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2013年2月14日 (木)

(950) 野性の証明

【監督】佐藤純彌
【出演】高倉健、薬師丸ひろ子、夏木勲、中野良子
【制作】1978年、日本

田舎の集落で起きた大量殺人事件に関わった自衛隊の特殊部隊出身者と、生き残った少女との交流を描いた作品。

テロリスト殲滅などの任務に就く特殊工作隊員として厳しい訓練を重ねていた味沢(高倉健)は、東北山中の奥地にヘリで投下され、人との交流を絶って目的地に向かうというサバイバル訓練に挑む。空腹のあまり自らの腕を食べる者も出るなど、過酷な試練が続く中、味沢は、とある集落の付近で一人の女性旅行者(中野良子)と出会う。衰弱していた味沢を見た旅行者は、助けを求めに近くの集落に向かうが、そこで起きた殺人事件に巻き込まれ、命を落とす。集落では、たった一人の少女、頼子(薬師丸ひろ子)を残して、村人が皆殺しにされてしまう。
刑事の北野(夏八木勲)は、記憶を失った頼子を足がかりに捜査を行う。頼子は、保険の外交員となった味沢の養子として暮らしていた。新聞記者の越智朋子(中野良子)は殺された女性旅行者の妹で、酒の飲めなかったはずの同僚が、泥酔した上でホステスと車で転落死を遂げたことを不審に思い、地元を仕切る大場総業の陰謀によるものではないかと疑い、取材を続ける。味沢もまた、車の転落でなくなった女性にかけられていた保険金の受け取り人が、大場総業の一味(梅宮辰夫)であることを知る。知り合った二人は協力して捜査を進める。大場総業は、毎年のように起こる洪水のために二束三文となっている土地を買い上げ、治水工事をすることで得られる地価上昇の利益を我がものとしていた。味沢と朋子は、大場総業のかかわる工事現場に埋められていたホステスの死体を発見する。事件は表沙汰になるが、大場総業の力はマスコミをはじめ地元に深く及んでおり、捜査の手は大場総業の中心人物、大場一成(三国連太郎)には及びそうもなかった。逆に味沢は、大場の圧力により職を失ってしまう。
味沢は、頼子が次第に事件の記憶を取り戻そうとしており、同時に、彼女の予知能力が覚醒していることに気付く。頼子の能力が自分への強い憎しみに根ざしていることを知った味沢は、あえて頼子を事件の現場に連れていき、彼女の記憶を呼び戻そうとするが、頼子はおびえてしまう。その様子を不思議がる朋子に、味沢は真実を告げる。味沢は、軟腐病という野菜に伝染する病によって精神を狂わせた頼子の父親が、村人を惨殺している現場に出くわし、殺されようとしている頼子を助けるため、人との接触を断つという訓練の掟を破って、その父親を殺していた。彼は残された頼子を育てるため、集落での事件を忘れることを条件に除隊したのだった。
朋子は大場総業の悪事をすっぱ抜くスクープを新聞に載せようとするが、それに気付いた大場総業が新聞社に乗り込んでくる。朋子の危険を予知した頼子の言葉を聞いて、味沢は朋子のもとにかけつけるが、彼女は大場一成の息子、成明(舘ひろし)らに惨殺されていた。大場の手は味沢と頼子にも及び、それまで自分の真の姿を隠していた味沢は、特殊工作員としての本来の戦闘能力をあらわし、成明らを倒す。それを見た頼子は、ついに記憶を取り戻し、駆けつけた北野に「お父さんを殺したのはこの人よ」と告げる。
それを聞いた北野は味沢に手錠をかける。しかし、味沢の口封じを狙うのは、もはや大場総業のみではなかった。自衛隊幹部もまた、自衛隊の演習に乗じて、口封じのため味沢を亡き者にしようとしていた。味沢とともに逃亡を続ける北野は、一途に頼子を助けようとする味沢を信じ、彼にかけた手錠を外すと、自ら犠牲となって、追っ手の乗った戦車に軍用トラックで突進し、命を落とす。
味沢は頼子を助けるため、ヘリから機銃で攻撃してくる工作隊の皆川(松方弘樹)に単身で応戦し、トンネルに隠れていた頼子を救おうとするが、頼子は「お父さーん! 」と叫びながらトンネルを飛び出して味沢の元に駆け寄ろうとし、皆川に撃たれてしまう。頼子は味沢の腕の中で息を引き取る。怒りに燃えた味沢はヘリを大破させるが、さらに現れた戦車と兵士の大群を見ると、頼子の亡骸を背負い、戦車の群れに飛び込むのだった。

序盤で訓練中の隊員が自分の手を食らうシーンは、なかなか衝撃的。こうした残酷でショッキングな映像を売りにするグロ趣向的な要素はありつつも、謎の大量殺人を犯したのは味沢なのか、という謎を解き明かしていくストーリーは重層的で楽しめた。救われないラストシーンや、過剰な軍事車両の映像は、「戦国自衛隊」ともだぶる。
今回観たのはNHKでの放映だったが、斧で頭をかち割ったり首をはねたりするシーンや、「キチガイ」などの言葉も「ピー音」なしでそのまま放映されており、放送禁止措置に対する時代の変化を感じた。
ちなみに、エンドロールで、出演者の中に角川春樹の名がある。彼は、演習地で逃亡中の味沢らが出会う一般の自衛隊の隊長というちょい役で出演している。

【5段階評価】3

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