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2011年3月 7日 (月)

(373) アフタースクール

【監督】内田けんじ
【出演】大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子、田畑智子
【制作】2007年、日本

巧妙なトリックを仕込んだ複雑なストーリーで楽しませるコメディタッチのサスペンス。

オープニングは回想シーン。中学校で、少女が「木村くん」と少年を呼び止め、ラブレターを渡す。見つめ合う二人。そこから時代は現在に移り、妊娠した女性(常盤貴子)と男性(堺雅人)が、手狭なアパートで朝食を取りながら、同じアングルで見つめ合う。部屋には、女性の父親らしき初老の男性(山本圭)の姿も。
木村が家を出ると、外には友人の神野(大泉洋)がいて、木村は神野の車で出発する。女性は神野の朝食も作ったという。神野は近所の男とおぼしきいかつい男性と家に入り込み、女性と談笑。父親とおぼしき男性は、その二人の侵入をいぶかしむ様子もない。一方、木村の向かった先はホテルで、そこで若い女性(田畑智子)と待ち合わせ。
どこにでもあるようで、そこかしこに違和感がある情景。ぱっと見は、父親と同居する若い夫婦と、そこにやってきた旦那の友人、そして旦那は若い女性と不倫している、と思える。この人間関係の真相が、次第に明らかになっていく。
木村が若い女性といるところを、木村の勤める会社、梶山商事の社員が写真にとっていた。それを知った男が、社長(北見敏之)にそのことを伝える。社長は、北沢(佐々木蔵之介)という情報屋に金を使って木村を捜し出せ、と指示。
北沢は、木村の中学の同級生を調べ、その一人、島崎になりすまして中学校に赴き、木村の住所の情報を得ようとするが、そこに同窓生の体育教師、神野がいたため、北沢は神野に怪しまれないよう、島崎を演じ続けなければならなくなる。
北沢は、神野に木村の密会写真を突きつけ、彼が不倫相手と逃げた可能性があり、探していると伝える。そんなことをするやつじゃないと狼狽する神野に「学校を出たことのないお前に何が分かる。早く中学を卒業しろ」と見得を切る。
しかし、神野の行動はすべて演技だった。彼は木村と行動をともにしており、木村の不倫相手と思えた女性は、神野の実の妹で、妹の職業は警察官だった。彼らは、暴力団と梶山商事の犯罪行為をあばくため、おとり捜査に協力していたのだった。北沢はそれとは知らず、神野達が暴力団相手に恐喝をしていると思い込み、銃を持って神野の学校に向かうが、そこであえなく警察に逮捕されてしまう。

一度見ただけでは、複雑すぎるストーリーの全貌を理解することは難しいだろう。2回目に見ると、なるほどそういう意味だったのか、というのが分かり、なかなか面白かったりする。例えば、神野の妹のマンションで、妹が木村とエレベータに乗り込み、男性に甘えるようにもたれかかっているように見えた監視カメラの映像は、木村が「靴買ってもらったんだ」と言って、それを見るために妹が下を向いただけだった、なんてことが明かされる。
一方で、もう少し、ストーリーを分かりやすくした方が、もっと面白かったという気はした。この映画の根底にある太く単純なストーリーは、警察が、梶山商事と暴力団の不正を暴く話だった、ということだ。そこはきわめて分かりやすく示す必要があるが、今ひとつ、警察は何のおとり捜査をしているのだろう、という、解釈に揺れる余地があり、なんとなくすっきりしないエンディングなのだ。あの政治家はなんだったんだろう、とか。そう考えると「キサラギ」は名作だったな、と改めて気づかされる。

【5段階評価】3

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