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2012年4月

2012年4月30日 (月)

(737) コン・エアー

【監督】サイモン・ウェスト
【出演】ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ジョン・マルコビッチ
【制作】1997年、アメリカ

ハイジャックされた囚人護送用の輸送機で奮闘するレンジャー隊員を描いた作品。

妊娠中の愛妻を持つキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は、妻といるところを暴漢に襲われ、一人を殴り殺してしまったため、刑務所に入れられる。
模範囚となり、服役中に生まれた娘と愛する妻との再会を心待ちにしていた彼に、仮釈放の日が訪れる。彼は刑務所で知り合った親友、ベイビー・オー(ミケルティ・ウィリアムソン)とともに輸送機に乗り込む。
しかし輸送機に乗り込んだサイラス(ジョン・マルコビッチ)をはじめとする凶悪犯たちが輸送機をハイジャックしてしまう。糖尿病のため、インシュリンがないと命が危ないベイビー・オーと、強姦魔に狙われている女性刑務官を守るため、キャメロンは機に残る。
地上では、事件を察知した連邦保安官ラーキン(ジョン・キューザック)がキャメロンと連携しながら犯人を追う。ポーはコクピットに入り込み、機をラスベガスに不時着させる。サイラスは仲間とともにはしご車で逃走するが、キャメロンとラーキンは白バイで追跡し、彼らを倒す。
キャメロンはついに家族と会い、ぎこちなく父親にすがりつく娘と、愛する妻と抱擁を交わすのだった。

凶悪犯に支配された輸送機から仲間を救うという絶望的な状況に、キャメロンとラーキンが果敢に立ち向かう。その活躍に見応えがあり、映像にも迫力がある。主人公は、正義のヒーローではありながら、立場上は服役囚なので、犯人からすれば味方である。この絶妙な設定が、犯人が主人公をなかなか殺さないという点に合理性を持たせているので、「そうはならんだろう」というようなご都合主義的な印象が薄いところもよかった。
凶悪犯の割に人質をなかなか殺さないな、というところも、ありはしたのだが。

【5段階評価】5

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2012年4月29日 (日)

(736) ウルヴァリン: X-MEN ZERO

【監督】ギャビン・フッド
【出演】ヒュー・ジャックマン、リーブ・シュレイバー、リン・コリンズ
【制作】2009年、アメリカ・ニュージーランド・オーストラリア

アメコミヒーロー、ウルバリンに焦点を当てた「X-メン」シリーズのスピンオフ作品。

少年、ジェームズ(トロイ・シバン)は、父親を殺された怒りで手からかぎ爪が突き出すという特殊能力が覚醒。父親を殺した男を殺してしまうが、その男こそ実の父親だった。
パニックになって家から飛び出したジェームズを、兄のビクター(マイケル・ジェームズ=オルセン)が追い、二人は数々の歴史的な戦争の兵士として活躍。銃殺刑に処されても死なない二人のもとに、ウィリアム・ストライカー(ダニー・ヒューストン)が現れ、二人をX-MENの仲間に引き入れる。
しかし、ストライカーらの非人道的な行動に耐えかねたジェームズ(ヒュー・ジャックマン)は、兄(リーブ・シュレイバー)の制止を振り切り、彼らのもとを去る。
彼はローガンと名を変え、恋人のケイラ(リン・コリンズ)と静かに暮らす。しかしそこに再びストライカーが現れ、何者かがX-MENを殺していると警告する。直後、ケイラがビクターに殺される。復讐の怒りに燃えるローガンは、ストライカーのもとに赴き、アダマンチウムを注入され、文字通り、鋼の肉体を手に入れる。彼は、かつてケイラが聞かせてくれたおとぎ話からウルバリンという名を選び、自らの認識票に刻む。
彼は施術中に、ストライカーがウェポンXIというミュータントを作り上げようとしているという野望について語っているのを聞き、施設を脱出する。
実はケイラは生きており、ケイラが殺されたというのは、ローガンを呼び出すためにストライカーがビクターを使って仕組んだ狂言だった。ケイラは妹を人質に取られていたため、協力させられていたのだった。
ローガンは監禁された妹たちミュータントを解放し、一時は反目したビクターとともに、ウェポンXIと戦う。ウェポンXIは、ウルバリンの再生能力に加え、瞬間移動や目からのレーザー光線など、複数の特殊能力を持つ強力なミュータントだったが、最後はウルバリンが首を掻き切ってウェポンXIを倒す。

過去の「X-メン」シリーズ同様、ミュータントの特殊能力の映像が楽しい。多くのアメコミ系作品の中で、本作は、「ファンタスティック・フォー」のようなコミカルなドタバタアクションというよりは、「バットマン ビギンズ」のような人間ドラマに重点が置かれた作品となっている。

【5段階評価】3

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2012年4月28日 (土)

(735) ファイト・クラブ

【監督】デビッド・フィンチャー
【出演】エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーター
【制作】1999年、アメリカ

不眠症に悩む主人公(エドワード・ノートン)は、自分とは対照的な性格のタイラー(ブラッド・ピット)という男と知り合う。彼が自分を殴れと言ったのを機に、主人公は本気の殴り合いによる精神の解放を覚える。
二人はファイト・クラブを立ち上げ、同士を増やしていく。やがてタイラーは物欲に支配された世界の破壊をもくろみ、金融系企業が集積するビル群の爆破テロを計画。
主人公はそれに反対するが、実はタイラーは主人公の生んだ幻影であり、二人は同一人物だった。主人公は拳銃の銃口をくわえて自らを撃ち、幻影を消し去るが、ビルは爆破により崩壊。主人公はマーラ(ヘレナ・ボナム=カーター)とともに立ち尽くし、それを見つめるのだった。

観る前は、ブラピ主演のアクションものかと思っていたら、全く違っており、サイコ・サスペンスと言った方がよいだろう。

主人公にまとわりつく人物が実は幻影だった、というプロットは、「ビューティフル・マインド」でも登場するし、しかもそれが本人だったというトリックは、「シークレット・ウィンドウ」でも使われており、それほどユニークな設定ではない。後半になって、なるほどそういうことか、と気付かされるところは面白かったが、意味不明な部分も結構残っていたりして、少々消化不良であった。
本作には、ところどころサブリミナル映像が組み込まれているのだが、それこそ録画でコマ送りにでもしないと確認できないので、演出としてはどれだけ効果があったのだろうか、という気がした。

【5段階評価】3

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2012年4月27日 (金)

(734) モンローのような女

【監督】渋谷実
【出演】真理明美、佐田啓二、森光子、笠智衆
【制作】1964年、日本

恵まれない家族を持つ17歳の娘がヌード写真に挑む様を描いた作品。

17歳の高校生、島いち子(真理明美)は、酒飲みの父(笠智衆)と精神病患者の母を持ち、家計は苦しかった。小料理屋を営むお鈴(森光子)や、近所のまさ枝(千之赫子)にそそのかされ、水口(佐田啓二)という写真家の水着モデルとなる。
お鈴の息子の孝太郎(山本圭)は、そんないち子を責め、いち子はヌードにはならないと約束する。
お鈴の亭主(加藤武)は、いち子を手込めにしようとするが、いち子は家に逃げ帰る。父親はいち子がふしだらなことをしていると決めつけ、お鈴の亭主に殴り込みに行く。そこに精神病院を抜け出した母親が現れ、刃物でお鈴の亭主の腹を突いてしまう。
また、踏み切り警手をしている父親は、不注意で作業を怠り、踏切で列車と自動車が衝突する事故を起こしてしまう。
全てに絶望したいち子は、水口のもとを訪れ、ヌードになることを決意し、衣服を全て脱ぎ捨て、カメラの前に立つのだった。

ヌードになる・ならない、をテーマにした、青春ものと言うよりは悲劇的な内容である。
真理明美を主役に据えたアイドルものといった趣もあるが、痴漢に胸をまさぐられたり、加藤武にはお尻を抱きかかえられたり、と、清純派とはほど遠い扱いを受ける。裸体は晒さないが、そこそこの体当たり演技である。
若い頃の森光子が見られるのも面白い。昔の俳優さんは、台詞が立て板に水で、本当にプロだなあと思う。

【5段階評価】2

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2012年4月26日 (木)

(733) ナイト ミュージアム2

【監督】ショーン・レビィ
【出演】ベン・スティラー、エイミー・アダムス、ハンク・アザリア
【制作】2009年、アメリカ

博物館の展示物が動き出すというアイディアを映画化した作品、「ナイト ミュージアム」の続編。

本作では、元警備員のラリー(ベン・スティラー)が、スミソニアン博物館を舞台に、復活をたくらむ古代エジプトの王、カームンラー(ハンク・アザリア)と戦う。ラリーに協力するのは、かつての自然史博物館の展示物だった仲間達。そして、女性で初めて大西洋横断飛行に成功したパイロット、アメリア・イアハート(エイミー・アダムス)。
カームンラーは、ナポレオン(アラン・シャバ)、イワン雷帝(クリストファー・ゲスト)、アル・カポネ(ジョン・バーンサル)を仲間に引き込むと、ラリーの仲間、ジェデダイア(オーウェン・ウィルソン)を人質に取り、石版の謎を解くようラリーを脅迫。
アル・カポネ達はアインシュタインの人形から暗号を聞き出し、石版のはめられた扉の奥から、鳥の顔をしたカームンラーの手下を呼び出すが、そこに巨大なリンカーンの石像が踏み込み、手下達を指ではじき飛ばしてしまったため、彼らは慌てて扉の向こうに逃げ込んでしまう。
ラリーはカームンラーと懐中電灯で大立ち回りを演じ、アメリアの協力でカームンラーを扉の向こうの世界にはじき飛ばす。
改修を終えた自然史博物館は、動く展示物を売りにして大いに賑わうこととなるのだった。

本作も前作同様、CGをふんだんに使った展示物の動きが楽しい。話は若干お粗末だが、子供向けなので仕方のないところだろう。

【5段階評価】3

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2012年4月25日 (水)

(732) 28週後...

【監督】ファン・カルロス・フレスナディージョ
【出演】ロバート・カーライル、キャサリン・マコーマック、イモージェン・ブーツ
【制作】2007年、イギリス

レイジ・ウィルスの感染を描いた「28日後...」の続編。ただし、設定は1作目と共通であるものの、登場人物は異なり、別の話として描かれている。

ドン(ロバート・カーライル)は、妻のアリス(キャサリン・マコーマック)とともに、人を凶暴にするレイジ・ウィルスの感染者の襲撃を逃れるため、郊外の民家に何人かの人々と隠れていた。しかし、感染者に気づかれてしまい、中にいた人たちが次々と感染していく。必死に逃げるドンは、取り残されてしまった妻を置き去りにして逃走してしまう。
28週が過ぎ、感染者が全て餓死したロンドンでは、NATO軍による復興計画が進められる。
ロンドンを離れていたドンの長女、タミー(イモージェン・ブーツ)と、その弟アンディ(マッキントッシュ・マッグルトン)は、父親と再会し、母が死んだと聞かされる。二人は思い出となる母親の写真を自宅に取り行こうと、封鎖された市街に忍び込む。
タミーと自宅に戻ったアンディは、薄暗い部屋の中に潜む母親を発見する。
軍の女性兵士、スカーレット(ローズ・バーン)は、母親は何らかの理由でウィルスが発症しない保菌者であることをつきとめる。ドンはそうとは知らず、見殺しにした妻にわびるため、彼女が隔離されている病室に侵入し、妻と口づけを交わす。そのとたん、ドンはあっという間にレイジ・ウィルスに犯され、凶暴化。妻の喉を引き裂いて殺してしまうと、病室を飛び出し、兵士を襲い始める。
軍は住民を隔離しようとするが、感染は瞬く間に人々に広がっていく。感染の拡大を止められないと考えた軍部は、狙撃手に非感染者もろとも射殺するよう命じ、さらに上空から焼夷弾を投下し、町ごと焼き払うことを決定する。
しかし、狙撃手のドイル(ジェレミー・レナー)は、命令に従うことができず、スカーレットやタミー、アンディらを連れて町を脱出する。
町は猛火に包まれるが、ドイルらのみならず、多くの感染者も火災を逃れ、ドイルらのいる市街に入り込む。ドイルは仲間でヘリ操縦士のフリン(ハロルド・ペリノー・Jr.)と連絡を取り、海峡を渡るため、待ち合わせ場所の公園に向かう。
しかし、ヘリの到着とほぼ同時に、大量の感染者がドイルらのいる場所に駆け込んできたため、ドイルらはヘリへの搭乗を断念。スタジアムに集合場所を移す。市街では、軍による掃討作戦が展開されており、ドイルは軍の火炎放射によって殺されてしまう。
残ったスカーレットは、タミーとアンディを連れてスタジアムに向かうが、真っ暗な地下鉄通路の中で感染したドンに襲われ、命を落とす。
姉とはぐれたアンディは姉の名を連呼するが、そこにドンが現れ、アンディに襲いかかる。タミーはそんな父親を射殺する。アンディは感染したが、母親同様、耐性を持っており、凶暴化しなかった。
タミーはアンディを連れてスタジアムを訪れ、フリンに救出される。
しかし、さらに28日後、感染は海を越え、パリに広がっているのだった。

前作同様、猛然と走る感染者に追われる映像は極めて鮮烈。誰もいないロンドン橋などの映像も、イギリス人には「どうやって撮ったのだろう」と印象に残るだろう。
通常、この手の作品では、感染者となっても、一片の人間的感情が残っていて、家族の襲撃を躊躇したりするような描写があったりするが、本作はそれがなく、情け容赦なく家族に襲いかかる。それを名優、ロバート・カーライルが演じているところが、悲劇の迫真性を高めることに一役買っているように思える。ホラー映画の名作といえよう。

【5段階評価】5

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2012年4月24日 (火)

(731) 28日後...

【監督】ダニー・ボイル
【出演】キリアン・マーフィー、ナオミ・ハリス
【制作】2002年、イギリス

人の凶暴性が増すウィルス、レイジ・ウィルスの災禍に巻き込まれる人々の戦いを描いた作品。

動物保護団体が、研究施設に捕らえられているサルを解放するが、それらはレイジ・ウィルスに犯されており、あっという間にロンドンは壊滅状態になってしまう。
交通事故で入院中だったメッセンジャーのジム(キリアン・マーフィー)は、無人となった病院で目覚める。彼は、無人の町を放浪し、放置された売店の新聞で、ロンドン市民が大量避難していることを知る。彼はやがて大量の死体の転がった教会に入り込む。誰かいないかと声を上げると、突如、数人の人間が立ち上がり、猛烈な勢いで彼を追い始める。
必死で逃げるジムを、マーク(ノア・ハントレー)とセリーナ(ナオミ・ハリス)が救助。事態を掌握できない彼は、二人に連れられ、自宅に戻るが、年老いた両親は、ベッドの上で心中していた。
その夜、停電した家の中で、ジムがろうそくをつけて思い出に浸っていると、突然、窓ガラスを突き破って感染者が侵入。マークとセリーナは容赦なく感染者を打ちのめす。しかし、マークが感染者の血を傷口に浴びてしまう。それを見たセリーナは問答無用でマークを殺してしまう。
ジムとセリーヌは移動を始め、高層マンションの一室に住む親子と合流。ラジオ放送を頼りに軍のキャンプを目指す。
しかし、父親のフランク(ブレンダン・グリーソン)は、合流地で感染者の死体の血を目に浴び、凶暴化が始まってしまう。セリーナはマークにフランクを殺せと叫ぶが、マークは躊躇。しかしフランクは潜んでいた兵士に射殺される。
ジムとセリーヌ、少女のハンナ(ミーガン・バーンズ)は、軍のキャンプに連れて行かれるが、そこは独裁的な少佐が女達を兵士の慰みものとしようとしていた。反対するジムはキャンプを追い出されるが、必死の思いでキャンプに戻ると、キャンプ内で鎖につながれていた感染者を放ち、その隙にセリーナとハンナを助け出す。彼らは大きな布でヘルプメッセージを作り、無事、偵察機に発見される。

感染者が健常者を襲い、感染が蔓延するという展開は、いわゆるゾンビものの定番の設定だが、本作は、感染者がゾンビのようにフラフラと緩慢に動くのではなく、凶暴性を帯びて猛烈な速度で人間を追いかけ、襲う点に特徴がある。漫画「アイ・アム・ア・ヒーロー」とも少し似ている。
後半は、感染者と正常者との攻防ではなく、主人公と狂気を帯びた兵士という、非感染者同士の戦いに焦点が移り、感染者との戦いに終始しがちな展開に変化を与えている。

【5段階評価】5

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2012年4月23日 (月)

(730) セブン

【監督】デビッド・フィンチャー
【出演】ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、ケビン・スペイシー
【制作】1995年、アメリカ

七つの大罪をモチーフとした連続殺人を扱ったサスペンス。

定年間近の刑事、サマセット(モーガン・フリーマン)は、トレイシー(グウィネス・パルトロウ)という美しい妻を持つ若手刑事のミルズ(ブラッド・ピット)とともに、スパゲッティに顔を埋めて死んでいる巨漢の男の殺人現場を捜査。次いで二人は、自ら腹の肉を削った状態で殺された弁護士の殺害現場に立ち会う。床には血で「GREED(強欲)」と書かれていた。一人目の現場でも、「GLUTTONY(暴食)」の言葉がみつかる。
犯人と思われた男は、舌と手首を切り取られた状態で、1年もの間、ベッドに縛り付けられており、死体同然となっていた。部屋には「SLOTH(怠惰)」と書かれていた。
サマセットはFBIを使って、七つの大罪に関する書物を図書館で借りている人物がジョン・ドウであることを割り出し、ミルズと住居を訪ねるが、ジョンは逃亡。追跡したミルズは隠れていたジョンに殴り倒され、銃を突きつけられるが、なぜか彼はミルズを殺さず、逃走する。
ジョンの部屋を捜索すると、彼は現場近くにいたカメラマンだったことが判明する。
その後、局部に性器を模したナイフを突き立てられて娼婦が殺され(「LUST(肉欲)」)、顔を切り裂かれた女性も発見される(「PRIDE(高慢)」)。
真犯人のジョン(ケビン・スペイシー)は、突如、サマセットとミルズの前に現れ、自首する。彼は、残り二つの死体を隠した場所に二人を連れて行くと告げる。残された大罪は「ENVY(嫉妬)」と「WRATH(憤怒)」。
ジョンは二人を送電用の塔が林立する、人気のない荒野に連れて行く。そこにバンに乗った宅配業者が現れ、ミルズ当ての荷物を届ける。ジョンをミルズに任せたサマセットが中身を見て、思わずのけぞる。サマセットはミルズに向かって、銃を渡せと叫びながら彼に走り寄る。
そのときジョンは、ミルズに向かって、自分は君がうらやましくて妻のトレイシーに会ったが、いやがられたので、彼女の首をみやげに持ってきた、と告げる。信じようとしないミルズだったが、サマセットの狼狽ぶりを見た彼は、それが真実だと悟り、ジョンの挑発に乗ってジョンを射殺してしまう。サマセットは護送されるミルズをなすすべなく見送るのだった。

殺害現場の描写のリアルさがすばらしい。また、オープニングクレジットから終始、都市の喧噪に潜む不安と狂気がうまく映像化され、最後の荒野のシーンも印象的。
デビュー作の「エイリアン3」で、世間や俳優から酷評されたデビッド・フィンチャー監督が、見事に雪辱を成し遂げた傑作と言える。

【5段階評価】5

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2012年4月22日 (日)

(729) L Change the WorLd

【監督】中田秀夫
【出演】松山ケンイチ、工藤夕貴、福田麻由子
【制作】2008年、日本

デスノート」の登場人物、Lに焦点を当てたスピンオフ作品。

夜神月(ライト)(藤原竜也)との戦いの中で、自らの命を残り23日としたL(松山ケンイチ)が、タイの村を全滅させたウィルスによるバイオテロの阻止に挑む。
Lの代理人、ワタリ(藤村俊二)の信頼を得ていたK(工藤夕貴)は、環境破壊を抑止するためには人類の削減が必要と考え、共同研究者の二階堂公彦(鶴見辰吾)を裏切り、バイオテロを画策。公彦は死亡し、愛娘の真希(福田麻由子)はLのもとを訪ねる。
タイの村から唯一生き残った少年(福田響志)を保護したLは、三人でウィルス研究の権威、松戸浩一(平泉成)を訪ね、抗ウィルス薬を開発。
バイオテロを企むKと、ウィルスの密売を画策していた的場(高嶋政伸)らは、捕らえた真希とともにアメリカ行きの飛行機に乗り込んでいたが、Lが助けに現れ、開発した抗ウィルス剤により、テロを防ぐ。

夜神月という好敵手なきあと、少々盛り上がりに欠ける展開ではあったが、俳優はめいっぱい豪華で、そこそこ楽しめた。ヒロインを演じた福田麻由子は、「がんばっていきまっしょい」の頃の田中麗奈と元モーニング娘。の小川麻琴を足して二で割ったような顔立ちの子。

【5段階評価】3

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2012年4月21日 (土)

(728) ツォツィ

【監督】ギャビン・フッド
【出演】プレスリー・チュエニヤハエ、テリー・ペート
【制作】2005年、南アフリカ

南アフリカのスラムで暮らす若者が、他人の乳児と触れ合ったことを通じて、人間性を取り戻す様を描いている。アカデミー外国語映画賞受賞作品。

ツォツィと呼ばれる少年(プレスリー・チュエニヤハエ)は、仲間とともに裕福な地下鉄客から金を脅し取り、騒ごうとすると容赦なくアイスピックで刺し殺すという暮らしを送っていた。
彼はとある黒人女性の高級車を強奪するが、中には赤ん坊が乗っていた。そのあまりの無防備さにたじろいだ彼は、赤ん坊を紙バッグに入れて車から持ち去る。
ツォツィは、赤子を背負った近所のシングルマザー、ミリアム(テリー・ペート)の家に押し入り、自分の連れた赤ん坊に授乳させるよう脅す。ミリアムは授乳させ、気丈にもこの子を育てるとツォツィに言うが、彼は自分の子だと言い張り、金を稼いでくると言って彼女の家を立ち去る。
ツォツィは仲間と、赤子を奪った家に侵入し、父親を縛り上げる。仲間達は金品をあさるが、ツォツィはほ乳瓶とミルクを確保する。父親が隙を見て防犯アラームを鳴らしたため、仲間の一人が彼を撃ち殺そうとするが、ツォツィは、父親を救うため、背後から仲間を射殺する。
ツォツィはミリアムのもとに戻り、奪った車を解体屋に売りさばいて得た金を渡そうとするが、ミリアムは受け取らない。彼女は彼が赤ん坊を盗んだことを新聞で知り、自分が返しに行こうか、とツォツィに尋ねる。しかしツォツィは自分で返しに行くと言い、返したら戻ってきてもいいか、と彼女に問う。ミリアムは優しい笑顔を彼に返す。
彼は赤ん坊を紙袋に入れ、盗みを働いた家の玄関に向かい、インターホンで赤ん坊をここに置くと告げるが、家の中にいた警官に気付かれ、包囲されてしまう。
父親は、赤ん坊を抱いたツォツィに銃を向ける警官達を制止すると、彼にゆっくりと歩み寄り、赤ん坊を受け取る。ツォツィはそのまま両手を挙げ、自らの罪を受け入れる。

泣き出す赤ん坊のおむつを取り替えたり、食べ物を与えたりすることで、それまで仲間を正体がなくなるほど殴ったり、障害者を脅したりしていた彼が、贖罪の意識を高めていき、最後は警察に身を委ねる。

テリー・ペートは、黒人女性であるが、なんとなく日本にもいるような、愛らしい顔をしている。

【5段階評価】3

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2012年4月20日 (金)

(727) かもめ食堂

【監督】荻上直子
【出演】小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
【制作】2006年、日本

フィンランドで食堂を営む女性と、そこに集まった人々との交流をほのぼのと描いた作品。

日本人の女性、サチエ(小林聡美)は、フィンランドの首都、ヘルシンキで、かもめ食堂という小さな食堂を営んでいる。開店から1ヶ月経ち、最初の客が来る。日本かぶれの若い青年、トンミ・ヒルトネン(ヤルッコ・ニエミ)だった。彼はサトミにガッチャマンの歌の詞を教えてほしいと頼むが、サトミは「誰だ、誰だ、誰だ~」の続きが思い出せない。
悶々とした状態で町なかの喫茶店でお茶を飲んでいたサトミは、一人の日本人女性(片桐はいり)を見つけ、ガッチャマンの歌詞を知っているかと尋ねる。彼女はすらすらと歌詞を書き上げ、サトミに渡す。その女性はミドリと名乗り、たまたま目をつぶって地図を指さした先がヘルシンキだったので来たのだ、と旅行の理由を告げる。
サトミはミドリを家に招き、それがきっかけでミドリはサトミの店を手伝うようになる。
店には相変わらずトンミしか来ない日々の繰り返しだったが、ある晩、サトミはシナモンロールを焼こうとミドリに提案。翌日、シナモンロールが焼き上がると、その香ばしい匂いに釣られて、それまで店の中を外からうさんくさげに眺めているだけだった老婦人三人組が店に入り、シナモンロールの虜になる。
その後、ロストバゲージで荷物の到着を待ち続ける女性、マサコ(もたいまさこ)も店を手伝うようになる。店では、夫に逃げられたことを悩む女性が飲み潰れたり、前に同じ場所で店を出していた男が思い出の器具を持ち出そうと店に忍び込んだところに出くわしたり、といったできごとがおきるが、サチエはつねにおだやかにこれらの事件に対処していく。
とうとうマサコのバッグは見つかるが、港で老人からいきなり飼い猫を手渡され、引き続きカモメ食堂を手伝うことにする。
最初は客が全く来なかった食堂が、ついに満席になるほど繁盛する。

怒ったり不愉快になるシーンがほとんどなく、ずっとほんわかしたムードが貫かれている。ところどころに登場する、日本人にとってはおなじみの、豚のショウガ焼きやシャケの塩焼き、鶏の唐揚げ、ミンチカツ、そしておにぎりといった食べ物が素朴だがとてもていねいに描かれ、思わずこの食堂に食べに行きたくなってしまう。
ちょっとした間の取り方も、間延びしすぎず、ほどよい余韻があり、ベタな言い方だが癒される作品だ。こういう作品をいいと言うのは、いい人ぶっているようでいやだが、いいものはいいので、素直に5点を付けよう。

【5段階評価】5

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2012年4月19日 (木)

(726) ハッピーフライト

【監督】矢口史靖
【出演】田辺誠一、綾瀬はるか、田畑智子
【制作】2008年、日本

ANA国際便のフライトに関わる人々の働く姿を描いた群像劇。パイロット、コーパイ(副操縦士)、CAはもちろん、地上勤務員、管制官、整備士、コントロールセンターなど、多くの職業が登場する。

話は、正パイロットを目指す副操縦士の鈴木(田辺誠一)を中心に展開。教官の原田(時任三郎)とホノルル便を操縦する。
しかし、機はバードストライクにより、速度計が損傷したため、羽田空港に戻ることになる。その中で、怒り出す客にCAが翻弄されたり、コントロールセンターで職員が慌ただしく経路の再設定をしたり、飛行機オタクがバードストライクの瞬間を写真に収め、それを地上職の木村菜採(田畑智子)が見つけたり、といった顛末が描かれる。

序盤は、バードストライクを防ぐために空砲で鳥を追うバードパトロールや、職位の違う者同士の厳しい上下関係など、なじみのない職業が興味深くコミカルに描かれ、おもしろい。
ところが、中盤、飛行機が悪天候の中、引き返さざるを得なくなってからは、進路をどうとるか、という、素人にはよく分からない話に終始してしまい、おもしろさが半減。無事着陸できたときの感動は、米倉涼子主演の「交渉人 THE MOVIE」のほうが大きかったりした。

【5段階評価】3

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2012年4月18日 (水)

(725) AVP2 エイリアンVS.プレデター

【監督】コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス
【出演】レイコ・エイルスワース、スティーブン・パスカル、ジョニー・ルイス
【制作】2007年、アメリカ

エイリアンVSプレデター」の続編。プレデターを宿主として誕生したエイリアン(プレデリアン)と、その抹殺を任務とするプレデター(クリーナー)との死闘と、それに巻き込まれる人々の生存を掛けた戦いを描く。

プレデターの宇宙船内で、プレデターに寄生したエイリアンが誕生。乗組員が襲われ、宇宙船は地球に落下する。
破損した宇宙船からは、プレデリアンの他に、宿主に寄生体を産み付けるフェイスハガーも抜け出し、人間に寄生を始める。
エイリアン襲撃の指令をキャッチしたクリーナーは、地球に乗り込み、エイリアンの証拠隠滅とエイリアンの抹殺を開始する。
幼い娘、モリー(アリエル・ゲイド)を持つ女性兵士、ケリー(レイコ・エイルスワース)は、自宅をエイリアンに襲撃され、夫が餌食になってしまう。彼女は娘とともに自宅から逃げ出し、銃器店に籠城していたダラス(スティーブン・パスカル)やリッキー(ジョニー・ルイス)らと行動をともにする。
仲間の一人であった保安官のエディ(ジョン・オーティス)は無線で米軍にコンタクトし、スティーブンス大佐から町の広場に集まるよう指示される。
しかし、ケリーは、その指示を怪しいとにらみ、病院にある搬送用ヘリでの脱出に挑む。彼らはプレデリアンとクリーナーの死闘の隙を突いて何とか脱出に成功。
しかし、広場に集結したエディらは、軍の放った爆弾により、エイリアンとともに町ごと吹っ飛ばされてしまう。すさまじい爆撃から何とか逃れたケリー達は、軍隊に救助される。

エイリアン」シリーズで、シガニー・ウィーバー演じるリプリーは、エイリアンを地球に連れて行くことだけはやってはならないと、それこそ命を賭して、生物兵器として利用するためエイリアンを地球に持ち帰ろうとするウェイランド・ユタニ社の命令に背くわけだが、本作ではあっさりエイリアンが町中に入り込み、人々を襲って繁殖を始めてしまう。
これだけでかなりリプリーの努力を無駄にしてしまっているわけだが、さらにその解決策として、人間を含めて町ごと吹っ飛ばして事なきを得てしまうというのが、何ともずさんな印象があった。
とは言え、ホラー作品としてのできはなかなかのもので、少々どぎつい映像もあり、見応えがあった。

【5段階評価】3

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2012年4月17日 (火)

(724) エイリアンVSプレデター

【監督】ポール・W・S・アンダーソン
【出演】サナ・レイサン、ラウル・ボバ、ランス・ヘンリクセン
【制作】2004年、アメリカ

凶悪な宇宙生物、エイリアンとプレデターとの戦いと、それに巻き込まれる人々を描いたアクション・ホラー・SF。

南極で突如発見された熱源の探査に乗り出すのは、ウェイランド社の社長、ビショップ。「エイリアン2」ではアンドロイドとして、「エイリアン3」ではウェイランドユタニ社の開発者として登場した俳優、ランス・クリステンセンが演じている。
彼は冒険家のレックス(サナ・レイサン)らと遺跡に入り込むが、そこはプレデターの成人の儀を行う場で、若きプレデターは、遺跡内に繁殖するエイリアンを倒すことで成人を認められるのだった。
ウェイランドたちが起動させてしまった装置によって、プレデターが幽閉したマザーエイリアンが冷凍睡眠から目覚め、卵を産み始める。隊員達を宿主にしてエイリアンが誕生。そこに成人の儀に挑むプレデターが登場し、両者の死闘が始まる。
人間たちはその巻き添えとなって次々と命を落とすが、アレクサは一人のプレデターに認められ、ともにマザーエイリアンを倒す。
最後まで戦ったプレデターは、仲間の船に運び込まれるが、その腹を食い破って、プレデターの特徴を宿したベビー・エイリアンが誕生。新たな戦いを予感させて映画は終わる。

企画内容は極めてB級色が強く、有名俳優もほとんど登場しないため、エイリアン・ファンには顔をしかめられそうな作品に思えるが、映像や美術はけっこう本格的で、いい意味で期待を裏切られた。「プレデター2」のラストで、プレデターの宇宙船内にエイリアンの骨が飾られているという設定が、思わぬ伏線になっているのもおもしろい。

【5段階評価】4

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2012年4月16日 (月)

(723) 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

【監督】富野由悠季
【出演】古谷徹(声)、池田秀一(声)、佐々木望(声)、川村万梨阿(声)
【制作】1988年、日本

劇場版「機動戦士ガンダム」シリーズ第4作。「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」の13年後を描く。

ネオ・ジオンを率いるシャア(池田秀一)は、地球に居座る人間を粛正しようと、周辺の隕石を地球に落とす作戦を展開。アムロ・レイ(古谷徹)をはじめとする連邦軍のロンド・ベル部隊は、その阻止に挑む。
ブライト・ノア(鈴置洋孝)とミライ(白石冬美)の息子、ハサウェイ(佐々木望)は、ブライトの艦に乗り込み、シャアにあこがれる少女、クェス(川村万梨阿)に恋心を抱く。彼はシャアのために戦場に出るクェスを引き戻そうとするが、ハサウェイの無謀な行動を止めようとしたアギ(弥生みつき)がクェスを撃墜。怒り狂ったハサウェイは、アギの乗るリ・ガズィを撃ち落とす。
シャアは、小惑星アクシズを地球に落下させようとするが、ν(ニュー)ガンダムに乗り込んだアムロは、シャアの操るサザビーを激闘の末、破壊すると、アクシズの落下を止めようとする。無謀な挑戦に思えたが、連邦軍、ネオ・ジオン軍双方のモビル・スーツも協力し、サイコフレームの不思議な作用により、小惑星の軌道がそれ、落下は防がれる。

本作は劇場版機動戦士Ζガンダムシリーズに比べると、モビルスーツの機種や人名などが分かるように展開されるので、初めて観る人にも優しい作りになっている。もっとも、初めてガンダムを観るような人は、そもそも本作を観るようなことはないかもしれない。
ただ、最後に大事な役割を果たすサイコフレームの描写は説明不足だったかもしれない。

【5段階評価】3

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2012年4月15日 (日)

(722) 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星の鼓動は愛-

【監督】富野由悠季
【出演】飛田展男(声)、榊原良子(声)、池田秀一(声)、島田敏(声)
【制作】2006年、日本

テレビアニメ「機動戦士Ζガンダム」の劇場版第3作。

本作では、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズの全面戦争が描かれる。特にモビル・スーツのキュベレイを扱うアクシズ軍のハマーン・カーン(榊原良子)、ジ・Oを扱うティターンズのシロッコ(島田敏)と、カミーユ(飛田展男)との戦いが中心となっている。

テレビ版の知識がある人には懐かしい作品なんだろうが、知らない人にとっては、それらしい説明もなく登場する固有名詞が、人の名前なんだか地名なんだか、モビル・スーツの機種名なんだか、ちっともわからないので、話について行きづらかった。
ちなみに、ハマカーンの名前の由来がハマーン・カーンから来ているというのは、今思いついた嘘である。つうか、ハマーンってハマカーンぽい名前だなあと思ったら、下の名前がカーンだってわかって吹いた。

【5段階評価】2

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2012年4月14日 (土)

(721) 機動戦士Ζガンダム A New Translation -恋人たち-

【監督】富野由悠季
【出演】飛田展男(声)、池田秀一(声)、古谷徹(声)
【制作】2005年、日本

テレビアニメ「機動戦士Ζガンダム」の劇場版第2作。

本作では、エゥーゴとティターンズとの戦いを通じ、カミーユ(飛田展男)とフォウ・ムラサメ(ゆかな)との出会い、そして旧ジオン軍のモビルスーツ軍との出会いを描いている。

本作も前作同様、少々話の盛り上がりに欠ける展開で、「あれ、もう終わり? 」という尻切れトンボ感が拭えなかった。

【5段階評価】2

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2012年4月13日 (金)

(720) 機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-

【監督】富野由悠季
【出演】飛田展男(声)、池田秀一(声)、古谷徹(声)
【制作】2005年、日本

テレビアニメ「機動戦士Ζガンダム」の劇場版。テレビアニメ自体は1985年だが、20周年を記念して制作された。

ニュータイプの素質を持つ少年、カミーユ・ビダン(飛田展男)が、連邦軍のエリート組織ティターンズと、対立組織エゥーゴとの戦いに巻き込まれていく。本作では、かつての一年戦争で活躍したアムロ・レイ(古谷徹)とシャア(池田秀一)との邂逅までを描いている。

数々のモビル・スーツやモビル・アーマーの登場が楽しい。ただ、映画としては今ひとつ抑揚に欠けた説明調の展開で、テレビ版を知る人には懐かしいのだろうが、見ていない人には結構退屈な気がする。

【5段階評価】2

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2012年4月11日 (水)

(719) ルパン三世 カリオストロの城

【監督】宮崎駿
【出演】山田康雄(声)、島本須美(声)、石田太郎(声)
【制作】1979年、日本

ルパン三世の劇場版第2作。

ゴート札という偽札をつかまされたルパン三世(山田康雄)と次元(小林清志)は、その謎を追ってカリオストロ公国に侵入。国では摂政のラサール・ド・カリオストロ伯爵(石田太郎)が、王女のクラリス(島本須美)との婚礼を控えていた。二人は、伯爵との結婚を望まないクラリスが逃げようとして伯爵一味に捕らえられるところを目の当たりにし、ルパンはクラリスを盗むと予告する。伯爵は、自分とクラリスの指輪を合わせることで得られる大いなる資産を狙っており、いったんはルパンらを退ける。しかし挙式の日、ルパンは司祭になりすましてクラリスをさらう。クラリスとルパンは逃げるが、クラリスは巨大な時計塔の文字盤の針の先に追い詰められる。ルパンは奪った指輪と引き替えにクラリスを救おうとするが、二人は時計塔の下の湖に落下。伯爵が時計塔の文字盤の山羊の彫刻に指輪をはめ込むと、そのとたん、時計塔に仕込まれたからくりが作動し、伯爵は長針と短針に挟まれて絶命する。
大いなる遺産とは、湖底に眠るローマ遺跡だった。クラリスはルパンに恋心を抱き、連れて行って欲しいと言ってルパンに抱きつくが、ルパンはクラリスを抱き寄せたいという思いを振り払ってクラリスの肩をつかみ、別れの言葉を告げる。その後、銭形警部とクラリスの「ルパンめ、まんまと盗みおって~」「いいえ、あの方は何も盗らなかったわ。わたしのために戦ってくださったんです。」「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」「・・・はい! 」という名シーンを経て、映画は終わる。

さすがは宮崎駿監督という珠玉のできばえ。コミカルなアクションシーンや、純粋で清楚だが勇敢なヒロイン、ごく一部の悪役を除いてみんないい奴という設定など、その後の宮崎アニメでも見られる演出が心地よい。ルパン三世の劇場版では最高傑作と呼べるだろう。

【5段階評価】4

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2012年4月10日 (火)

(718) マッチ・ポイント

【監督】ウッディ・アレン
【出演】ジョナサン・リース・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマー
【制作】2005年、イギリス・アメリカ・ルクセンブルグ

裕福な家庭の長女と結婚した元テニスプレイヤーが、浮気相手を妊娠させてしまったことで起こる事件を描いたサスペンス。

元テニスプレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、テニス・コーチと趣味のオペラをきっかけに、一流企業を経営するヒューイット家と親しくなり、長女のクロエ(エミリー・モーティマー)と結婚する。しかし彼は、長男のトム(マシュー・グッド)の婚約者のノラ(スカーレット・ヨハンソン)の官能的な魅力の虜となり、偶然の再会を機に、彼女との浮気を繰り返し、彼女を妊娠させてしまう。
すでに2回も中絶していたノラは、今度は産むと主張し、クリスの責任を追及。すでにヒューイット家の企業で重役の地位にいたクリスは、ノラの住むアパートの部屋の向かいに住む老女を猟銃で殺害。麻薬中毒者による物取りの犯行と見せかけると、帰宅したノラも殺し、逃亡する。彼の思惑通り、警察は、犯人が老女を殺害し、たまたま帰宅したノラは巻き添えで殺されたものと判断した。
クリスは犯行に使った猟銃を元に戻し、奪った宝飾品を街中で川に投げ込む。しかし、老女から抜き取った指輪は、まるでテニスのボールがネットに当たったように、川とこちらを隔てるフェンスに当たって宙を舞うと、川のほうではなく、手前に落下する。
ノラが日記を残していたため、クリスの浮気と殺害の動機は警察に伝わってしまう。担当の刑事は就寝中、ノラこそが犯人の狙っていた相手で、むしろ老女が理由なく殺されたのだとひらめく。
翌朝、彼は同僚に自分の推理を興奮して語るが、同僚は取り合わず、別の殺人事件が起こったと告げる。殺されたのは麻薬常習者だというのだ。刑事が、そいつが死ぬ前に老女殺しを白状したとでも言うのか、と聞くと、同僚は、そうではないが、ポケットに老女の指輪が入っていたから彼が犯人で間違いないと言うのだった。
こうして事件は決着し、クリスは偶然を味方にして、幸せな結婚生活を続けるのだった。

オープニングは、テニスボールがネットの上を飛び交う映像で、ネットに当たったボールが向こうに落ちたら勝ちだが、手前に落ちたら負けになる、という、偶然が運命を左右するという説明が入る。この印象があるので、終盤、クリスの投げた指輪がフェンスに当たって手前に落ちたとき、誰もがクリスに敗北が訪れることを確信し、指輪が彼の運命のほころびにどうかかわるのか、という目で続きを見るので、これがまさかクリスにとって幸運をもたらすとは、というどんでん返しが非常に印象的である。
序盤、トムと知り合ったクリスがとんとん拍子にクロエと親しくなって恋仲に発展したり、クリスがとても素直にヒューイット家の経営する企業に就職したりするので、ヒューイット家側かクリスの側に、何か別のたくらみがあるのかと思ったら、これが何の裏もない典型的な出会いとサクセスストーリーなので、逆に予想外だった。ノラが浮気を受け入れたり拒んだりするのにも、裏の真意はなく、普通にクリスの離婚を望んでいるので、このあたりの人物描写は、そこらのありきたりな推理小説のようなステレオタイプっぷりだった。
もう一点、気になったのは、殺害直前のノラは、クリスの電話を店で受け、それを見ていた職場仲間の女性から「彼から? 」と聞かれて「そうだ」と答えている。警察はこのやりとりを証言として取れたはず。結局、被疑者死亡と断定されたために、捜査の手が及ばなかったという僥倖が彼に訪れた、と解釈するしかないわけだが、それにしても使った猟銃も見つからないまま捜査が終わるほど、捜査はずさんなのかね、というのも気になった。とはいえ、どんでん返しが非常によかったので、評価は高めの4。

【5段階評価】4

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2012年4月 9日 (月)

(717) ベンジャミン・バトン 数奇な人生

【監督】デビッド・フィンチャー
【出演】ブラット・ピット、ケイト・ブランシェット
【制作】2008年、アメリカ

第一次大戦の勝利に歓喜する町で、一人の赤ん坊が誕生する。その子の見た目は80歳の老人で、母親は死亡、父親は判断力を失い、子供を抱えて走り出すと、とある家の前に捨ててしまう。
その子を拾い上げた黒人女性、クイニー(タラジ・P・ヘンソン)は、その子にベンジャミンと名付け、育て始める。
ベンジャミンは、年齢は子供なのに、見た目は完全に老人だったが、あるパーティで出会った青い瞳の魅力的な少女、デイジー(エル・ファニング)は、彼の少年の心を見抜き、仲良くなる。
成長とともにベンジャミン(ブラット・ピット)は若返り、デイジー(ケイト・ブランシェット)と見た目が釣り合う。しかし、ベンジャミンは若返っていくのに対して、デイジーに訪れるのは「老い」だった。若い青年のベンジャミンと年老いたデイジーが最後の愛を交わしたのを機に、二人は離ればなれになる。
一人で暮らすデイジーのもとに、少年保護局から電話が入る。認知症を患ったベンジャミンが保護されたのだった。デイジーは彼を引き取り、ともに暮らす。彼はどんどん幼くなっていき、最後は言葉を話さない赤ん坊の姿となり、デイジーの腕の中でその生涯を閉じるのだった。

病院のベッドの上に横たわる年老いたデイジーに、彼女の娘がベンジャミンの日記を読み聞かせ、それが回想シーンとなって物語は進行する。特撮が見事で、顔をCG合成しているそうなのだが、全く映像に特殊メイクのような嘘くささがない。普通なら「どうやって撮ってるんだろう」ということが気になって、話に集中できないなんてことも起こりそうだが、ここまで自然だと全く気にならず、ストーリーに没頭できた。
見た目が完全なな老人の段階だと、顔はブラット・ピットだが、体はおじいさんという状態になっている。こうなるとブラット・ピットは顔の演技しかしていないとも言えるわけで、そのうちアカデミー賞も、主演男優賞・顔部門とか、助演女優賞・下半身部門なんてものができたりするかもしれない・・・いや言い過ぎました。

【5段階評価】3

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2012年4月 5日 (木)

(716) おくりびと

【監督】滝田洋二郎
【出演】本木雅弘、山崎努、広末涼子、余貴美子
【制作】2008年、日本

山形で納棺師となった男を描いた作品。

苦労してオーケストラのチェロ奏者となった小林大悟(本木雅弘)だったが、オーケストラはあっさり解散。求職情報を見て訪れた先は、納棺をなりわいとする葬儀社だった。
社長の佐々木(山崎努)について納棺の仕事を覚え始める大悟だったが、妻の美香(広末涼子)は猛反対し、実家に帰ってしまう。しかし、懐妊を機に夫の元に戻る。そこに、親しかった銭湯の女主人の訃報が飛び込む。美香は大悟の納棺師としての仕事ぶりを目の当たりにし、その仕事の尊さを知る。
大悟は自分と母親を捨てた父親を憎んでいたが、彼の元に父親の訃報が届く。葬儀社の百合子(余貴美子)に後押しされ、父親の元に向かう。父親の手には、大悟が幼い頃にプレゼントした小石が握られていた。大悟はこぼれる涙をぬぐおうともせず、父親の体を清めていくのだった。

納棺師の仕事の所作の美しさを淡々と描きながら、人の死が生きている人々に与える影響の大きさを切々と描いている。「お葬式」の主人公を演じた山崎努が、葬式のプロである葬儀社の社長をしているところが、何となくおもしろかった。

大悟が初めて死体を目の当たりにした日。さばいた鶏の肉を見て、思わず嘔吐する大悟が、心配する美香の胸に顔を埋めるシーンでは、本木雅弘が広末涼子の胸をまさぐったり、ズボンを脱がせて下着に顔を埋めようとしたり、といったプチエロシーンがある。

【5段階評価】4

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2012年4月 4日 (水)

(715) 陰陽師

【監督】滝田洋二郎
【出演】野村萬斎、真田広之、伊藤英明
【制作】2001年、日本

夢枕獏原作小説の映画化作品。安倍晴明の活躍を描く。

帝(岸部一徳)に恨みを持つ道尊(真田広之)が、帝の子に呪いをかけるが、源博雅(みなもとのひろまさ)(伊藤英明)の依頼を受けた陰陽師、安倍晴明(野村萬斎)が、人魚の肉を食して不老不死となった青音(あおね)(小泉今日子)に呪いの力を移し、呪いを解く。
道尊は、帝に強い恨みを持つ早良親王(荻原聖人)の魂を自らに乗り移らせ、帝を討とうとするが、早良親王と愛を誓った青音が彼の霊魂を思いとどまらせる。
道尊は安倍晴明と死闘を演じるが、最後は安倍晴明の陰陽道の力の前に屈し、自らの剣に首を押し当て、自害する。

野村萬斎の所作に目が行きがちであるが、真田広之のさすがの芝居のほうが迫力があった。しかし、いかんせん本作は、CGを駆使した歴史物の大作というよりは、山田風太郎原作の「伊賀忍法帖」のような、グロ映像を売りにしたB級特撮映画のような作風になってしまっており、真田広之の何度も出てくる高笑いの演技や、夏川結衣に鬼の特殊メイクをするといった、役者に思わず同情してしまうようなイタイ演出が目についてしまった。

また、今井絵理子の、わざと大根役者のように演技させたとしか思えない芝居っぷりも哀しく映った。「」でピーターが演じた狂阿弥のような位置づけだったのかもしれないが、誰のバーターで起用されたのだろうと勘ぐってしまうほど、必然性の感じられない配役だった。

【5段階評価】2

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2012年4月 3日 (火)

(714) ユージュアル・サスペクツ

【監督】ブライアン・シンガー
【出演】ガブリエル・バーン、ケビン・スペイシー、チャズ・パルミンテリ
【制作】1995年、アメリカ

複雑なプロットで描かれたクライム・サスペンス。

船の爆破により大量の死者が発生する事件が起きる。警察は、大やけどをして生き残った一人を取り調べる。男は、カイザー・ソゼという伝説の冷酷非道な男がやってきたと告げる。警察は彼の証言をもとに似顔絵を作ろうとする。
クイヤン捜査官(チャズ・パルミンテリ)は、犯行現場から唯一無傷で生き残った、足に障害を持つ男、バーバル・キント(ケビン・スペイシー)を尋問。映画は彼の供述を追う形で進行する。
彼は、銃の強奪容疑で誤認逮捕され、そこでキートン(ガブリエル・バーン)、マクナマス(スティーブン・ボールドウィン)、ホックニー(ケビン・ポラック)、フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)といったならず者と一緒になる。彼らは釈放後、レッドフットという仲介屋との取引を通じて、伝説の悪人、カイザー・ソゼの秘書的存在、コバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)から、宝石商の取引現場となる船を襲撃して宝石を強奪し、宝石商の持つ9,100万ドルの金を手にするよう指示される。
しかし、事件の現場にカイザー・ソゼが現れ、彼らを皆殺しにしていく。キントは、カイザー・ソゼがキートンも撃ち殺したと告げるが、クイヤンは、キートンこそがカイザー・ソゼだと確信し、キントを帰す。
しかし、尋問を終えて部屋で一息つくと、壁には、彼の話に登場したレッドフットなどの名前の書かれた捜査資料が貼られていた。思わず手に持っていたコーヒーカップを落とすクイヤン。割れたカップの底には「コバヤシ」というメーカー名が書かれていた。キントの供述は、全てその場のでっち上げだったのだ。できあがった似顔絵は、キントの顔そっくりだった。
警察署から立ち去るキント。引きずるように歩いている彼の足が、しだいに普通の歩き方になり、コバヤシの運転する車に乗り込み、彼は走り去る。警察署を飛び出したクイヤンは、途方に暮れて立ち尽くすのだった。

緻密なプロットの後の大どんでん返しが本作の妙味となっており、これを「してやられた」と思うか、「え、意味わかんない」となるかが、本作の評価を分けることになるだろう。
個人的には、前者の作品が大好きではありつつ、本作に関しては後者の印象を持ってしまった。2回観れば楽しめる作品であるとは思うが、2回観ないと楽しめない作品がよい作品とは言えない。

【5段階評価】2

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