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2013年2月

2013年2月28日 (木)

(958) コクリコ坂から

【監督】宮崎吾朗
【出演】長澤まさみ(声)、岡田准一(声)
【制作】2011年、日本

スタジオジブリの作品にしては珍しく、ファンタジー要素のないアニメ作品。

海(長澤まさみ)は一人で下宿屋をきりもりする女子高生。ある日、海は部室棟「カルチェラタン」の取壊しに抗議するため、校舎から防火水槽に飛び込む新聞部長の風間俊(岡田准一)に出会う。それをきっかけに二人は互いを意識するようになる(俊は前から海を狙っていたようでもあるが)。
海の下宿に招かれた俊は、そこで海の父親が澤村雄一郎であることを知り、愕然とする。それは、彼の実の父親と聞かされた名前と同じだった。それを機に、俊は海によそよそしくなり、海はとまどう。俊を問い詰める海に、俊は自分たちは兄妹だ、と告げる。
カルチェラタンの取壊しが決まったとの報を受け、俊と生徒会長の水沼(風間俊介)は海とともに理事長(香川照之)に抗議に行く。その帰り、それでも海は俊に、「血がつながっていても、たとえ兄妹でもず~っと好き」と告白。俊も「俺もおまえが好きだ」と返す。
生徒達の説得により、カルチェラタンの取壊しは撤回され、生徒達は狂喜する。歓喜の中、俊は海を連れて学校を飛び出す。向かった先は小野寺(内藤剛志)の貨物船。小野寺は、澤村の親友だった。小野寺は俊と海に真相を話す。俊は、小野寺、澤村とともに写真に映っていた立花の子だった。立花が亡くなり、母親も死亡して身寄りの亡くなった俊を澤村が引き取り、いったんは自分が父親となるが、澤村の妻は海を身ごもっていたため、子どものいなかった風間夫婦に俊を託していたのだ。小野寺は俊と海に会えたことを喜び、涙ぐむ。
二人は船を下り、自分たちが兄妹同士ではないことを噛みしめるのだった。

比較的おさえめの恋愛もの。スタジオジブリの作品で、同じようなファンタジー要素のない「耳をすませば」にくらべると、古い昭和の時代ということもあって、こちらのほうが、より抑制的だった。「兄弟でも好き」というプラトニックラブ宣言のあと、実は血はつながっていませんでした、というオチなので、みかたによっては、じゃあプラトニックである必要はなくなったってことか、なんて気もしてしまった。

【5段階評価】3

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2013年2月25日 (月)

(957) 猟奇的な彼女

【監督】クァク・ジェヨン
【出演】チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン
【制作】2001年、韓国

韓国のネット小説が原作のラブコメディ。

アームストロングの安村みたいな男が主人公のキョヌ(チャ・テヒョン)。名前が、本作同様、強引な女性に振り回されるという展開の「涼宮ハルヒの憂鬱」のきょんに似ている。
彼は、電車の中で老人に席を譲らない若者の頭をはたく暴力的な女性(チョン・ジヒョン)を見かける。彼女が酔って嘔吐したため、キョヌはなりゆきで彼女をホテルで介抱。しかし、ホテルの支配人が警察を呼んでしまい、彼は留置場に入れられる。
明くる日、彼女から呼び出されたキョヌは二人で居酒屋に行くが、彼女はそこでも援助交際をしている男女にからむのだった。
しかし、彼女は、かつてつきあっていた男性を失っており、心の傷が癒えずに暴力行為に及んでいるようだった。キョヌは忍耐強く彼女とつきあい続けるが、やがて二人は木の根元にタイムカプセルを埋め、2年後に再会しようと言って別れる。
2年後、別れの場所に向かったキョヌだったが、彼女は来ない。しかし、彼女はキョヌの親戚の知り合いだった。思わぬ再会を果たした二人は、強く手を握り合うのだった。

基本的にはツンデレ映画。低予算ということもあってか、若干、テレビドラマくさいところもあった。ずっとプラトニックで、序盤で五つ子ちゃんの記事なんかが出たりするので、実は2人は兄妹か、というミスリードもあった。相手が死んでしまう恋愛ものが多いなか、普通のハッピーエンドなのはけっこうよかった。
それにしても、この監督の作品(「僕の彼女はサイボーグ」とか)のゲロは、相変わらず不必要にリアルだった。

【5段階評価】3

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2013年2月23日 (土)

(956) 告発のとき

【監督】ポール・ハギス
【出演】トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、ベス・チャサム
【制作】2007年、アメリカ

イラク戦争から帰還した息子の死の真相を探る父親を描いた作品。

元軍人のハンク(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、息子のマイク(ジョナサン・タッカー)が無許可離隊し、行方不明になったとの連絡が入る。無許可離隊は軍人として恥ずべき行為。彼はすぐさま基地に向かい、息子の同僚であるペニング(ベス・チャサム)らに話を聞くが、息子の居場所を知るものはいない。彼は、息子の部屋から携帯端末をこっそり持ち出し、裏業者に読み出しを依頼する。端末には、激しく乱れているものの、マイクが撮影したらしい動画が納められているようだった。ハンクは業者の男にデータの読み出しを依頼し、警察に向かう。
刑事のエミリー(シャーリーズ・セロン)はシングル・マザー。今日も、退役軍人の夫が犬を浴槽で溺死させたと訴えてくる女性を追い返し、それを同僚のオヤジ連中に冷たくからかわれている。まさに「スタンド・アップ」と同じような女性蔑視の職場環境。そこに、息子の行方不明を訴えるハンクが現れる。彼女は、それは軍事警察の仕事だとはねつけるが、彼女は後悔することになる。マイクは、42箇所もナイフで刺された上、死体をばらばらにされ、しかも焼かれ、さらには遺体の一部を野犬に食われるという、これ以上ないほどの無残な状態で発見されたのだ。
死体の発見現場は軍の管轄だったということで、捜査権は軍に移るが、エミリーはハンクに頼まれ、彼を現場に連れて行く。息子は警察の管轄する場所で殺されたと確信した彼は独自の捜査を続ける。ハンクは、退役した今でも、ズボンの折り目はしっかり直し、靴を磨き、ベッドメイクを自分で行う、規律正しい軍隊で育ったきまじめな男。自分の息子もまじめな軍人だと信じていたハンクだったが、捜査を続けるうち、息子が覚醒剤に手を出しており、いかがわしい店でストリッパーを卑猥な言葉で罵倒して店を追い出され、仲間とけんかしていたことなどを知る。
ハンクは、マイクと苦労をともにした戦友が、あのような残忍なことをするはずがないと考えるが、しだいに、マイクの同僚達が虚偽の証言を重ねていることが明らかになっていく。
そして、彼らがチキン屋にマイクと行ったというのが嘘だったことが明らかになる。ハンクとともにマイクの死を嘆いていたペニングが実行犯だった。彼らはストリップバーを追い出され、いつものようにけんかし、ペニングが思わずマイクを刺し殺した。肉屋に勤めていた経験のある同僚が死体を切断して焼き、埋めようと思ったがあまりにも腹が減っていたのでチキン屋に行った。マイクは戦地で、確保した捕虜の傷に、医者のふりをして手をつっこみ、痛いかと尋ねて面白がる行為を重ねていた。マイクのあだな、「ドク」はそこから来た。ハンクを目の前にして淡々と語るペニング。ハンクは殴りかかるわけでも激高するわけでもなく、憔悴しきった顔でそれを聞いている。彼の軍人としての価値観、息子への妄信的な信頼が一気に崩れ去る瞬間だった。
ハンクはようやく息子が残していた乱れたビデオの中身を悟る。マイクは戦地で移動中、軍規によって車両停止を禁じられているため、道に飛び出していた現地の子どもを、そのままはね殺していた。彼はその日、父親に「ここから救い出してくれ」と泣いて懇願するが、ハンクはただ「がんばれ」と突き放していたのだ。そのときから、おそらくマイクは心を蝕まれていったのだろう。
彼は、国旗を上下逆向きに掲げる。それは危機からの救難を意味しているのだった。

犯人捜しのサスペンスの色合いで展開。邦題のせいもあって(原題は「In the Valley of Elah」)、イラク戦争に関する軍の不正を知った息子が、組織的な陰謀に巻き込まれて口封じで殺されたのだと思わせる。しかし、実際には、ハンクの息子は、戦地で心を病み、捕虜虐待を繰り返し、ささいなことで同僚に殺され、痛烈な怨恨もないにもかかわらず、これ以上ないほどの無惨な死体をさらしていた。このどんでん返しが痛烈。
ハンクはエミリーの家に招かれ、エミリーの幼い息子デビッドに、巨人ゴリアテに無謀と思える戦いを挑むダビデの話をしていた。なぜ王はダビデをゴリアテに向かわせたの、とデビッドは尋ねるが、母親は分からないと答える。ハンクもおそらく、若者を戦争という強大な巨人のもとに送り込む国家の意思が理解できなくなったのだろう。
事実に着想を得た、と冒頭にあり、最後は無残に転がる子供の死体らしきスナップ。メッセージの強さが印象に残るが、衝撃の真実が犯人の自供のみで語られるところが、若干、分かりづらかった。確かに、映像化すると興ざめなのだとは思うが、自供からの想像任せではピンとこないところもある。分かりにくいビデオ映像を使う手もあったかもしれない。
死体の映像などは非常にリアル。犬を溺死させられた、と警察に訴えていた女性が、結局、夫に殺され、浴槽で冷たくなった女性の手を握ってエミリーが悔恨の涙を流すのも、退役軍人の心の闇をえぐって印象的だった。

【5段階評価】3

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2013年2月21日 (木)

(955) ロマンシング・ストーン 秘宝の谷

【監督】ロバート・ゼメキス
【出演】キャスリーン・ターナー、マイケル・ダグラス、マヌエル・オヘイダ
【制作】1984年、アメリカ・メキシコ

コロンビアに訪れた恋愛小説作家と探検家の秘宝の地図を巡る活躍を描く。

Romancing_stone自らは独身だが、ロマンスあふれる小説を書く女流作家、ジョーン・ワイルダー(キャスリーン・ターナー)のもとに、姉の夫から宝の地図が届く。姉の夫は何者かに殺されており、拉致された姉のエレイン(メアリー・エレン・トレイナー)から、宝の地図を持ってコロンビアに来てほしいと頼まれる。
単身コロンビアに向かったジョーンは、現地を探検している謎の男、ジャック・コルトン(マイケル・ダグラス)と行動をともにすることになる。墜落した貨物機の中で二人は夜を明かし、ジャックは帆船で世界を旅するという夢を語る。
彼女の持つ地図を狙うゾロ(マヌエル・オヘイダ)と、エレインを拉致した一味の手先、ラルフ(ダニー・デビート)の追撃をかわし、ジョーンの小説の愛読者だという密輸組織のボスの協力も得て、彼らは洞窟に眠る巨大な宝石を発見。しかし、ゾロに追われて逃げる際、宝石を持ったジャックと地図を持ったジョーンは川の両岸に分かれて漂着し、離ればなれになってしまう。
それでも姉のもとに向かったジョーンは、姉を拉致したアイラ(ザック・ノーマン)に地図を渡す。そこにジャックが現れるが、彼はゾロに捉えられており、宝石はゾロに奪われてしまう。しかし、宝石を手にしたゾロの手を、庭の池にいたワニが食いちぎってしまう。怒り狂ったゾロはジョーンに襲いかかるが、くわえていた葉巻をジョーンに奪われ顔に押し付けられたゾロは、はずみでワニのひしめく檻の中に落下し、命を落とす。
ジョーンはジャックのもとにかけより、私を置いていくの、と告げるが、ジャックは「君は一人でも生きていけるさ」という言葉を残し、宝石を飲み込んだワニを追う。
アメリカに戻ったジョーンは、ある日、大きなヨットを積んだトレーラーが道路に停まっているのに気付く。ジャックだった。ジョーンはジャックに招かれ、ヨットの上で熱い抱擁を交わすのだった。

2人の男女が綱を握って谷を渡る映像からして(こんなシーンは映画になかった気がするが)、「レイダース 失われた聖櫃」の二番煎じのような作品だと思っていたが、全然違う、どちらかというとラブコメものだった。
有名な作品でテレビでも何度も放映されており、B級映画の予感はあったが、想像以上にくだらなかったので驚いた。インディ・ジョーンズ・シリーズのような目を見張るような冒険シーンもなければ、宝にしかけられた巧妙な罠もない。敵が乱射する銃弾は一向に主人公達に当たる気配もなく、最後の格闘では敵のボス相手に女性小説家が誰の助けも得ずに勝ってしまう。
まあ、「映画かよ! 」とつっこんでおけばいいのかもしれない。

【5段階評価】2

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2013年2月18日 (月)

(954) 地下鉄に乗って

【監督】篠原哲雄
【出演】堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子
【制作】2006年、日本

浅田次郎の小説の映画化。過去にタイムスリップした男女の運命を描く。

神田にある小さな衣料品業者に勤める長谷部(堤真一)は、ある日、地下鉄の出口を出ると、昭和25年の時代にタイムスリップしていることに気付く。そこで彼は、自殺してしまった生前の若い兄に出会う。彼は叔父のふりをして兄に外出を思いとどまらせ、現代に戻る。しかし、兄が生き返った様子はなかった。
彼はふたたび過去に戻り、まだ若い頃の父(大沢たかお)に出会う。そこには長谷部の不倫相手、みち子(岡本綾)も迷い込んでいた。
長谷部の父親は巨大企業、小沼産業の創業者であったが、母親にも暴力をふるうひどい男で、長谷部は親子の縁を切っていた。みち子もまた、自らの不幸な出自を嘆いていた。
しかし、過去に迷い込んだ二人は、若い頃の自分の親に出会い、自分たちがいかに祝福されてこの世に生まれてきたのかを知る。
自分が小沼とお時(常盤貴子)の子だと知ったみち子は、身重のお時とともに石段を転げ落ち、お時を流産させる。驚いて駆け寄った長谷部の腕の中で、みち子は消滅してしまう。
現代に戻った長谷部は、みち子の存在を忘れてしまうが、彼の服のポケットには、彼がかつてみち子に送った指輪が収められていたのだった。

浅田次郎原作の映画化作品では、個人的に隠れた名作と評価している「椿山課長の七日間」をはじめ、「鉄道員」などもなかなかよかったが、本作については、残念ながらほとんど話に入り込むことができず、感動シーンにもほとんど感情移入できなかった。原作はけっこう良かった気がするので、映画はちょっと説明不足なのだと思う(今回観たTV放映版のシーンのカットが激しかったようでもある)。
ちなみに、作品の中で、長谷部とみち子が喫茶店でオムライスを食べているシーンでは、奥に原作者の浅田次郎が客として映っていた。

【5段階評価】2

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2013年2月17日 (日)

(953) 世界の中心で、愛をさけぶ

【監督】行定勲
【出演】長澤まさみ、森山未來、大沢たかお、柴咲コウ、山崎努
【制作】2004年、日本

片山恭一のベストセラー小説の映画化作品。白血病に冒された少女を愛した少年の悲恋を描く。

映画は大人になった朔太郎(大沢たかお)が、突然、高松に発ってしまった婚約者の律子(柴咲コウ)を追って高松に向かい、過去の思い出をたどる形で進行する。
高校生の朔太郎(森山未來)は、スポーツ万能で成績優秀の少女、広瀬亜紀(長澤まさみ)と親しくなり、交際を始める。二人は友人のはからいで無人島に旅行に出るが、その帰り、突如、亜紀が倒れる。白血病に冒されていたのだ。
無人島で亜紀が見つけたカメラには、オーストラリアのエアーズロックが写っていた。行ってみたいと告げる亜紀に、朔太郎は行こうと決意。台風29号の迫る夜、亜紀を病室から連れ出す。しかし、台風で飛行機は欠航。亜紀は空港で倒れて意識を失ってしまう。朔太郎は亜紀を抱きかかえて「助けてください。助けてください・・・」と周囲に懇願するしかなかった。
亜紀と朔太郎は、カセットテープで互いの気持ちをやりとりしており、そのテープの受け渡し役は、亜紀と同じ病院に入院している女性の子ども、当時小学生の律子(菅野莉央)だった。しかし律子は、最後の亜紀のテープを託された直後、車にはねられてしまい、テープを朔太郎に渡せずにいたのだ。律子は引越の荷物の中にあったテープを見てそのことを思い出し、それを相手の男に託すために高松に来ていたのだ。律子は泣いて朔太郎に詫びるが、朔太郎は律子を優しく抱きしめる。
二人はオーストラリアに向かい、彼女の言葉通り、遺灰をまく。そこは亜紀が世界の中心と呼んだ場所だった。

病に冒された薄幸の若者の悲恋は、「余命1ヶ月の花嫁」や「恋空」、「そのときは彼によろしく」など数多いが、本作はこうした王道悲恋ブームのさきがけと言える。本作は、恋人を失った主人公が、かつての恋人と自分をつなぐキューピッドだった、当時小学生だった女の子と結ばれるという結末を用意しており、悲しい中にもほのかな希望を感じさせる作品にしあがっている。

【5段階評価】4

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2013年2月16日 (土)

(952) 鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星

【監督】村田和也
【出演】朴璐美(声)、釘宮理恵(声)、坂本真綾(声)
【制作】2011年、日本

荒川弘の漫画「鋼の錬金術師」の劇場版。脚本を「ホワイトアウト」などで知られる真保裕一が担当している。

禁断の錬金術によって失った体を取り戻すため、旅を続けるエドワード(朴璐美)とアルフォンス(釘宮理恵)の2人は、刑期間際に刑務所を脱走した錬金術の使い手、メルビン(森川智之)と出会う。彼を追う二人は、テーブルシティにたどり着く。そこは、周囲に巨大な谷がうがたれた都市で、谷の底辺に暮らす人々はゴミをあさる貧しい暮らしを強いられていた。メルビンは、レジスタンス組織とともに暮らす少女、ジュリア(坂本真綾)の兄だと名乗り、ジュリアを味方に付けようとするが、それは偽りだった。彼はジュリアの両親が研究していた強大な錬金術の力を得るため、ジュリアとその兄の体に刻まれた紋章から、賢者の石のありかを探ろうとしていたのだ。
エドワードはジュリアを救い出すが、ジュリアは谷の人々を救いたい一心から、賢者の石を飲み込み、強力な術を手にする。そこに真の兄、アシュレイ(木内秀信)が現れ、谷を埋めて新たな都市を造り出そうとジュリアに協力を持ちかける。ジュリアはそれを拒み、死闘の末、兄を倒すと、兄が谷を埋めるために起こした溶岩の噴出をエドワードたちと協力してふさぐ。しかし、ジュリアは禁断の錬金術を用いたため、片足を失ってしまう。
エドワードとアルフォンスはジュリアとの再会を約束すると、町を去るのだった。

サスペンスの名手による脚本らしい、謎解きやどんでん返しの要素が練り込まれたストーリー。
錬金術というか、もはや魔術の領域だが、迫力のあるアクションとかわいらしいキャラクターの登場で、安心してみられるアニメ作品だった。個人的にはふつうすぎる内容だったので、評価は3。

【5段階評価】3

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2013年2月15日 (金)

(951) 麒麟の翼 ~劇場版・新参者~

【監督】土井裕泰
【出演】阿部寛、中井貴一、新垣結衣、溝端淳平、松坂桃李
【制作】2012年、日本

東野圭吾の推理小説、加賀恭一郎シリーズの劇場版。

東京・日本橋にある翼の映えた麒麟の像のたもとで、腹をナイフで刺された男が息絶える。男は製造業者の本部長、青柳武明(中井貴一)。同じ頃、逮捕歴のある若者、八島冬樹(三浦貴大)が、同棲相手の中原香織(新垣結衣)に「とんでもないことをしてしまった」と怯えた電話をかける。彼は警官に職務質問をされて逃走し、トラックにはねられて意識不明の重体となる。彼は、殺された青柳のバッグを持っていた。
冬樹は青柳の勤める会社の派遣社員で、最近、派遣切りにあっていたため、当初は派遣切りを恨んでの犯行と思われたが、彼は職場で不慮の事故に遭っており、それを会社ぐるみで隠す「労災隠し」の被害者であった。労災隠しは青柳の指示だったと、青柳の元部下、小竹(鶴見辰吾)が証言したことから、青柳とその遺族は一転、激しい非難を浴びることになる。
事件を捜査する加賀恭一郎(阿部寛)と松宮(溝端淳平)は、容疑者の冬樹と同棲していた香織に話を聞くが、彼女は冬樹が人を殺すはずなどないと言う。青柳がなぜ日本橋辺りにいたのかを調べた加賀は、青柳が水天宮をはじめとする神社に折り鶴を奉納し、それを写真に納め続けていたことを知る。香織は妊娠していたが、青柳の奉納は妊娠より前からであり、安産祈願をしているとは思えなかった。
加賀は、青柳の息子、悠人(松坂桃李)が父親と不仲で、部員がおぼれた事故を境に水泳部を辞めていたことを知る。死んだ青柳はそのことを気に病んでいた。加賀は水泳部の顧問、糸川(劇団ひとり)に話を聞く。当時2年生の部員が、夜中にプールに忍び込んでおぼれたのだという。水天宮が安産だけでなく水難除けの神社でもあることを知った加賀は、おぼれた部員を訪ねる。彼は死は逃れたものの、重度の麻痺状態になっていた。彼女の母はブログを綴っており、そのタイトルが「キリンのツバサ」だった。そのブログには、「東京のハナコ」と名乗る人物が、日本橋近辺の神社に千羽鶴を奉納している写真が掲載されていた。それは死んだ青柳がやっていたことだった。青柳は息子の部屋のパソコンを見て、悠人が部員をおぼれさせたのだと直感する。
当時、悠人ら3年生3人は、2年生ながらリレーの選手に抜擢された部員が、試合で踏切をフライングして失格してしまったことに腹を立て、夜のプールで拷問し、彼をおぼれさせてしまう。しかし、それを発見した顧問の糸川が、悠人達をかばって逃がし、おぼれた部員は一人でプールに忍び込んだと嘘の証言をしていたのだ。
事件のことを息子に聞けなかった青柳は、悠人の水泳部仲間だった杉野を呼び出し、話を聞く。杉野は部員をおぼれさせたのは悠人一人だったと嘘をつくが、青柳が息子を警察に連れて行くと言うのを聞いて自分のこともばれると考え、用意していたナイフで青柳を指したのだった。青柳は、悠人に罪を認めろというメッセージを伝えるため、自力で麒麟の像にたどりつき、そこで果てたのだった。
悠人は加賀から事件の真相を聞かされて涙し、残ったもう一人の仲間とともに、おぼれた部員のもとに行くことを決意する。
亡くなった冬樹は、青柳を指したのではなく、指された青柳の鞄を盗んだだけだった。彼は、香織から仕事に就けないことをなじられたため、なんとか新しい仕事に就こうとするが失敗しており、どうしてもその日、金が欲しかった。なぜならその日は、香織と冬樹が初めて上京し、日本橋で新たな一歩を踏み出す決意をした記念日だったのだ。
香織は、冬樹にかけられた殺人容疑を晴らしてくれた加賀に感謝し、生まれてくる子供と生きていくことを決意し、日本橋から新たな一歩を踏み出すのだった。

東野圭吾の原作小説の映画化作品の中には、「秘密」や「容疑者Xの献身」のようなアタリの作品もある一方で、「さまよう刃」のようにひどい作品もあったりするのだが、本作はアタリのほうだと言ってよいだろう。ただ、加賀恭一郎が子供達に悪事を隠すことを覚えさせてしまった中学教師の糸川に「教師失格だ」と説教をするシーンは、ちょっとやりすぎで、あそこは加賀がしみじみと「あなたが生徒達のためだと思ってやったことが、子供達に間違った公式を覚えさせ、彼らを殺人犯と犯罪被害者にしてしまったのではないですか」と語り、糸川が泣き崩れるような演出にした方が、胸に響くように思った。

【5段階評価】4

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2013年2月14日 (木)

(950) 野性の証明

【監督】佐藤純彌
【出演】高倉健、薬師丸ひろ子、夏木勲、中野良子
【制作】1978年、日本

田舎の集落で起きた大量殺人事件に関わった自衛隊の特殊部隊出身者と、生き残った少女との交流を描いた作品。

テロリスト殲滅などの任務に就く特殊工作隊員として厳しい訓練を重ねていた味沢(高倉健)は、東北山中の奥地にヘリで投下され、人との交流を絶って目的地に向かうというサバイバル訓練に挑む。空腹のあまり自らの腕を食べる者も出るなど、過酷な試練が続く中、味沢は、とある集落の付近で一人の女性旅行者(中野良子)と出会う。衰弱していた味沢を見た旅行者は、助けを求めに近くの集落に向かうが、そこで起きた殺人事件に巻き込まれ、命を落とす。集落では、たった一人の少女、頼子(薬師丸ひろ子)を残して、村人が皆殺しにされてしまう。
刑事の北野(夏八木勲)は、記憶を失った頼子を足がかりに捜査を行う。頼子は、保険の外交員となった味沢の養子として暮らしていた。新聞記者の越智朋子(中野良子)は殺された女性旅行者の妹で、酒の飲めなかったはずの同僚が、泥酔した上でホステスと車で転落死を遂げたことを不審に思い、地元を仕切る大場総業の陰謀によるものではないかと疑い、取材を続ける。味沢もまた、車の転落でなくなった女性にかけられていた保険金の受け取り人が、大場総業の一味(梅宮辰夫)であることを知る。知り合った二人は協力して捜査を進める。大場総業は、毎年のように起こる洪水のために二束三文となっている土地を買い上げ、治水工事をすることで得られる地価上昇の利益を我がものとしていた。味沢と朋子は、大場総業のかかわる工事現場に埋められていたホステスの死体を発見する。事件は表沙汰になるが、大場総業の力はマスコミをはじめ地元に深く及んでおり、捜査の手は大場総業の中心人物、大場一成(三国連太郎)には及びそうもなかった。逆に味沢は、大場の圧力により職を失ってしまう。
味沢は、頼子が次第に事件の記憶を取り戻そうとしており、同時に、彼女の予知能力が覚醒していることに気付く。頼子の能力が自分への強い憎しみに根ざしていることを知った味沢は、あえて頼子を事件の現場に連れていき、彼女の記憶を呼び戻そうとするが、頼子はおびえてしまう。その様子を不思議がる朋子に、味沢は真実を告げる。味沢は、軟腐病という野菜に伝染する病によって精神を狂わせた頼子の父親が、村人を惨殺している現場に出くわし、殺されようとしている頼子を助けるため、人との接触を断つという訓練の掟を破って、その父親を殺していた。彼は残された頼子を育てるため、集落での事件を忘れることを条件に除隊したのだった。
朋子は大場総業の悪事をすっぱ抜くスクープを新聞に載せようとするが、それに気付いた大場総業が新聞社に乗り込んでくる。朋子の危険を予知した頼子の言葉を聞いて、味沢は朋子のもとにかけつけるが、彼女は大場一成の息子、成明(舘ひろし)らに惨殺されていた。大場の手は味沢と頼子にも及び、それまで自分の真の姿を隠していた味沢は、特殊工作員としての本来の戦闘能力をあらわし、成明らを倒す。それを見た頼子は、ついに記憶を取り戻し、駆けつけた北野に「お父さんを殺したのはこの人よ」と告げる。
それを聞いた北野は味沢に手錠をかける。しかし、味沢の口封じを狙うのは、もはや大場総業のみではなかった。自衛隊幹部もまた、自衛隊の演習に乗じて、口封じのため味沢を亡き者にしようとしていた。味沢とともに逃亡を続ける北野は、一途に頼子を助けようとする味沢を信じ、彼にかけた手錠を外すと、自ら犠牲となって、追っ手の乗った戦車に軍用トラックで突進し、命を落とす。
味沢は頼子を助けるため、ヘリから機銃で攻撃してくる工作隊の皆川(松方弘樹)に単身で応戦し、トンネルに隠れていた頼子を救おうとするが、頼子は「お父さーん! 」と叫びながらトンネルを飛び出して味沢の元に駆け寄ろうとし、皆川に撃たれてしまう。頼子は味沢の腕の中で息を引き取る。怒りに燃えた味沢はヘリを大破させるが、さらに現れた戦車と兵士の大群を見ると、頼子の亡骸を背負い、戦車の群れに飛び込むのだった。

序盤で訓練中の隊員が自分の手を食らうシーンは、なかなか衝撃的。こうした残酷でショッキングな映像を売りにするグロ趣向的な要素はありつつも、謎の大量殺人を犯したのは味沢なのか、という謎を解き明かしていくストーリーは重層的で楽しめた。救われないラストシーンや、過剰な軍事車両の映像は、「戦国自衛隊」ともだぶる。
今回観たのはNHKでの放映だったが、斧で頭をかち割ったり首をはねたりするシーンや、「キチガイ」などの言葉も「ピー音」なしでそのまま放映されており、放送禁止措置に対する時代の変化を感じた。
ちなみに、エンドロールで、出演者の中に角川春樹の名がある。彼は、演習地で逃亡中の味沢らが出会う一般の自衛隊の隊長というちょい役で出演している。

【5段階評価】3

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2013年2月13日 (水)

(949) TAKESHIS'

【監督】北野武
【出演】ビートたけし、岸本加世子、寺島進、京野ことみ
【制作】2005年、日本

大物芸能人と瓜二つの売れない役者の数奇な体験を描く。

大物芸能人のたけし(ビートたけし)は、楽屋で、自分と瓜二つの役者、北野(ビートたけし)に出会う。北野はオーディションに落ちてばかりの売れない役者だったが、次第に、大物たけしの人生が自分の中に紛れ込んでくる。それは、たけしの元おっかけの女優(岸本加世子)であったり、マネージャー(大杉漣)であったり、たけしの麻雀仲間のヤクザ連中だったりする。
北野がバイトをしているコンビニに駆け込んできた血まみれのヤクザから手に入れた銃で、自分のアパートの部屋の前で暇そうにしているカップルの男(寺島進)を撃ち殺し、相手の女(京野ことみ)を部屋に連れ込むと、そこに女優やマネージャーが押し寄せる、といった具合だ。
最後は警官隊と派手な撃ち合いを演じ、車に乗って動かなくなるのだった。

登場人物がいろいろな役回りで何度も登場し、同じような台詞を繰り返すことで、デジャブにも似た錯綜した印象を色濃く描き出している。本作も、「監督・ばんざい!」同様、北野武監督の独特の感性が、難解な方向にかなり振れた作品であり、納得できる分かりやすい解釈は難しい。このことは監督本人も認めているようだ。
監督・ばんざい!」ほどの悪のり感はなかったものの、やはり解釈の難しい、観る側に解釈を押し付けるような作品は好きにはなれなかった。

【5段階評価】2

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2013年2月12日 (火)

(948) 劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH

【監督】小森秀人
【出演】釘宮理恵(声)、白石涼子(声)、田中理恵(声)
【制作】2011年、日本

畑健二郎の原作漫画の劇場版アニメ。夏休みを田舎で過ごした主人公達の不思議な体験を描く。

夏休み中のナギ(釘宮理恵)は、西沢歩(高橋美佳子)に誘われ、田舎で過ごすことにする。執事のハヤテ(白石涼子)は、そこで不思議な少女(遠藤綾)を見つける。彼女の後を追ったハヤテは、そこで謎の遊園地を見つける。ハヤテの後を追ったナギと、肝試しをしていた仲間がそこに迷い込み、出られなくなってしまい、ハヤテはナギの存在が記憶から消え去り、自分が使えているのがナギではなく、メイドのマリア(田中理恵)という世界に迷い込んでしまう。
それは不思議な少女、鈴音のしわざだった。彼女は秘宝のダイヤをハヤテに託し、借金に縛られたハヤテを解放しようとする。しかし、ナギの記憶を取り戻したハヤテは、それを鈴音に返し、ナギに使える道を選ぶ。鈴音はそれを聞いて消え去り、ハヤテのナギは、仲間達と夏休みを過ごす元の世界へと帰って行くのだった。

映画にしてはアニメの画質が低く、キャラクターも大量に出てくる割に描き分けが不十分で、原作を知らないと楽しめない。もっとも、原作を知らない人が興味を持つような作品とも思えないが。

【5段階評価】2

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2013年2月11日 (月)

(947) 映画けいおん!

【監督】山田尚子
【出演】竹達彩奈(声)、豊崎愛生(声)、日笠陽子(声)、佐藤聡美(声)、寿美菜子(声)
【制作】2011年、日本

かきふらい原作漫画、「けいおん!」の映画化作品。軽音部5人のロンドン旅行を描いている。

桜が丘高校軽音部の唯(豊崎愛生)、澪(日笠陽子)、律(佐藤聡美)、紬(寿美菜子)の4人は、卒業旅行を計画。1学年下の梓(竹達彩奈)も加わり、ロンドンに行く。
ロンドンでは、回転寿司屋で別のバンドに間違われて店内で演奏したり、急遽、日本ポップカルチャーフェアでのライブを頼まれたりしながら、慌ただしい旅行を終える。
卒業を控えた4人は、学校に残る梓のために曲を作り、梓に送るのだった。

終始ほのぼのした作品。お色気も仲違いもほぼ皆無。梓が、先輩達が隠し事をしているのではないかと不安になるという点が、本作で登場する唯一といっていいほどの不安要素だが、特に何かの誤解につながったりといった事件が起きるわけでもない。それでも最後の曲のプレゼントのシーンでは、ちょっとした感動が味わえる。
空気系といわれる本作の雰囲気を壊さない、安心して観ていられる作品だった。

【5段階評価】3

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2013年2月10日 (日)

(946) 真珠の耳飾りの少女

【監督】ピーター・ウェーバー
【出演】スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、エッシー・デイビス
【制作】2003年、イギリス・ルクセンブルク

フェルメールの名画をもとに作られた小説を原作とした作品。

貧しい家庭の娘、グリート(スカーレット・ヨハンソン)は、フェルメール家に小間使いに出される。夫人(エッシー・デイビス)はグリートを冷たく扱うが、グリートはまじめに仕事をこなす。やがて彼女はフェルメール(コリン・ファース)のアトリエに足を踏み入れるようになり、絵画に興味を示す。フェルメールはグリートに興味を示し、彼女一人を題材にした絵を描き始める。夫人の装飾品を用いたことで夫人は怒り出すが、絵は見事に完成するのだった。

画面の左上から光が差す中に人がたたずむ情景は、はっとするほどフェルメールの絵画をみごとに映像化している。映像美としての作品の魅力には納得だが、ストーリーはおとなしかった。

【5段階評価】3

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2013年2月 9日 (土)

(945) マイノリティ・リポート

【監督】スティーブン・スピルバーグ
【出演】トム・クルーズ、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー、コリン・ファレル
【制作】2002年、アメリカ

予知夢を用いた犯罪予知システムを巡る人々を描いた近未来SFサスペンス。

幼い我が子を失い、妻とも別居しているジョン・アンダートン(トム・クルーズ)は、犯罪予防局に勤務している。プリコグと呼ばれる予知能力者が夢の中で予知した犯罪の発生場所をつきとめ、犯行前に犯人を取り押さえるのが彼の任務である。
あるとき、彼はプリコグの一人、アガサ(サマンサ・モートン)から、過去の犯罪の映像を見せられる。その謎を突き止めようと動いていると、今度は自分自身が、リオ・クロウという男を殺すという予知がなされる。身も知らぬ男を殺すはずがないと考えた彼は、警察を脱走。司法省のウィットワー(コリン・ファレル)は彼を追うが、ジョンは辛くも逃走に成功する。
予知システム開発者のハイネマン博士(ロイス・スミス)のもとに向かった彼は、博士から、3人のプリコグの予知内容が異なることがあり、そのときにはシステムの不完全性を秘匿するため、異なる予知はマイノリティ・リポートとして、予知者の脳内にのみ保管されるという話を聞く。ジョンは、アガサが見せた映像を入手するため、警察施設への侵入を決意。網膜感知による捜査の手から逃れるため、他人の目を移植すると、施設に潜入してアガサを連れ出す。リオ・クロウの居場所に向かった彼は、そこで息子の写真を発見する。リオ・クロウが息子の殺害犯だと知ったジョンは、逆上して彼を撃ち殺そうとするが、寸前で思いとどまり、彼を逮捕することにする。すると、リオは突然、それでは話が違うと言い出す。彼は自分の妻と子にお金を遺すため、何者かに殺人犯になりすますよう指示されていたのだった。混乱したリオはジョンの拳銃を自らに当て、引き金を引く。
現場を見たウィットワーは、残された証拠が過剰であると見抜く。彼は、プリコグたちが犯行現場の映像をエコーとして再度見ることがあり、その映像は消去されるという話を聞き、何者かが、過去に起こった犯罪をなぞることで、自らの犯罪をプリコグのエコーに見せかけ、殺人を実行したと推測。そのことを予知システムの正式導入をもくろむバージェス局長(マックス・フォン・シドー)に報告する。ところが黒幕は局長自身だった。局長は真相を知ったウィットワーを銃殺すると、妻の元に訪れたジョンを逮捕。しかし、妻のララ(キャスリン・モス)は、局長との会話から、局長が知るはずもない「溺死」という言葉を発したのを聞きとがめる。ララはジョンの目玉を使って施設に侵入すると、逮捕されていたジョンを救い出す。
ジョンとララは、システム導入の記念パーティに出演しているバージェス局長に接近。会場において、アガサの記憶映像を映写。その内容は、バージェス局長が、殺し屋に女性の殺害を依頼し、その殺人は犯罪予防局によって未然に防がれるものの、その後に局長自身が殺人者と同じかっこうをしてアガサの母親を溺死させた、というものだった。アガサの母親は、自分の娘を取り戻そうとしており、システム導入を狙うバージェスは、母親の存在が邪魔だと考え、始末したのだった。
プリコグたちは、バージェスがジョンを殺害することを予知。会場のバルコニーで対峙するジョンとバージェス。バージェスは、自分がジョンを撃てば、システムの完全性は確保されるが自身は逮捕、撃たなければシステムの不完全性が暴かれ、システム導入は中止、という岐路に立たされる。どちらも選べなかったバージェスのとった選択肢は、自らの命を絶つ道だった。
こうして予知システムの導入は中止。プリコグ達には穏やかな暮らしが訪れ、ジョンとララは復縁し、ララは新たな子を身ごもるのだった。

画像が少しぼやっとしているのは、「A.I.」とも似た雰囲気。縦横に走る自動車や、警官が持つ嘔吐棒、顔が変形する器具、潜伏している人物を捜す小型センサーのスパイダーなど、近未来のギミックが楽しい。
ちなみに、ジョンが移植される目の元の持ち主の名前はヤカモト。そんな名字は聞いたことがないが、外国人には日本人ぽい名前に聞こえるのだろうか。他の作品でもときおり登場するらしい。

【5段階評価】4

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2013年2月 8日 (金)

(944) アイズ ワイド シャット

【監督】スタンリー・キューブリック
【出演】トム・クルーズ、ニコール・キッドマン
【制作】1999年、アメリカ・イギリス

一組の夫婦を題材に、男女の官能を描いた作品。

裕福な医師のビル(トム・クルーズ)は、美しい妻、アリス(ニコール・キッドマン)と娘と暮らしている。とあるパーティで、大学で同期だったピアニスト、ニック(トッド・フィールド)に出会い、彼の出演しているジャズバーを教えてもらう。そのパーティで、アリスは壮年の男にくどかれ、ビルもまた、2人組のモデルと楽しそうに話していた。そのビルに友人のジーグラー(シドニー・ポラック)から呼び出しがかかる。彼が情事の相手にしようとしたマンディという女性が、ドラッグのせいでショック状態に陥っていたのだ。彼は彼女を落ち着かせることに成功し、ジーグラーに感謝される。その夜、ビルとアリスはベッドで覚醒剤を始めるが、やがて二人は口論となる。アリスは、かつて海軍士官と一晩をともにするためなら、全てを捨ててもいいと思ったことがあると告白。それ以来、ビルは妻が海軍士官と情事にふける妄想に悩まされるようになる。
亡くなった患者の家に寄った帰り、ニックの演奏している店に顔を出したビルは、ニックが怪しげな仮装パーティで演奏することを知る。彼は深夜の貸衣装店から無理矢理衣装を借り、パーティに潜入。そこは特別なメンバーが集まった乱交の場だった。しかし、ある女性がビルを見つけ、ここはあなたには場違いだから帰れと忠告する。仮面をかぶっているので誰かは分からない。果たして、ビルは部外者であることが早々にばれ、衆人環視の中、一人だけマスクを外させられてしまう。さらに裸にされそうになったとき、ビルに忠告していた女性が自分が代わりになると言ったため、ビルは自由の身となる。しかし、彼には厳重な監視がつき、彼の詮索を厳しくとがめるようになる。ビルは、元ミスビューティが麻薬中毒で死んだという記事を見る。彼は病院のモルグに行き、マンディの遺体を確認する。ビルは彼女が自分に忠告をくれた女性ではなかったのかと考えたようである。
ビルはジーグラーに呼び出される。ジーグラーも乱交パーティのメンバーだった。パーティでビルに忠告していたのは、やはりマンディだった。彼女が組織に消されたのか、それともジーグラーの言うとおり、すでにマンディの麻薬中毒は末期で、組織がそれを利用してビルを脅すために利用しただけなのか、真相はうかがい知れない。ビルは家に帰ると、妻に全てを涙ながらに告白する。
翌日、子供のクリスマスプレゼントを買いにデパートに家族で来たビルは、妻と話し合う。夫婦仲を取り戻す二人。そしてアリスは、ファックが必要と告げるのだった。

スタンリー・キューブリックらしい、意味深長なストーリー。とにかく女性のおっぱいがこれでもかと出てくる。儀式の際の音楽が妙に印象に残った。

【5段階評価】3

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2013年2月 7日 (木)

(943) ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密

【監督】ジェームズ・キャメロン
【出演】ビル・パクストン、ジェームズ・キャメロン
【制作】2003年、アメリカ

タイタニック」を監督したジェームズ・キャメロンが、同作に出演したビル・パクストンとともに、最新鋭の潜水撮影機器を用いて、海底深く沈んでいるタイタニック号の実物を探検する作品。

泥や錆びにまみれているものの、コップや窓ガラス、装飾などが原形をとどめていることがわかる。1912年に沈没した船の、船体はともかく備品などが原形をとどめているというのは驚きで、想像以上に海底というのは静かなのだろう。

ただ、観る者としては、やはり大作「タイタニック」の映像もおりまぜながら、というのを期待するわけだが、本作では、映画のシーンはあまり使われておらず、設計者や船長なども違う俳優が演じている。レオナルド・ディカプリオやケイト・ウィンスレットも全く登場しない。その辺りは、お金の問題もあるのだろうが、ちょっと寂しかった。

【5段階評価】2

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2013年2月 6日 (水)

(942) ストレンジャー・ザン・パラダイス

【監督】ジム・ジャームッシュ
【出演】ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン
【制作】1984年、アメリカ

3人の若い男女を独特のテイストで描いた作品。

ハンガリー出身のウィリー(ジョン・ルーリー)は、叔母からいとこを預かるよう電話で頼まれる。彼の家にエバ(エスター・バリント)がやってくる。怠惰な生活を送る二人はしだいに打ち解け合うが、やがてエバは、叔母を頼ってクリーブランドに向かう。ウィリーにもらったドレスは、気に入らないからと捨ててしまう。
ウィリーは友人のエディ(リチャード・エドソン)といかさまポーカーで稼ぐと、車でクリーブランドを目指す。叔母(セシリア・スターク)の家に向かった彼らは、エバの居場所を聞き出し、カフェで働く彼女に再会。彼女は再会を喜び、しばらく叔母の家で生活を共にする。
クリーブランドに飽きたウィリーとエディの二人は、フロリダに行くことを思いつき、反対する叔母を置いてエバを連れ出す。しかし、二人はエバをモーテルに置き去りにしてドッグレースに行き、有り金をすってしまう。二人は今度は競馬に行くが、愛想を尽かしたエバは一人で外出。すると、たまたまかぶっていた帽子が麻薬密売人の目印になっており、見知らぬ男から大金を渡される。競馬で勝った二人がモーテルに戻ると、エバはいなくなっていた。二人は空港に向かい、エバがブダペスト行きの航空チケットを買ったことを知り、ウィリーが同じチケットを買って飛行機に乗り込む。しかし、エバは乗っておらず、もとのモーテルに一人で戻るのだった。

オチのない作品。ただただけだるく時間は流れるが、モノクロの映像と暗転の多様によって、時間をもてあます若者たちの生き様がうまく切り取られ、独特の余韻に包まれる。
個人的にオチのない作品は好きではないのだが、印象に残る作品だった。

【5段階評価】3

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2013年2月 5日 (火)

(941) 八甲田山

【監督】森谷司郎
【出演】高倉健、北大路欣也、三國連太郎、加山雄三
【制作】1977年、日本

明治時代の八甲田山における雪中行軍で起きた惨劇を描いた作品。

日露戦争に向けて、冬季訓練が必須と考えた軍部の友田少将(島田正吾)と中林大佐(大滝秀治)は、弘前歩兵第31連隊の徳島大尉(高倉健)と青森歩兵第5連隊の神田大尉(北大路欣也)に、八甲田山での雪中行軍の実行を示唆。第31連隊の児島大佐(丹波哲郎)が、八甲田山ですれ違うようにしては、と言ったことから、徳島と神田はそれを踏まえて計画を立案。二人は徳島の家で酒を酌み交わし、八甲田で会おうと誓い合う。
徳島は神田の隊とすれ違うため、十和田湖方面に迂回する10泊240kmに及ぶ計画を立てる。一方の神田は3日の行程であったため、山田少佐(三國連太郎)は神田に、隊を200名の中隊規模にすることを指示し、自らの随行を決める。
そして行軍決行の日。徳島が、志願兵を集めた少数精鋭の部隊で臨み、地元の案内人を立てて堅実に行軍を進めたのに対して、神田の隊は200名に及んだため、隊列は延び、物資を積んだそり隊は先頭から遅延がち。しかも、神田の手配によって地元の村人が用意した案内人を山田少佐が追い返してしまい、勝手に出発を命令するなど、指示系統が混乱。結局、予定の行軍を終えられないまま天候が悪化してしまう。神田はいったん帰営を選択するが、随行隊は何のための準備だったのかとそれを却下。しかし神田が隊を待機させていると、寒さにふるえる山田少佐が帰営を決定するなど、ことあるごとに神田の判断をくつがえす。しかたなく帰営の歩を進めると、特務曹長がたまたま見つけた木の枝の切断面を根拠に、目的地の方向が分かったと言ったことから、山田少佐はその言葉を鵜呑みにして、一転、目的地の田代を目指すと言い出す。しかし、特務曹長は道に迷ってしまい、隊は完全に遭難してしまう。
川に到達した隊は西へ向かえばよいと判断するが、眼前には高い崖。山田少佐が登るしかないと言い、隊は登り始めるが、落伍者が続出。ようやく登った者も目的地にたどり着くことはなく、厳しい寒さのため、精神に異常を来す者も出て、隊員達が凍死していく。神田は「天は我々を見放した」と嘆く。その後も死者の増加は治まらず、寄り集まって夜を越そうとするも、輪の外側の者から寒さで倒れていくのだった。
神田の隊が遭難していることを知らない徳島は、そのまま八甲田行きを決行。その途上、神田の隊の遭難者を発見する。賽の河原では、多くの兵士が凍死しており、徳島はその中に、神田の姿を見つける。
八甲田を踏破した徳島は、連隊本部に雪の中で死んでいた神田を見たと告げるが、本部の少佐(神山繁)は神田は捜索隊がすでに収容していると言い、徳島を遺体安置所に連れて行く。そこには棺に納められた神田の遺体と、横にたたずむ妻(栗原小巻)がいた。妻から神田が徳島に会うのを楽しみにしていたと聞かされ、徳島は号泣する。徳島が八甲田で見たのは幻影だったのだ。
山田少佐は精神を蝕まれつつも生還したが、彼は事件の責任の重圧に耐えかね、自殺する。
生き残った徳島らも、日露戦争で悲惨な最期を遂げるのだった。

かったるい作品を想像していたが、非常に見応えがあり、心に残る作品だった。この映画を見れば、吹雪のシーンがトラウマになること間違いなし。
3時間を超す長編ながら、序盤から説明シーンが端的でテンポがよく、話に引き込まれる。第5連隊を率いる神田が、綿密に計画を立て、慎重にそれを実行しようとしているのにもかかわらず、軍の思惑やメンツに絡め取られ、不幸の深淵へと引きずり込まれていくさまが胸を打つ。
本作で兵士が倒れていくシーンは、ドンパチ撃ち合ったりチャンバラ劇でバタバタ人が倒れるよりも真に迫り、逆に重々しい。銃撃戦や斬り合いのシーンでは、血しぶきを上げたり腕や首が飛んだり、といった特撮でリアリティを追求するが、寒さで死ぬのは倒れるだけだから、特殊な撮影は必要ない。そう思いがちだがそうではない。本作の凍死シーンに迫力があるのは、雪や吹雪のすさまじさがみごとに映像化されているからだ。
本作のロケはそうとうきつかったらしく、主演の高倉健すら凍傷になったらしい。本作のカメラマン、木村大作は、のちに監督として、同様に冬山を描いた「剣岳 点の記」を作っている。この作品でも、主人公の純粋な思いと、軍のメンツが衝突する構図になっている。

【5段階評価】5

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2013年2月 4日 (月)

(940) 桜田門外ノ変

【監督】佐藤純彌
【出演】大沢たかお、北大路欣也、柄本明、西村雅彦、生瀬勝久、長谷川京子
【制作】2010年、日本

タイトル通り、桜田門外の変を、現場の指揮を担った水戸藩士の視点から描いた作品。

水戸藩士の関鉄之介(大沢たかお)は、農家の出の妻、ふさ(長谷川京子)と息子の誠一郎(加藤清史郎)を置いて、井伊直弼(伊武雅刀)暗殺の計画に加わる。
ペリーの来航、ハンスによる通商条約締結の要求という時代の流れの中、当時の大老、水戸藩主の徳川斉昭(北大路欣也)ら尊王攘夷派を弾圧する井伊直弼に敵意を燃やす水戸藩士たちは、雪の降る3月3日、桜田門外にて襲撃を決行。歴史の教科書などでも目にする桜田門外の変の様子がかなり忠実に映像化されている。
本作は、赤穂浪士で言えば吉良上野介を討ち取る場面に相当する、直弼を討ち取るクライマックスを作品の序盤に持ってきており、その後の藩士達の運命に焦点を当てている。
水戸藩に荷担し、3,000の兵を京都に送るはずだった薩摩藩が、その実行を裏切り、直弼を討ち取った実行部隊は行き場をなくし、つぎつぎと幕府側に捕らえられ、処刑される。徳川斉昭もまた、幕府に弓引く者として、彼らを捕らえるよう家臣に命じる。
最後まで生き残った鉄之介もついに湯沢の温泉で捕らえられ、斬首刑に処されるのだった。

コミカルな役どころの多い生瀬勝久が、藩士の高橋をシリアスに演じていたのが印象的。
ふさと誠一郎の住んでいる家が取り調べに合い、家の中をめちゃくちゃにされて涙をこらえるシーンなど、少し泣けるシーンもあったが、史実の映画化の宿命で、仲間がどんどん捕まってしまう救われない話なので、感動は控えめだった。この辺りは「大脱走」とも共通していた。

【5段階評価】3

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2013年2月 3日 (日)

(939) 007 慰めの報酬

【監督】マーク・フォースター
【出演】ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック
【制作】2008年、イギリス・アメリカ

007シリーズ第22作。「007 カジノ・ロワイヤル」に続くダニエル・クレイグ主演作。

英国機関、MI6の諜報員、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、愛する女性、ベスパーを失った傷から癒えずにいた。彼が生け捕りにしたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)の尋問中、M(ジュディ・デンチ)が信用していたスタッフが裏切りを謀って逃走。それを追ったボンドは死闘の末、彼を撃ち殺すが、証拠を失ったMはいらだちをあらわにする。
さらなる証拠を求めるボンドがたどり着いたのは、グリーン・プラネットの代表者、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)だった。しかし、彼は砂漠の地下河川をせき止めてわざと水不足を起こして金儲けを企む悪人で、メドラーノ将軍(ホアキン・コシオ)との裏取引を企んでいた。ボンドは将軍に怨みを持つ女、カミーユ(オルガ・キュリレンコ)と知り合い、二人でドミニクに接近。ドミニクと将軍の取引現場となった砂漠のホテルに乗り込む。ホテルが爆発炎上する中、カミーユは将軍を殺害して家族を殺された怨みを晴らし、ボンドは格闘の末、逃げ惑うドミニクを捕らえると、砂漠に放置し、車で走り去る。
Mはついにボンドを信用するのだった。

前作同様、シリアスな生身のアクションは、ジェイソン・ボーン・シリーズにも通じる迫力。
ただ、序盤のカミーユと知り合うあたりの展開が分かりづらかった。
決して前作にひけをとらないこの作品の評価が3で、前作の評価を4にしているのは、自分でもおかしな気もするが、素直な感想なので仕方ない。人間の慣れとは恐ろしいということにしておく。

【5段階評価】3

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2013年2月 2日 (土)

(938) 人生奪回ゲーム

【監督】室賀厚
【出演】森下悠里、鈴木聖奈
【制作】2012年、日本

警察の潜入捜査に協力し、命がけのギャンブルに挑む元OLを描く。「人生逆転ゲーム」の続編。

かつて、負ければ臓器提供、勝てば賞金を得られるゲームに勝ち残ったOL、本城佐紀(森下悠里)は、浪費癖が直らず、借金はしていないものの、結婚詐欺で生計を立てていた。彼女を逮捕した警察は、違法臓器提供組織を摘発するため、佐紀に潜入捜査を依頼。
これまでの詐欺罪をチャラにしてやると言われ、彼女は再びゲームに参加。本来、彼女とともに潜入するはずだった刑事は、組織に気付かれて殺されてしまうが、警察からはもう一人、捜査員が潜入していると言われる。しかし、その名前を佐紀は聞き逃してしまう。
ゲームはスタートし、サイコロの大小、コインの積み上げ、バカラによって、一人ずつ脱落。前回同様、次は投票となり、佐紀に投票しようとみんなに持ちかけたチンピラが裏切られ、4票を集めて脱落。ここで佐紀はようやく、潜入捜査をしているのが看護師の格好をした女性(鈴木聖奈)であることを知らされる。
次の対決は1対1のロシアンルーレット。最初の対戦で男が一人撃ち殺され、次の対戦は佐紀と女性警官。残り2発となったところで佐紀は監視カメラに向けて引き金を引き、意識を失うが、そこに警察が突入し、組織は一網打尽となるのだった。

前作同様、主人公の勝ち残りに頭脳的な戦略はなく、ただただ運を天に任せるだけの展開。それでも評価が2にならないのは、一応、出演する役者さんの演技は割としっかりしていると感じたからだと思う。俳優の層の厚さを感じた。
ちなみに、1作目のタイトルは「人生逆転ゲーム」で、「カイジ 人生逆転ゲーム」のサブタイトルのパクリ。そして本作も「カイジ2~人生奪回ゲーム~」のパクリと、やり口が徹底している。次作を期待させるようにエンディングで「see you next game」と出るが、カイジ第3作が出るまでタイトルが決まりそうにないのだった。

【5段階評価】3

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2013年2月 1日 (金)

(937) 人生逆転ゲーム

【監督】室賀厚
【出演】森下悠里、正木蒼二、不二子
【制作】2010年、日本

借金を背負った者どうした命がけのゲームに挑む。劇場版カイジのサブタイトルと同じ名前をつけた、二番煎じ感がただよう作品。

遊ぶ金目的で借金を積み上げたOL、本城佐紀(森下悠里)は、借金の一括返済を条件に、命を預ける契約を交わされる。
ある日、空き地に呼び出された佐紀は、そこにいる他の7人の人たちとともに薬を飲まされる。
気付くと彼らは倉庫の一室にいた。倉庫に男の声が鳴り響き、臓器提供する人間をゲームで選ぶことになる。また、その生き残りゲームでは、世界中のセレブが賭けを楽しんでいた。
最初のゲームはトランプ。1人が1枚ずつ引き、8人の合計が偶数なら、もっとも小さいカードを引いた者が負け、奇数なら大きいカードを引いた者が負けという単純なルール。7人が引いた時点で合計は50、佐紀のカードは最低の数字の3。最後の1人は13を引き、合計が奇数で最大のカードだったため、本人が脱落する。
次のゲームは、水の満たされたグラスの中に、順に好きな枚数だけコインを落とし、水をあふれさせた者が負け。そこではシャブが切れた主婦が脱落する。
次のゲームは神経衰弱。その中ではもっとも年長だった工場主が脱落する。
残った5人には食事が提供され、しばしの休息となるが、次の脱落者は投票で選ぶことになる。それまで佐紀にアドバイスをしていた若い男(正木蒼二)が脱落する。
最後のゲームは二人どうしでのロシアンルーレット。ただし、相手に銃口を向けることもでき、その時点でハズレならゲームは終了する。
最初の対戦はヤクザの男(木庭博光)とクラブのママ(不二子)。ヤクザは3回目に相手に向けて引き金を引くが弾は出ず、ママが相手を撃ち殺して決着が付く。
次の対戦は、佐紀と中学教師の男(田中俊)。教師の男は、妻を19歳の少年にひき殺され、その少年と少年を執行猶予にした裁判官を殺して逃げ回っていた男だった。弾は4発まで出ず、佐紀の番となる。5回目が不発の場合、6回目は男の番になるため、佐紀としては5回目を相手に向け、弾が出るのを願うしかない。しかし弾は不発。絶望する佐紀の前で男は拳銃を手に取り、部屋に銃声が鳴り響く。
ここまでフラグが立てば明らかなように、男は自分の頭を打ち抜いていた。佐紀は助かったのだった。

次々とゲームが展開し、飽きさせないつくりになってはいるが、いかんせん、主人公の佐紀が無為無策すぎ。全てにおいて運任せで、相手を懐柔することもなければ取り引きをすることもない。かといって、森下悠里のナイスバディを売り物にしているわけでもなく、なかなかひどい作品だった。とは言え、観る前からおよそ想像がついていたため、それほどの裏切られ感はなく、評価は3。「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」や「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」のように、孤立した空間でのサバイバルを映画化した作品は多いが、期待感のしきいが低かった分、まあ、普通の作品だった。

【5段階評価】3

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