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2011年5月26日 (木)

(447) クワイエットルームにようこそ

【監督】松尾スズキ
【出演】内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、大竹しのぶ
【制作】2007年、日本

精神病棟に入れられたフリーライターの女性に起こる事件を描いた作品。

フリーライターの佐倉明日香(内田有紀)は、ある日突然、五点拘束されて病室のような個室に入れられていることに気づく。
明日香は看護師の江口(りょう)に、OD(オーバードーズ)、すなわち睡眠薬の大量摂取により病院に運ばれたのだと聞かされる。そこは、女性専用の精神病院だった。
明日香は、仕事のストレスでつい酒と睡眠薬を併用してしまっただけだから、原稿の締め切りもあるので病院を出たいと江口に訴えるが、彼女は、保護者の許可がないと退院できないとにべもない。見舞いに来た夫の焼畑鉄雄(宮藤官九郎)は、自分が帰宅すると、明日香が睡眠薬と酒を同時に服用して倒れていたと告げる。
病院は、精神を病んだ個性的な患者の巣窟だった。鉄雄は、「進め電波少年」のような体当たり番組の罰ゲームで海外に突然行かされてしまったため、明日香はいらだちを抑えながら、精神病院の中での生活を送ることになる。その中で明日香は、もうすぐ退院を迎えようという栗田(中村優子)や、拒食症を治療しているミキ(蒼井優)と打ち解けるようになる。
しかし、患者にテレカやたばこを高額で売りつける過食症患者の西野(大竹しのぶ)が、明日香にまとわりつくようになる。無神経な西野は、鉄雄が明日香に宛てた手紙を見つけ、それを他の患者や看護師に聞こえるように読み上げてしまう。そこには、彼女が入院に至った本当の理由が示されていた。
彼女は、夫に別れを告げられていた。そして彼女は、本当に自殺しようとしていたのだった。苦しい胃洗浄を終えた彼女は、「死なせてください」とつぶやいたのだった。
つらい事実を知った明日香は、ようやく病院に来た鉄雄と話し合って離婚の決意を固め、病院を出る。

映画の冒頭では、明日香が、白濁した液体の入った大きいビーカーを腰に抱えて、仏壇の上に仁王立ちになり、それを下から看護師と医者が見上げ、「あーあ、ゲロでうがいしちゃってるよ」とつぶやいたりするので、不条理ギャグのコメディか、と思わせるのだが、このシーンは、決して不条理ではなく、一つ一つの小道具に意味があることが後半明かされる。いわばこのシーンは、推理小説で言えば、冒頭で読者に示される魅力的な謎となっている。
この謎が明かされるときの衝撃は、かなりのものだし、病院の中でまともだと信じていたミキが、トイレの個室から出てきて明日香につぶやく台詞(明日香とおんなじだよ。まともなのにここにいる。システムが悪いだけ。・・・ホントホント・・・)や、けたたましく笑う西野の表情、まともだと思っていた栗田が再び自殺を図って病院に担ぎ込まれるシーンなど、ホラー映画のようなぞっとするような怖さも同居する、見応えのある作品だった。

【5段階評価】4

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