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2012年9月

2012年9月29日 (土)

(852) 紅葉狩

【監督】柴田常吉
【出演】九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎、二代目尾上丑之助
【制作】1899年、日本

日本最古の映画とされている作品。能の演技を記録した映像で、6分しかないので、これを映画と呼べるのかは微妙である。とは言え、一応、最初は「闇の手品」同様、レトロな字体でキャストが紹介されている。

更科姫(九代目市川團十郎)の踊りのシーンでは、手に持っていた扇子を投げ上げてキャッチするはずが、團十郎は落としてしまう。しかしリテイクされず、そのまま黒子が扇子を團十郎に渡してこともなげに演技を続けていた。
日本最古の映画は、おおらかさの面でも日本一だった。

【5段階評価】3

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2012年9月28日 (金)

(851) ICHI

【監督】曽利文彦
【出演】綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介
【制作】2008年、日本

盲目の侠客、座頭市を女性に置き換えて映像化した作品。

盲目の三味線弾き、市(綾瀬はるか)は美貌の持ち主で、むらがる悪党を居合いで倒し、身を守っていた。彼女と偶然出会った浪人の十馬(大沢たかお)は、彼女と行動をともにする。十馬は、優れた剣術を身につけていながら、かつて自らの刀で母親の目を傷つけてしまったことから、刀を抜けない体になってしまっていた。しかし、誤解から、宿場町の白河組の二代目、虎次(窪塚洋介)に剣豪と見込まれ、用心棒に雇われる。白河組は悪党集団の万鬼党の襲撃を受けるが、刀の抜けない十馬は、まったく用心棒としての役割を果たせない。そこに市が現れ、万鬼(中村獅童)に会わせろと万鬼の右腕、伊蔵(竹内力)に命じる。
市は万鬼と対決するが敗れ、牢に放り込まれる。そこに十馬が現れ、彼女を救い出す。
十馬は、万鬼党の襲撃を受けようとしている白河組に合流し、万鬼との一騎打ちに挑む。市を救いたいという一心から、ついに刀を抜くと、万鬼との対戦に勝利する。しかし、十馬も深い傷を負う。そこに市が現れ、十馬を助け起こすが、十馬は「生きろ」と言い残して息絶える。
倒れていた万鬼が立ち上がり、再び市に襲いかかるが、市は万鬼を返り討ちにし、宿場町を立ち去るのだった。

ただのアイドル映画なのか、感動のアクション映画なのか、よく分からない中途半端な印象だった。「あずみ」での上戸彩の太もも全開っぷりに比べれば、強姦シーンで胸の膨らみがちょっと映ったり、殺陣のシーンでの太ももチラみせぐらいで、基本的には厚着だし、感情をむき出しにして啖呵を切るようなシーンもない。
その一方で、万鬼党の装束は史実離れした派手な色使いで、リアルを追及しているわけでもなかった。
その一方、万鬼を演じた中村獅童の「ケッケッケッ」と笑う演技のフルスロットルぶりが、「陰陽師」の真田広之に通じるものがあり、俳優って大変だな、と感じた。

【5段階評価】3

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2012年9月27日 (木)

(850) パール・ハーバー

【監督】マイケル・ベイ
【出演】ベン・アフレック、ケイト・ベッキンセール、ジョシュ・ハートネット
【制作】2001年、アメリカ

日本軍の真珠湾攻撃と、それを端緒とする第二次世界大戦に巻き込まれるアメリカの若者たちを描いた作品。

オープニングは戦闘機のパイロットに憧れる少年二人。親友であるこの二人が、いずれ好敵手となるというフラグが立ちまくりで、マイケル・ベイ監督らしい分かりやすい展開だが、この時点で、「うわー、ベタやなぁ」と胸くそ悪くなる人も出そうである。
成長した二人はパイロットとなる。レイフ(ベン・アフレック)はやがて、看護師のイブリン(ケイト・ベッキンセール)と恋に落ちるが、イギリス軍からの招聘によりアメリカを離れ、一方のダニー(ジョシュ・ハートネット)は、イブリンと同じハワイの勤務となる。
レイフは戦闘中に敵機に撃墜され、アメリカにはレイフが死んだとの知らせが届く。悲しむイブリンを慰めたのはダニーだった。イブリンがダニーの子を身ごもったことに気付いたとき、レイフが帰ってくる。ドイツ占領下のフランスの漁民に助けられたのだった。
レイフはイブリンとの再会を喜ぶが、イブリンは素直に喜べない。レイフは、ダニーへの敵意を露わにする。
その頃、着々と真珠湾攻撃の準備を整えていた日本軍が、ついに行動を開始。爆撃に気付いたレイフとダニーは、二人の間のわだかまりをよそに、戦闘機に乗り込み、零戦を撃墜するが、真珠湾は多大な被害を受ける。
アメリカは日本本土への空襲を慣行。レイフとダニーの上司のドゥーリトル(アレック・ボールドウィン)とともに出動。十分な燃料のない彼らは、爆撃後、なんとか中国本土に不時着。彼らは日本軍兵士に襲われ、ダニーは銃弾を浴びてしまう。ダニーが父親になることを知っていたレイフは、そのことをダニーに告げるが、ダニーはお前が父親になれ、と言い残して息を引き取る。
勇敢な戦績を認められたレイフは、イブリンと子どもとともに、幸せな暮らしを送るのだった。

CGを駆使した特撮はよくできていて、真珠湾攻撃のシーンは迫力がある。しかし、「プライベート・ライアン」に比べると、そのリアルさの徹底ぶりには差がある。そこは娯楽性を追求するマイケル・ベイ監督の趣向だと目をつぶるとしても、レイフとダニー、イブリンが織りなす三角関係の終結にもあまり感動がない。
歴史的な大戦を重厚に描くのであれば、やはりリアリティはだいじで、日本軍が屋外で重要な会議をしてみたり、しかもその奥で子どもが遊んでいたり、城址公園の池みたいなところに船の模型を浮かべて作戦会議をしたり。まあその辺はイメージ映像ということだとしても、主人公達が大勢の日本軍に囲まれても手榴弾1個で日本兵が全滅したりするのは、あまりにも助かり方としては安直。
魅力の重点が特撮映像に寄りすぎていて、名作と認めるには物足りなかった。

【5段階評価】3

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2012年9月26日 (水)

(849) エボリューション

【監督】アイバン・ライトマン
【出演】デビッド・ドゥカブニー、ジュリアン・ムーア、オーランド・ジョーンズ
【制作】2001年、アメリカ

地球に飛来した地球外生命体の大繁殖を阻止する科学者達を描いたSFコメディ。

短大教師のアイラ(デビッド・ドゥカブニー)は、友人のハリー(オーランド・ジョーンズ)とともに、隕石落下現場に向かい、サンプルを採取。顕微鏡で調べると、単細胞生物が分裂を始め、3時間ほどで多細胞生物に進化。
再び現場に向かったアイラは、すでに菌類や虫が繁殖しているのを発見する。事態をコントロールしようとした軍はアイラ達を目の敵にし始める。彼らはナパーム弾でエイリアンを焼き尽くそうと考えるが、エイリアンは火の力で大増殖を開始。手が付けられなくなってしまう。
はじめは軍の側にいた女性科学者のアリソン(ジュリアン・ムーア)や、隕石落下の第一発見者、ウェイン(ショーン・ウィリアム・スコット)、教え子のふとっちょコンビがアイラの仲間となる。彼らは、エイリアンがセレンに弱いことを突き止め、セレン入りのシャンプーをエイリアンの中心部に注入。エイリアンの破壊に成功する。

登場するエイリアンはコミカルで、多足歩行の生物などは漫画「ベルセルク」や映画「ミスト」に出てくるものと似ているが、雰囲気はかなり違う。足下を大量の虫が這っていたり、最後は粉砕したエイリアンでベトベトになったりと、ちょっとスプラッタ要素もあるが、気楽に楽しめる作品になっている。

【5段階評価】3

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2012年9月25日 (火)

(848) アドレナリン

【監督】マーク・ネベルダイン、ブライアン・テイラー
【出演】ジェイソン・ステイサム、エイミー・スマート、ホセ・パブロ・カンティーロ
【制作】2006年、アメリカ

殺し屋のチェリオス(ジェイソン・ステイサム)は、ある中国マフィアの幹部を殺害した報復として、リッキー・ベローナ(ホセ・パブロ・カンティーロ)から中国製の毒を注射される。この毒に治療方法はなく、唯一、アドレナリンの作用で進行を遅らせることができるのみ。それを知ったチェリオスは、警官から白バイを奪って無謀な運転をしたり、手を調理器具で焼いたり、衆人環視の中で恋人のイブ(エイミー・スマート)と性行為に及んだりといった無茶をしながら、ベローナを追う。最後はヘリに逃げ込んだベローナと乱闘となり、空中から落下。落下しながらベローナを絞殺したチェリオスは、イブに別れを告げ、地面にたたきつけられて絶命する。

「わしゃとまると死ぬんじゃ。」という間寛平のギャグが原作となった作品。まあそれは嘘だが、アドレナリンがないと死ぬというのは、「スピード」とも似ている。だが、本作は何となく、アドレナリンがないと死ぬという設定の描き方が不徹底で、漫然と喫茶店でお茶したり、ときどき苦しそうになるけどどんどん病状が悪化していくわけでもなく、緊張感に欠ける展開だった。評価を2点にしてもよかったが、まあ、飽きずに見ることはできたので、3点にしておく。
治療の見込みのない毒を盛られるという設定は「D.O.A. 死へのカウントダウン」でも見られたが、この作品も、特に主人公が弱っていくわけでもなく、最後には真犯人と大乱闘を演じていた。主人公がどんどん衰弱していくと映画にならないので、仕方ないのだろうが、だったらはじめからそんな設定にするなよ、という気がする。

【5段階評価】3

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2012年9月21日 (金)

(847) 海猿/UMIZARU

【監督】羽住英一郎
【出演】伊藤英明、加藤あい、伊藤淳史、藤竜也、海東健
【制作】2004年、日本

海上保安庁の救助隊員を主人公とした、佐藤秀峰原作の漫画、「海猿」の映画化作品。

海上保安大学校の訓練生、仙崎大輔(伊藤英明)は、ひ弱な工藤(伊藤淳史)とバディを組み、訓練に努めていた。仙崎はファッションデザイナーの卵、伊沢環菜(加藤あい)と知り合い、親しくなる。工藤も厳しい訓練に耐え、成長するが、海でおぼれている男を助けに行こうとして帰らぬ人となる。
保安官の道を投げ出そうとする仙崎だったが、食堂のおばさん(杏子)に励まされ、やる気を取り戻す。
最後の訓練で、仙崎は訓練生の中でのライバル、三島(海東健)と組むことになる。二人は海中での訓練作業を無事に終えるが、浮上の際、急な潮流にあおられ、三島は酸素ボンベのエアーを失っただけでなく、落下した岩に足をはさまれ、動けなくなってしまう。
危急の際にはバディを見捨てて自分だけでも助かるという信念を持っていた三島は、仙崎に浮上するよう促すが、仙崎は最後まで諦めず、三島と一つの酸素ボンベを共有する。
海上では事故の知らせを受けた海上保安庁が救援部隊を送り込むが、間に合わないと考えた教官の源(藤竜也)は、訓練生達を助けに行かせる。仙崎のボンベの残圧が尽きたとき、ようやく仲間が現れ、二人は九死に一生を得る。
源は本庁の命令に背き、訓練生を救援に向かわせたかどで処罰されることとなるが、三島達があれは訓練だったと主張。本庁の五十嵐(國村隼)は、事故がなかったのなら、処分の必要はないと告げ、会議室を立ち去る。
仙崎らは無事に大学校を卒業。自信を取り戻した仙崎は、一時はぎくしゃくした関係となった環菜のもとを訪れ、関係を再開するのだった。

この手の作品は、主人公は死なないというお約束があるので、どれだけハラハラドキドキした場面でも、「どうせ助かるんでしょ」と思ってしまうものだが、「海猿」シリーズは、仲間達の信頼関係に焦点を当て、毎回、熱い感動を与えてくれる。藤竜也の演じる源教官もしぶくてかっこよかった。

【5段階評価】4

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2012年9月20日 (木)

(846) 二百三高地

【監督】舛田利雄
【出演】あおい輝彦、夏目雅子、仲代達矢、新沼謙治、丹波哲郎、湯原昌幸、佐藤允
【制作】1980年、日本

日露戦争の死闘と、それに巻き込まれる人々の悲劇を描いた長編映画。

小学校教師の小賀(あおい輝彦)はロシアを愛していたが、戦争にかり出される。豆腐屋のせがれ、木下(新沼謙治)や、太鼓持ちの梅谷(湯原昌幸)などが小賀の部隊に集まる。
ロシアの要塞は強固で、日本の部隊は次々と全滅させられていく。しかし、日本軍は死力を尽くして二百三高地を確保する。
戦争には勝利したものの、小賀をはじめ、多くの兵士が帰らぬ人となる。小賀の帰りを待っていた佐知(夏目雅子)は、小賀が担当していた学級の担任となり、遺志を継ぐのだった。

「おしえてください この世に生きとし生けるものの 全ての生命に 限りがあるのならば」というさだまさしの名曲、防人の歌はこの作品のテーマ曲である。作中、歌詞が大写しになるのには、ちょっと驚いたが。

プライベート・ライアン」の上陸作戦の映像の苛烈さには及ばないものの、日本軍が敵の砲弾が乱れ飛ぶ中を果敢に進軍して散っていくさまは、戦争の悲惨さをよく伝えている。
のちに作られる「大日本帝国」にも、あおい輝彦や夏目雅子をはじめとする多くのキャストが共通して登場している。
作品の時間が長いのは、娯楽作品としては若干苦痛ではあるが、日露戦争を描こう、伝えようという映画人の気概を感じる作品である。

【5段階評価】3

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2012年9月19日 (水)

(845) スコーピオン・キング

【監督】チャック・ラッセル
【出演】ザ・ロック、ケリー・ヒュー、スティーブン・ブランド
【制作】2002年、アメリカ

ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」に悪役として登場したスコーピオン・キングに焦点を当てたスピンオフ。

予言者の力を使って圧政を広げる為政者メムノン(スティーブン・ブランド)を倒すため、バルザバール(マイケル・クラーク・ダンカン)の部族は暗殺者を雇う。男の名はマサイアス(ザ・ロック)。メムノンは剣術の達人で、マサイアスは暗殺に失敗。逃亡中に予言者のカサンドラ(ケリー・ヒュー)と遭遇する。マサイアスはカサンドラを連れて逃走。二人の間に愛が生まれる。
マサイアスはバルザバールの一族と再びメムノンの神殿に突入。見事にメムノンを倒す。
メムノンの恐怖の支配から逃れた人々は、マサイアスをスコーピオン・キングとしてあがめるのだった。

プロレスラーを主役に据えるという商業的な意図が見え見えの作品ではあるが、特撮はそこそこよくできていて、肩肘張らずに楽しめる。ザ・ロックの主役っぷりも堂に入っていて、素人臭さがなかった。

【5段階評価】3

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2012年9月15日 (土)

(844) ダブル・ミッション

【監督】ブライアン・レバント
【出演】ジャッキー・チェン、アンバー・バレッタ
【制作】2010年、アメリカ

ジャッキー・チェン主演のアクション・コメディ。

元CIAのスパイ、ボブ・ホウ(ジャッキー・チェン)は、隣人のシングルマザー、ジリアン(アンバー・バレッタ)との結婚を実現するため、職を辞する。しかし、CIAが彼の力を借りるために、入手した暗号ファイルを送ったため、それをつきとめたテロリスト、ポルダーク(マグナス・シェビング)は、彼の抹殺を部下に指令。父親の看病で不在となったジリアンの代わりに、ジリアンの3人の子供の面倒を見ることになっていたボブは、なついてくれない子供に手を焼きつつも、テロリストの魔の手から命がけで子供達を守る。
ボブがスパイだと知ったジリアンは、家に戻ると二度と会わないでくれ、と彼に言い放つが、ボブの優しさを知った子供達がボブに抱きつき、ジリアンも本当の愛に気付くのだった。

もはや初老の域に達したジャッキー・チェンが、ワイヤーの力を借りながら、老体にむち打って、すごさと痛々しさのギリギリのアクションに挑んでおり、なかなか素直には楽しめない。序盤で、過去のジャッキー映画の名シーンがセピア色の画像で登場するのも、「昔はすごいアクションをやってたんだよなぁ」と郷愁を誘う。ジリアンの子供が登場してからも、「スパイキッズ」のようなドタバタ・アクション・コメディが続き、これは評価2だな、と思っていると、最後の最後。ラストシーンにはやられた。引っ張りに引っ張った長女のツンデレが炸裂。思わずほろりとしてしまう。この最後の感動を得るためにも、序盤の哀しいアクションシーンは我慢して見続けた方がよい。

【5段階評価】3

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2012年9月14日 (金)

(843) ママの遺したラヴソング

【監督】シェイニー・ゲイベル
【出演】スカーレット・ヨハンソン、ジョン・トラボルタ、ガブリエル・マクト
【制作】2004年、アメリカ

母の死の知らせを受けて、母の住んでいたニューオーリンズを訪ねた少女と、母の知り合いだった人々との交流を描いた作品。

つまらない男と同棲していた18歳の少女、パースリーン(スカーレット・ヨハンソン)は、母の死の知らせを受けて、母親の住んでいた家を訪ねる。そこには2人のアル中の男が住んでいた。元英文学教授のボビー・ロング(ジョン・トラボルタ)は、2人が母親の友人であり、遺言ではこの家はパースリーンと自分たちの3人に残された物だという。
3人の奇妙な同居生活が始まる。ボビーは生意気な口をきくパースリーンを疎ましく思い、彼女を家から追い出そうとするが、助手のローソン(ガブリエル・マクト)は彼女の世話を焼き、次第に3人は強い絆で結ばれていく。
しかし、パースリーンと同居していた男が家を訪れ、この家が3人の共有だという話は嘘だという事実を告げる。怒ったパースリーンはボビー達を追い出し、家を売りに出す。
家の中の荷物を片付けていたパースリーンだったが、ある荷物に目をとめる。そこには、母親が出せずにいた、パースリーン宛の手紙の束があった。そこには、母親とボビーが関係を持ち、生まれたのが自分であるという文章がつづられていた。
衝撃を受けた彼女は、その手紙をボビーのところに持って行く。ボビー自身も驚愕するが、ようやく二人は親子の抱擁を交わすのだった。

初老のボビーが町並を彩る建物を横切っていくシーンなどが印象的で、冒頭から「ああ、映画らしい映画だな」と思わせる。
たわわなスカーレット・ヨハンソンの横乳による煩悩を追いやって、心温まる家族愛の物語に集中しなければならないという、男性映画ファンの胆力が試される作品と言えよう。

【5段階評価】4

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2012年9月13日 (木)

(842) メメント

【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】ガイ・ピアース、ジョー・パントリアーノ、キャリー=アン・モス
【制作】2000年、アメリカ

10分間しか記憶を維持できない男が殺された妻の復讐を企む。時間をさかのぼるように物語が展開する超難解作品。

10分間しか記憶を維持できないという障害を持つレナード(ガイ・ピアース)。彼は、妻をレイプして殺した犯人に復讐を遂げることを生きる糧としていた。記憶に頼ることのできない彼は、自分に当てたメッセージを体に刻みつけ、ポラロイド写真の余白に書き込みをしていた。
彼はしだいに、自分につきまとっている刑事のテディ(ジョー・パントリアーノ)がレイプ犯だという結論に達し、彼を殺害する。映画はその場面から始まり、過去を少しずつたどっていく。
その過程で、彼がなぜテディをレイプ犯だと確信したかが描かれていく。しかし、その記憶をさかのぼるにつれ、テディが信用できない男であるということ自体、レナード自身が自らに思い込ませていたことが明らかになる。
レナードの妻を殺したのは、記憶障害を起こしたレナード自身だった。妻は、レナードの記憶障害が本当なのか演技なのか見分けがつかず、レナードに芝居を打つ。それは、大量の投与が危険なインシュリンを、自分に打たせてみるというものだった。彼女はレナードにインシュリンを注射させ、それが終わるとまた、インシュリンの時間が来たと言って、彼に注射を打たせた。結局、彼の記憶障害は本物で、妻はインシュリンの大量投与により昏睡し、死亡してしまう。レナードはそのショックから、自分が妻を殺したという記憶を消し去り、その事件は自分がかつて保険会社の調査員時代の顧客だった男のしわざにすり替え、妻を殺害したレイプ犯を追うという使命を自らに与えるため、テディは嘘つきであるといった情報を自ら作り出していたのだった。

超難解映画なので、上のあらすじが的確である保証はまったくない。二度、三度、見ると面白い作品だろうとは思うが、そこまで時間のない人には、「せっかく見たのに訳が分からなかった」で終わってしまうだろう。
とは言え、同じような記憶障害を扱った「博士の愛した数式」が、80分しか記憶の維持できないという極めて特異な人物を扱っている割に、あまりその特徴を生かした話になっていないように思えるのに比べると、本作では、その特性を最大限に活用しており、楽しい。過去に遡ってつじつまが合う快感というのは、実は「スターウォーズ」のエピソード1~3の楽しみにも通じたりする。
思えば同じクリストファー・ノーラン監督の「インセプション」も、クセが強く分かりづらい作品であったし、「インソムニア」も不眠症の男の意識に焦点が当たっていた。あまたある映画の中には、こういったクセの強い作品があるのも悪いことではない。

【5段階評価】4

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2012年9月11日 (火)

(841) 卒業

【監督】マイク・ニコルズ
【出演】ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス
【制作】1967年、アメリカ

結婚式に乱入して花嫁を奪うラストシーンが極めて鮮烈な青春映画の名作。

優秀な大学生であるベン(ダスティン・ホフマン)は、家族の開いた卒業パーティで、知り合いのロビンソン夫人(アン・バンクロフト)から車で家に送るよう頼まれ、彼女の家で性的な誘惑を受ける。
彼はしばらく夫人との密会を続けていたが、夫人の娘、エレイン(キャサリン・ロス)と出会い、彼女に恋をする。夫人はベンが娘に会うのをやめさせようと、娘に会うのなら今までのことをばらすとベンを脅すが、ベンは逆に自分からエレインの部屋にかけこみ、そのことを示唆。混乱したエレインはベンを部屋から追い出す。
エレインを忘れられないベンは、エレインの通う大学の近くにアパートを借りる。一時はそんな彼を嫌うエレインだったが、次第に彼との結婚を考えるようになっていく。
しかし、全てを知った父親のロビンソン(マーレイ・ハミルトン)は逆上し、娘には会わせないと宣言。エレインはベンの知らない間に大学をやめてしまっていた。付き合っていた別の男と結婚することになったのだ。
ベンは方々にコンタクトして式場を突き止める。建物の入り口は施錠されていたため、彼は2階に延びる階段を駆け上る。窓越しに式場を見ると、そこにはちょうど誓いの口づけを交わしたエレインがいた。ベンはなりふり構わず「エレイン! エレイン! 」と絶叫。式場は混乱するが、エレインはベンの熱い思いに気づき、「ベーン! 」と叫ぶ。二人はロビンソン夫婦らの妨害をふりほどき、式場から抜け出すと、走ってきたバスに駆け込む。二人を不思議そうに見つめる老人達に囲まれながら、二人はバスの後部座席に座る。そして満足そうな、しかしややもすると不安そうな顔で、バスに揺られてどこかへと走り去っていくのだった。

全編を通して流れるサイモン・アンド・ガーファンクルの歌が素晴らしく、これを聞いているだけでも青春映画の切なさが胸に押し寄せてくる。映像的には、主人公の大アップなど、画面上で人物が手前と奥にいる構図が多用されており、ときにはピントが合わないほど、また画面をふさいでしまうほど手前に人がいたり、手前にいる主人公のさらに手前を通行人が横切ったりする場面があったりして、これらが主人公の不安な心情を暗に表現しているように感じた。
それにしても、久々に見たアン・バンクロフトが勝間和代だったのには驚いた。

【5段階評価】4

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2012年9月 8日 (土)

(840) ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還

【監督】ピーター・ジャクソン
【出演】イライジャ・ウッド、ショーン・アスティン、ビゴ・モーテンセン、イアン・マッケラン
【制作】2003年、ニュージーランド・アメリカ

ロード・オブ・ザ・リング」の3作目。フロド(イライジャ・ウッド)が旅を終え、大団円を迎える。第76回アカデミー賞作品賞受賞作品。

フロドは従者のサム(ショーン・アスティン)と先導役のゴラム(アンディ・サーキス)とともに、指輪を捨てる旅を続ける。
ガンダルフ(イアン・マッケラン)の一行は、崩壊したアイゼンガルドでピピン(ビリー・ボイド)とメリー(ドミニク・モナハン)の二人と再会。そこでピピンはサウロンがサルマンとのやりとりに用いていた石を発見。ガンダルフの目を盗んでそれをのぞき込んでしまい、サウロンに居場所を知られてしまう。その一方、サウロンの軍勢がゴンドールのミナス・ティリスに攻め込もうとしていることを知り、ガンダルフはピピンを連れてゴンドールに向かう。
ゴンドールを統治しているデネソール(ジョン・ノーブル)は、ローハンからの援軍を拒否するが、ガンダルフはピピンを使って援軍要請ののろしを上げる。
ローハンにいたアラゴルン(ビゴ・モーテンセン)は、エルフの長老、エルロンド(ヒューゴ・ウィービング)から、かつてサウロンの指を切り落とした伝説の剣、アンドゥリルを受け取ると、ゴンドールの戦いに協力しなかったために成仏できずにいる死者の軍団を味方に付け、ゴンドールに向かう。
ローハン軍は、サウロンの軍勢と勇敢に戦っていたが、ついにナズグルの頭、アングマールにセオデン王が倒される。しかし、セオデン王の姪、エオウィン(ミランダ・オットー)がメリーとともにアングマールを倒し、セオデン王は安らかに息を引き取る。
オログ・ハイやナズグル、オリファントの猛攻により進退窮まったローハン軍だったが、大量の死者の軍団を味方に付けたアラゴルンの到着により形勢が逆転。死闘に終止符が打たれる。
一方のフロドは、ついに本性を現したゴラムにより、いちどはサムとの仲を引き裂かれるが、最後は指輪を奪い取ったゴラムごと、指輪をモルドールの滅びの山の溶岩流の中に投げ込み、復活をもくろんでいたサウロンもこの世から消滅する。
ふるさとに無事に戻ったフロドだったが、彼は旅を記録した物語をサムに託すと、ガンダルフとともに新たな旅に出るのだった。

3時間超の大作。ついつい「スターウォーズ/EPISODE6 ジェダイの帰還」と比べながら見てしまった。共通点はいろいろあるが、やはりドラマとしても、映像としても、魅力の高さはスターウォーズに軍配が上がってしまった。
確かに、スターウォーズに登場する大量の戦闘機や帝国軍の兵士と、本作に登場する大量の軍勢とでは、本来、後者に迫力があっても不思議はない。しかし、映像化不能なものなどないと言っても過言ではないCG全盛の現在では、どれだけ騎馬の兵士が多くても、どれだけ大量の投石機が現れても、CGだと何でもありなので、どうにも作り物感がぬぐえず、感動が薄れてしまう。
人間ドラマとしても、やはり父と子、兄と妹、といった血縁にまつわる話の方が分かりやすく、本作の、最後まで指輪の魔力に抗しきれないフロドとゴラムのとっくみあいを見ていると、「まだやってんの? 」みたいになってしまった。
とは言え、トールキンが言葉で紡いだ壮大な世界観を、高い技術力で映像化した点には非常に満足。よくやってくれたなぁ、と、ファンとして拍手を送りたい。

【5段階評価】4

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2012年9月 6日 (木)

(839) ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔

【監督】ピーター・ジャクソン
【出演】イライジャ・ウッド、ビゴ・モーテンセン、ジョン・リス=デイビス、オーランド・ブルーム
【制作】2002年、ニュージーランド・アメリカ

ロード・オブ・ザ・リング」の続編。悪の王サウロンの大軍勢を、ガンダルフ(イアン・マッケラン)やアラゴルン(ビゴ・モーテンセン)らが退けるまでを描いている。

前作では、指輪を捨てる旅に出た仲間たちはちりぢりとなる。フロド(イライジャ・ウッド)は従者のサム(ショーン・アスティン)との移動中、指輪に執念を燃やすゴラム(アンディ・サーキス)を捕獲。彼を先導役として旅をするうち、フロドは次第に、ゴラムを敵ではなく、指輪の力に心を蝕まれた悲しい存在として認識するようになる。
オークに捕らえられたピピン(ビリー・ボイド)とメリー(ドミニク・モナハン)は、戦闘のすきにオークから逃げ、エント族の木の髭(ジョン・リス=デイビス)と出会う。二人はサルマンが森を破壊していることを木の髭に伝え、怒ったエント達はサルマンの居城を崩壊させる。
ピピンとメリーを救おうとしていたアラゴルン、レゴラス(オーランド・ブルーム)、ギムリ(ジョン・リス=デイビス)の3人は、ピピン達が木の髭に出会った森でガンダルフと再会。4人はサルマンの攻撃に晒されようとしている都市、ローハンに向かう。
ローハンの王、セオデン(バーナード・ヒル)は、蛇の舌(ブラッド・ドゥーリフ)により魂を抜かれたようになっており、セオデンの甥、エオメル(カール・アーバン)は城を追放されていたが、ガンダルフが蛇の舌を城から追い出し、セオデン王はかつての力を取り戻す。
サルマンはオークの改良種、ウルク・ハイの大軍勢をローハンに送り込む。ガンダルフが不在となったローハンの城は陥落寸前となるが、そこにガンダルフがセオドレドとともに現れ、ウルク・ハイを蹴散らす。
フロドとサムは、ゴンドールのファラミアに捕らえられるが、その重大な使命を認識したファラミアは、法に背いて二人を解放するのだった。

原作に登場する木の髭が映像化されたのは嬉しいが、ちょっとこじんまりした印象。攻城戦もそこそこ迫力があるが、子どもも見ることを意識しているのか、あまりどぎついシーンはなく、レゴラスが盾をスケボーにして階段を滑り降りるのも、なんだかなぁという。そう考えると「スターウォーズ」シリーズはやっぱりすごいんだ、と再認識した。

【5段階評価】3

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2012年9月 4日 (火)

(838) ロード・オブ・ザ・リング

【監督】ピーター・ジャクソン
【出演】イライジャ・ウッド、ビゴ・モーテンセン、イアン・マッケラン、ショーン・アスティン
【制作】2001年、ニュージーランド・アメリカ

トールキン原作のファンタジー小説の映画化作品。「指輪物語」はロールプレイングゲームの原点となった作品。エルフやドワーフ、ホビットといった種族が、剣と魔法の世界で悪と戦う。剣や斧、短剣、弓矢など、種族ごとに得意な武器を扱うRPGの伝統的な設定が登場。

ホビット庄に済むフロド(イライジャ・ウッド)は、ビルボ(イアン・ホルム)が持ち帰った邪悪な指輪をこの世から消すため、魔道士のガンダルフ(イアン・マッケラン)らと旅に出る。
北の地では、悪の王サウロンが復活を遂げようとしており、かつてのガンダルフの仲間、サルマン(クリストファー・リー)がサウロンの側につき、邪悪なモンスターを生み出し、フロドから指輪を奪おうとする。フロドは、エルフの里、エルロンドで出会った仲間と別れ、サム(ショーン・アスティン)と二人で旅を続ける。

三部作の一作目ということで、若干盛り上がりには欠けるのと、「ハリー・ポッター」シリーズと比べると、同じファンタジーものでありながら、非常にシリアスで、よく言えば玄人向け、悪く言えば退屈。
しかし、映像は非常によくできており、嘘くささがなく、これまで原作の文章と挿絵で想像していた世界が、なるほどこうなのか、と思えるほど精巧に映像化されている。ファンとしてはうれしい作品だ。

【5段階評価】3

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2012年9月 3日 (月)

(837) ウォーターボーイズ

【監督】矢口史靖
【出演】妻夫木聡、平山綾、玉木宏、金子貴俊、三浦哲郁、近藤公園
【制作】2001年、日本

シンクロナイズドスイミングに挑む男子高校生を描いた青春ドラマ。

弱小水泳部員の鈴木智(妻夫木聡)の通う男子校に、若い女性教師(眞鍋かをり)が赴任。水泳部の顧問をするということで、男子が水泳部に集まる。しかし、彼女の種目はシンクロナイズドスイミング。しかも直後に産休でいなくなり、智は部に残った4人とともに学園祭でのシンクロナイズドスイミングの演技に挑む。
水族館に勤める磯村(竹中直人)の指導を受け、次第に水泳の実力をつけていき、テレビに取り上げられたことで仲間も増え、女子校のプールを借りて、見事な演技を成功させる。

話としては「シコふんじゃった。」や「スウィングガールズ」に近いが、できははるかに劣っていた。最後も、やっぱり、本格的なシンクロナイズドスイミングを見慣れているせいか、小学生の組み体操を見せられているような感じで、親御さんは喜ぶでしょうが、関係のない人は、そんなものを見せられても困ってしまうという。まあ、音楽であれば吹き替えができるが、泳ぎはなかなかごまかしがきかないわけで、善戦しているとは思うものの、やはり大きな感動とはほど遠かった。おそらく苦しい練習の日々があまり描かれていないことも無関係ではないだろう。ぶっちゃけ、「フレフレ少女」の方が感動した。

【5段階評価】2

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2012年9月 2日 (日)

(836) インセプション

【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、マリオン・コティヤール
【制作】2010年、アメリカ

夢の中に侵入するスパイの作戦を描いた作品。

大企業のボス、サイトー(渡辺謙)が、夢の中に侵入する産業スパイ、コブ(レオナルド・ディカプリオ)に、ライバル企業の崩壊作戦を依頼。コブは、自分の精神が作り出す妻の妨害にも悩まされながら、仲間とともに夢の奥深くへと潜入する。

町が折れ曲がったり、無重力状態での乱闘など、斬新な映像が売り。
とは言え、話の内容が分かりづらく、何が夢で何が現実なのか、判断がつきづらい。どれが本当の人の死で、どれが夢の覚醒なのかが分からないということは、どこで本気で悲しめばいいのか、どこでショックを受ければいいのか、分からないということであって、やはりこれでは作品にのめりこんで感動することは難しい。
特撮技術に感心することはできるが、内容的には今ひとつだった。
TV放映だと、左上に、現在いる夢の階層がテロップ表示されているという親切設計だった。映画館で観て分かりづらかった人なんかは、意外と楽しめたんじゃないだろうか。

【5段階評価】2

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