(1097) 火垂るの墓
【監督】高畑勲
【出演】辰巳努(声)、白石綾乃(声)、山口朱美(声)、志乃原良子(声)
【制作】1988年、日本
野坂昭如の小説、「火垂るの墓」が原作のスタジオジブリアニメ。
第二次世界大戦中の神戸。中学生の清太(辰巳努)と4歳の節子(白石綾乃)は、大空襲で家を焼かれ、母親(志乃原良子)も大やけどを負って死亡してしまう。清太は、母親が亡くなったことは節子には隠し、親戚の叔母(山口朱美)の家の世話になる。ところが、叔母は、戦争のために何も働いていない二人をしだいに疎ましく思うようになり、耐えきれなくなった清太は節子とともに叔母のもとを出ると、誰も使っていない防空壕で暮らすようになる。
近くの池には蛍が飛んでおり、清太はそれを捕まえて蚊帳の中に放つ。美しい輝きを放つ蛍だったが、すぐに死んでしまい、節子は蛍のために墓を作る。
清太は母親の残していた預金で食糧を調達していたが、やがてそれも尽き、節子は衰弱していく。清太は近くの畑を荒らしたり、空襲時の火事場泥棒などで食料を確保していたが、とうとう節子は衰弱死してしまう。
清太は自らの手で節子を荼毘に付し、その骨を、節子が好きだったサクマ式ドロップスの缶の中に入れ、自らも、節子との思い出とともに駅舎で餓死するのだった。
こんな時代にさえ生まれていなければ。そう思わずにはいられない、戦争孤児の悲惨な結末。衰弱して目の焦点が定まらない節子の表情が胸を締め付ける。ようやく戦争が終わったのに、買ったスイカを口に含ませても、食べる元気もなくなってしまう節子に、中学生の清太にはなすすべもなく、そのまま衰弱死させてしまう。飽食の時代に生き、金さえあれば何でもできると錯覚している我々だが、画面の向こうにいる、このいたいけな二人に、手をさしのべることすらできないという現実に、茫然自失とするしかないのだった。
【5段階評価】3
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