2013年、日本

士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」の劇場版。自分の上官の殺害の謎に迫る女性サイボーグの活躍を描いている。

サイボーグの草薙素子(坂本真綾)は、帰国した空港で恩師のマムロ中佐(宮内敦士)の死を知らされ、その調査を進める。公安9課の荒巻(塾一久)は、調査のため、マムロの墓を掘り起こすが、中には少女型の自走地雷が仕込まれていた。素子は自走地雷を倒し、荒巻を救う。
その後、素子は、自走地雷の幻影を見るようになり、時折、右手がしびれて動かない、という症状も現れる。やがて素子は、自分の記憶が何者かに操作されていることに気付く。走行車両のロジコマ(沢城みゆき)の力を借りて真実の映像を見た素子は、自分がウィルスに感染していることを知る。犯人は教官のサイボーグ、ライゾー(星野貴紀)だった。素子は激闘の末、ライゾーを倒す。そこに素子の上司、クルツ(浅野まゆみ)が現れ、真相を明かす。
実は素子は、空港を出た後、マムロの遺体を発見。そこで彼の記憶を読み取る際にウィルスに感染してしまっていたのだった。マムロは501組織の存続のため、葬られていた。
素子は偽りの記憶を消去する。彼女を育てた女性の存在も、はかなく消滅するのだった。

もともと複雑なストーリーである上に、SFとしての設定も十分に観客と共有されていないまま、登場人物が次々と現れる。分かったような分からないような結末にもやもやする作品だった。「イノセンス」は映像と音響がすばらしく、ジャパニメーションの力を感じたが、本作は「イノセンス」から10年近く経った作品であるにもかかわらず、映像は比較的チープでサイボーグ同士のアクションシーンも、今ひとつ映像的な驚異がなく、残念だった。連作物の1作目、という点も、ストーリーの希薄さ、尻切れトンボ感に拍車を掛けていた。

【5段階評価】2

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2014年1月26日 (日)

(1095) カーズ

【監督】ジョン・ラセター
【出演】オーウェン・ウィルソン(声)、ラリー・ザ・ケーブルガイ(声)、ボニー・ハント(声)
【制作】2006年、アメリカ

車が主役のディズニー・アニメ。利己主義的な性格のレースカーが、素朴な仲間とのふれあいを通じて友情を学んでいく。

全米最大のカーレース、ピストンズカップに出場しているルーキーのライトニング(オーウェン・ウィルソン)は、次のレースで勝てば優勝という地位にいた。ところがレース会場への移動中、さびれた町、ラジエーター・スプリングスに迷い込んでしまう。
暴走して車の舗装を痛めてしまった彼は、裁判で有罪となり、道の舗装をさせられることになる。ライトニングは脱走を試みるが、ガソリンを抜かれ、遠くまで走れず、しかたなく舗装を始める。
はじめはいやがっていたライトニングだったが、錆びたレッカー車のメーター(ラリー・ザ・ケーブルガイ)、弁護士のサリー(ボニー・ハント)らと仲良くなり、町になじむようになる。しかし、元レースカーで伝説のヒーロー、ハドソン・ホーネット(ポール・ニューマン)が電話でライトニングの居場所を関係者に知らせ、ライトニングはレースに連れて行かれる。
レースに出場しようと意気込むライトニングのもとに、ラジエーター・スプリングスの仲間達が駆けつけ、ハドソンが監督を務める。ライトニングは、仲間の協力で見事な走りを見せ、優勝の一歩手前までこぎつけるが、ライバルのチック・ヒックス(マイケル・キートン)の卑怯な走行のせいで、ベテランレースカーのウェザース(リチャード・ペティ)が走行不能となったのを見ると、ゴールライン手前で停止し、ウェザースを後ろから押してゴールさせる。
観客は優勝したチック・ヒックスには目もくれず、仲間をいたわる行動に出たライトニングを賞賛。大手スポンサーが彼を迎えようとするが、ライトニングはラジエーター・スプリングスの仲間達と一緒になることを決めるのだった。

コミカルなキャラクターの造形がかわいくて、レースで仲間達がピットクルーとなって活躍するシーンは痛快、ゴールのシーンは感動的。三拍子揃った楽しい作品だった。
カーズといわれると、どうしても呪いの魔法を思い浮かべてしまうのは、FFユーザーの宿命だった。

【5段階評価】4

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2014年1月25日 (土)

(1094) 人間の証明

【監督】佐藤純彌
【出演】松田優作、岡田茉莉子、ハナ肇、ジョー山中、岩城滉一、ジョージ・ケネディ
【制作】1979年、日本

東京で黒人が刺殺された事件を追う刑事と容疑者を描いた作品。

ファッションデザイナーの八杉恭子(岡田茉莉子)のファッションショーの会場に、胸を刺された若い黒人男性(ジョー山中)が現れ、死亡する。刑事の棟居(松田優作)は、横渡(ハナ肇)とともに事件を追う。殺されたのはニューヨークのスラム街に住むジョニー・ヘイワード。父親(ロバート・アール・ジョーンズ)が当たり屋までして渡航資金を稼いでいた。
彼は戦争直後のものと鑑定された古い麦わら帽子と西条八十の詩集を持っており、棟居は彼が実の母親に会いに日本に来たのではないかと推察する。
棟居と横渡は捜査を進め、八杉恭子が戦後、米兵相手のバーで働いていたことをつきとめる。二人は八杉恭子がジョーの母親ではないか、と推理するが、恭子は認めなかった。
一方、恭子の息子、恭平(岩城滉一)は、ひき逃げ事件を起こし、それを知った恭子は息子をニューヨークに行かせていた。恭子のアリバイをくずすため、棟居はニューヨークに飛び、ケン・シュフタン刑事(ジョージ・ケネディ)とともに、ジョニーの父親と恭平を探す。そのとき棟居は、シュフタン刑事の手の甲に、見覚えのある入れ墨があるのを発見する。それは、戦後間もない頃、棟居の父親を暴行しさせた米兵の一人がしていた入れ墨と同じだった。シュフタン刑事は、棟居の父親を殺した張本人だったのだ。
二人は恭平を見つけ、逃走する恭平を追いかけるが、シュフタンは拳銃を抜いた恭平を射殺してしまう。棟居は何人日本人を殺すんだ、とシュフタンに怒りの言葉をぶつける。
帰国した棟居は、ファッションショーの審査発表会場に向かい、恭子に恭平が射殺されたことを伝える。恭子は審査で優勝するが、スピーチで罪の告白をすると、西条八十の詩に歌われている霧積に向かい、身を投げる。
シュフタン刑事は、ジョニーの父親にジョニーの遺品を届けるが、父親はすでに息絶えていた。スラムの建物を出たシュフタンは、彼に手荒な捜査を受けた黒人に腹を刺され、命を落とす。彼がかつて、日本人をなぶり殺したのと同じような、みじめな死に様だった。

原作小説を手に取りたくなるような重厚なストーリー。関係する土地もあちこちにまたがるのも、作品に深みを与えていた。
観客に想像させるだけではなく、母を慕って日本に来たジョニーが、母親に刺し殺されたときの絶望感を映像としてしっかり描いており、涙を誘った。
ただ、恭子が、息子のジョニーを殺すしかなかった過程を、もう少し描いて欲しかった気もした。

【5段階評価】4

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2014年1月24日 (金)

(1093) 世界侵略: ロサンゼルス決戦

【監督】ジョナサン・リーベスマン
【出演】アーロン・エッカート、ラモン・ロドリゲス、ミシェル・ロドリゲス、ニーヨ
【制作】2011年、アメリカ

ロサンゼルスに来襲したエイリアンと米軍兵との死闘を描いた作品。

地球に謎の隕石が大量に落下。しかしそれは直前に減速しており、地球外生命体が乗り込んでいた。退役間近のナンツ二等軍曹(アーロン・エッカート)は、ウィリアム・マルティネス少尉(ラモン・ロドリゲス)の指揮下に入り、ロサンゼルス市街に取り残された民間人の救出に向かう。
市街地はエイリアンの攻撃で壊滅状態となっており、マルティネスの隊は孤立しながらも4人家族を発見。彼らを守りながら防衛ラインへの帰還を目指すが、強力なエイリアンの攻撃の前に次々と隊員を失っていく。
マルティネスは民間人を守るため、自らを犠牲にして爆死。ナンツは隊の指揮権を担い、民間人とともに救出用のヘリに乗り込む。
しかし、エイリアンの母艦を発見した彼は、単身で母艦に向かうことを決意。若い隊員もそれに続き、見事に母艦の破壊に成功。地球は侵略から逃れるのだった。

プライベート・ライアン」のような戦争映画、「2012」のようなパニック映画、「インデペンデンス・デイ」のようなSF映画。これらを足して3で割ったら、どうしてこんなつまらなくなるのか、不思議な作品。
まず、大勢の登場人物を同時に描こうとしすぎている。観客はそんなに同時に覚えきれない。そして、エイリアンの恐ろしさがあまり描かれていない。「エイリアン」のようにどうしようもなく強いとか、「スターシップ・トゥルーパーズ」のようにどうしようもなく大量とか、「ブラックホーク・ダウン」のようにどうしようもなく敵愾視とか、つかまるとどれだけむごたらしいことになるか、という恐怖感がない。そんな理由からか、何とも感情移入の難しい作品になっている。
この手の作品は、何かしらほろっとさせるところがあるのだが、特にそういう場面もなかった。どちらかというと、地球を舞台にしたSF作品の中では、「第9地区」の雰囲気に近いものがあった。

【5段階評価】2

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2014年1月23日 (木)

(1092) 英国王のスピーチ

【監督】トム・フーパー
【出演】コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーター
【制作】2010年、イギリス・オーストラリア

吃音症を抱えるイギリス国王が、言語療法士とともに、その障害を克服する過程を描いた作品。第83回アカデミー賞作品賞受賞作品。

イギリスの王子、アルバート(コリン・ファース)は、生来の吃音症で、博覧会の閉会式のスピーチで周囲を落胆させる。
妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、オーストラリア出身の言語療法士、ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)に治療を依頼。ローグの療治が始まる。
父親のジョージ5世(マイケル・ガンボン)が死去し、いったんはアルバートの兄、デビッド(ガイ・ピアース)が王位に就くが、彼は愛する女性を選んで王を退き、アルバートが王となる。
アルバートは、イギリスとドイツが戦争に突入するにあたってのスピーチを行うこととなる。ローグは、私に向かって友人に話しかけるように、とアドバイス。彼の見守る中、アルバートは何とかスピーチを終えると、家族とともにバルコニーに出て、王らしく大観衆に手を振るのだった。

吃音症が肉体的な疾患ではなく、精神的なものであるという設定のもと、ローグがいかにアルバートの心の重しを取り除き、彼を救済していくのか、に焦点が当たるわけだが、最後まで、アルバートはそれほど王の重圧から解放されるわけではないし、バラ色の未来が広がるわけでもない。王族と植民地の平民という身分の差についても、それほどおかしく描かれるわけではない。ローグの妻が、自分の家に王と王妃が来ていることに目を丸くするシーンは面白かったが。
本作を観る前は、吃音症に悩む王が、最後は迫力ある演説をして観衆を興奮のるつぼにたたき込むような展開をイメージしていたが、最後のスピーチは、どちらかというとハラハラするような、少々危なっかしい感じもする口調だった。現実味があっていいという気もする反面、少しおとなしすぎる気もした。とは言え、コリン・ファースの吃音症の演技は真に迫っており、すばらしかった。

【5段階評価】3

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2014年1月22日 (水)

(1091) ソーシャル・ネットワーク

【監督】デビッド・フィンチャー
【出演】ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド
【制作】2010年、アメリカ

フェイスブックの創設者、マーク・ザッカーバーグを描いた作品。

ハーバード大学の大学生、マーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、彼女(ルーニー・マーラ)に振られた腹いせに、ブログに彼女の悪口を書いた上に、女子学生の写真を比較するサイトを立ち上げ、大学のサーバをパンクさせる。
彼は大学から厳しく罰せられるが、ボート部の双子、ウィンクルボス兄弟(アミー・ハーマー)は彼の実力を認め、学生向けのコミュニティサイトのプログラマーに指名。しかしマークは、自分なりのアイディアで、友人のエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)とともに、「The Facebook」を立ち上げる。
サイトは有名になり、音楽配信サービスNapsterの創設者、ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)が興味を示す。マークはショーンに会い、彼のセンスに共感を覚える。
エドゥアルドは、遅刻をしても悪びれないショーンが気に入らなかったが、マークはショーンのアドバイスに従って、本拠をカリフォルニアに移し、エドゥアルドに断りなく運営を進める。
怒ったエドゥアルドは、資金のある口座を凍結。マークはあわててエドゥアルドに電話をし、50万ドルの融資を受けることが決まったとエドゥアルドに告げる。
ところが、マークとショーンはエドゥアルドに持ち株の契約をさせると、増資により彼の持ち分を0.03%にしてしまう。怒ったショーンはマークを告訴。ウィンクルボス兄弟も、自分たちのアイディアを盗用した、とマークを訴え、マークは2件の訴訟を抱えることになる。
弁護士は和解を勧め、マークはそれを飲むが、それでも彼は最年少の億万長者となるのだった。

フェイスブック誕生秘話や大ヒットの秘密や苦労が興奮を持って描かれているかというと、利権に絡むどろどろの訴訟合戦が主軸となっており、夢のあるサクセスストーリーというわけではない。主人公をヒーローとして描かず、女性にも興味を持った普通の青年として描いている辺りは現実味があった。

【5段階評価】3

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2014年1月21日 (火)

(1090) ステキな金縛り

【監督】三谷幸喜
【出演】深津絵里、西田敏行、阿部寛、中井貴一、小林隆、竹内結子、KAN
【制作】2011年、日本

被告人を金縛りにさせていた幽霊を証人として出廷させることで巻き起こる騒動を描いた作品。豪華なキャストで魅せる三谷ワールド全開のコメディ。

ダメ弁護士の宝生エミ(深津絵里)は、とある殺人事件の容疑者の弁護を頼まれる。
妻殺しの容疑者となった矢部五郎(KAN)は、事件当日は、旅館で金縛りに遭っていたとエミに説明。エミは旅館に向かい、落ち武者の幽霊、更科六兵衛(西田敏行)に出会う。
エミは六兵衛を証人として出廷させようとするが、六兵衛はほとんどの人には見ることができない。検察側の弁護士、小佐野徹(中井貴一)は証言は無効だと主張するが、エミと上司の速見(阿部寛)は磁石と砂鉄を使って六兵衛の存在を可視化。裁判は続行される。
そして実は、小佐野にも六兵衛が見えていた。幽霊が見える条件は、死を身近に感じ、仕事がうまくいっておらず、シナモンを食べていること。はじめは否定する小佐野だったが、六兵衛とエミが、小佐野の愛犬をあの世から連れてきて小佐野に会わせ、小佐野も幽霊を証人とした裁判を続けることにする。
しかし、小佐野はかつて間者の容疑で打ち首となった落ち武者の証言に信憑性はない、とまっこうから六兵衛を攻撃。やがて六兵衛にはあの世に連れ去られていく。
エミは、被害者である鈴子(竹内結子)の霊を探すことができないことから、実は鈴子は死んでいないのでは、との仮説にたどり着く。実は死んだのは鈴子ではなく、うり二つの姉の風子(竹内結子、二役)であり、その風子を殺害したのが鈴子だったのだ。
証言台でしらを切る鈴子に、エミはシナモンを浴びせる。すると、そこに風子の霊が現れ、犯人は鈴子だ、と主張。これにより、矢部五郎は無事、無罪となる。
霊界に戻った六兵衛は、エミの父親(草彅剛)の霊を現世に連れてくるが、すでにエミには霊を見る能力はなくなっていた。六兵衛はハーモニカで父親の存在を知らせ、エミは父親の霊とつかの間の温かなひとときを過ごすのだった。

思わず声を上げて笑ってしまうようなシーンもあり、楽しめた。テンポもよく、法廷でのやりとりも小気味よい。
大量の登場人物がいながら、それぞれがほどよくストーリーにからんでいるので、客寄せのために、ただただ有名俳優を並べ立てただけ、というのが透けて見えるようなあざとさは感じられない。終盤の父親とのからみはちょっとダレたが、期待を裏切らない面白さだった。

【5段階評価】4

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2014年1月20日 (月)

(1089) 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]永遠の物語

【監督】新房昭之
【出演】悠木碧(声)、斎藤千和(声)、喜多村英梨(声)、加藤英美里(声)
【制作】2012年、日本

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語」の続編。

まどかの親友だったさやか(喜多村英梨)のソウルジェムはグリーフシードとなって魔女を生み出し、さやかの体は死体となる。魔法少女とは、凶悪な魔女になる運命を背負った少女のことであり、キュゥべえの役割は、魔法少女が魔女になるときの感情エネルギーを収集することにあったと知り、まどか(悠木碧)はショックを受ける。
魔法少女の杏子(野中藍)は、さやかを救うため、まどかを連れて魔女の結界に入り込むが、命を落とす。
これまで、まどかが魔法少女になろうとすることをことごとく阻止してきたほむら(斎藤千和)だったが、実はかつては、彼女の方が魔法少女のまどかに守られる存在だった。時間を操る能力を持つほむらは、まどかが絶体絶命の危機で身をなげうって魔女に挑んで命を落としたことから、自分がまどかを守れる存在になることを願って魔法少女になり、まどかが命を落とさないよう、何度も過去にさかのぼり、まどかとのやりとりをやり直してきたのだった。
しかし、その結果、まどかに強力な魔法の力が集結し、最凶の魔女となる資質が備わってしまう。ほむらの繰り返してきたことこそが、まどかをそのような存在に変えていたことに気付き、ほむらは愕然とする。
強大な魔女が訪れる「ワルプルギスの夜」が近づき、ほむらは単身で魔女に挑むが、そこに魔法少女となったまどかが現れる。彼女は、全ての魔女を過去から未来に至るまで消し去るという願いと引き替えに魔法少女となっていた。
まどかは概念的な存在となり、ほむらの前から姿を消す。ほむらは悲しむが、魔法少女がやがて魔女となるという負の輪廻は、まどかの願いにより消滅していた。
魔女がいなくなることはなかったが、ほむらは、まどかの願いによりかなえられた世界を守るために、戦い続けるのだった。

前編で大きな謎だった、ほむらの行動の理由が明かされ、物語は佳境に入る。ふくらんだ期待を裏切らない驚きの展開に、これがこの作品の魅力か、と気付けば身を乗り出して作品にのめり込んだ。ほむらの希望が絶望に変わるという無情さも、そうならざるをえない状況が十分に描かれていた。
まどかが宇宙の概念的存在に昇華する辺りは、ハッピーエンドと言うには切なかったが、次回作に期待したいところ。
ほむらが、まどかを助ける方法を何度も時間をさかのぼって試すところは、ゲームをノーミスでクリアするために、何度もリセットしているような感覚にもとらわれた。
時間旅行的作品の特徴ではあるが、2回目の鑑賞のほうが、1回目よりはるかに感動できるというのは、なかなか新鮮な体験だった。

【5段階評価】4

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2014年1月19日 (日)

(1088) 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語

【監督】新房昭之
【出演】悠木碧(声)、斎藤千和(声)、喜多村英梨(声)、加藤英美里(声)
【制作】2012年、日本

TBSのテレビアニメの劇場版。天真爛漫なタイトルとは裏腹に、プリキュアのような単なる魔女っ子アニメではなく、独特の世界観を持ったダークファンタジーである。

中学生の鹿目まどか(悠木碧)のクラスに、暁美ほむら(斎藤千和)が転校してくる。ほむらは、初対面のはずのまどかに、突然、家族や友人が大事なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね、と告げる。
まどかは友人の美樹さやか(喜多村英梨)とショッピングにむかい、そこでうさぎのような謎の生物(加藤英美里)に出会う。ほむらはその生物を倒そうとしていたが、まどかはさやかとともにその生物を助ける。それはキュゥべえと名乗り、願い事を一つ言えば魔法少女にしてあげられる、という話を二人に持ちかける。ただし、魔法少女になれば、魔女を倒すという役目を負うのだという。
先輩魔法少女の巴マミ(水橋かおり)の活躍を見て魔法少女になることを決意するまどかだったが、マミはまどかとさやかの目の前で、魔女に食われて死んでしまう。窮地を救ったのはほむらだった。
マミが死んだ恐怖で、まどかは魔法少女になることを断念するが、さやかは、好きな男の子、恭平(吉田聖子)のけがを治すため、魔法少女になる。
しかし、魔法少女とは、本体をソウルジェムに変えられ、肉体は仮の器に過ぎないゾンビのような存在であることがわかり、さやかはキュゥべえを恨むようになる。また、友人の志築仁美(新谷良子)が恭平に告白しようとしていることを知り、しだいにさやかは魔法少女になったことに苦悩し始める。
そしてついに、彼女自身が魔女に変貌してしまうのだった。

ダークな展開に戦慄が走る衝撃的な作品。かわいいペットキャラクターと思えたキュゥべえが、冷酷な魔法少女スカウト役、インキュベーターであったり、隣町の魔法少女、佐倉杏子(野中藍)が、さやかを目の敵にする悪役と思いきや、さやかを心から心配する役柄であったり、ストーリーからも目が離せない。次作が楽しみな作品。

【5段階評価】3

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2014年1月15日 (水)

(1087) アン・ハサウェイ/裸の天使

【監督】バーバラ・コップル
【出演】アン・ハサウェイ、フレディ・ロドリゲス、ビジュー・フィリップス
【制作】2005年、アメリカ

スラム街の麻薬売人とのスリルにのめり込む少女達を描いた作品。

高校生のアリソン(アン・ハサウェイ)は、高級住宅街に住む上流家庭の娘。日常生活に退屈していた彼女は、ボーイフレンドのトビー(マイク・ボーゲル)達と、勢いでスラム街にドライブし、覚醒剤を買おうとする。強気がすぎたトビーは価格に難癖をつけ、売人のヘクトル(フレディ・ロドリゲス)に脅されて失禁。売人組織に怨みを抱く。
親友のエミリー(ビジュー・フィリップス)と夜遊びしていたアリソンは、刺激を求めてヘクトルに再会。彼らのパーティに顔を出すようになる。
二人はついに、麻薬密売の仲間に入れてほしい、とヘクトルに切り出す。ヘクトルは、条件としてサイコロを振り、出た目の数だけ、ここにいる男と寝ろ、と指示を出す。二人は条件をのんでサイコロを振る。アリソンは1、エミリーの目は3だった。エミリーは一人の男を選び、アリソンはヘクトルを選ぶ。二人は同じ部屋で服を脱がされ、行為が始まるが、アリソンは、エミリーが快楽の表情を浮かべているのを見て、急に恐怖を感じ、ヘクトルにやっぱりやめたいと告げる。ヘクトルは不満に感じながらもそれを受け入れる。アリソンはエミリーを連れて一緒に帰ろうとするが、エミリーはやめたくないと言い出す。アリソンは部屋を追い出され、ヘクトルたちは、サイコロの目の通り、3人でエミリーを抱こうとするが、突然、エミリーが恐怖におののきはじめ、結局、男達は行為未遂のままとなってしまう。
ところがエミリーは、家に戻ると、両親にレイプされたと訴え、ヘクトルは逮捕されてしまう。
悩んだアリソンは、エミリーの両親に、実際には自分たちが仲間に入れてほしいと言ったのだ、と正直に告白。しかし、アリソンのボーイフレンド、トビーは、銃を持って友人とともに復讐に向かい、ヘクトルの仲間達を見つける。そして銃声が鳴り響くのだった。

タイトルに俳優名がつく作品は、だいたいハズレのおバカ作品であることが多いが、本作は、少々、演出に無駄があるような気はするものの、そこそこちゃんとした作品だった。いいところのお嬢さんが、社会の暗い部分から隔離されて暮らすことでためていく不満をくすぶらせ、マイノリティの人種とかかわりを持ち始めていく。まだまだアメリカには人種の壁が残っており、ことあるごとに、個人的なもつれは民族対立に安易に昇華していく。公開当時23歳のアン・ハサウェイの裸身もよいが、やるせない人種差別の末の悲劇にも考えさせられるのだった。

【5段階評価】3

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2014年1月14日 (火)

(1086) ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2

【監督】デビッド・イェーツ
【出演】ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、レイフ・ファインズ
【制作】2011年、イギリス・アメリカ

「ハリー・ポッター」シリーズ第8作。完結編の後編。

ニワトコの杖を手にしたボルデモート(レイフ・ファインズ)を倒すため、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)は、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)、ロン(ルパート・グリント)とともに、分霊箱の探索を続ける。
ハーマイオニーがベラトリックス(ヘレナ・ボナム=カーター)に変身して銀行に潜入し、彼女が銀行に保管していたカップを入手。さらに3人は、ダンブルドア校長の弟、アバーフォース(キアラン・ハインズ)の導きでネビル(マシュー・ルイス)と再会し、ホグワーツ魔法学校に戻ると、マクゴナガル先生(マギー・スミス)らとともに、校長の座におさまっていたスネイプ(アラン・リックマン)を追い出し、ボルデモートを迎え撃つ準備を整える。
ロンとハーマイオニーは、バジリスクの爪でカップを破壊。ハリーは単身、必要の部屋に入り込み、分霊箱の一つであった髪飾りを見つけ出すが、ドラコ(トム・フェルトン)がハリーを妨害。そこにロンとハーマイオニーが合流し、魔法のほうきで部屋を脱出。炎のドラゴンの力で髪飾りも破壊される。
残りの分霊箱は、ボルデモートの連れている大蛇、ナギニ。ハリーは、大蛇の居場所を探り当てる。そこではボルデモートが、ニワトコの杖の力を自分のものとするため、ダンブルドアを殺したスネイプを倒していた。息も絶え絶えのスネイプは、ハリーに自らの涙を託す。ハリーは憂いの篩を使ってスネイプの過去を見る。ハリーは、スネイプがハリーの母親、リリー(ダフネ・デ・ベイステギ)を愛していたこと、そしてハリー自身が分霊箱であることを知る。
ハリーはボルデモートの前に現れ、ボルデモートの魔法に撃たれる。しかし彼は復活し、ボルデモートと最後の死闘を演じる。ナギニは、グリフィンドールの剣を手にしたネビルが倒し、ボルデモートは、ニワトコの杖を手にしたハリーにより、灰となる。
そしてホグワーツには、ハリーやロンの子供達が新たに入学するのだった。

ニワトコの杖の真の持ち主が、実はスネイプ経由でボルデモートになったのではなく、ドラコ経由でハリーになったのでした、とか、ハリー自身が分霊箱だからハリーは死なないのでした、とか、観る側の知らない、作者の作った勝手なルールでどんでん返しをされても、なんだかよく分からないのだった。とは言え、壮大なファンタジー大作であることは間違いない。通してみると、新たな発見もいろいろあって楽しい作品だろう。個人的には1作目が一番面白い、という結果になった。

【5段階評価】3

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2014年1月10日 (金)

(1085) ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1

【監督】デビッド・イェーツ
【出演】ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、レイフ・ファインズ
【制作】2011年、イギリス・アメリカ

ハリー・ポッター」シリーズ第7作。完結編の前編である。

ハリー(ダニエル・ラドクリフ)は、ボルデモート(レイフ・ファインズ)を倒すため、ロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)とともに、ダンブルドア(マイケル・ガンボン)からの遺品を手に、分霊箱を探す旅に出る。
分霊箱の一つであるロケットをアンブリッジ(イメルダ・スタウントン)が持っていることを突き止めた3人は、何とかそれを奪い取るが、ロンが重傷を負う。あてのない旅にロンはいらだち、立ち去ってしまう。
ハリーはハーマイオニーと二人で旅を続け、グリフィンドールの剣を見つける。そこに改心したロンが現れ、ロケットを破壊する。ロンが二人を見つけられたのは、ダンブルドアの遺品、灯消しライターのおかげだった。
3人は、ハーマイオニーが遺品として受け取った「吟遊詩人ビードルの物語」に書かれている印の謎を解くため、ルーナ(イバナ・リンチ)の父(リス・エバンス)に会い、ニワトコの杖、蘇りの石、透明マントの3つが死を制することのできる秘宝であることを知る。
ルーナの父は、ボルデモートに娘をさらわれたため、ハリーを捕らえようとするが、3人は魔法で脱出。しかし、ベラトリックス(ヘレナ・ボナム=カーター)の一味に捕らえられてしまう。
牢屋でルーナと再会した3人は、ドビー(トビー・ジョーンズ)の力で牢屋を脱出。しかし、ベラトリックスの投げつけた短剣でドビーは命を落とす。
そしてボルデモートは、ニワトコの杖を手に入れるのだった。

かわいい少年が魔法学校で活躍する夢のあるファンタジーが、あれよあれよという間にシリアスになり、本作では凝った謎解きをしながら展開するサスペンス映画。ほほえましいシーンはほとんどなく、大人向けの作品になっている。これを面白いととるか、つあまらないととるかは微妙。少なくとも、子供にとって面白い作品とは言えない気がした。

【5段階評価】3

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2014年1月 8日 (水)

(1085) Wの悲劇

【監督】澤井信一郎
【出演】薬師丸ひろ子、世良公則、三田佳子、三田村邦彦
【制作】1984年、日本

夏樹静子原作小説の映画化作品。とある事件を機に成り上がる若い女優志望者と、それを温かく見守る青年との恋を描いた作品。

女優の卵である三田静香(薬師丸ひろ子)は、ある日、芝居好きの青年、森口(世良公則)に言い寄られる。はじめは相手にしない静香だったが、演劇のオーディションでヒロイン役を射止めることができなかった彼女に優しく接する森口と一夜をともにする。
ほとんど台詞のない女中役だった静香だったが、公演中のある日、ホテルに泊まっている看板女優、羽鳥(三田佳子)に呼び止められる。彼女のパトロンが羽鳥の部屋で腹上死したのだ。スキャンダルを恐れる羽鳥は、ヒロインの座を餌に、静香に身替わりを依頼。彼女は半ば強制的に、その役を買って出ることになる。
覚悟を決めたあとの静香の演技力はすさまじく、羽鳥ですら、本当にパトロンを盗られたと嫉妬するほど。羽鳥は約束通り、ヒロイン役だった菊地かおり(高木美保)に難癖をつけて役から降ろし、静香が代役に抜擢される。複雑な気持ちでそれを見守る森口だったが、彼女のすばらしい芝居に素直に満足げな表情を浮かべる。
しかし、芝居を終えて劇場から出てきた静香に、真相を知ったかおりがナイフを持って襲いかかる。森口はとっさに静香のもとに駆け寄ると、彼女をかばって身替わりとなる。
幸い傷は浅く、森口は仕事に復帰。そんな彼のもとに静香が現れる。森口は二人で一緒に暮らそうと静香に言うが、静香は一人で立ち直る道を選ぶ。立ち去る静香に、森口は温かい拍手を送り、静香は涙をこらえて礼をするのだった。

劇中劇の形をとりながら物語は展開。女優のすごさを見せつける三田佳子の演技が作品を引き締め、すばらしいできばえ。「顔をぶたないで! わたし女優なんだから」は、静香の意識の変化を表現した有名な名台詞だ。
ラストで森口が拍手するシーンは、何度見ても目頭が熱くなる。角川三姉妹の作品の中で、一番の名作と言ってよいだろう。

【5段階評価】5

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2014年1月 7日 (火)

(1084) ねらわれた学園

【監督】大林宣彦
【出演】薬師丸ひろ子、高柳良一、長谷川真砂美、峰岸徹
【制作】1981年、日本

眉村卓原作小説の映画化作品。「時をかける少女」にも通じるような青春SFといったジャンルだが、できばえは、ほぼおバカ映画である。

高校生の三田村由香(薬師丸ひろ子)は、自分に時間を止める能力があることに気付き、車にひかれそうな子供を助けたり、仲良しの剣道部員、関(高柳良一)を試合に勝たせたりする。そんな彼女のクラスに、転校生の高見沢みちる(長谷川真砂美)がやってくる。彼女は生徒会長になると、風紀を守るパトロール隊を組織し、学校を支配する。

彼女は火星から来た謎の男(峰岸徹)の手先として学校を支配しようとしていた。由香は関の協力を得て男を倒し、学校に平和が戻る。

松任谷由実の「守ってあげたい」に乗ってスタートするアイドル映画の本流のオープニングから、突如、階段を下りる女子高生のスカートをローアングルで(というよりほぼ真下から)撮るというエロ映像。
その後もステレオタイプな秀才や頭の悪そうな熱血体育教師など、「ハレンチ学園」とどっこいどっこいのおバカな展開。映像もサインペンで書いたのかと思うような光線や星形がチカチカと画面に登場してみたり、ほとんど悪のり。その後、尾道三部作などの名作を世に送り出す名監督としての片鱗は、正直見えなかった。

【5段階評価】2

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2014年1月 6日 (月)

(1083) バンテージ・ポイント

【監督】ピート・トラビス
【出演】デニス・クエイド、フォレスト・ウィテカー
【制作】2008年、アメリカ

大統領暗殺を題材としたサスペンス。カーアクションも売りだが、プロットに工夫を凝らした作品。

スペインで、国際的なテロ撲滅の行事に出席したアメリカ大統領が狙撃される。この場面を、様々な登場人物の視点で何度も描く。報道番組のチーフだが、この役を演じるのがシガニー・ウィーバーなので、すっかりこの人物が主軸となって物語が展開するのかと思いきや、シガニー・ウィーバーはいわばちょい役である。この豪勢な配役が心憎い。
その後、かつて大統領を救ったSPのバーンズ(デニス・クエイド)、地元刑事のエンリケ(エドゥアルド・ノリエガ)、観光客のルイス(フォレスト・ウィテカー)の視点で、同じ場面が綴られ、次第に事件の全容が見えてくる。
そして、行事の場に登場した大統領が実は影武者で、本物(ウィリアム・ハート)は別の場所にいること、そしてテロリストはそれをも見越して計画を立てており、バーンズの同僚、テイラー(マシュー・フォックス)やエンリケもテロ組織の一味であることが明らかになっていく。
バーンズは大統領を救うため、テイラーと激しいカーチェイスを繰り広げるが、取り逃がしてしまう。しかし、黒幕のスワレス(サイード・タグマウイ)が道路に飛び出した少女を避けようとしたために、大統領を乗せた車は横転。スワレスは駆けつけたバーンズに撃たれ、大統領は無事に保護される。

前半の凝った展開の後は、スピーディな展開で一気に見せる。観る側が、何度も時間をさかのぼる展開に飽き始める手前で趣向を変えるあたりもウマい。演説の行われる広場での大爆発の前にも別の場所で爆発音がする、という前半の謎も、後半でしっかり説明され、モヤモヤ感もない。このへんは、全体を通じて難解な「メメント」などに比べて、個人的には本作のほうがサービス精神が上と感じる。久々に隠れた名作に出会った感覚だった。

【5段階評価】4

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2014年1月 5日 (日)

(1082) 東京オリンピック

【監督】市川崑
【出演】昭和天皇、遠藤幸雄、神永昭夫、アベベ、円谷幸吉、アーメッド・イサ
【制作】1965年、日本

1964年に開催された東京オリンピックの模様を描いている。ドキュメンタリーではあるが、記録映像というよりも、芸術性を重視した作品になっている。

日の出、そして建築工事のシーンから映画は始まる。その後、聖火リレー、開会式の映像が丹念に綴られる。開会式を見ようと背伸びをする人々の足や、花火の轟音に驚く少年の顔など、オリンピックというよりも、オリンピックというイベントが人々にどう受け止められているのかを伝えている。
競技の映像も、足下ばかりだったり、顔のアップだったり、試合の終わりまで映さなかったりと、試合の展開や結果がよく分からない映像も多い。その一方、砲丸投げの砲丸が地面に落下するときのドスンという音や、体操選手の靴と床との摩擦音など、特徴的な音には焦点を当てて繰り返したりする。こういった映画らしいこだわりが随所にある。
インターミッション後は、チャドの一選手、アーメッド・イサに焦点が当たる。ラストの競技はマラソン。優勝したアベベのほか、後に悲壮な自殺を遂げる円谷幸吉の奮闘も見ることができる。
全体を通し、東京オリンピックの記録はよく分からないが、人々にどのような記憶を植え付けたのかを感じさせてくれる作品だった。

【5段階評価】3

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2014年1月 4日 (土)

(1081) おおかみこどもの雨と雪

【監督】細田守
【出演】宮崎あおい(声)、大沢たかお(声)、黒木華(声)、西井幸人(声)
【制作】2012年、日本

おおかみに変身する能力を持ったこどもたちと、その母親を描いた作品。

大学生だった花(宮崎あおい)は、同じ大学の講義に出ていた青年(大沢たかお)と出会い、恋をする。あるとき彼は、自分がおおかみに変身できることを告白。花はそんな彼と結ばれ、やがて子供が生まれる。
生まれたときの天気から、長女は雪、弟は雨、と名付けられる。ほどなくして父親はおおかみになった状態で死んでしまい、花は二人を育てるため、山奥の一軒家に住む。花は人との接触をできるだけ断つつもりでいたが、まわりの住人は花たちを温かく迎える。
おてんばな雪はおおかみになることを好み、臆病な雨はおおかみであることを嫌っていた。しかし、二人は成長し、しだいに男性を意識するようになった雪(黒木華)はおおかみでいることより人間でいることを望むようになり、人とのつきあいの苦手な雨(西井幸人)は、山にいるキツネを先生と呼び、おおかみとして生きることを選ぶようになる。
そしてある大雨の日、ついに雨は、山の中に消え去る。悲しむ花だったが、なくなった夫は、彼女に優しい声をかけるのだった。

しずかな展開の中にも、幼いこどもたちの成長していく姿がどっしりと織り込まれ、見応えのある作品。映像的にも、特に自然の描写がすばらしく、高い技術力にも見ほれた。

【5段階評価】3

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2014年1月 1日 (水)

(1080) ガントレット

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ウィリアム・プリンス
【制作】1977年、アメリカ

警察幹部のスキャンダルを握る女性を護送する役目を負った警察官の活躍を描いた作品。

不良警官のベン・ショックリー(クリント・イーストウッド)は、市のブレイクロック警察委員長(ウィリアム・プリンス)から、とある裁判の証人の護送を依頼される。
証人はガス・マリー(ソンドラ・ロック)という女性だった。彼女は殺されるから外に出たくないと言い張る。ショックリーは、彼女の言葉を意に介さず、無理矢理連れ出すが、二人が乗る予定のレンタカーは爆発炎上。あわてて別の車で逃走するが、その車は銃撃を受ける。
二人はマリーの家にたどり着き、護衛を頼むが、そこに現れた大勢の警官は、マリーの家に激しい銃弾を浴びせ、家は大破。何とかそこから逃げた二人は、保安官を拉致してパトカーを乗っ取り、職場に電話をして護衛を頼むが、マリーは危険を感じ、ショックリーとともに待ち合わせ場所の手前で降りる。待ち合わせ場所には保安官が車をつけるが、その車も容赦ない銃撃に晒される。ショックリーは自分たちが本当に狙われ、殺されようとしていることに気付く。マリーは、ブレイクロックに買われたことがあり、彼の性的な異常嗜好を知っていたのだ。
野宿をした二人は、バイク集団の集会に気付き、ショックリーは1台を無理矢理奪うが、今度はヘリから狙撃されそうになる。ショックリーは逃げ回り、ヘリは高圧線の柱に激突して大破する。
二人は長距離バスを乗っ取ると、鉄板で運転席を補強し、市役所に乗り付ける作戦に出る。
バスの両側には大量の警官が並び、バスにすさまじい銃撃を行う。
なんとか市役所にたどり着くが、そこにブレイクロックが現れる。彼はショックリーを撃ち殺せ、とわめきながらショックリーに銃を向けると、ブレイクロックの共犯の検事を撃ち殺し、弾の一つがショックリーの肩に命中。マリーは銃をとるとブレイクロックを銃撃。ショックリーは立ち上がり、マリーとともに現場を立ち去るのだった。

派手な銃撃シーンが売り物の本作。ガントレットとは、ロールプレイングゲームによく登場する篭手のことではなく、居並ぶ仲間の列の間を歩き、それを鞭打つという私刑の意味である。
映像の過激さは鮮烈だが、やや現実離れした展開だった。

とりあえず、今年もよろしくお願いします。

【5段階評価】3

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