(79) 陰謀のセオリー
【監督】リチャード・ドナー
【出演】メル・ギブソン、ジュリア・ロバーツ
【制作】1997年、アメリカ
政府の極秘計画を題材とした映画。
タクシー運転手のジェリー(メル・ギブソン)は、タブロイド紙しか取り上げないような、政府の陰謀に関するゴシップを乗客に吹聴する日常を送っている。しかも、それらの「政府の陰謀」を自ら記事に仕立て上げ、ネットで募集した読者(といっても5人ほどだが)に送る、という偏執ぶり。さらには司法省に勤める弁護士、アリス(ジュリア・ロバーツ)に、大地震と大統領暗殺の関係についてまくしたてる始末。その一方、彼はアリスの生活を監視している。ストーカーかと思わせる展開。
ここまでだと妄想癖の趣味が高じたゴシップオタクなのだが、ある日突然、彼は拉致され、黒塗りの車に押し込まれる。そして、黒幕とおぼしき人物、ジョナス(パトリック・スチュワート)から拷問を受ける。しかし、自白剤を打たれたとき、ジェリーは過去の記憶がよみがえり、ジョナスの鼻にかみつくと、脱走に成功する。
実はジェリーは、洗脳により暗殺を遂行するという、政府のMKウルトラ計画の被験者だった。映画では、過去に実際にあったジョン・レノンやレーガンに対する凶行も、この陰謀の一環であることが示される。また、これらの犯人が「ライ麦畑でつかまえて」を読んでいたというエピソードも、ネタとして用いられている。この辺りは予備知識がないと、なんのことかわからないだろう。
暗殺者に仕立てられたジェリーは、アリスの父親の暗殺を命じられるが、アリスを目にして暗殺を思いとどまる。父親は政府の別の手によって暗殺されるが、ジェリーはアリスを守ることを父親に誓っていたのだった。
終盤、ジョナスに捉えられ、薬物を打たれて体の自由が利かなくなったジェリーを、アリスが救い出す。弱い男と強い女という構図は、「僕の彼女はサイボーグ」とも似ているが、そのか弱い男を、「マッドマックス」や「リーサル・ウェポン」などの名だたるアクション映画で獅子奮迅の活躍をしてきたメル・ギブソンが演じているところが面白い。キスしてくれ、とせがむジェリーに、アリスが仕方なさそうにチュッとするところは、ちょっと萌える。
アリスが、結構冒頭から、一見ただの頭のおかしな人としか見えないジェリーを、つっぱねずにつきあっているところは、多少理解の苦しむところではあるが、二人の関係には心が温まった。最後もハッピーエンドをほのめかせていて、ほほえましい終わり方になっている。
【5段階評価】3
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