(1085) Wの悲劇
【監督】澤井信一郎
【出演】薬師丸ひろ子、世良公則、三田佳子、三田村邦彦
【制作】1984年、日本
夏樹静子原作小説の映画化作品。とある事件を機に成り上がる若い女優志望者と、それを温かく見守る青年との恋を描いた作品。
女優の卵である三田静香(薬師丸ひろ子)は、ある日、芝居好きの青年、森口(世良公則)に言い寄られる。はじめは相手にしない静香だったが、演劇のオーディションでヒロイン役を射止めることができなかった彼女に優しく接する森口と一夜をともにする。
ほとんど台詞のない女中役だった静香だったが、公演中のある日、ホテルに泊まっている看板女優、羽鳥(三田佳子)に呼び止められる。彼女のパトロンが羽鳥の部屋で腹上死したのだ。スキャンダルを恐れる羽鳥は、ヒロインの座を餌に、静香に身替わりを依頼。彼女は半ば強制的に、その役を買って出ることになる。
覚悟を決めたあとの静香の演技力はすさまじく、羽鳥ですら、本当にパトロンを盗られたと嫉妬するほど。羽鳥は約束通り、ヒロイン役だった菊地かおり(高木美保)に難癖をつけて役から降ろし、静香が代役に抜擢される。複雑な気持ちでそれを見守る森口だったが、彼女のすばらしい芝居に素直に満足げな表情を浮かべる。
しかし、芝居を終えて劇場から出てきた静香に、真相を知ったかおりがナイフを持って襲いかかる。森口はとっさに静香のもとに駆け寄ると、彼女をかばって身替わりとなる。
幸い傷は浅く、森口は仕事に復帰。そんな彼のもとに静香が現れる。森口は二人で一緒に暮らそうと静香に言うが、静香は一人で立ち直る道を選ぶ。立ち去る静香に、森口は温かい拍手を送り、静香は涙をこらえて礼をするのだった。
劇中劇の形をとりながら物語は展開。女優のすごさを見せつける三田佳子の演技が作品を引き締め、すばらしいできばえ。「顔をぶたないで! わたし女優なんだから」は、静香の意識の変化を表現した有名な名台詞だ。
ラストで森口が拍手するシーンは、何度見ても目頭が熱くなる。角川三姉妹の作品の中で、一番の名作と言ってよいだろう。
【5段階評価】5
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