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2012年8月

2012年8月30日 (木)

(835) シックス・センス

【監督】M・ナイト・シャマラン
【出演】ブルース・ウィリス、ハーレイ・ジョエル・オスメント、オリビア・ウィリアムズ
【制作】1999年、アメリカ

患者を救えなかったというトラウマを持つ児童心理学者と、特別な能力を持つ少年との交流を描いた作品。陳腐な言い方だが、これは見ないと損な映画だ。

市からの表彰を受けた児童心理学者のマルコム(ブルース・ウィリス)。妻のアンナ(オリビア・ウィリアムズ)に「私を顧みず仕事に没頭した」と皮肉を言われつつも、二人で祝杯を挙げているとき、家の中に誰かが侵入した形跡を発見。
マルコムがおそるおそる人影に近づくと、バスルームに、怯えた表情のやせこけた青年(ドニー・ウォルバーグ)がいた。彼は、かつてマルコムが担当した児童、ビンセントだった。彼は自分の病気をマルコムが治してくれなかったと非難し、取り上げた銃でマルコムの腹を撃つと、自殺する。
事故から時が経ち、復活したマルコムは、新たに心に障害を抱えた児童、コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)を担当する。心を閉ざすコールとなかなか打ち解けられないマルコムだったが、やがてコールはマルコムを信用するようになり、自分の秘密を打ち明ける。それは、「I see dead people.(僕、死んだ人が見えるんだ。)」というものだった。
コールの症状に、ビンセントと共通するものを感じたマルコムは、改めてビンセントのカウンセリングの録音を聞き直す。ボリュームを上げると、マルコムが席を外してビンセントしかいないはずの部屋から、外国語で話し続ける誰かの声が聞こえてきた。
コールの話が、幻想ではなく事実だと確信したマルコムは、死者はコールを攻撃したいのではなく、伝えたいことがあるのだと考える。死者に怯えるコールだったが、あるとき、口から吐瀉物をはき出す少女に、コールは勇気を振り絞って「僕に言いたいことがあるの? 」と尋ねる。彼女は、母親に毒物を飲まされて殺されていた。そして彼女の妹もまた、同じ虐待を受けていたのだ。彼女は、母親の犯行現場の納まったビデオテープを、コールを通じて父親に託し、父親はビデオを見て母親の犯行を知る。妹の命は救われたのだった。
コールはようやく死者との接し方を知って落ち着きを取り戻し、学校でもいじめられることがなくなる。母親にも、祖母とのやりとりの告白を通じて、自分の特殊な能力を理解してもらい、親子の絆を取り戻すのだった。

さて、この映画はここでは終わらない。

・事故を境に始まる妻のネグレクト。
・空かない物置のドアノブ。ドアを開けるシーンの省略。
・死者は自分が死んだとは思っていないんだ、というコールの言葉。
・後頭部の損傷を意に介さず、コールに話しかけてくる死者の少年。
・夫婦の交流がない割に、夜な夜な再生されている結婚式のビデオ。
・心残りがあるから死者は現れるんだ、というマルコムの見立て。
・話を聞いてほしいなら、寝ているときがいいというコールの助言。

こういった伏線が、ものの見事に、極めて強烈な結末に収束する。この衝撃は筆舌に尽くしがたい。非常に見応えのある作品だった。
コールを演じた少年、ハーレイ・ジョエル・オスメントは、「A.I.」でも薄幸の少年ロボットを好演。存在を目にしただけで涙を誘う、はかない天使のような少年である。

【5段階評価】5

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2012年8月29日 (水)

(834) DRAGONBALL EVOLUTION

【監督】ジェームズ・ウォン
【出演】ジャスティン・チャットウィン、チョウ・ユンファ、ジェームズ・マースターズ、ジェイミー・チャン
【制作】2009年、アメリカ・香港・メキシコ

鳥山明原作の名作漫画、「ドラゴンボール」の実写版映画。

おじいちゃんを亡くした孫悟空(ジャスティン・チャットウィン)が、亀仙人(チョウ・ユンファ)、ブルマ(エミー・ロッサム)、ヤムチャ(パク・ジュンヒョン)らとともにドラゴンボール探しの旅に出る。
ドラゴンボールを7つ集めたピッコロ大魔王(ジェームズ・マースターズ)との戦いとなり、悟空は皆既日食とともに大猿に変化してしまうが、おじいちゃんと亀仙人の教えをもとに、大猿の力を自らのものとし、ピッコロ大魔王を倒す。

原作に登場する「かめはめ波」や「魔封波」、「チチ」、「武天老師」などの日本語が登場するのは楽しいのだが、全体的にはB級映画。
ピッコロの手下、マイ(田村英里子)、悟空の恋人チチ(ジェイミー・チャン)、ブルマといった登場女性全員の胸の谷間を強調するという、スプラッタ・ホラー作品的な演出も、B級感を醸し出す。
こんな映画でも全力で演技をするチョウ・ユンファがもの悲しい。
エンディングも、この手の作品にありがちな、次作を期待させる終わり方で、最後までコテコテのベタな演出だった。

【5段階評価】2

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2012年8月26日 (日)

(833) クリムゾン・リバー

【監督】マチュー・カソビッツ
【出演】ジャン・レノ、バンサン・カッセル、ナディア・ファレス
【制作】2000年、フランス

 

閉鎖的な大学で起きる猟奇的連続殺人を描いた作品。

 

フランスの田舎町、ゲルノンで、手足を縛られ、胎児のようにうずくまった形で殺されている青年の死体が発見される。遺体には陰惨な拷問の痕跡が見られた。両手は切断された上、出血多量で死なないよう切断面を焼かれていた。体には激痛を与えるための無数の切り傷が刻まれ、両目はくりぬかれていた。
殺された青年は歴史ある大学の司書。パリの刑事、ニーマンス(ジャン・レノ)は、目医者に話を聞きに行く。話では、大学では優秀な者どうしを結婚させ、肉体的にも知能的にも優秀な人間を育てようという優生学が実践されており、その結果、大学内に目に先天的異常を持つ子供が増えたが、最近では大学関係者ではない村人に異常者が増えているとのことだった。
ニーマンスは、死体を発見した女性、フェニー(ナディア・ファレス)にも話を聞く。彼女は大学関係者でありながら、優越意識を持つ大学の人間を毛嫌いしていた。彼女に導かれて発見現場の雪山に登ったニーマンスは、そこで別の死体を発見する。その死体もまた、体への傷はないものの、両手は死後に切断され、両目は義眼だった。
同じ頃、かつて大型車に轢かれて亡くなった少女、ジュディット・エローの墓が荒らされたという事件を追っていた若手刑事、マックス(バンサン・カッセル)は、亡くなった少女の母親に話を聞きに行く。母親は修道院にこもっており、娘は悪魔に狙われて殺されたのだと告げる。彼女の目もまた、白く濁っていた。荒らされた墓から走り去った車の情報から、その持ち主の家に向かったマックスは、ニーマンスと遭遇。墓を荒らしていたのは、二人目の被害者だった。マックスは無愛想なニーマンスとともに捜査を続ける。
二人は三人目の被害者を発見。現場から犯人とおぼしき人物が逃走する。すさまじい脚力の持ち主で、体力に自信のあるマックスも振り切られてしまう。
ニーマンスはマックスに少女の墓を調べるよう指示。そこにあった少女の写真は、フェニーにそっくりだった。フェニーの家を調べた二人は、切断された手と両目を発見。しかし、ニーマンスはフェニーは犯人ではないと直感する。
雪山の上に犯人が向かっていると知った二人はそれを追う。そこにいたのは、フェニーと、フェニーに瓜二つの女性だった。その女はジュディットだった。幼いジュディットは、大学の優生学の企みに巻き込まれ、大学の人間に殺されようとしていた。ジュディットの母親は、ジュディットを車で死んだと思わせて大学の追求を逃れていたが、自分の家族を不幸に陥れた大学の優生学の企てを明るみに出すため、フェニーと共謀して事件を起こしていた。
ジュディットはフェニーにニーマンスを殺すよう命じるが、フェニーはそれを拒否。一度はジュディットに倒されたマックスだったが、ジュディットを撃ち、その衝撃で起こった雪崩にジュディットは巻き込まれる。ニーマンスとマックス、フェニーは、雪崩の力で覆い被さってきた雪上車によって一命を取り留める。死地を乗り越えたニーマンスとマックスに友情が芽生えるのだった。

 

猟奇的殺人を扱ったシリアスな展開の中に、迫力あるアクションもあり、中盤までは見せるのだが、後半の種明かしから、だんだん今ひとつ意味が分からなくなり、結局は双子落ち。殺害された人間が何をしたのか、なぜ今になって復讐を開始したのか。その辺りが分かりづらい。要するに説明不足。序盤から中盤にかけてはスリリングな展開が飽きさせなかっただけに、残念だった。
とは言え、オープニングから切り刻まれた死体にたかる虫や、二人目の被害者の住んでいたアパートの退廃的な様子など、映像面の印象はなかなかのものだった。

 

【5段階評価】3

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2012年8月25日 (土)

(832) メダリオン

【監督】ゴードン・チャン
【出演】ジャッキー・チェン、クレア・フォーラニ、リー・エバンス、ジュリアン・サンズ
【制作】2004年、香港・アメリカ

死者を蘇らせるメダリオンの力を得ようとする悪の組織と戦う香港刑事の活躍を描いた作品。

香港の刑事、エディ(ジャッキー・チェン)は、死者を蘇らせる力を持つメダリオンを手に入れようとしているスネークヘッド(ジュリアン・サンズ)を追っていた。スネークヘッドは手下のレスター(アンソニー・ウォン)を使ってメダリオンを使う力を持つ少年(アレクサンダー・バオ)を拉致するが、エディは彼を救出。ところが隠れていたコンテナが海に落下。エディは少年を救うが、自らは命を落とす。
エディとともに事件を追っていた元恋人のニコル(クレア・フォーラニ)とアーサー(リー・エバンス)は悲しむが、エディはメダリオンの力で復活し、超人的な身体能力を手に入れる。
スネークヘッドもまた、再び少年を誘拐して同様の能力を手に入れる。
エディはニコルたちとスネークヘッドの逮捕に挑むが、ニコルは塔から突き落とされて死亡。エディはメダリオンの力でスネークヘッドを倒すと、自らの力でニコルを死から蘇らせるのだった。

ジョー・ブラックをよろしく」のクレア・フォーラニのファニーな笑顔が素敵なのだが、内容的にはあまり魅力がなかった。
やっぱり、ジャッキー・チェンの作品にはガチンコアクションを期待してしまうわけだが、本作のジャッキーは公開当時で54歳。ワイヤーなんかを駆使した超人的な動きは、もはやジャッキー・チェンである必要はなく、映像も細切れで爽快感が乏しい。見所として楽しむいうよりも、がんばって演じました、という悲痛な感じがしてしまうのだった。

【5段階評価】2

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2012年8月23日 (木)

(831) メン・イン・ブラック2

【監督】バリー・ソネンフィルド
【出演】ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、ロザリオ・ドーソン、ララ・フリン・ボイル
【制作】2002年、アメリカ

アメリカでは都市伝説となっている、宇宙人を相手にする黒ずくめの政府職員を扱ったSFコメディ、「メン・イン・ブラック」の続編。

地球に隠された「ザルダの光」を手にするため、地球外生命体のサーリーナ(ララ・フリン・ボイル)が地球に侵入。サーリーナは、人間になりすまして地球に潜入している宇宙人を尋問するが、何も聞き出せなかったため、その宇宙人を殺害。宇宙人を管轄する組織、MIBを乗っ取る。MIB職員、J(ウィル・スミス)は、事件解決のため、かつての相棒、K(トミー・リー・ジョーンズ)を再び仲間にする。
ザルダの光を隠し持っていたのは、サーリーナの殺人現場を目撃したローラ(ロザリオ・ドーソン)だった。ローラはサーリーナに捉えられるが、JとKのコンビはサーリーナとその仲間を倒し、ローラを救出。Jとローラの間には恋心が芽生えていたが、ローラは宇宙へ飛び去っていくのだった。

アイディア満載の宇宙人の特撮と、シルベスター・スタローンやデニス・ロッドマンらを宇宙人呼ばわりするウィットが楽しかった前作に比べて、本作はやや残念な仕上がりである。
序盤の地下鉄モンスターのシーンが、「スピード」と「ゴーストバスターズ」を足したような既視感のあるB級特撮で、「む、この作品、大丈夫か? 」といやな予感が走り、結局、その予想は裏切られることはなかった。大物俳優を投入しながら、ここまでB級感を醸し出すのもなかなか勇気の要ることであるように思う。
MIBの番宣で、トミー・リー・ジョーンズが今ひとつやる気がなさそうに見えるのも、作品のできに帰するところ、無ではないように思える。
作品評価は3点でもいいところだが、期待の裏切り度が激しいので、辛めの2点。

【5段階評価】2

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2012年8月22日 (水)

(830) スペース・カウボーイ

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナー
【制作】2000年、アメリカ

故障したロシアの人工衛星の修理のため、若い頃に宇宙飛行士を夢見た技術者たちが宇宙飛行に挑む姿を描いた作品。

ロシアの人工衛星、アイコンが故障。修理のため、古い装置のことを知るフランク(クリント・イーストウッド)が呼び寄せられる。フランクは、かつてチーム・ダイダロスとしてアメリカ初の宇宙飛行士となる予定だったが、NASAの発足により、その座をチンパンジーに取られ、宇宙に飛び立つ彼の夢は断たれていた。故障したアイコンの装置は、フランクの設計したものだったのだ。フランクはかつての上司だったガーソン(ジェームズ・クロムウェル)の反対を押し切り、自ら宇宙に飛びだつことを決意。
チームの仲間、ホーク(トミー・リー・ジョーンズ)、ジェリー(ドナルド・サザーランド)、タンク(ジェームズ・ガーナー)も招聘される。フランクは仲間とともに厳しい訓練を行い、スペースシャトル搭乗を目指すが、ホークが膵臓がんを煩っていることが判明。それでも司令官のボブ・ガーソン(ジェームズ・クロムウェル)は、4人を2人の若い宇宙飛行士とともに宇宙に送り出す。
宇宙に向けて発射されたシャトルはアイコンを捕らえるが、通信衛星と知らされていたアイコンは、核爆弾を積んだ軍事衛星。核ミサイルを積んだ冷戦時代の遺物だった。シャトルを敵と見なして異様な動きを見せるアイコンにより、シャトルは損傷を受け、アイコンもまた、地上に落下する危機に陥る。若いスタッフが命令通り衛星を軌道に戻そうとして失敗。核爆弾の地球落下を阻止するため、フランクのけんか仲間だったホーク(トミー・リー・ジョーンズ)が、自らを犠牲にして衛星を月に向けて飛ばす。フランクはスペースシャトルを操縦し、奇跡的に地球に帰還。ホークは核ミサイルを宇宙空間で発射させ、月にたどり着く夢を実現させる。ホークの遺体は満足そうに月面に座り込んでいるのだった。

クリント・イーストウッド監督の作品は、「ミリオンダラー・ベイビー」や「パーフェクトワールド」、「マディソン郡の橋」など、人生を重厚に扱い、人間ドラマとしての質が高く、見応えのある作品が多いので好きなのだが、本作はどちらかというとややステレオタイプで大味だった。
老人が宇宙飛行士になるという、年老いた人たちにとっての夢物語を映画化したという心意気には賛同するものの、やはりちょっとその夢物語感が先行してしまって話に無理があり、ちょっと感情移入が難しかった。
順調に見えた計画に危機が訪れ、最終的に一人が命を投げ出してミッションを成功に導くというのも、こうした宇宙ものでは極めてありきたりな展開だった。
残念なのは、なぜホークが命をかけてロシア衛星を月に向かわせなければならなくなったのか、宇宙空間で彼らがいやおうなしに事故に巻き込まれるさまの無情さが、今ひとつ描き切れていなかった点だった。がんが判明して死に対して諦観したホークが、ほかにも方法はあるのに安易に死ぬ道を選んだようにも見えるのだ。たとえ死亡フラグになるにしても、本当は地上に戻って愛するサラ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)との暮らしを切望しているような描写があれば、苦渋の決断に対する感動もあったのではないかという気がした。それと、タンクは存在感がなさすぎ。4人そろう必要性が今ひとつ感じられないことも、ちょっと残念だった。

【5段階評価】3

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2012年8月21日 (火)

(829) ALWAYS 続・三丁目の夕日

【監督】山崎貴
【出演】吉岡秀隆、小雪、堤真一、薬師丸ひろ子、堀北真希
【制作】2007年、日本

ALWAYS 三丁目の夕日」の続編。昭和の時代を舞台に、家族愛、隣人愛を描いている。

売れない小説家の茶川(吉岡秀隆)は、同居する小学生の淳之介(須賀健太)を養うため、芥川賞を獲るための作品づくりに没頭。向かいに住む鈴木則文(堤真一)とトモエ(薬師丸ひろ子)らは、近所総出で応援する。
淳之介を引き取ろうとする父親の川渕(小日向文世)は、彼の作品を甘いと評するが、茶川の一途な思いは踊り子のヒロミ(小雪)に届き、彼女は大阪のパトロンのもとに向かうのをやめ、彼と暮らすことを決意するのだった。

前作に比べると、感動の大きさはややこじんまりしたというか、ありきたりではあったが、CGを駆使した冒頭のゴジラの映像や、新幹線こだま、羽田空港などの映像は興味深かった。

【5段階評価】3

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2012年8月15日 (水)

(828) インビクタス/負けざる者たち

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】モーガン・フリーマン、マット・デイモン
【制作】2009年、アメリカ

南アフリカのネルソン・マンデラ大統領が切望した、ラグビー・ワールドカップの代表チーム優勝の道のりを描いた作品。

南アフリカ初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は、自らのボディーガードを黒人・白人の混成とするなど、人種差別撤廃への強い意志を表明しながら政権を担った。
ラグビーの南アフリカ代表チーム、スプリングボクスはほとんど白人で構成されていたが、実力は貧弱で、世間ではチームカラーやチーム名の刷新を望む声が大きかった。しかしマンデラ大統領は、それでは白人と黒人の真の融和は訪れないと見抜き、チームをそのままにする。
チームの主将、フランソワ・ピナール(マット・デイモン)はマンデラ大統領のお茶会に招かれ、マンデラ大統領の偉大さを肌で感じ、選手を鼓舞していく。
南アフリカが開催国となったラグビー・ワールドカップで、スプリングボクスは難敵相手に驚異的な活躍を見せ、見事に優勝を勝ち取るのだった。

ストーリーとしてはあまりひねりはないが、黒人と白人の混成のボディーガードの目線を通じて、両者が共感を深めていくシーンはとてもすがすがしく、さわやかな感動を味わうことができる。
試合のシーンも素人臭さがなかった。ニュージーランドとの最終戦の展開は、派手なトライがなく、フィールドゴールやペナルティゴールの応酬となるのがちょっと地味だが、史実なので仕方がない。

【5段階評価】4

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2012年8月14日 (火)

(827) リーサル・ウェポン4

【監督】リチャード・ドナー
【出演】メル・ギブソン、ダニー・グローバー、ジェット・リー
【制作】1998年、アメリカ

リーサル・ウェポン」シリーズ第4作。密入国者を食い物にする闇の組織との抗争を描く。

リッグス刑事(メル・ギブソン)とマータフ刑事(ダニー・グローバー)は、密航中の貨物船に遭遇。裏で動く闇の組織を突き止めた二人だったが、組織の拳法の使い手、クー(ジェット・リー)は逆にマータフの家に火をつけ、リッグスとマータフを家族もろとも亡き者にしようとする。辛くもそれを逃れた二人は、彼らが偽札を作成していることを暴き、彼らの取引現場に登場。クーの兄はマータフの放った流れ弾により死亡。
リッグスとマータフは、怒りの炎をたぎらせるクーと死闘を演じ、何とかクーを倒す。

悪役の側ではあるが、ジェット・リーの華麗なアクションが見所。
最後はマータフが鉄の棒をクーの腹に突き刺し、リッグスとクーが海に落ち、そうするとそこに機関銃があって、それを手に取ったリッグスがクーの腹を滅多撃ちにして倒すのだが、さすがにちょっとひどすぎるんじゃないの、という気はしなくもない。

【5段階評価】4

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2012年8月13日 (月)

(826) トイ・ストーリー3

【監督】リー・アンクリッチ
【出演】トム・ハンクス(声)、ティム・アレン(声)、ネッド・ビーティ(声)
【制作】2010年、アメリカ

トイ・ストーリー」シリーズ第3作。

17歳になったアンディ(ジョン・モリス)は、大学に進学することとなり、おもちゃの処分を母親に命じられる。
アンディはウッディ(トム・ハンクス、唐沢寿明)を大学に持って行くことにし、他のおもちゃは屋根裏にしまおうとするが、母親がゴミと間違えて捨ててしまう。おもちゃたちは捨てられるぐらいなら、と、託児所に寄付される道を選び、彼らを救おうとしたウッディとともに、託児所サニー・サイドに送られる。
そこは紫色のクマのぬいぐるみ、ロッツォ(ネッド・ビーティ)がボスとなった階級社会になっていて、バズ(ティム・アレン、所ジョージ)らは年少の子供達から手荒い扱いを受ける。
彼らはウッディの協力により、ダストシュートを通って託児所を脱出しようとするが、ロッツォとともにゴミ収集車の中に落ちる。
ゴミを焼く炎の中に落ちていくことを覚悟し、互いに手を取り合うウッディたちだったが、3匹のエイリアンがクレーンで彼らを救い出し、無事にアンディのもとに戻る。
箱の中に捨てられたと思っていたおもちゃがあったことに気付いたアンディは、それを、おもちゃを大事にしている女の子、ボニー(エミリー・ハーン、諸星すみれ)にゆずることにする。
箱の中には、ウッディも入っていた。彼は大学に行くことより、仲間とともに暮らすことを選んだのだった。アンディは迷った挙げ句、ウッディもボニーに託すのだった。

アンディとウッディたちとの別れのシーンが感動的。焼却炉に落ち込んでいくときに、おもちゃたちが手を取り合って死を覚悟するシーンもよかった。5点にしてもいいぐらいだったが、ふと冷静になったときの世界観の狭さにちょっと点を下げた。
ピクサーアニメでは、作中のことば(本作だとタイトルや、おもちゃの取扱説明書、段ボールに書かれた「大学」の文字など)がローカライズされている。コアな映画ファンはオリジナルの言語で楽しみたいと思うかもしれないし、英語なら無理に変えなくてもかまわないが、子供向けの作品だから、こういうのは親切なこだわりなんだろう。「ウォーリー」にも、そういう気配りがところどころあった。

【5段階評価】4

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2012年8月12日 (日)

(825) コブラ

【監督】ジョージ・P・コスマトス
【出演】シルベスター・スタローン、ブリジット・ニールセン
【制作】1986年、アメリカ

自らの脚本を自分主演で映画化し、大ヒットさせたシルベスター・スタローンが、今度は凄腕警察官の脚本をひっさげて作った作品。

しかし残念ながら、ストーリーはかなりハチャメチャ。個性のない邪教集団が、殺戮行為を目撃した美女、イングリッド(ブリジット・ニールセン)を襲う。それをヒーロー警察官、コブラ(シルベスター・スタローン)が守るのだが、そもそも殺人現場の目撃者を殺すために、派手な銃撃戦で目撃者を殺しに行くって、手段と目的が矛盾してるし、その後の対決シーンも大味。
トラックの車台に乗り、ショットガンをぶっぱなす警察官という段階で無法者にもほどがあるわけだが、そこにバイクにのった悪者どもが特に策もなく追いすがって、ただただコブラに撃たれ放題に倒されていくという雑魚っぷり。そしてなぜだか主役の車の進路を炎上した車がふさいでいて、そこにつっこんでいくという、必然性のない派手なシーン。
製鉄所にコブラとイングリッドが逃げ込む後半戦ではいちおう頭脳戦ぽい演出をみせ、近づいてきた敵に製鉄所の炎を浴びせたり、しかけた手榴弾を遠くから狙撃して忍び込んできた敵を爆発に巻き込んで倒したりするのだが、わざわざそんなことせずに直接敵を撃てばいいじゃん、という、アイディア倒れな展開。
かっこよくしようとしすぎなところが鼻についてしまって、ヒーローになりきれなかった残念な作品。

【5段階評価】2

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2012年8月11日 (土)

(824) プレデター

【監督】ジョン・マクティアナン
【出演】アーノルド・シュワルツェエネッガー、カール・ウェザース、エルピディア・カリロ
【制作】1987年、アメリカ

シュワちゃん主演のSFアクション。

序盤はゲリラを相手としたコンバット・アクション。しかし、それを熱感知センサーのように眺める存在に焦点が移り、後半は地球外生命体、プレデターと人間との戦いとなる。
歴戦の強者、ダッチ少佐(アーノルド・シュワルツェエネッガー)は、プレデターが泥まみれになった自分には相手が気づかないことに気づく。ダッチは木のつるを使った罠など、ゲリラ戦法を駆使してプレデターを倒す。

序盤、ダッチ少佐を戦いに巻き込むのは、「ロッキー」で、ロッキーのライバル、アポロを演じたカール・ウェザース。
1作目はシュワちゃん主演映画だが、次作の「プレデター2」や「エイリアンVSプレデター」、「AVP2 エイリアンVS.プレデター」では、宇宙の狩猟民族、プレデターに焦点が当たり、超有名俳優の出演しないホラー映画的な作風となる。ふつうなら1作目が面白いはずなのだが、プレデター・シリーズに関しては、2作目以降の方がプレデターの恐ろしさが巧みに描かれていて面白い。

【5段階評価】3

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2012年8月10日 (金)

(823) ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ

【監督】ジョン・ボルソン
【出演】ロバート・デ・ニーロ、ダコタ・ファニング、ファムケ・ヤンセン
【制作】2004年、アメリカ

母親を亡くした父娘に降りかかる恐怖を描いた、ロバート・デ・ニーロ主演のサイコ・サスペンス。

幼い娘、エミリー(ダコタ・ファニング)は、ある日、母親のアリソン(エイミー・アービング)が風呂場で自殺し、それを父親のデビッド(ロバート・デ・ニーロ)が助け上げているシーンを目撃。それ以来、彼女は心を閉ざしてしまう。
心理学者のデビッドは、郊外の一軒家に娘と移り住むことにするが、娘はチャーリーという友達ができたと言い始める。デビッドがチャーリーに会いたいと言ってもエミリーは拒絶。デビッドは、チャーリーとは娘が作り出した幻影だと思い込む。
ある日、デビッドは、家の風呂場に赤いクレヨンで「お前が彼女を殺した」と書かれているのを発見。彼は娘を問いただすが、エミリーは「チャーリーがやった」と言うのみ。エミリーの心の声が、チャーリーという幻影を通じて発せられていると考えるデビッドだったが、デビッドが渾身の力を込めても開かない窓が開いていたり、家を訪ねたデビッドの知人、エリザベス(エリザベス・シュー)が2階から突き飛ばされて殺されたりし、デビッドはチャーリーという人物が実在するのではないかと疑うようになる。デビッドは、娘を亡くした隣家の父親が犯人だと考えるが、真相は違った。
チャーリーとは、デビッドの別人格だったのだ。亡くなったアリソンは、生前、浮気をしていた。それを知ったデビッドを、内なる別の人格が支配し、アリソンを殺害。もとの人格に戻ったデビッドがアリソンの死体を発見したのだった。エミリーがチャーリーと呼んでいたのは、別の人格となった父親だったのだ。
狂気にゆがんだデビッドは、チャーリーとなって周囲の人間に襲いかかるが、エミリーの療法士、キャサリン(ファムケ・ヤンセン)が、エミリーに襲いかかろうとするデビッドを銃で倒す。エミリーはキャサリンとともに新たな暮らしを始めるが、彼女の書いた絵には、楽しそうにキャサリンと遊ぶエミリーの顔の横に、もう一つ、別の顔が描かれているのだった。

序盤のエミリーの生気のない表情からは、「エクソシスト」の少女、リーガンような恐怖感が漂う。真相もしっかりとしていて、上質なサスペンスだった。
そのせっかくの作品を台無しにしているのが、「暗闇のかくれんぼ」というサブタイトルのセンスのなさ。ハイド・アンド・シークだと、意味を知らない人にはわかりづらいし、知っている人にはそれこそただの「かくれんぼ」だし、ということで「暗闇の」とつけたんだろうけれども、「かくれんぼ」という語感と、例えば横溝正史の名作「悪魔の手鞠唄」の「手鞠歌」という語感とでは、子どもの遊びの中に秘められたおどろおどろした雰囲気がまるで違う。なかなか難しいところではあるが、どうせ邦題をつけるのであれば、かくれんぼにこだわらず、もう少しセンスのいいタイトルにするべきだったろう。ロバート・デ・ニーロという名優が主演の割に評判がぱっとしないのは、サブタイトルのセンスが相当影響していると思う。「ミニミニ大作戦」に次ぐぐらいの残念賞。

【5段階評価】3

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2012年8月 8日 (水)

(822) トイ・ストーリー2

【監督】ジョン・ラセター
【出演】トム・ハンクス(声)、ティム・アレン(声)、ジョーン・キューザック(声)
【制作】1999年、アメリカ

ディズニー・ピクサーアニメ、「トイ・ストーリー」の続編。

おもちゃのウッディ(トム・ハンクス、唐沢寿明)が、ふとしたことから、おもちゃの転売で金儲けを企むアル・マクウィギン(ウェイン・ナイト、樋浦勉)に盗まれる。ウッディは昔の人形劇の主人公で、貴重なお宝人形だったのだ。彼は人形劇の仲間だった、カウガールのジェシー(ジョーン・キューザック、日下由美)や馬のブルズアイ、金鉱掘りのプロスペクター(ケルシー・グラマー、小林修)とともに、日本の博物館に売られることになる。
一方、ウッディがさらわれたことを知ったバズ(ティム・アレン、所ジョージ)はウッディの救助隊を率いてアルのビルに潜入。一時は博物館行きを決めたウッディだったが、ジェシー、ブルズアイとともに、持ち主のアンディ(ジョン・モリス、北尾亘)のもとに帰る道を選ぶ。
しかしプロスペクターは博物館に行くと主張し、ウッディの逃走を妨害。ウッディとジェシーは日本行きの飛行機に乗せられてしまうが、最後は自力で飛行機を脱出。アンディの部屋に戻ることに成功するのだった。

一作目同様、舞台は人間の目からすれば狭い範囲だが、おもちゃ目線で壮大なストーリーに仕立て、狭さを感じさせないところが面白い。これがおもちゃが本当に宇宙に飛び出したりしはじめると、ただのあり得ないマンガになってしまうのだが、人間にとっては狭い世界であるという設定が、人形達にリアルな息吹きを与えている。

【5段階評価】3

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2012年8月 7日 (火)

(821) プリンセス トヨトミ

【監督】鈴木雅之
【出演】堤真一、中井貴一、綾瀬はるか、岡田将生、沢木ルカ
【制作】2011年、日本

万城目学原作小説の映画化作品。「鹿男あをによし」、「鴨川ホルモー」に並ぶ「関西三部作」の一つ。

会計検査院に勤める松平(堤真一)は、部下の鳥居(綾瀬はるか)と旭(岡田将生)とともに、大阪城関連の財団法人OJOに向かう。OJOに不審な点を感じる松平だったが、詳しく調べても怪しいところはなく、大阪じゅうの人が口裏合わせでもしない限り不正とは思えないものだった。
しかし、実はそれこそが真実だった。OJOとは大阪城の管理ではなく、文字通り「王女」を守るための組織、いや組織というよりも、大阪の男たちが400年間守り抜いてきたしきたりだったのだ。
戦国時代、徳川家康によって家系を根絶やしにされた豊臣家一族だったが、その末裔、国松だけは生き延びた。徳川家のやり方に不満を感じた大阪の町民たちは国松をかくまった。そしてこの動きは大阪国となり、日本政府にその存在を認めさせ、補助金を得ながら存続してきたのだ。
大阪国民は、豊臣家の生き残りとなっている王女(沢木ルカ)を守るため、危急の際には大阪城にはせ参じる使命を負っていた。その役を担うのは、大阪国生まれの父を持ち、その父を亡くした者と決まっていた。彼らは父親が自らの死を悟ったとき、大阪国の男の使命を聞かされ、それを受け継いできたのだった。
大阪国の首相、真田(中井貴一)は、松平に大阪国を守ってほしいと懇願。会計検査院の使命に掛けて、この実態を明るみに出す必要があると主張する松平だったが、最後は大阪国を守るため、事態を秘匿することを決意。彼もまた、大阪生まれの父(平田満)を持ちながら、話があるから戻ってきてほしいという父親の言葉を軽んじて無視してしまったのだった。
父親の無念に気付いた彼は、父親から息子に大阪国の話が語り継がれる地下通路に向かい、今は亡き父親の幻影とともに、静かに廊下を歩いて行くのだった。

大阪の活動が停止し、人が全くいなくなるという謎が冒頭に示され、その謎を解くべくストーリーが展開するのだが、ちょっと話がトンデモすぎて、その意味ではちょっとずっこける内容だった。そもそも父親を亡くした息子だけが役割を担うのであれば、その他大勢はみんな街にいるはずなわけなので、大阪の活動が停止というのは、ちょっと大きく出すぎだった。
しかしながら、象徴的存在のプリンセスを守るという使命を父から子に受け継いでいくという本作の主題はなかなか考えさせられるところもあり、感動的だった。もっとも、こんなことで伝統が守られ、息子が父親の思いを受け継げられるんなら世話ないよな、という気もして、やはり絵空事の感はぬぐえなかった。いやまあ絵空事なんですけども。

【5段階評価】3

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2012年8月 3日 (金)

(820) ワールド・オブ・ライズ

【監督】リドリー・スコット
【出演】レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング
【制作】2008年、アメリカ

中東のテロ組織を追うCIA捜査官を描いた作品。

CIA捜査官のフェリス(レオナルド・ディカプリオ)は危険な地で命がけの任務を遂行。一方のホフマン捜査官(ラッセル・クロウ)は、安全なアメリカからハンズフリーマイクで指令を出すだけ。引き締まった体つきのフェリスに対して、ホフマンは贅肉の目立つ体型だった。
ホフマンの指令でフェリスはヨルダンに飛び、捜査対象を追う過程で狂犬に噛まれる。向かった病院で、フェリスは看護師のアイシャ(ゴルシフテ・ファラハニ)と出会い、親しくなる。
フェリスはヨルダンの責任者、ハニ(マーク・ストロング)と組みつつ、独自の捜査を進める。しかし、ハニは自分に嘘をつく者を許さなかったため、フェリスはハニの協力を得られなくなってしまう。
やがてテロ組織はアイシャを誘拐。彼女を救うため、フェリスは単身で敵に捕らえられる。テロ組織の黒幕、アル・サリーム(アロン・アブトゥブール)にハンマーで指を砕かれ、粛正されようとしたそのとき、ハニの部隊が突入し、フェリスは九死に一生を得る。ハニが泳がせていたスパイからの連絡によるものだった。
アイシャの誘拐はハニによる狂言であり、アイシャは無事だった。捜査にむなしさを覚えたフェリスは、中東に住み続ける道を選ぶのだった。

CIA捜査官を演じるのがレオナルド・ディカプリオということで、クールな役のはずが、どうも甘ったるい感じが抜けないのが残念な感じだった。ハニ役のマーク・ストロングや小太りの捜査官、ホフマンを演じたラッセル・クロウがいい味を出していただけに、もうちょっと別の若手俳優でもよかったかな、という感じだった。そう考えると、マット・デイモンのジェイソン・ボーン・シリーズはハマリ役だな、と思える。
とは言え、アクションシーンの迫力はなかなかのもので、手に汗握る展開はそこそこ楽しめた。さすがはリドリー・スコット監督。

マーク・ストロングは、「サンシャイン2057」では狂った船長を、「シャーロック・ホームズ」ではホームズの敵役のブラッドウッド卿を演じている。冷徹さと狂気を併せ持つ隙のない役柄が似合う俳優である。

【5段階評価】3

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2012年8月 1日 (水)

(819) ドゥ・ザ・ライト・シング

【監督】スパイク・リー
【出演】スパイク・リー、ダニー・アイエロ、ビル・ナン
【制作】1989年、アメリカ

「マルコムX」でも知られるスパイク・リー監督による、黒人差別の問題を扱った作品。

ニューヨークのブルックリンでピザ屋を営むイタリア系のサル(ダニー・アイエロ)。その店で働く黒人のムーキー(スパイク・リー)は、サルの息子、ピノ(ジョン・タトゥーロ)から黒人蔑視の発言を受けていた。サルは負けず嫌いの男で、バギナウト(ジャンカルロ・エスポジート)から、店の壁に黒人の写真も貼れといわれても断固として拒否し、大きなラジカセを鳴らして歩くレディオ・ラヒーム(ビル・ナン)にも迷惑だから店を出て行け、と容赦なかった。しかし、彼は黒人中心のこの町を愛しており、ピノが別の町に行こうと言っても聞き入れなかった。
しかし、バギナウトはサルの店のボイコットを決行。レディオを連れて店に乗り込むが、サルはレディオのラジカセをバットでたたき壊す。レディオとサルはとっくみあいのけんかを始める。レディオはサルにのしかかるが、乗り込んできた警察がレディオを羽交い締めにし、勢い余ってそのまま絞め殺してしまう。
警官達はあわててレディオをパトカーに乗せて走り去るが、それを見ていた黒人達は、冷たい目線でサル親子をにらみつける。市長というあだ名の老人(オジー・デイビス)は暴動を阻止しようと群衆をなだめるが、ムーキーがゴミバケツをサルの店の窓ガラスに投げ込んだのを機に暴動が起こり、店は炎上。サルたちはなすすべなくそれを見つめるしかなかった。
明くる日、ムーキーは、焼失した店にへたり込むサルに、容赦なく給料を要求。サルはドル紙幣をムーキーに投げつけ、ムーキーもまた、もらいすぎたと言ってドル紙幣を投げ返す。怒りが頂点に達した二人だったが、このやりとりのあとは何かが氷解したようにおだやかになり、サルはムーキーの今後を心配し、ムーキーは落ちた紙幣を拾って、静かにサルのもとを立ち去るのだった。

小さなブースで熱いメッセージを送るDJ(サミュエル・L・ジャクソン)、巨大なラジカセを持つ男、どもりながらキング牧師とマルコムXの写真を売る男、道ばたでたわいない話に興じる3人組、昼間から酒を飲む老人、窓辺から道行く人に声を掛ける老婦人(ルビー・ディー)、白人に因縁を付ける青年達など、特徴ある人物が多数登場し、彼らの一見奇妙な行動を描きつつ、黒人街の日常を描写している。オープニングの「Fight the Power」を連呼する曲も耳に残る。
一方で、人種差別問題を扱っているものの、「ミシシッピー・バーニング」のような痛烈な描き方ではなく、どちらかというと、黒人の側が言われもしないうちから人種にこだわる発言をしており、黒人が完全な被害者、という描き方ではない。むしろ、抑圧された黒人が集団となり、少数派であるイタリア系や韓国系に襲いかかるというのが本作の構図であり、本作は暴力で抑圧を解放することのむなしさを説いているとも言える。

【5段階評価】3

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