(618) BALLAD 名もなき恋のうた
【監督】山崎貴
【出演】武井証、草彅剛、新垣結衣、大沢たかお、筒井道隆、夏川結衣
【制作】2009年、日本
なかなか腰の砕ける映画だった。
途中まではいい。現代の小学生、川上真一(武井証)がタイムスリップし、廉姫(新垣結衣)と井尻又兵衛(草彅剛)のいる戦国時代へとタイムスリップ。真一の両親、暁(筒井道隆)と美佐子(夏川結衣)も後を追い、廉姫への横恋慕から戦をしかける大倉井高虎(大沢たかお)との対決に挑む。小難しい話は抜きにして、わくわくする展開。
川上家が現代から持ち込んだカメラや自動車などを武器に、劣勢の井尻達を川上一家がどう救うかと思いきや、ただただ窓をあけた無防備な自動車に家族三人で乗り込んで、ノロノロ運転で敵の陣地を進むだけで、敵の兵隊は腰を抜かしてしまい、井尻達は車の後ろをついて行って敵の本陣に乗り込んでしまう。いくらなんでもシナリオが雑。
そして圧倒的優位に立っている高虎は、よせばいいのに又兵衛との一騎打ちに挑み、あえなく敗れるという、麻雀で言えば、9万点差開いていた相手から、オーラスで親の役満を直撃して勝ちました、みたいな、クイズ番組で言えば、最後の問題は正解すると100万点ですみたいな、漫画にもならない展開。
「戦国自衛隊」とまではいかなくても、もうちょっとアイディアはなかったのか、と。
さらにひどいのは、戦に勝利し、意気揚々と自陣に帰る又兵衛が、突然、どこから撃ったのか分からない鉄砲玉に当たって、あっさりと命を落とす。そこに駆け寄って泣き崩れる廉姫。さすがに、これは泣けない。感動しない。もう、あまりの何でもありっぷりに、思わず「これはないわ、これはない」という言葉しか出なかった。
途中までは、田舎の攻城戦の雰囲気がけっこう出ていたりして、いい感じだっただけに、後半の雑な展開の落差のショックが大きすぎた。こんな脚本でも、渾身の芝居をしなければならない役者の方々には、同情を禁じ得ない。
【5段階評価】2
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