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2012年6月27日 (水)

(795) マッドマックス/サンダードーム

【監督】ジョージ・ミラー、ジョージ・オギルビー
【出演】メル・ギブソン、ティナ・ターナー
【制作】1985年、オーストラリア

マッドマックス」シリーズ第3作。「マッドマックス2」の続編。

らくだを引き連れ、砂漠を移動中のマックス(メル・ギブソン)は、飛行機に乗った子連れの男(ブルース・スペンス)の襲撃に遭い、所持品を全て奪われてしまう。彼はバータータウンにたどり着く。そこは物々交換で成り立つ町。マックスは奪われた荷物を取り戻すため、町の長、アウンティ(ティナ・ターナー)に会う。アウンティのお眼鏡にかなったマックスは、町のエネルギーを牛耳る男、マスター・ブラスターを合法的に倒してほしいという依頼を受ける。マスター・ブラスターとは、頭脳明晰の小男、マスター(アンジェロ・ロシット)と、怪力の男、ブラスター(ポール・ラーソン)の二人組。「北斗の拳」にも、同じような設定のコウケツという男が登場している。
サンダードームの中でブラスターを倒したマックスだったが、ブラスターの正体は、あどけない顔をした少年だった。とどめを刺すのをためらうマックスだったが、二人が入り、一人が出るというサンダードームの掟を破ったため、死のルーレットにより、町を追放される。この死のルーレットというような設定も、北斗の拳では何度か登場している。
拘束された状態で砂漠に放り出されたマックスは、子どもだけで暮らす集団に助けられる。彼らはマックスをキャプテン・ウォーカーだと勘違いする。キャプテン・ウォーカーとは、彼らが信じる伝説の救世主だった。子ども達の何人かが、外の世界に憧れて集落を飛び出してしまったため、マックスはその後を追い、砂地獄にはまりそうになっていた彼らを救出する。マックス達はそのままバータータウンに向かい、マスターと合流すると、地下施設に眠る機関車でバータータウンを脱出する。
マスターの頭脳を取り戻そうとして、アウンティは改造車でその後を追い、激しいカーチェイスが展開される。機関車の終点には、マックスの荷物を盗んだ飛行機の男がいた。マックスは彼に子ども達を託すと、彼らの乗った飛行機を離陸させるため、飛行機めがけて爆走するアウンティらの改造車の集団に、車で突っ込む。子ども達を載せた飛行機は無事に飛び立つ。砂漠に倒れ込んだマックスに、アウンティが歩み寄るが、「負けたよ」という台詞を吐いてその場を去っていく。

極悪非道な暴走集団との死闘の迫力と、独特の意匠で描いた世紀末の世界観が見事に結実した前作に比べ、本作はかなり見劣りがした。子どもが大人たちとコミカルな戦いをしてみたり、砂漠に放置された線路を機関車で爆走してみたり。とても本気で戦っているとは思えず、アイディア先行で必然性のないシーンの連続。
改造車のデザインなんかは、前作同様、なかなかのものだったのだが、前作のカーチェイスシーンは、次々と仲間がやられ、タンクローリーに続々と敵が群がるわ、タイヤはボウガンでパンクさせられるわで、圧倒的な絶望感の中で奮闘するマックスの悲壮感が胸を打ったわけだが、それに比べると、本作では、連結器を外すとかの使い古されたネタで、なんで機関車にしちゃったかなぁ、という大味な展開だった。
それにも増して、マックスが、子どものために身を挺して戦うという、ある意味で凡庸なヒーロー像にすり替えられているのが、前作を知る者としては、何とも残念だった。

【5段階評価】2

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