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2012年7月18日 (水)

(811) ヒート

【監督】マイケル・マン
【出演】ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョン・ボイト
【制作】1995年、アメリカ

犯罪組織のボスと刑事の戦いを描いたハードボイルド・アクション。

ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)は、仲間のクリス(バル・キルマー)、マイケル(トム・サイズモア)、トレヨ(ダニー・トレホ)、ウェイングロー(ケビン・ゲイジ)とともに、現金輸送車から有価証券を強奪。しかし、新入りのウェイングローは、計画に従わず、警備員を射殺してしまう。ニールはやむなく、警備員全員を射殺する。
強奪には成功したものの、怒ったニールはカフェの駐車場でウェイングローを殺そうとする。しかし、巡回のパトカーが現れて躊躇した隙に、ウェイングローは逃亡してしまう。
現場に到着した刑事のビンセント・ハナ(アル・パチーノ)は、事件が完全なプロの仕業であると見抜き、過去の同種の事件を洗うよう指示する。
ビンセントは結婚していたが、仕事に没頭するあまり、妻との関係はうまくいっていなかった。ニールは仕事の邪魔になるからと家族は持たないようにしていたが、とあるバーで知り合った若い女性、イーディ(エイミー・ブレネマン)と急速に親しくなる。
ビンセントはついにニールのしっぽをつかみ、車で移動中のニールと対面する。二人はバーで杯を交わすが、互いに次に会ったときは躊躇なくお前を殺すと言い合うのだった。
ニールは最後の銀行強盗を機に、イーディと高飛びして足を洗おうと決める。しかし、ウェイングローはニールへの復讐心から、マネー・ロンダリングを生業とするバン・ザント(ウィリアム・フィクナー)に取り入る。ウェイングローの仕業によって、銀行襲撃のたれ込みが警察に入り、強盗を終えて銀行を出たニールらは、警察に包囲される。
警察に気付いたクリスの発砲を機に、市街地ですさまじい銃撃戦が勃発。マイケルは子どもを人質にとって逃げようとするが、ビンセントの銃撃により命を落とす。
クリスも撃たれて重傷を負うが、ニールは何とか彼を連れて逃亡に成功。直前に参加をキャンセルしたトレヨの家に向かうが、彼は何者かに襲われていた。トレヨの口から、ウェイングローの裏にバン・ザントがいると知ったニールは、自宅でくつろぐバン・ザントの家に押し入る。しらばっくれるバン・ザントを問答無用に撃ち殺した彼は、イーディとともに高飛びをしようとするが、その直前、ニールは、信用する情報屋のネイト(ジョン・ボイト)からウェイングローの居場所を聞かされ、彼の潜伏するホテルに向かう。ホテルの従業員になりすましてウェイングローを殺害するニールだったが、そこにビンセントが到着。ニールは車の中で彼を待ち続けているイーディを置き去りにするしかなかった。暗闇の中、空港近くのヤードで息を潜めてビンセントの動きを探ろうとするニールだったが、飛び交う飛行機の照明によって伸びた一瞬の人影を見逃さなかったビンセントの銃が火を噴き、ニールは倒れる。

クライマックスの白昼の銃撃戦と、ニールがウェイングローへの復讐のため、ホテルに潜入するシーンは迫力があったが、前半の登場人物の描写が長すぎで退屈きわまりなかった。
この退屈の理由を、映画を見直しながら考えてみた。映画は通常、いくつかのエピソード(シーン)の連なりによってできあがっている。この一つ一つのシーンを大まかに分解すると、次のような感じになるだろう。

(1) 新たな場面の開始。遠景で車が走っている(誰が乗っているのかは分からない)とか、ビル街の風景とか、そういうもので、この時点では観客はこれから何のシーンが始まるのか分からない。
(2) 映像や登場人物の台詞などにより、このシーンが何のシーンかが判明する。ああ、前のシーンで言ってた情報屋と会う場面だな、とか、登場人物と妻との関係がぎくしゃくしていることを言おうとしているのか、とか。
(3) 何のシーンであるのかが判明した状態で、物語の展開を楽しむ。

で、どういうときに退屈かというと、以下のようなパターンがある。

一つは、当たり前だが、(3)がつまらない、抑揚がない場合。本作だと、ビンセントと妻の会話のシーンなんかがこれに当たる。緊迫しているようで、どことなく緩慢だった。

二つ目は、これが本作の特徴だと思うが、(1)のシーンが長い、つまり、新たな場面に転じたときに、「これは何のシーンだろうか」というのがよくわからないまま映画が進行する時間が長いのだ。そうすると、観る側は興味を保つことができず、話に入り込めなくなってしまう。また、(2)自体が判然としないのもかなりたちが悪く、そうなると観客は(3)の状態に行くことができず、ただただ一連のシーンを、ずっと意味不明なまま見続けることになる。

もう一つ、この手のサスペンスものだと、(2)で起こる状況判明の瞬間、「でもこの展開には裏があるのかもしれない」と勘ぐる必要が出てくる。本作でいうと、ジョン・ボイト演じるネイトの存在は最後まで非常に怪しくて、彼が本当に主人公のニールの味方なのか、真の黒幕なのか、読みきれなかったりする。そうなると、(3)のシーンを純粋に楽しめない。
もちろん、見る側の予想の裏切りがストーリーの楽しみを産む場合もあるのだが、あまりにも勘ぐらなければならない箇所が多すぎると、結果として、「何がどうなっているのかよく分からない」という状態になってしまう。

本作は後半がよかっただけに、この前半の退屈さはもったいなかった。

【5段階評価】3

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