(498) スリーピー・ホロウ
【監督】ティム・バートン
【出演】ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ
【制作】1999年、アメリカ
科学の力を信じる捜査官が、アメリカ郊外で起きた連続殺人事件の謎を追う。
いまだに拷問で自白を強要する捜査方法がまかりとおっているニューヨークで、捜査官を務めるイカボッド・クレーン(ジョニー・デップ)は、ハドソン川沿いの村、スリーピー・ホロウで起きている殺人事件を科学の力で解明してみよ、と命じられ、現地に赴く。そこでは、4人の人間が首を切って殺されていた。
イカボッドは地元の名士、バルタス(マイケル・ガンボン)や、判事のフィリップ(リチャード・グリフィス)、公証人のハーデンブルック(マイケル・ガフ)らの話を聞く。彼らは、村で起こっている惨劇は、かつて村で非業の死を遂げた首なし騎士(クリストファー・ウォーケン)の仕業だと信じていた。首なし騎士の話など信用しないイカボッドは、フィリップ判事の「墓は4つだが、死んだのは5人だ」という情報をもとに、埋められた死体を掘り起こして捜査を行う。そして、殺された女性、ウィンシップ夫人が身ごもっていたことを突き止める。
判事は、自分の身に危険が迫るとおびえ、村を逃げ出そうとする。それをイカボッドが問いただしているところに、本当に首なし騎士が馬に乗って登場し、ハーデンブルックの首を刈り、イカボッドの目の前でその首を持ち去る。さすがのイカボッドも、首なし騎士の存在を認めざるを得なくなる。
イカボッドは、父を殺された少年、マスバスを使用人として捜査を続ける。バルタスの美しい娘、カトリーナ(クリスティーナ・リッチ)も彼に同行するようになる。彼らは探索の末、首なし騎士がねじろにしている死人の木を発見する。首なし騎士は、葬られた墓から何者かに自分の首をさらわれ、その者の命令で人々を襲っていたのだ。
イカボッドは捜査を続けるうち、犯人が前村長の遺産を狙っていると確信する。遺産の相続者は、彼の子を身ごもっていたウィンシップ夫人だったが、彼女が殺されたことで、遺産はバルタスに渡ることになる。部屋に戻ったイカボッドは、自分のベッドの下に、魔方陣が描かれていることに気づく。夜ごと悪夢にうなされていたイカボッドは、何者かが自分に呪いをかけていると考える。
その夜、何者かが屋敷から出て行く姿を目撃したイカボッドは、その後を追う。そこでは、バルタスの妻、バン・タッセル夫人(ミランダ・リチャードソン)が、牧師に抱かれていた。彼女はおもむろに剣を取り出し、牧師の背後にかかげる。牧師を殺すのかと思いきや、彼女はそれで自らの手のひらを切りつける。イカボッドは正視に耐えられず、狂気に満ちた情事の現場を後にする。
翌日、草原で花を摘む夫人のもとにバルタスが訪れる。殺された助産婦の葬儀にともに向かうためだったが、突如、夫人の背後に首なし騎士が現れる。それを見たバルタスは、一目散に教会に逃げ込む。首なし騎士がそれを追うが、教会の中に入ることができない。しかし、首なし騎士は、教会の柵の杭を引き抜くと、それを教会に投げ込み、バルタスを串刺しにし、彼の首を刈り取ってしまう。教会には、自分のベッドの下にあったのと同じ魔方陣が描かれ、父の死に気絶したカトリーナの手から、魔方陣を描いたのと同じ色のチョークが転がった。
バルタス夫妻なき今、遺産が渡るのはカトリーナだった。彼女が黒幕だったと悟ったイカボッドは村を去ることを決意する。その馬車の中、イカボッドが何気なく本を開くと、そこに、彼女の描いていた魔方陣が載っていた。それを見て、イカボッドは驚愕する。彼女が呪いのために描いたと思っていたその魔方陣は、実は愛する者を守るためのものであったのだ。
イカボッドは慌てて村に引き返すが、そこでは、死んだと思われていたバン・タッセル夫人がカトリーナをとらえ、首なし騎士がカトリーナを殺すよう、呪いの儀式をしていた。かけつけたイカボッドは、カトリーナとマスバスを助け出し、夫人の持っていた首なし騎士の頭蓋骨を首なし騎士に投げ渡す。本来の頭を取り戻した首なし騎士は、夫人を連れて死人の木の中に消えていった。
首なし騎士の話をどう科学的に解明するのかと思いきや、完全なオカルトだった。グロテスクな映像が多く、受け付けない人もいそうだが、連続殺人事件の動機は人間くさく、様々な伏線もあって、練られた作品だった。
クリスティーナ・リッチは、「モンスター」で、主人公の友人、セルビーを演じた女性。「アダムス・ファミリー」の少女役でもあり、チャーミングな中にも、ちょっとお化けっぽい雰囲気がある。
【5段階評価】3
| 固定リンク
コメント