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2012年3月

2012年3月30日 (金)

(713) ア・フュー・グッドメン

【監督】ロブ・ライナー
【出演】トム・クルーズ、デミ・ムーア、ジャック・ニコルソン
【制作】1992年、アメリカ

キューバの米軍基地で起きた暴行事件を扱う弁護士の奮闘を描いた作品。

ドーソン上等兵(ウォルフガング・ボディソン)とダウニー一等兵(ジェームズ・マーシャル)という若い兵士2名が、深夜、就寝中のサンティアゴ(マイケル・ドロレンツォ)を暴行し、殺害するという事件が起きる。
二人の被疑者の弁護を引き受けることになったキャフィ(トム・クルーズ)は、同僚のサム(ケビン・ポラック)、内務課のジョー(デミ・ムーア)とともに、真実を追う。
基地には、行動を乱す者に対する暴力的制裁、通称「コードレッド」がまかり通っており、基地の大佐、ジェセップ(ジャック・ニコルソン)は、転籍を望んで内部告発文書を各方面に送っていたサンティアゴへの制裁のため、制止しようとするマーキンソン(J・T・ウォルシュ)を威嚇し、ケンドリック(キーファー・サザーランド)経由でコードレッドを指令していた。
被告の二人がケンドリックからコードレッドの指令を受けたと聞いたキャフィだったが、物証はなく、一時は終身刑になるより6ヶ月の有罪を選べ、と二人に告げる。しかし、ドーソンは、自分は忠実に命令を実行しただけで、その誇りを汚すことはできないと強く主張。キャフィと激しく対立する。
そして罪状認否の日。キャフィはドーソンらの証言だけを頼りに、二人が無罪であると主張。検察側に宣戦布告する。キャフィら3人は、必死で調査を続け、失踪していたマーキンソンも彼らに接触。しかし、証言台に立つ直前、マーキンソンは部下を守れなかった責任感から自殺してしまう。
キャフィはとうとう、ジェセップ大佐を証言台に立てる。ジェセップは、自分はサンティアゴの命を守るため、彼を転籍をさせようとしており、コードレッドなど指令していないと証言。キャフィは彼に、軍の規律に対する持論を展開させる。軍隊において命令は絶対であり、自分の指揮下で命令は遵守されていた、と。その上で、キャフィは、ではなぜ、サンティアゴは転籍させる必要があったのか、と問う。サンティアゴに手出しをするな、という指示があれば彼は安全だったではないか、と。ジェセップの論理にほころびが生じ、キャフィの挑発に乗って、ジェセップはとうとう、裁判長や検事のジャック(ケビン・ベーコン)の制止も聞かず、「自分がコードレッドを指令した」と叫んでしまう。
結果、ジェセップは逮捕され、ドーソンとダウニーは、サンティアゴの殺害に関しては無罪となる。しかし、二人は同時に、軍の規律を破ったという罪で除隊されてしまう。
憤るダウニーだったが、ドーソンは、自分たちは弱者を守らなければならなかったのだ、と軍の規律に背いたという罪を受け入れる。キャフィはそんなドーソンに深い敬意を表し、ドーソンとキャフィは、互いを認め合う敬礼を交わすのだった。

トム・クルーズの演技にはいつも魅せられる。法廷のシーンでも、毒殺と診断した医師の誤診を暴いたり、転籍の望みがかなったはずのサンティアゴが何の準備もせずに寝ていたことの矛盾を突くなど、迫力ある展開に引き込まれる。法廷ものの名作の一つと言えるだろう。

【5段階評価】4

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2012年3月29日 (木)

(712) 東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜

【監督】松岡錠司
【出演】オダギリジョー、樹木希林、松たか子、内田也哉子
【制作】2007年、日本

リリー・フランキー原作の同名小説の映画化作品。

筑豊の寂れた炭鉱町に住む少年、ボク(幼少時: 谷端奏人、青年時: オダギリジョー)は、自由奔放なオトン(小林薫)が家に不在がちなため、オカン(若い頃: 内田也哉子、老人: 樹木希林)に育てられる。高校で一人暮らしを始め、東京の芸術大学でもフラフラするが、オカンはガンに冒される。手術で快復したオカンに、主人公は相変わらず金を無心する日々だったが、ようやく一念発起して仕事をするようになり、生活基盤も安定したことから、母親を東京に呼び寄せる。
しばらくは楽しい生活が続くが、やがてオカンの病状は悪化し、ついに帰らぬ人となる。

オダギリジョーが、意識が混濁した母親のうわごとを聞いたとき、そして死後にオカンの手紙を読んで涙するシーンは、ベタながらぐっと来た。また、抗がん剤治療に苦しむ樹木希林の演技も壮絶で、見応えがある。
昭和の時代と東京タワーと言えば、「ALWAYS 三丁目の夕日」だが、本作はそれとはまた一風違った、静かな感動を与えてくれる。

【5段階評価】4

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2012年3月28日 (水)

(711) ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国

【監督】志水淳児
【出演】田中真弓(声)、大谷育江(声)、折笠愛(声)
【制作】2002年、日本

劇場版「ONE PIECE」シリーズ第3作。仲間になったばかりのトニー・トニー・チョッパー(大谷育江)が活躍する。

黄金の宝が眠るという珍獣島に行こうとするルフィ(田中真弓)たち。仲間になったばかりのチョッパーは怖がるが、海底噴火により船が飛ばされ、珍獣島にたどり着く。
島には、王だったキリンライアンの死後、新たな王が天から舞い降りるという伝説があり、島の少年、モバンビー(折笠愛)は、その話を疑うが、船から飛ばされたチョッパーが、珍獣島に住む動物たちの輪の中に転がり落ちたため、モバンビーはチョッパーが新たな王だとすっかり信じ込む。
島には、黄金の宝の力で強大な力を得ようとするバトラー伯爵(江原正士)が、ツノクイという動物を操って、島の動物の角を奪い取っていた。
バトラーは、キリンライアンの牙を食べて強大な力を得るが、チョッパーと合流したルフィは、動物たちの絆の力をあざけり笑うバトラーに激怒し、変身したバトラーの角を握りつぶして彼の力を無力化し、ゴムゴムのバズーカでバトラーを吹っ飛ばす。

1時間弱の短い作品だが、チョッパーやモバンビー、ルフィが仲間のために奮い立つシーンが熱く描かれ、けっこう感動的でよかった。
ツノクイの集団は、「風の谷のナウシカ」の王蟲の群れのパロディ。まあ、笑うとこなんだろうけど、ちょっと安易な印象も受けた。

【5段階評価】4

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2012年3月24日 (土)

(710) プリティ・ブライド

【監督】ゲイリー・マーシャル
【出演】リチャード・ギア、ジュリア・ロバーツ
【制作】1999年、アメリカ

プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル監督が、ジュリア・ロバーツ、リチャード・ギアを再びキャストにしたラブ・ストーリー。

金物屋に勤めるマギー(ジュリア・ロバーツ)は、これまでに3度、自分の結婚式の場で、突如、式場から逃げ出すということを繰り返していた。ネタに困っていた新聞コラムニストのアイク(リチャード・ギア)は、バーにいた男からこの話を聞き、彼女に接近する。
マギーはアメフトのコーチのボブとの結婚を決めていたが、アイクがマギーを取材しているうちに、二人は次第に相手を意識するようになる。
そしてボブが結婚式のリハーサルをしようとしたとき、ひょんなことから新郎役をしたアイクは、マギーと熱烈なキスを交わし、互いに愛し合っていることを自覚。ボブはアイクを殴ってその場を立ち去る。こうしてボブとマギーの結婚式が行われるはずだった教会は、急遽、アイクとマギーの挙式の場となる。しかしまたしても当日、マギーは結婚式の場から逃げ出してしまう。
彼女は、相手が自分のことを本当に理解してくれているのか、不安になるあまり、結婚式の場から逃げ出してしまっていたのだった。アイクが自分をすべて理解してくれていることに気づいたマギーは、草原でようやくアイクとの挙式を終えることができたのだった。

邦題をみると、「プリティ・ウーマン」の続編のようだが、設定には全くつながりはない。原題は「Runaway Bride」、つまり「逃走する花嫁」であり、その名の通り、結婚式の段になって、突如、晴れの舞台から逃げ去る女性が主人公である。
そして残念ながら、このマギーの奇行については、あまり納得のいく説明もなく、なんだかよくわからないけど、主役の二人は結局はめでたく結ばれるという、たいしたどんでん返しも感動もない作品。ほとんど感情移入もできなかった。ジュリア・ロバーツの表情豊かな演技がなければ、余裕で評価1になった気がする。

【5段階評価】2

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2012年3月23日 (金)

(709) 舞妓Haaaan!!!

【監督】水田信生
【出演】阿部サダヲ、柴咲コウ、小出早織、堤真一
【制作】2007年、日本

舞妓にハマった青年を描いたコメディ。

高校生時代に修学旅行で迷子になった鬼塚公彦(阿部サダヲ)は、舞妓さんに助けてもらったことから舞妓にハマり、インスタントラーメンを製造する食品会社に就職後も、舞妓のウェブサイトを立ち上げては、舞妓の追っかけを続けていた。
そんなときに京都転勤が決まった彼は、舞妓遊びができるようになると喜び、つきあっていた大沢富士子(柴咲コウ)と別れるが、一見さんお断りの御茶屋には入れてもらうことができない。社長に泣きついた鬼塚は、社長から、会社を儲けさせれば連れて行ってやると言われる。
彼は具を別売りにする「あんさんのラーメン」の企画をヒットさせ、念願かなって初の御茶屋デビューを飾る。しかしそこには、彼のサイトを荒らしていたプロ野球のスター、内藤(堤真一)がいて、彼を挑発。異常なライバル心を燃やす鬼塚は会社で社会人野球のチームを立ち上げると選手として大活躍。内藤に並んだかと思った矢先、内藤は野球選手を引退して銀幕デビューを飾ってしまう。鬼塚も負けじと映画制作に乗り出すが、内藤は次々と職を変え、ついには市長になってしまう。駒子(小出早織)の旦那になることも決めた鬼塚だったが、市長選で内藤に敗れたのを機に、東京に戻ろうとする。
一方、鬼塚のことが忘れられず、鬼塚に内緒で舞妓への道を歩み始めた富士子は、舞妓の駒富士として鬼塚の相手をするが、彼が未練たらしく富士子のことを話したことに怒り、鬼塚に別れの電話を富士子に入れさせる。そのとたん、駒富士の携帯が鳴り響き、鬼塚はすべてを理解する。鬼塚は改めて駒子の旦那となる意志を固め、内藤に駒子に着物を送り、どちらの着物を駒子が選ぶかで勝負しようと宣言。
内藤は駒子の兄ということになっていたが、実は駒子の父親。ついに彼は駒子にそのことを告白。ショックを受ける駒子だったが、最終的には父親を受け入れ、彼女は父親の着物を選ぶ。鬼塚の着物は駒富士が着て、大団円となる。

ミュージカル仕立てのシーンもあり、典型的なドタバタコメディ。ただ、カップ麺が大ヒットするぐらいはいいとしても、社会人野球で活躍したり、映画だ格闘技だ市長選だ、と、さすがに展開の風呂敷が広がりすぎて、逆に少々冷めてしまった。この手の映画にこれまた付きものの、家族愛や真実の愛などでホロリとするシーンも、あまりインパクトはなく、まあ、阿部サダヲの演技はすごいな、と思うものの、それほどおもしろいとは正直思えない作品だった。

【5段階評価】2

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2012年3月22日 (木)

(708) ドクター・ドリトル2

【監督】スティーブ・カー
【出演】エディ・マーフィ、レイブン・シモーネ、クリステン・ウィルソン、ケビン・ポラック
【制作】2001年、アメリカ

ドクター・ドリトル」の続編。

ドクター・ドリトル(エディ・マーフィ)は、動物と会話ができる医者。娘のシャリーズ(レイブン・シモーネ)はお年頃で、ピザ配達人の若者とつきあい始めるが、ドリトルは娘のパーティに介入し、娘のひんしゅくを買ってしまう。ドリトルはヨーロッパ旅行で娘の歓心を買おうとする。そんなとき、ドリトルはビーバーから相談を受ける。森林破壊により、住むところが失われつつあるというのだ。
森には1頭のクマがいたが、1頭だけではどのみち絶滅するので、開発を止める理由にならない、というのが開発側の言い分。森を見たドリトルは、家族旅行の行き先を森のキャンプ地に変更。サーカスで曲芸をしているオスのクマを野生に戻すことでつがいにしようと考え、妻のサラ(クリスティン・ウィルソン)の協力を得て、裁判に訴える。裁判長は、1ヶ月以内にクマをつがいにできれば、開発を停止すると告げる。
しかし、人間界での暮らしになれてしまったサーカス熊のアーチーは、エサの確保すらままならない。ドリトルはクマの特訓を開始。アーチーは次第に、野生のメスグマ、エバを好きになっていく。
ライバルグマをはねのけ、エバの愛を手に入れたアーチーだったが、開発側の策略により麻酔銃で撃たれ、町の食料品店を襲ったことにされてしまう。
ドリトルは森で動物たちに熱い口調で語りかけ、動物たちのストライキが始まる。乳牛は乳を出さず、鶏は卵を経営者に投げつける。競馬場では馬が走らず、水族館のシャチはショーを拒否。そして開発者のポッター(ジェフリー・ジョーンズ)と弁護士のライリー(ケビン・ポラック)は動物の襲撃を受ける。彼らはやむなく動物との和解の席に着き、開発を諦めることになる。
娘のシャリーズも動物の言葉を理解できるようになったことを悩んでいたが、ドリトルと打ち解け、動物に理解を示すようになるのだった。

家族愛やクマどうしの愛を心地よく描き、ハッピーエンドで楽しめる作品。けっこう下ネタも入っているので、子供と安心して楽しめる、というわけにもいかないのが、若干中途半端な気もするが、大人にとってはそのほうがおもしろいのは間違いないだろう。
動物の映像も、どこまでが本物でどこからがCGなのか、ほとんど分からない自然なできばえ。ところどころに映画のパロディが入っているのも楽しい。アーノルド・シュワルツェネッガーの声で「アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー」と言うオオカミの台詞もある。

ところで、日本では「ドリトル先生」として有名なこの名前。英語では「Dolittle」で、発音は「ドゥ・リトル」と聞こえる。dolittleは英語で怠惰な、という意味なので、ドリトル先生というのは、実は怠け者の先生という意味だったのだった。

【5段階評価】3

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2012年3月20日 (火)

(707) ドクター・ドリトル

【監督】ベティ・トーマス
【出演】エディ・マーフィ、クリスティ・ウィルソン
【制作】1998年、アメリカ

動物と会話ができるお医者さん、ドリトル先生の活躍を描いた作品。

ドリトル先生(エディ・マーフィ)は子供の頃に父親に封印された、動物と会話ができる能力が復活。一時は精神病院に入れられるが、病気にあえぐサーカスのトラの手術に成功。ドリトル博士の話を信用しきれなかった妻のリサ(クリスティ・ウィルソン)も手術に立ち会い、手術の成功を通じて家族との絆が取り戻される。

原作は子供向けのお話だが、CGを使って医者と動物がコミカルな会話を繰り広げるコメディになっている。
動物はとことんリアルで、本当の動物と見分けがつかない。CGの動物が登場する作品としては、「ジュマンジ」や「ナルニア国物語」など、数多いが、それらの動物が、多少、フィクションぽい造形を残しているのに比べると、本作の動物はとことんリアルさを追及している。
しかし、どちらかというと、CG技術の発達によって、ドリトル先生のお話も簡単に映像化できるようになりましたよ、というのが伝えたかったことなのかな、という印象で、ストーリーとしてはあまり魅力がなく、CG当たり前の今となっては退屈な映画にすぎない、というのが悲しいところ。

【5段階評価】2

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2012年3月19日 (月)

(706) 踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!

【監督】本広克行
【出演】織田裕二、小泉今日子、小栗旬、伊藤淳史、深津絵里
【制作】2010年、日本

踊る大捜査線」シリーズ第3作。シリーズが続くにつれてつまらなくなっていくという、連作ものの典型的な展開を見せており、凋落ぶりが痛々しい作品。

湾岸署の引越の際、拳銃が引越業者のアルバイトに盗まれる。この雑なプロットがすごいが、この展開にもかかわらず実名で登場する日通もすごい。
それはいいとして、この拳銃を使った殺人事件が起き始める。犯人はMMORPGで知り合った若者達だった。これまた、当時流行の社会現象に関わる人を犯罪者集団に仕立てるという、これまで通りの設定。犯行グループは、青島(織田裕二)がこれまで逮捕した犯罪者の釈放を要求。その中には、第1作で登場した日向真奈美(小泉今日子)が含まれていた。
犯行グループは、伝説的犯罪者、日向真奈美に傾倒しており、彼女に半ば操られていた、というのが事件の真相。青島(織田裕二)は旧湾岸署に仕掛けられた時限爆弾によって死のうとする日向を助け出すと、改めて彼女を逮捕する。

映画の中では、本店と所轄をとりもつ鳥飼(小栗旬)が登場し、暴走を始めたり、青島が余命幾ばくもないと誤診されたり、湾岸署がジャックされて署員が閉じ込められたり、といったプロットもあるのだが、あまり本筋とからまない。
犯行グループがネトゲ廃人という設定も、前作のリストラ社員のように、世の中に虐げられた弱者が復讐に走るというような、社会の不条理に気付かされる設定ではなく、ただネット上で人が集まるきっかけとして用いているだけで、ネトゲ廃人という社会の病巣をえぐるような描写がないので、観る者として共鳴するところがない。
結局、日向真奈美をはじめとする過去の個性的キャラを再登場させることが、本作の唯一の売りになってしまっているが、何年も前の作品のキャラを再登場させても、観ている側がそんな都合よく記憶している訳もでもなく、内輪受けに堕した印象がぬぐえなかった。

【5段階評価】2

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2012年3月18日 (日)

(705) 踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを閉鎖せよ!

【監督】本広克行
【出演】織田裕二、深津絵里、柳葉敏郎、真矢みき
【制作】2003年、日本

踊る大捜査線」シリーズ第2作。

本作では、湾岸署で発生した連続殺人事件の捜査に、本庁から女性管理官、沖田(真矢みき)が乗り込み、室井慎次(柳葉敏郎)とは全く異なる所轄の人間性を無視した強引な捜査を展開。湾岸署の青島(織田裕二)らと激しく対立する。
犯行グループは、捜査に当たっていた柏木雪乃(水野美紀)を拉致。それを追った恩田すみれ(深津絵里)は犯人に肩を撃たれてしまう。
それでも沖田は、恩田を捜査のコマとしか考えず、「使えなくなったんなら補充しろ」と言い放ち、さすがの本庁職員すら凍り付かせる。さらに、お台場にいる犯人を逃がさないよう、お台場と外とをつなぐ全ての交通網を遮断するという強引な作戦を指示。ついに沖田は本庁から帰還命令を下される。代わりに捜査の指揮を執ることになったのは室井だった。室井は現場の捜査に当たっている者に、自分の意思で動け、本庁の指示を待つ必要はないと告げ、全員を奮い立たせる。
青島はレインボーブリッジに向かうが、行政的な手続きが煩雑なため、橋の封鎖はできておらず、犯行グループは車で悠々と逃走しようとする。青島はそれを追いかけ、そこに自らの意思でやってきたSATのメンバーが全員を逮捕する。

本作の犯人は、リストラされたサラリーマンがネット上で集まって形成した集団であり、いわば劇場型、愉快犯的な犯行だった。「踊る大捜査線」シリーズは、固有の犯人と警察官を戦わせるのではなく、犯人は、無個性的な集団による、いわば社会現象であるとして、人間ドラマについては警察組織内のほうで重点的に描くという傾向がある。本作は前作に比べると、犯人と警察官との戦いについて魅力的な描写が乏しく、サスペンスとしては、謎解きのスリルが物足りなかった。

【5段階評価】3

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2012年3月17日 (土)

(704) 踊る大捜査線 THE MOVIE

【監督】本広克行
【出演】織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、いかりや長介、小泉今日子
【制作】1998年、日本

テレビドラマ、「踊る大捜査線」の劇場版。「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ! 」の台詞が有名になった作品。

湾岸署の管内で、胃の中からぬいぐるみが見つかるという死体遺棄事件が発生。さらに署内で窃盗事件も起きる。湾岸署の刑事、青島(織田裕二)らは捜査に当たろうとするが、そんな中、本庁の室井(柳葉敏郎)らが湾岸署に入り込み、捜査本部を設置し、湾岸署を無視して捜査を始める。湾岸署管内に住む警視庁の副総監が誘拐されたためだった。本庁は所轄署のメンバーを使わずに捜査を進め、青島は憤る。
殺人事件の方は、日向真奈美(小泉今日子)という猟奇的な女性が犯人として逮捕される。青島は犯罪者の洞察に長けた日向の知恵を借り、副総監の誘拐犯が、未成年の少年達であることを突き止める。しかし、青島は少年の母親に包丁で刺されてしまう。
現場に駆けつけた室井は青島を車に乗せ、病院に急ぐが、青島は恩田(深津絵里)に膝枕されたまま、力尽きる。恩田と室井は青島が死んだのかとショックを受けるが、彼は寝不足で寝ていただけだった。

警察官を、拳銃や捜査権に象徴される特殊な存在として扱うのではなく、組織の中でもがくサラリーマン的な側面に焦点を当て、所轄(各警察署)と本店(警察庁、警視庁)との対立の構図を描いている点が独特である。警察組織間の思惑のズレという主題は、本作のスピン・オフ作品である「容疑者 室井慎次」などでも取り上げられている。
副総監の誘拐が小泉今日子演じる日向真奈美の仕業かと思いきや、意外な展開を見せていく点はなかなか面白かった。ピョロロパンポンパンポンパンポン、ジャン、ジャンジャンジャジャン(テケテケテケテケテケテケテケ)、というテーマ曲もキレがあって、作品を盛り上げている。残念ながら、この曲、パクリらしいけれど。

【5段階評価】4

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2012年3月16日 (金)

(703) プライベート・ライアン

【監督】スティーブン・スピルバーグ
【出演】トム・ハンクス、マット・デイモン、トム・サイズモア、バリー・ペッパー
【制作】1998年、アメリカ

ノルマンディー上陸作戦の直後、一人の兵士を戦地から救出する作戦に挑む米兵達を描いた作品。戦闘の生々しく苛烈な迫力、戦争の恐怖の中に、強い反戦メッセージが込められている傑作。

オープニングでは、アメリカの墓地を訪ねる老人とその家族が登場。老人が回想する形で、ノルマンディー上陸作戦の舞台、オマハ・ビーチに場面が転換する。
乗り心地のことなど全く考慮されていない無骨な輸送船に、大量の歩兵が乗り込んでいる。震えの止まらない手で水筒の水を飲み、作戦に思いをはせるジョン・ミラー大尉(トム・ハンクス)の横には、船酔いに耐えきれず嘔吐する者が続出する中、平然とした表情で口の中のガムに手をやるホーバース軍曹(トム・サイズモア)がいる。
オマハ・ビーチに近づき、輸送船のハッチが開くと、その瞬間、敵の機銃掃射を浴び、全くなすすべなく兵士が倒れていく。パツッ、パツッ、という着弾音が生々しく、血しぶきではなく肉片が飛び散り、カメラのレンズに付着する。海岸上では、やむことのないドイツ軍の機銃と爆弾にさらされ、腕や足がもげたり、内蔵の飛び出した兵士がそこかしこにおり、上陸作戦の無謀ぶりがうかがえる。そんな中、ミラー大尉は、兵士達をまとめあげて敵のトーチカを落とし、作戦を成功に導く。
その頃、本土では、とある4人兄弟のうち、3人が一度に戦死したという情報が幹部に伝えられる。幹部はリンカーン大統領の書簡を引き合いに出し、一人だけ生き残ったジェームズ・ライアンを戦地から呼び戻すことを決める。
ミラー大尉は、この作戦を任されることになり、ホーバースをはじめ、敬虔なスナイパーのジャクソン(バリー・ペッパー)、通訳係のアパム(ジェレミー・デイビス)ら7人を連れ、ライアンを探すという、あてのない危険な任務に出る。
行軍の過程で、ミラーは、遭遇した敵の手により、一人、また一人と隊員を失っていく。生き残った者の中には、任務の理不尽さに対する怒りと、自分たちの苦労を知らずに一人だけ戦地から救出される僥倖を約束されているジェームズ・ライアンに対する恨みを募らせていく者もいた。
航空隊からの情報収集などを経て、彼らはついに、敵地に取り残され、少ない弾薬で抵抗を続ける少数部隊で奮闘するライアン(マット・デイモン)を発見する。
ライアンは、ミラーから3人の兄弟の死を知らされるが、自分だけ戦地を去ることなどできないと言って、仲間とともに戦地に残ることを主張する。ミラーは彼らが対峙しているドイツ軍の掃討作戦に荷担することを決める。
敵をおびき寄せるまでのつかの間の弛緩した空気の中、ミラーとライアンは思い出話に花を咲かせ、心を通わせる。まもなく、戦車を筆頭にドイツ軍が現れ、橋頭堡での死闘が始まる。
軍事教本に忠実に従って作り出した「くっつき爆弾」を使って、ミラーたちは戦車を無力化させることに成功するが、ドイツ軍の兵器は強力で、戦車に群がる米兵が、機銃により一瞬で肉塊と化す。さらに敵の援軍が加わり、ミラー達は橋の反対側への撤退を余儀なくされる。
なんとか橋を爆破し、彼らの進軍を止めようとするミラーだったが、そのミラーの胸を銃弾で貫いたのは、ミラーが行軍中の戦闘でとらえて命を助けたドイツ兵だった。そのドイツ兵は、最初に出会った連合軍に降伏せよ、というミラーの命令を無視して、ドイツ軍側に復帰していた。それを見た非力な通訳係のアパムは、ついに銃の引き金に手を掛け、初めて敵兵を射殺する。
息も絶えだえになったミラーは、もうろうとする意識の中、敵軍の戦車に拳銃を放つ。全く無意味な抵抗のはずだったが、突如、彼の発砲とともに戦車が炎上する。それは彼の拳銃によるものではなく、連合空軍の爆撃によるものだった。ついに援軍が到着したのだ。しかし、ミラーはライアンに見守られながら息を引き取る。彼の手の震えが、ようやく止まる瞬間だった。

その後の戦争映画にも影響を及ぼす大作。見どころが多すぎて、また、書きたいことが多すぎて困ってしまうほどであるが、ここでは2つ書きたい。

観客は、最初に登場した老人は誰なのか、つまりこの8人の中で誰が生き残り、この物語の語り部となっているのかを、気にしながら作品を観ることになる。この演出が、3時間に及ぶ本作に、観客の興味を引き寄せ続けることに一役買っている。途中段階では、奇跡的に生き残るアパムが、最初に登場した老人かと思わせたりもしていて、心憎い。

また、最後にミラーがライアンに告げる、「earn this」という日本語にしがたい台詞も印象に残る。「ムダにするな」とか「糧にしろ」とか訳されているが、どうこの一連のできごとを自らの血肉にするのかはお前に任せたぞ、という、本職が教師だったミラーらしい、愛情のこもった言葉なのである。ライアンはこの言葉を胸に、幸せな家族を築くが、それでもなお、ミラーの教えに従うことができたのか、迷い続けていたのだ、ということが、後半の独白で示される。この辺りも観る者に深い感銘を与えている。

【5段階評価】5

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2012年3月15日 (木)

(702) ラッシュアワー

【監督】ブレット・ラトナー
【出演】ジャッキー・チェン、クリス・タッカー
【制作】1998年、アメリカ

ジャッキー・チェンとクリス・タッカーが香港とロスの刑事として共演したアクションコメディ。

ロスの中国総領事、ハン(ツィ・マー)の娘、スー・ヤン(ジュリア・スー)が誘拐される。ハンは、香港で活躍する敏腕刑事、リー(ジャッキー・チェン)を呼ぶが、FBIは縄張りの侵害をいやがり、ロス市警で問題ばかりを起こしている刑事、カーター(クリス・タッカー)をリーにあてがい、捜査の邪魔をされないようにしようとする。
しかしリーとカーターは事件に首を突っ込む。犯行の首謀者の名前がジュンタオであることを突き止めた二人は、根城となっている中華料理店に踏み込むが、そこは犯人が身代金の受け渡し現場に指定したところであり、犯人一味を取り逃がしてしまった二人は、結果的に身代金の受け渡しを妨害してしまう。実行犯のサン(ケン・レオン)は次の身代金の受け渡し場所として、中国博覧会の会場を指定する。
捜査の邪魔をし、スー・ヤンを危険に追い込んだことを反省したリーは、おとなしく自国に帰ろうとするが、そこにカーターが登場。二人で再び中国博覧会会場に潜入する。
そこには、ハンの知人、トーマス・グリフィン(トム・ウィルキンソン)がいたが、彼こそがジュンタオだった。彼は中国の希少な歴史的遺物を収集していたが、それを政府に奪われたことを恨み、それを取り返そうと今回の犯行に及んでいたのだった。
しかし、リーとカーターの活躍により、スー・ヤンは保護され、屋上からヘリで逃げようとしていたジュンタオは、リーの追撃によってホールの天井から落下し、命を落とす。リーも落下するが、カーターがとっさに天井からつるされた垂れ幕を使ってリーの命を救う。

口ばっかりの黒人刑事とまじめな警官とのコンビの活躍という、異色ではあるが、ある意味では王道のバディもの。コメディ色が強いものの、シリアスなサスペンス性もそこそこあり、楽しめる作品だった。もっともジャッキー・チェンは、あまりこのシリーズを気に入ってはいないらしい。

【5段階評価】4

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2012年3月14日 (水)

(701) ミッション:インポッシブル

【監督】ブライアン・デ・パルマ
【出演】トム・クルーズ、ジョン・ボイト、ジャン・レノ
【制作】1996年、アメリカ

往年のテレビ作品、「スパイ大作戦」の映画化。トム・クルーズやジョン・ボイト、ジャン・レノなど、豪華な名優による大作である。

変装を得意とするスパイ、イーサン(トム・クルーズ)は、秘密機関IMFのリーダー、ジム・フェルプス(ジョン・ボイト)とともに、組織に所属するスパイの名簿であるノック・リストを奪おうとするゴリツィンの犯行現場を押さえる作戦に参加する。
しかし、作戦は敵に筒抜けになっており、仲間達は次々と殺されていく。何とか逃げ出したイーサンだったが、IMFのキトリッジ(ヘンリー・ツァーニー)に、唯一生き残ったイーサンが、敵側に通じる内通者だと決めつけられたため、ガム状の爆弾を使ってその場から逃走する。
イーサンは、事件の鍵を握るヨブになりすまして、武器証人のマックス(バネッサ・レッドグレーブ)に会い、ノックリストの取り引きを約束。最初の作戦で生き残ったクレア(エマニュエル・ベアール)とともに、クレーガー(ジャン・レノ)とルーサー(ビング・レイムス)を新たな仲間として、CIA本部に潜入。厳重なセキュリティの施された情報ルームに天井のダクトから忍び込んだイーサンは、見事にノック・リストのダウンロードに成功。
ロンドンに潜入したイーサンのもとに、死んだと思われたジムが現れ、黒幕はキトリッジだと告げる。しかし、事件の首謀者はジムだった。ジムはクレアやクレーガーと共謀し、リストをマックスに売り渡そうとしていたのだ。
マックスとの取引現場として選んだTGVの中で、ジムになりすまたイーサンは、クレアがジムと共謀していることをあばく。そこに現れたジムはイーサンから金を奪うと、クレアを殺害し、クレーガーの操縦するヘリコプターで逃走しようとするが、イーサンはジムをヘリごと爆破する。

ジムが黒幕はキトリッジだと告げ、それをイーサンがじっと聞くシーンでは、間に挟まる回想が、実はジムが死んだふりをしており、クレーガーがゴリツィンらを殺害しているというシーンになっており、これがそのまま、イーサンがジムに疑いの目を向けたことを暗示している。このシーンでは、クレアを信じたいイーサンが、仲間の一人、ハンナ(インゲボルガ・ダプクナイテ)を殺したのがクレアなのかジムなのか迷っていることも暗示されており、TGVでイーサンがジムに変装してクレアの反応を伺うシーンにつながっている。

続編の「M:I-2」は残念なできばえだったが、本作と「M:i:III」は、トム・クルーズが魅力的なスタッフとともに作り上げた傑作だと言える。

【5段階評価】5

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2012年3月13日 (火)

(700) レイダース 失われた聖櫃

【監督】スティーブン・スピルバーグ
【出演】ハリソン・フォード、カレン・アレン、ポール・フリーマン
【制作】1981年、アメリカ

トレジャー・ハンター、インディアナ・ジョーンズの活躍を描いたアクション・アドベンチャー。

序盤のトレジャー・ハンティングからスリル満点。背中にたかるタランチュラや、光に手をかざすと飛び出す槍、足下のスイッチで起動する矢。これらをインディアナ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)は巧みにかわし、お宝を手に入れる。うまくいったと思った瞬間、別の罠が機動。転がってくる球状の巨大な岩石に追われるシーンも非常に印象的。逃げおおせたと思いきや、ライバルのベロック(ポール・フリーマン)にお宝を奪われてしまう。この辺り、盛り上げつつ主人公やライバルのキャラクターをうまく説明していて、非常に巧み。
アメリカに戻り、教鞭を取っている彼のもとに、ブロディ(デンホルム・エリオット)が訪れ、ナチスドイツに先駆けて、強大な力を持つアーク(聖櫃)を手に入れてほしいというアメリカ政府の依頼を告げる。
インディは、発掘の鍵となる杖飾りのメダルを持つ、かつての恋人、マリオン(カレン・アレン)を訪ね、ネパールへ飛ぶ。そこにナチスドイツ側の男、アーノルド・エルンスト・トート(ロナルド・レイシー)が登場。彼は火にあぶられたメダルに手を伸ばし、手のひらに大やけどを負う。インディはメダルを持つマリオンとともにエジプトに向かう。
友人のサラー(ジョン・リス=デイビス)とともに、ナチスドイツに先駆けてメダルの謎を解いたインディは、石室の中の大量のヘビを蹴散らし、見事にアークの発掘に成功。しかし、すんでのところでナチスドイツ側に気づかれ、またもベロックにお宝を奪われてしまう。
インディは、マリオンとともに閉じ込められた石室から脱出。激しいカーチェイスの末、アークを奪い返すインディだったが、それをイギリスに運ぼうとする船旅で、ふたたびナチス側にアークを奪い取られる。
インディはドイツ軍の潜水艦に乗り移り、アークを運ぶナチス軍の隊列の前に登場。マリオンを渡さなければアークをロケットランチャーで破壊すると脅すが、ベロックはインディの性格を見抜き、「中身を見たいはずだ。撃てるか。」と開き直る。インディはためらい、結局、捉えられてしまう。
ナチスドイツ軍はついにアークの中身を暴くが、中には砂が入っているだけだった。失望するベロックだったが、突如、白い霊が宙を飛び交い、ドイツ軍は謎の力の前に全滅してしまう。将校の顔はやせこけ、トートの顔は溶け、ベロックの顔は木っ端みじんに飛び散る。CGを使えない時代のこの特撮もみごと。
目を閉じ続けることで、死から逃れたインディとマリオンは、アークをふたたび奪い返すが、結局アメリカ政府は、それをただ、巨大な倉庫のなかにしまい込むだけ、というオチで映画は終わる。

インディの敵となる相手が、飛行機のプロペラに巻き込まれたり、ジープにひかれたり、というむごい死に方をするのだが、それを血しぶきだけとか、けいれんするように上に伸びる手足で表現する辺りは、007とも通じる部分がある。
エジプトでインディが追われるシーンでは、ハリソン・フォードが高熱だったため、曲刀を振り回す相手を、ムチを使わず拳銃一発で片づけてしまうことにしたというエピソードは有名。こんなハプニングも、次作ではパロディにしてしまう(剣を振り回す二人組に銃を突きつけようとするが、銃がないことに気づいて苦笑いするシーンがある)あたりも、シリーズで見ていると楽しい。
インディ・ジョーンズ」でも書いたが、ハラハラドキドキという言葉がふさわしい不朽の名作と言えよう。

【5段階評価】5

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2012年3月12日 (月)

(699) ハート・ロッカー

【監督】キャスリン・ビグロー
【出演】ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー
【制作】2008年、アメリカ

前線で活躍する米軍の爆弾処理班に焦点を当てた作品。
大ヒット作、「アバター」とアカデミー作品賞を競い合ったことで有名な作品。監督が「アバター」の監督、ジェームズ・キャメロンと元夫婦ということでも話題となった。第82回アカデミー賞作品賞受賞作品。

明確なストーリー性は乏しく、爆弾処理班に次々と降りかかってくる事件が丹念に描かれる。
テロの爆破により殉職した爆弾処理班の新たなリーダーとして、ウィリアム・ジェームズ(ジェレミー・レナー)が着任する。彼は死を恐れないかのような無謀なやり方で爆弾処理を行い、サンボーン(アンソニー・マッキー)ら同僚を恐れさせる。
しかし彼は人一倍、人の死に敏感だった。リード大佐(デビッド・モース)に活躍を褒められ、秘訣を聞かれたときには、「生き残ることです」と意外な答えをし、キャンプ地でDVDを売る現地の少年に似た、体に爆弾を埋め込まれた死体を発見されたときは、いてもたってもいられず、少年の生死を確かめようとしたりする。
やがて彼は兵役を終え、自国に戻って妻と息子との生活を再開するが、妻は彼の語る残酷な爆弾テロの話には無関心で、非常識と言えるほど大量にならぶ子供用のシリアル食品が陳列された飽食の暮らしに、彼は満たされぬものを感じ、再び緊迫した戦地に立つのだった。

ドキュメンタリー作品では逆に実現できないだろうというほどの圧倒的なリアリズムで描かれており、カメラワークなども見ていてほれぼれとする。敵の個性は描かれておらず、主人公達が戦うのは、底知れない象徴的な存在である。それゆえ、彼らの戦いが決して終わることはないという虚無感が強調され、観ている者に深い感銘を与えている。ただ、万人受けする映画ではないな、と感じた。

【5段階評価】3

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2012年3月11日 (日)

(698) マッドマックス

【監督】ジョージ・ミラー
【出演】メル・ギブソン、ジョアン・サミュエル、ヒュー・キース・バーン
【制作】1979年、オーストラリア

凶悪な暴走族がはびこる近未来を描いたバイオレンス・アクション。

MFPという警察組織に所属するマックス(メル・ギブソン)は、暴走族の一人、ナイトライダー(ビンス・ギル)を追跡。マックスに恐怖したナイトライダーは、暴走の末、死亡する。
暴走族の一味、ジョニー(ティム・バーンズ)の尋問をしていたマックスの同僚、グース(スティーブ・ビズレー)は、暴走族の恨みを買い、焼死させられる。
それを機にマックスは 警察組織の長、マカフィー(ロジャー・ウォード)に辞表を届けるが、彼はマックスに1ヶ月の休暇を取るよう告げる。
マックスは妻のジェシー(ジョアン・サミュエル)と幼い一人息子、スプロッグとともに旅行に出かけ、充実したときを過ごす。しかし、旅先でたまたまジェシーがマックスを置いてアイスクリームを買いに出たところを、暴走族の一味に見つけられる。一味のボス、トゥーカッター(ヒュー・キース・バーン)は、彼女にちょっかいを出すが、ジェシーは金的を蹴り上げて車に乗り込み、逃走。一味の一人がチェーンをひっかけようとするが失敗する。
マックスのところまで逃げ込んだジェシーは、急いでマックスを車に乗せてその場を立ち去る。ようやく車を止め、車を降りると、車にはチェーンがからみついたままになっており、その先には一味の一人のちぎれた腕がぶら下がっていた。一味の激しい復讐心に恐怖するマックスとジェシーだったが、逃走・潜伏のかいもなく彼らは居所を突き止られ、ジェシーと幼いスプロッグが暴走族どもにひき殺されてしまう。
絶望にうちひしがれたマックスは、仲間が改造したV8インターセプターに乗り込み、彼らへの報復に向かう。マックスは彼らの一味に銃で撃たれて足を負傷し、さらには手をバイクでひかれてしまうが、執念でショットガンを放ち、一人を射殺すると、車に乗り込んでトゥーカッターを追走。それにおびえたトゥーカッターは、正面から来たトレーラーに激突し、死亡する。
マックスは、最後に、生き残っていたジョニーを見つけ出し、彼の足首を横転した自動車に手錠でつなぐと、漏れ出ているガソリンのそばにライターを置き、「おまえに10分やろう。運がよければ5分で足を切り落とせる」と捨て台詞をはき、その場を立ち去る。車に乗り込み、その場を走り去る彼の背後で、大音響とともに爆発が起きるのだった。

本作の続編、「マッドマックス2」は、名作漫画「北斗の拳」に多大な影響を与えたことで有名だが、本作のエピソードも、北斗の拳に登場するジャッカルのエピソードに極めて似ている。最後の助かりたければ足を切り落とせ、というシーンは、ケンシロウがジャッカルに、助かりたければ得意の芝居で説得してみるんだな、と言いながら、火をつけたダイナマイトを置いて立ち去るという形で使われている。
低予算ながら、苛烈な復讐の炎と、世紀末の退廃した世界観とがマッチして、独特のヒーロー像が魅力的に描かれた名作である。

【5段階評価】4

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2012年3月10日 (土)

(697) お葬式

【監督】伊丹十三
【出演】山崎努、宮本信子、菅井きん、財津一郎
【制作】1984年、日本

伊丹十三の初監督作品。伝説的な名作、怪作である。

とある俳優夫妻が主人公。妻方の父親が急死し、葬儀をあげることになる。その顛末を描いているのだが、日本人にとって、なじみがあるようでないような、この不思議な儀式を、ときに厳かに、ときにおかしく描いていて、深い感銘を与える。

監督のサービス精神は、実はお笑いでいう「あるある」に発揮される。
いわく、正座で足がしびれたり、読経中に子供がじっとしていなかったり、人がまじめに話しているときに、複雑な構造のめがねをかちゃかちゃいじられると、ついついそっちに気がいったり。そういった「あるある」を丹念に描くことで、観客は、この作品に深く深く没入するのである。
正座している足のストッキングになんとなく埃がくっついて見苦しかったり、主人公の井上侘助(山崎努)の浮気相手(高瀬春奈)が素っ頓狂な声で身もだえると同時に、彼女の無防備な脇毛が垣間見えたり、こういったところを丁寧に、リアルに映像化しているところが、本作のすさまじい迫力に転化している。

この映画は2時間ちょっとあって、けっこう長いのだが、それを全く感じさせない。非常に密度が濃い。その後も伊丹十三氏は、監督として「マルサの女」や「タンポポ」、「ミンボーの女」など、独特な邦画を手がけているが、本作は処女作にして、彼の異才が遺憾なく発揮された名作だと言える。

【5段階評価】5

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2012年3月 9日 (金)

(696) Doki Doki ヴァージン もういちど I LOVE YOU

【監督】中原俊
【出演】中山忍、林泰文、小倉一郎
【制作】1980年、日本

中山美穂の妹、中山忍の第1回主演作品。映画というか、Vシネマなのかなこれは。
アイドル作品と呼ぶには、エロシーンが多めなので、子供にはお勧めできない。

主人公は、中山忍ではなく、林泰文演じる秀樹である。
彼は水泳部でライバルに勝ち、ガールフレンドとの約束で初SEXに挑もうとする矢先、交通事故で死んでしまう。
成仏しきれない秀樹は、霊界の管理人(小倉一郎)に頼んで現世に戻してもらう。しかし、取り憑く体がなく、真理という女の子に宿ることになる。
真理の親友、早智子(中山忍)は、秀樹のライバルだった女ったらしに恋をしてしまったため、真理に宿った秀樹は、それを阻止しようとし、次第に早智子に対する恋心が芽生えていく。
秀樹は早智子がライバルの男の毒牙から逃げるのを見届けると、真理の体から抜け出すと、早智子の記憶を失った状態で別の若者の体に取り憑き、早智子と運命の再会を果たすのだった。

タイトルの題字はしょぼいわ、映像は緩慢だわ、で、ほとんど素人ビデオ作品かと思うほど。途中で出てくる女子高生の目隠しプレイは、かなり衝撃的ではあるけれど、最大の驚きは、最後に出てくる若者が萩原聖人であることかもしれない。

【5段階評価】2

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2012年3月 8日 (木)

(695) スチームボーイ

【監督】大友克洋
【出演】鈴木杏(声)、小西真奈美(声)、中村嘉葎雄(声)
【制作】2004年、日本

高度な蒸気圧縮技術を巡る攻防を題材にしたSFアニメ。「ワイルド・ワイルド・ウェスト」や「天空の城ラピュタ」のようなスチームパンクものである。

科学者の祖父と父を持つ少年、レイ(鈴木杏)は、祖父のロイド(中村嘉葎雄)が送ってきたスチームボールを手にする。それは、高密度の蒸気を封じ込めた装置だった。レイの父、エドワード(津嘉山正種)は、科学の力を軍事力に応用することもいとわない思想の持ち主で、スチームボールを持って逃げたレイを捉え、自らの技術開発にスチームボールを使用する。
その考え方に反対するロイドは、レイを説得してスチームボールを再度奪い取らせる。
エドワードとロイドを雇っているオハラ財団は、蒸気の力を軍事産業に応用し、ロンドン博覧会に乗り込んできた警察と、開発した兵器とを戦わせる。レイはスチームボールを使った飛行装置を作り、スチーム城に乗り込み、取り残された財団の娘、スカーレット(小西真奈美)を救出する。

大友克洋監督作品だけあり、アニメの品質は非常に高い。しかしまあ、ギミックは面白いけれどもストーリーはなんとなく今ひとつで、興行的に失敗に終わったのも、何となく頷ける。やはりこの手の作品には、映像の迫力だけでなく、何か大きな謎を解き明かすというような魅力ある展開が必要なのだろう。故・児玉清氏が声優を務めているのは興味深かった。アタックチャーンス。

【5段階評価】3

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2012年3月 7日 (水)

(694) THE LAST MESSAGE 海猿

【監督】羽住英一郎
【出演】伊藤英明、三浦翔平、加藤あい、佐藤隆太、吹石一恵
【制作】2010年、日本

「海猿」シリーズ第三作。「LIMIT OF LOVE 海猿」の続編。

日露韓の共同開発による巨大天然ガスプラント、レガリアに悪天候で掘削船が衝突。事故対応のため、仙崎(伊藤英明)らは現地に向かう。
しかし、台風が接近し、彼は新米潜水士の服部(三浦翔平)とともに施設に取り残されてしまう。ほかに残されたのは、レガリア設計者の桜木(加藤雅也)、船医の西沢(吹石一恵)、作業員の木嶋(濱田岳)。
5人は施設内の食堂に集まるが、突如、掘削船のくみ上げた重油が彼らに降りかかってくる。仙崎は服部をバディとして、重油をくみ上げるバルブを止める。
一段落の間、彼らは互いに打ち解け合うが、今度は重油に火花が引火し、大火災が発生。桜木は爆発を食い止めるためには、レガリアを沈めるしかないと仙崎に告げる。
仙崎は服部とともに作戦を敢行。しかし、脱出の際、仙崎は脚を骨折してしまう。服部は仙崎の命令で3人のもとに戻り、掘削船に移動。台風が去ると同時に、吉岡(佐藤隆太)らが一斉に仙崎の救助に向かい、服部は無事、仙崎を確保する。

映像の迫力はかなりのもので、邦画によくあるちゃちさがほとんど感じられなかった。ストーリーはもちろん、最後はみんな助かるわけだが、この手の映画でよくある、仲間の一人が命をなげうってみんなを救ったり、みたいな盛り上げ方をせず、主人公達がしっかりと全員を助けるという展開のほうが、純粋に楽しめた気がする。
最初、人命救助よりレガリアの存続を優先させようとする桜木が悪役のように描かれるが、自分のことをただ一度、父親がほめてくれたのが、このレガリアの完成だったという話を披露し、みんなから「オタクだ」と言われ、「オタクじゃいけませんか」と言って打ち解け合うシーンが非常に心地よく胸に響いた。
最後に服部が仙崎を見つけた後も、もしかしてまた何か事故が起きるのかな、と思ったが、その後は大団円というのも、変に盛り上げすぎず、好感が持てた。海猿シリーズは前作も含め、意外と面白い。

【5段階評価】5

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2012年3月 6日 (火)

(693) 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌

【監督】山本秦一郎
【出演】高山みなみ(声)、堀川りょう(声)、古谷徹(声)
【制作】2006年、日本

「名探偵コナン」劇場版シリーズ第10作。

コナン(高山みなみ)は、小五郎(神谷明)への調査の依頼主から、仲間とともに、東京ディズニーランド風のテーマパーク、「ミラクルランド」に招待される。彼らは腕にミラクルランドがフリーパスとなる腕時計型の機具を取り付けられる。しかし、それにはプラスチック爆弾が仕込まれていた。依頼主は小五郎とコナン以外の人間を部屋から退出させたあと、二人に対して、とある事件の謎を12時間以内に解決せよ、と告げる。
依頼主の出すヒントをもとに、二人は事件の核心に迫っていく。その過程で、コナンは、自分以外にも調査に投入されている探偵がいることを知る。コナンは、友人の服部平次(堀川りょう)らと協力しながら、事件の謎を解く。
事件とは、横浜海洋大学犯罪研究会の3人が起こした強盗事件に関するものだった。3人の1人、西尾は何者かにライフルで暗殺され、清水麗子(平野文)は投身自殺、伊東末彦(古谷徹)は失踪していた。
調査の依頼主は実は伊東だった。彼は、失踪中、自動車に細工をされ、事故で失明しており、その犯人を捜していたのだ。
コナンは、西尾の暗殺が清水によるもので、伊東の自動車事故も清水が仕組んだものであると推理する。その推理を伊東に告げているところに清水が現れ、拳銃で伊東、コナン、平次の3人を殺そうとするが、コナンは秘密兵器のサッカーボールで清水を倒す。

登場人物が数多く登場し、楽しい。ただ、仲間に爆弾がしかけられたり、依頼主がヒントを小出しにするといった展開は、映画としてのストーリーを盛り上げるため小道具にすぎず、必然性が感じられないのが残念だった。

【5段階評価】3

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2012年3月 5日 (月)

(692) 羅生門

【監督】黒澤明
【出演】三船敏郎、京マチ子、森雅之
【制作】1950年、日本

芥川龍之介の小説の映画化作品。ただし、小説の羅生門は、この映画のストーリーとは異なる(死体の髪を売るために抜く老婆と、それを見つけた男の話)。

とある夫婦と盗賊が話の中心である。盗賊の多嚢丸(たじょうまる)(三船敏郎)が、女を我が者にしようと二人の後を追う。多嚢丸は男(森雅之)をだまして縛り付けると、女(京マチ子)を夫のところへ連れて行き、女を強姦する。女は多嚢丸に、夫と決闘をして、勝った方について行くと告げる。多嚢丸は男の縄を解き、決闘の結果、男を倒すが、女は逃げてしまった、と検非違使の裁きの場で証言する。
しかし、そこに登場した女は、全く違う証言をする。多嚢丸は自分を手込めにした後いなくなり、自分は夫を助けようとするが、夫のさげすむような視線に耐えられず、夫に自分を殺してくれ、と告げる。しかしその後、気を失い、気がつくと短剣が夫の胸に刺さっていたのだと言う。
巫女が呼ばれ、今度は殺された男の霊が証言をする。驚いたことに、女は強姦された多嚢丸に情が移り、夫を殺してくれ、と多嚢丸に告げたのだという。ところが多嚢丸は女の非情さにあきれ、男に対して、この女を殺そうか、と告げ、結局二人ともいなくなる。生きる気力を失った男は、短刀で自害したのだという。
しかし、真相はこうであった。多嚢丸は女を強姦した後、強盗は足を洗うから一緒になって欲しい、と女に懇願。女は夫の縄を解き、それを決闘の合図と多嚢丸は考えるが、夫の方は女を「二人の男の前で恥ずかしいさまを見せて、なぜ自害しない」と責め、「こんな売女はくれてやる」と多嚢丸に言い放つ。すると多嚢丸も、急速に女への熱が冷め、その場を立ち去ろうとしてしまう。立場のなくなった女は、夫ならなぜ多嚢丸を殺そうとしない、と男を責め、多嚢丸に対しても、更正するから一緒になってくれと言った多嚢丸の女々しさをあざける。
あおられた男二人は決闘をはじめるが、二人の決闘はへっぴり腰で見られたものではなく、最終的には多嚢丸が自分の剣をおそるおそる男に投げつけただけであった。
これらの話は、杣(そま)売りの男(志村喬)によって語られる。この話を聞いていた下人(上田吉二郎)は、捨てられた赤子の服を剥いで持ち去っていく。杣売りは下人をなじるが、おまえも女の持っていた高価な短剣をくすねただろう、と言い返し、走り去っていく。
その場にいた僧は、非情なる人間の本性を目の当たりにして世をはかなむが、杣売りが赤子を自分が育てようと決心するのを見て、救われるのだった。

古い作品だが、話は鮮明でテンポもよく、引きつけられる。序盤、事件を語る杣売りが、藪の中を進むシーンがある。延々と続いて長いので、「2001年宇宙の旅」にもあったような、昔の映画にあるテンポの悪さなのか、と退屈しそうになるのだが、見終わってみると、この長さには意味があったのだと感じられる。延々と歩き続けることで、この杣売りが、日常の世界から、人間の卑小な自尊心が渦巻く狂った世界へと踏み込んでいく、ということが表現されているように思えるのだ。

【5段階評価】3

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2012年3月 4日 (日)

(691) 007 ドクター・ノオ

【監督】テレンス・ヤング
【出演】ショーン・コネリー、ウルスラ・アンドレス、ジョセフ・ワイズマン
【制作】1962年、イギリス

もっとも有名なスパイ映画、007シリーズの記念すべき第1作。

しかし、この作品を見る限り、よくこれが大ヒット作になったな、というぐらい、B級感の漂う作品になっている。

主人公のジェームズ・ボンドは、アメリカのミサイル実験を妨害しているドクター・ノオの野望を阻止するため、ジャマイカに渡る。
現地人は、ドクター・ノオのいる島には竜がいると言っておびえるが、ボンドは案内役を連れて島に上陸。そこには戦車の轍があるのだが、現地民は「ほら竜の足跡だ」。そして、火炎放射器をつけた戦車を見て、「ほら竜がいた」。いや、どうみても違うでしょうが。
しかも、緩慢な動きの戦車の炎で焼かれて死んでしまう。
そして、栄えある初代ボンド・ガールのハニー・ライダー(ウルスラ・アンドレス)は、全く作戦の役に立っておらず、敵に捕まってボンドが助けに向かうだけという、完全な足手まとい役。

敵のボス、強靱な握力を持ったドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)は、ボンドと格闘して、水中に落ち、手が鋼鉄製なもんだから、滑って這い上がれずに死んでしまう。金属製の重しをつぶす握力があるんだから、登ってこれるだろっていう。

なかなかの迷作で驚いた。

【5段階評価】3

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2012年3月 3日 (土)

(690) Shall we ダンス?

【監督】周防正行
【出演】役所広司、草刈民代、渡辺えり子、竹中直人、草村礼子
【制作】1996年、日本

社交ダンスに目覚めたサラリーマンと、彼を取り巻く人々を描いたコメディまじりの純愛作品。

サラリーマンの杉山正平(役所広司)は、通勤電車の中から見えた、ダンス教室の窓辺にたたずむ女性に一目惚れする。
マイホームも手に入れ、生活に不満はないはずが、どこか満たされないものを感じていた正平は、ダンス教室に足を踏み入れることになる。窓辺の女性、岸川舞(草刈民代)は社交ダンス界のエースと目された才能の持ち主だったが、国際的な競技大会での転倒事故後、相手の男性からコンビ解消を告げられ、父親からダンス教室の講師をするように言われていた。杉山の講師は、老婦人のたま子先生(草村礼子)が務めることになったため、舞と接触を持ちたかった杉山は、教室の外で待ち伏せ、出てきた舞を食事に誘うが、舞は、私目当てに教室に来たのなら、やめてほしい、という強烈な言葉を杉山にあびせる。
しかしそれを機に、杉山のダンス熱はかえって高まる。電車のホームでもステップの練習をしはじめ、それを見た舞は、しだいに杉山を認めるようになっていく。
杉山は、たま子先生の勧めで、アマチュアダンス大会への出場を決意。その講師を舞が務めることになり、二人は互いの信頼感を高めていく。
一方、杉山の妻、昌子(原日出子)は、夫の行動を不審に思い、私立探偵(榎本明)を雇って夫の行動を探る。夫がダンス教室に熱を上げていることを知った昌子は、娘とともに夫の出場する大会を観戦する。娘の千景(仲村綾乃)は無邪気に父親に声援を送るが、その声に気付いた杉山は、パートナーの高橋豊子(渡辺えり子)のスカートの裾を踏んづけてしまい、彼女のスカートが脱げてしまう。ショックを受けた彼女は会場から逃げ出し、ダンスは失敗に終わる。
正平は、妻にダンスをやめると宣言するが、娘は、パパはかっこよかった、ママとダンスを踊ってあげて、と正平に頼む。正平は慣れない手つきで昌子の手を取り、ぎこちなくダンスを始める。本作の感動的なシーンである。
舞はその後、日本を去ることになり、最後のダンスパーティが開かれることになる。杉山のダンス仲間が、舞の手紙を持って彼を壮行会に誘う。昌子も彼が壮行会に行くことを認めるが、彼は参加をためらい、パーティ開始の時間が過ぎても一人でパチンコをしたりして無為に時間を過ごす。
会場では、舞や杉山の仲間達が、杉山の到着を待ちわびていた。そして最後の曲。
ダンスの相手を選ぶことになった舞が会場を見回すと、そこに遅れてきた杉山が到着。舞は迷わず杉山のもとに歩み寄り、優しく穏やかな声で「Shall we ダンス? 」と告げ、最後のダンスが始まるのだった。

見る前は、竹中直人なども登場しての、ドタバタコメディなのかと想像していたのだが、どちらかというとコメディ要素もある純愛もの、という感じだった。
登場人物の心理には、共感できるような、できないような、微妙な感じもあるのだが、正平と昌子が家の庭でダンスを始めるシーンや、最後の舞の台詞などは感動もので、思わずウルッとしてしまった。妻の昌子の、強さと弱さ、そして夫の最後のダンスを許す偉大さもすばらしかった。

【5段階評価】5

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