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2012年7月 7日 (土)

(805) 椿山課長の七日間

【監督】河野圭太
【出演】西田敏行、伊東美咲、志田未来、成宮寛貴、余貴美子
【制作】2006年、日本

浅田次郎原作小説の映画化作品。

デパート勤めだった椿山和昭(西田敏行)は、仕事中に急逝。天国に旅立つ手前の中陰役所で、案内係のマヤ(和久井映見)に、現世にやり残したことのある人は、初七日が終わるまでの間、現世に「逆送」できると聞かされる。椿山は逆送を希望。逆送が認められたのは、彼の他にやくざの親分、武田(綿引勝彦)と少年の雄一(伊藤大翔)だった。逆送の際、椿山はマヤに「あなたは重大な事実を知らないままなくなった」と聞かされ、その謎を解くことになる。武田は子分達の抗争を止めるため、また、雄一は自分の本当の両親に会うことを望んで現世に戻っていた。
椿山が目覚めると、若い女性(伊東美咲)の姿になっていた。同じく少女の姿(志田未来)となった雄一とともに、二人は行動を開始。椿山はやがて、ボケていたと思っていた自分の父親(桂小金治)が、実はボケたふりをしているだけで、椿山の息子と電子メールのやりとりをしていたこと、妻の由紀(渡辺典子)が自分の後輩の嶋田(沢村一樹)と不倫していたことを知る。さらには息子の陽介(須賀健太)が、実は自分の子どもではなく、嶋田の子であったことを陽介から聞かされる。
武田は若い男(成宮寛貴)として現世に戻ると、武田の息子と名乗って子分の純一(松田悟志)に会い、仇討ちをしないよう諭すが、もう一人の子分の卓人は、武田の弟分の市川(國村隼)への復讐を誓って行方知れずになっていた。武田は市川を守るため、市川と行動をともにする。
雄一は、自分が孤児として暮らしていた施設を訪れ、自分の両親の本名を聞き出す。彼の父親は市川だった。それを知った武田は、市川夫妻に雄一を引き合わせる。雄一は少女の姿となっていたため、雄一は仲良くなった陽介に雄一のふりをするように頼み、彼の口を通して「生んでくれてありがとう」という感謝の言葉を両親に伝える。
そのとき突然、建物のガラスを突き破って卓人(青木崇高)が殴り込み、市川に銃を向ける。武田はとっさに市川をかばい、胸に銃弾を受けるが、そのまま卓人に手紙を託し、この世から消滅する。市川は再び陽介を抱きしめるが、それを見つめる少女を見て、母親の静子(市毛良枝)は、彼女こそが雄一の真の姿だと悟り、彼女を抱きしめる。雄一は泣きながら礼を述べ、武田と同様に姿を消す。
椿山は陽介を家に返し、由紀と嶋田に幸せになるよう告げて、立ち去る。嶋田はもう由紀とは会わないことにし、自分を嫌っていた陽介に「もう来ないからさ」と言って立ち去ろうとするが、陽介はそんな嶋田に「いつでも来て、お父さん」と微笑みかける。嶋田は思わず嗚咽を漏らし、陽介を抱きしめる。中陰役所に戻った武田、椿山、雄一の3人は、その日に亡くなった椿山の父親とともに、天国への階段を上っていくのだった。

めちゃくちゃ泣ける映画だった。原作は昔に読んでいて、ほのぼのとしたコメディのような印象を持っていたが、ここまでの感動作に仕上げた監督や俳優陣の力量に感服。特に、母親に抱きしめられて涙が止まらない雄一(志田未来)に、こちらももらい泣きしまくり。陽介が嶋田にお父さんと呼びかけるシーンも非常によかった(沢村一樹の演技は少々クサかったが)。
オープニングも、いきなり死んで目覚めるシーンから始まり、展開がスピーディ。よくあるパターンとしては、まずは凡庸な中年課長の日常が描かれ、家庭が描かれ、その後にようやく死が訪れて本題が始まる、となるのだが、これだと序盤のいわば状況説明のためのシーンが退屈で眠くなってしまう。本作ではこの序盤がなく、家族との関係や、彼がどのように亡くなったのかは、中盤で語っていくという構成にしているので、退屈することなく物語に入り込める。3人のドラマが絡み合い、登場人物も多めでけっこう複雑なのだが、無駄を省いた分かりやすい構成で、無理なく話を理解できるあたりもよかった。

【5段階評価】5

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