(963) ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~
【監督】根岸吉太郎
【出演】松たか子、浅野忠信、広末涼子、妻夫木聡、堤真一、伊武雅刀、室井滋
【制作】2009年、日本
太宰治の自伝的私小説の映画化。
小説家の大谷(浅野忠信)は、才能に恵まれながらも酒と女におぼれ、入り浸っている小料理屋から5,000円を強奪してしまう。小料理屋を営む吉蔵(伊武雅刀)と妻(室井滋)は、大谷の家に押しかけるが、大谷は刃物を振り回して逃走。大谷の妻、佐知(松たか子)は吉蔵らに非礼を詫び、自分が5,000円を返すと約束すると、吉蔵の店で半ば強引に働き出す。
若くて美しい佐知はすぐに評判となり、店は大繁盛。大谷のファンで店に来ていた岡田(妻夫木聡)は、佐知に好意を持つようになり、彼女の帰宅を電車で送るようになる。大谷はそれを知って嫉妬し、岡田に近づくと、無理矢理岡田を家に連れ込む。岡田は佐知に求婚し、抱きついてキスをするが、大谷に気付かれたようだった。
大谷は浮気相手の秋子(広末涼子)と旅先で無理心中を図るが、未遂に終わる。大谷は秋子の殺人未遂で拘留される。佐知は大谷に面会し、夫に他の女と心中された自分を呪い、涙する。その一方で佐知は、初恋の相手である弁護士の辻(堤真一)に夫の弁護を依頼。辻は佐知に、自分が見合いをした話をし、見合いの間、佐知のことをずっと考えていたと告げる。佐知は、娼婦から買い取った口紅をつけて辻の事務所を訪れ、お金は用意できないと告げる。しばらくして事務所を後にした佐知の髪や服は、来たときより少し乱れていた。
ほどなく大谷は釈放され、吉蔵の店、椿屋で佐知と再会する。佐知は大谷に一杯の酒を振る舞い、彼とともに生き続けていく道を選ぶのだった。
女におぼれるダメ人間の話としては「火宅の人」があり、原田美枝子や松坂慶子が見事な裸体を披露しているが、本作では、一応、松たか子や広末涼子の濡れ場もあるものの、映像ははるかに控えめ。大谷も、怒りや嫉妬心をほとばしらせることなく、訥々と語るなど、感情表現も抑制的。また、ダメ男よりも、堪え忍ぶ妻に焦点が当たっている点も、同作とは異なっている。
悪くない作品だと思うが「火宅の人」の衝撃に比べると、女優に対する遠慮などが感じられて、今ひとつ盛り上がりに欠けていた。
【5段階評価】2
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