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2010年6月 6日 (日)

(140) あるいは裏切りという名の犬

【監督】オリビエ・マルシャル
【出演】ダニエル・オートゥイユジェラール・ドパルデューアンドレ・デュソリエ
【制作】2004年、フランス

パリ市警を舞台に、二人の警部の争いを描いた悲劇。実話がベースになっており、見応えのある作品。

刑務所の独房のようなところで、横たわりむせび泣く男のシーンで映画は始まる。場面は変わり、夜の闇に沈んだとある街角。二人の男が、建物の壁に取り付けられたプレートを取り外している。警邏中の警官に見とがめられるが、車で逃走する。プレートを盗んだ男たちは、警察署の職員だった。エディというベテラン刑事の祝賀の会で、プレートが贈呈される。同時期、夜のバーに入っていく二人の男がいた。彼らは店の年老いたマダム、マヌー(ミレーヌ・ドモンジョ)に暴行を加えて立ち去る。マダムの余計な発言が彼らを怒らせたらしい。
そして翌朝。現金輸送車が武装した強盗に襲われる。輸送車に向けて機関銃を乱射し、ドライバーを殺害して車を止めると、後ろのドアを爆薬で破壊して現金を運び去るという残忍な手口。
パリ市警の局長ロベール・マンシーニ(アンドレ・デュソリエ)は、もうじき長官として異動することが決まっており、その前にこの事件を何とか解決したいと考えていた。彼の後釜と目される男は二人いた。一人は、正義感が強く、仲間の信頼も厚いレオ・ブリンクス(ダニエル・オートゥイユ)。先のシーンで仲間とパーティに興じていた男だ。もう一人は、出世欲の強いドニ・クラン(ジェラール・ドパルデュー)。二人は、かつてレオの妻を取り合った恋敵でもあった。凶悪な現金強奪事件で手柄を立てた方が、事実上、局長の座を射止めることになる。
レオは、暴行を受けたマヌーと旧知の仲だった。彼女を殴ったのがウィンターシュタイン兄弟の兄、ブリュノであることをマヌーから聞いたレオは、刑事仲間のティティ(フランシス・ルノー)らと、ひとけのないところでブリュノを拉致して車に押し込むと、丸裸の後ろ手錠の状態で山中の穴の中に投げ捨てた。レオは、「マヌーに近づくとおまえも弟も殺すぞ」と吐き捨て、その場を後にした。帰りの車の中で、ブリュノの持ち物をあさっていたティティは、ブリュノのナイフを戦利品だと言ってくすねる。ブリュノの所持金をマヌーに渡すレオ。
レオは、情報屋を使って、犯人の情報を集める古いタイプの刑事だった。彼はある日、刑務所から仮出所していた情報屋のシリアン(ロシュディ・ゼム)から、なかば脅迫まがいの電話を受け、落ち合うことにした。シリアンは、いい情報を提供するから30分一緒にいてくれ、と謎の依頼をする。二人で止めた車の中にいるとき、事件は起きた。ある車が彼らの車の近くにとまると、情報屋がふいに車を降り、やってきた車の中の人間を全員撃ち殺したのだ。殺されたのは、シリアンをハメて刑務所送りにした男だった。レオはひとまずその場から車で去ると、離れたところで車を止め、車から引きずり出してシリアンを責めた。しかしシリアンは、現金強奪犯の情報を渡すから、アリバイ工作に協力しろ、さもなければ殺人の共犯だとレオを脅した。凶悪犯の逮捕を焦っていた彼は、シリアンの手に乗ることにしてしまった。しかし、レオたちの車が走り去った後、死体の転がる車中から、一人の娼婦が飛び出していた。その女は、車の中でかがんでいた(なぜかがんでいたかはヒ・ミ・ツ)ため、シリアンに気づかれなかったのだ。
シリアンから主犯格のオルンをはじめとする強盗犯一味の居場所を聞き出したレオは、彼らを現行犯逮捕しようと待ち伏せを行う。この捜査の指揮権はレオが握っていたのだが、功を焦ったドニはスタンドプレーに出る。待機中の車から降りると、指令を無視して拳銃を持って犯人に近づいていったのだ。その結果、警察はオルンを取り逃し、しかもレオの親しかった同僚エディは、オルンに撃ち殺されてしまう。
ドニの行動は、懲罰の対象になる可能性が出てきた。仲間の信頼の薄いドニは窮地に陥る。そんなとき、ドニは、シリアンが起こした殺人事件から逃げ延びた娼婦からの話で、レオがその場にいたことを知る。
ついにオルンの逮捕にこぎ着けたレオだったが、突然、彼自身が逮捕されることになる。シリアンの居場所について口を割らなかったレオは、殺人の共犯者として刑務所に服役することになってしまった。
ドニは何人かの同僚に、ドニの行動は先にオルンが銃撃したことへの正当防衛であったと偽証させ、懲罰委員会でおとがめなしとなる。そして、局長に昇任したのもドニとなった。しかし、レオの部下だった刑事たちは、ドニのやり方に賛同できない。就任パーティでは、ティティに小便までひっかけられる。「気に入らないやつは首にしてやる」とすごむドニだったが、かつての部下だったエブ(カトリーヌ・マルシャル)でさえ、彼のやり方に不信感を持ち始めていた。
シリアンの行方を捜していたドニは、レオの妻、カミーユの電話を部下に盗聴させ、カミーユがシリアンと会うという情報をつかみ、現場へ向かう。シリアンが真実を証言すれば、レオは殺人の実行犯ではなく、無理矢理片棒を担がされただけであることが明らかになると考えたのであろう。ドニは、シリアンが乗ったカミーユの車を挟み撃ちにし、逃げようとするシリアンの乗った車を横転させる。横転した車にドニが駆け寄ると、シリアンは車の窓から上半身を乗り出すようにして倒れていた。問答無用にシリアンを撃ち殺すドニ。あぜんとする部下の二人。
この事件で、カミーユもこの世を去ってしまった。一時的に妻の葬式のために出所したレオは、娘を抱きしめたいので手錠を外してくれと警官に頼む。ドニはレオの手錠を外すために近寄り、カミーユを撃ったのはシリアンだと告げる。レオは娘のローラを抱きしめ、待っていてくれと告げると、刑務所に戻る。映画の冒頭の刑務所の嗚咽は、妻を失ったレオのものだったのだ。
その後7年が経過し、模範囚として刑期を終えたレオは、ようやく出所することになった。レオは、かつての仲間、ティティにディスコで会い、シリアンと妻が死んだ事件で、ドニと一緒にいたのがエブだったことを聞き出す。店を出ようとした二人は、チンピラと体がぶつかり、店の外に投げ出される。その相手に見覚えがあると感じたレオは、注意しろとティティに告げるとその場を去った。実はその男は、ブリュノと一緒にマヌーを暴行した男、弟のロレフだった。ティティはロレフに待ち伏せされてしまった。帰りの車を襲撃され、車から引きずり出され、金属バットで殴られる。そのとき、ロレフがティティの持っているナイフに気づいた。「これはブリュノのナイフじゃないか。おまえ、ブリュノを襲った場所にいたのか。あれをやったのは誰だ。」と問い詰めるロレフ。やったのはレオだ。暴行を受け、意識がもうろうとなったティティは、一緒にいた警部の名前を告げてしまう。直後、頭をバットで殴打され、ティティは植物状態になってしまう。
エブが左遷された警察署に向かったレオは、エブに会い、ドニがシリアンの銃でカミーユを撃ち、それはシリアンが撃ったものだと口裏を合わせるよう、部下に命じていたことを知る。復讐に燃えるレオは、銃を入手すると、ドニが出席する警察署のパーティに潜入した。トイレでドニに銃を突きつけるレオ。「なぜ妻を撃った。」と聞くレオ。「すでに死んでいた」と答えるドニ。レオは、銃を洗面台に起き、「1発は失敗でも、あと13発残っている」と捨て台詞を吐くと、その場を立ち去る。銃を手に取り、レオを追いかけて建物の外に出るドニ。そこには、復讐に燃えるブリュノとロレフがいた。目指す相手を見つけた二人は、バイクで警部に近寄ると「覚えてるか」と言って、頭を銃で撃ち抜いた。撃たれたのは、レオではなく、警察局長のドニだった。ティティは、いまわのきわで、ブリュノ拉致の場にいたのは、ドニだと告げていたのだった。ドニが殺された新聞記事を空港の売店で眼にしたレオ。そのまま、新聞は買わずにキャンディだけ買うと、父との再会を喜ぶ娘のローラとともに、搭乗ゲートに向かっていった。

重厚な作品でなかなかよかった。ただ、題名はなんだかよく意味が分からない。ほかにも「やがて復讐という名の雨」とか「いずれ絶望という名の闇」とか、シリーズものみたいにタイトルをつけているらしく、個人的にはあまり好きではない。少なくとも、この映画の主題が裏切りであるとはあまり思えない。とはいえ、いい作品。1回目より2回目のほうが面白いと思える映画。

【5段階評価】4

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