(690) Shall we ダンス?
【監督】周防正行
【出演】役所広司、草刈民代、渡辺えり子、竹中直人、草村礼子
【制作】1996年、日本
社交ダンスに目覚めたサラリーマンと、彼を取り巻く人々を描いたコメディまじりの純愛作品。
サラリーマンの杉山正平(役所広司)は、通勤電車の中から見えた、ダンス教室の窓辺にたたずむ女性に一目惚れする。
マイホームも手に入れ、生活に不満はないはずが、どこか満たされないものを感じていた正平は、ダンス教室に足を踏み入れることになる。窓辺の女性、岸川舞(草刈民代)は社交ダンス界のエースと目された才能の持ち主だったが、国際的な競技大会での転倒事故後、相手の男性からコンビ解消を告げられ、父親からダンス教室の講師をするように言われていた。杉山の講師は、老婦人のたま子先生(草村礼子)が務めることになったため、舞と接触を持ちたかった杉山は、教室の外で待ち伏せ、出てきた舞を食事に誘うが、舞は、私目当てに教室に来たのなら、やめてほしい、という強烈な言葉を杉山にあびせる。しかしそれを機に、杉山のダンス熱はかえって高まる。電車のホームでもステップの練習をしはじめ、それを見た舞は、しだいに杉山を認めるようになっていく。
杉山は、たま子先生の勧めで、アマチュアダンス大会への出場を決意。その講師を舞が務めることになり、二人は互いの信頼感を高めていく。
一方、杉山の妻、昌子(原日出子)は、夫の行動を不審に思い、私立探偵(榎本明)を雇って夫の行動を探る。夫がダンス教室に熱を上げていることを知った昌子は、娘とともに夫の出場する大会を観戦する。娘の千景(仲村綾乃)は無邪気に父親に声援を送るが、その声に気付いた杉山は、パートナーの高橋豊子(渡辺えり子)のスカートの裾を踏んづけてしまい、彼女のスカートが脱げてしまう。ショックを受けた彼女は会場から逃げ出し、ダンスは失敗に終わる。
正平は、妻にダンスをやめると宣言するが、娘は、パパはかっこよかった、ママとダンスを踊ってあげて、と正平に頼む。正平は慣れない手つきで昌子の手を取り、ぎこちなくダンスを始める。本作の感動的なシーンである。
舞はその後、日本を去ることになり、最後のダンスパーティが開かれることになる。杉山のダンス仲間が、舞の手紙を持って彼を壮行会に誘う。昌子も彼が壮行会に行くことを認めるが、彼は参加をためらい、パーティ開始の時間が過ぎても一人でパチンコをしたりして無為に時間を過ごす。
会場では、舞や杉山の仲間達が、杉山の到着を待ちわびていた。そして最後の曲。ダンスの相手を選ぶことになった舞が会場を見回すと、そこに遅れてきた杉山が到着。舞は迷わず杉山のもとに歩み寄り、優しく穏やかな声で「Shall we ダンス? 」と告げ、最後のダンスが始まるのだった。
見る前は、竹中直人なども登場しての、ドタバタコメディなのかと想像していたのだが、どちらかというとコメディ要素もある純愛ものだった。登場人物の心理には、共感できるような、できないような、微妙な感じもあるのだが、正平と昌子が家の庭でダンスを始めるシーンや、最後の舞の台詞などは感動もので、思わずウルッとしてしまった。妻の昌子の、強さと弱さ、そして夫の最後のダンスを許す偉大さもすばらしかった。
【5段階評価】5
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