(302) 戦場のピアニスト
【監督】ロマン・ポランスキー
【出演】エイドリアン・ブロディ
【制作】2002年、フランス、ドイツ、イギリス、ポーランド
第二次世界大戦中のドイツ軍のユダヤ人迫害、ワルシャワ蜂起を通して、一人のピアニストの凄絶な人生を描く。
ポーランドの有名なピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)。ポーランドへのドイツ軍侵攻により、地獄のような生活が始まる。ユダヤ人は青いダビデの星の腕章をつけることを強制され、財産は制限され、道ではドイツ将校に「あいさつしなかった」というだけで殴られる。その迫害は、現実とは信じがたいような残虐なものに及んでいく。
夕食中、突然ドイツ兵に乗り込まれ、車いすの老人は窓から投げ落とされ、残りの人間は走って逃げる背後から全員射殺。「私たちをどこへ? 」と聞いただけで兵士に脳天を撃ち抜かれる女性。町中に転がる子どもの死体。奴隷として行進中、「何だこの病んだ集団は」と将校に因縁をつけられ、適当にまびかれ、伏せろと言われて射殺される男たち。貨物列車に大量に乗り込まされ、(映画の中では明示されないものの、おそらく)大量殺戮への一方通行を余儀なくされる大勢の人々。
シュピルマンは、ポーランドの警官やレジスタンスの人々、最終的にはドイツ将校の協力を受けながら、何とか生き延びる。そこにいるのは、あふれるピアノの才能を持ちながら、それを何ら生かすことなく、ただただ逃げ惑う無力な男である。
この映画は、名作としての賛辞を得ている一方、「ただ逃げ回っているだけの映画」、「主人公がピアニストである必然性がない」など、酷評も見受けられる。自分としては、なかなかよい作品だったと思えた。史実に基づいていることもあって、第二次世界大戦の狂気が、ひしひしと身に迫る。自分たちはなんて幸せな世の中に住んでいるのだろうと、今更ながら感じてしまった。
一点、気になったのは、ポーランド人が主に英語をしゃべっていた点。母国語はポーランド語なのだから、そのほうがよかったのではと思えた。
【5段階評価】4
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