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2010年9月11日 (土)

(219) セルピコ

【監督】シドニー・ルメット
【出演】アル・パチーノ
【制作】1973年、アメリカ・イタリア

警察にはびこる不正に立ち向かった実在の警官を描いた作品。主人公の警官、セルピコを、アル・パチーノが演じている。

ただしこの警官、正義のヒーローなのだが、見た目は冴えない。市民に溶け込むためと称して、ヒッピー風のひげもじゃ。警察署内にいても、どうみても警官には見えず、むしろ警察のお世話になっているほうに見えるぐらい。その特異な風貌もあいまってか、警察内で半ば公然とまかり通っている、犯罪組織からの上納金の受け取りを拒むセルピコは、署員から疎まれるようになる。そのことを自覚するセルピコは、転職を願ったり大学で勉強を始めたり、自分の生き方を模索する。脅迫の危険に常に晒される怯えからは逃れることができず、恋人に当たり散らした挙げ句、恋人を失ったりもする。
そしてついに、悲劇が起きる。警察内部の腐敗をマスコミに暴いたセルピコは、麻薬捜査の危険な現場に送り込まれる。犯罪者の居場所を突き止めたセルピコは、仲間の刑事とともにアジトに乗り込み、扉をこじ開けようとする。扉に挟まれ、動けなくなったセルピコは、仲間に助けを求めるが、仲間たちは扉の陰に隠れたまま、彼を救おうとしない。そしてセルピコは、犯罪者から顔を銃で撃たれてしまう。セルピコを応援していた警視が、セルピコの病室に見舞いに訪れる。そこでセルピコに見せられたのは、仲間からのメッセージカードだった。「すっかり人気者だな」と軽口を叩きながら、警視がそれを手にすると、そこには「苦しんで死ね」という衝撃的な言葉が書かれていた。彼はその後、公聴会の場で警察内の汚職を暴露し、時の人となるが、その代償は顔面銃創による松葉杖生活という、大きなものとなった。

警察内の汚職を描いた作品はいろいろとあるが、本作はどちらかというと地味な作りである。仲間のいじめなどもそれほど強烈に描かれたりはせず、セルピコがどうしようもない逆境、今にも殺されそうな立場にいる、というほどではない。それが逆に、なんとかなりそうなのになんともならない、組織腐敗の恐ろしさに対して、観る者に身もだえるような感覚を植えることに成功している。

【5段階評価】3

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1973年 アメリカ 130分 監督:シドニー・ルメット 出演:アル・パチーノ ジョン・ランドルフ ジャック・キーホー ビフ・マクガイア トニー・ロバーツ  ニューヨークを舞台に、汚職と腐敗にまみれた警察組織の中で抗うひとりの警官の姿を描いた、実話の原作を映画化。新人警官セルピコは正義感に燃えていたが、汚れきった警察内部の現状を知るにつれ、その思いは潰えていく。ただひとり賄賂を受け取らないセルピコは組織内で孤立し、やがて告発へと踏み切るが、その直後に彼は市内で...... [続きを読む]

受信: 2010年10月 7日 (木) 21:41

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